JP5227010B2 - 直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストン - Google Patents

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Description

本発明は、直接噴射式ディーゼルエンジンに用いられるピストンに関するものである。
従来、直接噴射式ディーゼルエンジンに用いられるピストンは、その頂面にキャビティが形成されたものが知られている。そして、そのキャビティ内には、シリンダヘッドに取り付けられた燃料噴射ノズルから燃料が直接噴射されるようになっている。すなわち、このような直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、圧縮行程においてピストンが上死点付近に達したときに燃料噴射ノズルから燃料を噴射し、この燃料をキャビティの内壁面へ衝突させキャビティ全体に拡散させて燃焼させるようになっている。
ところで、直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、キャビティの形状を工夫することによって、キャビティ内での燃料と空気との混合を促進し、スモーク(黒煙)の排出量低減を図る技術が多数開発されている。
例えば、以下に規定する特許文献1には、図5に示すような技術が開示されている。なお、この図5は、特許文献1の図2に対応する図であって、直接噴射式ディーゼルエンジンに用いられるピストンの縦断面図である。つまり、特許文献1には、ピストン頂面102に縦断面視で半径rの円環状の室(キャビティの一部分に相当)103を形成するとともに、この室103の燃料噴霧の導入口104において、流路幅bの狭くなったくびれ部105と、くびれ部105の幅bを所定の部分で拡幅した拡幅部106とを形成する技術が開示されている。そして、くびれ部105でスワール流の流速を増大させ、拡幅部106でそのスワール流に燃料噴霧を乗せて、燃料と空気とを良好に混合するようにしている。
また、以下に規定する特許文献2には、図6(a)及び(b)に示すような技術が開示されている。なお、これらの図6(a)及び(b)は、特許文献2の図1(A)及び(B)に対応する図であって、直接噴射式ディーゼルエンジンのピストンを示し、(a)はその平面図,(b)は(a)のX−X矢視断面図である。つまり、特許文献2には、ピストン頂面111にスワール室(キャビティに相当)112を形成するとともに、スワール室入口114の内周面117の各噴霧衝突部121の厚さ寸法127を、隣り合う噴霧衝突部121の間に位置する噴霧非衝突部120の厚さ寸法128よりも長く形成する技術が開示されている。そして、多孔噴射ノズル115から放射状に噴射された燃料噴霧116を内周面117に衝突させ、燃料をスワール室入口114付近の空気と十分に混合するようにしている。
特開平6−346736号公報 特開2002−285850号公報
このように、ピストンのキャビティの形状を工夫して、スモークの排出量低減を狙った技術が様々に開発されているものの、近年、さらなる排ガス性能の向上が望まれている。
本発明はこのような要望に鑑み案出されたもので、燃料と空気との混合の促進を図ることで、排ガス性能をより向上させることができるようにした、直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンは、シリンダヘッドに燃料噴射ノズルが取り付けられた直接噴射式ディーゼルエンジンに用いられるピストンであって、頂面に形成されたキャビティを有する。
該キャビティの壁面は、縦断面視において、第一直線部,第二直線部,第一曲線部,第二曲線部,第三曲線部,第四曲線部及び突起部を有するように形成される。
該第一直線部は、該キャビティの開口部側壁として、該キャビティの中心軸に平行な直線で形成される。該第二直線部は、該キャビティの底壁として、該中心軸に向かい上り傾斜の直線で形成される。
該第一曲線部は、該キャビティの奥部側壁として、第一半径の円弧で形成される。該第二曲線部は、該第一直線部と該第一曲線部とを該第一半径よりも小径の第二半径の円弧で滑らかに接続する。
該第三曲線部は、該キャビティの底壁として、該第二直線部から該中心軸に向かって連続し、該第一半径と同径もしくは該第一半径よりも小径の第三半径の円弧で形成され、その円弧の中心点が該第一曲線部の円弧の中心点よりも該シリンダヘッド側に配置される。該第四曲線部は、該キャビティの底壁として、該第一曲線部と該第二直線部とを第四半径の円弧で滑らかに接続する。
該突起部は、該キャビティの底壁の中央において、該シリンダヘッド側に突起して形成される。
また、上死点時において、該第一曲線部及び該第二曲線部がなす接線と該第一直線部の延長線とが交差する交点が、該燃料噴射ノズルからの噴射燃料の噴射中心線上もしくは該噴射中心線の近傍に位置するように形成される。且つ、該第三曲線部と同心同径の仮想円が該噴射中心線に接する、もしくは、該仮想円の該シリンダヘッド側近傍を該噴射中心線が通り、該第三曲線部の円弧に沿うように上方に向かって流れる噴射燃料を上記突起部によって剥離させるとともに剥離した該噴射燃料の主流が上記燃料噴射ノズルからの噴射直後の燃料噴霧の流れに合流して再び前記交点に向かって進むように形成される。
さらに、該第四曲線部は、該第四半径が該第一半径よりも大径であり、且つ、その円弧の中心点と該第一曲線部の円弧の中心点とが該中心軸に平行な同一直線上に位置するように形成されているとともに、上記合流した燃料噴霧の流れを該キャビティの奥部側壁及び底壁に沿って所定期間循環させ続ける。
なお、上記の「上死点時」は、厳密にピストンが上死点にある時期を意味するものでは
なく、ピストンが上死点近傍にある時期を含むものである
請求項記載の本発明の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンは、請求項記載の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンにおいて、該突起部、該第三曲線部から連続し該中心軸に向かい上り傾斜の直線で形成される隆起部と、該隆起部から該中心軸に達するまで連続し該ピストンの頂面と平行な直線で形成される平坦部とを有し、該第三曲線部と該隆起部と第一角部を形成し、該隆起部と該平坦部と第二角部を形成することを特徴としている。
なお、該隆起部の該中心軸に対する傾斜角度は、該隆起部の傾斜角度をθ1と表し、該噴射中心線と該中心軸とがなす燃料噴射角をθfと表すと、
Figure 0005227010
の式を満たすことが好ましい。
また、該中心軸から該第一角部までの第一水平距離と該中心軸から該中心軸に対する該第一曲線部の最遠部までの第二水平距離とは、該第一水平距離をD1と表し、該第二水平距離をBと表すと、
Figure 0005227010
の式を満たすことが好ましい。
また、該中心軸から該第二角部までの第三水平距離と該第一水平距離とは、該第三水平距離をD2と表すと、
Figure 0005227010
の式を満たすことが好ましい。
また、該平坦部の深さは、目標圧縮比に基づき決定されることが好ましい。
さらに、該キャビティの容積が、該燃焼室の総容積の70%以上となるように設定されていることが好ましい。
請求項1記載の本発明の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンによれば、キャビティ容積を広く利用した燃料噴霧の循環流が形成されるので、燃料と空気との混合を十分に促進し、スモークを低減させ、排ガス性能を向上させることができる。また、第四曲線部によって、奥部側壁をなす第一曲線部から底壁の主要部をなす第二直線部へと滑らかに接続されるので、燃料噴霧の流れを滞らせることなくスムーズにすることができる。
請求項記載の本発明の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンによれば、第一角部及び第二角部によって渦流を発生させるので、これらの渦流によって、突起部上方においても燃料と空気との混合を良好に促進することができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示す模式的な図であって、図1はピストンとその周辺とを示す部分的な縦断面図、図2はピストンとその周辺とを示す全体的な縦断面図、図3はピストンの縦断面を示す斜視図、図4はピストンに形成されたキャビティ内での燃料噴霧の流れを示す図である。
<構成>
直接噴射式ディーゼルエンジンE/Gは、図2に示すように、シリンダヘッド1,シリンダブロック2,シリンダブロック2に形成されたシリンダ3に摺動自在に内嵌されたピストン4、及び、シリンダヘッド1に取り付けられた燃料噴射ノズル5を備えている。また、シリンダヘッド1の下面1aとピストン4の頂面4aとシリンダ3の内周面3aとに囲まれて、燃焼室6が形成されている。
ピストン4は、図3に示すように、略円筒形状の外形をなしており、その頂面4aには、吸気バルブ及び排気バルブ(ともに図示略)との干渉を避けるためのバルブリセス4cと、所定の深さを有するキャビティ10とが形成されている。ここで、図3には、キャビティ10の立体形状を把握しやすいように、ピストン4の径方向半分のみを示しているが、図示しない残りの半分も、図示された半分と同形状に形成されている。なお、本明細書において、ピストン4の中心軸Aの方向(軸方向)を上下方向とも深さ方向ともいう。また、ピストン4の中心軸Aは、キャビティ10の中心軸Aに一致する。
バルブリセス4c間には、スキッシュエリア7(図2参照)に対面するスキッシュ面4eが形成されている。そして、バルブリセス4c及びスキッシュ面4eの中心軸A側の端縁部4gは、後述するキャビティ10の開口部側壁に接続する部分であるが、面取りされて、バルブリセス4c及びスキッシュ面4eからキャビティ10の開口部側壁へは、緩やかに曲面で連なるようになっている。
燃料噴射ノズル5は、図2に示すように、ピストン頂面4aに対向するシリンダヘッド1の中央部にその先端を燃焼室6側へ突出させた状態で設けられている。また、燃料噴射ノズル5の噴孔は、ある噴射角をもって放射状に複数個形成されている。そして、噴孔から燃焼室6へ燃料を直接噴射するようになっている。
キャビティ10は、その開口(入口,いわゆるリップ)の直径よりも内部(奥部)の最大直径が大きい、いわゆるリエントラント型に形成されている。また、キャビティ10は、ピストン4が上死点にあるとき、その容積が、燃焼室6の総容積の70%以上となるように形成されている。
キャビティ10の壁面は、中心軸Aを通る縦断面視において、図1に示すように、第一直線部11,第二直線部12,第一曲線部13,第二曲線部14,第三曲線部15,第四曲線部16及び突起部17を有して形成されている。そして、上記各部11〜17は、第一直線部11,第二曲線部14,第一曲線部13,第四曲線部16,第二直線部12,第三曲線部15及び突起部17の順に連なっている。なお、図1では、識別しやすいように、ピストン4を太線で示している。また、図1では、キャビティ10の縦断面形状の径方向半分のみを示しているが、図2に示すように、残りの半分も中心軸Aと対称に同形状が形成されている。換言すれば、立体視では、図3に示すように、上記各部11〜17は、中心軸Aを中心として全周に亘って連続して形成されており、平面視で円形に形成されている。
第一直線部11は、図1に示すように、開口側の側壁(開口部側壁,いわゆるリップ部)をなす部分であって、中心軸Aに平行な直線で形成されている。また、第一直線部11の上端11aは、上述のように面取りされる関係で、ピストン頂面4aの基準面4b(バルブリセス4cやキャビティ10等の窪みが形成されていない深さゼロの面)よりも少し下がった位置に設定されている。
第二直線部12は、キャビティ10の底壁をなす部分であって、中心軸Aに向かい上り傾斜の直線で形成されている。
第一曲線部13は、キャビティ10の奥側の側壁(奥部側壁)をなす部分であって、所定の大きさの第一半径R1の円弧で形成されている。この第一曲線部13の最遠部13aは、キャビティ10において中心軸Aから最も離れており、キャビティ10の最大直径をなす部分になっている。
第二曲線部14は、第一直線部11と第一曲線部13とを滑らかに接続する部分であって、第一半径R1よりも小径の第二半径R2の円弧で形成されている。換言すれば、第一直線部11と第一曲線部13との接続部が、第二曲線部14によってアール加工されている。
第三曲線部15は、第二直線部12とともに、キャビティ10の底壁をなす部分であって、第二直線部12の径方向内側の一端から中心軸Aに向かって連続し、第一半径R1よりも小径の第三半径R3の円弧で形成されている。また、第三曲線部15の円弧の中心点C3が、第一曲線部13の円弧の中心点C1よりも上方に(つまり、シリンダヘッド1側に)配置されている。
第四曲線部16は、第二直線部12及び第三曲線部15とともに、キャビティ10の底壁をなす部分であって、第二直線部12と第一曲線部13とを滑らかに接続するように、第一半径R1よりも大径の第四半径R4の円弧で形成されている。また、第四曲線部16の円弧の中心点C4と第一曲線部13の円弧の中心点C1とは、中心軸Aに平行な同一直線L1上に位置するようになっている。
突起部17は、キャビティ10の底壁の中央において、シリンダヘッド1側に突起して形成された部分である。そして、突起部17は、第三曲線部15から連続し中心軸Aに向かい上り傾斜の直線で形成される隆起部18と、隆起部18から中心軸Aに達するまで連続しピストン基準面4bと平行な直線で形成される平坦部19とを有している。第三曲線部15と隆起部18とは第一角部Q1を形成し、隆起部18と平坦部19とは第二角部Q2を形成している。
中心軸Aから第一角部Q1までの水平距離(第一水平距離)D1は、以下の数式(1)を満たすようになっている。
Figure 0005227010
この数式(1)において、Bは、中心軸Aから第一曲線部13の最遠部13aまでの水平距離(第二水平距離)を示している。
また、水平距離D1と、中心軸Aから第二角部Q2までの水平距離(第三水平距離)D2とは、以下の数式(2)を満たすようになっている。
Figure 0005227010
さらに、水平距離D2は、第二角部Q2が燃料噴射ノズル5の噴孔よりも径方向外側に位置するように設定されている。
また、隆起部18の中心軸Aに対する傾斜角度θ1は、以下の数式(3)を満たすようになっている。
Figure 0005227010
この数式(3)において、θfは、燃料噴射ノズル5からの噴射燃料の噴射中心線Lfと中心軸Aとがなす噴射角度(燃料噴射角)を示している。また、噴射角度θfは、例えば72.5°に設定されるが、もちろん、この数値に限定されるものではない。
また、平坦部19のピストン基準面4bからの深さD3は、目標圧縮比に基づき決定されるようになっている。
ここで、本発明の最大の特徴について説明すると、キャビティ10は、ピストン4が上死点近傍に位置している場合において、第一曲線部13及び第二曲線部14がなす接線L2と第一直線部11の延長線L3とが交差する交点Kが、噴射中心線Lf上に位置するように形成されている。つまり、圧縮行程上死点近傍の時期において、燃料噴射ノズル5が交点Kを指向して燃料を噴射するように形成されている。また、キャビティ10は、ピストン4が上死点近傍に位置している場合において、第三曲線部15を延長して形成される円(仮想円)21、すなわち、第三曲線部15と同心同径の(中心点C3を中心とする第三半径R3の)仮想円21が、噴射中心線Lfに接するように形成されている。なお、ここでの「接する」とは、厳密に接することを意味するのではなく、仮想円21が噴射中心線Lfの近傍を通っている場合も含むものである。
<作用・効果>
本発明の一実施形態にかかる直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンは上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
圧縮行程でピストン4が上死点へと上昇するとき、燃焼室6には、図4(a)に示すように、キャビティ10内に向かって流れるスキッシュ流が生じる。なお、特に図示しないが、このとき、吸気行程で生じるスワール流も存在している。
そして、図4(b)に示すように、ピストン4が上死点近傍の所定位置へ達したとき、図面上にハッチで示すように燃料噴射ノズル5からの燃料噴射が開始される。この燃料は、矢印F1で示すように、霧化しながら噴射中心線Lfに沿って噴射され、また、噴射開始時の噴射中心線Lfは第一直線部11を指向している。
続いて、図4(c)に示すように、ピストン4がさらに上死点へ接近すると、噴射中心線Lfは交点Kを指向した状態となる。このように噴射中心線Lfが交点Kを指向した状態のとき、燃料噴霧の流れF1はキャビティ10の壁面に至る。ただし、燃料噴霧の流れF1は、スワール流及びスキッシュ流の影響により下方へ偏向されて、交点Kよりもやや下方で第一曲線部13に至る。
その後、燃料噴霧の流れF1は、矢印F2で示すように、円弧状の第一曲線部13に沿って下方に向かい、続いて、円弧状の第四曲線部16、直線状の第二直線部12、円弧状の第三曲線部15に沿って進む。ここで、第四曲線部16によって、奥部側壁をなす第一曲線部13と底壁の主要部をなす第二直線部12とが滑らかに接続されているので、燃料噴霧の流れF2を滞らせることなくスムーズに流すことができる。
第三曲線部15の終点である第一角部Q1まで到達した燃料噴霧の流れF2は、突起部17の第一角部Q1によって、矢印F3,F4,F5で示すように、主流F3と副流(後述の渦流)F4,F5とに剥離される。主流F3は、第三曲線部15の円弧に沿うように、上方に向かって流れる。このとき、第三曲線部15を延長して形成される仮想円21が噴射中心線Lfに接するように設定されているので、主流F3は、燃料噴射ノズル5から噴射された直後の燃料噴霧の流れF1に巻き込まれる。そして、主流F3は、燃料噴霧の流れF1に合流し、再び交点Kに向かって進む。
したがって、燃料噴射ノズル5から噴射された燃料の大部分をキャビティ10内で所定期間循環させ続けることになり、キャビティ10内を有効に広く利用して、燃料と空気とを長時間接触させ、混合を促進することができる。つまり、キャビティ10容積を広く利用した循環流を形成することで、燃料と空気とが長時間広く撹拌され、キャビティ10内の燃料と空気とがくまなく混合し、キャビティ10内の空気利用率を向上させ、燃料は完全燃焼してスモークの排出量を低減させることができる。また、この循環流は、時間スケールの大きい渦流であるため、着火を遅らせ、燃料と空気との混合時間を十分に確保することができる。
また、第二直線部12の斜面に沿って流れる燃料噴霧の流れF2は、第三曲線部15によって急激に偏向されて、上記主流F3を、噴射直後の燃料噴霧の流れF1に合流させることができる。
また、突起部17の第一角部Q1によって剥離した主流F3は、中心軸Aを超えて径方向反対側へ到達することなく燃料噴霧の流れF1に合流する一方、剥離した副流F4,F5は、第一角部Q1及び第二角部Q2上に比較的小さな渦流F4,F5を形成する。これらの渦流F4,F5によって、突起部17上方においても燃料と空気との混合を図り、キャビティ10内の空気利用率をより向上させ、燃焼効率を向上させ、スモークを低減させることができる。
また、第一直線部11からなるキャビティ10のリップ部ではスワール流が強化されるので、リップ部においても燃料と空気とを十分に混合することができる。これについて詳述すると、従来から知られているように、リップ部のスワール流は、以下の数式(4)で表される。
Figure 0005227010
なお、この数式(4)において、Ωswrはエンジン回転数に対するリップ部でのスワール旋回数を示し、Ωswはエンジン回転数に対するシリンダ3内のスワール旋回数を示し、Bpはボア径を示し、Aはリップ部径を示している。
本実施形態では、キャビティ10がリエントラント型に形成されてリップ部が絞られているので、スワール流の旋回数が増大し、燃料と空気とを十分に混合することができる。また、リップ部では径変化がないので、安定したスワール流により燃料と空気とを混合することができる。
さらに、リップ部で混合された燃料と空気とはスキッシュ流によりキャビティ10奥へ押し込まれるが、上死点時においてキャビティ10の容積が燃焼室6の総容積の70%以上となるように形成されているので、キャビティ10容積を大きく確保し、スキッシュエリア7への燃料浸入を低減することができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態においては、奥部側壁をなす第一曲線部13と底壁の主要部をなす第二直線部12とは、第四曲線部16によって滑らかに接続されているが、第四曲線部16を特に設けず、第一曲線部13と第二直線部12とが直接接続されていても良い。
また、上記実施形態においては、第三曲線部15は、第一半径R1よりも小径の第三半径R3の円弧で形成されているが、第一半径R1と同径の円弧で形成されていても良い。ただし、第三曲線部15は、第三曲線部15を延長して形成される仮想円21が噴射中心線Lfに接する、もしくは、仮想円21のシリンダヘッド1側近傍を噴射中心線Lfが通るように構成されている必要がある。
また、上記実施形態においては、第一曲線部13及び第二曲線部14がなす接線L2と第一直線部11の延長線L3とが交差する交点Kが、噴射中心線Lf上に位置するように形成されているが、交点Kが噴射中心線Lf近傍に位置するように形成されていても良い。ただし、圧縮工程上死点近傍の時期において、燃料噴射ノズル5が交点Kを指向して燃料を噴射するように形成されている必要がある。
また、上記実施形態においては、突起部17は、隆起部18と平坦部19とを有するように形成されているが、突起部17の形状はこれに限らず、少なくとも、キャビティ10内で形成される循環流が中心軸Aを超えて反対側へ流れるのを阻止可能な形状に形成されていれば良い。
本発明の一実施形態に係る直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示すものであって、ピストンとその周辺とを示す模式的な部分縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示すものであって、ピストンとその周辺とを示す模式的な全体縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示すものであって、ピストンの縦断面を示す模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係る直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンに形成されたキャビティ内の燃料噴霧の流れを示す模式図であって、(a)〜(c)は圧縮行程時にピストンが上死点へ近づくときの燃焼室の縦断面図を時系列順に示している。 従来の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示す模式図である。 従来の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストンを示す模式図であって、(a)はその平面図,(b)は(a)のX−X矢視断面図である。
符号の説明
1 シリンダヘッド
2 シリンダブロック
3 シリンダ
4 ピストン
4a 頂面
4b 基準面
4c バルブリセス
4e スキッシュ面
5 燃料噴射ノズル
6 燃焼室
10 キャビティ
11 第一直線部
12 第二直線部
13 第一曲線部
14 第二曲線部
15 第三曲線部
16 第四曲線部
17 突起部
18 隆起部
19 平坦部
A 中心軸
B 中心軸から第一曲線部の最遠部までの距離
1 第一曲線部の円弧の中心点
3 第三曲線部の円弧の中心点
4 第四曲線部の円弧の中心点
1 中心軸から第一角部までの距離
2 中心軸から第二角部までの距離
3 平坦部のピストン基準面からの深さ
E/G 直接噴射式ディーゼルエンジン
1〜F5 燃料噴霧の流れ
K 第一曲線部及び第二曲線部がなす接線と第一直線部の延長線との交点
1 第一曲線部の中心点と第四曲線部の中心点とを結ぶ線
2 第一曲線部及び第二曲線部がなす接線
3 第一直線部の延長線
f 噴射中心線
1 第一角部
2 第二角部
1 第一曲線部の半径
2 第二曲線部の半径
3 第三曲線部の半径
4 第四曲線部の半径
θ1 隆起部及び中心軸がなす角度
θf 噴射中心線及び中心軸がなす角度(噴射角)

Claims (2)

  1. シリンダヘッドに燃料噴射ノズルが取り付けられた直接噴射式ディーゼルエンジンに用いられるピストンであって、
    頂面に形成されたキャビティを有し、該キャビティの壁面は、縦断面視において、
    該キャビティの開口部側壁として、該キャビティの中心軸に平行な直線で形成された第一直線部と、
    該キャビティの奥部側壁として、第一半径の円弧で形成された第一曲線部と、
    該第一直線部と該第一曲線部とを該第一半径よりも小径の第二半径の円弧で滑らかに接続する第二曲線部と、
    該キャビティの底壁として、該中心軸に向かい上り傾斜の直線で形成された第二直線部と、
    該キャビティの底壁として、該第二直線部から該中心軸に向かって連続し、該第一半径と同径もしくは該第一半径よりも小径の第三半径の円弧で形成され、その円弧の中心点が該第一曲線部の円弧の中心点よりも該シリンダヘッド側に配置された第三曲線部と、
    該キャビティの底壁として、該第一曲線部と該第二直線部とを第四半径の円弧で滑らかに接続する第四曲線部と、
    該キャビティの底壁の中央において、該シリンダヘッド側に突起して形成された突起部とを有するように形成されるとともに、
    上死点時において、該第一曲線部及び該第二曲線部がなす接線と該第一直線部の延長線とが交差する交点が、該燃料噴射ノズルからの噴射燃料の噴射中心線上もしくは該噴射中心線の近傍に位置し、且つ、該第三曲線部と同心同径の仮想円が該噴射中心線に接するもしくは該仮想円の該シリンダヘッド側近傍を該噴射中心線が通り、該第三曲線部の円弧に沿うように上方に向かって流れる噴射燃料を上記突起部によって剥離させるとともに剥離した該噴射燃料の主流が上記燃料噴射ノズルからの噴射直後の燃料噴霧の流れに合流して再び前記交点に向かって進むように形成され、
    該第四曲線部は、該第四半径が該第一半径よりも大径であり、且つ、その円弧の中心点と該第一曲線部の円弧の中心点とが該中心軸に平行な同一直線上に位置するように形成されているとともに、上記合流した燃料噴霧の流れを該キャビティの奥部側壁及び底壁に沿って所定期間循環させ続ける
    ことを特徴とする、直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストン。
  2. 該突起部は、
    該第三曲線部から連続し該中心軸に向かい上り傾斜の直線で形成される隆起部と、該隆起部から該中心軸に達するまで連続し該ピストンの頂面と平行な直線で形成される平坦部とを有し、
    該第三曲線部と該隆起部とは第一角部を形成し、該隆起部と該平坦部とは第二角部を形成する
    ことを特徴とする、請求項1記載の直接噴射式ディーゼルエンジン用ピストン。
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