JP5233253B2 - ルーフ装置 - Google Patents

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Description

車両のルーフに設けられた開口部の開閉を行うルーフ装置で、特に車両幅方向に延びる強度部材としてのフレームを備えるルーフ装置に関する。
従来より、側突時に求められる車両の強度を確保するために、ルーフに設けられた開口部を開閉する機能を有するサンルーフなどのルーフ装置に、車両幅方向に長く延びるフレームを備えるものがある。
このようなルーフ装置は、開口部を開閉する移動パネルを備え、また移動パネルをガイドするために、開口部の左右両側に車両前後方向に延びるガイドレールを備えている。そして、各ガイドレールをフレームで連結した構成となっている。そして、フレームをスチールプレートで、またガイドレールをアルミ合金で構成して、フレームとガイドレールを互いに嵌り合う凹形状の接合部を接合している。接合は、接合部を1工程の加工で形成できるトックスカシメ工法を用いている。スチールとアルミ合金とでは材料の剛性が異なるため、フレームをガイドレールと組み合わせて適切にトックスカシメができるように薄いスチールプレート部分を備えている。また、フレームは、側突荷重に対する必要強度を確保するための厚いスチールプレート部分を備え、薄いスチールプレート部分と厚いスチールプレート部分を溶接によって組み合わせた構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−327250号公報
しかしながら、特許文献1に示されるルーフ装置のフレームは、2枚のスチールプレートで組み合わせた構成であり、重く、また溶接工程が必要で高価となる。また、フレームの長さ方向の側突時の荷重に対して、スチールプレートを折り曲げて成形したフレームの断面形状は変形し易く、安定した変形が得難い問題点がある。
本発明は上記問題点に鑑み、安価で、しかも側突時に安定した変形により多くの側突エネルギーを吸収できるフレームを備えるルーフ装置を実現することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両のルーフに設けた開口部の両側に沿って前後方向に延びて配置される1対のガイドレールと、 車両の幅方向に延びて両側の前記ガイドレールに接合されるフレームと、を備えるルーフ装置であって、前記フレームは軽合金材料で構成されるとともに、前記フレームの長さ方向に直角の断面形状が、前記ガイドレールに接合される接合辺部分、該接合辺部分に対向する対向辺部分及び前記接合辺部分と前記対向辺部分とで形成され前記1対のガイドフレーム間の全体に亘って連通する中空部を有して構成された閉じた断面形状を呈し、前記接合辺部分及び前記対向辺部分は、前記接合辺部分及び前記対向辺部分の両端を互いに一体に連結して前記中空部を形成する。
また、請求項2に記載の発明は、前記中空部内は、前記接合辺部分と前記対向辺部分を連結するリブを備える。
更に、請求項3に記載の発明は、前記フレームは、前記接合辺部分で前記ガイドレールに嵌り合う凹形状をした接合部により接合される構成である。
請求項1に記載の発明では、中空部を備える閉じた断面形状のフレームは、側突の荷重を受けて変形する過程で、大きな変形になるまで断面形状を維持できるため、より多くの側突エネルギーを吸収できる。また、軽合金による中空部のある断面形状のフレームは、押し出し工法によって作製ができ、溶接を必要とせずに安価に構成できる。
請求項2に記載の発明では、中空断面内にリブを配置することで、側突荷重に対して、より断面形状が確保し易くなり、変形強度の特性の安定度を高めることができる。
請求項3に記載の発明では、共に軽合金材料で構成されるフレームとガイドレールの接合部は、嵌り合った凹形状をトックスカシメによって1工程で確実に成形できるので、安価で信頼性が高い。
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、車両1のルーフ10の部分を示す平面図である。ルーフ10には開口部11が設けられている。開口部11を開閉するスライドパネル21を有するルーフ装置20がルーフ10に装着されている。
ルーフ装置20は、開口部11の左右の縁に沿って、車両の前後方向に伸びる1対のガイドレール22を備えている。ガイドレール22には、リンク機構23が案内されて移動するように取付けられ、リンク機構23によってスライドパネル21は支持されている。ルーフ装置20が備える駆動装置26とリンク機構23は図示しないケーブルで連結されていて、駆動装置26の作動によってスライドパネル21を移動させ開口部11の開閉ができる構成である。更に、ルーフ装置20には、車両1の幅方向に延びて、左右のガイドレール22を連結するようにフレーム27が取付けられている。
図2は、図1のII−II部分の断面図を示す。
図2に示されるように、ガイドレール22は、リンク機構23、サンシェード(図示せず)、ケーブル(図示せず)等のルーフ装置20の構成部材の移動を案内するための複数のガイド溝部22a、22b、22cを備える。複数のガイド溝部22a、22b、22cを備えた断面形状で、長さ方向に一定の形状で延びるガイドレール22は、既知のアルミニウム等の軽合金の押し出し工法によって作製される。
更に、図2に示されるように、フレーム27はガイドレール22の下面に接して、複数の接合部35で接合されている。
図3は、図1のIII−III部分の断面図で、フレーム27の長さ方向に直角の断面と、接合部35の形状を詳細に示し、またトックスカシメによる接合部35の形成方法も合わせて示している。
図3に示されるように、フレーム27は、ガイドレール22の下面と接する平面の接合辺部分27aと、接合辺部分27aと下方に所定の間隔で平行に対向する対向辺部分27bを有し、接合辺部分27aと対向辺部分27bの両端は湾曲して連結し、相互の間に中空部27cを備える閉じた断面形状となっている。
中空部27c内には、接合辺部分27aと対向辺部分27bを連結する複数のリブ27dが形成されている。リブ27d付きの中空部27c有する閉じた断面形状で、長く延びるフレーム27は、ガイドレール22と同様にアルミニウム等の軽合金の押し出し工法で作製される。
図3に更に示されるように、対向辺部分27bには作業穴27eが設けられ、作業穴27eからカシメ工具50の受け冶具51を挿入し、ガイドレール22の底辺22dに対して、パンチ工具52を、プレス装置等を利用して押し付ける、所謂トックスカシメが行われる。その結果、ガイドレール22には凹部35aが、またガイドレール22には凹部35bが1工程で同時に形成され、互いに嵌り合う凹形状をした接合部35となる。
図2に示されるように、フレーム27の端部にブラケット31がネジ手段33で取付けられ、ブラケット31はルーフ10のサイドメンバー部10aにネジ手段34で結合される。そして、ルーフ装置20がルーフ10に支持される構成となっている。
以上のように、構成されたフレーム27を備えるルーフ装置20では、車両が側突を受けたとき、側突の荷重はサイドメンバー部10aからブラケット31を介して、フレーム27に伝達される。フレーム27は側突の荷重への抗力を発揮すると共に、側突の過大な荷重によって安定して変形することで、側突のエネルギーを吸収するように機能する。
フレーム27は、車両1の幅方向にルーフ10に沿って延び、ルーフ10の形状に沿うようにして長さ方向に湾曲する。このため、フレーム27は、長さ方向に作用する側突荷重によって、主に湾曲がより進むように曲げ変形を受け、変形の過程で側突のエネルギーを吸収する。
中空部27cを有する断面形状の備えるフレーム27は、従来技術に見られる単にプレートを折り曲げて成形した断面のものより曲げ変形が進んでより湾曲したときも、初期に近い断面形状を維持できる。このために、フレーム27はより大きな変形まで側突の荷重への抗力を安定して発揮し、変形の過程で側突のエネルギーをより多く吸収できる。そして、側突の緊急時に、乗員を保護する空間を確保することに貢献できる。
中空部27c内にリブ27dを備えることで、更に大きな変形に対して断面形状を維持する上で有利となる。また、フレーム27の側突のエネルギーの吸収特性は、リブ27dの数、及び厚さの設定を変えることで容易に変更できるため、構造が異なり強度特性が変わる車種への適用が容易となる。
通常軽合金を押し出し成形した中空部材では断面が膨らむ傾向がある。接合辺部分27aのように、平面でガイドレール22と均一に接するように平面度を確保する上で、中空部27c内にリブ27dを配置することが有効である。接合辺部分27aをガイドレール22の底辺22dに均一に密着させることで、トックスカシメは安定して行われ、信頼性の高い接合部35が形成できる。
また、フレーム27とガイドレール22は、共に軽合金材料で構成されて、夫々の材料の剛性も同等となる。従ってトックスカシメによる凹形状は、フレーム27とガイドレール22双方に均等に安定して形成できる。そして、信頼性の高い接合部35が形成できる。
本発明に関わるルーフ装置を備える車両のルーフ部の平面図を示す。 図1におけるII−II部分の断面図である。 図1におけるIII−III部分の断面図である。
符号の説明
1 車両
10 ルーフ
11 開口部
20 ルーフ装置
27 フレーム
27a 接合辺部分
27b 対向辺部分
35 接合部

Claims (3)

  1. 車両のルーフに設けた開口部の両側に沿って前後方向に延びて配置される1対のガイドレールと、
    車両の幅方向に延びて両側の前記ガイドレールに接合されるフレームと、を備えるルーフ装置であって、
    前記フレームは軽合金材料で構成されるとともに、前記フレームの長さ方向に直角の断面形状が、前記ガイドレールに接合される接合辺部分、該接合辺部分に対向する対向辺部分及び前記接合辺部分と前記対向辺部分とで形成され前記1対のガイドフレーム間の全体に亘って連通する中空部を有して構成された閉じた断面形状を呈し、
    前記接合辺部分及び前記対向辺部分は、前記接合辺部分及び前記対向辺部分の両端を互いに一体に連結して前記中空部を形成する、ルーフ装置。
  2. 前記中空部内は、前記接合辺部分と前記対向辺部分を連結するリブを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のルーフ装置。
  3. 前記フレームは、前記接合辺部分で前記ガイドレールに嵌り合う凹形状をした接合部により接合される、ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のルーフ装置。
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