JP5227203B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置では、ステアリング軸にトーションバーを介して連結されるピニオン軸をギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸に噛合うラック軸をギヤハウジングに直線動可能に支持し、電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、ピニオン軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支している。電動モータは、運転者がステアリング軸に加えた操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを、ウォームギヤとウォームホイールの噛合い、ピニオン軸とラック軸の噛合いを介してラック軸に付与するものである。
このような電動パワーステアリング装置では、組立時に、ウォームギヤ等の部品の寸法誤差に影響されることなくウォームギヤとウォームホイールの軸間距離を簡易に設定するととともに、組立後に、ウォームギヤとウォームホイールの噛合いが経時変化したときに、それらの軸間距離を簡易に調整し、それらのバックラッシュを除去することが必要される。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、ウォームギヤの先端軸を支持する軸受の外周とギヤハウジングの間に、リング体と軸受ケースを介装し、軸受ケースの内周とリング体の外周とを傾斜面を介して接触させている。そして、ウォームギヤに対する軸方向の外側に皿ばね、調整ねじを設け、調整ねじにより加圧される皿ばねを、リング体と一体の軸受の外輪の一端面に当接させている。電動パワーステアリング装置の組立時或いは組立後に、皿ばねのばね力により軸受及びリング体を軸方向に押圧し、軸受を軸受ケースの傾斜面に沿って移動させることにより、ウォームギヤをウォームホイールへ向けて偏倚させてそれらの軸間距離を調整し、ひいてはそれらのバックラッシュを除去するものである。
特開2001-10512
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置には以下の問題点がある。
(1)バックラッシュ調整手段として、ウォームギヤの軸受の外周側にリング体と軸受ケースを設け、ウォームギヤの軸受の軸方向の外側に皿ばねと調整ねじを設ける。従って、ウォームギヤの軸受まわりの径方向と軸方向の双方向で外方サイズが大きくなり、電動パワーステアリング装置が大型になる。
(2)皿ばねをウォームギヤの軸受の軸方向の外側に設けるものであり、電動パワーステアリング装置の大型化を抑制しようとするとき、皿ばねの設置スペースは小さくなり、皿ばねの設計の自由度が低くなる。
(3)皿ばねを加圧する調整ねじは、ギヤハウジングに螺合するものであって、ねじ部を伴うものであるから、電動パワーステアリング装置の組立性が悪い。
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、ウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュを除去可能にしながら、電動パワーステアリング装置の小型化、設計の自由度、組立性を向上することにある。
請求項1の発明は、電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、操舵軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支してなる電動パワーステアリング装置において、ウォームギヤにおける電動モータの側の基端軸が、ギヤハウジングに固定される基準軸受に支持され、ウォームギヤにおける電動モータに対する反対側の先端軸が、ギヤハウジングに固定される先端軸受にカラーを介して支持され、カラーは先端軸受に対して軸方向に摺動可能に挿入され、ウォームギヤの中間部に設けた支持面との間に該カラーをウォームギヤに対する反対側に向けて付勢する弾性体を予圧縮して介装し、カラーはウォームギヤに対する反対側に向けて拡径する拡径状内周部を備え、ウォームギヤの先端軸の先端を該カラーの拡径状内径部に支持するように構成し、ウォームギヤは、弾性体により付勢されるカラーの拡径状内径部の周方向の一部により該ウォームギヤの先端軸の先端を常に押し当て支持され、ウォームホイールの中心軸に近接する側に常に付勢されるものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記基準軸受がウォームギヤの中心軸を揺動自在に支持するようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記先端軸受は基準軸受の支持中心に対してウォームホイールの側に偏倚されるものである。
(請求項1)
(a)ウォームギヤは、弾性体により付勢されるカラーの拡径状内径部の周方向の一部により該ウォームギヤの先端軸の先端を常に押し当て支持され、ウォームホイールの中心軸に近接する側に常に付勢される。これにより、ウォームギヤとウォームホイールの軸間距離は組立時と組立後のいずれであっても常時自動的に両者のバックラッシュを除去するように調整され、それらの組立段階の寸法誤差、又は組立後の磨耗等による噛合状態の経時変化に起因するバックラッシュを常時ゼロとなるように調整する。
(b)バックラッシュ調整手段を構成するカラーと弾性体が、ウォームギヤの先端軸のための先端軸受の径方向と軸方向の双方向で該先端軸受の内側に設けられる。従って、ウォームギヤのための先端軸受まわりの径方向と軸方向の双方向で電動パワーステアリング装置の外方サイズが大きくなることがなく、電動パワーステアリング装置の小型化を図ることができる。
(c)カラーをウォームギヤに対する反対側に向けて付勢する弾性体を、カラーと、ウォームギヤの中間部に設けた支持面との間に介装した。従って、弾性体をウォームギヤのための先端軸受の軸方向の内側に設けるものになり、電動パワーステアリング装置の小型化を図りながら、弾性体をカラーと、ウォームギヤの中間部に設けた支持面との間の空きスペースの広い範囲に設置でき、弾性体の設計の自由度が高くなる。
(d)バックラッシュ調整手段の構成部品がカラーと弾性体であって、ねじ部を伴なうものがないから、電動パワーステアリング装置の組立性を向上できる。
(e)バックラッシュ調整手段の構成部品たるカラーと弾性体は、電動パワーステアリング装置への組立段階で、ウォームギヤの先端側の膨出状の先端と、ウォームギヤの中間部の支持面との間に挟まれるように予組される。従って、バックラッシュ調整手段は、ウォームギヤに上述の如くにカラーと弾性体を安定的に予組した状態で、カラーを先端軸受の内輪に挿入して組立完了でき、電動パワーステアリング装置の組立性を向上できる。
(請求項2)
(f)ウォームギヤの基端軸を支持する基準軸受が該ウォームギヤの中心軸を揺動自在に支持する。従って、カラーの拡径状内径部がウォームギヤをウォームホイールの側へ加圧する加圧力により、該ウォームギヤを基準軸受まわりに揺動させて該ウォームホイールの側へ偏倚させることができる。
(請求項3)
(g)カラーが挿入された先端軸受は基準軸受の支持中心に対してウォームホイールの側に偏倚されているから、ウォームギヤの先端軸の先端はカラーの拡径状内径部のうちのウォームホイールと反対側の内径部に支持される。このとき、カラーは弾性体によりウォームギヤに対する反対側に向けて付勢されており、このカラーの拡径状内径部のうちのウォームギヤの先端軸の先端を支持している内径部は、ウォームギヤをカラーとの接触角によってウォームホイールの側へ常時加圧し、該ウォームホイールの側へ付勢させることができる。これにより、ウォームギヤとウォームホイールの軸間距離は組立時と組立後のいずれであっても常時自動的に両者のバックラッシュを除去するように調整され、それらの組立段階の寸法誤差、又は組立後の磨耗等による噛合状態の経時変化に起因するバックラッシュを常時ゼロとなるように調整する。
図1は電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図である。 図2は図1のII−II線に沿う断面図である。 図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。 図4はバックラッシュ調整手段を示す断面図である。 図5はカラーによるウォームギヤの支持状態を示す断面図である。
電動パワーステアリング装置10は、図1、図2に示す如く、不図示のブラケットにより車体フレーム等に固定されるギヤハウジング11を有する。そして、ステアリングホイールが結合されるステアリング軸12にトーションバー13を介してピニオン軸14を同軸上に連結し、このピニオン軸14にピニオン15を設け、このピニオン15に噛合うラック16Aを備えたラック軸16をギヤハウジング11に左右直線動可能に支持している。ステアリング軸12とピニオン軸14の間には、操舵トルク検出装置17を設けてある。尚、ステアリング軸12とピニオン軸14は軸受12A、14A、14Bを介してギヤハウジング11に支持される。
操舵トルク検出装置17は、図2に示す如く、ステアリング軸12、ピニオン軸14に係合している円筒状のコア17Cを囲む2個の検出コイル17A、17Bをギヤハウジング11に設けている。コア17Cは、ピニオン軸14のガイドピン17Dに係合する縦溝17Eを備えて軸方向にのみ移動可能とされるとともに、ステアリング軸12のスライダピン17Fに係合するスパイラル溝17Gを備える。これにより、運転者がステアリングホイールに加えた操舵トルクがステアリング軸12に付与され、トーションバー13の弾性ねじり変形により、ステアリング軸12とピニオン軸14の間に回転方向の相対変位を生ずると、ステアリング軸12とピニオン軸14の回転方向の変位がコア17Cを軸方向に変位させるものとなり、このコア17Cの変位による検出コイル17A、17Bの周辺の磁気的変化に起因する検出コイル17A、17Bのインダクタンスが変化する。即ち、コア17Cがステアリング軸12側へ移動すると、コア17Cが近づく方の検出コイル17Aのインダクタンスが増加し、コア17Cが遠ざかる方の検出コイル17Bのインダクタンスが減少し、このインダクタンスの変化により操舵トルクを検出できる。
ギヤハウジング11内でラック軸16の一端を挟んでピニオン15と相対する部分に設けられているシリンダ部18には、図2に示す如く、ラックガイド19が内蔵され、ラックガイド19(ブッシュ19A)はシリンダ部18に被着されるキャップ20により背面支持されるばね21によりラック軸16の側に弾発され、ラック軸16のラック16Aをピニオン15に押し付けるとともに、ラック軸16の一端を摺動自在に支持する。尚、ラック軸16の他端側は軸受22により支持される。また、ラック軸16の中間部には連結ボルト22A、22Bにより左右のタイロッド23A、23Bが連結される。
ギヤハウジング11には、図3に示す如く、電動モータ30のモータケース31が取付けられる。電動モータ30の駆動軸32にはウォームギヤ40がスプライン結合され、ウォームギヤ40は後述される軸受61、62によりギヤハウジング11に両端支持される。ウォームギヤ40はウォームホイール50と噛合い、ウォームホイール50をピニオン軸14(操舵軸)の中間部に固定してある。電動モータ30は操舵トルク検出装置17が検出した操舵トルクに基づいて駆動され、この電動モータ30の発生トルクが、ウォームギヤ40とウォームホイール50の噛合い、ピニオン15とラック16Aの噛合いを介してラック軸16に操舵アシストトルクになって付与され、運転者がステアリング軸12に付与する操舵トルクをアシストする。
しかるに、電動パワーステアリング装置10は、ウォームギヤ40をギヤハウジング11に対して図4、図5に示す如くに支持し、ウォームギヤ40とウォームホール50のバックラッシュ調整手段60を以下の如く具備する。
ウォームギヤ40における電動モータ30の側に突設してある基端軸41が、ギヤハウジング11に固定される基準軸受61に支持される。基準軸受61は例えば玉軸受からなり、外輪をギヤハウジング11に設けた孔に嵌合され、外輪の一端面を孔の一側に設けた段差面に突き当て支持され、孔の他側に螺着したナット61Aにより外輪の他端面を押し当て支持される。ウォームギヤ40の基端軸41は基準軸受61の内輪に挿通され、基端軸41のウォームギヤ40寄りに設けてあるフランジ部41Fを内輪の一端面に突き当て支持され、基端軸41の電動モータ30寄りに螺着したナット61Bにより内輪の他端面を押し当て支持される。ウォームギヤ40の基端軸41は基準軸受61の内輪に圧入又はかしめ等により締結されても良い。このようにして、ウォームギヤ40の基端軸41は基準軸受61の内輪に固定され、基端軸41の先端41Aを電動モータ30の駆動軸32にスプライン連結される。ウォームギヤ40に作用する軸方向荷重は基準軸受61により支持される。
尚、基準軸受61は例えばアンギュラ玉軸受からなり、ウォームギヤ40の中心軸(基端軸41及び後述する先端軸42)をギヤハウジング11に対して揺動自在に支持する。
ウォームギヤ40における電動モータ30に対する反対側に突設してある先端軸42(基端軸41と同軸をなす)が、ギヤハウジング11に固定される先端軸受62にカラー70を介して支持される。先端軸受62の支持中心62C(カラー70の中心軸70Cと同じ)は、基準軸受61の支持中心61Cに対してウォームホイール50の側に偏心量eだけ偏倚される。ウォームホイール50の中心軸50Cに対する基準軸受61の軸間距離をH1、ウォームホイール50の中心軸50Cに対する先端軸受62の軸間距離をH2とするとき、H1=H2+eになる。先端軸受62は例えば玉軸受からなる、外輪をギヤハウジング11に設けた孔に圧入固定される。
カラー70は先端軸受62の内輪の内周に対して軸方向に摺動可能に挿入され(カラー70は先端軸受60の内輪に対して相対回転しない)、先端軸受62の内輪からウォームギヤ40の側に突出している側に設けたフランジ部71と、ウォームギヤ40の先端軸42寄りの中間部に設けたフランジ状支持面43との間に、該カラー70をウォームギヤ40に対する反対側に向けて付勢する弾性体80を予圧縮状態で介装する。弾性体80は、図5に示す如く、2枚の環状鋼板81、82に環状ゴム83(皿ばね等でも可)を接着して挟んで構成される。弾性体80は、カラー70のフランジ部71とウォームギヤ40の支持面43との間で、ウォームギヤ40の先端軸42まわりに設置される。弾性体80の鋼板81と鋼板82は、カラー70のフランジ部71とウォームギヤ40の支持面43に対してそれらの回転方向で僅かな摺動を伴なう。
カラー70は先端軸受62へ挿入されて弾性体80によりウォームギヤ40に対する反対側へ向けて付勢可能にされる組込状態下で、ウォームギヤ40に対する反対側に向けて拡径するテーパ状(R状でも可)の拡径状内径部72Aを備え、ギヤハウジング11に組込みされるウォームギヤ40の先端軸42の膨出状先端42Aをカラー70の拡径状内径部72Aに引き当て支持する。ウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aはカラー70の拡径状内径部72Aに対して軸方向には摺動自在に支持され、回転方向には概ね転動(僅かな摺動を伴なう)支持される。
尚、ウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aはカラー70の拡径状内径部72Aに支持されるR状又はテーパ状の面取部42Bを備える。また、ウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aは潤滑材Gを介してカラー70の拡径状内径部72Aに支持される。
カラー70は、拡径状内径部72Aの小径端につながるストレート状内径部72Bをフランジ部71の側に備える。
バックラッシュ調整手段60によるウォームギヤ40とウォームホイール50のバックラッシュ調整動作は以下の如くである。
カラー70が挿入された先端軸受62は基準軸受61の支持中心に対してウォームホイール50の側に偏倚されているから、ウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aはカラー70の拡径状内径部72Aのうちのウォームホイール50と反対側の内径部に支持される。このとき、カラー70は弾性体80によりウォームギヤ40に対する反対側に向けて付勢されており、このカラー70の拡径状内径部72Aのうちのウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aを支持している内径部は、ウォームギヤ40をカラー70との接触角によってウォームホイール50の側へ常時加圧し、該ウォームホイール50の側へ付勢させることができる。これにより、ウォームギヤ40とウォームホイール50の軸間距離は組立時と組立後のいずれであっても常時自動的に調整され、それらの組立段階の寸法誤差、又は組立後の磨耗等による噛合状態の経時変化に起因するバックラッシュを常時ゼロとなるように調整する。
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(i)バックラッシュ調整手段60を構成するカラー70と弾性体80が、ウォームギヤ40の先端軸42のための先端軸受62の径方向と軸方向の双方向で該先端軸受62の内側に設けられる。従って、ウォームギヤ40のための先端軸受62まわりの径方向と軸方向の双方向で電動パワーステアリング装置10の外方サイズが大きくなることがなく、電動パワーステアリング装置10の小型化を図ることができる。
(ii)カラー70をウォームギヤ40に対する反対側に向けて付勢する弾性体80を、カラー70と、ウォームギヤ40の中間部に設けた支持面43との間に介装した。従って、弾性体80をウォームギヤ40のための先端軸受62の軸方向の内側に設けるものになり、電動パワーステアリング装置10の小型化を図りながら、弾性体80をカラー70と、ウォームギヤ40の中間部に設けた支持面43との間の空きスペースの広い範囲に設置でき、弾性体80の設計の自由度が高くなる。
(iii)バックラッシュ調整手段60の構成部品がカラー70と弾性体80であって、ねじ部を伴なうものがないから、電動パワーステアリング装置10の組立性を向上できる。
(iv)バックラッシュ調整手段60の構成部品たるカラー70と弾性体80は、電動パワーステアリング装置10への組立段階で、ウォームギヤ40の先端側の膨出状の先端42Aと、ウォームギヤ40の中間部の支持面43との間に挟まれるように予組される。従って、バックラッシュ調整手段60は、ウォームギヤ40に上述の如くにカラー70と弾性体80を安定的に予組した状態で、カラー70を先端軸受62の内輪に挿入して組立完了でき、電動パワーステアリング装置10の組立性を向上できる。
(v)ウォームギヤ40の基端軸41を支持する基準軸受61が該ウォームギヤ40の中心軸を揺動自在に支持する。従って、カラー70の拡径状内径部72Aがウォームギヤ40をウォームホイールの側へ加圧する加圧力により、該ウォームギヤ40を基準軸受61まわりに揺動させて該ウォームホイールの側へ偏倚させることができる。
(vi)ウォームギヤ40の先端軸42の先端がカラー70の拡径状内径部72Aに支持されるR状又はテーパ状の面取部を備える。従って、ウォームギヤ40の先端軸42の先端をカラー70の拡径状内径部72Aにより安定的に支持できる。
(vii)ウォームギヤ40の先端軸42の先端が潤滑材Gを介してカラー70の拡径状内径部72Aに支持される。従って、ウォームギヤ40の先端軸42の先端をカラー70の拡径状内径部72Aにより支持する摺動フィリクションを低減して安定的に支持できる。
尚、電動パワーステアリング装置10にあっては、先端軸受62の支持中心62Cを基準軸受61の支持中心61Cに対して同軸配置(偏心量e=0)しても良い。この場合にも、ウォームギヤ40は、弾性体80により付勢されるカラー70の拡径状内径部72Aの周方向の一部により該ウォームギヤ40の先端軸42の先端42Aを常に押し当て支持され、ウォームホイール50の中心軸に近接する側に常に付勢される。これにより、ウォームギヤ40とウォームホイール50の軸端距離は組立時と組立後のいずれであっても常時自動的に調整され、それらの組立段階の寸法誤差、又は組立後の磨耗等による噛合い状態の経時変化に起因するバックラッシュを常時ゼロとなるように調整する。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
本発明は、電動パワーステアリング装置において、ウォームギヤとウォームホイールのバックラッシュを除去可能にしながら、電動パワーステアリング装置の小型化、設計の自由度、組立性を向上することができる。
10 電動パワーステアリング装置
11 ギヤハウジング
14 ピニオン軸(操舵軸)
30 電動モータ
32 駆動軸
40 ウォームギヤ
41 基端軸
42 先端軸
42A 先端
42B 面取部
43 支持面
50 ウォームホイール
61 基準軸受
62 先端軸受
70 カラー
71 フランジ部
72A 拡径状内径部
80 弾性体

Claims (3)

  1. 電動モータの駆動軸に連結されるウォームギヤをギヤハウジングに枢支し、操舵軸の中間部に固定されてウォームギヤに噛合うウォームホイールをギヤハウジングに枢支してなる電動パワーステアリング装置において、
    ウォームギヤにおける電動モータの側の基端軸が、ギヤハウジングに固定される基準軸受に支持され、
    ウォームギヤにおける電動モータに対する反対側の先端軸が、ギヤハウジングに固定される先端軸受にカラーを介して支持され、
    カラーは先端軸受に対して軸方向に摺動可能に挿入され、ウォームギヤの中間部に設けた支持面との間に該カラーをウォームギヤに対する反対側に向けて付勢する弾性体を予圧縮して介装し、
    カラーはウォームギヤに対する反対側に向けて拡径する拡径状内周部を備え、ウォームギヤの先端軸の先端を該カラーの拡径状内径部に支持するように構成し、
    ウォームギヤは、弾性体により付勢されるカラーの拡径状内径部の周方向の一部により該ウォームギヤの先端軸の先端を常に押し当て支持され、ウォームホイールの中心軸に近接する側に常に付勢されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記基準軸受がウォームギヤの中心軸を揺動自在に支持する請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記先端軸受は基準軸受の支持中心に対してウォームホイールの側に偏倚される請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
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