JP5229479B2 - アダマンタンジアルコール類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、アダマンタン骨格を有し、光学特性や耐熱性、酸解離性などに優れた、架橋型樹脂、光ファイバーや光導波路、光ディスク基板、フォトレジストなどの光学材料およびその原料、医薬・農薬中間体、その他各種工業製品などとして有用な新規なアダマンタンジアルコール類の製造方法に関する。
アダマンタンは剛直な構造を有し、また対称性が高く、その誘導体は特異な機能を示すことから、高機能樹脂材料や医薬中間体、光学材料(特許文献1及び2)、フォトレジスト(特許文献3)などに有用であることが知られている。特にアダマンタンジアルコール類はポリエステル原料として有用である。また、アダマンタンジアルコール類は、特許文献4に記載フォトレジスト材料の原料として使用される。
通常、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類は、まず、式(1)で表されるアダマンタンジオール類をプロトン酸中で一酸化炭素や一酸化炭素源、および式(2)で表されるアルコール化合物と反応させて、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を生成した後、晶析して取得し、それを原料にして式(3)〜(6)で表されるGrignard試薬や有機リチウム試薬と反応させて晶析して得る方法が一般的である。
特開平6−0305044号公報 特公平1−53633号公報 特開平4−39665号公報 特開2006−016379号公報
しかし、この製造方法では、式(8)で表されるアダマンタンカルボン酸エステル類は溶媒に溶けやすいので晶析の際の母液ロスが大きく、それに伴い、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類の取出し収率が低いという問題があった。
一方、これらの合成を一連で実施するとしても、有機合成上の困難を伴う。具体的には、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類から式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類を合成する反応は、有機金属化合物を使用するため、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を合成した際に使用した、式(2)で表されるアルコール化合物や、プロトン酸が残存していると有機金属化合物を失活させて反応を阻害するなどの理由から製造工程が困難であり、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類を効率よく製造することが困難であった。
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本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アダマンタン骨格を有し、光学特性や耐熱性、酸解離性などに優れたアダマンタンジアルコール類を高い収率で且つ効率よく製造できるアダマンタンジアルコール類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、式(1)で表されるアダマンタンジオール類から合成した、前駆体である式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を単離することなく、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類を高い収率で且つ効率よく製造することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、式(1)で表されるアダマンタンジオール類をプロトン酸の存在下、一酸化炭素もしくは一酸化炭素源、および式(2)で表されるアルコール化合物を添加して反応させて生成した式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を単離することなく、有機溶媒で抽出した後に、式(3)または式(4)で表される少なくとも一種類の有機金属化合物、または式(5)または式(6)で表される少なくとも一種類のハロゲン化アルキルおよび金属と反応させることを特徴とする式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類の製造方法を提供する。
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本発明によれば、アダマンタン骨格を有し、光学特性や耐熱性、酸解離性などに優れた、架橋型樹脂、光ファイバーや光道波路、光ディスク基板、フォトレジストなどの光学材料およびその原料、医薬・農薬中間体、その他各種工業製品などとして有用なアダマンタンジアルコール類を高い収率で且つ効率よく製造できるアダマンタンジアルコール類の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
式(1)で表されるアダマンタンジオール類としては、1,3−アダマンタンジオール、5−メチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジエチル−1,3−アダマンタンジオール、5−メトキシ−1,3−アダマンタンジオール、5−エトキシ−1,3−アダマンタンジオール、5−プロポキシ−1,3−アダマンタンジオール、5−ブトキシ−1,3−アダマンタンジオールなどが挙げられる。
式(2)で表されるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
式(3)としては、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウム、塩化n−プロピルマグネシウム、臭化n−プロピルマグネシウム、ヨウ化n−プロピルマグネシウム、塩化iso−プロピルマグネシウム、臭化iso−プロピルマグネシウム、ヨウ化iso−プロピルマグネシウム、塩化t−ブチルマグネシウム、臭化t−ブチルマグネシウム、ヨウ化t−ブチルマグネシウム、塩化n−ブチルマグネシウム、臭化n−ブチルマグネシウム、ヨウ化n−ブチルマグネシウム、塩化n−ヘキシルマグネシウム、臭化n−ヘキシルマグネシウム、ヨウ化n−ヘキシルマグネシウムなどが挙げられる。
式(4)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウムなどが挙げられる。
式(5)または式(6)で表されるハロゲン化アルキルとしては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩化iso−プロピル、臭化iso−プロピル、ヨウ化iso−プロピル、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、ヨウ化t−ブチル、塩化n−ブチル、臭化n−ブチル、ヨウ化n−ブチル、塩化n−ヘキシル、臭化n−ヘキシル、ヨウ化n−ヘキシルなどが挙げられる。
なお、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類としては、上記式(1)、(3)〜(6)に対応したアダマンタンジアルコール類となる。例えば、式(1)で表されるアダマンタン類が1,3−アダマンタンジオール、式(3)で表されるハロゲン化アルキルマグネシウムとして臭化メチルマグネシウムを使用した場合には、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類は、1,3−アダマンタンジイソプロパノール(ビス−1,3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アダマンタン)となる。
カルボキシル化反応で使用される一酸化炭素は、純粋な一酸化炭素であってもよく、不活性ガスで希釈して使用してもよい。一酸化炭素は常圧もしくはオートクレーブを使用した加圧下で使用してもよい。
また、一酸化炭素の代わりに、ギ酸もしくは式(9)で表されるギ酸アルキルなどを一酸化炭素源として用いる方法が挙げられる。例えば、濃硫酸中ではギ酸は分解して一酸化炭素を発生することが知られている。
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ギ酸アルキルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸ノニル、ギ酸デカニル、ギ酸シクロヘキシルなどが挙げられる。このときに使用したギ酸アルキルから対応するアルコールが副生するため、一部、対応したアダマンタンカルボン酸エステル類を副生する。そのため、ギ酸アルキルを使用する際には所望のアルキル基を有したギ酸アルキルを使用することが望ましい。
一酸化炭素の使用量は、基質に対して1当量(この場合、2個のカルボキシル基を導入する場合は、基質1モルに対して一酸化炭素2モルとなる)〜1000当量の範囲から選択でき、好ましくは1〜10当量、さらに好ましくは1〜3当量程度である。それより少ないと当然ながら収率が低下するし、それより多くても収率は変らない。一酸化炭素源として、一酸化炭素の代わりにギ酸もしくはギ酸アルキルを用いる場合も同様である。それより少ないと当然ながら収率が低下するし、それより多いと、ギ酸から副生した水が次のアルキルエステル化反応を阻害して収率が低下するためである。
反応をプロトン酸の存在下で行うと、反応を円滑に行うことができ、高い選択率および収率で目的化合物を得ることができる。このプロトン酸は、溶媒として用いてもよい。プロトン酸としては、有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸など)、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸など)が含まれる。その中で、濃硫酸が安価で取り扱いが容易なので使用に望ましい。
使用する濃硫酸の濃度としては、好ましくは90%以上の水溶液、さらに好ましくは96%以上が望ましい。それより濃度が低いと、水酸基が十分にカルボキシル基に変換しない、また濃硫酸中に含まれている水分が次のアルキルエステル化反応の進行を阻害して収率が低下してしまう。
濃硫酸の使用量は、式(1)で表されるアダマンタンジオール類に対して通常、2〜20重量倍、好ましくは4〜16重量倍、さらに好ましくは8〜12重量倍にすることが望ましい。それより多いと、水酸基が十分にカルボキシル基に変換しないし、またそれより多いと、次のアルキルエステル化反応を実施した後の分離工程で、有機溶媒を分離するために多量の溶媒や水を入れないといけなくなり釜効率が低下する。
カルボキシル基導入反応は、不活性な有機溶媒を用いても良い。有機溶媒としては、例えば、酢酸などの有機カルボン酸、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、これらの混合溶媒など挙げられる。
上記のカルボキシル化反応は、比較的温和な条件であっても反応が円滑に進行する。反応温度は、例えば、−78〜200℃、好ましくは−20〜100℃程度であり、通常、0〜80℃程度で反応する場合が多い。これより低い温度では反応が十分に進行せず、また高い温度では副反応が進行して収率が低下する。反応は、常圧または加圧下で行なうことができる。
反応時間は通常1〜100時間、好ましくは1〜10時間で実施する。それより短時間だとカルボキシル化反応が十分に進行しないし、それより長くても収率は変らない。
上記の方法の中で、好ましくは、アダマンタン原料として1,3−アダマンタンジオールまたは、プロトン酸として濃硫酸、一酸化炭素源としてギ酸を使用する方法が、簡便かつ温和な液相反応で取り扱うことができ、また高選択率かつ高収率で目的の1,3−アダマンタンカルボン酸誘導体が得られる。
式(2)で表されるアルコール化合物の添加量は通常、式(1)で表されるアダマンタン類に対して2〜6重量倍、好ましくは3〜5重量倍を使用する。それより少ないとアルキルエステル化が十分に進行しない。それより多いと、その後の分離工程で有機溶媒と濃硫酸層との分離が悪くなり、また抽出効率も低下する。
反応温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜80℃で実施する。反応温度は式(2)で表されるアルコール類にも依存するが、それより低いとアルキルエステル化反応が十分に進行しないし、それより高いと副反応が進行して収率が低下する。
反応時間は通常1〜100時間、好ましくは1〜10時間で実施する。反応温度はアルコール類にも依存するが、それより単時間だとアルキルエステル化反応が十分に進行しないし、それより長くても収率は変らない。
アルキルエステル化反応終了後は、反応溶液に有機溶媒を添加して式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を抽出して濃硫酸と十分に分離する。
反応溶液は、使用した濃硫酸や一酸化炭素源、式(1)で表されるアダマンタン類、特に式(2)で表されるアルコール化合物の量にも依存するが、有機溶媒を添加しても分離が悪いことがある。そのため分離を良くするために、有機溶媒を添加する前に、反応溶液を濃縮して未反応のアルコール化合物や水分を除去しても良い。また、分離を良くするために水を添加しても良い。水を添加する場合、使用した濃硫酸に対して0.1〜3重量倍、好ましくは0.2〜1.5重量倍を添加する。それより少ないと分離が良くないし、それより多くても釜効率が低下するだけである。
添加する有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、プソイドクメンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシルなどのエステル類、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどのアルコール類、アセトン、プロパノン、ブタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類が挙げられる。
上記有機溶媒は単独でも2種類以上混合して使用しても構わない。特に、有機溶媒の中には、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類の抽出効率は良いが、濃硫酸(硫酸水溶液、アルコールを含んだ硫酸水溶液)との分離が悪いものもある。一方、濃硫酸(硫酸水溶液、アルコールを含んだ硫酸水溶液)との分離は良いが、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類の抽出効率が悪いものもある。そのような場合は、2種類以上の有機溶媒を使用することが望ましい。
使用する抽出有機溶媒量は、原料に対して通常1〜100重量倍、好ましくは1〜20重量倍、より好ましくは2〜20重量倍を使用する。使用した濃硫酸やギ酸、式(1)で表されるアダマンタンジオール類、特に式(2)で表されるアルコール化合物の量にも依存するので、特に限定はしない。また、抽出回数に特に制限はない。
抽出有機溶媒を添加する際には、抽出有機溶媒と濃硫酸との副反応を抑制するため、反応溶液の温度を40℃以下にまで冷却することが望ましい。
抽出終了後においては、抽出有機溶液を水洗処理することが望ましい。それにより、未反応のアダマンタンカルボン酸類や抽出の際に混入した濃硫酸などの不純物が除去される。このとき、洗浄水中に塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等、適当な無機塩が含まれていてもよい。また、アルカリ洗浄してもよい。アルカリ洗浄には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム溶液、アンモニア水などが挙げられるが、用いるアルカリ成分に特に制限はない。また、金属不純物を除去するために、酸洗浄しても良い。酸洗浄には、塩酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液などの無機酸およびシュウ酸水溶液などの有機酸が挙げられる。
また、洗浄に際し、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類の物性に応じて、反応液に有機溶媒を添加してもよい。添加する有機溶媒は、反応や抽出と同一のものを使用することもできるし、異なったものを使用することもできるが、通常、水との分離がよい極性の小さい溶媒を用いることが望ましい。
抽出溶液の洗浄後、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類が容易に分離精製できる。しかかしながら、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類は有機溶媒に溶けやすいので、晶析の際の母液ロスが大きい問題がある。
そこで、上記方法で得られた有機溶媒には、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類が含まれており、それと式(3)〜(4)で表される有機金属化合物との反応、または式(5)〜(6)で表される有機金属化合物を誘導するハロゲン化アルキル/金属(リチウムまたはマグネシウム)をワンポットで使用するBarbier反応を実施することにより、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類を得ることができる(以下、式(3)〜式(6)については有機金属化合物とする)。
上記方法で得られた式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を含む有機層は、式(3)〜(6)で表される有機金属化合物と反応させる前に、反応を阻害する成分を予め除去しておく必要がある。
反応を阻害する成分として、水分が挙げられる。水分は、分液、蒸留、硫酸マグネシウムとの接触などの公知の方法によって除去できる。水分は、好ましくは溶媒量に対して1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下まで低減する。
また、反応を阻害する成分として、式(2)で表されるアルコール化合物や、式(3)〜(6)で表される有機金属化合物と反応する溶媒種が挙げられる。式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を抽出する際に、溶媒としてカルボン酸エステル、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類などを使用した場合には除去する必要がある。除去する方法として、濃縮が挙げられる。また、式(3)〜(6)で表される有機金属化合物に対して不活性なヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プソイドクメンなどの芳香族化合物類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などに置換する方法も挙げられる。置換に際しては、アルコール化合物や、反応を阻害する溶媒を完全に留去してから不活性な溶媒を添加する方法や、またアルコール化合物や反応を阻害する溶媒より沸点の高い不活性な溶媒を添加して留去するなどの既知の方法が使用できる。不活性な溶媒は、式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を抽出する際に予め使用して、そのまま次の反応に用いても良いし、洗浄処理の際に添加しても良いし、またと式(3)〜(6)で表される有機金属化合物とを反応させる直前に置換しても良い。
式(3)または式(4)で表される有機金属化合物の使用量は通常、式(1)で表されるアダマンタンジオール類に対して、1当量(この場合、原料1モルに対して、アルキル基分4モル)〜10当量、好ましくは1当量〜2当量を使用する。
また、式(5)または式(6)で表されるハロゲン化アルキルは、式(1)で表されるアダマンタンジオール類に対して、通常1当量(この場合、原料1モルに対して、アルキル基分4モル)〜10当量、好ましくは1当量〜2当量を使用する。マグネシウムは1当量(この場合、原料1モルに対して、アルキル基分4モル)〜10当量、好ましくは1当量〜2当量を使用する。リチウム金属は、2当量(この場合、原料1モルに対して、アルキル基分4モル)〜20当量、好ましくは2当量〜3当量を使用する。リチウムおよびマグネシウムは通常、金属の塊で使用しても良いし、また粉末状のものを使用しても良く、特に制限はない。
反応温度は、例えば−20〜150℃、好ましくは0〜100℃程度で実施される。反応時間は、通常0.1〜1000時間、好ましくは1〜100時間で実施される。
反応終了後、反応溶液を水洗処理することが望ましい。水洗時には、多量のマグネシウム塩またはリチウム塩が析出するため、酸洗浄により除去することが望ましい。酸洗浄には、塩酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液などの無機酸およびシュウ酸水溶液などの有機酸が挙げられるが、特に制限はない。また、未反応のアダマンタンカルボン酸類などの不純物を除去するため、アルカリ洗浄してもよい。アルカリ洗浄には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム溶液、アンモニア水などが挙げられるが、用いるアルカリ成分に特に制限はない。通常の水洗処理には、洗浄水中に塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等、適当な無機塩が含まれていてもよい。
洗浄工程を実施する際には、式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類の物性に応じて溶媒を添加してもよい。添加する溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、エチルベンゼン、プソイドクメンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシルなどのエステル類、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどのアルコール類、アセトン、プロパノン、ブタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類、酢酸などの有機カルボン酸、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類、これらの混合溶媒など挙げられる。これらは洗浄工程の途中や後に添加してもよい。
反応溶液の洗浄後、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、目的の式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類が容易に分離精製できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロートを備えたフラスコに、1,3−アダマンタンジオール(純度96%)50.3gを仕込み、濃硫酸404.6gを入れた。室温で攪拌して原料が溶解したのを確認した後、ギ酸37.8gを2時間かけて滴下した。その間の温度は25〜42℃であった。滴下終了後、0.8時間、室温で熟成させ、その後、トルエン250mL、メタノール150.4gを加えて55℃まで加熱して4時間攪拌した。その後、フラスコを氷冷して液温10〜20℃の範囲に留まるように時間をかけて、イオン交換水400mLを加えた。その後、酢酸エチル250mLを加えて十分に攪拌し、分液した。分液後、硫酸水溶液に再びトルエン250mL、酢酸エチル250mLを加えて十分に攪拌し、分液した。トルエン/酢酸エチル溶液を混合してGC分析したところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチルの反応収率は80%であった。
トルエン/酢酸エチル溶液をイオン交換水50mL、5%水酸化ナトリウム水溶液50g、イオン交換水50mL、イオン交換水50mLで順次洗浄した後60gまで濃縮し、テトラヒドロフラン240mLを加えた。3M臭化メチルマグネシウム・ジエチルエーテル溶液330mLを液温が25〜35℃になるように滴下し、その後室温で18時間攪拌した。反応溶液にテトラヒドロフランを300mL追加して、10%硫酸水溶液500gを加えてクエンチした。分液後、有機層をイオン交換水50mLで2回洗浄した。有機層を5Aろ紙でろ過後、80gまで減圧濃縮したところ、結晶が析出した。吸引ろ過したところ、1,3−アダマンタンジイソプロパノール60.1gを得た(トータルの取出し収率は69%)。取出しまでに要した日数は4日であった。
(比較例1)
攪拌機、温度計、滴下ロート、ジムロート冷却器を備えたフラスコに、1,3−アダマンタンジオール168g(純度96%)、1,2−ジクロロエタン670mL、96%硫酸2012gを仕込み、ギ酸503gを3時間かけて滴下し、その後室温で25時間反応させた。イオン交換水1000mLを加えて析出した結晶をろ別し、水洗して1,3−アダマンタンジカルボン酸328g(取出し収率94%、多量の水分を含んでいる)を得た。ろ過には2時間を要した。引き続き、2日かけて真空乾燥させ、1,3−アダマンタンジカルボン酸200gを得た。
次に、攪拌機、温度計、ジムロート冷却器を備えたフラスコに、上記1,3−アダマンタンジカルボン酸200g、96%硫酸59g、メタノール682gを加え、65〜70℃で6時間反応させた。反応後、室温まで冷却してイオン交換水100mL、1,2−ジクロロエタン500mLを加えて分液した。水/メタノール層をさらに1,2−ジクロロエタン500mLで2回抽出した。有機層を288gまで濃縮し、ヘキサン100mLを加えた。結晶が析出し、ろ別したところ、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチル149gを得た(ここまでのトータルの取出し収率は59%)。
さらに、攪拌機、温度計、ジムロート冷却器を備えたフラスコに、上記で得られた1,3−アダマンタンジカルボン酸ジメチル148gを仕込み、テトラヒドロフラン1200mLに溶かした。3M臭化メチルマグネシウム・ジエチルエーテル溶液858mLを液温が25〜35℃になるように滴下し、その後室温で17時間攪拌した。10%硫酸水溶液1400gを加えてクエンチした。分液後、有機層をイオン交換水150mLで洗浄した。有機層を5Aろ紙でろ過後、289gまで減圧濃縮したところ、結晶が析出した。吸引ろ過したところ、1,3−アダマンタンジイソプロパノール120.8gを得た(トータルでの取出し収率は48%)。実施例と比較して、取出し収率は低下しており、また、取出しまでには8日を要した。

Claims (3)

  1. 式(1)で表されるアダマンタンジオール類をプロトン酸の存在下、一酸化炭素もしくは一酸化炭素源、および式(2)で表されるアルコール化合物を添加して反応させて生成した式(8)で表されるアダマンタンジカルボン酸エステル類を単離することなく、有機溶媒で抽出した後に、式(3)または式(4)で表される少なくとも一種類の有機金属化合物、または式(5)または式(6)で表される少なくとも一種類のハロゲン化アルキルおよび金属と反応させることを特徴とする式(7)で表されるアダマンタンジアルコール類の製造方法。
    Figure 0005229479
    Figure 0005229479
    Figure 0005229479
    Figure 0005229479
    Figure 0005229479
  2. 一酸化炭素源が、ギ酸もしくは式(9)で表されるギ酸アルキルである請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0005229479
  3. プロトン酸が硫酸である請求項1に記載の製造方法。
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