JP4199135B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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本発明は、スクロール圧縮機に関する。
例えば自動車用空調システムの圧縮機として用いられるスクロール圧縮機は、ハウジング内にスクロールユニットを備え(例えば、特許文献1)、スクロールユニットは、可動及び固定スクロールを有する。これら可動及び固定スクロールのそれぞれは、基板と、この基板の内面に一体的に形成された渦巻きラップとを有し、基板の内面は渦巻きラップにより渦巻き状の摺接面に区画される。更に、可動スクロールは、その基板の外面に一体的に形成されたボスを有し、ボス内に軸受が圧入されている。この軸受を介して、可動スクロールは固定スクロールと噛み合った状態で回転自在に支持され、固定スクロールに対して旋回運動する。この旋回運動時、渦巻きラップの先端面のほぼ全域がシール部材を介して相手側スクロールの渦巻き状の摺接面と摺接した状態で、渦巻きラップ同士の周壁の摺接位置がその渦巻き方向に移動し、固定スクロールと可動スクロールとの間にその周方向及び径方向に位置及び容積が変化する圧縮室が形成される。この圧縮室を介して、スクロールユニットは流体(冷媒)の吸い込み、圧縮、及び吐出の一連の動作を行う。
特開2000−257572号公報
上記した従来技術のスクロール圧縮機においては、可動スクロールのボスに軸受を圧入したときに、可動スクロールの基板が僅かではあるが湾曲し、その内面が凹曲面となってしまうる。このため、基板に一体的に形成されている渦巻きラップの先端面のうち、径方向外側に位置する部分が径方向内側の部分に比べて突出した状態となり、渦巻きラップの先端面がその全域に亘り同一基準面内に位置しなくなる。この結果、可動スクロールの渦巻き状の摺接面と固定スクロールの渦巻きラップの先端面との間や、可動スクロールの渦巻きラップの先端面と固定スクロールの渦巻き状の摺接面との間でのシール性が、特に基板の径方向内側でそれぞれ低下し、スクロール圧縮機の圧縮効率が低下するという問題がある。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構成により固定スクロールと可動スクロールとの間におけるシール性を高め、良好な圧縮効率を有するスクロール圧縮機を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明によれば、ハウジング内に設けられた固定スクロールと、ボスを有し、このボス内に圧入した軸受を介して回転自在に支持され、且つ、前記固定スクロールに対して噛み合った状態で旋回運動する可動スクロールとを備えたスクロール圧縮機において、前記可動及び固定スクロールのそれぞれは、基板と、当該基板の内面に一体的に形成された渦巻きラップと、前記渦巻きラップにより前記基板の内面に渦巻き状に区画され、他方のスクロールの渦巻きラップが弾性変形可能なシール部材を介して摺接される渦巻き状の摺接面とを含み、前記渦巻きラップの先端面はそれぞれ同一基準面内にあり、前記渦巻き状の摺接面は、その中央から径方向外側に向かう渦巻き方向でみて、前記基準面から段階的に離間する複数段の区画域に区画されていることを特徴とするスクロール圧縮機が提供される(請求項1)。
上記した構成によれば、可動及び固定スクロールの渦巻き状の摺接面が、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面から段階的に離間する複数段の区画域に区画されているので、固定スクロールと可動スクロールとの間のシール性が向上し、良好な圧縮効率を確保することができる。
すなわち、可動スクロールのボスに軸受を圧入したことによって可動スクロールの基板が湾曲したときに、可動スクロールの渦巻き状の摺接面が、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面から段階的に離間する複数段の区画域に区画されているので、可動スクロールにおける渦巻き状の摺接面の各区画域と基準面との間隔の偏差を小さくすることができ、これにより、固定スクロールの渦巻きラップの先端面は、スクロールの渦巻き状の摺接面に対して、シール部材を介して径方向全域に亘って密着することができる。
またこのとき、可動スクロールの渦巻きラップの先端面は、基板の湾曲に対応して偏差を存して基準面から離間し、径方向外側ほど基準面から大きく突出する。しかし、固定スクロールの渦巻き状の摺接面も、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面から段階的に離間する複数段の区画域に区画されており、可動スクロールにおける渦巻きラップの先端面と固定スクロールにおける各区画域との間隔の偏差を小さくすることができる。それ故、可動スクロールの渦巻きラップの先端面は、固定スクロールの渦巻き状の摺接面に対して、シール部材を介して径方向全域に亘って密着することができる。
このようにして各渦巻き状の摺接面に対して相手側スクロールの渦巻きラップの先端面が径方向全域に亘って密着することで、簡単な構成ながら固定スクロールと可動スクロールとの間のシール性が基板の径方向全域に亘って向上し、良好な圧縮効率を確保することができる。
請求項2の本発明では、前記渦巻き状の摺接面は、前記複数段の区画域として3つ以上の区画域に区画されていることを特徴としている。
上記した構成によれば、渦巻き状の摺接面を3つ以上の区画域に区画することによって、可動スクロールにおける渦巻き状の摺接面の各区画域と基準面との間隔の偏差をより小さくするとともに、可動スクロールにおける渦巻きラップの先端面と固定スクロールにおける各区画域との間隔の偏差を小さくすることができる。それ故、各渦巻き状の摺接面に対して相手側スクロールの渦巻きラップの先端面が径方向全域に亘ってより確実に密着し、固定スクロールと可動スクロールとの間のシール性が一層向上し、更に良好な圧縮効率を確保することができる。
請求項3の本発明では、前記渦巻き方向に隣接する区画域間の段差は、中央から径方向外側に位置付けられるに従い段階的に大きくなっていることを特徴としている。
上記した構成によれば、複数の区画域において隣接する区画域間の段差は、中央から径方向外側に位置付けられるに従い段階的に大きくなっているので、固定スクロールと可動スクロールとの間のシール性が一層向上し、更に良好な圧縮効率を確保することができる。
すなわち、可動スクロールの基板が湾曲したときに、基板の内面の曲率は、中央よりも径方向外側の方が大きくなる。そこで、基板内面の曲率の増大に対応するよう、中央側の段差に比べて径方向外側の段差を大きくすることで、可動スクロールにおける各区画域と基準面との間隔の偏差をより小さくするとともに、可動スクロールにおける渦巻きラップの先端面と固定スクロールにおける各区画域との間隔の偏差を小さくすることができる。それ故、各渦巻き状の摺接面に対して相手側スクロールの渦巻きラップの先端面が径方向全域に亘ってより確実に密着し、固定スクロールと可動スクロールとの間のシール性が一層向上し、更に良好な圧縮効率を確保することができる。
以上説明したように、本発明のスクロール圧縮機によれば、簡単な構成により固定スクロールと可動スクロールとの間におけるシール性を高め、良好な圧縮効率を有するスクロール圧縮機を提供することができる。
図1は一実施例のスクロール圧縮機を示している。
このスクロール圧縮機はスクロール型流体機械であって、例えば、自動車用空調装置における冷凍回路の圧縮機として用いられる。より詳しくは、冷凍回路は、作動流体としての冷媒が循環する循環管路を備え、圧縮機は蒸発器に循環管路を介して接続され、この循環管路の往路には凝縮器及び膨張弁が介挿される。なお、このスクロール圧縮機は、冷蔵庫及び冷凍庫の冷凍回路にも適用可能であり、又原理的には膨張機としても使用可能である。
この圧縮機はハウジング20を備え、ハウジング20はそれぞれAl合金製の駆動ケーシング22及び圧縮ケーシング24を有する。駆動ケーシング22は、圧縮ケーシング24側が大径となる段付きの筒形状をなし、それぞれ開口した両端を有する。一方、圧縮ケーシング24は、駆動ケーシング22の大径端に向けて開口したカップ形状をなし、その開口端が駆動ケーシング22の大径端にシールリング26を介して気密に嵌合され、そして、複数の連結ねじ28を介して駆動ケーシング22の大径端に連結されている。
駆動ケーシング22内には回転軸30が配置され、この回転軸30もまた段付き形状をなし、一端側の小径軸部32と、その他端の大径端部34とを有する。
回転軸30の大径端部34はニードル軸受36を介して駆動ケーシング22に回転自在に支持されている。ここで、ニードル軸受36は開放型であって、その両側の空間をその内部を通じて自由に流通させることができる。
また、回転軸30の小径軸部32もまたボール軸受38を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。
更に、駆動ケーシング22内にはボール軸受38とニードル軸受36との間に軸封止ユニット、即ち、リップシール40が配置されており、このリップシール40は回転軸30の小径軸部32に相対的に摺接し、駆動ケーシング22内を気密に区画している。
更に、回転軸30の小径軸部32は駆動ケーシング22の小径端から突出し、その突出端に駆動ディスク42がナット44を介して取付けられている。駆動ディスク42は電磁クラッチ46を介して駆動プーリ48に連結されており、駆動プーリ48は電磁クラッチ46のソレノイドを内蔵し、プーリ軸受50を介して駆動ケーシング22の小径端に回転自在に支持されている。
駆動プーリ48には駆動ベルト(図示せず)が掛け回されており、そして、電磁クラッチ46は駆動プーリ48から駆動ディスク42、即ち、回転軸30に伝達される駆動力を断続する。従って、電磁クラッチ46がオン作動したとき、電磁クラッチ46は駆動プーリ48と駆動ディスク42を一体的に連結し、駆動ディスク42、即ち、回転軸30を駆動プーリ48とともに一方向に回転させる。これに対し、電磁クラッチ46がオフ作動されているとき、電磁クラッチ46は駆動プーリ48と駆動ディスク42との間の連結を解除し、駆動プーリ48から回転軸30の動力の伝達を断つ。
一方、圧縮ケーシング24内にはスクロールユニット52が収容され、このスクロールユニット52は、それぞれAl合金製の可動スクロール54及び固定スクロール56を有する。可動スクロール54及び固定スクロール56は互いに噛み合うように配置された渦巻きラップ54a,56aを有し、これら渦巻きラップ54a,56aは、それらの径方向内面及び外面にて相互に局所的に摺接し、これらの摺接個所は可動スクロール54の旋回運動に伴なってそれらの周方向に移動する。また、可動スクロール54及び固定スクロール56は、渦巻きラップ54a,56aの軸線方向両側に、渦巻きラップ54a,56aと一体的に形成された基板54b,56bをそれぞれ有する。換言すれば、各基板54b,56bの内面には、渦巻きラップ54a,56aが一体的に形成されており、これら渦巻きラップ54a,56aにより渦巻き状の摺接面54c,56cがそれぞれ区画されている。渦巻きラップ54a,56aの先端面には、その長手方向に亘って延びる溝がそれぞれ設けられ、これらの溝には弾性変形可能なシール部材、具体的には、フッ素樹脂から成る渦巻き状のチップシール57,58が嵌め込まれている。チップシール57,58の表面は、渦巻きラップ54a,56aの先端面と略面一にあるか又はこれらの先端面から僅かに外方に突出しており、チップシール57,58を介して、渦巻きラップ54a,56aの先端面は相手側の基板54b,56bの摺接面54c,56cに対して摺接自在になっている。つまり、チップシール57,58を介して、渦巻きラップ54a,56aの先端面と相手側の基板54b,56bの摺接面54c,56cとの間のシール性が確保され、可動スクロール54及び固定スクロール56は、互いに協働して渦巻きラップ54a,56a間に圧縮室59を形成することができる。そして、この圧縮室59は可動スクロール54の旋回運動により、渦巻きラップ54a,56aの径方向外周側から中心に向けて移動し、この際、その容積が減少される。なお、可動及び固定スクロール54,56の摺接面54c,56cは、それぞれ階段状に段付けられているけれども、これについては後述する。
上述した可動スクロール54の旋回運動を達成するため、可動スクロール54の基板56aは駆動ケーシング22側に向けて突出するボス62を有しており、このボス62は開放型のニードル軸受64を介して偏心ブッシュ66に回転自在に支持されている。より詳しくは、ニードル軸受64はボス62内に圧入して取付けられている。
偏心ブッシュ66はクランクピン68に支持され、このクランクピン68は回転軸30の大径端部34から偏心して突出している。従って、回転軸30の回転に伴い、クランクピン68及び偏心ブッシュ66を介して可動スクロール54が旋回運動することなる。
また、偏心ブッシュ66にはこの偏心ブッシュ66と大径端部34との間に挟持されるようにしてカウンタウエイト70が取付けられており、このカウンタウエイト70は複数の大小の円弧状プレートを重ね合わせて構成され、可動スクロール54の旋回運動に対するバランスウエイトとなる。より詳しくは、カウンタウエイト70は偏心ブッシュ66に連結ピン71を介して取付けられ、この連結ピン71回りの回転がクランクピン68により阻止されている。従って、カウンタウエイト70もまた可動スクロール54と同様に、その旋回姿勢を一定にした状態で旋回運動する。
更に、駆動ケーシング22の大径端と可動スクロール54の基板54bとの間には自転阻止機構としてのボールカップリング72が介装されている。例えば、ボールカップリング72は駆動ケーシング22の大径端及び基板54bにそれぞれ支持され、その周方向に等間隔を存して環状レースを有した一対のリングプレート74と、これらリングプレート74の環状レース間に挟持されたボール76とからなり、ニードル軸受64の軸線を中心とした可動スクロール54の自転を阻止する。
一方、固定スクロール56は圧縮ケーシング24内にてボルト(図示せず)を介して固定されている。固定スクロール56の基板56bは、Oリング78と協働して圧縮ケーシング24内を圧縮室59側と吐出室80とに気密を存して仕切っており、スクロールユニット52の外周と圧縮ケーシング24の内周面との間には、吸入室81が区画されている。また、基板56bにはその中央に圧縮室59に連なる吐出孔82が形成され、この吐出孔82は吐出弁としてのリード弁84により開閉される。このリード弁84はその弁押さえ86とともに基板56bの外面にボルト85を介して取付けられている。
なお、圧縮ケーシング24には、図1には示されていないが、その周壁に吸入室81及び吐出室80にそれぞれ連通する吸込口及び送出口が形成されており、吸込口は前述した循環管路の復路に接続され、そして、送出口は循環管路の往路に接続されている。
上述したスクロール圧縮機によれば、回転軸30の回転に伴い、クランクピン68及び偏心ブッシュ66を介して可動スクロール54が旋回運動し、この際、可動スクロール54の自転がボールカップリング72の働きにより阻止された状態にある。この結果、可動スクロール54はその旋回姿勢を一定に維持した状態で、固定スクロール56に対して旋回運動し、この旋回運動により、以下の一連のプロセスが実施される。まず、吸込口を通じて吸入室81に外部から冷媒が吸い込まれ、そして、吸入室81内の冷媒は、スクロールユニット52の外周にて吸入室81と連通した圧縮室59内に吸い込まれる。圧縮室59内に吸い込まれた冷媒は、渦巻きラップ54a,56aに沿った渦巻き中心方向への圧縮室59の移動に伴ない、その容積減少により圧縮される。圧縮冷媒は、渦巻き中心近傍にて圧縮室59が吐出孔82に連通したときに、その圧力によりリード弁84が開弁されて吐出室80内に吐出される。この後、圧縮冷媒は吐出室80から送出口を通じて外部に供給される。なお、スクロールユニット52においては、渦巻き方向に沿って相互に離間した複数の圧縮室59が同時に形成され、一連のプロセスにおける各工程が同時に進行する。
このスクロール圧縮機では、可動及び固定スクロール54,56の渦巻き状の摺接面54c,56cが、それぞれ階段状に段付けられているが、これについて先ず可動スクロール54の方から説明する。
図2(a),(b)は、ボス62にニードル軸受64を圧入する以前、即ちスクロール圧縮機を組立てる前の可動スクロール54をそれぞれ示している。この状態において、渦巻きラップ54aの先端面は同一基準面内90にある。そして、渦巻き状の摺接面54cは、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面90から段階的に離間する複数段の区画域92,93,94,95に区画されている。各区画域92〜95は基準面90とそれぞれ平行であり、基準面90と区画域92〜95との間隔をそれぞれH1,H2,H3,H4としたときに、これらH1〜H4の間には、H1<H2<H3<H4で示される関係が成立している。互いに隣接する区画域92〜95は、摺接面54cを横断する段差97,98,99を介して連なっている。段差97〜99は、それぞれ摺接面54cの周方向に凹んだ半円形状をなし、渦巻きに沿って半周おきに設けられている。即ち、段差97〜99は、展開角にして略180度の間隔を存して互いに離間している。段差97〜99の高さは、例えば5〜50μmの範囲にあり、これら段差97〜99の高さをそれぞれS1,S2,S3としたときに、これらの高さS1〜S3は、S1=H2−H1,S2=H3−H2,S3=H4−H3で表される。また、段差97〜99の高さS1〜S3は、径方向外側に位置付けられるにつれ段階的に増大しており、S1〜S3の間には、S1<S2<S3で示される関係が成立している。なお、図2(a)から明らかなように、チップシール57は、渦巻きラップ54aの外端から展開角にして略180度の領域には設けられていない。
固定スクロール56についても、単体での断面図は省略するが、その渦巻きラップ56aの先端面はスクロール圧縮機の組立て前において同一基準面内にある。そして、固定スクロール56の渦巻き状の摺接面56cも、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面から段階的に離間する複数段の区画域101,102,103,104に区画されている(図3参照)。各区画域101〜104は基準面とそれぞれ平行であり、基準面(渦巻きラップ56aの先端面)と区画域101〜104との間隔をそれぞれH5,H6,H7,H8としたときに、これらH5〜H8の間には、H5<H6<H7<H8で示される関係が成立している。互いに隣接する区画域101〜104は、摺接面56cを横断する段差106,107,108を介して連なっている。段差106〜108は、それぞれ摺接面56cの周方向に凹んだ半円形状をなし、展開角にして略180度の間隔を存して互いに離間している。段差106〜108の高さをそれぞれS4,S5,S6としたときに、これらの高さS4〜S6は、S4=H6−H5,S5=H7−H6,S6=H8−H7で表される。また、段差106〜108の高さS4〜S6は、固定スクロール56と可動スクロール54とを噛み合わせたときに径方向位置が対応する段差97〜99の高さS1〜S3と略同一に設定され、高さS4〜S6との間には、S4=S1,S5=S2,S6=S3で示される関係が成立している。従って、段差106〜108の高さS4〜S6も、径方向外側に位置付けられるにつれ段階的に増大しており、S4<S5<S6で示される関係が成立している。なお、図3から明らかなように、チップシール58も、渦巻きラップ56aの外端110から展開角にして略180度の領域には設けられていない。
上述のスクロール圧縮機は、従来技術の場合に比べて固定スクロール56と可動スクロール54との間におけるシール性が向上し、良好な圧縮効率を確保することができる。この理由を以下に説明する。
このスクロール圧縮機の組立の際、可動及び固定スクロール54,56は、可動スクロール54の基準面90と固定スクロール56の基準面とが互いに平行となるように、互いに噛み合うように配置される。
ここで、固定スクロール56はボルトを介して圧縮ケーシング24に固定されるのみであり、組立て前後で変形することはないので、固定スクロール56の渦巻きラップ56aの先端面は基準面90に対して平行な状態にある。
これに対して、可動スクロール54においては、ボス62にニードル軸受64を圧入したことによって、その基板54bが固定スクロール56側からみて凹状に湾曲してしまうと、図4に模式的に示したように、摺接面54cと基準面90又は固定スクロールの基準面91とは厳密には平行にはならない。しかし、可動スクロール54の渦巻き状の摺接面54cは、中央から径方向外側に向かうにつれ、基準面90から段階的に離間する複数段の区画域92〜95に区画されているので、基板54bの湾曲に起因する不具合が補償される。つまり、摺接面54cの区画域92〜95は、その渦巻き方向全域に亘り基準面90と平行な面上に実質的に配置されることになり、段差97〜99の存在によって、摺接面54cの各区画域92〜95と基準面90との間隔の偏差が減少される。
なお、厳密に言えば、摺接面54cの区画域92〜95は基準面90と平行ではなく、基準面90に対して傾斜するが、しかしながら、この傾斜は実際上、チップシール58の弾性変形により吸収される程度の僅かなものである。それ故、固定スクロール56の渦巻きラップ56aの先端面は、可動スクロール54の摺接面54cに対して、中央から径方向外側の全域に亘り均等にチップシール58を介し密着される。
また、可動スクロール54においては、上述した基板54bの湾曲により、図5に示したように渦巻きラップ54aの先端面が基準面90から偏差を存して離間する。つまり、渦巻きラップ54aの先端面は、径方向外側ほど基準面90から固定スクロール56に向かって突出し、基準面90に対して平行にはならない。しかし、固定スクロール56の渦巻き状の摺接面56cも、中央から径方向外側に向かうにつれ、固定スクロール56の渦巻きラップ56aの先端面、即ち基準面91から段階的に離間する複数段の区画域101〜104に区画されているので、可動スクロール54における渦巻きラップ54aの先端面と固定スクロール56における各区画域101〜104との間隔の偏差を小さくすることができる。
なお、厳密に言えば、可動スクロール54の渦巻きラップ54aの先端面は摺接面56cの区画域101〜104と平行ではなく、区画域101〜104に対して傾斜するが、しかしながら、この傾斜は実際上、チップシール57の弾性変形により吸収される程度の僅かなものである。それ故、可動スクロール54の渦巻きラップ54aの先端面は、固定スクロール56の摺接面56cに対して、中央から径方向外側の全域に亘り均等にチップシール57を介して密着される。
このようにして各渦巻き状の摺接面54c,56cに対して相手側スクロール54,56の渦巻きラップ54a,56aの先端面が径方向全域に亘って均等に密着可能となっていることで、可動スクロール54の基板54bが湾曲していても、簡単な構成にて固定スクロール56と可動スクロール54との間のシール性が向上し、良好な圧縮効率を確保することができる。
なお、図4及び図5においては、図2(b)における段差97〜99の高さS1〜S3の場合と同様に、基板54bの湾曲、この湾曲に伴う渦巻きラップ54aの傾き、段差97,106の高さS1,S4、及び、渦巻きラップ54a,56aの先端面からのチップシール57,58の突出量を説明のために誇張して描いている。
本発明は上記した一実施例に限定されることはなく、種々変形が可能であり、例えば、渦巻き状の摺接面54c,56cは、それぞれ3つの区画域92〜95,101〜104に区画されていたが、区画域の数は2つ以上であればよい。ただし、渦巻き状の摺接面54c,56cを、それぞれ3つ以上の区画域に区画すれば、固定スクロール56と可動スクロール54との間のシール性が一層向上し、更に良好な圧縮効率を確保することができるので好ましい。なぜならば、3つ以上の区画域に区画すれば、可動スクロール54における摺接面54cの各区画域92〜95と基準面90との間隔の偏差をより小さくすることができるとともに、可動スクロール54における渦巻きラップ54aの先端面と固定スクロール56における各区画域101〜104との間隔の偏差をより小さくすることができるからである。
また、上記した一実施例では、複数の区画域92〜95,101〜104において隣接する区画域間の段差97〜99,106〜108の高さS1〜S3,S4〜S6は、中央から径方向外側に位置付けられるほど大きくなるよう設定したが、段差97〜99,106〜108の高さS1〜S3,S4〜S6は、一定であってもよい。ただし、段差97〜99,106〜108の高さS1〜S3,S4〜S6を中央から径方向外側に位置付けられるほど大きくすれば、固定スクロール56と可動スクロール54との間のシール性が一層向上し、更に良好な圧縮効率を確保することができるので好ましい。なぜならば、可動スクロール54の基板54bが湾曲したときに、基板54bの曲率は、中央よりも径方向外側の方で大きくなるので、この基板54bの曲率の増大に対応して、段差97〜99,106〜108の高さS1〜S3,S4〜S6を径方向外側に位置付けられる段差ほど大きくすれば、可動スクロール54における各区画域92〜95と基準面90との間隔の偏差をより小さくすることができるとともに、可動スクロール54における渦巻きラップ54aの先端面と固定スクロール56における各区画域101〜104との間隔の偏差をより小さくすることができるからである。なお、段差97〜99,106〜108の高さS1〜S3,S4〜S6は、段差97〜99を設けたことにより可動スクロール54の基板54bの強度が径方向外側の方で低下し、基板54bの曲率が径方向外側で一層大きくなることも考慮して設定するのが好ましい。
そして、上記した一実施例では、段差97〜99,106〜108を展開角にして180度の間隔にて摺接面54c,56cに形成したけれども、段差97〜99,106〜108の間隔は、段差の数等に応じて適宜変更してもよい。
更に、上記した一実施例では、段差97〜99,106〜108の形状は、エンドミルを用いて加工することを考慮して半円形状にしたけれども、格別限定されることはなく平面状であってもよい。
本発明の一実施例のスクロール圧縮機の縦断面図である。 図1のスクロール圧縮機に用いられる可動スクロールの(a)平面図、及び、(b)縦断面の模式図である。 図1のスクロール圧縮機に用いられる固定スクロールの平面図である。 図1のスクロール圧縮機における、可動スクロールの摺接面に対する固定スクロールの渦巻きラップの摺接状態を説明するための模式図である。 図1のスクロール圧縮機における、固定スクロールの摺接面に対する可動スクロールの渦巻きラップの摺接状態を説明するための模式図である。
符号の説明
52 スクロールユニット
54 可動スクロール
56 固定スクロール
54a,56a 渦巻きラップ
54b,56b 基板
54c,56c 摺接面
92,93,94,95 摺接面54cの区画域
101,102,103,104 摺接面56cの区画域
97,98,99 摺接面54cの段差
106,107,108 摺接面56cの段差

Claims (3)

  1. ハウジング内に設けられた固定スクロールと、
    ボスを有し、このボス内に圧入した軸受を介して回転自在に支持され、且つ、前記固定スクロールに対して噛み合った状態で旋回運動する可動スクロールとを備えたスクロール圧縮機において、
    前記可動及び固定スクロールのそれぞれは、
    基板と、
    当該基板の内面に一体的に形成された渦巻きラップと、
    前記渦巻きラップにより前記基板の内面に渦巻き状に区画され、他方のスクロールの渦巻きラップが弾性変形可能なシール部材を介して摺接される渦巻き状の摺接面と
    を含み、
    前記渦巻きラップの先端面はそれぞれ同一基準面内にあり、
    前記渦巻き状の摺接面は、その中央から径方向外側に向かう渦巻き方向でみて、前記基準面から段階的に離間する複数段の区画域に区画されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記渦巻き状の摺接面は、前記複数段の区画域として3つ以上の区画域に区画されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記渦巻き方向に隣接する区画域間の段差は、中央から径方向外側に位置付けられるに従い段階的に大きくなっていることを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
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