JP5227897B2 - 光電変換デバイス、その製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

この発明は、光電変換デバイスとその製造方法および製造装置、ならびに該デバイスの製造に好適な隔壁材料に関するものである。
例えば太陽電池のように、光を受光して起電力を発生する光電変換デバイスの製造技術においては、基板の受光面に集電用の電極または配線を配置する必要がある。このような配線を形成する技術としては、基板表面に配線材料となる金属を蒸着する技術や、導電性材料を含む塗布液をスクリーン印刷またはインクジェット法により印刷する技術などがある。光電変換デバイス用の配線としては、光電変換効率を低下させることがないよう入射光をできるだけ遮蔽せず、しかも電気抵抗の低いものが望ましく、このためにはいわゆるアスペクト比、すなわち配線断面における幅に対する高さの比の高いものが望ましい。しかし、上記技術は一般に薄膜状の配線を形成するものであるため、必ずしも高いアスペクト比を得ることができない。
一方、例えば有機EL素子やプラズマディスプレイパネルなどの製造技術分野においては、ガラス基板等の基板上に形成した隔壁の間に液状の素子材料を流し込むことで所定パターンの素子形成を行う方法も用いられており、このような技術を上記問題に対応するために採用することが考えられる。例えば特許文献1に記載の技術では、基板表面に対し流動性を有するグリッド線(配線)材料と、その両側を挟むように吐出される犠牲材料を共押し出しし、その後基板を熱処理して犠牲材料を蒸発させることにより、高アスペクト比のグリッド線を得るようにしている。
特開2008−118150号公報(図1、図5)
配線と同様に、光電変換デバイスに用いられる隔壁材料にも受光面への入射光を遮蔽しないことが求められる。しかしながら、上記特許文献1に犠牲材料としてプラスチック、セラミック、オイル、セルロース、ラテックス、ポリメチルメタクリレートやそれらの組み合わせなどが記載されている。これらの材料は熱処理等によって消散しないものを含んでおり、残留物が入射光を遮蔽する可能性がある。また、特許文献1には熱処理条件について具体的記載がないが、これらの犠牲材料を完全に消散させるためには高温または長時間の熱処理が必要と推測され、このような熱処理に耐えない材料を用いた光電変換デバイスの製造には適用できない。
このように、光電変換デバイスの製造技術分野においては、アスペクト比の高い配線を形成するための技術は未だ確立されるに至っていないと言うことができる。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、光電変換デバイスの表面に高アスペクト比の配線を容易に形成することのできる技術を提供することを目的とする。
この発明にかかる光電変換デバイスの製造方法の第1の態様は、光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法であって、上記目的を達成するため、前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、光硬化性を有する液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射して硬化させることで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、前記隔壁および前記配線を形成された前記基板表面に光学的に透明な封止材を積層する封止工程とを備え、前記隔壁が光学的に透明で、その屈折率が前記封止材の屈折率と同一または略同一であることを特徴としている。
このように構成された発明では、光硬化により形成された隔壁に挟まれた領域に配線材料を塗布することで配線を形成するので、線幅と高さとの比、すなわちアスペクト比の高い配線を形成することができる。また、隔壁が光学的に透明で封止材と同一または略同一の屈折率を有するので、光学的には両者を一体のものと見なすことができ、隔壁が入射光を遮ることがない。したがって、配線形成後に隔壁を消散させる必要がない。このため、高温処理に適さない基板、例えばアモルファスシリコン層を含む基板や樹脂フィルムを基材とする基板を用いる場合にも本発明を適用することが可能である。
ここで、前記封止材がエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂であり、前記隔壁材料が、実質的にエチレン系樹脂、アクリル酸エステルモノマーおよび光重合開始剤からなるようにしてもよい。エチレン系樹脂およびアクリル酸エステルモノマーを光重合させてなる隔壁と、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂からなる封止材とは光学的特性が類似しているため、本発明に好適に適用することが可能である。なお、ここで「実質的に」との文言は、上記以外の材料の添加を、隔壁の光学的特性を変化させない範囲で許容することを意味する。
特に、前記アクリル酸エステルモノマーについては例えば三官能以上の多官能アクリレートとしてもよく、前記エチレン系樹脂については例えばエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂またはエチレン・アクリレート共重合樹脂としてもよい。これらの材料はエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂からなる封止材との密着性がよく、また光硬化によって比較的強固な構造となるので、封止工程において配線に加わるストレスを低減し配線の損傷を防止することができる。
また、この発明にかかる光電変換デバイスは、光電変換層を有する基板と、前記基板表面に、所定の配線パターンに対応して該配線パターンの周縁部に相当する位置に形成された光学的に透明な隔壁と、前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料が塗布されてなる、前記配線パターンに対応する配線と、前記隔壁および前記配線を形成された前記基板表面を覆う光学的に透明な封止材とを備え、前記隔壁および前記封止材の屈折率が互いに同一または略同一であることを特徴としている。
このように構成された発明では、隔壁を用いることによって高アスペクト比の配線が実現可能である点、また隔壁が封止材と同等の屈折率を有するため隔壁が入射光を遮蔽することがない点から、高い光電変換効率を得ることができる。
また、この発明にかかる光電変換デバイスの製造方法の第2の態様は、光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法であって、上記目的を達成するため、前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射して半硬化状態に硬化させることで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、前記配線を形成された前記基板を熱処理して前記隔壁を消散させる熱処理工程とを備えることを特徴としている。
液状の配線材料を流し込む際の隔壁としては、強固なものである必要は必ずしもなく、配線材料が周囲へ流れ出すのを防止することができる程度に形状が保持されればよい。この観点からは、光によって完全に硬化させる必要はなく半硬化状態であってもよい。ここで、「半硬化状態」とは、隔壁が完全な固体とはならず、その表面だけが固化し内部が液状のままの状態や、表面または全体がゲル状に固化した状態を指している。一方、このように半硬化状態にすることで、隔壁を構成する分子の結び付きがあまり強くないため後工程の熱処理によって容易に熱分解させることができるという利点が生まれる。したがって、隔壁を消散させて配線のみを残す方法で高アスペクト比の配線を形成することができ、この際、熱処理時の温度を低くしたり、処理時間を短くすることができるので、熱による基板のダメージを最小限に抑えることができる。
また、この発明にかかる光電変換デバイスの製造方法の第3の態様は、光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法であって、上記目的を達成するため、前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、光硬化性を有する液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射することで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、前記配線を形成された前記基板を熱処理して前記隔壁を消散させる熱処理工程とを備え、前記隔壁材料として、アクリル酸エステルモノマーと光重合開始剤とを主成分とする液を用いることを特徴としている。
このように構成された発明では、隔壁材料の主成分がアクリル酸エステルモノマーである。予め多数の分子を結合させているポリマーとは異なり、アクリル酸エステルモノマーを光照射によって架橋させ完全に硬化させるには多くの光照射量が必要である。言い換えれば、短時間の光照射では強固な架橋構造ができ上がるには至らない。したがって熱分解しやすい。このことを利用して、アクリル酸エステルモノマーによる半硬化状態の隔壁を形成して配線材料を塗布することにより、本発明の他の態様と同様に、高アスペクト比の配線を容易に形成することができ、しかも後の熱処理工程では高温・長時間の加熱を必要としない。
ここで、前記アクリル酸エステルモノマーは、例えば官能基の数が3以下のアクリレートまたはメタアクリレートであってもよい。官能基を多く含む材料では、分子間の複雑な架橋によって必要以上に強度の高い隔壁が形成されてしまい、熱分解しにくくなってしまう。本願発明者らの実験によれば、官能基の数が3以下のアクリレートまたはメタアクリレートを用いると良好な結果を得られた。
また、例えば、前記隔壁形成工程を、酸素を含む雰囲気下で、しかも前記隔壁材料への光照射量を5ないし200mJ/cm2として実行するようにしてもよい。酸素は隔壁材料の硬化を阻害する作用を有するので、酸素を含む雰囲気下で光照射を行うことで、硬化が進みすぎるのを抑制することができる。また、光照射量が少なければ全く硬化しない一方、光照射量が多すぎると硬化が進みすぎてしまう。本願発明者らの実験によれば、適当な光照射量は5ないし200mJ/cm2程度であった。
また、この発明にかかる光電変換デバイスの製造装置は、上記目的を達成するため、基板表面に対し、アクリル酸エステルモノマーを主成分とする光硬化性を有する液状の隔壁材料を吐出する第1吐出部と、前記基板表面に吐出された前記隔壁材料に、酸素を含む雰囲気下で、照射量5ないし200mJ/cm2で光を照射して半硬化状態に硬化させて隔壁を形成する光照射部と、前記隔壁に挟まれた前記基板表面に対し、液状の配線材料を吐出させる第2吐出部と、前記第1吐出部、前記光照射部および前記第2吐出部を一体的に、基板表面に対し相対移動させる移動機構とを備えることを特徴としている。
このように構成された発明では、隔壁材料を半硬化状態に硬化させることで形成した隔壁の間に配線材料を塗布することで、高アスペクト比の配線を形成することができる。また、隔壁材料を吐出する第1吐出部、隔壁材料に所定照射量の光を照射して硬化させる光照射部および配線材料を吐出する第2吐出部を一体的に移動させることによって、任意のパターンを有する高アスペクト比の配線を容易に形成することができる。また、使用する隔壁材料はアクリル酸エステルモノマーを主成分とするものであり、半硬化状態で隔壁として作用し、しかも後の熱処理で容易に熱分解するので、デバイス完成後に隔壁が残存して入射光を遮蔽することがない。
この発明にかかる光電変換デバイスの製造方法および製造装置によれば、高アスペクト比の配線を有する光電変換デバイスを製造することができる。また、この発明にかかる光電変換デバイスは、隔壁による入射光の遮蔽がないため光電変換効率が高く、また配線が低抵抗であるため配線による電力損失が少ない。
本発明を好適に適用可能な光電変換デバイスの製造装置の概略構成を示す図である。 ヘッド部の構成をより詳細に示す拡大図である。 ヘッド部からの隔壁材料および配線材料の吐出の様子を模式的に示す図である。 第1実施形態の光電変換デバイスの製造手順を示すフローチャートである。 第1実施形態の光電変換デバイスの製造工程を模式的に示す図である。 第1実施形態における隔壁材料の実験結果の例を示す図である。 第2実施形態の光電変換デバイスの製造手順を示すフローチャートである。 この実施形態の光電変換デバイスの製造工程を模式的に示す図である。 第2実施形態における隔壁材料の実験結果の例を示す図である。
<製造装置の構成>
図1は本発明を好適に適用可能な光電変換デバイスの製造装置の概略構成を示す図である。この製造装置1は、表面に光電変換層を形成された例えば単結晶シリコンウエハなどの基板W上に導電性を有する配線を形成し、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造する装置である。この装置1は、例えば光電変換デバイスの光入射面に集電電極を形成するという用途に好適に使用することができる。なお、この装置は、本願出願人が先に開示した特許第3868298号公報に記載された装置構成を一部変更したものであり、基本的な構成や動作は同公報に記載されたものと共通している。
製造装置1では、基台11上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台11にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム12が固定され、フレーム12にはヘッド部5が取り付けられる。
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、および、Z方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、ヘッド部5の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。
ヘッド部5は、ベース51の下面に基板W上に液状の隔壁材料を吐出する第1吐出部52、および、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光照射部53を有し、第1吐出部52には逆止弁521を有する供給管522が取り付けられる。供給管522は分岐しており、一方がポンプ523に接続され、他方が制御弁524を介して隔壁材料を貯留するタンク525に接続される。光照射部53は光ファイバ531を介して紫外線を発生する光源ユニット532に接続される。
また、ヘッド部5において光照射部531を挟んで第1吐出部52とは反対側には、液状の配線材料を吐出する第2吐出部54が設けられている。第2吐出部54には逆止弁541を有する供給管542が取り付けられる。供給管542は分岐しており、一方がポンプ543に接続され、他方が制御弁544を介して配線材料を貯留するタンク545に接続される。隔壁材料および配線材料の組成については後述する。
ステージ移動機構2の各モータ、ポンプ523,544、制御弁524,544および光源ユニット532は制御部6に接続され、これらの構成が制御部6により制御されることにより、製造装置1による基板W上への配線パターンの形成が行われる。
図2はヘッド部の構成をより詳細に示す拡大図である。より詳しくは、図2(a)はヘッド部5を側面から見たときの第1および第2吐出部先端付近の形状を示す図であり、図2(b)はヘッド部5を下方から見た図である。図2(a)に示すように、第1吐出部52は内部が筒状の空洞52aになっており、下端が図において斜め右方に開口して第1吐出口52bを形成している。タンク525から供給管522を経由して輸送されてくる液状の隔壁材料は、第1吐出部52下端の第1吐出口52bから基板Wに向けて吐出される。
同様に、第2吐出部54は内部が筒状の空洞54aになっており、下端が図において斜め右方に開口して第2吐出口54bを形成している。タンク545から供給管542を経由して輸送されてくる液状の配線材料は、第2吐出部54下端の第1吐出口54bから基板Wに向けて吐出される。第2吐出部54の下端は、第1吐出部52の下端よりも上方(+Z方向)に位置している。
また、光照射部53の先端にはレンズ533が設けられており、光源ユニット532からのUV光が第1吐出部52から基板W上に吐出された隔壁材料に集光されるように構成されている。
図2(b)に示すように、第1吐出口52bおよび第2吐出口54bはY方向に複数配列されている。より詳しくは、第2吐出口54bは第2吐出部54の下面に等間隔で複数箇所(この例では3箇所)設けられている。一方、Y方向における第2吐出口54bの配設位置を挟むように、2つの第1吐出口52bが対になって第1吐出部52の下面に設けられている。この例では、3箇所の第2吐出口54bに対応して、3対(6箇所)の第1吐出口52bが設けられている。光照射部53下端のレンズ533は、Y方向における第1吐出口52bの配設位置を全てカバーできるよう、長円形に形成されている。
なお、第1および第2吐出口の個数はこれに限定されるものではない。また、第1吐出部52および第2吐出部54の材質は特に限定されないが、吐出液に対し汚染物質を混入させることがなく、微細加工ができるという点から、例えばシリコンやジルコニアの結晶を用いることができる。
図3はヘッド部からの隔壁材料および配線材料の吐出の様子を模式的に示す図である。より詳しくは、図3(a)は隔壁材料および配線材料がヘッド部5から吐出されている様子を側面から見た図である。また、図3(b)は同じものを斜め上方から見た図である。なお、図3(b)においては、第1吐出部52からの吐出の様子を見やすくするために光照射部53の図示を省略している。以下、図1ないし図3を参照しつつ、この製造装置1による配線形成の基本動作について説明する。
第1吐出部52からの隔壁材料の吐出は、図1に示す逆止弁521、ポンプ523および制御弁524により行われる。まず、制御部6の制御により制御弁524が開放された状態でポンプ523が吸引動作を行う。このとき、逆止弁521により配線材料の逆流が阻止されるため、タンク525からポンプ523へと配線材料が引き込まれる。次に、制御部6の制御により制御弁524が閉じられ、ポンプ523が押出動作を行う。これにより、第1吐出部52の複数の第1吐出口52bそれぞれから連続的に隔壁材料A1が吐出される。
隔壁材料の吐出が行われる際には、制御部6がステージ移動機構2の各モータを駆動制御し、ヘッド部5の下方で基板Wの表面が(+X)方向に移動するように制御を行う。言い換えれば、ヘッド部5は相対的に基板W表面を走査しながら(−X)方向に移動することになる。これにより、基板W表面には隔壁材料がX方向に沿った筋状に塗布される。このとき、第1吐出口52bからは走査移動方向の後方に向かって隔壁材料A1が吐出され、吐出された液が第1吐出口52bの近傍に滞留することが防止される。
基板Wに対するヘッド部5の相対移動方向において第1吐出部52の後方側(図3(a)において右側)では、吐出された隔壁材料A1に対し、光照射部53からUV光Lが照射される。後述するように、隔壁材料A1は光硬化性を有する樹脂材料を主成分とするものであり、UV光Lの照射によって架橋反応が生じて固化が始まる。その結果、図3(b)に示すように、基板W上には、1対の第1吐出口52bから吐出された2条の隔壁材料A1がそれぞれ固化してなる1対の平行な隔壁B1,B2が形成され、これらの隔壁B1,B2と基板Wの表面とに囲まれた溝部Tが形成される。
さらに、基板Wに対するヘッド部5の相対移動方向において光照射部53の後方側(図3(a)において右側)には配線材料A2を吐出する第2吐出口54bを有する第2吐出部54が設けられている。第2吐出口54bは第1吐出口52bと平行に移動し、しかも、図2(b)に示すように、第1吐出口52bがY方向における第2吐出口54bの配設位置を挟むように設けられている。このため、基板W上において第2吐出口54bからの配線材料A2の吐出位置の両側に、隔壁B1,B2が形成されていることとなる。
配線材料A2は銀フィラーとビヒクル(樹脂、若干の有機溶剤、増粘材等を混合したもの)を有する導電性ペーストであり、平らな基板表面に塗布するだけでは面方向に流れて広がってしまい、高いアスペクト比(配線の幅に対する高さの比)の配線を形成することが難しい。光電変換デバイスにおいては、配線による入射光の遮蔽は光電変換効率の低下を招くので、配線幅はできるだけ小さい(代表的には、50μm程度)ことが望ましい。一方、配線の電気抵抗による損失を抑えるには配線の断面積を大きくする必要があり、アスペクト比の高い配線が望まれる。
この製造装置1では、基板W表面のうち、上記のように光硬化性樹脂により形成した隔壁B1,B2により挟まれた溝部Tに配線材料A2を流し込むことができるので、図3(b)に示すように、塗布された配線材料が面方向に広がらず厚みを保持することができるので、配線材料A1の溶剤成分を揮発させることにより、アスペクト比の高い配線CWを得ることができる。
すなわち、この装置1では、第1吐出口52bおよび第2吐出口54bからそれぞれ隔壁材料A1および配線材料A2を吐出させるとともに光照射部53からUV光を照射しながら、基板WをX方向に移動させヘッド部5を基板W表面に対し走査移動させることにより、互いに平行で第2吐出口54bの個数に応じた条数(この例では3条)の配線CWを形成することができる。また、この動作をY方向におけるヘッド部5と基板Wとの相対位置を異ならせて行うことで、基板W表面に多数の配線CWを形成することができる。さらに、ヘッド部5の走査移動経路を制御することで、任意のパターンの配線CWを基板W表面に形成することが可能である。
ここで、隔壁B1,B2も入射光を遮蔽する要因となりうる。以下では、上記装置1を用いて光電変換デバイスを形成する本発明の実施形態であって、隔壁B1,B2による入射光の遮蔽が生じない光電変換デバイスを形成することのできる2つの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本発明にかかる光電変換デバイスの製造方法の第1実施形態では、配線形成後の基板を保護するために基板表面に設けられる封止材と類似の光学的特性を有する材料で隔壁B1,B2を形成する。具体的には、光学的に透明で封止材と同じまたはほぼ同じ屈折率を有する材料により、隔壁B1,B2を形成する。こうすることにより、光学的には隔壁B1,B2が存在しないと見なすことができる。
図4はこの実施形態の光電変換デバイスの製造手順を示すフローチャートである。また、図5はこの実施形態の光電変換デバイスの製造工程を模式的に示す図である。まず、未処理の基板Wを装置1に搬入する(ステップS101)。このとき、基板Wは配線が形成されるべき光電変換層を上向きにしてステージ3に載置されるようにする。そして、上記のように装置1を動作させて、隔壁材料A1を基板W表面に塗布し、光照射により硬化させて隔壁B1,B2を形成する(ステップS102;隔壁形成工程)。さらに、こうして形成された隔壁に囲まれた溝部Tに配線材料A2を塗布する(ステップS103;配線形成工程)。なお、上記した製造装置1では、ヘッド部5の走査によりステップS102およびS103を同時に行うことが可能である。
その後、配線材料を塗布された基板Wを装置1から搬出し(ステップS104)、公知の乾燥処理装置により乾燥処理を行い(ステップS105)、配線材料A2に含まれる溶剤を揮発させ配線CWを得る。配線材料を塗布された基板Wを塗布装置1内にしばらく留置することにより乾燥させてもよい。
この段階では、図5(a)に示すように、基板Wの表面は、隔壁B1,B2によって挟まれた配線CWが形成された状態である。続いて、配線および基板表面の保護のために、封止材を基板表面に積層する(ステップS106;封止工程)。具体的には、図5(b)に示すように、シート状の封止材Sを基板W上に載置し、これを加熱および加圧プレスして、図5(c)に示すように、基板W上面に封止材Sを密着させ、基板W表面を封止材によって完全に覆うようにする。封止材Sとしては、透明度の高さ、基板S表面への密着性および耐久性の観点から、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合)樹脂を好適に使用することができる。
これにより、図5(d)に示すように、基板W表面が隔壁B1,B2および配線CWとともに封止材Sにより封止され、光電変換デバイスD1が完成する。このとき、隔壁B1,B2の屈折率が封止材Sとほぼ同じであれば、光学的には封止材Sと隔壁B1,B2とは一体のものと見なすことができる。すなわち、隔壁のない配線CWのみを形成された基板W表面を封止材Sによって封止したのと同等である。
第1実施形態に好適な隔壁材料の例を以下に示す。本願発明者らの実験によれば、封止材としてEVA樹脂を用いる場合には、アクリル酸エステルモノマー、エチレン系樹脂および光重合開始剤からなる隔壁材料A1を用いると、配線材料A2を流し込む際の隔壁として良好に機能し、しかもデバイス完成後には封止材とほぼ同じ屈折率を示し入射光を遮蔽することのない隔壁を形成することができることがわかった。なお、透明度を低下させない程度であれば、これ以外の材料を一部含有してもよい。また、塗布の作業性という観点からは、隔壁材料の粘度は200m〜20000cPa・s程度が適当である。
このうちアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(またはテトラ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(またはヘキサ)アクリレートなど、三官能以上の多官能アクリレートが望ましい。
また、エチレン系樹脂としては、例えば、エチレンと酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどのビニルエステルとの共重合樹脂、エチレンとアクリル酸メチルやアクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステルとの共重合樹脂、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸との共重合樹脂またはそのアイオノマー、エチレンとα−オレフィンとの共重合樹脂や、これらの二種以上の混合物などを用いることができる。
また、光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オン−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどを用いることができる。
図6は第1実施形態における隔壁材料の実験結果の例を示す図である。第1吐出口52bの寸法を幅(Y方向)20μm、高さ(X方向)60μmとし、隔壁材料A1の組成を変化させて、得られた隔壁の幅(W)および高さ(H)、プレス加工の適性(プレス温度200℃)、積層後の透明性について評価した。この実験に使用した材料は以下の通りである。
(1)アクリル酸エステルモノマー
アロニックスM−305:東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールのアクリル酸エステル(特殊多官能アクリレート)、
(2)エチレン系樹脂
エバフレックスEV260:三井デュポン・ポリケミカル社製、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、
エルバロイEMA1609AC:三井デュポン・ポリケミカル社製、エチレンメチルアクリレート共重合樹脂、
ハイミラン1652:三井デュポン・ポリケミカル社製、エチレンメタクリル酸共重合樹脂のアイオノマー、
ニュクレルNO908C:三井デュポン・ポリケミカル社製、エチレンメタクリル酸共重合樹脂、
(3)光重合開始剤
IRGACURE184:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、1,2α−ヒドロキシジアルキルフェノン(アルキルフェノン系光重合開始剤)、
IRGACURE819:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(フォスフィンオキサイド系光重合開始剤)。
いずれの組成においても良好な隔壁が得られ、このようにして形成された隔壁間の溝部に配線材料A2としての導電性ペーストを塗布することにより、例えば線幅および高さが50μm程度の配線CWを形成することができた。なお、上記したアクリル酸エステルモノマーM−305は多官能アクリレートであるが、これに代えて二官能のアクリレートとしてポリプロピレングリコールジアクリレートを用いたところ、隔壁の軟化点が低く、プレス加工に耐えなかった。
以上のように、この実施形態では、基板W上の配線を形成すべき位置の周縁部に隔壁を形成し、隔壁によって挟まれた溝部に配線材料を塗布することによって、線幅が細く厚みのある高アスペクト比の配線を形成することができる。そして、デバイス完成時点でもこの隔壁を残したままとしている。この場合において、透明で封止材とほぼ同じ屈折率を有する材料によって隔壁を形成しているので、封止材による封止後のデバイスにおいては、隔壁が入射光を遮蔽することがなく、高い光電変換効率を得ることが可能である。
<第2実施形態>
次に、本発明にかかる光電変換デバイスの製造方法の第2実施形態について説明する。この実施形態では、前述の特許文献1と同様に、隔壁を形成して配線材料を塗布した後、熱処理によって隔壁を消散させ、配線のみを残す方法を採っている。特許文献1では隔壁材料について詳しく開示されていなかったが、本実施形態では、配線材料を塗布する際には隔壁として良好に機能し、しかも熱処理による消散が容易である具体的な材料を提案する。
図7はこの実施形態の光電変換デバイスの製造手順を示すフローチャートである。また、図8はこの実施形態の光電変換デバイスの製造工程を模式的に示す図である。第1実施形態と同様に、まず未処理の基板Wを装置1に搬入する(ステップS201)。このとき、基板Wは配線が形成されるべき光電変換層を上向きにしてステージ3に載置されるようにする。そして、上記のように装置1を動作させて、隔壁材料A1を基板W表面に塗布し、光照射により硬化させて隔壁B1,B2を形成する(ステップS202;隔壁形成工程)。さらに、こうして形成された隔壁に囲まれた溝部Tに配線材料A2を塗布する(ステップS203;配線形成工程)。なお、上記した製造装置1では、ヘッド部5の走査によりステップS202およびS203を同時に行うことが可能である。その後、配線材料廃汚染材料を塗布された基板Wを製造装置1から搬出する(ステップS204)。
図1の製造装置1を用いて行う処理は、隔壁材料の組成を除けば第1実施形態のものと同じである。すなわち、図7のステップS201〜S204は、第1実施形態(図4)のステップS101〜S104に相当する。この時点における基板の状態は図8(a)に示すとおりであり、これは図5(a)に示したものと同じである。
その後、この実施形態では、基板を焼成することにより、隔壁B1,B2を揮発・消散させて配線CWのみを残存させる(ステップS205、図8(b);熱処理工程)。焼成温度は700℃と高温であるが、焼成時間は15秒と短いので、基板Wへのダメージはほとんどない。焼成時間が短時間で済むのは隔壁材料の組成によるものであるが、これについては後述する。
次いで、第1実施形態と同様に、封止材によって基板W表面を封止することでデバイスが完成するが(ステップS206、図8(c)〜(d))、本実施形態においては封止工程は必須のものではなく、省略してもよい。この実施形態では、封止前に隔壁を消散させているので、基板W表面とともに配線CWのみが封止されることになる。したがって、図8(e)に示すように、完成後のデバイスD2では隔壁が残存せず、入射光を遮蔽することはない。
次に隔壁材料の組成について説明する。この実施形態では、隔壁材料を調整することによって、光硬化後の隔壁が完全に固化しない半硬化状態、すなわち表面のみが固化し内部が液状の状態、または全体がゲル状に固化した状態となるようにする。こうすることで、配線材料塗布時には半硬化状態の隔壁が配線材料の流出を防いで高アスペクト比の配線形成を可能とする一方、短時間あるいは低温の熱処理によって隔壁を容易に消散させることができる。
本願発明者らの実験によれば、このような機能を有する隔壁材料としては、アクリル酸エステルモノマーと光重合開始剤とを主成分とする液体、特に、アクリル酸エステルモノマーとして官能基の数が3以下のものを用いたものを好適に使用することができる。官能基の数の少ないアクリル酸エステルモノマーでは、短時間の光照射では高度の架橋は進まず、表面がポリマー化しても内部はモノマーの状態のままになって分子間の結合が弱い半硬化状態となる。このことは、後に消散させる隔壁としては好都合である。というのは、この場合の隔壁は液状の配線材料の流出を食い止める程度の形状保持性があれば足りるので半硬化状態でも問題はなく、また分子間の結合が弱いため揮発性が高く、容易に消散させることができるからである。
また、隔壁材料の粘度は200m〜20000cPa・s程度が望ましく、粘度調整のために、上記に加えてメチルセルロースやPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの熱分解性の高いポリマーを適量添加してもよい。これらのポリマーは、増粘剤として隔壁の断面形状を維持する作用も有しており、また光硬化によってできた硬化物が液状の樹脂を包み込んだマトリクス構造となることで、焼成時の突沸を防ぐ効果もある。
このうちアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリレートモノマー類、例えば、フェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、2−エチルヘキシルEO変性アクリレートなどの単官能アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどの二官能アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレートなどの三官能アクリレートなどを用いることができる。
また、メタクリレートモノマー類、例えば、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ブトキジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いてもよい。
また、光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オン−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどを用いることができる。
また、この種の光硬化性樹脂においては、一般に酸素が硬化を阻害する要因として作用する。このため、酸素を含む雰囲気、例えば大気中で塗布および光照射を行うことが望ましい。こうすることで、隔壁材料の硬化を遅らせて、隔壁を半硬化状態に維持しやすくすることができる。
図9は第2実施形態における隔壁材料の実験結果の例を示す図である。第1吐出口52bの寸法を幅(Y方向)60μm、高さ(X方向)150μmとし、隔壁材料A1の組成を変化させて、隔壁材料の粘度、得られた隔壁の幅(W)および高さ(H)、熱分解性(処理温度700℃)について評価した。この実験に使用した材料は以下の通りである。
(1)アクリル酸エステルモノマー
ライトエステル9EG:東亜合成株式会社製、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(二官能メタクリレート)、
アロニックスM−225:東亜合成株式会社製、ポリプロピレングリコールジアクリレート(二官能アクリレート)、
アロニックスM−321:東亜合成株式会社製、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(三官能アクリレート)、
アロニックスM−305:東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールのアクリル酸エステル(特殊多官能アクリレート)、
(2)ポリマー
エトセルN−7:ダウ・ケミカル社製、エチルセルロース、
ダイヤナールBR−105:三菱レイヨン社製、アクリル樹脂、
(3)光重合開始剤
IRGACURE184:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、1,2α−ヒドロキシジアルキルフェノン(アルキルフェノン系光重合開始剤)、
IRGACURE819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(フォスフィンオキサイド系光重合開始剤)。
これらのうち、多官能アクリレートを主成分とするサンプルNo.4は、熱分解性が悪く、熱処理後の基板表面に残留物が見られた(図9において「×」印で示す)。粘度の低いサンプルNo.1は、熱分解性はきわめて高い(「◎」印で示す)が、粘度が低いため隔壁は幅広で低いものになる。サンプルNo.2、5および6は熱分解性が良好(「○」印で示す)であり隔壁高さも十分なものが得られた。サンプルNo.3は隔壁の形状は良好であるが、熱分解性はやや劣る(「△」印で示す)。
サンプルNo.4を除く各サンプルでは、熱処理後の基板W表面にはほとんど残留物がなかった。また、少なくとも隔壁の表面が硬化していれば配線材料の濡れ性が低下するので、塗布された配線材料を溝部Tに留めておくことが可能であり、隔壁材料と配線材料との混合も生じない。各サンプルにおいて、形成された隔壁の間に配線材料を塗布することにより、線幅、高さとも50μm程度の配線を形成することができた。
なお、これらの材料への光照射量、すなわち照射される光量の積算値(積算光量)としては、5ないし200mJ/cm2が適当であった。光照射量がこれより多いと硬化が進みすぎて熱分解性が悪くなり、またこれより少ないとほとんど硬化せず隔壁としての機能を果たさない。
以上のように、この実施形態では、隔壁材料としての光硬化性樹脂を基板表面に塗布して光照射することで隔壁を形成し、隔壁により挟まれる溝部に配線材料を塗布した後、焼成により隔壁を揮発させることで、高アスペクト比の配線を形成することができる。このとき、隔壁材料を完全に硬化させるのではなく、半硬化状態に留めることによって、焼成時に隔壁が揮発しやすくなっている。このため、低い焼成温度で、あるいは短い焼成時間で隔壁を消散させることができる。このため、長時間あるいは高温での熱処理に耐えない材料を用いたデバイスに対しても、上記した配線形成技術を適用することが可能である。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態において示した隔壁材料の組成は一部の例を示したものであって本発明がこれに限定されるものではなく、先に列記した材料の他の組み合わせであってもよい。
また、上記各実施形態では基板Wの片面にのみ配線を形成しているが、基板Wの両面に配線を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
また、上記各実施形態では光電変換層を有するシリコン基板上に配線を形成して太陽電池としての光電変換デバイスを製造しているが、基板はシリコンに限定されるものではない。例えば、ガラス基板上に形成された薄膜太陽電池に配線を形成する際にも、本発明を適用することが可能である。また、第1実施形態の製造方法は本質的に高温での熱処理を必要としないため、例えば樹脂フィルム等を基板とする光電変換デバイスの製造にも適用することが可能である。また、太陽電池以外の光電変換デバイスにも、本発明を適用することができる。
この発明は、例えば太陽電池の受光面のように、線幅が細く厚みのある、すなわち高アスペクト比の配線が必要とされ、特に隔壁による入射光の遮蔽が問題となりうる分野に特に好適に適用することができる。
1 光電変換デバイスの製造装置
2 ステージ移動機構(移動機構)
21 X方向移動機構
22 Y方向移動機構
23 θ回転機構
52 第1吐出部
53 光照射部
54 第2吐出部
A1 隔壁材料
A2 配線材料
B1,B2 隔壁
CW 配線
W 基板

Claims (10)

  1. 光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法において、
    前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、光硬化性を有する液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射して硬化させることで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、
    前記隔壁および前記配線を形成された前記基板表面に光学的に透明な封止材を積層する封止工程と
    を備え、
    前記隔壁が光学的に透明で、その屈折率が前記封止材の屈折率と同一または略同一であることを特徴とする光電変換デバイスの製造方法。
  2. 前記封止材がエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂であり、前記隔壁材料が、実質的にエチレン系樹脂、アクリル酸エステルモノマーおよび光重合開始剤からなる請求項1に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  3. 前記アクリル酸エステルモノマーが、三官能以上の多官能アクリレートである請求項2に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  4. 前記エチレン系樹脂が、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂またはエチレン・アクリレート共重合樹脂である請求項2または3に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  5. 光電変換層を有する基板と、
    前記基板表面に、所定の配線パターンに対応して該配線パターンの周縁部に相当する位置に形成された光学的に透明な隔壁と、
    前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料が塗布されてなる、前記配線パターンに対応する配線と、
    前記隔壁および前記配線を形成された前記基板表面を覆う光学的に透明な封止材と
    を備え、
    前記隔壁および前記封止材の屈折率が互いに同一または略同一であることを特徴とする光電変換デバイス。
  6. 光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法において、
    前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射して半硬化状態に硬化させることで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、
    前記配線を形成された前記基板を熱処理して前記隔壁を消散させる熱処理工程と
    を備えることを特徴とする光電変換デバイスの製造方法。
  7. 光電変換層を有する基板表面に所定の配線パターンを有する配線を形成する光電変換デバイスの製造方法において、
    前記基板表面の前記配線パターンの周縁部に相当する位置に、光硬化性を有する液状の隔壁材料を塗布するとともに、塗布された隔壁材料に光を照射することで、前記配線パターンの周縁部に相当する位置に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
    前記隔壁に挟まれた前記基板表面に液状の配線材料を塗布することで前記配線パターンに対応する配線を形成する配線形成工程と、
    前記配線を形成された前記基板を熱処理して前記隔壁を消散させる熱処理工程と
    を備え、
    前記隔壁材料として、アクリル酸エステルモノマーと光重合開始剤とを主成分とする液を用いることを特徴とする光電変換デバイスの製造方法。
  8. 前記アクリル酸エステルモノマーは、官能基の数が3以下のアクリレートまたはメタアクリレートである請求項7に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  9. 前記隔壁形成工程を、酸素を含む雰囲気下で、しかも前記隔壁材料への光照射量を5ないし200mJ/cm2として実行する請求項7または8に記載の光電変換デバイスの製造方法。
  10. 基板表面に対し、アクリル酸エステルモノマーを主成分とする光硬化性を有する液状の隔壁材料を吐出する第1吐出部と、
    前記基板表面に吐出された前記隔壁材料に、酸素を含む雰囲気下で、照射量5ないし200mJ/cm2で光を照射して半硬化状態に硬化させて隔壁を形成する光照射部と、
    前記隔壁に挟まれた前記基板表面に対し、液状の配線材料を吐出させる第2吐出部と、
    前記第1吐出部、前記光照射部および前記第2吐出部を一体的に、基板表面に対し相対移動させる移動機構と
    を備えることを特徴とする光電変換デバイスの製造装置。
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