以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図14に第1の実施の形態を示し、図1は配線装置の取付枠を示し、(a)は取付枠にワイド形の配線器具を取り付けた状態を示す平面図、(b)は取付枠に大角形の配線器具を取り付けた状態を示す平面図、図2は取付枠を一側から示す側面図、図3は取付枠を他側から示す側面図、図4はワイド形の配線器具を示す平面図、図5はワイド形の配線器具を端部側から示す側面図、図6はワイド形の配線器具を側部側から示す側面図、図7はワイド形の配線器具の筐体と固定部材との係合状態を示す断面図、図8はワイド形の配線器具の取付枠への取り付け動作を(a)(b)の順に示す一部を切り欠いた側面図、図9はワイド形の配線器具の取付枠への取り付け時の可動爪部の動作を(a)(b)(c)の順に示す側面断面図、図10は大角形の配線器具を示す平面図、図11は大角形の配線器具を端部側から示す側面図、図12は大角形の配線器具を側部側から示す側面図、図13は大角形の配線器具の取付枠への取り付け動作を(a)(b)の順に示す一部を切り欠いた側面図、図14は大角形の配線器具の取付枠への取り付け作業を(a)(b)の順に示す平面図である。
ここで、ワイド形の配線器具とは、大角形の配線器具とは異なる配線器具の一例であって、本発明の構成上、特にワイド形の配線器具に限定されるものではない。
図1において、10は配線装置を示し、この配線装置10は、複数あるいは単数の配線器具11あるいは配線器具12を枠状のサポートである取付枠13の開口部である器具取付孔14に取り付けて構成されている。そして、この配線装置10は、図示しない壁面などの造営物に設置されるものである。なお、以下、正面側を上側(図2および図3などに示す矢印X方向)、背面側を下側、これら正面背面方向に直交する方向を一側(図1などに示す矢印Y方向)および他側、正面背面方向および両側方向に直交する方向を一端(図1などに示す矢印Z方向)および他端として説明する。
配線器具11は、JIS規格により規格化された大角形である大角連用形のもので、取付枠13の器具取付孔14と略等しい幅寸法を有するとともに、この器具取付孔14の長手方向である上下寸法の略1/3の上下寸法を有している。なお、以下、略1/3とは、1/3を中心として若干小さいあるいは大きい範囲を許容するものである。そして、この大角連用形の配線器具11は、図10ないし図12などに示すように、器具本体としての筐体17と、この筐体17に設けられた作用部である発光部18とを有している。なお、以下、大角連用形の配線器具11は、例えばパイロットランプとして説明するが、タンブラスイッチ(接点部反転構造スイッチ)などのスイッチ装置、コンセント、あるいは端子台など、基本的に作用部および内部構造が異なるだけで略同寸法の筐体17などを有する配線接続用の器具であれば、任意に選択できる。
筐体17は、ケース体21と、カバー22と、これらケース体21とカバー22とを一体的に固定する固定部材である固定金具23,23とを備えている。
ケース体21は、例えば熱硬化性樹脂などの合成樹脂により上側を開口した箱状に形成され、内部に、配線と接続される図示しない金具と、これら金具と接続され発光部18を点灯制御するための図示しない制御部(制御回路)などとが収容されている。また、このケース体21には、金具に臨み配線を挿入する図示しない複数の配線孔が下側に穿設されている。さらに、このケース体21の両側部には、それぞれ上側の両端部に位置して、固定金具23を係合する係合受部26が形成されている。
各係合受部26は、上下に延びて各固定金具23を案内するための案内溝部27と、この案内溝部27の下端部の両側に位置し各固定金具23を係止するための係止段部28とを備えている。
カバー22は、例えば熱硬化性樹脂などの合成樹脂により形成され、平面視で略四角形状のカバー本体31と、このカバー本体31の両側の下端部から延設されたフランジ部32とを備えている。
カバー本体31には、発光部18が嵌合して上側に突出する四角形状の発光部用開口部35が開口形成されている。したがって、このカバー本体31は、四角形枠状に形成されている。
フランジ部32は、ケース体21の上側の開口の縁部に位置するものであり、このフランジ部32の両端部には、ケース体21側の案内溝部27と連続するカバー側溝部37が上下に延びて形成されている。また、このフランジ部32の両側部には、受け板部38が突設され、この受け板部38の両側部には、上下方向に延びるリブである一対の係合凸部39,39が形成されている。
各固定金具23は、例えばステンレス製などの金属板をプレス加工などして形成されており、カバー係合部41と、このカバー係合部41の両側部から延設されたケース体係合部42とを有している。そして、カバー係合部41は、基板部44と、この基板部44の長手方向に沿った一端部から屈曲され直角に起立され係合凸部39,39間に嵌合する係合片部45とを備えている。そして、係合片部45の略中央部には、矩形状の孔部46が形成され、この孔部46に向かい、基板部44から切起部が延設されている。さらに、係合片部45の反体側に位置して、基板部44から爪部としての一対の取付爪部48が形成され、大角連用形の配線器具11の側方に突出している。また、ケース体係合部42は、屈曲可能に幅狭に形成されカバー側溝部37などに嵌合する屈曲部51と、この屈曲部51に続き案内溝部27などに嵌合する腕部52と、この腕部52の先端部から両側方向へと略V字状に拡開して形成され係止段部28に係止される係止部53とを備えている。
発光部18は、図示しないランプと、このランプを覆いこのランプから照射された光を拡散させる拡散体であるランプカバー55とを備え、このランプカバー55がカバー22の発光部用開口部35に嵌着されて正面側に臨んでいる。
そして、大角連用形の配線器具11の組み立ての際には、まず、ケース体21の内側に、ランプおよびランプカバー55などの各種作用部、制御部などを装着し、ケース体21の上側にカバー22を被せる。この状態で、固定金具23,23の基板部44をカバー22のフランジ部32上に位置させるとともに、カバー22の係合凸部39,39間に各固定金具23の係合片部45を挿入して係合し、固定金具23,23を仮止めして横ずれを防止する。そして、この状態から、自動機により固定金具23,23のケース体係合部42に曲げの力を加え、屈曲部51などを屈曲し、腕部52を各溝部37,27に嵌入するとともに、先端の係止部53を係止段部28の下側に係止する。この状態で、固定金具23,23によりケース体21とカバー22とが連結固定され、大角連用形の配線器具11が完成する。
一方、配線器具12は、大角連用形の配線器具11よりも大きい、もしくは略同等の所定の幅寸法(左右寸法)と、大角連用形の配線器具11と略等しい所定の上下寸法すなわち器具取付孔14の上下寸法の略1/3とを有する、いわゆるワイド形の配線器具である。そして、このワイド形の配線器具12は、図4ないし図7などに示すように、器具本体としての筐体61と、この筐体61に設けられた作用部であるハンドル62とを有するスイッチ装置としてのタンブラスイッチである。なお、以下、ワイド形の配線器具12は、例えばタンブラスイッチとして説明するが、パイロットランプ、コンセント、あるいは端子台など、基本的に作用部および内部構造が異なるだけで略同寸法の筐体61などを有する配線接続用の器具であれば、任意に選択できる。
筐体61は、ケース体65と、カバー66と、これらケース体65とカバー66とを固定する固定部材である固定金具67,68とを備えている。そして、この筐体61は、ハンドル62を左右に揺動可能に軸支しているとともに、このハンドル62の揺動に伴い配線の導通路を切り換える図示しない切換機構が内部に収納されている。
ケース体65は、例えば熱硬化性樹脂などの合成樹脂により上側を開口した箱状に形成され、内部に、板ばねを屈曲して形成され配線と接続される鎖状金具と、これら鎖状金具の少なくともいずれかに対応して固定接点とが収容されている。また、このケース体65には、鎖状金具に臨み配線を挿入する図示しない複数の配線挿入口が下側に穿設されている。さらに、このケース体65の一側部には、上側の両端部に位置して、一方の固定金具67を係合する係合受部71が形成されている。また、このケース体65の他側には、上側の両端部に位置して、他方の固定金具68を係合する係合受部72が形成されている。さらに、このケース体65の他側部には、他方の固定金具68の一部が嵌合するケース体嵌合部73が凹設されている。
図4および図5中の左側に位置する一方の係合受部71は、上下に延びて一方の固定金具67を案内するための案内溝部75と、この案内溝部75の下端部の両側に位置し一方の固定金具67を係止するための係止段部76とを備えている。
また、図4および図5中の右側に位置する他方の係合受部72は、上下に延びて他方の固定金具68を案内する金具案内溝部78と、この金具案内溝部78内でかつケース体65の上側の両端部に突出し他方の固定金具68を係止するための係止爪部79とを備えている。
切換機構は、ハンドル62の背面側に接続されハンドル62の揺動に伴って揺動する可動片を有し、この可動片には、固定接点に対して接離される可動接点が設けられている。
カバー66は、例えば熱硬化性樹脂などの合成樹脂により形成され、平面視で略四角形状のカバー本体81と、このカバー本体81の両側の下端部から延設されたフランジ部82とを備え、ケース体65の少なくとも一部を覆っている。
カバー本体81には、ハンドル62が嵌合して上側に突出する四角形状の開口部85が開口形成されている。したがって、このカバー本体81は、四角形枠状に形成されている。
フランジ部82は、ケース体65の上側の開口の縁部に位置するものであり、このフランジ部82の一側の両端部には、ケース体65の案内溝部75と連続するカバー側溝部86が上下に延びて形成され、このフランジ部82の他側の両端部には、ケース体65の金具案内溝部78と連続するカバー側案内溝部87が上下に延びて形成されている。また、このフランジ部82の他側には、上下方向に延びるリブである一対の係合凸部88,88がカバー本体81との間に形成されている。さらに、このフランジ部82の他側部には、ケース体65のケース体嵌合部73と連続して他方の固定金具68の一部が嵌合するカバー嵌合部89が凹設されている。
一方の固定金具67は、例えばステンレス製などの金属板をプレス加工などして形成されており、カバー係合部91と、このカバー係合部91の両側部から延設されたケース体係合部92とを有している。そして、カバー係合部91は、基板部94と、この基板部94からワイド形の配線器具12の側方に突出する爪部としての一対の取付爪部95とを備えている。また、ケース体係合部92は、屈曲可能に幅狭に形成されカバー側溝部86などに嵌合する屈曲部96と、この屈曲部96に続き案内溝部75などに嵌合する腕部97と、この腕部97の先端部から両側方向へと略V字状に拡開して形成され係止段部76に係止される係止部98とを備えている。
取付爪部95は、大角連用形の配線器具11の取付爪部48と略同等の寸法を有している。
また、他方の固定金具68は、例えばばね性(弾性)を有するステンレス製などの金属板をプレス加工などして形成されており、カバー係合部101と、このカバー係合部101の両側部から延設されたケース体係合部102とを有している。
カバー係合部101は、基板部104と、この基板部104からワイド形の配線器具12の側方に突出するように延設された一対の案内板部105,105と、これら案内板部105,105間に位置する可動爪部としての係合板部106とを備えている。
基板部104には、案内板部105,105および係合板部106と反対側であるカバー本体81の他側部に対向する位置に、各係合凸部88,88がそれぞれ嵌合する嵌合凹部108,108が切り欠き形成されている。
各案内板部105は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際のガイドとなるもので、基板部104に対して、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されている。
係合板部106は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際にこの取付枠13に係合されることでワイド形の配線器具12を取付枠13に固定するためのもので、基板部104に対して、筐体61の他側部に沿って下方へと延設された延設部106a、および、この延設部106aからワイド形の配線器具12の他側方へと突出するように下側へと傾斜状に曲げ起こし形成された係合爪部106bを有し、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されて先端側が自由端状となっており、各嵌合部73,89と嵌合して、延設部106aの上端部を支点として両側方向に弾性変形可能に形成されている。
係合爪部106bは、先端側である下端側が各案内板部105よりもワイド形の配線器具12の側方へと突出している。
また、ケース体係合部102は、案内溝部78,87に嵌合する係合部本体111と、この係合部本体111に開口形成された角孔状の嵌合孔部112とを有し、この嵌合孔部112には、下側の縁部から上方へと筐体61側に向けて傾斜状に突出した切起爪部113が一体に形成されている。そして、この切起爪部113は、下端側を支点として嵌合孔部112内で両端方向に弾性変形可能に形成されている。
また、ハンドル62は、例えば合成樹脂などにより形成され、所定の揺動角度で揺動するように筐体61に軸支されている。
そして、ワイド形の配線器具12の組み立ての際には、まず、ケース体65に、切換機構およびハンドル62などを装着し、ケース体65の上側にカバー66を被せる。この状態で、一方の固定金具67の基板部94をカバー66の一方のフランジ部82上に位置させ、この固定金具67を仮止めして横ずれを防止し、自動機により一方の固定金具67のケース体係合部92に曲げの力を加え、屈曲部96などを屈曲し、腕部97を各溝部86,75に嵌入するとともに、先端の係止部98を係止段部76の下側に係止する。さらに、予め形成された他方の固定金具68を、カバー66の他側に上側から、ケース体係合部102,102を両端の各溝部87,78に嵌入しつつ下方へと押し込んでスライドさせると、各切起爪部113の先端側が各係止爪部79の外面に沿って弾性変形し、各切起爪部113が各係止爪部79を乗り越えると復帰変形して、これら係止爪部79の下側に係合される。この状態で、固定金具67,68によりケース体65とカバー66とが連結固定され、ワイド形の配線器具12が完成する。
また、図1ないし図3、図8および図13などに示すように、取付枠13は、例えば金属により、図示しない配線ボックスなどに螺子止めされる四角形枠状に形成され、例えば器具取付孔14の両側を挟んで互いに対向配置された支持部としての側枠部116,117と、器具取付孔14の両側を挟んで互いに対向配置され側枠部116,117の上下に一体的に形成された取付枠フランジ部118とを有している。なお、図8および図13において、取付枠13は図1(a)のA−A断面を示している。
器具取付孔14の一側に位置する一方の側枠部116は、細長い平板状に形成された枠部基板部121と、この枠部基板部121の器具取付孔14と反対側の側部から上方へと傾斜状に延設された枠部延設部122と、この枠部延設部122の枠部基板部121と反対側の側部から下方へと略垂直に屈曲された枠部屈曲部123とを有している。
枠部基板部121には、器具取付孔14に臨む縁部に、配線器具11,12のいずれかを着脱可能に取り付けるための器具取付凹部125が、長手方向に略等間隔に例えば3つ凹設されている。
枠部延設部122には、枠部屈曲部123との連続部でかつ各器具取付凹部125の長手方向の両端近傍の位置に対応して、第1係止部としての一対の爪係止孔127,127がそれぞれ切り欠き形成されている。すなわち、これら爪係止孔127は、各器具取付凹部125につき2つずつ形成され、取付枠13全体として6つ形成されている。そして、対をなす爪係止孔127は、各器具取付凹部125に取り付けられる大角連用形の配線器具11の取付爪部48,48、あるいはワイド形の配線器具12の取付爪部95,95を挿入して係止可能となっている。
また、器具取付孔14の他側に位置する他方の側枠部117は、細長い平板状に形成された枠部基板部131と、この枠部基板部131の器具取付孔14と反対側の側部から上方へと傾斜状に延設された枠部延設部132と、この枠部延設部132の枠部基板部131と反対側の側部から下方へと略垂直に屈曲された枠部屈曲部133とを有し、各器具取付凹部125にそれぞれ対応する位置に、枠部基板部131、枠部延設部132および枠部屈曲部133に亘って切欠開口部134が形成されている。
枠部屈曲部133の下端部には、ワイド形の配線器具12の係合板部106を係止するための第2係止部としての嵌め込み突起である支持爪部136が、各器具取付凹部125に対応する位置、すなわち爪係止孔127,127に対応する位置にて爪状に突出して形成されている。各支持爪部136は、他方の側枠部117を構成する枠部屈曲部133の下端部を、外側から中心側すなわち器具取付孔14側へと爪状に曲げ起こして変形させることで突出させて形成され、他方の側枠部117の長手方向に沿って長手状(ビード状)に形成されている。したがって、これら支持爪部136の上側には、係合板部106を係止するための係止面136aが形成されているとともに、これら支持爪部136の背面側には、第2係止部形成凹部である爪部形成凹部137が凹設されている。このため、各支持爪部136は、近傍に大きな開口がない状態で枠部屈曲部133に形成されている。
そして、各切欠開口部134には、枠部基板部131間に亘って、変形可能な変形部141が形成されている。この変形部141は、端部が枠部基板部131に連続する細長いリブ状の変形腕部143,143間に、大角連用形の配線器具11を係止するための第3係止部としてのかしめ爪部144が一体に形成されているとともに、このかしめ爪部144の器具取付孔14と反対側に、マイナスドライバなどの治具Jを用いて変形腕部143をかしめ変形させるためのT字状の操作部145が一体に形成されている。
かしめ爪部144は、各器具取付凹部125に対応する位置、すなわち爪係止孔127,127に対応する位置で器具取付孔14の他側に臨み、変形腕部143,143に対してこの器具取付孔14側に突出している。換言すれば、かしめ爪部144は、支持爪部136の器具取付孔14側に位置している。また、このかしめ爪部144は、変形腕部143,143をかしめ変形させない状態で、器具取付孔14の仮想的な外郭線、すなわち枠部基板部131の内縁部よりも他側へと若干オフセットされた位置であり、治具Jによって変形腕部143,143をかしめ変形することで、器具取付孔14の仮想的な外郭線よりも内方(中心側)に突出するように構成されている。
各操作部145は、枠部屈曲部133に対して離間されており、この枠部屈曲部133との間に治具Jを挿入するためのスペースSが切欠開口部134内に形成されている。
取付枠フランジ部118には、配線ボックスなどに螺合されるねじが挿入される長円状の取付孔146と、木ねじなどが挿入される円孔状をなす左右一対の第2取付孔147、はさみ金具用の矩形状などをなす左右一対の第3取付孔148、プレート(化粧枠)の取付用の第4取付孔149などが形成されている。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際には、まず、図8(a)に示すように、ワイド形の配線器具12の各取付爪部95を取付枠13の各爪係止孔127に挿入して係止した状態で、各取付爪部95を支点としてこの配線器具12の筐体61の上側を器具取付孔14に挿入するように他側を上側へと回動させる。
このとき、図9(a)に示すように、取付枠13の支持爪部136がワイド形の配線器具12の係合板部106の係合爪部106bに当接し、さらにワイド形の配線器具12の他側を上方へと回動させることで、図9(b)に示すように、係合板部106が筐体61側へと支持爪部136によって押されて弾性変形し、この状態からさらにワイド形の配線器具12の他側を上方へと回動させることで、係合爪部106bが支持爪部136を乗り越えると、図9(c)に示すように、係合板部106が復帰変形して、この係合爪部106bが支持爪部136の係止面136aに係止される。このとき、ワイド形の配線器具12の案内板部105が枠部屈曲部133の内面に当接する。
この結果、図1(a)および図8(b)に示すように、ワイド形の配線器具12が任意の器具取付凹部125に対応する位置に、治具などを用いることなくワンタッチで取り付け固定される。
一方、大角連用形の配線器具11を取付枠13に取り付ける際には、まず、図13(a)に示すように、大角連用形の配線器具11の各取付爪部48を取付枠13の各爪係止孔127に挿入して係止した状態で、各取付爪部48を支点としてこの配線器具11の筐体17の上側を器具取付孔14に挿入するように他側を上側へと回動させる。この状態で、図14(a)に示すように、大角連用形の配線器具11の固定金具23の孔部46が、取付枠13の変形部141のかしめ爪部144に対向する。次いで、図14(b)に示すように、治具JをスペースSに挿入して操作部145を器具取付孔14側へと押し込むことで、変形腕部143,143がかしめ変形されて、かしめ爪部144が大角連用形の配線器具11側へと突出して孔部46に挿入される。
この結果、図1(b)および図13(b)に示すように、大角連用形の配線器具11が任意の器具取付凹部125に対応する位置に取り付け固定される。
以上のように、一方の側枠部116に、大角連用形の配線器具11とワイド形の配線器具12とのそれぞれの一側の取付爪部48,95を選択的に係止可能な爪係止孔127を設け、他方の側枠部117の爪係止孔127に対応する位置に、ワイド形の配線器具12の他側の係合板部106を係止する支持爪部136、および、器具取付孔14の縁部側に位置して大角連用形の配線器具11の他側を係止するかしめ爪部144を設けることで、大角連用形の配線器具11とワイド形の配線器具12とを、それぞれの器具専用の取付枠などを用意することなく、共通の1種類の取付枠13に対して取り付け位置を原則として任意に(制約なく)選択して選択的に取り付けできる。
すなわち、配線器具11,12の一側を係止する爪係止孔127を共通化しておき、配線器具11,12の他側を係止する側枠部117に支持爪部136およびかしめ爪部144を設けることで、簡単な構成で2種類の配線器具11,12を取り付け可能な取付枠13を実現できる。
また、取付枠13の爪係止孔127に対して一側の取付爪部95が係止されるワイド形の配線器具12の他側に、支持爪部136に当接して弾性変形されかつ筐体61を器具取付孔14に挿入した状態で復帰変形して支持爪部136に係止される係合板部106を設けることにより、取付枠13の他方の側枠部117に可動部を設ける必要がなく、取付枠13の強度の低下を抑制できる。
しかも、取付枠13側に可動部を設けないため、取付枠13を1つのピースで構成でき、かつ、金属部材をプレス加工するだけで容易に製造できるので、強度面、コスト面で有利な素材、あるいは廃棄に適した素材などの選別が容易となる。
さらに、支持爪部136を、器具取付孔14側へと他方の側枠部117を爪状に突出させて形成することにより、支持爪部136の形成のための開口などを他方の側枠部117に設ける必要がないとともに、突出させた支持爪部136がビードの役目を果たすことにより他方の側枠部117を補強できるため、取付枠13の強度の低下を抑制でき、取付枠13自体の変形に対する強度が向上する。
そして、このように取付枠13の強度を確保できることにより、この取付枠13を造営物にねじ締めによって取り付けた際などに、取付枠13がしなって配線器具11,12が正常に機能しなかったり、取り付け後のプレート(化粧枠)の表面から配線器具11,12の表面が沈み込んだりする不具合を生じることがなく、配線装置10の信頼性が向上する。
また、ワイド形の配線器具12は、耐熱性能を確保するために、熱などで軟化しない熱硬化性樹脂により形成することが望ましい一方で、熱硬化性樹脂は柔軟性に乏しく、熱硬化性樹脂で成形した部品同士で爪部などを介して互いに嵌め合い固定することは容易でないため、別体の固定部材によってケース体65とカバー66とを組み立て固定する必要があり、この場合、専用の治具などを用いて追加工する必要がある。そこで、本実施の形態では、ケース体65とカバー66とを固定する方向に応力を働かせる固定金具68を用いてワンタッチで固定するように構成することで、ケース体65とカバー66とを熱硬化性樹脂により成形して耐熱性能を確保しつつ、これらケース体65とカバー66との組み立て固定の作業を単純化でき、専用の治工具が不要となる。
さらに、取付枠13を金属製とした場合、配線器具11,12を保持し、造営材に取り付けるための主要な部分は剛体であることが必要なため、ワイド形の配線器具12などを保持するための取付枠13の部分は弾性を有する別部品を取り付ける必要があるなど、コストアップの要因となることがあるのに対して、上記のようにワイド形の配線器具12をワンタッチで取付枠13に取り付け可能とすることで、別部品などを用意するために生じるコストアップを防止できる。
次に、図15ないし図18に第2の実施の形態を示し、図15はワイド形の配線器具を示す平面図、図16はワイド形の配線器具を端部側から示す側面図、図17はワイド形の配線器具を側部側から示す側面図、図18はワイド形の配線器具の筐体と固定部材との係合状態を示す断面図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この図15ないし図18に示す配線装置10は、上記第1の実施の形態の固定金具68に代えて、合成樹脂により形成した固定部材151を用いるものである。
この固定部材151は、カバー係合部153と、このカバー係合部153の両側部から延設されたケース体係合部154とを有している。
カバー係合部153は、基体部156と、この基体部156からワイド形の配線器具12の側方に突出するように延設された一対の案内部157,157と、これら案内部157,157間に位置する可動爪部としての係合部158とを備えている。
各案内部157は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際のガイドとなるもので、基体部156に対して、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されている。
係合部158は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際にこの取付枠13に係合されることでワイド形の配線器具12を取付枠13に固定するためのもので、基体部156に対して、筐体61の他側部に沿って下方へと延設された延設部158a、および、この延設部158aからワイド形の配線器具12の他側方へと突出して形成された係合爪部158bを有し、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されて先端側が自由端状となっており、各嵌合部73,89と嵌合して、延設部158aの上端部を支点として両側方向に弾性変形可能に形成されている。
係合爪部158bは、先端側である下端側が各案内部157よりもワイド形の配線器具12の側方へと突出している。
また、ケース体係合部154は、案内溝部78,87に嵌合する係合部本体161と、この係合部本体161からカバー係合部153の基体部156に亘って開口形成された角孔状の嵌合孔部162とこの嵌合孔部162の下縁部から筐体61側に向けて突出した突出爪部163とを有している。そして、この突出爪部163は、下端側を支点として両端方向に弾性変形可能に形成されている。
そして、ワイド形の配線器具12の組み立ての際には、まず、ケース体65に、切換機構およびハンドル62などを装着し、ケース体65の上側にカバー66を被せ、固定金具67の基板部94をカバー66の一方のフランジ部82上に位置させ、固定金具67を仮止めして横ずれを防止し、自動機により固定金具67のケース体係合部92に曲げの力を加え、屈曲部96などを屈曲し、腕部97を各溝部86,75に嵌入するとともに、先端の係止部98を係止段部76の下側に係止する。さらに、固定部材151を、カバー66の他側に上側から、ケース体係合部154,154を両端の各溝部87,78に嵌入しつつ下方へと押し込んでスライドさせると、各突出爪部163の先端側が各係止爪部79の外面に沿って弾性変形し、各突出爪部163が各係止爪部79を乗り越えると復帰変形して、これら係止爪部79の下側に係合される。この状態で、固定金具67および固定部材151によりケース体65とカバー66とが連結固定され、ワイド形の配線器具12が完成する。
このように、上記第1の実施の形態の固定金具68と同様の作用を有する固定部材151を用いることで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、固定部材151を合成樹脂により形成することで、部品コストを低減できる。
次に、図19ないし図24に第3の実施の形態を示し、図19は配線装置のワイド形の配線器具を示す平面図、図20はワイド形の配線器具を端部側から示す側面図、図21はワイド形の配線器具を側部側から示す側面図、図22は配線器具を取付枠に取り付けた状態を一部を切り欠いて端部側から示す側面図、図23は取付枠に取り付けた配線器具を取付枠から取り外す動作を拡大して示す断面図、図24は取付枠にワイド形の配線器具を取り付けた状態を示す平面図である。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、ワイド形の配線器具12の筐体61が、他方の固定金具68に代えて、他方の固定金具165を備えるものである。
この他方の固定金具165は、図19ないし図22に示すように、例えばばね性(弾性)を有するステンレス製などの金属板をプレス加工などして形成されており、カバー係合部167と、このカバー係合部167の両側部から延設されたケース体係合部168とを有している。
カバー係合部167は、基板部171と、この基板部171からワイド形の配線器具12の側方に突出するように延設された一対の案内板部172,172と、これら案内板部172,172間に位置する可動爪部としての係合板部173と、基板部171のハンドル62側に延設された湾曲板部174とを備えている。
基板部171には、案内板部172,172および係合板部173と反対側であるカバー本体81の他側部に対向する位置に、各係合凸部88,88がそれぞれ嵌合する嵌合凹部176,176が切り欠き形成されている。また、この基板部171の中央部には、取付枠13の枠部基板部131の下部に係合される係合部である上部係合爪部177が突出して形成されている。さらに、この基板部171には、長手方向(図19中の上下方向)に沿って、この基板部171(他方の固定金具165)の強度を向上するための凹溝部178が長手状に形成されている。
各案内板部172は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際のガイドとなるもので、基板部171に対して、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されている。
係合板部173は、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際にこの取付枠13に係合されることでワイド形の配線器具12を取付枠13に固定するためのもので、基板部171に対して、筐体61の他側部に沿って下方へと延設された係止解除操作部としての延設部173a、および、この延設部173aからワイド形の配線器具12の他側方へと突出するように下側へと傾斜状に切り起こし形成された係合爪部173bを有し、筐体61の他側の外面に沿って下方向へと延設されて先端側が自由端状となっており、各嵌合部73,89と嵌合して、延設部173aの上端部を支点として両側方向に弾性変形可能に形成されている。
延設部173aは、図22に示すように、先端側である下端側が、取付枠13の枠部屈曲部133の下端よりも下方に突出し、取付枠13の背面側(下側)でこの取付枠13の他側方に露出している。
係合爪部173bは、先端側である下端側が各案内板部172よりもワイド形の配線器具12の側方へと突出している。さらに、この係合爪部173bは、各嵌合部73,89を形成するカバー66の他側面部である規制面179に対して離間された位置に配置されている。
ここで、規制面179は、係合板部173の変形(可動)範囲、すなわち、係合板部173の基端部を中心とする先端側の回動(可動)範囲を規制するためのものであり、平面状に形成されている。
湾曲板部174は、基板部171に対して下方へと延設されており、カバー66の上側に形成された嵌合溝部181に挿入されて位置決めされる部分である。
また、ケース体係合部168は、案内溝部78,87に嵌合する係合部本体183と、この係合部本体183に開口形成された角孔状の嵌合孔部184とを有し、この嵌合孔部184には、下側の縁部から上方へと筐体61側に向けて傾斜状に突出した切起爪部185が一体に形成されている。
次に、上記第3の実施の形態の作用を説明する。
ワイド形の配線器具12の組み立ての際には、まず、ケース体65に、切換機構およびハンドル62などを装着し、ケース体65の上側にカバー66を被せる。この状態で、一方の固定金具67の基板部94をカバー66の一方のフランジ部82上に位置させ、この固定金具67を仮止めして横ずれを防止し、自動機により一方の固定金具67のケース体係合部92に曲げの力を加え、屈曲部96などを屈曲し、腕部97を各溝部86,75に嵌入するとともに、先端の係止部98を係止段部76の下側に係止する。さらに、予め形成された他方の固定金具165を、カバー66の他側に上側から、ケース体係合部168,168を両端の各溝部87,78に嵌入しつつ下方へと押し込み、各切起爪部185の先端側をケース体65側へと図示しない治具などによりかしめ変形させて各切起爪部185を各係止爪部79の下側に係合させる。この状態で、固定金具67,165によりケース体65とカバー66とが連結固定され、ワイド形の配線器具12が完成する。
また、ワイド形の配線器具12を取付枠13に取り付ける際には、まず、ワイド形の配線器具12の各取付爪部95を取付枠13の各爪係止孔127に挿入して係止した状態で、各取付爪部95を支点としてこの配線器具12の筐体61の上側を器具取付孔14に挿入するように他側を上側へと回動させると、取付枠13の支持爪部136がワイド形の配線器具12の係合板部173の係合爪部173bに当接し、さらにワイド形の配線器具12の他側を上方へと回動させることで、係合板部173が筐体61側へと支持爪部136によって押されて弾性変形し、この状態からさらにワイド形の配線器具12の他側を上方へと回動させることで、係合爪部173bが支持爪部136を乗り越えると、係合板部173が復帰変形して、係合爪部173bが支持爪部136の係止面136aに係止される。このとき、ワイド形の配線器具12の案内板部172が枠部屈曲部133の内面に当接する。
この結果、図22および図24に示すように、ワイド形の配線器具12が任意の器具取付凹部125に対応する位置に、治具などを用いることなくワンタッチで取り付け固定される。
さらに、取付枠13に取り付けたワイド形の配線器具12を、この取付枠13から取り外す際には、図23に示すように治具Jの先端側を、取付枠13の背面側で枠部屈曲部133の下側に他側方から挿入して係合板部173の延設部173aを各嵌合部73,89側へと押し込むと、この係合板部173の先端側が想像線に示すように基端側を中心として規制面179側へと弾性変形し、係合爪部173bの支持爪部136への係止が外れる。この後、各取付爪部95を各爪係止孔127から取り外すことで、ワイド形の配線器具12が取付枠13から取り外される。
このように、ワイド形の配線器具12を取付枠13に固定するための係合板部173を、筐体61のケース体65とカバー66とを互いに固定する他方の固定金具165に一体に設ける、すなわちワイド形の配線器具12の取付枠13への取り付け用の係合板部173を、ケース体65とカバー66とを固定するための他方の固定金具165に一体に設けて兼用することにより、部品点数を増加させることなくワイド形の配線器具12を取付枠13に容易に固定可能な構成とすることができる。
また、従来の場合、ワイド形の配線器具を取付枠から取り外す際に、この配線器具の側部と取付枠との取り付け位置に治具Jを正面側から挿入し、この治具Jの基端側を支点とし先端側をワイド形の配線器具の係合板部に当接する作用点として、治具Jを他側部側へと回動させて、係合板部をてこの要領で変形させて取付枠13との係合を外すという2段階の作業が必要であるのに対して、上記実施の形態では、治具Jを側方から挿入して係合板部を押し込むという1作業のみでワイド形の配線器具12を取り外すことができるので、取り外し作業が単純になる。
そして、係合板部173の可動範囲を規制する規制面179を設けることにより、取付枠13に取り付けたワイド形の配線器具12を、治具Jによって係合板部173を変形させて取り外す際に、この係合板部173を必要以上に変形(塑性変形)させることがなく、ワイド形の配線器具12を取付枠13に対してがたなどを生じることなく正常な状態で再度取り付けできる。
さらに、他方の固定金具165は、ケース体65およびカバー66に対して端部方向から切起爪部185をかしめ変形させてケース体65とカバー66とを互いに固定しており、かつ、係合板部173は、係合爪部173bを取付枠13に対して側部方向、すなわちかしめ方向(ケース体65とカバー66との固定方向)と交差する方向に突出させて係合しているので、ワイド形の配線器具12を取付枠13から取り外す際に、治具Jにより係合板部173を規制面179側へと変形させても、この作業が他方の固定金具165によるケース体65とカバー66との固定に何ら影響することがない。
なお、上記各実施の形態において、取付枠13、各配線器具11,12の構成は、両側方向、あるいは両端方向を反転させてもよい。
また、大角連用形の配線器具11とワイド形の配線器具12とを共通に取り付けできる取付枠13としたが、大角形の配線器具と異なる任意の所定の配線器具に対応するように各第2係止部の構成などを変えることで、ワイド形の配線器具12に代えて、この所定の配線器具を取り付けられるようにもできる。