JP2005512514A - バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子 - Google Patents

バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子 Download PDF

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Abstract

バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ活性をコードするさまざまな細菌から遺伝子が単離されている。これらの遺伝子およびその産物は、ケトンを対応するエステルに変える変換に有用である。すべての遺伝子に共通の一連のモチーフを、この活性のタンパク質をコードする遺伝子に対する特性として同定する。

Description

本発明は、分子生物学および微生物学の分野に関する。特に、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ活性をコードするさまざまな細菌から遺伝子が単離されている。
1899年、環状ケトンとペルオキシ一硫酸とを反応させてラクトンを生成することについての報告がバイヤーおよびビリガーによってなされた(非特許文献1)。それ以降、バイヤー・ビリガー(BV)反応は有機合成に広く用いられている。BV反応は、穏やかな条件下で特定の炭素−炭素結合を切断し、これによってケトンをエステルに変換するのに利用できる限られた方法のひとつである(非特許文献2)。
過去数十年の間、工業プロセスにおいて環境への影響を最小限に抑えることの重要性がひとつの潮流への触媒となり、すでに確立された化学的な手法が別の方法へと移行しつつある。バイヤー・ビリガー(BV)酸化の場では、バイヤー・ビリガー酸化でありながら過酸に頼らないエナンチオ選択性の形態を発見することに極めて大きな関心が寄せられている。エナンチオ選択性であることが多い酵素類であれば、再生可能かつ生分解可能な価値のある代替資源になる。
ケトンをエステルあるいは対応するラクトン(環状エステル)に変換する多くの微生物バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ酵素(BVMO)(非特許文献3)が細菌と真菌の両方のソースから同定されている。通常、微生物のBV反応はモノオキシゲナーゼ(EC 1.14.13.x)によって行われ、これにはOと共還元剤としてのNADHまたはNADPHのいずれか一方とが使われる。酸素原子のうちの1つがカルボニル炭素とフランキング炭素との間のラクトン生成物に取り込まれる一方、他の酸素原子が還元NADPHを酸化してHOを生成する反応に用いられる(非特許文献4)。周知のBVMOにはいずれも、酸化反応において機能するフラビンコエンザイムがあり、中心となるコエンザイム形態はフラビンアデニンジヌクレオチドコファクター(FAD)である。
すでにキャラクタライズされているほとんどのBVMOがもともと持っている生理学的役割に、化合物を分解して小さくなった炭化水素および/またはアルコールを炭素源およびエネルギ源として利用できるようにすることがある。このため、BVMOは目立って広い基質許容性を示し、エナンチオ選択性が高く、立体選択性および位置選択性が大きい(非特許文献5)。酵素に適した基質については、大きく分けて環状ケトン、ケトテルペン、ステロイドに分類できる。しかしながら、すでに徹底した生化学的キャラクタリゼーションがなされている酵素はほとんどない。広範囲にわたる各ケトン基質クラスに関連した重要な研究を以下にまとめておく。
1.環状ケトン:アシネトバクター sp.(Acinetobacter sp.)NCIB 9871における環状ケトン基質でのシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼの活性についての徹底した研究が行われている(非特許文献6の表2、非特許文献7の表4〜5にて検討がなされている)。ブレビバクテリウム sp.(Brevibacterium sp.)HCUでの特異性の生化学的分析も行われている(非特許文献8)。
2.ケトテルペン:ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis) DCL14からの単環式モノテルペンケトンモノオキシゲナーゼがキャラクタライズされている(非特許文献9)。ケトテルペンに対する広い基質特異性だけでなく、この酵素には置換シクロヘキサノンに対する活性もある。
3.ステロイド:ロドコッカス・ロドクラウス(Rhodococcus rhodochrous)のステロイドモノオキシゲナーゼ(非特許文献10)が、生化学的および配列データの両方の観点から十分にキャラクタライズされている。
上記に列挙した遺伝子および遺伝子産物は、環状ケトン化合物、ケトテルペン化合物またはステロイド化合物を標的とした特定のバイヤー・ビリガー反応には役立つものであるが、同様の活性を持ち得る新たに発見される他のタンパク質を予測する上で、これらの酵素の能力には限界がある。
Chem Ber 32:3625〜3633(1899)。 ウォルシュ(Walsh)およびチェン(Chen)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl 27:333〜343(1988)。 スチュアート(Stewart)、Curr.Org.Chem.2:195〜216(1998)。 バネルジー・エー(Banerjee,A.)、Stereosel,Biocatal.、パテル・アール・エヌ(Patel,R.N.編、マーセル・デッカー(Marcel Dekker):ニューヨーク、2000、第29章、第867〜876ページ。 ミホヴィロヴィック(Mihovilovic)ら、J.Org.Chem.66:733〜738(2001)。 スチュアート(Stewart)、Curr.Org.Chem.2:195〜216(1998)の表2。 ウォルシュ(Walsh)およびチェン(Chen)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl 27:333〜343(1988)の表4〜5。 ブルツォストヴィッチ(Brzostowicz)ら、J.Bact.182(15):4241〜4248(2000)。 ファン・デル・ウェルフ(Van der Werf)、J.Biochem.347:693〜701(2000)。 モリイ(Morii)ら、J.Biochem 126:624〜631(1999)。
したがって、解決しようとする課題は、環状ケトンおよびケトテルペン化合物で酸素化反応を効率的に実施できる一連の細菌フラボタンパク質バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ酵素を提供することである。この広い基質許容性を持つ一連の酵素が似通っていることから、これらの酵素を商用利用しやすく、複数通りの反応に合わせて複数の酵素を最適化することに伴う労力を削減できるのではないかと思われる。特に、最大限の効率を得られるとすれば多くの酵素が所望の宿主生物で組換え発現されるように遺伝子操作される昨今である。さらに、多様なアミノ酸配列を持つBVMOの集合を利用して、他のBVMO酵素におけるアミノ酸配列の保存状態に立脚した汎用的な予測モデルを作成できる可能性がある。最後に、新規な酵素のin vitro進化用の基盤として広範囲にわたるクラスのBVMOを利用できる可能性もある。
本願出願人らは、BVMO活性を持つ新規な生物をいくつか単離し、BMVO遺伝子を同定およびキャラクタライズし、これらの遺伝子を微生物宿主で発現させ、これらの遺伝子が環状ケトンやケトテルペンをはじめとする広範囲にわたるケトン基質に対して持つ活性を示すことで、上述した課題を解決している。アミノ酸配列アライメントを根拠にいくつかのシグネチャ配列を同定したが、これらの配列は特定のBVMOファミリに特徴的なものであり、医療診断における実用性を備えている。
本発明は、
(a)配列番号8、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
(a)または(b)と相補である単離核酸断片、
からなる群から選択される、ロドコッカス属から単離される単離核酸断片を提供するものである。
同様に、本発明は、
(a)配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
(a)または(b)と相補である単離核酸断片、
からなる群から選択される、アルスロバクター属から単離される単離核酸断片を提供するものである。
さらに、本発明は、
(a)配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
(a)または(b)と相補である単離核酸断片、
からなる群から選択される、アシドボラクス属から単離される単離核酸断片を提供するものである。
別の実施形態において、本発明は、本件配列でコードされるポリペプチドおよび本件配列の遺伝子キメラならびにこれを発現する形質転換宿主を提供するものである。
好ましい実施形態において、本発明は、
(a)モノオキシゲナーゼ活性を持つ可能性のあるポリペプチドのアミノ酸配列を取得し、
(b)ステップ(a)のアミノ酸配列を、配列番号47、配列番号48、配列番号49からなる群から選択されるバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼコンセンサス配列のアミノ酸配列とアライメントすることを含んで成り、
配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも80%が完全に保存されている場合、(a)のポリペプチドをモノオキシゲナーゼ活性を持つものであるとして同定する、モノオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドの同定方法を提供するものである。
別の実施形態において、本発明は、
(a)配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも80%が完全に保存されているポリペプチドをコードする核酸断片でゲノムライブラリを探索し、
(b)ステップ(a)の核酸断片とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
(c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んで成るゲノム断片の配列を決定することを含んで成り、
配列決定されたゲノム断片がバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする遺伝子の同定方法を提供するものである。
好ましい実施形態において、本発明は、好適な成長条件下で形質転換宿主細胞を有効量のケトン基質と接触させることで対応するエステルを生成することを含んで成り、前記形質転換宿主細胞が、好適な制御配列の制御下に本件核酸配列のうちのいずれかの単離核酸断片をコードする核酸断片を含んで成る、ケトン基質を対応するエステルに変換する生物変換方法を提供するものである。
別の実施形態において、本発明は、好適な反応条件下でケトン基質を有効量のバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ酵素と接触させることを含んで成り、この酵素が、配列番号8、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46からなる群から選択されるアミノ酸配列(seqeunce)を有する、ケトン基質を対応するエステルに変換するin vitro変換方法を提供するものである。
さらに、本発明は、
(i)a)配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45からなる群から選択される天然微生物遺伝子と、
b)前記天然微生物配列とハイブリダイズするヌクレオチド断片からなる第1の集合と、
c)前記天然微生物配列とハイブリダイズしないヌクレオチド断片からなる第2の集合と、を含んで成るヌクレオチド配列の混合物を制限エンドヌクレアーゼで消化し、制限断片の混合物が生成されるステップと、
(ii)前記制限断片の混合物を変性させるステップと、
(iii)変性させたステップ(ii)の前記制限断片の混合物をポリメラーゼとともにインキュベートするステップと、
(iv)ステップ(ii)および(iii)を繰り返し、生物活性が変化したタンパク質をコードする変異微生物遺伝子を生成するステップと、を含んで成る方法によって生成される、生物活性が変化したタンパク質をコードする変異微生物遺伝子を提供するものである。
また、本発明は、配列番号5に記載の16s rDNA配列を含んで成るアシドボラクス sp.、配列番号1に記載の16s rDNA配列を含んで成るアルスロバクター sp.、配列番号6に記載の16s rDNA配列を含んで成るロドコッカス sp.それぞれのユニークな株を提供するものである。もうひとつの実施形態において、本発明は、配列番号5に記載の16s rDNA配列を含んで成るアシドボラクス sp.を提供するものである。さらに、本発明は、配列番号1に記載の16s rDNA配列を含んで成るアルスロバクター sp.を提供するものである。同様に、本発明は、配列番号6に記載の16s rDNA配列を含んで成るロドコッカス sp.を提供するものである。
さらに、本発明は、配列番号70〜113からなる群から選択されるBVモノオキシゲナーゼを同定するのに役立つ単離核酸を提供するものである。
配列の説明
本件出願の一部をなす以下の詳細な説明ならびに添付の配列の説明から、本発明についてなお一層深く理解することができよう。
以下の配列は米国特許施行規則第1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願の要件−配列規則」)に準拠し、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)、EPOおよびPCTの配列表要件(施行規則5.2および49.5(a−bis)ならびに実施細則第208号および附属書C)に従ったものである。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに用いる記号および形式は米国特許施行規則第1.822に記載の規則に準拠している。
配列番号1〜49は表1に示すような全長遺伝子またはタンパク質である。
Figure 2005512514
配列番号50〜62は16s rDNAシーケンシングに用いるプライマーである。
配列番号63はRT−PCRおよびアウト−PCR(out−PCR)に用いるプライマーを示す。
配列番号64および65はpCR2.1内のインサートのシーケンシングに用いるプライマーである。
配列番号66および67はアシネトバクターsp.SE19からモノオキシゲナーゼ遺伝子を増幅するために用いるプライマーである。
配列番号68〜107は全長バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼの増幅に用いるプライマーである。
配列番号108〜113はコスミドライブラリをスクリーニングするために用いるプライマーである。
本発明は、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ酵素のグループを定義する核酸およびアミノ酸配列を提供するものである。これらの酵素には、大別して環状ケトンとケトテルペンという2つのクラスの化合物をはじめとする多種多様なケトン基質を利用する能力があることが分かっている。これらの酵素を、機能ならびに一連の指標となるシグネチャ配列に応じてキャラクタライズする。これらの酵素は、ケトン基質を対応するラクトンまたはエステルに変える変換用に組換え発現させることができるものである。
本願の開示では、学術用語および略語をいくつか用いる。これについては、以下のように定義する。
「オープンリーディングフレーム」をORFと略す。
「ポリメラーゼ連鎖反応」をPCRと略す。
「ガスクロマトグラフィ質量分析」をGC−MSと略す。
「バイヤー・ビリガー」をBVと略す。
「バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ」をBVMOと略す。
「バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ」という用語は、ケトン基質を酸化させて対応するラクトンまたはエステルにする能力を持つ細菌酵素を示す。
「ケトン基質」という用語には、環状ケトンおよびケトテルペンをはじめとするクラスの化合物を含んで成るバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼの基質を含む。本発明のケトン基質は、一般式
Figure 2005512514
(式中、RおよびRは独立に、置換または未置換のフェニル、置換または未置換のアルキル、置換または未置換のアルケニル、あるいは置換または未置換のアルキリデンから選択される)で定義される。
「アルキル」という用語は、アルカンの任意の炭素原子から水素原子1個を除去して誘導される一価基すなわちC2n+1‐を意味する。非分枝アルカンの末端炭素原子から水素原子1個を除去して誘導される基は、ノルマルアルキル(n−アルキル)基のサブクラスすなわちH[CH‐をなす。基RCH−、RCH−(RはHと等しくない)、RC−(RはHと等しくない)は、それぞれ第1級アルキル基、第2級アルキル基、第3級アルキル基である。
「アルケニル」という用語は、1個の炭素−炭素二重結合を有し、一般式C2nで表される非環式の分枝炭化水素または非分枝炭化水素を意味する。2以上の二重結合を有する非環式の分枝炭化水素または非分枝炭化水素は、アルカジエン、アルカトリエンなどである。
「アルキリデン」という用語は、アルカンの同一炭素原子から水素原子2個を除去して形成される二価基を意味し、その遊離バリアンス(valiances)は二重結合の一部(プロパン−2−イリデンとしても知られる(CHCなど)である。
本願明細書において使用する場合、「単離核酸分子」は、合成、非天然または変化したヌクレオチド塩基を含有していてもよい一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAのポリマーである。DNAのポリマーの形での単離核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1以上のセグメントで構成されるものであってもよい。
温度と溶液のイオン強度の適した条件下で一本鎖の核酸分子を他の核酸分子にアニールできる場合に、この核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAなどの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」であるという。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は周知であり、その一例が、サムブルック・ジェー(Sambrook,J.)、フリッチ・イー・エフ(Fritsch,E.F.)およびマニアティス・ティ(Maniatis,T.)著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)(1989)の特に第11章と表11.1に記載されている(その内容全体を本願明細書に援用する)。温度およびイオン強度の条件次第でハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」が決まる。ストリンジェンシー条件については、遠縁の生物から得られる相同配列などの適度な類似性のある断片から、近縁の生物から得られる機能的酵素を複製する遺伝子などの極めて類似性の高い断片に至るまで、スクリーニングできるように調節することが可能である。一般的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、たとえば、0.1×SSC、0.1%SDSで65℃でハイブリダイゼーションを行い、2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSである。通常、ハイブリダイゼーション後の洗浄でストリンジェンシー条件を判定する。好ましい条件一組では、6×SSC、0.5%SDSで室温にて15分間に続いて、2×SSC、0.5%SDSを45℃にて30分間行い、さらに0.2×SSC、0.5%SDSを50℃にて30分間ずつ2回繰り返す一連の洗浄を用いる。さらに好ましいストリンジェントな条件の組では上記よりも高い温度を使用する。この場合、最後に行う0.2×SSC、0.5%SDSでの30分ずつ2回の洗浄時の温度を60℃に上げること以外は上記と同じである。極めてストリンジェントな条件のもうひとつの好ましい組として、0.1×SSC、0.1%SDSでの最後の2回の洗浄を65℃にする形がある。ハイブリダイゼーションでは2つの核酸に相補的な配列が含まれている必要があるが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては塩基間にミスマッチがあってもよい。核酸をハイブリダイズさせるのに適したストリンジェンシーは、核酸長および相補性の度合いといった従来技術において周知の変数に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の度合いが大きくなればなるほど、これらの配列を有する核酸ハイブリッドのTm値も大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的な安定性(高めのTmに対応)は、RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAの順に低くなる。100ヌクレオチド長を超えるハイブリッドについてはTmを算出するための式が得られている(上掲のサムブルック(Sambrook)ら、9.50〜9.51を参照のこと)。これよりも短い核酸すなわちオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションではミスマッチの位置が一層重要になり、その特異性はオリゴヌクレオチドの長さによって決まる(上掲のサムブルック(Sambrook)ら、11.7〜11.8を参照のこと)。一実施形態において、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸の好ましい最低長は少なくとも約15ヌクレオチドであり、一層好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド、最も好ましくは長さが少なくとも30ヌクレオチドである。さらに、プローブの長さなどの要因次第では、必要に応じて温度および洗浄液の塩濃度を調節してもよいことは、当業者であれば理解できよう。
「相補的である」という表現については、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基間の関係を示す際に使用する。たとえば、DNAに関していえば、アデノシンはチミンに対して相補的であり、シトシンはグアニンに対して相補的である。したがって、本発明には、添付の配列表に記載の完全配列に対して相補的である単離核酸断片のみならず、実質的に類似の核酸配列も含まれる。
「同一率」という用語は、従来技術において周知のように、配列同士を比較することで求められる2以上のポリペプチド配列間または2以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。従来技術において、「同一性」とは、場合によってはポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列のストリング間のマッチによって求められる、このような配列間の配列の関連度を意味することもある。「同一性」および「類似性」については、Computational Molecular Biology(レスク・エー・エム(Lesk,A.M.)編)、オックスフォード大学出版局、ニューヨーク(1988)、Biocomputing: Informatics and Genome Projects(スミス・ディ・ダブリュ(Smith,D.W.)編)、アカデミックプレス、ニューヨーク(1993)、Computer Analysis of Sequence Data, Part I(グリフィン・エー・エム(Griffin,A.M.)およびグリフィン・エイチ・ジー(Griffin,H.G.)編)、ヒュマナ・プレス(Humana Press)、ニュージャージー(1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology(フォン・ハインイェ・ジー(von Heinje,G.)編)、アカデミックプレス(1987)、Sequence Analysis Primer(グリブスコフ・エム(Gribskov,M.)およびデヴェロー・ジェー(Devereux,J.)編)、ストックトン・プレス(Stockton Press)、ニューヨーク(1991)に記載されているものなどを含むがこれに限定されるものではない周知の方法で容易に算出することが可能である。試験配列間のベストマッチを得るべくして、同一性を求める好ましい方法が設計されている。また、同一性および類似性を求める方法が、一般利用可能なコンピュータプログラムの形で体系的にまとめられたものもある。配列アライメントと同一率の計算値については、レーザージーン(LASERGENE)バイオインフォマティクスコンピューティングパッケージ(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のディエヌエースター・インコーポレイテッド(DNASTAR Inc.))のメグアライン(Megalign)プログラムを利用して求めることができる。クラスタル(Clustal)法でのアライメント(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS.5:151〜153)をデフォルトのパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)で用いて配列のマルチプルアライメントを行った。クラスタル法を使う場合のペアワイズアライメントのデフォルトのパラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、DIAGONALS SAVED=5であった。
好適な核酸断片(本発明の単離されたポリヌクレオチド)は、本願明細書に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約70%同一であり、好ましくは少なくとも約80%同一であるポリペプチドをコードする。好ましい核酸断片は、本願明細書に記載のアミノ酸配列に対して約85%同一であるアミノ酸配列をコードする。さらに好ましい核酸断片は、本願明細書に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列をコードする。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸断片である。好適な核酸断片は、上記の相同性を持つだけでなく、一般には少なくとも50アミノ酸長、好ましくは少なくとも100アミノ酸、一層好ましくは少なくとも150アミノ酸、さらに一層好ましくは少なくとも200アミノ酸、最も好ましくは少なくとも250アミノ酸を含むポリペプチドをコードするものである。
「コドンの縮重」とは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響せずにヌクレオチド配列のバリエーションを可能にする遺伝暗号の性質を示す。したがって、本発明は、配列番号8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および46に示すような本件微生物のポリペプチドのアミノ酸配列の全体または大部分をコードするあらゆる核酸断片に関する。当業者であれば、特定のアミノ酸を表すヌクレオチドコドンを使用する特定の宿主細胞に見られる「コドンバイアス」について十分に理解していよう。したがって、宿主細胞での発現を改善した遺伝子を合成する際は、遺伝子のコドン使用頻度がその宿主細胞での好ましいコドン使用頻度に近付くように遺伝子を設計すると望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者間で周知の手順で化学的に合成されるオリゴヌクレオチドビルディングブロックからアセンブルすることが可能なものである。こうしたビルディングブロックを結合およびアニール処理して遺伝子セグメントを構成し、続いてこれを酵素的にアセンブルして完全な遺伝子を構築する。DNAの配列に関する「化学的に合成された」とは、コンポーネントであるヌクレオチドがin vitroでアセンブルされたものであることを意味する。この場合、十分に確立された手順を使ってDNAの化学合成を手作業で行ってもよいし、多様な市販の装置類のうちのいずれかを使って自動化学合成を行うことも可能である。したがって、ヌクレオチド配列の最適化を踏まえた最適な遺伝子発現に遺伝子の方を合わせ、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることが可能である。当業者であれば、使用されるコドンが宿主の好むコドンに偏っている場合に遺伝子発現が成功する尤度を知ることができよう。好ましいコドンについては、配列情報を得られる宿主細胞に由来する遺伝子についての調査を行い、その結果に基づいて判断することが可能である。
「遺伝子」とは、コード配列に先行(5’非コード配列)および後続(3’非コード配列)する制御配列をはじめとする特定のタンパク質を発現する核酸断片を意味する。「天然遺伝子」とは、それぞれに制御配列を持つ自然界に見られるような遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」とは、天然遺伝子ではなく、自然界では一緒に見られることのない制御配列とコード配列とを含んで成るあらゆる遺伝子を意味する。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する制御配列とコード配列とを含んで成るものであってもよいし、同一起源由来であるが自然界で見られる形とは違った形に配列された制御配列およびコード配列を含んで成るものであってもよい。「内在性遺伝子」とは、生物のゲノムにおいて正常な位置にある天然遺伝子を示す。「外来遺伝子」とは、宿主生物には通常は見られないが、遺伝子移行によって宿主生物に導入された遺伝子を意味する。外来遺伝子は、自然界には存在しない生物に挿入された天然遺伝子、あるいはキメラ遺伝子を含んで成ることができる。「トランスジーン」とは、形質転換法によってゲノムに導入された遺伝子のことである。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を示す。「好適な制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、コード配列内またはコード配列の下流(3’非コード配列)に位置し、関連のコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、あるいは翻訳に影響するヌクレオチド配列を示す。制御配列としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステム−ループ構造があげられる。
「プロモーター」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を示す。通常、コード配列はプロモーター配列の3’に位置する。プロモーターは、全体が天然遺伝子由来のものであってもよいし、自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素からなるものであってもよく、あるいは、合成DNAセグメントを含んで成るものであってもよい。プロモーターが変われば、異なる組織または細胞型の遺伝子の発現、異なる発達段階での遺伝子の発現、あるいは異なる環境条件または生理学的条件に応答しての遺伝子の発現が指示される場合があることは、当業者であれば理解できよう。ほとんどの細胞型でほぼ常に遺伝子を発現させるプロモーターは一般に「構成的プロモーター」と呼ばれている。さらに、多くの場合は制御配列の正確な境界が完全に画定されていないため、長さの異なるDNA断片が同じプロモーター活性を持つこともあると言われている。
「3’非コード配列」とは、コード配列の下流に位置するDNA配列を示し、ポリアデニル化認識配列ならびにmRNAのプロセシングまたは遺伝子発現に影響をおよぼすことのできる調節シグナルをコードする他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸領域の付加に影響することが特徴である。
「RNA転写物」とはDNA配列のRNAポリメラーゼ触媒転写によって生じる産物を示す。RNA転写物がDNA配列の完全に相補的なコピーである場合、これを一次転写物と呼び、一次転写物の転写後プロセシングで得られるRNA配列であれば成熟RNAと呼ぶ。「メッセンジャーRNA(mRNA)」とは、イントロンを持たず、細胞によるタンパク質への翻訳が可能なRNAを示す。「cDNA」とは、mRNAと相補であり、mRNAに由来する二本鎖DNAを示す。「センス」RNAとは、mRNAを含み、細胞によるタンパク質への翻訳が可能なRNA転写物を示す。「アンチセンスRNA」とは、標的遺伝子の発現をブロックする標的の一次転写物またはmRNAの全体または一部に対して相補であるRNA転写物を示す(米国特許第5,107,065号、WO9928508号)。アンチセンスRNAの相補性は、5’非コード配列、3’非コード配列またはコード配列など、特定の遺伝子転写物のどの部分に対するものであってもよい。「機能的RNA」とは、翻訳はされないが、それでもなお細胞プロセスに対する影響力を持つ、アンチセンスRNA、リボザイムRNAまたは他のRNAを示す。
「作動的に結合された」という表現は、一方の機能が他方に影響するような形で1つの核酸断片上に核酸配列が会合した状態を示す。たとえばプロモーターであれば、コード配列の発現に影響をおよぼすことができる(すなわちそのコード配列がプロモーターの転写制御下にある)ときに、そのコード配列と作動的に結合されていると言う。コード配列は、センスまたはアンチセンスの向きで制御配列への作動的な結合が可能なものである。
本願明細書で使用する「発現」という用語は、本発明の核酸断片由来のセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を示す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を示すこともある。
「形質転換」とは、核酸断片が宿主生物のゲノムに移行し、遺伝的に安定した遺伝継承がなされることを示す。形質転換された核酸断片を含む宿主生物を「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換された」生物と呼ぶ。
「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」の各用語は、通常は環状二本鎖DNA分子の形で、細胞の中心的代謝の一部ではない遺伝子を持っていることの多い特別な染色体因子を示す。このような因子としては、あらゆるソースに由来する自己複製配列、ゲノム組込配列、ファージまたはヌクレオチド配列、線状または環状で一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAが可能であり、この場合、複数のヌクレオチド配列が連結または組換えられて、選択された遺伝子産物に対するプロモーター断片およびDNA配列を適切な3’未翻訳配列と共に細胞に導入できる独特の構成となっている。「形質転換カセット」とは、外来遺伝子を含み、外来遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を容易にする因子を有する特定のベクターを示す。「発現カセット」とは、外来遺伝子を含み、外来遺伝子に加えて外来宿主でその遺伝子の発現を増すことのできる因子を有する特定のベクターを示す。
「配列解析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の解析に役立つあらゆるコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを示す。「配列解析ソフトウェア」は市販のものであってもよいし、独自開発のものであってもよい。一般的な配列解析ソフトウェアとしては、GCGパッケージのプログラム(Wisconsin Package Version 9.0、ウィスコンシン州マディソン(Madison)のジェネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)(GCG))、ブラストピー(BLASTP)、ブラストエヌ(BLASTN)、ブラストエックス(BLASTX)(アルチュル(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990)、DNASTAR(ディエヌエースター・インコーポレイテッド(DNASTAR,Inc.)、1228 S.Park St. Madison,WI 53715 USA)ならびにスミス・ウォーターマンアルゴリズムを取り入れたFASTAプログラム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)、Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994)、Meeting Date 1992、111〜20、編集者(ら):スハイ・サンドル(Suhai,Sandor)、出版社:ニューヨーク州ニューヨーク、プレナム(Plenum))があげられるが、これに限定されるものではない。本願の内容に関してだけ言えば、配列解析ソフトウェアを解析に利用する場合、特に明記しない限り、その解析結果は引用したプログラムの「デフォルト値」でのものとなる点は理解できよう。本願明細書において使用する「デフォルト値」とは、ソフトウェアを最初に初期化したときに最初からロードされるあらゆる値またはパラメータの組を意味するものとする。
「シグネチャ配列(signature sequence)」という用語は、進化的に関連のあるタンパク質のアライメントされた配列に沿って特定の位置で保存される一組のアミノ酸を意味する。相同なタンパク質間で他の位置にあるアミノ酸が変わる可能性はあるが、特定の位置で高度に保存されたアミノ酸は、その構造、タンパク質の安定性または活性に不可欠なアミノ酸を示す。これらのアミノ酸は、あるファミリのタンパク質相同体のアライメントされた配列での保存の度合いが高いことで同定されるため、これを識別子すなわち「シグネチャ(signature)」として使用し、新たに求められた配列を持つタンパク質が過去に同定されたタンパク質ファミリに属するものであるか否かを判断することができる。本発明のシグネチャ配列を、配列番号47のp1〜p74と、配列番号48のp1〜p76と、配列番号49のp1〜p41とで構成されるシグネチャ配列を示す図6に具体的にあげておく。
本願明細書で利用する標準的な組換えDNAおよび分子クローニング法は従来技術において周知のものであり、サムブルック・ジェー(Sambrook,J.)、フリッチ・イー・エフ(Fritsch,E.F.)およびマニアティス・ティ(Maniatis,T.)著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー出版局(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)(1989)(以下、「マニアティス」とする)およびシルハビー・ティ・ジェー(Silhavy,T.J.)、ベンナン・エム・エル(Bennan,M.L.)およびエンキスト・エル・ダブリュ(Enquist,L.W.)著、Experiments with Gene Fusions、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・コールド出版局スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor Laboratory Cold Press Spring Harbor)、NY(1984)ならびにオースベル・エフ・エム(Ausubel,F.M.)ら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience出版(1987)によって説明されている。
バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ活性を持つ微生物の単離
バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ活性を持つ微生物はさまざまなソースから単離できるものである。好適なソースとしては、工業廃棄物流、汚染された工場用地および廃棄物流処理施設の土壌があげられる。本発明のバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ含有微生物については、廃水処理プラントの活性汚泥から単離した。
少なくとも1種のケトン基質を併用して好適な成長培地でインキュベーションを行うことで、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ活性を持つ微生物を含有する可能性のある試料を富化することができる。本発明で使用するのに適したケトン基質としては、一般式
Figure 2005512514
(式中、RおよびRは独立に、置換または未置換のフェニル、置換または未置換のアルキル、あるいは置換または未置換のアルケニル、あるいは置換または未置換のアルキリデンから選択される)で表されるケトテルペンおよび環状ケトンがあげられる。これらの化合物は合成物であっても天然の二次代謝物であってもよい。
特に有用なケトン基質としては、ノーカンフォー、シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチル−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−シクロヘキサノン、シクロヘキサ−2−エン−1−オン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロペンタ−デカノン、2−トリデカノン、ジヘキシルケトン、2−フェニル−シクロヘキサノン、オキシンドール、レボグルコセノン、ジメチルスルホキシド、ジメチ−2−ピペリドン、フェニルボロン酸、β−イオノンがあげられるが、これに限定されるものではない。微生物の富化とスクリーニングに必要な成長培地および手法は従来技術において周知であり、その一例が、Manual of Methods for General Bacteriology(フィリップ・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、アール・ジー・イー・マレー(R.G.E.Murray)、ラルフ・エヌ・コスティロー(Ralph N.Costilow)、ユージーン・ダブリュ・ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス・エー・ウッド(Willis A.Wood)、ノエル・アール・クリーグ(Noel R.Krieg)およびジー・ブリッグズ・フィリップス(G.Briggs Phillips)編)、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントン・ディーシー(Washington,DC.)(1994))またはトーマス・ディ・ブラック(Thomas D.Brock)著、Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、シナウアー・アソシエーツ・インコーポレイテッド(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland)(1989)に記載されている。
バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ含有微生物のキャラクタリゼーション:
新規な細菌の分類学的同定には小サブユニットリボソームRNAまたはDNA(16S rDNA)の配列が頻繁に用いられる。今までのところ、7,000を超える細菌16S rDNA配列をすぐに利用することができる。16S rDNAの高度に保存された領域は、広範囲のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(またはRT−PCR)のプライミング部位となり、この手順の前に標的となる微生物に関する特定の情報を得る必要性がなくなる。このため、過去にキャラクタライズされた細菌を広範囲の細菌16S rDNA増幅、シーケンシング、系統発生学的分析によって同定できるようになる。
本発明は、16S rDNA分子の保存された領域に対応するプライマーを使用した16S rDNA増幅後に分類学的同定を行い(アマン・アール・アイ(Amann,R.I.)ら、Microbiol.Rev.59(1):143〜69(1995)、ケーン・エム・ディ(Kane,M.D.)ら、Appl.Environ.Microbiol.59:682〜686(1993))、続いてシーケンシングおよびブラスト(BLAST)分析(Basic Local Alignment Search Tool、アルチュル・エス・エフ(Altschul,S.F.)ら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1993)、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/も参照のこと)を実施することを基調とする、7種類の細菌の単離および同定について説明するものである。ブレビバクテリウム属、アルスロバクター属、アシネトバクター属、アシドボラクス属、ロドコッカス属の細菌との間の相同性が極めて高いものとして細菌株を同定した。
株AN12から得られる16S rRNAヌクレオチド塩基配列を公共のデータベースと比較すると、ロドコッカス属に属する細菌の16S rRNA遺伝子配列が最も類似した既知配列(98%相同)であることが分かる。
株CHXから得られる16S rRNAヌクレオチド塩基配列を公共のデータベースと比較すると、アシドボラクス属細菌の16S rRNA遺伝子配列が最も類似した既知配列(97%相同)であることが分かる。
株BP2から得られる16S rRNAヌクレオチド塩基配列を公共のデータベースと比較すると、アルスロバクター属細菌の16S rRNA遺伝子配列が最も類似した既知配列(99%相同)であることが分かる。株SE19から得られる16S rRNAヌクレオチド塩基配列を公共のデータベースと比較すると、アシネトバクター属細菌の16S rRNA遺伝子配列が最も類似した既知配列(99%相同)であることが分かる。
株phi1およびphi2から得られる16S rRNAヌクレオチド塩基配列を公共のデータベースと比較すると、ロドコッカス属に属する細菌の16S rRNA遺伝子配列が最も類似した既知配列(99%相同)であることが分かる。
バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ相同体の同定
本発明は、環状ケトンおよびケトテルペンを含んで成る好適なケトン基質を対応するラクトンまたはエステルに変換する能力を持つバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ遺伝子および遺伝子産物の例を提供するものである。たとえば、BVMOをコードする遺伝子を、アルスロバクター属(配列番号11)、ブレビバクテリウム属(配列番号13および15)、アシドボラクス属(配列番号17)、アシネトバクター属(配列番号19)、ロドコッカス属(配列番号7、9、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45)から単離した。
アルスロバクター sp.BP2 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が532アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約57%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
アシドボラクス sp.CHX chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が538アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約57%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス sp.phi1 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が542アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約55%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス sp.phi2 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が541アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約53%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN12 ORF8 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が439アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約37%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF9 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が518アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約44%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF10 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が541アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約64%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF11 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が462アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約65%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF12 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が523アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約45%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF13 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が493アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約55%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF14 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が539アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約51%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF15 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が649アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約39%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF16 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が494アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約43%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF17 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が499アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約53%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF18 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が493アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約44%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF19 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が541アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約54%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
ロドコッカス・エリスロポリスのAN1 ORF20 chnBのヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列を公共のデータベースと比較すると、スミス・ウォーターマンアライメントアルゴリズム(ダブリュ・アール・ピアソン(W.R.Pearson)(上掲))で、最も類似した既知配列が545アミノ酸長にわたって本願明細書に記載のアミノ酸配列と約42%同一の遠位距離からの範囲にあることが分かる。好ましいアミノ酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、なお一層好ましいアミノ酸断片は少なくとも約80%〜90%同一である。最も好ましいのは、本願明細書に記載のアミノ酸断片と少なくとも95%同一の核酸断片である。同様に、本件ORFに対応する好ましいchnBコード核酸配列は、活性タンパク質をコードし、本願明細書に記載の核酸配列と少なくとも80%同一の核酸配列である。なお一層好ましいchnB核酸断片は、本願明細書に記載の配列と少なくとも90%同一のものである。最も好ましいのは、本願明細書に記載の核酸断片と少なくとも95%同一のchnB核酸断片である。
上述した配列の同定と遺伝子産物の活性の生化学的キャラクタリゼーションだけでなく、本願出願人らは、これらのモノオキシゲナーゼタンパク質の多くが同様の活性を持つ他のタンパク質の同定に利用できる共通の指標となるシグネチャ配列を持つことを発見した。たとえば、本願モノオキシゲナーゼを配列アライメントに基づいて大きく3つのファミリにグループ分けすることができる。本願明細書ではBVファミリ1と呼ぶ第1のグループは、図7に示すモノオキシゲナーゼ配列で構成され、配列番号47に記載のコンセンサス配列を生成する。図7から明らかなように、図7の配列全体にわたって74位に完全に保存されたアミノ酸のグループがある。これらの位置を図6にさらに正確に示し、p1〜p74で表す。
同様に、BVファミリ2は、図8に示すモノオキシゲナーゼ配列で構成され、配列番号48に記載のコンセンサス配列を生成する。BVファミリ2のモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列(seqeunce)を図6に位置p1〜p76で示す。BVファミリ3のモノオキシゲナーゼは図9に示すものであり、配列番号49に記載のコンセンサス配列を生成し、図6に位置p1〜p41で示すシグネチャ配列を有する。
ファミリによって配列に違いこそあれ、これらのファミリに含まれる個々のメンバはいずれもモノオキシゲナーゼ活性を持つことが明らかになっている。したがって、ポリペプチドが図6〜図9に定義するようなシグネチャ配列を含む場合、そのポリペプチドはモノオキシゲナーゼ活性を持つであろうと思われる。よって、
(a)配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも80%が完全に保存されているポリペプチドをコードする核酸断片でゲノムライブラリを探索し、
(b)ステップ(a)の核酸断片とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
(c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んで成るゲノム断片の配列を決定することを含んで成り、
配列決定されたゲノム断片がバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする遺伝子の同定方法を提供することは本発明の範囲内である。
好ましい実施形態において、本発明は、配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも100%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも100%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも100%が完全に保存されている場合に上記の方法を提供するものである。
配列依存性プロトコールに準じて、あるいは本願明細書に開示のシグネチャ配列に対するアライメントに従って、同様の基質特異性を持つ他のバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ遺伝子を同定し、単離できるかもしれないことは理解できよう。
配列依存性プロトコールを利用した相同遺伝子の単離については従来技術において周知である。配列依存性プロトコールの例としては、核酸増幅技術(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マリス(Mullis)ら、米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、タボル・エス(Tabor,S.)ら、Proc.Acad.Sci.USA 82:1074(1985))あるいは鎖置換増幅(SDA、ウォーカー(Walker)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、89:392(1992))のさまざまな用途にみられるような核酸ハイブリダイゼーション法ならびにDNAおよびRNAの増幅法があげられるが、これに限定されるものではない。
たとえば、配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45に示す核酸断片のうちの全部または一部を利用して、本バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼと同様のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子を直接単離したり、あるいは当業者間で周知の方法を使って所望の細菌からライブラリをスクリーニングするためのDNAハイブリダイゼーションプローブとして単離することが可能であった。従来技術において周知の方法(マニアティス(Maniatis)(上掲))で、本件核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブを設計し、合成することができる。さらに、ランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーションまたは末端標識法などの当業者間で周知の方法で、完全配列を使ってDNAプローブを直接合成したり、あるいは利用可能なin vitro転写系を使ってRNAプローブを直接合成したりすることも可能である。さらに、特定のプライマーを設計し、これを利用して本配列の一部または全長を増幅することが可能である。得られる増幅産物については、増幅反応時に直接標識してもよいし、増幅反応後に標識し、適切なストリンジェンシーの条件下で全長DNA断片を単離するためのプローブとして利用してもよい。
PCRタイプのプライマーによる増幅手法では、プライマーの配列がそれぞれ違っていて互いに相補ではないのが普通である。所望の試験条件次第では、標的核酸の効率的かつ忠実な複製を得られるようにプライマーの配列を設計しなければならない。PCRプライマーの設計方法は一般的なものであり、従来技術において周知である。(テイン(Thein)およびウァランス(Wallace)、「The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders」、Human Genetic Diseases: A Practical Approach、ケー・イー・デービス(K.E.Davis)編、(1986)第33〜50ページ、バージニア州ヘーンドン(Herndon)、アイアールエル・プレス(IRL Press)、リクリーク・ダブリュ(Rychlik,W.)(1993)、ホワイト・ビー・エー(White,B.A.)(編)、Methods in Molecular Biology、第15巻、第31〜39ページ、PCR Protocols: Current Methods and Applications。ニュージャージー州トトワ(Totowa)、ヒューマニア・プレス・インコーポレイテッド(Humania Press,Inc.))。
通常、PCRプライマーを利用してDNAまたはRNAから相同遺伝子をコードする長めの核酸断片を増幅することができる。しかしながら、一方のプライマーの配列を本件核酸断片由来のものとし、他方のプライマーの配列で微生物遺伝子をコードするmRNA前駆体の3’末端に対するポリアデニル酸領域の存在を利用して、クローニングされた核酸断片のライブラリでポリメラーゼ連鎖反応を行うようにしてもよい。あるいは、第2のプライマーの配列をクローニングベクター由来の配列に基づくものとしても構わない。たとえば、当業者であれば、RACEプロトコール(フローマン(Frohman)ら、PNAS USA 85:8998(1988))に従ってPCRでcDNAを生成し、転写物中の一点と3’末端または5’末端との間の領域のコピーを増幅することができる。本件配列から、3’方向のプライマーと5’方向のプライマーとを設計することが可能である。市販の3’RACE系または5’RACE系(BRL)を利用すれば、特定の3’または5’cDNA断片を単離することができる(オハラ(Ohara)ら、PNAS USA 86:5673(1989)、ロウ(Loh)ら、Science 243:217(1989))。
したがって、本発明は、(a)配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45からなる群から選択される配列の一部に対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、(b)ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを使用してクローニングベクターに含まれるインサートを増幅することを含んで成り、増幅されたインサートがバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードする核酸分子の同定方法を提供するものである。
あるいは、本件配列を相同体同定用のハイブリダイゼーション試薬として利用してもよい。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本となる構成要素としては、プローブ、該当する遺伝子または遺伝子断片を含むのではないかと思われる試料、特異的ハイブリダイゼーション法があげられる。本発明のプローブの典型は、検出対象となる核酸配列に対して相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは検出対象となる核酸配列に「ハイブリダイズ可能」なものである。プローブ長については5塩基から数万塩基まで可変であり、その長さは実施する具体的な試験に応じて決まる。一般に、プローブ長を15塩基から約30塩基にするのが適している。検出対象となる核酸配列と相補的でなければならないのは、プローブ分子の一部のみである。また、プローブと標的配列との間の相補性も完全である必要はない。ハイブリダイズされた領域に含まれる塩基の画分の中には正しい相補的塩基とペアにならないものが生じるが、不完全に相補的な分子間であってもハイブリダイゼーションは起こるのである。
ハイブリダイゼーション方法は十分に定義されている。一般に、核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でプローブと試料とを混合しておかなければならない。これには、適切な濃度および温度条件下にて、無機塩または有機塩の存在下でプローブと試料とを接触させる必要がある。このとき、プローブと試料の核酸との間で生じ得るハイブリダイゼーションを起こすことができる程度に十分な時間、プローブと試料の核酸とを接触させておかなければならない。ハイブリダイゼーションが起こるまでの時間は、混合物中におけるプローブまたは標的の濃度によって決まる。プローブまたは標的の濃度が高ければ高いほど、ハイブリダイゼーションのインキュベーションに必要な時間は短くなる。任意にカオトロピック剤を加えてもよい。カオトロピック剤は、ヌクレアーゼ活性を阻害することで核酸を安定させる。さらに、カオトロピック剤を用いると、短いオリゴヌクレオチドプローブを使って感受性が高くストリンジェントなハイブリダイゼーションを室温にて行うことができるようになる[ヴァン・ネス(Van Ness)およびチェン(Chen)(1991)、Nucl.Acids Res.19:5143〜5151]。好適なカオトロピック剤としては、特に、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム(lithium tetrachloroacetate)、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム(rubidium tetrachloroacetate)、ヨウ化カリウム、トリフルオロ酢酸セシウムがあげられる。このカオトロピック剤については、一般に最終濃度を約3Mとして含有させる。必要があれば、ハイブリダイゼーション混合物に、一般には30〜50%(v/v)でホルムアミドを加えることもできる。
さまざまなハイブリダイゼーション溶液を用いることが可能である。これらの溶液は一般に、約20から60容量%、好ましくは30容量%の極性有機溶媒を含んで成る。通常のハイブリダイゼーション溶液では、約30〜50%v/vのホルムアミドと、約0.15から1Mの塩化ナトリウムと、クエン酸ナトリウム、Tris−HCl、PIPESまたはHEPES(pH範囲約6〜9)などの約0.05から0.1Mの緩衝液と、ドデシル硫酸ナトリウムなどの約0.05から0.2%の洗浄剤あるいは、0.5〜20mMのEDTA、FICOLL(ファルマシア・インコーポレイテッド(Pharmacia,Inc.))(約300〜500キロダルトン)、ポリビニルピロリドン(約250〜500kdal)、血清アルブミンが用いられている。また、一般的なハイブリダイゼーション溶液には、約0.1から5mg/mLの未標識キャリア核酸と、ウシ胸腺DNAまたはサケ精子DNAなどの断片化した核DNA、あるいは酵母RNAなどが含まれ、任意に約0.5から2%wt./vol.のグリシンも含まれる。また、ポリエチレングリコールなどのさまざまな極性・水溶性または膨潤性の薬剤を含む体積排除剤、ポリアクリレートまたはポリメチルアクリレートなどのアニオンポリマー、デキストラン硫酸などのアニオンサッカライドポリマー(anionic saccharidic polymer)といった他の添加剤を含有させてもよい。
したがって、本発明は、(a)配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43および45からなる群から選択される核酸分子の一部をプローブとしてゲノムライブラリを探索し、(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSという条件下で(i)の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、(c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んで成るゲノム断片の配列を決定することを含んで成り、配列決定されたゲノム断片がバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードする核酸分子を同定するための方法を提供するものである。
組換え発現−微生物
本BVMO配列の遺伝子および遺伝子産物を微生物宿主細胞に導入することができる。本件遺伝子および核酸分子を発現させるのに好ましい宿主細胞は、真菌または細菌ファミリ内で広く見られ、温度、pH値、溶媒耐性の点で広範囲にわたって成長する微生物宿主である。転写がゆえに、翻訳およびタンパク質生合成装置は細胞原料とは無関係に同じであり、細胞バイオマスの生成に用いる炭素原料とは無関係に機能的遺伝子が発現される。大規模な微生物成長および機能的遺伝子発現で広範囲にわたる単純または複雑な炭水化物、有機酸およびアルコール、メタンなどの飽和炭化水素、あるいは光合成宿主または化学合成独立栄養宿主の場合は二酸化炭素を利用することができる。しかしながら、特定の成長条件によって機能的遺伝子を調節、阻止あるいは抑制するようにしてもよく、こうした成長条件としては、窒素、亜リン酸、硫黄、酸素、炭素または小さな無機イオンをはじめとするあらゆる微量栄養素の形態および量があげられる。また、培地に添加され、一般には栄養素またはエネルギ源とはみなされない特定の調節分子の有無によって機能的遺伝子を調節してもよい。成長速度も遺伝子発現における重要な調節因子になることがある。好適な宿主株の例としては、アスペルギルス属、トリコデルマ属(Trichoderma)、酵母菌属、ピチア属、カンジダ属、ハンゼヌラ属などの真菌種または酵母種、あるいは、プロテオバクテリアおよび放線菌のメンバなどの細菌種ならびに、特定のロドコッカス属、アシネトバクター属、アルスロバクター属、マイコバクテリア属、ノカルジア属、ブレビバクテリウム属、アシドボラクス属、バチルス属、ストレプトマイセス属、エシェリキア属、サルモネラ属、シュードモナス属、アスペルギルス属、酵母菌属、ピチア属、カンジダ属、コルニエバクテリウム属、ハンゼヌラ属があげられるが、これに限定されるものではない。
本発明においてモノオキシゲナーゼの宿主として特に適しているのは、プロテオバクテリアおよび放線菌のメンバである。プロテオバクテリアは生理学的に異なる微生物群をなし、5つの亜門(α、β、γ、ε、δ)がある(マディガン(Madigan)ら、Brock Biology of Microorganisms、第8版、プレンティス・ホール(Prentice Hall)、ニュージャージー州アッパーサドルリバー(UpperSaddle River)(1997))。プロテオバクテリアの5つの亜門にはいずれも有機化合物を炭素源やエネルギとして利用する微生物が含まれる。本発明に適するプロテオバクテリアのメンバとしては、バークホルデリア属、アルカリゲネス属、シュードモナス属、スフィンゴモナス属、パンドレア属、デルフチア属、コマモナス属があげられるが、これに限定されるものではない。
外来タンパク質の発現を高いレベルで指示する制御配列を含む微生物の発現系および発現ベクターが当業者間で周知である。このうちどれを使って本配列の遺伝子産物生成用のキメラ遺伝子を構築しても構わない。これらのキメラ遺伝子を形質転換によって適当な微生物に導入し、酵素を高いレベルで発現させることができる。
好適な宿主細胞の形質転換に役立つベクターまたはカセットは従来技術において周知である。一般に、このベクターまたはカセットには、関連遺伝子の転写および翻訳を指示する配列、選択可能なマーカー、自己複製または染色体組み込みを可能にする配列が含まれる。好適なベクターは、転写開始制御部を含む遺伝子の5’の領域と転写終結を制御するDNA断片の3’の領域とを含んで成る。これは両方の制御領域が形質転換宿主細胞と相同遺伝子に由来するものである場合に最も好ましいが、このような制御領域が生産宿主として選択した特定の種に固有の遺伝子に由来するものでなくてもよいことは理解できよう。
所望の宿主細胞での本ORFの発現を駆動するのに役立つ開始制御領域またはプロモーターには多くのものがあり、当業者には馴染みのあるものである。これらの遺伝子を駆動できるほとんどすべてのプロモーターが本発明に適しており、その一例として、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(酵母菌属での発現に有用)、AOX1(ピチア属での発現に有用)、lac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tac、trc(エシェリキア・コリ(Escherichia coli)での発現に有用)ならびに、バシラス属での発現に有用なamy、apr、nprプロモーターおよびさまざまなファージプロモーターがあげられるが、これに限定されるものではない。
終結制御領域も好ましい宿主に固有のさまざまな遺伝子から誘導することができる。場合により、終結部位が必要ないこともあるが、終結部位を形が最も好ましい。
組換え発現−植物
本発明のBVMOをコードする配列を利用して、微生物のタンパク質を発現する能力を持つトランスジェニック植物を作出することができる。好ましい植物宿主は、本件タンパク質の高い産生レベルの土台となるあらゆる種類の植物である。
好適な緑色植物としては、ダイズ、ナタネ(ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラッシカ・カンペストリス(B.campestris))、ヒマワリ(ヘリアンサス・アヌース(Helianthus annus))、ワタ(ゴシッピウム・ヒルスーツム(Gossypium hirsutum))、トウモロコシ、タバコ(ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum))、アルファルファ(メディカゴ・サティバ(Medicago sativa))、コムギ(トリチカム sp(Triticum sp))、オオムギ(ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare))、オーツムギ(アベナ・サティバ・エル(Avena sativa,L))、モロコシ(ソルガム・バイカラー(Sorghum bicolor))、コメ(オリザ・サティバ(Oryza sativa))、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブラナ科の野菜類(ブロッコリ、カリフラワー、キャベツ、パースニップなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、芝種子、サトウダイコン、サトウキビ、インゲンマメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、牧草があげられるが、これに限定されるものではない。藻類の種としては、スピルリナ属(Spirulina)およびドゥナリエラ(Dunalliela)などの商業上重要な宿主があげられるが、これに限定されるものではない。所望の組織において所望の発育段階で遺伝子の発現を指示できるプロモーターにコード領域が作動的に結合されたキメラ遺伝子をまず作製することで、本発明のタンパク質を過剰発現させることができる。便宜上の理由で、キメラ遺伝子が同一の遺伝子に由来するプロモーター配列と翻訳リーダー配列を含んで成ることがある。転写終結シグナルをコードする3’非コード配列もなければならない。さらに、本件キメラ遺伝子は、遺伝子発現を容易にするためにイントロンを1つまたはそれ以上含んで成るものであってもよい。
このキメラ遺伝子配列では、コード領域の発現を誘導できるどのようなプロモーターとターミネーターとをどのように組み合わせて用いてもよい。プロモーターおよびターミネーターのいくつかの好適な例として、ノパリン合成酵素(nos)遺伝子、オクトピン合成酵素(ocs)遺伝子、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)遺伝子から得られるものがあげられる。使用できる効率的な植物プロモーターのタイプのひとつに高等植物のプロモーターがある。このようなプロモーターは、遺伝子配列または本発明と作動的に結合された際に、本願遺伝子産物の発現を促進できるものでなければならない。本発明において使用できる高等植物のプロモーターとしては、ダイズからの例から得られるリブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(ss)のプロモーター(ベリー・ロウ(Berry−Lowe)ら、J.Molecular and App.Gen.1:483〜498、1982))ならびにクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターがあげられる。これらの2種類のプロモーターは植物細胞において光誘導されることが知られている(たとえば、Genetic Engineering of Plants、an Agricultural Perspective、エー・キャッシュモア(A.Cashmore)、プレナム(Plenum)、ニューヨーク(1983)、第29〜38ページ、コルッチ・ジー(Coruzzi,G.)ら、The Journal of Biological Chemistry、258:1399(1983)、ダンスミア・ピー(Dunsmuir,P.)ら、Journal of Molecular and Applied Genetics、2:285(1983)を参照のこと)。
このようにして、本件キメラ遺伝子を含んで成るプラスミドベクターを作製することができる。どのプラスミドベクターを選択するかは、宿主植物の形質転換に使用する方法によって決まる。当業者であれば、キメラ遺伝子を含む宿主細胞を形質転換し、選択し、増殖させる過程を成功させるにはプラスミドベクターにどのような遺伝因子を存在させておく必要があるか分かるであろう。また、当業者であれば、互いに独立した異なる形質転換イベントでは得られる発現のレベルやパターンが異なる(ジョーンズ(Jones)ら、EMBO J.4:2411〜2418(1985)、デ・アルメイダ(De Almeida)ら、Mol.Gen.Genetics 218:78〜86(1989))ため、所望の発現レベルとパターンとを呈する系統を得るには複数のイベントをスクリーニングしなければならないことも理解できよう。このようなスクリーニングについては、DNAブロットのサザン分析(サザン(Southern)、J.Mol.Biol.98:503(1975))によって行うことができる。mRNA発現のノーザン分析(クロックツェック(Kroczek)、J.Chromatogr.Biomed.Appl.、618(1〜2):133〜145(1993))、タンパク質発現のウェスタン分析または表現型の分析。
用途によっては、本件タンパク質を異なる細胞区画に向けると有用である。したがって、コード配列を変更し、トランジット配列(キーグストラ・ケー(Keegstra,K.)、Cell 56:247〜253(1989))シグナル配列、あるいは、小胞体局在化シグナルをコードする配列(クリスピールズ・ジェー・ジェー(Chrispeels,J.J.)、Ann.Rev.Plant Phys.Plant Mol.Biol.42:21〜53(1991))または核局在化シグナルをコードする配列(ライケル・エヌ(Raikhel,N.)、Plant Phys.100:1627〜1632(1992))などの適当な細胞内標的配列を追加および/またはすでに存在する標的配列を除去した状態で酵素をコードすることで、上述したキメラ遺伝子をさらに補うことができると思われる。上記にて引用した参考文献にはそれぞれの例があげられているが、この一覧は網羅的なものではなく、本発明において利用できる有用な他の標的シグナルが将来的に発見される可能性もある。
ケトン基質からラクトンおよびエステルを生成するプロセス
組換え生物で適切な核酸配列が発現されれば、この生物を対応するエステルの生成に適したケトン基質と接触させることができる。本発明のバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼは、環状ケトンおよびケトテルペンを含んで成るさまざまなケトン基質に作用し、対応するラクトンまたはエステルを生成する。エステルへの変換に適したケトン基質は一般式
Figure 2005512514
(式中、RおよびRは独立に、置換または未置換のフェニル、置換または未置換のアルキル、あるいは置換または未置換のアルケニル、あるいは置換または未置換のアルキリデンから選択される)で定義される。特に有用なケトン基質としては、ノーカンフォー、シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチル−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−シクロヘキサノン、シクロヘキサ−2−エン−1−オン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロペンタ−デカノン、2−トリデカノン、ジヘキシルケトン、2−フェニル−シクロヘキサノン、オキシンドール、レボグルコセノン、ジメチルスルホキシド、ジメチ−2−ピペリドン、フェニルボロン酸、β−イオノンがあげられるが、これに限定されるものではない。
あるいは、ケトン基質を対応するエステルに変える転換に本発明の酵素をin vitroで利用できると思われる。モノオキシゲナーゼ酵素については、組換え的に生成または天然ソースから単離し、精製し、pHおよび温度が好適な条件下で適当な基質と反応させることができる。
ラクトンまたはエステルの大規模な量産が望まれる場合、さまざまな培養法を適用することができる。たとえば、バッチ培養法または連続培養法のどちらでも組換え微生物宿主からの大規模生産品を製造することができる。
従来からのバッチ培養法は、培地の組成物を培養開始時に仕込み、培養工程の途中で人工的に変化させることのない閉じた系のひとつである。このため、培養工程開始時に所望の生物または複数の生物を培地に播種し、系に何も加えずに成長または代謝活性を引き起こさせる。しかしながら、一般に「バッチ」培養では炭素源の追加という意味ではまとめて処理が行われるため、pHおよび酸素濃度などの要因を制御しようとする試みがなされることが多い。バッチ系では、培養を停止させるまで系の代謝物とバイオマス組成が絶えず変化する。バッチ培養では、細胞は動きのない誘導期から大きく成長する対数期へと移り、最後に静止期において成長率が低下または停止する。未処理の状態では、静止期の細胞は最終的には死んでしまう。系によっては、最終生成物または中間体の大半が対数期の細胞によって作られることが多い。他の系では静止期または対数増殖期後に生産品を得ることが可能である。
標準的なバッチ系のバリエーションのひとつにFed−バッチ系がある。Fed−バッチ培養プロセスも本発明において好適であり、培養が進むにつれて基質を増やしながら加えること以外は一般的なバッチ系で構成される。Fed−バッチ系は、カタボライト抑制によって細胞の代謝が阻害されやすい場合や、培地に含まれる基質の量を制限するのが望ましい場合に有用なものである。Fed−バッチ系で実際の基質濃度を測定するのは困難であるため、pH、溶存酸素、COなどの廃ガスの分圧といった測定可能な要因の変化に基づいて濃度を推測する。バッチ培養法およびFed−バッチ培養法は一般的かつ従来技術において周知のものであり、その一例が、本願明細書に援用するトーマス・ディ・ブラック(Thomas D.Brock)、Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版(1989)シナウアー・アソシエーツ・インコーポレイテッド(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland)またはデシュパンド・ムカンド・ヴイ(Deshpande,Mukund V.)、Appl.Biochem.Biotechnol.、36、227(1992)に記載されている。
連続培養を用いて本発明のラクトンおよびエステルを量産することもできる。連続培養は、処理時に一定の培養液を連続してバイオリアクターに加えると同時に、これと同じ量の条件培地を取り出す開いた系のひとつである。連続培養では細胞が主に成長の対数期にある一定の高い液相密度に細胞を維持するのが普通である。あるいは、炭素と栄養素とが連続的に加えられる固定化細胞を利用し、価値のある生成物、副生物または廃棄物を細胞塊から連続的に取り出す連続培養を行うようにしても構わない。細胞の固定化については、天然および/または合成の材料からなる広い範囲の固体担体を使って行うことができる。
連続培養または半連続培養では、細胞の成長または最終生成物の濃度に影響する要因をひとつまたはいくつでも加減することができる。たとえば、ひとつの方法では、炭素源などの限られた栄養素または窒素濃度を一定率に維持し、他のすべてのパラメータを加減できるようにする。他の系では、培地の混濁度で測定される細胞濃度を一定に保ちながら、成長に影響する多数の要因を連続して変化させることができる。連続系は定常状態の成長条件を維持することを目指すものであるため、培養時における細胞の成長率と培地除去による細胞喪失とのバランスを保つようにしなければならない。連続発酵プロセスで栄養素と成長因子とを調節する方法ならびに、生成物の形成速度を最大限にするための手法は工業用微生物学の従来技術において周知であり、ブラック(Brock)(上掲)によってさまざまな方法が詳細に説明されている。
活性を亢進させたバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ
本願BVMO配列を使用して、活性を亢進または変化させた遺伝子産物を生成できると考えられる。天然遺伝子の配列を突然変異させ、活性を変化または亢進させた遺伝子産物を生成する方法にはさまざまなものが周知であり、その一例として、error prone PCR(メルニコフ(Melnikov)ら、Nucleic Acids Research、(1999年2月15日)第27巻、No.4、第1056〜1062ページ)、部位特異的突然変異誘発(クームス(Coombs)ら、Proteins(1998)、259〜311、1プレート、編集者(ら):アンゲレッチ(Angeletti)、ルース・オーグ(Ruth Hogue)。出版社:カリフォルニア州サン・ディエゴ(San Diego)、アカデミック(Academic))、「遺伝子シャッフリング」(本願明細書に援用する、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,837,458号)があげられるが、これに限定されるものではない。
遺伝子シャッフリングの方法は、実現しやすく、突然変異誘発率が高く、かつスクリーニングが容易であることから、特に魅力的である。遺伝子シャッフリングの方法では、該当する遺伝子と類似のDNA領域と異なるDNA領域からなる別の集合が存在する状態で該当する遺伝子を制限エンドヌクレアーゼで特定サイズの断片に切断する必要がある。こうした断片のプールを変性させた後、再アニールして変異遺伝子を作り出す。この変異遺伝子の活性の変化をスクリーニングする。
本発明のBVMO配列については、この方法を使って変異させ、活性の変化または亢進をスクリーニングすることができる。この配列は二本鎖でなければならず、50bpから10kbのさまざまな長さのものとすることが可能である。この配列を従来技術において周知(マニアティス(Maniatis)(上掲))の制限エンドヌクレアーゼでランダムに消化し、約10bpから1000bpの範囲の断片を得る。本件微生物配列だけでなく、微生物配列の全部または一部とハイブリダイズ可能な断片の集合を加えてもよい。同様に、本件配列とハイブリダイズできない断片の集合を加えてもよい。一般に、こうして断片の集合を追加する場合は、全核酸に対して重量で約10から20倍過剰になるようにして行う。通常、このプロセスを続けると、混合物中の異なる特異的核酸断片は約100から約1000になる。ランダムな核酸断片の混合集合を変性させて一本鎖核酸断片を形成した後、再アニール処理をほどこす。他の一本鎖核酸断片と相同な領域を持つ一本鎖核酸断片のみが再アニールされる。このとき、ランダムな核酸断片を加熱によって変性させることができる。当業者であれば、二本鎖核酸を完全に変性させるのに必要な条件を決めることができよう。好ましくは、温度を80℃から100℃とする。また、核酸断片を冷却によって再アニールさせてもよい。好ましくは、温度を20℃から75℃とする。ポリエチレングリコール(「PEG」)または塩を加えれば再生を加速することが可能である。好適な塩濃度については0mMから200mMの範囲とすることができる。次に、アニール後の核酸断片を核酸ポリメラーゼおよびdNTP(すなわち、dATP、dCTP、dGTP、dTTP)の存在下でインキュベートする。この核酸ポリメラーゼは、クレノー断片やTaqポリメラーゼであってもよいし、従来技術において周知の他のどのようなDNAポリメラーゼであってもよい。ポリメラーゼをランダム核酸断片に加える作業は、アニーリングの前に行ってもよいし、アニーリングと同時またはアニーリング後に行ってもよい。上記のポリメラーゼの存在下における変性、再生、インキュベーションのサイクルを、所望の回数繰り返す。好ましくは、サイクルを2から50回繰り返し、一層好ましくは、シーケンスを10から40回繰り返す。このようにして得られる核酸は、約50bpから約100kbの範囲の大きめの二本鎖ポリヌクレオチドであり、標準的なクローニングおよび発現のプロトコールを使って発現および活性の変化についてのスクリーニングが可能なものである。(マナティス(Manatis)(上掲))。
さらに、遺伝子シャッフリング(エキソンシャッフリング)法(ニクソン(Nixon)ら、PNAS、94:1069〜1073(1997))を用いる機能ドメインの融合によってハイブリッドタンパク質をアセンブルすることが可能である。また、本件遺伝子の機能ドメインを他の遺伝子の機能ドメインと組み合わせ、所望の触媒機能を持つ新規な酵素を作り出すことが可能である。PCRオーバーラップ伸長法を用いてハイブリッド酵素を構築し、当業者間で周知の方法でさまざまな発現ベクターにクローニングすることができる。
以下の実施例において本発明をさらに定義する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものではあるが、例示目的であげたものにすぎない点を理解されたい。当業者であれば、上記の説明および以下の実施例から本発明に不可欠な特徴を把握することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更および改変を施してこれをさまざまな用途および条件に合わせることができる。
一般法
実施例で用いる標準的な組換えDNAおよび分子クローニング法は従来技術において周知であり、サムブルック・ジェー(Sambrook,J.)、フリッチ・イー・エフ(Fritsch,E.F.)およびマニアティス・ティ(Maniatis,T.)著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)(1989)(マニアティス(Maniatis))およびティ・ジェー・シルハヴィ(T.J.Silhavy)、エム・エル・ベンナン(M.L.Bennan)およびエル・ダブリュ・エンキスト(L.W.Enquist)著、Experiments with Gene Fusions、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)(1984)ならびにオースベル・エフ・エム(Ausubel,F.M.)ら、Current Protocols in Molecular Biology、グリーン・パブリッシング・アソシエーツ・アンド・ウィレイ−インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience)出版(1987)に記載されている。
細菌培養の管理と成長に適した材料および方法が従来技術において周知である。以下の実施例において使用するのに適した手法が、Manual of Methods for General Bacteriology(フィリップ・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、アール・ジー・イー・マレー(R.G.E.Murray)、ラルフ・エヌ・コスティロー(Ralph N.Costilow)、ユージーン・ダブリュ・ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス・エー・ウッド(Willis A.Wood)、ノエル・アール・クリーグ(Noel R.Krieg)およびジー・ブリッグズ・フィリップス(G.Briggs Phillips)編、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントン・ディーシー(Washington,DC.)(1994))またはトーマス・ディ・ブラック(Thomas D.Brock)著、Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、シナウアー・アソシエーツ・インコーポレイテッド(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland)(1989)に記載されている。特に明記しない限り、細菌細胞の成長および管理に用いる試薬、制限酵素、材料はいずれも、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))、ディフコ・ラボラトリーズ(DIFCO Laboratories)(ミシガン州デトロイト(Detroit))、ギブコ/BRL(メリーランド州ゲイザースバーグ(Gaithersburg))またはシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))から入手したものである。
細菌株およびプラスミド: 工業廃水処理施設から入手した活性汚泥を富化したものから、ロドコッカス・エリスロポリスのAN12、ブレビバクテリウム sp.HCU、アルスロバクター sp.BP2、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アシドボラクス sp.CHX、アシネトバクター sp.SE19を単離した。エシェリキア・コリ(E.coli)DH5αおよびDH10Bのマックス・エフィシエンシー(Max Efficiency)コンピテント細胞をギブコ/BRL(メリーランド州ゲイザースバーグ(Gaithersburg))から購入した。発現プラスミドpQE30をキアゲン(Qiagen)(カリフォルニア州バレンシア(Valencia))から購入し、一方、クローニングベクターpCR2.1および発現ベクターpTrc/His2−Topoについてはインビトロゲン(Invitrogen)(カリフォルニア州サン・ディエゴ(San Diego))から購入した。
16S rDNA分子の保存された領域に対応するプライマーを使用し、染色体DNAから16S rDNAをPCR増幅して、ロドコッカス・エリスロポリスのAN12、ブレビバクテリウム sp.HCU、アルスロバクター sp.BP2、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アシドボラクス sp.CHX、アシネトバクター sp.SE19の分類学的同定を行った(表2)。これには、95℃(5分)で1サイクルに続き、95℃(1分)、55℃(1分)、72℃(1分)を25サイクル、さらに最終伸長に72℃(8分)の温度プログラムを使用した。(後述する方法での)DNAシーケンシング後、各単離物の16S rDNA遺伝子配列を、ジーンバンク(GenBank)で類似配列を求めるブラスト(BLAST)検索(アルチュル(Altschul)ら、Nucleic Acids Res.25:3389〜3402(1997))用のクエリ配列として使用した。
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シーケンシング
ベクターおよびインサート特異的プライマーを用いるダイターミネーター技術(米国特許第5,366,860号、EP272007号)を使用し、ABI自動シーケンサで配列を生成した。シークエンチャ(Sequencher)(ミシガン州アン・アーバー(Ann Arbor)のジーン・コーズ・コーポレーション(Gene Codes Corp.))またはウィスコンシン・ジーシージー(Wisconsin GCG)プログラム(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0、ウィスコンシン州マディソン(Madison)のジェネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)(GCG))とコンセド(CONSED)パッケージ(バージョン7.0)のいずれかを使用して、配列編集を行った。すべての配列が両方向に少なくとも2倍のカバレッジを示している。
ジェネティクス・コンピュータ・グループ・インコーポレイテッド(Genetics Computer Group Inc.)から入手可能なプログラムパッケージ(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0、ウィスコンシン州マディソン(Madison)のジェネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)(GCG))を使用して、遺伝子配列のマニピュレーションを実施した。GCGプログラムの「Pileup」を使用する場合、gap creationのデフォルト値に12、gap extensionのデフォルト値に4を使用した。GCGの「Gap」または「Bestfit」プログラムを使用する場合、デフォルトのgap creation penaltyに50、デフォルトのgap extension penaltyに3を使用した。これらのプログラムまたは他のいずれのGCGプログラムにおいても、GCGプログラムのパラメータの指示のない場合はデフォルト値を使用した。
略号の意味は以下のとおりである。「sec」は秒(単数または複数)を意味し、「min」は分(単数または複数)を意味し、「h」は時間(単数または複数)を意味し、「d」は日(単数または複数)を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモル」を意味し、「mM」はミリモルを意味し、「M」はモルを意味し、「mmol」はミリモル(単数または複数)を意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「U」は単位を意味し、「mU」はミリ単位を意味し、「ppm」は百分率を意味し、「psi」は1平方インチ当たりの圧力ポンドを意味し、「kB」はキロ塩基を意味する。
実施例1
混合された微生物集合におけるモノオキシゲナーゼ遺伝子の発見
この実施例は、混合された微生物集落を富化することにより、シクロヘキサノン分解生物であるアルスロバクター sp.BP2、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2を単離することについて説明するものである。微生物の混合集合を含む培養にディファレンシャルディスプレイ法を適用したところ、モノオキシゲナーゼ遺伝子を発見することができた。
シクロヘキサノン分解体の富化
廃水バイオリアクターから混合された微生物集落を得て、微量の酵母エキスカザミノ酸およびペプトン(YECAAP)を濃度0.1%で含み、かつ0.1%のシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンを炭素源として添加した最小培地(50mM KHPO(pH7.0)、10mM (NH)SO、2mM MgCl、0.7mM CaCl、50μM MnCl、1μM FeCl、1μM ZnCl、1.72μM CuSO、2.53μM CoCl、2.42μM NaMoO、0.0001%FeSO)で保持した。シクロヘキサノンの存在下で培養の成長が増したことから、シクロヘキサノンを変換できるメンバを含む微生物の集合であることが明らかになった。
菌株の単離
R2A寒天(メリーランド州コッキーズビル(Cockeysville)のベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson and Company))に30℃で培養を展開し、集落から個別の7菌株を単離した。これらの菌株をコンタミネーションを発生させずに同じ培地に画線した。これらの7菌株のうち、アルスロバクター種のBP2として同定された菌株が淡黄色の大きなコロニーを形成した。種phi1として同定されたロドコッカス属の菌株は色がオレンジの小さなコロニーを形成した。種phi2で示す他のロドコッカス属の菌株は色が赤の小さなコロニーを形成した。
16s rDNA配列をジーンバンク(GenBank)配列データベースに収録された既知の16S rRNA配列と比較することで、個々の菌株を同定した。株BP2由来の16S rRNA遺伝子配列(配列番号1)は、アルスロバクター属に属する細菌の16S rRNA遺伝子配列との間で少なくとも99%相同であった。株phi1およびphi2由来の16S rRNA遺伝子配列は各々、グラム陽性菌であるロドコッカス属に属する細菌の16S rRNA遺伝子配列との間で少なくとも99%相同であった。ロドコッカス sp.phi1の完全な16s DNA配列を配列番号2として示し、ロドコッカス sp.phi2については配列番号3にあげておく。
シクロヘキサノン酸化遺伝子の誘導
この集落のメンバ内でシクロヘキサノン酸化遺伝子を誘導するために、廃水バイオリアクターから得た種菌1mlを、YECAAP0.1%を加えた最小培地25mlに懸濁させ、攪拌しながら30℃で一晩インキュベートした。翌日、YECAAP0.1%を加えた全容量50mlの最小培地に一晩培養10mlを再懸濁させた。この培養の光学密度は600nmで0.29吸光度単位であった。30℃で30分の平衡化後、培養を2つに分けて容量25mlずつにした。これらの培養の一方に、シクロヘキサノン(ミズーリ州セントルイス(St.Louis)のシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))25μl(0.1%)を加えた。両方の培養をさらに3時間インキュベートした。この時点で、培養を氷上に移し、4℃での遠心分離によって回収し、最小塩培地2容量で洗浄し、光学密度が1.0吸光度単位(600nm)になるまで希釈した。酸素電極(オハイオ州イエロー・スプリングス(Yellow Springs)のイエロー・スプリングス・インスツルメンツ・カンパニー(Yellow Springs Instruments Co.))を装着した水冷ジャケット式の呼吸測定セルに30℃で培養約6mlを入れ、シクロヘキサノン酵素が誘導されることを確認した。各細胞懸濁液で基線の呼吸(baseline respiration)が確立された後、最終濃度が0.1%になるようにシクロヘキサノンを加え、O消費速度をさらに監視した。対照培養では、シクロヘキサノンの200秒後に2mM 酢酸カリウムを加えた。
全集落RNAの単離
上述したシクロヘキサノンを用いる3時間の誘導時間経過後、対照試料と誘導試料(各2mL)とを4℃の遠心機にて1400rpmで回収し、緩衝液RLT(カリフォルニア州バレンシア(Valencia)のキアゲン(Qiagen))900μlに再懸濁させた。容量300μLのジルコニアビーズ(オクラホマ州バートルズビル(Bartlesville)のバイオスペック・プロダクツ(Biospec Products))を加え、ビーズビーター(バイオスペック・プロダクツ(Biospec Products))を使用して1分あたり2400拍で3分かけて細胞を破壊した。アールエヌイージー(RNeasy)ミニキット(カリフォルニア州バレンシア(Valencia)のキアゲン(Qiagen))を使用し、これらの試料を核酸単離用に各々6つのアリコートに分け、各々をキットに同梱されていた100 RNase−free dHOで溶出した。10mM MgCl、60mM KCl、2U RNase−free DNase I(テキサス州オースチン(Austin)のアンビオン(Ambion))を使用して、37℃で4時間かけて試料中でDNAを分解した。RT−PCRに使用した任意のオリゴヌクレオチドのうちのひとつを用いるPCRで全DNA分解を試験した後、アールエヌイージー(RNeasy)ミニキットを使用してRNAを精製し、100μlのRNase−free dHO中で上述したようにして溶出した。
任意に逆転写した全RNAからのRAPDの生成
配列CGGAGCAGATCGAVVVV(配列番号63)ここで、VVVVはAとGとCの3つの塩基のあらゆる組み合わせを示す)を有する244のプライマーからなる組を、対照細胞または誘導細胞のいずれかから得られたRNAと同様に別のRT−PCR反応に使用した。スーパースクリプト(SuperScript)TM ワンステップ(One−Step)TM RT−PCRシステム(メリーランド州ロックビル(Rockville)のライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)ギブコBRL)反応混合物を全RNA2〜5ngと合わせて全反応容量25μlで使用した。以下の温度プログラムでPCRを実施した。
1サイクル:4℃(2分)、37℃まで一定の率で5分上昇(1時間)に続いて95℃でインキュベーション(3分)、
1サイクル:94℃(1分)、40℃(5分)および72℃(5分)、
40サイクル:94℃(1分)、60℃(1分)および72℃(1分)、
1サイクル:70℃(5分)、電気泳動(electorphoresis)で分離されるまで4℃で保持。
これらのPCR増幅の産物(基本的にはRAPD断片)をポリアクリルアミドゲル(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)のアマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))上での1V/cmの電気泳動で分離した。対照mRNA(シクロヘキサノン誘導なし)から得られた産物と誘導mRNA断片から得られた産物を、自動ゲル染色機(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)のアマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))での銀染色によって可視化した。
差次的発現させたDNA断片の再増幅
ディファレンシャルディスプレイ断片の切り出したゲルバンドを使用して、95℃で20分、シアン化ナトリウム溶出緩衝液(NaCN10mg/ml、20mM トリス(Tris)−HCl(pH8.0)、50mM KCl、0.05%NP40)を25μlの容量でインキュベートした。断片の生成元になったプライマーを使用して25μlの反応液中で溶出混合物5μlでPCR反応時にこのDNA断片を再増幅させた。再増幅の温度プログラムについては、94℃(5分)、さらには94℃(1分)、55℃(1分)および72℃(1分)を20サイクルに続いて、72℃(7分)とした。再増幅産物をpCR2.1−TOPOベクター(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)のインビトロゲン(Invitrogen))に直接クローニングし、ABIモデル377を用いてエービーアイ・ビッグダイ(ABI BigDye)ターミネーターシーケンシング化学試薬(マサチューセッツ州フラミンハム(Framinham)のパーセプティブ・バイオシステムズ(Perseptive Biosystems))で配列を決定した。それぞれの再増幅バンドごとに8つのクローンをシーケンシングに供した。ブラストエックス(BlastX)プログラム(NCBI)を使用して、クローニングされた断片のヌクレオチド配列を非冗長なジーンバンク(GenBank)データベースと比較した。
シクロヘキサノン酸化経路遺伝子のシーケンシング
差次的発現された個々の断片をPCRによって増幅するために、オリゴヌクレオチドを設計した。個々の菌株からDNAを単離した後、これらのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、差次的発現された個々の断片をコードするDNAがどの菌株に含まれているかを判断した。既知のシクロヘキサノン分解遺伝子に対する相同性でディファレンシャルディスプレイされた断片に対して設計したプライマーを用いて、コスミドをPCRでスクリーニングした。コスミドクローン(1.0μl)を持つ組換えエシェリキア・コリの各細胞培養を25ulのPCR反応混合物中でのテンプレートとして使用した。A102FI(配列番号108)とCONR(配列番号109)のプライマー対を使用してアルスロバクター sp.BP2のライブラリをスクリーニングし、A228FI(配列番号110)とA228RI(配列番号111)のプライマー対を使用してロドコッカス sp.phi2のライブラリをスクリーニングし、A2FI(配列番号112)とA34RI(配列番号113)のプライマー対を使用してロドコッカス sp.phi1のライブラリをスクリーニングした。PCR反応での産物サイズが正しかった組換えエシェリキア・コリからのコスミドを単離し、Sau3AIで部分消化し、この部分消化物からの10〜15kBの断片を青/白のスクリーニングベクターpSU19(バルトロメ・ビー(Bartolome,B.)ら、Gene.102(1): 75〜8(1991年6月15日)、マルティネス・イー(Martinez,E.)ら、Gene.68(1):159〜62(1988年8月15日))にサブクローニングした。これらのサブクローンをキアゲンターボ(Qiagen Turbo)96ミニプレップキットを使用して単離し、上述したようにしてPCRで再スクリーニングした。正しい配列断片を持つサブクローンを、GPS−1ゲノムプライミング・システム(Priming System)キット(マサチューセッツ州ビバリー(Beverly)のニュー・イングランド・バイオラブズ・インコーポレイテッド(New England Biolabs,Inc.))を用いてpGPS1.1でトランスポーズした。これらのトランスポーズされた複数のプラスミドをトランスポソンの各末端から配列決定し、キロ塩基長のDNA断片を得た。シークエンチャ(Sequencher)プログラム(ミシガン州アン・アーバー(Ann Arbor)のジーン・コーズ・コーポレーション(Gene Codes Corp.))で配列アセンブリを行った。
実施例2
シクロヘキサノンの酸化に関与するブレビバクテリウム sp.HCUモノオキシゲナーゼ遺伝子の単離
この実施例は、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノン分解体ブレビバクテリウム sp.HCUを単離することについて説明するものである。ディファレンシャルディスプレイ法を使用して生物からのBVモノオキシゲナーゼ遺伝子を発見した。
菌株の単離
微量の酵母エキスおよびカザミノ酸とを含有(各0.005%)する好塩性の最小培地(1リットルあたり:寒天15g、NaCl 100g、MgSO 10g、KCl 2g、NHCl 1g、KHPO 50mg、FeSO 2mg、トリス(Tris)−HCl(pH7)8g)の寒天プレート上でシクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンを分解する耐塩性細菌を選択し、シクロヘキサノン蒸気下で30℃にてインキュベートした。工業廃水処理プラントから得た汚泥の再懸濁物を種菌とした。2週間後、ベージュ色のコロニーが観察されたため、同じ条件下で成長させた新鮮な寒天プレートにコンタミネーションを発生させずに画線した。
単離したブレビバクテリウム sp.HCUの完全な16s DNA配列はユニークなものであることが分かった。これを配列番号4として示す。ジーンバンク(GenBank)配列データベースに収録された他の16S rRNA配列と比較したところ、菌株HCU由来の16S rRNA遺伝子配列は、ブレビバクテリウム属に属する細菌の16S rRNA遺伝子配列との間で少なくとも99%相同であった。
シクロヘキサノン分解経路の誘導
低塩培地での呼吸測定によりシクロヘキサノン経路の誘導性を試験した。ブレビバクテリウム sp.HCUのコロニー1つを、0.005%酵母エキスを含有するS12鉱物培地(50mM KHPO緩衝液(pH7.0)、10mM (NH4)SO、2mM MgCl、0.7mM CaCl、50uM MnCl、1μM FeCl、1μM ZnCl、1.72μM CuSO、2.53μM CoCl、2.42μM NaMoO、0.0001% FeSO)300mlに接種した。この培養を、それぞれ10mM アセテートと10mM シクロヘキサノンとが入った2つのフラスコに分けた。各フラスコを30℃で6時間インキュベートし、シクロヘキサノン分解遺伝子を誘導させた。次に、この培養を氷上で冷却し、遠心分離によって回収し、微量の酵母エキスを欠いた氷冷S12培地で3回洗浄した。最後に細胞を600nmでの光学密度が2.0になるように再懸濁させ、アッセイ時まで氷上にて保持した。
酸素電極(オハイオ州イエロー・スプリング(Yellow spring)のイエロー・スプリング・インスツルメンツ・カンパニー(Yellow Spring Instruments Co.))を装着し、空気飽和させたS12培地5mlの入った水冷ジャケット式の呼吸測定セルに30℃で各培養0.5mlを入れた。各細胞懸濁液で基線の呼吸が確立された後、最終濃度が0.02%になるようにアセテートまたはシクロヘキサノンを加え、O消費速度をさらに監視した。
シクロヘキサノン酸化遺伝子の同定
シクロヘキサノンの酸化に関与する遺伝子の同定では、この酸化経路が誘導可能なものである点を利用した。対照培養のmRNA集合とシクロヘキサノン誘導培養のmRNA集合とを、逆転写によるDNA断片のランダムな増幅とこれに続いてPCRを行う手法で比較した。
全細胞RNAの単離
S12培地で成長させたブレビバクテリウム sp.HCUの2つに「分けた」10mlの培養のうちの一方に0.1%のシクロヘキサノンを加え、シクロヘキサノン酸化経路を誘導した。各培養を氷水浴中で急冷し、15ml容のチューブに移した。−4℃まで冷却したローターにて12,000×gで2分間の遠心分離で細胞を回収した。上清を破棄し、1%SDSと100mM 酢酸ナトリウムのpH5の氷冷溶液0.7mlにペレットを再懸濁させ、水性フェノール(pH5)0.7mlと0.5mmのジルコニアビーズ(オクラホマ州バートルズビル(Bartlesville)のバイオスペック・プロダクツ(Biospec Products))0.3mlの入った2ml容のチューブに移した。これらのチューブをビーズビーター(バイオスペック(Biospec))に入れ、1分あたり2,400拍で2分かけて破壊した。
細胞の破壊後、チューブの液相を新たな微量遠心管に移し、15,000×gで3分間の遠心分離によって相同士を分離させた。全RNAを含有する水性相をpH5のフェノールで2回以上抽出し、フェノール/水の界面に沈殿物が全く見えなくなるまでpH7.5のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールの混合物で2回抽出した。次に、3容量のエタノールを用いるエタノール沈殿によって水性相から核酸を回収し、ピロ炭酸ジエチル(DEPC)処理水0.5mlにペレットを再懸濁させた。6単位のRNAse−free DNAse(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)のベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))で37℃にて1時間でDNAを消化した。続いて全RNA溶液をpH7.5のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで2回抽出し、エタノール沈殿によって回収し、おおよその濃度が0.5mg/mlになるようにDEPC処理水1ml中に再懸濁させた。
任意に逆転写した全RNAからのRAPDパターンの生成
ウォン・ケー・ケー(Wong K.K.)ら(Proc Natl Acad Sci U S A.91:639(1994))に記載のプロトコールに従い、対照細胞および誘導細胞の全RNAから任意に増幅させたDNA断片を生成した。RT−PCRオリゴヌクレオチドセットを用いて一連の平行逆転写(RT)/PCR増幅実験を行った。このセットは、各々が配列CGGAGCAGATCGAVVVV(配列番号63)(ここで、VVVVは3’末端の最後の4つの位置でのAとGとCの3つの塩基のあらゆる組み合わせを示す)で設計された81のプライマーで構成されていた。
対照細胞および誘導細胞から得た全RNAについて、各々単一のRT−PCRオリゴヌクレオチドを用いて一連の平行RT−PCR増幅実験を行った。簡単に説明すると、100Uのモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(ウィスコンシン州マディソン(Madison)のプロメガ(Promega))を使用し、dNTP各0.5mMとオリゴヌクレオチドプライマー各1mMを用いて50μlの逆転写(RT)反応を全RNA20〜100ngで行った。反応物を氷上にて調製し、37℃で1時間インキュベートした。
RT反応(0.25μM)で使用したものと同じプライマー、dNTP(各0.2mM)、酢酸マグネシウム(4mM)、Taq DNAポリメラーゼストッフェル断片(カリフォルニア州フォスター・シティ(Foster City)のパーキン・エルマー(Perkin Elmer))2.5Uを含む50μlのPCR反応物でのテンプレートとして、各RT反応物から5μlずつ使用した。以下の温度プログラムを使用した。94℃(5分)、40℃(5分)、72℃(5分)を1サイクルに続き、94℃(1分)、60℃(1分)、72℃(5分)を40サイクル。
アクリルアミドゲル(15cm×15cm×1.5mm、6%アクリルアミド、29:1アクリル:ビスアクリルアミド、100mM トリス(Tris)、90mM ホウ酸塩、1mM EDTA、pH8.3)上での電気泳動によってRAPD断片を分離した。対照RNAおよび誘導RNAから得られた反応物を用いて、各プライマーを並べて走らせて各PCR反応物から5μlずつを分析した。電気泳動については1V/cmで実施した。へーファー(Hoefer)自動ゲル染色機(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)のアマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))のプラス・ワン(Plus One)(R)DNA銀染色キットを用いる銀染色によって、DNA断片を可視化した。
差次的発現させたDNAの再増幅
染色したゲルを蒸留水で1時間しっかりと水洗した。シクロヘキサノン誘導細胞のRNAでは生成されたが対照細胞のRNAの反応物には見られなかったバンドをゲルから切り出し、10mM KClおよび10mM トリス(Tris)−HCl(pH8.3)50μlの入ったチューブに入れ、1時間かけて95℃まで加熱し、DNAの一部が拡散してゲルから出るようにした。200倍の範囲での溶出液の連続希釈物を、Taqポリメラーゼを用いる新たなPCR反応のテンプレートとして使用した。それぞれの再増幅にはパターンが生成されたプライマー(0.25μM)を用いた。
各再増幅断片を青/白クローニングベクターpCR2.1(カリフォルニア州サン・ディエゴ(San Diego)のインビトロゲン(Invitrogen))にクローニングし、ユニバーサルフォワードプライマーおよびリバースプライマー(M13リバースプライマー(配列番号64)およびM13(−20)フォワードプライマー(配列番号65)を使用して配列決定した。
アウト−PCRによるモノオキシゲナーゼ断片の伸長
ディファレンシャルディスプレイで同定した配列断片を伸長しているキロ塩基長のDNA断片を、「アウト−PCR」すなわち配列特異的プライマーに加えて任意のプライマーを用いるPCR手法で生成した。このPCRベースのジーンウォーキング法の第1ステップは、ストリンジェンシーの低い条件下での1ラウンドの増幅で、任意配列のプライマーを用いて染色体DNAを無作為に複製することで構成されている。アウト−PCRで使用するプライマーについては、mRNAディファレンシャルディスプレイで使用したプライマーセットから選択し、その配列はCGGAGCAGATCGAVVVV(配列番号63)(ここで、VVVVはA、GまたはC)であった。任意配列のプライマーを毎回1つずつ使用してアウト−PCR反応を10回行った。反応液(50μl)は、製造業者(カリフォルニア州フォスター・シティ(Foster City)のパーキン・エルマー(Perkin−Elmer))から提供を受けた1×濃度のrTth XL緩衝液、酢酸マグネシウム1.2mM、dNTP各0.2mM、10〜100ngのゲノムDNA、任意のプライマー1つを0.4mM、rTth XLポリメラーゼ(パーキン・エルマー(Perkin−Elmer))1単位を含むものであった。アニーリング(45℃)を5分と伸長サイクル(72℃)15分で任意の部位にゲノムDNAが複製され、3’末端に任意であるが既知の配列のプライマーが取り込まれた。
こうした最初の低ストリンジェンシーでのアニーリングおよび複製ステップの後、各反応液を2本のチューブに分けた。一方のチューブには、伸長対象となる配列の末端に対して設計して外方に向けられた特定のプライマー(0.4mM)を入れ、2本目のチューブには水を入れて対照として利用した。ストリンジェンシーの条件を厳しくし、94℃で変性(1分)、60℃でアニーリング(0.5分)、72℃で伸長(10分)のPCRサイクルをさらに30回行った。長い範囲のrTth XL DNAポリメラーゼによる長いDNA断片の合成が可能なように、伸長時間を長く設計した。アガロースゲルの隣り合ったレーンで各反応物ペアの産物を分析した。
特定のプライマーを用いた試料には存在するが対照試料には見られなかったバンドをアガロースゲルから切り出し、HO0.5ml中で溶かして新たなPCR反応セットでのテンプレートとして使用した。これらの反応には、1×濃度のrTth XL緩衝液、酢酸マグネシウム1.2mM、dNTP各0.2mM、プライマー0.4mM、解かしたスライスの1/1000希釈物、rTth XLポリメラーゼ1単位を使用した。PCRについては、1サイクルあたり94℃(1分)、60℃(0.5分)、72℃(15分)を20サイクル実施した。該当するバンドの再増幅に特定のプライマーと任意のプライマーの両方が必要である旨を確認するために、これらの再増幅反応には、それぞれ任意のプライマーまたは特定のプライマーのいずれかを欠いた対照反応を2回含めた。増幅に特定のプライマーと任意のプライマーの両方を必要としたDNA断片を配列決定した。シーケンシングの目的で、アウト−PCRで得られた長い断片をMboIで部分消化し、pCR2.1(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)のインビトロゲン(Invitrogen))にクローニングした。ベクター配列に対して設計したプライマーを使用し、これらの部分断片の配列を得た。
実施例3
シクロヘキサンの分解に関与するアシドボラクス sp.CHXのモノオキシゲナーゼ遺伝子の単離
この実施例は、シクロヘキサン分解体アシドボラクス sp.CHXを単離することについて説明するものである。ディファレンシャルディスプレイ法を使用してBVMO遺伝子を発見した。
菌株の単離
テフロン(Teflon)ライニングをほどこしたねじ蓋で密閉した125ml容のエルレンマイヤーフラスコ内の鉱物培地(50mM KHPO(pH7.0)、10mM (NH)SO、2mM MgCl、0.7mM CaCl、50μM MnCl、1μM FeCl、1μM ZnCl、1.72μM CuSO、2.53μM CoCl、2.42μM NaMoO、0.0001%FeSO)20mlに工業廃水汚泥5mlを加え、シクロヘキサンを唯一の炭素源として成長する細菌の富化を開始した。鉱物油とシクロヘキサンとの混合物(8/1 v/v)1mlの入った試験管をフラスコ内に取り付け、低蒸気圧のシクロヘキサン(純粋なシクロヘキサンの蒸気圧の約30%)を提供した。富化物を30℃で1週間インキュベートした。定期的に、低シクロヘキサン蒸気下で0.005%酵母エキスを補って同じ鉱物培地で富化物を10分の1に希釈した。何回か移動すると、シクロヘキサン蒸気下の富化物中に白色のフロックが認められた。シクロヘキサンを省くとフロックは成長しなかった。
何回か移動すると、フロックは液状シクロヘキサノン4μlを培地10mlに直接加えた状態で成長可能であった。コロニーを単離するために、フロックを培地で洗浄し、ビーズビーター内で強く振盪して破壊した。破壊されたフロックから遊離した細胞をR2A培地寒天プレートに画線し、シクロヘキサン蒸気下でインキュベートした。ピンポイントコロニーを解剖顕微鏡下で釣菌し、0.01%酵母エキスとシクロヘキサン4μlとを補った鉱物培地10mlに接種した。フロックを成長させ、破壊し、純粋な培養が得られるまで再度画線した。
この単離物の分類学的同定を、一般法で説明したようにして16S rDNAのPCR増幅によって行った。株CHX由来の16S rRNA遺伝子配列は、未培養細胞の16S rRNA遺伝子配列(配列受入番号AF143840)との間で少なくとも98%相同であり、アシドボラクス・テルメペランス(Acidovorax termperans)の16s rRNA遺伝子配列(受入番号AF078766)との間で95%相同であった。単離したアシドボラクス sp.CHXの完全な16s DNA配列を配列番号5として示す。
シクロヘキサン分解遺伝子の誘導
シクロヘキサン分解遺伝子を誘導するために、アシドボラクス sp.CHXのコロニーをR2A寒天プレートから掻き取り、R2Aブロス25mlに接種した。この培養を30℃で一晩インキュベートした。翌日、新鮮なR2Aブロス25mlを加え、15分間成長を続けた。培養を2つの別々のフラスコに分け、各々に25mlずつ入れた。これらのフラスコのうちの一方に、純粋なシクロヘキサン5μlを加えてシクロヘキサン分解遺伝子の発現を誘導した。もう一方のフラスコは対照として保持した。ディファレンシャルディスプレイを使用してアシドボラクスsp.CHXのモノオキシゲナーゼ遺伝子を同定した。シクロヘキサン誘導遺伝子配列の同定と菌株からのシクロヘキサノン酸化遺伝子のシーケンシングを実施例1で説明したのと同様の方法で行った。
実施例4
シクロヘキサノールの分解に関与するアシネトバクターsp.SE19モノオキシゲナーゼ遺伝子の単離
この実施例は、シクロヘキサノール分解体アシネトバクターsp.SE19を単離することについて説明するものである。コスミドライブラリをスクリーニングした後、ショットガンライブラリのシーケンシングを行って、BVモノオキシゲナーゼ遺伝子を発見した。
菌株の単離
シクロヘキサノールで成長する細菌の富化物をシクロペンタノール集積培養から単離した。集積培養については、密閉した125mL容のねじ蓋式エルレンマイヤーフラスコで活性汚泥1mLをS12培地(10mM硫酸アンモニウム、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、2mM MgCl、0.7mM CaCl、50uM MnCl、1uM FeCl、1uM ZnCl、1.72uM CuSO、2.53uM CoCl、2.42uM NaMoO、0.0001%FeSO)20mLに接種して構築した。シクロペンタノール100ppmを培養液に直接加えて集積培養を補い、揺動しながら35℃でインキュベートした。2〜3日ごとにシクロペンタノール100ppmを加えて集積培養を維持した。培養10mLを同容量のS12培地に交換することで、培養を2〜10日ごとに希釈した。15日間のインキュベーション後、集積培養の連続希釈物をLBプレートに展開した。シクロヘキサノールを唯一の炭素源およびエネルギ源として利用してS12液で成長する能力について、シングルコロニーをスクリーニングした。培養を密閉したチューブ内で35℃で成長させた。単離物のうちのひとつである株SE19を以後のキャラクタリゼーション用に選択した。
一般法に記載の方法に従い、SE19単離物の16s rRNA遺伝子をPCRで増幅した。すべての単離物で得られた結果から、株SE19はアシネトバクター・ヘモリティカス(Acinetobacter haemolyticus)およびアシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii)に近い相同性を持つことが明らかになった(各々ヌクレオチド同一性99%)。
アシネトバクター属のコスミドライブラリの作成
LB培地25mlでエアレーションしながら37℃にて6時間、アシネトバクター sp.SE19を成長させた。ソーバル(Sorvall)RC5C遠心機を使用し、6,000rpmにて4℃で10分間、細菌細胞を遠心処理した。上清をデカントした後、細胞ペレットを−80℃で凍結させた。DNAの剪断が発生しないように特別な注意を払いながら、以下に概要を説明するようにして染色体DNAを調製した。50mMトリス(Tris)−10mM EDTA(pH8)5ml中に細胞ペレットを静かに再懸濁させ、リゾチームを最終濃度が2mg/mlになるように加えた。懸濁液を37℃で1時間インキュベートした。次にドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が1%になるように加え、プロテイナーゼKを100μg/mlの量で加えた。この懸濁液を55℃で2時間インキュベートした。懸濁液が透明になり、同容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で透明なライゼートを抽出した。12,000rpmで20分の遠心処理後、水性相を慎重に取り出して新しいチューブに移した。2容量のエタノールを加え、密閉したガラス製パスツールピペットを使用してDNAを静かにプールした。70%エタノールの入ったチューブにDNAを浸漬した。空気乾燥後、RNaseA(100μg/ml)を含むTE(10mMトリス(Tris)−1mM EDTA、pH8)400μl中にDNAを再懸濁させ、4℃で保管した。DNAの濃度と純度とをOD260/OD280で分光測光的に求めた。DNAの希釈アリコートを0.5%アガロースゲルで泳動し、無傷性(intact nature)を判断した。
スーパーコス(SuperCos) 1コスミドベクターキットの取扱説明書に概説されているようにして、染色体DNAをSau3AI(メリーランド州ゲイザースバーグ(Gaithersburg)のギブロ(GIBRO)/BRL)で部分消化した。反応容量100μlで室温にてSau3AI0.5単位を用いてDNA(10μg)を消化した。0、3、6、9、12分などのさまざまな消化時点で20μlのアリコートを抜き取った。DNAローディング緩衝液を加え、0.5%アガロースゲルで試料を分析し、消化の度合いを判断した。Sau3AIでの消化時間が長くなるのに対応して、染色体DNAのサイズが小さくなった。1単位のSau3AIで消化したDNA50μgを使用し、室温にて3分間予備反応を実施した。8mMのEDTAを加えて消化を停止させた。DNAをフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールで1回抽出し、クロロホルムで1回抽出した。水性相を0.3M NaOAcに調整し、エタノール沈殿させた。部分消化されたDNAを仔ウシ腸管粘膜由来アルカリホスファターゼで脱リン酸処理し、スーパーコス(SuperCos) 1コスミドベクターキットでの指示に従って処理しておいたスーパーコス(SuperCos) 1ベクターにライゲートした。次に、ギガパック(Gigapack) III XLパッケージング用エキスをストラタジーン(Stratagene)(製造業者の指示を遵守)で推奨しているとおりに使用し、ライゲートされたDNAをλファージにパッケージングした。パッケージング後のアシネトバクター属ゲノムDNAライブラリは、エシェリキア・コリXL1−Blue MRでトランスフェクトして求めた場合のDNA1μgあたりのファージ力価が5.6×10コロニー形成単位であった。無作為に選択した6つのエシェリキア・コリ形質転換体からコスミドDNAを単離したところ、DNAの大きなインサート(25〜40kb)が含まれていることが分かった。
シクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遺伝子を含むコスミドクローンの同定とキャラクタリゼーション
シクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遺伝子の相同性に基づいて、アシネトバクター sp.SE19のコスミドライブラリをスクリーニングした。また、アシネトバクター sp.NCIB 9871のシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遺伝子の公表されている配列に基づいて、monoL:GAGTCTGAGCATATGTCACAAAAAATGGATTTTG(配列番号66)とmonoR:GAGTCTGAGGGATCCTTAGGCATTGGCAGGTTGCTTGAT(配列番号67)の2つのプライマーを設計した。monoLプライマーとmonoRプライマーを使用して、コスミドライブラリをPCRでスクリーニングした。スクリーニング対象とした約1000のクローンの中から5つの陽性クローン(5B12、5F5、8F6、14B3、14D7)を同定した。これらのクローンにはいずれも、monoLプライマーとmonoRプライマーによって増幅されたシクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遺伝子との間で相同性を示す35〜40kbのインサートが含まれていた。この遺伝子断片をプローブとして用いてサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、コスミドクローン5B12にはモノオキシゲナーゼ遺伝子の約20kbの領域があり、コスミドクローン8F6にはモノオキシゲナーゼ遺伝子の下流に約30kbあることが分かった。コスミドクローン14B3では、再編成されたアシネトバクター属のDNAがモノオキシゲナーゼ遺伝子に隣接して含まれている。
ショットガンシーケンシングライブラリの作成
5B12および8F6のショットガンライブラリを作成した。コスミドDNAをネブライザ(イリノイ州シカゴ(Chicago)のインハレーション・プラスティックス・インコーポレイテッド(Inhalation Plastics Inc.))にて20psiで45秒間剪断し、1〜3kbの部分をゲル精製した。精製DNAを製造業者(ギブコ(GIBCO)/BRL)の指示どおりにT4 DNAポリメラーゼとT4ポリヌクレオチドキナーゼで処理した。ポリッシュしたインサートを、レイディ・トゥ・ゴー(Ready−To−Go) pUC18SmaI/BAP+Ligase(ギブコ(GIBCO)/BRL)を用いてpUC18ベクターにライゲートした。ライゲートされたDNAをエシェリキア・コリDH5α細胞に形質転換し、アンピシリンおよびX−gal加LBに蒔いた。形質転換体の大半が白色であり、インサートを含むものについてpUC18のユニバーサルプライマーおよびリバースプライマーを用いて標準的なシーケンシング法で配列決定した。
pUC18ユニバーサルプライマーとリバースプライマーを使用し、ショットガンライブラリインサートを配列決定した。各ライブラリから得られた200〜300クローンの配列をシークエンチャ(Sequencher) 3.0プログラムでアセンブルした。シクロヘキサノンモノオキシゲナーゼ遺伝子を含む17419bpのコンティグを形成した。
実施例5
ロドコッカス・エリスロポリスAN12の単離とシーケンシング
この実施例は、ロドコッカス・エリスロポリスAN12菌株を廃水流の汚泥から単離することについて説明するものである。ショットガンシーケンシングストラテジーの手法を用いることで、微生物のゲノム全体をシーケンシングすることができた。
ロドコッカス・エリスロポリスAN12の単離
アニリンを唯一の炭素源およびエネルギ源として成長する能力をもとに、ロドコッカス・エリスロポリスの株AN12を単離した。アニリンで成長する細菌を集積培養から単離した。集積培養については、125ml容のねじ蓋エルレンマイヤーフラスコで活性汚泥1mlをS12培地(10mM硫酸アンモニウム、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、2mM MgCl、0.7mM CaCl、50μM MnCl、1μM FeCl、1μM ZnCl、1.72μM CuSO、2.53μM CoCl、2.42μM NaMoO、0.0001%FeSO)10mlに接種して構築した。活性汚泥の方はデュポン(DuPont)の廃水処理施設から入手した。100ppmのアニリンを培養液に直接加えて集積培養を補い、揺動しながら25℃でインキュベートした。2〜3日ごとにアニリン100ppmを加えて集積培養を維持した。培養9.9mlを同容量のS12培地に交換することで、培養を14日ごとに希釈した。集積培養の試料をS12寒天に展開し、アニリンを唯一の炭素源およびエネルギ源として利用する細菌を単離した。アニリンを各ペトリ皿の蓋の内側に付けた。このペトリ皿をパラフィルムで密閉し、上下を逆さまにして室温(25℃)にてインキュベートした。続いて、代表的な細菌コロニーについてアニリンを唯一の炭素源およびエネルギ源として使う能力を試験した。最初の単離に使用したもとのS12寒天プレートから新しいS12寒天プレートにコロニーを移し、各ペトリ皿の蓋の内側にアニリンを補った。このペトリ皿をパラフィルムで密閉し、上下を逆さまにして室温(25℃)にてインキュベートした。
一般法で説明したようにして株AN12の16S rRNA遺伝子を配列決定(配列番号6)し、ジーンバンク(GenBank)配列データベースに収録された他の16S rRNA配列と比較した。株AN12由来の16S rRNA遺伝子配列は、ロドコッカス属に属する高G+Cグラム陽性菌の16S rRNA遺伝子配列との間で少なくとも98%相同であった。
シーケンシングおよび配列生成用のゲノムDNAの調製
公開されているプロトコール(フラッシャー(Fraser)ら、Science 270(5235):397〜403(1995))に従って、ゲノムDNAおよびライブラリの構築物を調製した。100mM Na−EDTA(pH8.0)、10mM トリス(Tris)−HCl(pH8.0)、400mM NaCl、50mM MgClを含有する溶液に、細胞ペレットを再懸濁させた。
ゲノムDNAの調製 再懸濁後、細胞を静かに10%SDSに溶解させ、55℃で30分間インキュベートした。室温でのインキュベーション後、プロテイナーゼK(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)のベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))を100μg/mlまで加え、懸濁液が透明になるまで37℃でインキュベートした。DNAをトリス(Tris)平衡化フェノールで2回抽出し、クロロホルムで2回抽出した。70%エタノール中でDNAを沈殿させ、10mMトリス(Tris)−HClと1mM Na−EDTAとを含有するpH7.5の溶液(TE緩衝液)に再懸濁させた。このDNA溶液をRNAaseの混合物で処理した後、トリス(Tris)−平衡化フェノールで2回抽出し、クロロホルムで2回抽出した。これに続いてエタノール中での沈殿とTE緩衝液への再懸濁を行った。
ライブラリの作成 300mM酢酸ナトリウム、10mMトリス(Tris)−HCl、1mM Na−EDTA、30%グリセロールの溶液に染色体DNA200から500μgを再懸濁させ、エアロモイスト・ダウンドラフト(Aeromist Downdraft)ネブライザチャンバ(イリノイ州シカゴ(Chicago)のアイビーアイ・メディカル・プロダクツ(IBI Medical products))にて12psiで60秒間剪断した。DNAを沈殿させ、再懸濁させ、Bal31 ヌクレアーゼ(マサチューセッツ州ビバリー(Beverly)のニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs))で処理した。サイズ分画後、画分(2.0kbまたは5.0kb)を切り出し、洗浄し、二段ライゲーション法を使用してシングルインサート99%を上回る高力価のライブラリを生成した。
シーケンシング 微生物の全ゲノムのシーケンシングにショットガンシーケンシングストラテジーの手法を採用した(フライッヒマン・アール(Fleischmann,R.)ら、Whole−Genome Random sequencing and assemply of Haemophilus influenzae Rd.、Science 269(5223):496〜512(1995))。
実施例6
細菌遺伝子の同定とキャラクタリゼーション
ブラスト(BLAST)「nr」データベース(非冗長なジーンバンク(GenBank)CDS翻訳、三次元構造のブルックヘブン(Brookhaven)タンパク質データバンク由来の配列、スイス−プロット(SWISS−PROT)タンパク質配列データベース、EMBLおよびDDBJデータベースをすべて含んで成る)に収録された配列に対する類似性についてのブラスト(BLAST)(Basic Local Alignment Search Tool、アルチュル・エス・エフ(Altschul,S.F.)ら、(1993)J.Mol.Biol.215:403〜410、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/も参照のこと)検索を実施し、それぞれのモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子を同定した。国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)が提供しているブラストエヌ(BLASTN)アルゴリズムで、「nr」データベースに収録された公共利用可能なあらゆるDNA配列との間の類似性について、実施例1、2、3、4、5で得られた配列を分析した。これらのDNA配列をすべての読み枠で翻訳し、NCBIから提供されているブラストエックス(BLASTX) BLOSUM62アルゴリズムでgap exisitense costを11、per residue gap costを2、filtered、gap alignment(ギッシュ・ダブリュ(Gish,W.)およびステーツ・ディ・ジェー(States,D.J.)、Nature Genetics 3:266〜272(1993))として、「nr」データベースに収録された公共利用可能なあらゆるタンパク質配列との類似性を比較した。
比較はいずれもブラストエヌエヌアール(BLASTNnr)アルゴリズムまたはブラストエックスエヌアール(BLASTXnr)アルゴリズムのどちらかを使用して行った。各配列に対する類似度が最も高い配列をまとめた表3にブラスト(BLAST)比較の結果をあげておく。表3はブラストエックスエヌアール(BLASTXnr)アルゴリズムに基づくデータを示し、表記の値は期待値である。期待値とは、このサイズのデータベースの検索で全く偶然に期待される、特定のスコアで、マッチ数を指定する、マッチの統計的な有意性を推定したものである。
Figure 2005512514
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実施例7
エシェリキア・コリへのモノオキシゲナーゼ遺伝子のクローニングと発現
この例は、ブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2およびアシドボラクス sp.CHXから単離した全長BVMO遺伝子のエシェリキア・コリでの発現について示すものである。
テンプレートとしての染色体DNAと以下の表4に示すプライマーとを使用して、全長BVMOをPCR増幅した。
Figure 2005512514
増幅後、ベクター配列によって得られるようなN末端領域またはC末端領域のいずれか(ブレビバクテリウム sp.HCU、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2のモノオキシゲナーゼではN末端領域、アシネトバクター sp.SE19、アシドボラクス sp.CHXのモノオキシゲナーゼではC末端領域)で、chnB遺伝子断片をpTrcHis−TOPO TAベクターにクローニングした。アンピシリン(100ug/ml)とリボフラビン(0.1ug/ml)とを補ったルリア栄養ブロスで形質転換体を30℃で成長させた状態で、600nmでの吸光度(A600)が0.5に達するまで上記のベクターをエシェリキア・コリに形質転換した。A600が達成されたら、温度を16℃までシフトさせた。
温度を16℃までシフトさせた30分後に、IPTGを培養液に加えるとコードされたモノオキシゲナーゼ配列が発現された。培養をさらに一晩(14時間)成長させ、冷遠心機での遠心分離によって回収した。細胞を氷上にてリゾチーム(100mg/ml)で30分間処理し、音波処理をほどこした。音波処理後、細胞抽出液を遠心処理し、Ni−NTA樹脂(カリフォルニア州バレンシア(Valencia)のキアゲン(Qiagen))を用いて4℃で1時間かけて上清を平衡化した。該当するタンパク質が樹脂から遊離するまでイミダゾール緩衝液の濃度を高めながらタンパク質結合樹脂を連続的に洗浄した。この精製タンパク質を濃縮し、緩衝液を交換してイミダゾールを除去した。タンパク質の濃度を1ug/mlに調整した。
実施例8
ブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHXのchnBモノオキシゲナーゼ活性のアッセイ
実施例7から過剰発現させた各酵素のchnBモノオキシゲナーゼ活性をさまざまなケトン基質(シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサ−2−エン−1−オン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロウンドデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロペンタデカノン、2−トリデカノン、2−フェニルシクロヘキサノン、ジヘイル(diheyl)ケトン、ノーカンフォー、β−イオノン、オキシンドール、レボグルコセノン、ジメチルスルホキシド、ジメチル−2−ピペリドン、フェニルボロン酸)でアッセイした。化合物の選択については、ファン・デル・ウェルフ(van der Werf)(J.Biochem.347:693〜701(2000))および宮本ら(Biochimica et Biophysica Acta 1251:115〜124(1995))による過去の観察結果に基づいて、ケトンの部分構造式を検索することで行った。
2つの例外だけを除き、いずれの化合物もシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から入手した。レボグルコセノンをトロント・レスイーチ・ケミカルズ・インコーポレイテッド(Toronto Reseach Chemicals,Inc.)から入手し、ジメチル−2−ピペリドンを米国特許第6,077,955号に従って調製した。酵素アッセイを行うために、ノーカンフォー(酢酸エチルに溶解)、シクロドデカノン、シクル(cycl)トリデカノンおよびシクロペンタデカノン(プロパノールに溶解)、レボグルコセノン(アセトンで溶解)以外のすべての化合物を、濃度が0.1Mになるようにメタノールに溶解させた。
過剰発現させた各酵素のモノオキシゲナーゼ活性を、NADPHの酸化を監視して340nmで分光測光的にアッセイした。アッセイについては、光路長1cmの個別の石英キュベットで行った。酵素アッセイを実施するにあたり、以下の成分をキュベットに加えた。33.3mM MES−HEPES−酢酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)380ul、0.1M基質(最終濃度1.25mM)5μl、1μg/μl酵素溶液(合計10ng、0.025ng/μl)10μl、NADPH(1.2M、最終濃度15mM)5ul。ウルトロスペック(Ultrospec) 4000(英国ケンブリッジ(Cambridge)のファルマシア・バイオテク(Pharmacia Biotech))を使用して2から10分間試料の吸光度を読み取り、スウィフト(SWIFT)(ファルマシア・バイオテク(Pharmacia Biotech))プログラムを用いて吸光度の経時的減少の勾配を算出した。ブレビバクテリウム sp.HCU chnB2については比率に3.25を乗じ、文献(J.Bacteriol.2000.182:p.4241〜4248)から想起されるような貯蔵による活性の低下を調整した。過剰発現させた各酵素のモノオキシゲナーゼ活性を各ケトン基質との対比で表5に示す。表に記載の比活性値はumol/分/mg単位の値である。「ND」の表示は「活性検出せず」を示す。
表5に示すデータをグラフで表したものを図1、図2、図3、図4および図5にあげておく。
Figure 2005512514
Figure 2005512514
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実施例9
エシェリキア・コリへのロドコッカス・エリスロポリスAN12モノオキシゲナーゼ遺伝子のクローニング
この例は、各々がロドコッカス・エリスロポリスAN12由来の全長BVMOを含む一連の組換えエシェリキア・コリを作出することについて示すものである。
テンプレートとしての染色体DNAと以下の表6に示すプライマーとを使用して、全長BVモノオキシゲナーゼをPCR増幅した。
Figure 2005512514
増幅後、ベクター配列によって提供されるようなN末端領域またはC末端領域のいずれかをもつ遺伝子断片をpTrcHis−TOPO TAベクターにクローニングした。アンピシリン(100ug/ml)を補ったルリア栄養ブロスで形質転換体を成長させた状態で、上記のベクターをエシェリキア・コリに形質転換した。
実施例10
ロドコッカス・エリスロポリスAN12のchnBモノオキシゲナーゼ活性のアッセイ
実施例9から発現させた各酵素のchnBモノオキシゲナーゼ活性を、これらの酵素がシクロヘキサノンをカプロラクトンに変換する能力に応じて活性について試験した。
シクロヘキサノンからカプロラクトンへの変換
10mMグリセロール、アンピシリン50ug/mL、0.1mM IPTG、シクロヘキサノン500mg/Lを含むM63最小培地(GIBCO(ギブコ))5mLに、全長モノオキシゲナーゼ遺伝子を含むクローンをLB寒天プレートから移した。全長モノオキシゲナーゼを含むクローンだけでなく、インサートのないプラスミドと「無細胞」対照もアッセイした。培養液にIPTGを加え、コードされたモノオキシゲナーゼ配列を発現させた。培養を室温(24℃)にて一晩インキュベートした。接種後と一晩のインキュベーション後にすみやかに分析用の試料(1.25mL)を採取し、遠心分離(4℃、13,000rpm)によって細胞を取り出した。
カプロラクトンのGC−MS検出
クローニングされたモノオキシゲナーゼの作用により形成されたカプロラクトンをエチルアセテート(水性1.0ml/エチルアセテート0.5mL)によって水性相から抽出した。アジレント(Agilent) 6890ガスクロマトグラフシステムを用いるガスクロマトグラフィ質量(GC−MS)分析により、カプロラクトンを検出した。
酢酸エチル相1uLをGCに注入し、エチルアセテート相を分析した。インレット温度を115℃とし、カラム温度プロファイルを50℃で4分、20℃/分の一定率で250℃まで上昇させ、トータルの実施時間を14分とした。ヒューレット・パッカード(Hewlet Packard) HP−5MS(5%フェニルメチルシロキサン)カラム(長さ30m、直径250um、膜厚0.25um)で化合物同士を分離した。質量分析計については電子イオン化(Electron Ionization)モードで動作させた。カプロラクトン保持時間(9.857分)のスペクトルから、バックグラウンドの質量スペクトルを引いた。試験反応と、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))から入手した実証済みの標準とを比較し、カプロラクトンが存在していることを確認した。
これらのアッセイの結果を、発現された各BVモノオキシゲナーゼ酵素の活性に基づいて検出可能なカプロラクトン形成の有無で以下の表7に示す。
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実施例11
BVモノオキシゲナーゼファミリ間のシグネチャ配列の同定
上記の例で同定した、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼをコードする20の遺伝子の配列を分析すると、アミノ酸の類似性に基づいて3種類のBVシグネチャ配列ファミリを定義することができる。各ファミリはいくつかのメンバ遺伝子を持ち、この酵素のシクロヘキサノンを酸化できる機能的BV酵素としての生化学的な検証結果を立証した(実施例(上掲))。クラスタルダブリュー(Clustal W)アライメント(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)(1989)CABIOS.5:151〜153)で各ファミリの相同体の配列アライメントを行った。これにより、利用できるすべての配列から作成されるアライメントの特定の位置で保存される一組のアミノ酸を同定することができる。
これらのクラスタルダブリュー(Clustal W)アライメントの結果を、BVファミリ1、BVファミリ2、BVファミリ3について図7、図8および図9に示す。いずれの場合も、「*」は保存されたシグネチャアミノ酸位置を示す。各ファミリで保存されたアミノ酸のシグネチャ配列を、シグネチャ配列P−番号の位置とともに図6に示してある。この保存されたアミノ酸/位置の組が各ファミリのシグネチャになる。このファミリの既存メンバの配列とアライメント可能で、シグネチャ配列アミノ酸の少なくとも80%を特定の位置に含む配列を有する新たなタンパク質はいずれも、この特定のファミリのメンバであるとみなすことができる。
BVファミリ1
このファミリは、アルスロバクター sp.BP2(配列番号12)、ロドコッカス sp.phi1(配列番号8)、ロドコッカス sp.phi2(配列番号10)、アシドボラクス sp.CHX(配列番号14)、ブレビバクテリウム sp.HCU(配列番号16および18)、ロドコッカス・エリスロポリスAN12 ORF10、ORF14、ORF19およびORF20(配列番号26、34、44および46)のchnBモノオキシゲナーゼ配列を含んで成る。540アミノ酸長以内に、合計で74の位置が保存されている(100%)。このファミリ1のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列をタンパク質の各アライメントの下に示し(図7)、配列番号47としてあげてある。このファミリのタンパク質内のシグネチャ配列を同定する能力は、1)BVモノオキシゲナーゼの配列数、2)そのBV−モノオキシゲナーゼとしての活性のキャラクタリゼーションによって可能になった。
生化学的なデータも利用できる公知となっている限られた数(合計4)のBVモノオキシゲナーゼ配列に基づくと、これらの配列のうちの3つがファミリ1で発見されたシグネチャ配列とアライメントされる。該当する配列は以下のとおりである。
(1)チェン・ワイ・シー(Chen,Y.C.)ら(J Bacteriol.170(2):781〜789(1988))を踏まえ、アシネトバクター sp.NCIMB9871 chnB(NCBI受入番号AB026668。このタンパク質のキーになる生化学的キャラクタリゼーションは、ドノグー(Donogue)ら(Eur J Biochem.16;63(1):175〜92(1976))、トラッドギル(Trudgill)ら(Methods Enzymol.188:70〜77(1990))、イワキ(iwaki)ら(Appl Environ Microbiol.65(11):5158〜62(1999))により行われた。この酵素では、ファミリ1のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列にある74の保存されたアミノ酸のうち72が共通である。
(2)バービラート(Barbirato)ら(FEBS Lett.438(3):293〜296(1998))ならびにファン・デル・ウェルフ(van der Werf)ら(Biol.Chem.274(37):26296〜26304(1999))の研究を踏まえ、ロドコッカス・エリスロポリスlimB(NCBI受入番号AJ272366。このタンパク質のキーになる生化学的なキャラクタリゼーションは、ファン・デル・ウェルフ・エム・ジェー(van der Werf,M,J.)ら(Microbiology 146(Pt 5):1129〜41(2000)、Biochem J.1;347 Pt 3:693〜701(2000)、Appl Environ Microbiol.65(5):2092〜102(1999))により行われた。この酵素はカルボンモノオキシゲナーゼとして知られている。
(3)ロドコッカス・ロドクラウス・エスエムオー(smo)(NCBI受入番号AB010439)。この酵素は、モリイ・エス(Morii,S.)ら(J.Biochem.126(3)、624〜631(1999))によってシーケンシングおよびキャラクタリゼーションがなされた。この酵素はステロイドモノオキシゲナーゼとして知られている。この酵素では、ファミリ1のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列にある74の保存されたアミノ酸のうち74が共通である。
グループ1との類似性が最も高い配列を有する、パブリックドメインに記載された酵素が、ジメチルアニリンヒドロキシラーゼとしてキャラクタライズされている。
BVファミリ2
このファミリは、ロドコッカス・エリスロポリスのAN12 ORF9、ORF12、ORF15、ORF 16、ORF18(配列番号24、30、36、38、42)のchnBモノオキシゲナーゼ配列を含んで成る。497アミノ酸長以内に、合計で76の位置が保存されている(100%)。このファミリ2のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列をタンパク質の各アライメントの下に示し(図8)、配列番号48としてあげてある。このファミリのタンパク質内のシグネチャ配列を同定する能力は、1)BVモノオキシゲナーゼの配列数、2)そのBV−モノオキシゲナーゼとしての活性のキャラクタリゼーションによって可能になった。
生化学的なデータも利用できる公知となっている限られた数(合計4)のBVモノオキシゲナーゼ配列に基づくと、これらの配列のうちのわずか1つがファミリ2で発見されたシグネチャ配列とアライメントされる。この配列は、シュードモナス・プチダJD1である。このタンパク質のキーになる生化学的キャラクタリゼーションは、タナー・エー(Tanner A.)ら(J Bacteriol.182(23):6565〜6569(2000))により行われた。この酵素はアセトフェノンモノオキシゲナーゼとして知られている。この酵素では、ファミリ2のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列にある76の保存されたアミノ酸のうち69が共通である。
BVファミリ3
このファミリは、ロドコッカス・エリスロポリスのAN12 ORF8、ORF 11、ORF 13、ORF17(配列番号22、28、32、40)のchnBモノオキシゲナーゼ配列を含んで成る。471アミノ酸長以内に、合計で41の位置が保存されている(100%)。このファミリ3のBVモノオキシゲナーゼのシグネチャ配列をタンパク質の各アライメントの下に示し(図9)、配列番号49としてあげてある。このファミリのタンパク質内のシグネチャ配列を同定する能力は、1)BVモノオキシゲナーゼの配列数、2)そのBV−モノオキシゲナーゼとしての活性のキャラクタリゼーションによって可能になった。
このグループに属する、ここで実証されたBV活性を持つ公知の配列はない。ジメチルアニリンN−オキシダーゼがシグネチャ配列で発見された41の保存されたアミノ酸のうち30のアミノ酸だけしか共通でないが、これは保存された位置の80%未満である。
さまざまなケトン基質に対してアッセイした、エシェリキア・コリで過剰発現させたブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHX遺伝子のchnBモノオキシゲナーゼ活性を示している。 さまざまなケトン基質に対してアッセイした、エシェリキア・コリで過剰発現させたブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHX遺伝子のchnBモノオキシゲナーゼ活性を示している。 さまざまなケトン基質に対してアッセイした、エシェリキア・コリで過剰発現させたブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカスsp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHX遺伝子のchnBモノオキシゲナーゼ活性を示している。 さまざまなケトン基質に対してアッセイした、エシェリキア・コリで過剰発現させたブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカスsp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHX遺伝子のchnBモノオキシゲナーゼ活性を示している。 さまざまなケトン基質に対してアッセイした、エシェリキア・コリで過剰発現させたブレビバクテリウム sp.HCU、アシネトバクターSE19、ロドコッカス sp.phi1、ロドコッカス sp.phi2、アルスロバクター sp.BP2、アシドボラクス sp.CHX遺伝子のchnBモノオキシゲナーゼ活性を示している。 図7、図8および図9のアライメント由来のコンセンサス配列に基づく3つのBVMO群のシグネチャ配列を示している。 バイヤー・ビリガーモノキシゲナーゼ(monoxygenase)のファミリ(ファミリ1)と関連のシグネチャ配列とのクラスタルダブリュー(Clustal W)でのアライメントを示している。 バイヤー・ビリガーモノキシゲナーゼのファミリ(ファミリ2)と関連のシグネチャ配列とのクラスタルダブリュー(Clustal W)でのアライメントを示している。 BCモノキシゲナーゼのファミリと(ファミリ3)関連のシグネチャ配列とのクラスタルダブリュー(Clustal W)でのアライメントを示している。
【配列表】
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Claims (55)

  1. (a)配列番号8、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
    (a)または(b)と相補である単離核酸断片、
    からなる群から選択される、単離核酸断片。
  2. 配列番号8に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも55%である少なくとも542のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  3. 配列番号10に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも53%である少なくとも541のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  4. 配列番号22に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも37%である少なくとも439のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  5. 配列番号24に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも44%である少なくとも518のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  6. 配列番号26に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも64%である少なくとも541のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  7. 配列番号28に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも65%である少なくとも462のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  8. 配列番号30に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも45%である少なくとも523のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  9. 配列番号32に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも55%である少なくとも493のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  10. 配列番号34に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも51%である少なくとも539のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  11. 配列番号36に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも39%である少なくとも649のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  12. 配列番号38に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも43%である少なくとも494のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  13. 配列番号40に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも53%である少なくとも499のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  14. 配列番号42に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも44%である少なくとも493のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  15. 配列番号44に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも54%である少なくとも541のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  16. 配列番号46に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも42%である少なくとも545のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  17. 配列番号7、9、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45からなる群から選択される、請求項1に記載の単離核酸断片。
  18. ロドコッカス属(Rhodococcus)から単離される、請求項1に記載の単離核酸断片。
  19. 請求項1に記載の単離核酸断片でコードされるポリペプチド。
  20. 配列番号8、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46からなる群から選択される、請求項19に記載のポリペプチド。
  21. (a)配列番号12に記載のアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
    (a)または(b)と相補である単離核酸断片、
    からなる群から選択される、単離核酸断片。
  22. 配列番号11に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも57%である少なくとも532のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  23. アルスロバクター属(Arthrobacter)から単離される、請求項21に記載の単離核酸断片。
  24. 請求項21に記載の単離核酸断片でコードされるポリペプチド。
  25. 配列番号12に記載の、請求項24に記載のポリペプチド。
  26. (a)配列番号18に記載のアミノ酸配列を有するバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸断片、
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、そして2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズするバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする単離核酸分子、あるいは
    (a)または(b)と相補である単離核酸断片、
    からなる群から選択される、単離核酸断片。
  27. 配列番号17に記載の配列を有するポリペプチドと比較した場合に、スミス・ウォーターマン法によるアライメントでの同一性が少なくとも57%である少なくとも538のアミノ酸からなるポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列またはこの第1のヌクレオチド配列の相補体を含んで成る第2のヌクレオチド配列を含んで成る、単離核酸分子。
  28. アシドボラクス属(Acidovorax)から単離される、請求項26に記載の単離核酸断片。
  29. 請求項26に記載の単離核酸断片でコードされるポリペプチド。
  30. 配列番号18からなる群から選択される請求項29に記載のポリペプチド。
  31. 好適な制御配列に作動的に結合された、請求項1、19、25、30または35のいずれか1項に記載の単離核酸断片を含んで成るキメラ遺伝子。
  32. 宿主細胞と請求項31に記載のキメラ遺伝子とを含んで成る形質転換宿主細胞。
  33. 宿主細胞が、細菌と、酵母と、糸状菌類と、緑色植物と、からなる群から選択される、請求項32に記載の形質転換宿主細胞。
  34. 宿主細胞が、プロテオバクテリアと放線菌とからなる群から選択される、請求項33に記載の形質転換宿主細胞。
  35. 宿主細胞が、バークホルデリア属(Burkholderia)と、アルカリゲネス属(Alcaligenes)と、シュードモナス属(Pseudomonas)と、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)と、パンドレア属(Pandoraea)と、デルフチア属(Delftia)と、コマモナス属(Comamonas)と、からなる群から選択される、請求項34に記載の形質転換宿主細胞。
  36. 宿主細胞が、ロドコッカス属と、アシネトバクター属(Acinetobacter)と、マイコバクテリア属(Mycobacteria)と、ノカルジア属(Nocardia)と、アルスロバクター属と、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)と、アシドボラクス属と、バチルス属(Bacillus)と、ストレプトマイセス属(Streptomyces)と、エシェリキア属(Escherichia)と、サルモネラ属(Salmonella)と、シュードモナス属と、アスペルギルス属(Aspergillus)と、酵母菌属(Saccharomyces)と、ピチア属(Pichia)と、カンジダ属(Candida)と、コルニエバクテリウム属(Cornyebacterium)と、ハンゼヌラ属(Hansenula)と、からなる群から選択される、請求項33に記載の形質転換宿主細胞。
  37. 宿主細胞が、ダイズ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、オーツムギ、モロコシ、コメ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブラナ科の野菜類、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、ピーナッツ、ブドウ、芝種子、サトウダイコン、サトウキビ、インゲンマメ、エンドウマメ、ライムギ、アマ、広葉樹、針葉樹、牧草からなる群から選択される、請求項33に記載の形質転換宿主細胞。
  38. (a)請求項1、21または26のいずれか1項に記載の核酸断片でゲノムライブラリを探索し、
    (b)請求項1、21または26のいずれか1項に記載の核酸断片とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
    (c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んで成るゲノム断片の配列を決定することを含んで成り、配列決定されたゲノム断片がバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする核酸断片の取得方法。
  39. (a)請求項1、21または26のいずれか1項に記載の単離核酸配列の一部に対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、
    (b)ステップ(a)のオリゴヌクレオチドプライマーを使用してクローニングベクターに含まれるインサートを増幅することを含んで成り、
    増幅されたインサートがバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする核酸断片の取得方法。
  40. (a)モノオキシゲナーゼ活性を持つ可能性のあるポリペプチドのアミノ酸配列を取得し、
    (b)ステップ(a)のアミノ酸配列を、配列番号47、配列番号48、配列番号49からなる群から選択されるバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼコンセンサス配列のアミノ酸配列とアライメントすることを含んで成り、
    配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも80%が完全に保存されている場合、(a)のポリペプチドをモノオキシゲナーゼ活性を持つものであるとして同定する、モノオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドの同定方法。
  41. 配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の最低100%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも100%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも100%が完全に保存されている、請求項40に記載の方法。
  42. (a)配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも80%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも80%が完全に保存されているポリペプチドをコードする核酸断片でゲノムライブラリを探索し、
    (b)ステップ(a)の核酸断片とハイブリダイズするDNAクローンを同定し、
    (c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んで成るゲノム断片の配列を決定することを含んで成り、
    配列決定されたゲノム断片がバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードするものである、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼポリペプチドをコードする遺伝子の同定方法。
  43. 配列番号47の位置p1〜p74のアミノ酸残基の最低100%、あるいは配列番号48のp1〜p76のアミノ酸残基の少なくとも100%、あるいは配列番号49のp1〜p41のアミノ酸残基の少なくとも100%が完全に保存されている、請求項42に記載の方法。
  44. 請求項40または42の成果物。
  45. 好適な成長条件下で形質転換宿主細胞を有効量のケトン基質と接触させることで対応するエステルを生成することを含んで成り、前記形質転換宿主細胞が、好適な制御配列の制御下に請求項1、21、26または44のうちのいずれかの単離核酸断片をコードする核酸断片を含んで成る、ケトン基質を対応するエステルに変換する生物変換方法。
  46. ケトン基質が、一般式
    Figure 2005512514

    (式中、RおよびRは独立に、置換または未置換のフェニル、置換または未置換のアルキル、あるいは置換または未置換のアルケニル、あるいは置換または未置換のアルキリデンから選択される)で表されるケトテルペンと環状ケトンとからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
  47. ケトン基質が、ノーカンフォー、シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチル−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−シクロヘキサノン、シクロヘキサ−2−エン−1−オン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロペンタ−デカノン、2−トリデカノン、ジヘキシルケトン、2−フェニル−シクロヘキサノン、オキシンドール、レボグルコセノン、ジメチルスルホキシド、ジメチ−2−ピペリドン、フェニルボロン酸、β−イオノンからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 好適な反応条件下でケトン基質を有効量のバイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼ酵素と接触させることを含んで成り、前記酵素が、配列番号8、10、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46からなる群から選択されるアミノ酸配列(seqeunce)を有する、ケトン基質を対応するエステルに変換するin vitro変換方法。
  49. ケトン基質が、一般式
    Figure 2005512514

    (式中、RおよびRは独立に、置換または未置換のフェニル、置換または未置換のアルキル、あるいは置換または未置換のアルケニル、あるいは置換または未置換のアルキリデンから選択される)で表されるケトテルペンと環状ケトンとからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
  50. ケトン基質が、ノーカンフォー、シクロブタノン、シクロペンタノン、2−メチル−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチル−シクロヘキサノン、シクロヘキサ−2−エン−1−オン、1,2−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロペンタ−デカノン、2−トリデカノン、ジヘキシルケトン、2−フェニル−シクロヘキサノン、オキシンドール、レボグルコセノン、ジメチルスルホキシド、ジメチ−2−ピペリドン、フェニルボロン酸、β−イオノンからなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
  51. (i)a)配列番号7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45からなる群から選択される天然微生物遺伝子と、
    b)前記天然微生物配列とハイブリダイズするヌクレオチド断片からなる第1の集合と、
    c)前記天然微生物配列とハイブリダイズしないヌクレオチド断片からなる第2の集合と、を含んで成るヌクレオチド配列の混合物を制限エンドヌクレアーゼで消化し、制限断片の混合物を生成させるステップと、
    (ii)前記制限断片の混合物を変性させるステップと、
    (iii)変性させたステップ(ii)の前記制限断片の混合物をポリメラーゼとともにインキュベートするステップと、
    (iv)ステップ(ii)および(iii)を繰り返し、生物活性が変化したタンパク質をコードする変異微生物遺伝子を生成するステップと、を含んで成る方法によって生成される、生物活性が変化したタンパク質をコードする変異微生物遺伝子。
  52. 配列番号5に記載の16s rDNA配列を含んで成る、アシドボラクスsp.(Acidovorax sp.)。
  53. 配列番号1に記載の16s rDNA配列を含んで成る、アルスロバクターsp.(Arthrobacter sp.)。
  54. 配列番号6に記載の16s rDNA配列を含んで成る、ロドコッカスsp.(Rhodococcus sp.)。
  55. 配列番号70〜113からなる群から選択されるBVモノオキシゲナーゼの同定に有用な単離核酸。
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