JP5232450B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スイングリンク方式の従動クランク機構を備えたスクロール圧縮機に関するものである。
端板上に立設された渦巻き状ラップを有し、それが互いに噛合されて圧縮室を形成する一対の固定スクロール部材および旋回スクロール部材を備えたスクロール圧縮機においては、互いに噛合される固定スクロール部材と旋回スクロール部材とが微小な加工誤差や組み立て誤差を有していても、それに追従して渦巻き状ラップ同士が確実に接触され、圧縮ガス漏れを最少化して圧縮効率を確保できるようにするための構成として、従来から従動クランク機構が採用されている。従動クランク機構は、旋回スクロール部材の旋回半径を可変構造とし、遠心力やガスの圧縮反力等により旋回スクロール部材の渦巻き状ラップが固定スクロール部材の渦巻き状ラップに押し付けられるように構成される。この従動クランク機構としては、圧縮機を駆動するクランク軸のクランクピンに対して従動クランク機構がスイングするスイングリンク方式と、クランクピンに対して従動クランク機構がスライドするスライド方式とが知られている。
スイングリンク方式の従動クランク機構を採用したスクロール圧縮機では、クランクピンに回動可能に嵌合され、かつ旋回スクロール部材に回動可能に嵌合保持される従動クランク機構とクランク軸との間に、従動クランク機構のスイング範囲に規制するため、規制突起と該規制突起が遊嵌する規制穴とから構成される規制機構が設けられる(例えば、特許文献1参照)。また、上記規制穴と規制突起との間に、所定回転数以下では固定スクロール部材の渦巻き状ラップと旋回スクロール部材の渦巻き状ラップとが接触しないようにするため、従動クランク機構の偏心ブッシュを旋回スクロール部材の旋回方向と逆方向に付勢するバネを介在した構成のスクロール圧縮機も提案されている(特許文献2参照)。
特開2001−73965号公報 特公平1−52592号公報
ところで、従動クランク機構を採用したスクロール圧縮機においては、液冷媒の吸入により液圧縮が発生し圧縮室内の圧力が異常上昇したとき、従動クランク機構の作用によって旋回半径が小さくなり、渦巻き状ラップ同士が離間されるため、液圧縮の防止効果が奏されることが知られている。しかしながら、固定スクロール部材の渦巻き状ラップと旋回スクロール部材の渦巻き状ラップとが徒に離間、接触を繰り返すと、接触時に発生する衝突音が騒音をもたらすこととなり、好ましくない。特に、スイングリンク方式の従動クランク機構では、渦巻き状ラップ同士の離間、接触だけではなく、従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制突起と規制穴との間の離間、接触も同様に衝突音による騒音の発生要因となる。
つまり、従動クランク機構を備えたスクロール圧縮機では、通常の運転中おいては旋回スクロール部材の渦巻き状ラップがガスの圧縮反力等により固定スクロール部材の渦巻き状ラップに対して押圧されているため、離間、接触を繰り返すことはないものの、起動時や停止時等の運転過渡時において、圧縮室内の圧縮ガス圧の急激な変動、その他によって旋回スクロール部材の旋回半径が無拘束の状態で変化され、それに伴って渦巻き状ラップ同士、あるいは従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制穴と規制突起とが相互に離間、接触を繰り返すことによって接触音(衝突音)が発生する。この接触音は、スクロール圧縮機を車両空調装置用圧縮機として搭載した場合、圧縮機に動力を伝達する電磁クラッチがオン/オフされる度に発生する可能性があり、乗員にとって不快な騒音となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、スイングリンク方式の従動クランク機構を備えたスクロール圧縮機における渦巻き状ラップ同士、あるいは従動クランク機構の規制穴と規制突起間の衝突音の発生を抑制することが可能なスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるスクロール圧縮機は、それぞれ端板上に立設された渦巻き状ラップを有し、互いに噛合されて圧縮室を形成する固定スクロール部材および旋回スクロール部材と、該旋回スクロール部材の自転を阻止する自転阻止機構と、前記旋回スクロール部材を公転旋回駆動するクランク軸と、該クランク軸と前記旋回スクロール部材との間に介在されるスイングリンク方式の従動クランク機構とを備えたスクロール圧縮機において、前記クランク軸と前記従動クランク機構との間に、前記クランク軸のクランクピン周りにスイングする前記従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制穴と、該規制穴に遊嵌する規制突起とからなる規制機構を設けるとともに、前記規制穴と前記規制突起との間に、その圧縮反力によって前記旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに前記固定スクロール部材の渦巻き状ラップへの押し付け荷重を付加する弾性部材がホルダーに保持されて介在され、そのホルダーが、前記弾性部材を保持した状態で前記規制穴内または前記規制突起にその弾性変形によって嵌合装着されていることを特徴とする。
スイングリンク方式の従動クランク機構を備え、旋回スクロール部材の旋回半径が可変とされるスクロール圧縮機では、起動時や停止時等の運転過渡時において、圧縮ガス圧の急激な変動、その他によって旋回スクロール部材が一時的に無拘束の状態となり旋回半径が可変されることがあり、固定スクロール部材および旋回スクロール部材の渦巻き状ラップ同士、あるいは従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制穴と規制突起とが相互に離間、接触を繰り返すことによって接触音(衝突音)が発生する場合がある。
本発明によれば、従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制穴と規制突起との間に、圧縮反力により旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに固定スクロール部材の渦巻き状ラップへの押し付け荷重を付加する弾性部材がホルダーに保持されて介在され、そのホルダーが、前記弾性部材を保持した状態で前記規制穴内または前記規制突起にその弾性変形によって嵌合装着されているため、弾性部材による初期押し付け荷重によって旋回スクロール部材の渦巻き状ラップを固定スクロール部材の渦巻き状ラップに常時押圧しておくことが可能となる。これにより、起動時や停止時等の運転過渡時における圧縮ガス圧の急激な変動、その他に伴う旋回スクロール部材および従動クランク機構の無益な動作を拘束し、渦巻き状ラップ同士、あるいは従動クランク機構の規制穴と規制突起との間の離間、接触の繰り返しを阻止することができる。従って、渦巻き状ラップ同士、あるいは規制穴と規制突起とが相互に離間、接触を繰り返すことによる接触音(衝突音)の発生を抑制することができる。また、弾性部材をホルダーに保持させ、規制穴内または規制突起にその弾性変形により嵌合装着していることから、弾性部材全体に荷重を付加させるとともに、それをホルダー自身の弾性反力を利用して規制穴内または規制突起に嵌合し保持することができる。従って、弾性部材に局所的に荷重が付加されることによる弾性部材の割れ等の損傷を防止することができるとともに、弾性部材およびホルダーの自重による規制穴または規制突起からの脱落等を確実に防止することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記弾性部材が、非線形バネ定数またはダンパ効果を有するエラストマー材により構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、弾性部材が非線形バネ定数またはダンパ効果を有するエラストマー材により構成されているため、弾性部材が共振をすることによるダンピング効果の低減を抑制することができる。従って、旋回スクロール部材および従動クランク機構の無益な動作を確実に規制し、接触音(衝突音)の発生を防止することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記エラストマー材が、水素化ニトリルゴムまたはエチレンプロピレンゴムにより構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、エラストマー材が水素化ニトリルゴムまたはエチレンプロピレンゴムにより構成されているため、HFC冷媒および冷凍機油(PAG油やPOE油等)に対してそれぞれ良好な適合性を有するエラストマー材とすることができる。従って、耐冷媒性および耐油性を満たし、耐久性を十分に確保することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに予め付加される初期押し付け荷重が、前記旋回スクロール部材の自重よりも大きくされていることを特徴とする。
本発明によれば、旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに予め付加される初期押し付け荷重が旋回スクロール部材の自重よりも大きくされているため、クランク軸が水平方向に配置される横置き型のスクロール圧縮機に適用した場合でも、旋回スクロール部材に作用する重力の影響を排除し、初期押し付け荷重により旋回スクロール部材の渦巻き状ラップを固定スクロール部材の渦巻き状ラップに対して確実に押圧することができる。これにより、特に、横置き型のスクロール圧縮機に適用した場合において、重力が影響する接触音(衝突音)の発生をも解消することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記規制突起が、前記従動クランク機構を構成する偏心ブッシュおよびバランスウェイトと一体に成形されていることを特徴とする。
本発明によれば、規制突起が従動クランク機構を構成する偏心ブッシュおよびバランスウェイトと一体に成形されているため、それぞれを別体で製造して組み付ける場合に比べて、製造、組み立てを簡素化することができる。これにより、部品点数を削減し、コスト低減を図ることができるとともに、組み立て性を良好にし、生産性を向上させることができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記規制突起および前記偏心ブッシュならびに前記バランスウェイトが、鍛造成形または鋳造成形により一体成形されていることを特徴とする。
本発明によれば、規制突起および偏心ブッシュならびにバランスウェイトが、鍛造成形または鋳造成形により一体成形されているため、鍛造成形または鋳造成形した後、所要箇所を切削加工することによって最終部品形状に仕上げることができる。これにより、規制突起、偏心ブッシュ、バランスウェイトを一体化した部品を効率よく製造することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記ホルダーが、両端縁に前記弾性部材をその両端側から挟持する少なくとも各1以上の保持片を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、ホルダーが両端縁に弾性部材をその両端側から挟持する少なくとも各1以上の保持片を備えているため、弾性部材をその両端側から各1つ以上の保持片により挟持することによって保持することができる。これにより、規制穴と規制突起との間にホルダーを介して弾性部材をその脱落を確実に防止して介在させることができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上記のスクロール圧縮機において、前記保持片の曲げアールが、前記弾性部材の両端角部のアールまたは面取りと同等もしくはそれ以下とされていることを特徴とする。
本発明によれば、保持片の曲げアールが弾性部材の両端角部のアールまたは面取りと同等もしくはそれ以下とされているため、弾性部材が変形されたときの局部的当たりを緩和することができる。これによって、弾性部材の割れ等による損傷を確実に防止することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記ホルダーおよび前記規制突起の前記弾性部材と対面する側面の曲率が、前記弾性部材の外径と同等もしくはそれ以上とされていることを特徴とする。
本発明によれば、ホルダーおよび規制突起の弾性部材と対面する側面の曲率が、弾性部材の外径と同等もしくはそれ以上とされているため、弾性部材をその外径と同等もしくはそれ以上の曲率とされたホルダーおよび規制突起によって押圧することができる。これにより、弾性部材に局所的に荷重が付加されることがなく、弾性部材の割れ等による損傷を確実に防止することができる。
さらに、本発明のスクロール圧縮機は、上述のいずれかのスクロール圧縮機において、前記規制穴の底面が、平面状とされていることを特徴とする。
本発明によれば、規制穴の底面が平面状とされているため、規制穴と規制突起との間に介在される弾性部材およびホルダー等の納まりがよく、規制穴の底面を弾性部材やホルダーの脱落や変形抑えとすることができる。
本発明によると、スイングリンク方式の従動クランク機構を備えたスクロール圧縮機において、固定スクロール部材および旋回スクロール部材の渦巻き状ラップ同士、あるいは従動クランク機構の規制穴と規制突起との間の接触音(衝突音)の発生を抑制し、それによる騒音を低減することができる。また、弾性部材全体に荷重を付加させるとともに、それをホルダー自身の弾性反力を利用して規制穴内または規制突起に嵌合し保持することができるため、弾性部材に局所的に荷重が付加されることによる弾性部材の割れ等の損傷を防止することができるとともに、弾性部材およびホルダーの自重による規制穴または規制突起からの脱落等を確実に防止することができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態にかかるスクロール圧縮機1の縦断面図が示されている。スクロール圧縮機1は、その概略外形を構成するハウジング3を有する。ハウジング3は、フロントハウジング5とリアハウジング7とをボルト9により一体的に締め付け固定することによって構成される。フロントハウジング5およびリアハウジング7には、各々円周上の複数箇所、例えば4箇所に等間隔で締め付け用のフランジ5A,7Aが一体に形成されている。このフランジ5A,7A同士をボルト9で締め付けることにより、フロントハウジング5とリアハウジング7とが一体に結合される。
フロントハウジング5の内部には、クランク軸(駆動軸)11がメイン軸受13およびサブ軸受15を介して軸線L回りに回転自在に支持されている。このクランク軸11の一端側(図において左側)は小径軸部11Aとされ、この小径軸部11Aは、フロントハウジング5を貫通して図1の左側に突出されている。小径軸部11Aの突出部には、公知の如く、動力を受ける図示省略の電磁クラッチ、プーリー等が設けられ、図示省略されたエンジン等の駆動源からVベルト等を介して動力が伝達されるようになっている。メイン軸受13とサブ軸受15との間には、メカニカルシール(リップシール)17が設置されており、ハウジング3内と大気との間を気密にシールしている。
クランク軸11の他端側(図において右側)には、大径軸部11Bが設けられ、この大径軸部11Bには、クランク軸11の軸線Lより所定寸法だけ偏心した状態でクランクピン11Cが一体に設けられている。クランク軸11は、上記の大径軸部11Bと小径軸部11Aがメイン軸受13と軸受15で支持されることにより、フロントハウジング5に回転自在に支持される。そして、クランクピン11Cには、偏心ブッシュ19およびドライブ軸受21を介して後述する旋回スクロール部材27が連結され、クランク軸11が回転されることにより、旋回スクロール部材27が旋回駆動されるようになっている。
偏心ブッシュ19には、旋回スクロール部材27が旋回駆動されることによって発生するアンバランス荷重を除去するためのバランスウェイト19Aが一体に形成され、旋回スクロール部材27の旋回駆動と共に旋回されるようになっている。
上記ハウジング3の内部には、スクロール圧縮機構23を構成する一対の固定スクロール部材25と旋回スクロール部材27が組み込まれる。固定スクロール部材25は、端板25Aと該端板25Aから立設された渦巻き状ラップ25Bとから構成され、一方、旋回スクロール部材27は、端板27Aと該端板27Aから立設された渦巻き状ラップ27Bとから構成される。
本実施形態の固定スクロール部材25および旋回スクロール部材27は、それぞれ渦巻き状ラップ25B,27Bの先端面とボトム面の渦巻き方向に沿う所定位置に、それぞれ段部を備えている。この段部を境に、ラップ先端面においては、軸線L方向に外周側の先端面が高く、内周側の先端面が低くされている。また、ボトム面においては、軸線L方向に外周側のボトム面が低く、内周側のボトム面が高くされている。これによって、渦巻き状ラップ25B,27Bは、その外周側におけるラップ高さが内周側のラップ高さよりも高くされている。
この固定スクロール部材25と旋回スクロール部材27とは、それぞれの中心を旋回半径分だけ離すとともに、渦巻き状ラップ25B,27Bの位相を180度ずらして噛合され、それぞれの渦巻き状ラップ25B,27Bの先端面とボトム面との間に常温で僅かなラップ高さ方向の隙間(数十〜数百ミクロン)を有するように組み付けられる。これによって、図1に示されるように、両スクロール部材25,27間には、端板25A,27Aと渦巻き状ラップ25B,27Bとにより限界される一対の圧縮室29がスクロール中心に対して対称に形成されるとともに、旋回スクロール部材27が固定スクロール部材25の周りをスムーズに旋回できるようにされる。
また、圧縮室29は、その軸線L方向高さが渦巻き状ラップ25B,27Bの外周側において内周側の高さよりも高くされることによって、渦巻き状ラップ25B,27Bの周方向およびラップ高さ方向に圧縮ができる三次元圧縮が可能な圧縮機構23を構成している。なお、固定および旋回スクロール部材25,27の渦巻き状ラップ25B,27Bの先端面には、相手方スクロール部材のボトム面との間に形成されるチップシール面をシールするためのチップシール部材51,52,53,54が、先端面に設けられた溝に嵌合されて設けられている。
固定スクロール部材25は、リアハウジング7の内面にボルト31により固定設置される。一方、旋回スクロール部材27は、端板27Aの背面に設けられているボス部27Cに、上述のとおり、クランク軸11の一端側に設けられているクランクピン11Cが偏心ブッシュ19およびドライブ軸受21を介して連結され、旋回駆動されるように構成されている。また、旋回スクロール部材27は、フロントハウジング5に形成されているスラスト受け面5Bに端板27Aの背面が支持され、このスラスト受け面5Bと端板27Aの背面との間に設置されるピンリング式等の自転阻止機構33によって、自転が阻止されながら固定スクロール部材25に対して公転旋回駆動されるように構成されている。
固定スクロール部材25の端板25A中央部には、圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出ポート25Kが開口され、該吐出ポート25Kには、端板25Aにリテーナ35を介して取り付けられる吐出リード弁37が設けられている。さらに、固定スクロール部材25の端板25Aの背面側には、リアハウジング7の内面に密接されるようOリング等のシール材39が介装され、リアハウジング7との間でハウジング3の内部空間から区画される吐出チャンバー41を形成している。これによって、吐出チャンバー41を除くハウジング3の内部空間が、吸入チャンバー43として機能するように構成されている。吸入チャンバー43には、フロントハウジング5に設けられている吸入口45を介して冷凍サイクルから戻ってくる冷媒ガスが吸入され、この吸入チャンバー43を経て圧縮室29に冷媒ガスが吸い込まれるようになっている。また、フロントハウジング5とリアハウジング7間の接合面には、Oリング等のシール材47が介装され、ハウジング3内に形成される吸入チャンバー43を大気から気密にシールしている。
上記のスクロール圧縮機1において、クランク軸11と旋回スクロール部材27のボス部27Cに嵌合された偏心ブッシュ19との間には、スイングリンク方式の従動クランク機構55が組み込まれる。以下に、この従動クランク機構55の構成について、図2ないし図7を参照して詳細に説明する。
クランク軸11の大径軸部11Bには、クランク軸11の軸中心より所定寸法だけ偏心した位置にクランクピン11Cが一体に設けられている。また、クランクピン11Cに嵌合される偏心ブッシュ19には、ブッシュ中心より所定寸法だけ偏心した位置に偏心穴19Bが設けられている。そして、この偏心穴19Bがクランクピン11Cに嵌合されることによって、偏心ブッシュ19がクランクピン11C周りに回動可能(スイング可能)とされている。
一方、偏心ブッシュ19には、ブッシュ中心に旋回スクロール中心が一致されて旋回スクロール部材27がドライブ軸受21を介して回転自在に嵌合されている。このブッシュ中心とクランク軸中心との距離が、旋回スクロール部材27の旋回半径となる構成とされている。そして、この構成により、偏心ブッシュ19がクランクピン11Cの周りにスイングし、ブッシュ中心とクランク軸中心間の距離が変化することによって、旋回スクロール部材27の旋回半径が可変されるようになっている。また、偏心ブッシュ19と一体をなすバランスウェイト19Aと、クランク軸11の大径軸部11Bとの間には、偏心ブッシュ19のスイング範囲を規制する規制機構57が設けられている。
この規制機構57は、バランスウェイト19A側に設けられる規制突起59と、該規制突起59が遊嵌される大径軸部11B側に設けられる規制穴61とから構成される。規制突起59および規制穴61は、図4および図5に示されるように、偏心穴19Bの中心およびクランクピン11Cの中心から各々所定距離オフセットされた位置に設けられる。この規制突起59および規制穴61は、それぞれ偏心ブッシュ19と一体をなすバランスウェイト19Aおよびクランク軸11と一体に鍛造成形または鋳造成形され、所要箇所を切削加工することによって所定部品形状に仕上げられたものである。このような構成の従動クランク機構55は、従来から知られている。
本実施形態では、上記の構成に加えて、規制突起59の横断面形状を略三日月形状となすとともに、この規制突起59と規制穴61との間に、圧縮反力により旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bに固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bへの押し付け荷重を付加する弾性部材63を介在した構成としている。なお、本実施形態において規制穴61の底面は、図4に示されるように、平らな面とされている。また、弾性部材63は、図7に示されるように、円筒状のコロ形状で角部がアールまたは面取りされた形状とされており、非線形バネ定数またはダンパ効果を有するとともに、HFC冷媒に対する耐冷媒性およびこの冷媒に適合する冷凍機油(PAG油またはPOE油等)に対する耐油性を有する水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等のエラストマー材によって構成されている。
上記弾性部材63は、図6に示されるように、弾性部材63を両端側から挟持する少なくとも各1以上の保持片65Aが両端縁に設けられた三日月形状のホルダー65により保持され、規制突起59と規制穴61との間に介在されるようになっている。このホルダー65は、バネ板を三日月形状に曲げ成形して構成されており、両端部分を弾性変形した状態で規制穴61内に嵌合装着することにより、その弾性反力で規制穴61内に突っ張り保持されるように構成されている。また、図8に示されるように、保持片65Aの曲げアールRsは、上記弾性部材63の角部のアール(または面取り)Rrに対して、Rs≦Rrの関係を満たすように構成されている。
また、ホルダー65と弾性部材63は、弾性部材63の外周面にホルダー65の曲率が大きくされた三日月形状の凹面(側面)が接触された状態で弾性部材63がホルダー65に保持され、ホルダー65を介して弾性部材63全体に荷重が加わるように規制穴61内に嵌装される。そして、該ホルダー65の三日月形状の内部空間に横断面が三日月形状の規制突起59が嵌合装着される構成とされている。これによって、弾性部材63に与えられた初期荷重の反力によって規制突起59が旋回スクロール部材27の旋回方向に押圧され、偏心ブッシュ19を介して旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bが固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bに押し付けられるようにされている。
ここで、上記したホルダー65および規制突起59の弾性部材63と対面する三日月形状の凹面(側面)の曲率が、弾性部材63の外径と同等もしくはそれ以上とされている。つまり、図9に示されるように、円筒状弾性部材63の半径をRd、ホルダー65の側面の半径をRh、規制突起59の半径をRpとしたとき、Rd≦Rh≦Rpの関係を満たすように構成されている。
さらに、弾性部材63を弾性変形することによって付与される上記の初期荷重は、旋回スクロール部材27の自重よりも大きく設定されるとともに、弾性部材63が変形されたときの最大変形量が、加工誤差や組み立て誤差に追従して変化される可変旋回半径動作により30%を超えないようにすることが弾性部材63の割れ等による破損を回避するうえで望ましい。また、上記ホルダー65は、図10に示されるように、両端縁にそれぞれ2以上の保持片65A,65Bを設けた構成としてもよい。
以上の説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
外部駆動源から図示省略のプーリーおよび電磁クラッチ等を介して回転駆動力をクランク軸(駆動軸)11に伝達し、クランク軸11を回転すると、クランク軸11のクランクピン11Cに偏心ブッシュ19およびドライブ軸受21を介して連結されている旋回スクロール部材27が、自転阻止機構33により自転を阻止されながら、固定スクロール部材25の周りに公転旋回駆動される。
この旋回スクロール部材27の公転旋回駆動により、半径方向最外方に形成される圧縮室29内に、吸入チャンバー43内の冷媒ガスが吸い込まれる。圧縮室29は、所定の旋回角位置で吸入締め切りされた後、その容積が周方向およびラップ高さ方向に減少されながら中心側へと移動される。この間に冷媒ガスは圧縮され、当該圧縮室29が吐出ポート25Kに連通する位置に達すると、吐出リード弁37が押し開かれて圧縮されたガスは吐出チャンバー41内に吐き出され、この圧縮冷媒ガスは、吐出チャンバー41を経て圧縮機外へと送出される。
上記の圧縮動作の間、旋回スクロール部材27は、従動クランク機構55の作用により旋回半径が可変され、加工誤差や組み立て誤差に追従して渦巻き状ラップ27Bが固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bに圧縮ガスの圧縮反力により押し付けられるように旋回駆動される。これによって、渦巻き状ラップ25B,27B同士が確実に接触シールされ、ガス漏れを最少化しつつ効率よく冷媒ガスを圧縮することができる。従動クランク機構55による旋回半径の可変範囲は、規制突起59と規制穴61とからなる規制機構57により規制されることとなる。
従動クランク機構55は、上記ように、固定スクロール部材25と旋回スクロール部材27との渦巻き状ラップ25B,27B同士を確実に接触シールすることにより、圧縮効率を高めるとともに、液圧縮によって圧縮室内の圧力が異常上昇したときには、渦巻き状ラップ25B,27B同士を離間させ、その圧力を低圧側に逃がすことにより、液圧縮を防止する等の効果を奏する。反面、起動時や停止時等のように動力が断続される過渡運転時において、圧縮室29内の圧縮ガス圧が急激に変動すると、旋回スクロール部材が一時的に無拘束の状態となって、旋回半径が無拘束に変化されることがあり、この場合、渦巻き状ラップ25B,27B同士、あるいは従動クランク機構55のスイング範囲を規制する規制突起59と規制穴61とが相互に離間、接触を繰り返し、接触音(衝突音)の発生要因となる。
しかるに、本実施形態では、従動クランク機構55のスイング範囲を規制する規制穴61と規制突起59との間に、圧縮反力によって旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bに固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bへの押し付け荷重を付加する弾性部材63を介在し、この弾性部材63による初期押し付け荷重によって旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Aを固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bに常時押圧するようにしている。これによって、起動時や停止時等の運転過渡時における圧縮ガス圧の急激な変動、その他に伴う旋回スクロール部材27および従動クランク機構55の無益な動作を拘束することができる。このため、固定スクロール部材25および旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ25B,27B同士、あるいは従動クランク機構55の規制穴61と規制突起59との間の離間、接触の繰り返しを阻止することができる。従って、渦巻き状ラップ25B,27B同士、あるいは規制穴61と規制突起59とが相互に離間、接触を繰り返すことによる接触音(衝突音)の発生を抑制し、それによる騒音を低減することができる。
また、弾性部材63をホルダー65により保持して規制穴61と規制突起59との間に介在するとともに、該ホルダー65をその弾性反力により規制穴61内に嵌合装着して規制穴61内に保持するようにしているため、ホルダー65を介して弾性部材63全体に荷重を付加させることができ、弾性部材63に局所的に荷重が付加されることによる弾性部材63の割れ等の損傷を防止することができる。同時に、弾性部材63を保持したホルダー65を自身の弾性反力により規制穴61内に嵌合装着しているため、弾性部材63およびホルダー65の自重による規制穴61からの脱落等を確実に防止することができる。
さらに、ホルダー65の両端縁に各1以上の保持片65A,65Bを設け、弾性部材63を両端側から挟持して保持できるようにしているため、規制穴61と規制突起59との間にホルダー65を介して弾性部材63をその脱落を確実に防止して介在させることができる。また、規制穴61の底面を平らな面としているため、規制穴61と規制突起59との間に介在される弾性部材63およびホルダー65等の納まりがよく、規制穴61の底面を弾性部材63やホルダー65の脱落や変形抑えとすることができる。
また、弾性部材63を非線形バネ定数またはダンパ効果を有するエラストマー材によって構成し、弾性部材63が共振をすることによるダンピング効果の低減を抑制できるようにしているため、旋回スクロール部材25および従動クランク機構55の無益な動作を確実に規制し、接触音(衝突音)の発生を防止することができる。しかも、エラストマー材として、HFC冷媒および冷凍機油(PAG油やPOE油等)に対してそれぞれ良好な適合性を有する水素化ニトリルゴム(HNBR)あるいはエチレンプロピレンゴム(EPDM)を用いているため、耐冷媒性および耐油性を満たし、耐久性を十分に確保することができる。
また、エラストマー製の弾性部材63を両端側から挟持するホルダー65の保持片65A,65Bの曲げアールRsが、弾性部材63の両端角部のアール(または面取り)Rrと同等もしくはそれ以下(Rs≦Rr)とされているため、弾性部材63が変形されたときの局部当たりを緩和し、エラストマー材からなる弾性部材63の割れ等による損傷を防止することができる。同様に、ホルダー65および規制突起59のエラストマー材からなる弾性部材63と対面する側面の曲率が、弾性部材63の外径と同等もしくはそれ以上、すなわち、弾性部材63の半径をRd、ホルダー65の側面の半径をRh、規制突起59の半径をRpとしたとき、Rd≦Rh≦Rpとされているため、弾性部材63に局所的に荷重が付加されることがなく、弾性部材63の割れ等による損傷を確実に防止することができる。
さらに、弾性部材63によって旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bに予め付加される初期押し付け荷重が、旋回スクロール部材27の自重よりも大きくされているため、クランク軸(駆動軸)11が水平方向に配置される横置き型のスクロール圧縮機1に適用した場合でも、旋回スクロール部材27に作用する重力の影響を排除し、初期押し付け荷重により旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bを固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bに対して確実に押圧することができる。従って、特に、横置き型のスクロール圧縮機1に適用した場合において、重力が影響することによる接触音(衝突音)の発生、それによる騒音をも防止することができる。
また、規制機構57を構成する規制突起59を、従動クランク機構55を構成する偏心ブッシュ19およびバランスウェイト19Aと鍛造成形または鋳造成形等によって一体に成形しているため、それぞれを別体で製造して組み付ける場合に比べ、製造、組み立てを簡素化することができる。これにより、部品点数を削減し、コスト低減を図ることができるとともに、組み立て性を良好にし、生産性を向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図11および図12を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、弾性部材63を保持したホルダー75を規制突起59に外嵌装着している点が異なっている。その他の点については第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態において、ホルダー75は、図12に示されるように、バネ板を三日月形状に曲げ成形して構成されており、両端を弾性変形した状態で規制突起59の外周に外嵌装着することにより、その弾性反力で規制突起59に保持されるように構成されている。このホルダー75には、両端側から弾性部材63を挟持する各々一対の保持片75A,75Bが設けられている。なお、保持片は各々1個であってもよい。
また、ホルダー75と弾性部材63は、弾性部材63の外周面にホルダー75の曲率が大きくされた三日月形状の凹面(側面)が接触された状態で弾性部材63がホルダー75に保持され、このホルダー75を介して弾性部材63全体に荷重が付与されるように規制突起59に外嵌装着される構成とされている。これにより、弾性部材63に与えられた初期荷重の反力によって規制突起59が旋回スクロール部材27の旋回方向に押圧され、偏心ブッシュ19を介して旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bが固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bに押し付けられるようにされている。
しかして、本実施形態によっても、従動クランク機構55のスイング範囲を規制する規制穴61と規制突起59との間に、圧縮反力によって旋回スクロール部材27の渦巻き状ラップ27Bに固定スクロール部材25の渦巻き状ラップ25Bへの押し付け荷重を付加する弾性部材63を、ホルダー75を介して介在することができ、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、弾性部材63を保持したホルダー75を自身の弾性反力により規制突起59に外嵌装着しているため、弾性部材63およびホルダー75の自重による規制突起59からの脱落等を確実に防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、本発明は、駆動源として内部に電動モータを内蔵した密閉型または半密閉型の電動スクロール圧縮機にも同様に適用することができる。また、上記実施形態では、規制突起59を偏心ブッシュ19と一体のバランスウェイト19A側に設け、規制穴61をクランク軸11の大径軸部11B側に設けた例について説明したが、これとは逆に、規制突起59をクランク軸11の大径軸部11B側に設け、規制穴61をバランスウェイト19A側に設けてもよい。
また、規制機構57を構成する規制突起59は、必ずしも偏心ブッシュ19およびバランスウェイト19Aと一体に鋳造成形する必要はなく、別に製造した規制ピンを組み付ける構成としてもよく、あるいは偏心ブッシュ19とバランスウェイト19Aと規制ピンとを別々に製造して組み立てる構成としてもよく、本発明は何れをも包含するものである。さらに、規制突起59および規制穴61、ならびにホルダー65,75の構成、形状は上記に限らず、種々変形が可能であることは言うまでもない。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構部分の縦断面図である。 図2に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構部分の平面視図である。 図1に示すスクロール圧縮機におけるクランク軸のクランクピン側から見た平面図(A)とそのa−a断面図(B)である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構の偏心ブッシュ−バランスウェイトの平面図(A)とそのb−b断面図(B)である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構のホルダーの平面図(A)とその右側面図(B)および平面図(C)である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構の弾性部材の平面図(A)とその右側面図(B)図である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構のホルダーによる弾性部材の保持状態を示す拡大平面図である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構のホルダーによる弾性部材の保持状態を示す拡大側面図である。 図1に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構のホルダーの変形例の平面図(A)とその右側面図(B)である。 本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機における従動クランク機構部分の平面視図である。 図11に示すスクロール圧縮機における従動クランク機構のホルダーの平面図(A)とその右側面図(B)図である。
1 スクロール圧縮機
11 クランク軸
11C クランクピン
19 偏心ブッシュ
19A バランスウェイト
25 固定スクロール部材
25A 端板
25B 渦巻き状ラップ
27 旋回スクロール部材
27A 端板
27B 渦巻き状ラップ
29 圧縮室
33 自転防止機構
55 従動クランク機構
57 規制機構
59 規制突起
61 規制穴
63 弾性部材
65,75 ホルダー
65A,65B,75A,75B 保持片

Claims (10)

  1. それぞれ端板上に立設された渦巻き状ラップを有し、互いに噛合されて圧縮室を形成する固定スクロール部材および旋回スクロール部材と、該旋回スクロール部材の自転を阻止する自転阻止機構と、前記旋回スクロール部材を公転旋回駆動するクランク軸と、該クランク軸と前記旋回スクロール部材との間に介在されるスイングリンク方式の従動クランク機構とを備えたスクロール圧縮機において、
    前記クランク軸と前記従動クランク機構との間に、前記クランク軸のクランクピン周りにスイングする前記従動クランク機構のスイング範囲を規制する規制穴と、該規制穴に遊嵌する規制突起とからなる規制機構を設けるとともに、
    前記規制穴と前記規制突起との間に、その圧縮反力によって前記旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに前記固定スクロール部材の渦巻き状ラップへの押し付け荷重を付加する弾性部材がホルダーに保持されて介在され、
    そのホルダーが、前記弾性部材を保持した状態で前記規制穴内または前記規制突起にその弾性変形によって嵌合装着されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記弾性部材が、非線形バネ定数またはダンパ効果を有するエラストマー材により構成されていることを特徴とする請求項に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記エラストマー材が、水素化ニトリルゴムまたはエチレンプロピレンゴムにより構成されていることを特徴とする請求項に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記旋回スクロール部材の渦巻き状ラップに予め付加される初期押し付け荷重が、前記旋回スクロール部材の自重よりも大きくされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記規制突起が、前記従動クランク機構を構成する偏心ブッシュおよびバランスウェイトと一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記規制突起および前記偏心ブッシュならびに前記バランスウェイトが、鍛造成形または鋳造成形により一体成形されていることを特徴とする請求項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記ホルダーが、両端縁に前記弾性部材をその両端側から挟持する少なくとも各1以上の保持片を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  8. 前記保持片の曲げアールが、前記弾性部材の両端角部のアールまたは面取りと同等もしくはそれ以下とされていることを特徴とする請求項に記載のスクロール圧縮機。
  9. 前記ホルダーおよび前記規制突起の前記弾性部材と対面する側面の曲率が、前記弾性部材の外径と同等もしくはそれ以上とされていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
  10. 前記規制穴の底面が、平面状とされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のスクロール圧縮機。
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