JP5226911B2 - 導電性塗料組成物、導電性塗料セット、これらを用いた導電性塗膜、塗膜付き基材および面状発熱体 - Google Patents

導電性塗料組成物、導電性塗料セット、これらを用いた導電性塗膜、塗膜付き基材および面状発熱体 Download PDF

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Description

産業上の利用分野
本発明は、複雑な表面形状の基材にも施工可能であり、耐水性、耐熱性、耐候性および機械的強度に優れた塗膜を提供できる導電性塗料組成物、この塗料組成物を調製するための導電性塗料セットに関する。さらに本発明は、この塗料組成物を用いて形成された導電性塗膜、およびこの導電性塗膜からなる層を備えた塗膜付き基材および面状発熱体に関する。
発明の技術的背景
近年、一般家庭用、または航空、交通運輸、医療、通信、農林水産、食品加工、化学等の各種産業分野において、結露、融雪および凍結防止用シートまたは加熱・保温用シートなどとして、面状発熱体が用いられてきている。
このような面状発熱体としては、例えばゴムに、金属粒子または炭素材粒子を分散させた加硫ゴムシートと、これに接続された電極とを有する複合ゴム発熱体(特開平6-231869号公報参照)が提案されている。
しかしながら、このような複合ゴム発熱体は、製造時に平板状とすると、複雑な表面形状を有する被加熱物に適用することが困難であるという問題があった。
特開平6-260264号公報には、金属または炭素からなる箔、繊維または粉末などの導電体をゴムなどをバインダーとして用いて結合してなる導電性シートと、絶縁性シートとの間に樹脂層を形成し、加熱圧着してなる面状発熱体が開示されている。
しかしながら、このような面状発熱体は、上記の複合ゴム発熱体と同様に、複雑な表面形状を有する被加熱物に適応し難い他、導電性シートと絶縁性シートとの間の性状、例えば熱膨張率および機械的特性などの差異により、通電発熱時に両シートの密着性が低下し、防水不良や絶縁不良を起こす可能性があった。
また、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂あるいはシリコーン樹脂などの種々の樹脂に粉末状または粒状の導電材を分散させてなる導電性塗料、およびこれを用いた面状発熱体が多数提案されている(特許第2788517号、特開平8-41388号、特開平6-84585号、特開平4-7377号、特開昭63-110590号、特開昭62-237690号、特開昭57-11489号、特開昭51-38140号および特開平7-125580号公報参照)。
このような導電性塗料によれば、例えば、導電性塗料を、複雑な表面形状の基材または被加熱物に、スプレー等で塗布して導電性塗膜を形成し、この導電性塗膜上に絶縁性塗料を同様に塗布して絶縁層を形成することで、被加熱物の表面形状に対応した面状発熱体を容易に形成することができる。
しかしながら、例えば、エポキシ樹脂は、耐水性に優れ、金属への付着性が良好で塗膜強度を向上させるのに好適であるが、これを導電性塗料の樹脂成分として用いた場合には、絶縁性塗料成分の滲入によって導電性が低下するという問題があった。さらに、エポキシ樹脂を用いた導電性塗膜は、導電性が低く発熱量が小さいという欠点があった。
また、シリコーン樹脂などのように、乾燥硬化時に焼き付けを必要とする樹脂を導電性塗料の樹脂成分として用いた場合、焼き付け温度下に耐えうる耐熱性を有した基材または被加熱物にしか用いることができず、適用範囲が狭くなるという問題がある。また、このような導電性塗料では、焼き付け時に電極として用いた金属箔の熱歪みによる反り返り、電極接続用接着剤の吹き出しなどが生じ、その結果導電性の低下や断線が発生する恐れがあった。
さらに、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂などの上述した以外の樹脂を導電性塗料の樹脂成分として用いた場合、長期間の発熱および屋外暴露下で使用するために必要な耐水性、耐熱性、耐候性および機械的強度などが十分ではないという問題があった。
発明の目的
本発明は、このような従来技術に伴う問題点を解決するためになされたものであり、複雑な表面形状の基材または被加熱物にも容易に施工でき、耐水性、耐熱性、耐候性および機械的強度に優れた塗膜を提供できる導電性塗料組成物およびこの塗料組成物を調製するための導電性塗料セットを提供することを目的としている。
さらに、本発明は、前記塗料組成物を用いて形成された導電性塗膜、これを用いた塗膜層を有する塗膜付き基材及び面状発熱体を提供することを目的としている。
本発明に係る導電性塗料組成物は、(A)エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂および不飽和ポリエステルからなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂100重量部と、(B)炭素材および黒鉛材からなる群から選択される少なくとも一種の導電材30〜200重量部、好ましくは47〜170重量部と、
(D)重合開始剤とを含むことを特徴としている。
本発明に係る導電性塗料組成物は、さらに(C)重合性希釈剤50〜150重量部、好ましくは80〜110重童部を含むことが望ましい。
本発明に係る導電性塗料セットは、前記ラジカル重合性樹脂(A)および前記導電材(B)を収容する第一容器と、重合開始剤(D)を収容する第二容器とをそなえることを特徴としている。
本発明に係る塗装用セットでは、第一容器は、さらに重合性希釈剤(C)を収容していてもよい。
本発明に係る導電性塗膜は、前記導電性塗料組成物から形成された導電性塗膜層を備えることを特徴としている。
本発明に係る導電性塗膜は、このような導電性塗膜層を有していればその層構成を特に限定されない。例えば、本発明に係る導電性塗膜では、導電性塗膜層とともに、絶縁性の熱硬化性樹脂塗料を用いて形成された絶縁性塗膜層を備えていてもよく、また導電性塗膜層が、2層の前記絶縁性塗膜層間に形成されていてもよい。
本発明に係る塗膜付き基材は、前記導電性塗膜で、その表面の少なくとも一部が被覆されていることを特徴とする。
本発明に係る面状発熱体は、前記導電性塗膜と、この導電性塗膜の前記導電性塗膜層に接続された電極とからなることを特徴としている。
本発明に係る面状発熱体は、前記導電性塗膜で、その表面の少なくとも一部が被覆された基材を備えていてもよい。
発明の具体的な説明
以下、本発明に係る導電性塗料組成物、導電性塗料セット、導電性塗膜、塗膜付き基材および面状発熱体を更に具体的に説明する。
導電性塗料組成物
本発明に係る導電性塗料組成物は、特定のラジカル重合性樹脂(A)、導電材(B)および重合開始剤(D)を含んでいる。
本発明の塗料組成物に含まれるラジカル重合性樹脂(A)は、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される。
エポキシアクリレート樹脂は、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応により合成される。
このようなエポキシアクリレート樹脂としては、具体的には、
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシアクリレート、
ビスフェノールSとエピクロルヒドリンと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールS型エポキシアクリレート、
ビスフェノールFとエピクロルヒドリンと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるビスフェノールF型エポキシアクリレート、および
フェノールノボラックとエピクロルヒドリンと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシアクリレート
などが挙げられる。
ポリエステルアクリレート樹脂は、ジオールもしくはポリオールと2塩基酸との反応により合成したポリエステルの骨格に残った水酸基に、(メタ)アクリル酸を縮合して得られる。
このようなポリエステルアクリレート樹脂としては、具体的には、
無水フタル酸とプロピレンオキサイドと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるアクリレート、
アジピン酸と1,6-ヘキサンジオールと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるアクリレート、
トリメリット酸とジエチレングリコールと(メタ)アクリル酸との反応により合成されるアクリレートなどが挙げられる。
ウレタンアクリレート樹脂は、たとえばジイソシアネート類とポリオール類とヒドロキシ(メタ)アクリレート類とを反応させることによって得られ、分子中に官能基として(メタ)アクリロイル基(CH2=CRCO−、R:H又はCH3)とウレタン結合(−NH・COO−)を有するプレポリマー(オリゴマー)である。
ジイソシアネート類としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]、イソホロンジイソシアネート[IPDI]、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)[HMDI]、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート[TMHMDI]、トリレンジイソシアネート[TDI]、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI]、キシリレンジイソシアネート[XDI]などが挙げられる。
ポリオール類としては、具体的には、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(プロピレンオキサイド)トリオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールAなどが挙げられる。
また、不飽和ポリエステル樹脂としては、具体的には、
1,2-プロピレングリコールと無水フタール酸と無水マレイン酸とからなる不飽和ポリエステル;
トリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDA)、トリメチロールプロパントリアリルエーテル(TMPTAE)、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート等のアリル基含有化合物とスチレンとが配合された不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
本発明では、ラジカル重合性樹脂(A)は、このようなエポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂または不飽和ポリエステル樹脂を、単独で含んでいても、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
本発明に係る導電性塗料組成物に含まれる導電材(B)は、炭素材および黒鉛材から選択される。
本発明で導電材(B)として用いられる炭素材および黒鉛材は、組成物中に均一に分散できれば特にその形状を限定されず、例えば、粒状、球状、棒状、多面体状、針状、ミルド化繊維状およびフレーク状(鱗片状)など種々の形状の粒子であってよく、さらには微細粒子の集合体粒子などの形態であってもよい。
このような炭素材としては、カーボンブラック、PAN系、コールタール系、石炭ピッチ系、重質油系および石油ピッチ系のミルド化炭素繊維などを挙げることができる。
また、黒鉛材としては、天然黒鉛、人造黒鉛、および上記PAN系、コールタール系、石炭ピッチ系、重質油系および石油ピッチ系の炭素繊維などをさらに高温処理し黒鉛化して得られるミルド化黒鉛繊維を挙げることができる。
さらに、導電材(B)となる炭素または黒鉛材としては、テーラ等の方法(Brooks and Taylor, Carbon 3, 185(1965))で製造されたメソカーボンマイクロビーズを例示することができる。
このような炭素材および黒鉛材のうち、特にカーボンブラック、ミルド化炭素繊維、天然及び人造黒鉛(グラファイト)、およびミルド化黒鉛繊維が好ましい。
このような炭素材および黒鉛材は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明では、導電材(B)の粒径および粒径分布は、十分な塗膜強度および導電性、および作業性の良好な粘度などを確保できれば特に限定されず、必要に応じて適宜選択することが可能である。
例えば、導電材(B)は、その平均粒径が、0.5〜200μm、好ましくは1〜150μm、特に5〜100μmの平均粒径を有することが望ましい。
また、導電材(B)は、ミルド化繊維である場合、その平均繊維長が10〜300μm、好ましくは10〜150μm、特に30〜100μmの平均繊維長を有することが望ましい。
このような平均繊維長のミルド化炭素繊維またはミルド化黒鉛繊維を用いることにより、特に塗膜強度を向上させることが可能である。
さらに、導電材(B)は、平均粒径が異なるものを混合するなどして、適当な粒径分布を有するようにしてもよい。たとえば、導電材(B)として、炭素材または黒鉛材を用いた場合、粒径範囲が1〜5μmにある第一粒子10〜90重量%、好ましくは10〜50重量%と、粒径範囲が20〜60μmにある第二粒子10〜90重量%、好ましくは10〜50重量%と、粒径範囲が80〜100μmにある第三粒子10〜90重量%、好ましくは10〜40重量%とを混合することが望ましい。
このように炭素材または黒鉛材を混合することにより、低粘度で作業性に優れ、かつ優れた導電性を有する導電性塗膜を得ることができる。
本発明では、このような導電材(B)は、アクリレート樹脂(A)100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは47〜170重量部、特に60〜170重量部の量で用いられる。
導電材(B)をこのような範囲の量で用いることにより、十分な導電性および強度の導電性塗膜を形成できる他、組成物の均一分散性および塗装作業性が良好になる。
本発明の導電性塗料組成物に含まれる重合開始剤(D)としては、過酸化アシル、過酸化アルキル、過酸エステル、ヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、および加硫酸塩、金属過酸化物などの無機過酸化物、ケトンパーオキサイドなどを用いることができる。
このような有機過酸化物としては、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどを例示できる。これら有機過酸化物が単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせてもよく、例えばクメンハイドロパーオキサイド/t-ブチルパーオキシベンゾエート混合系、クメンハイドロパーオキサイド/t-ブチルパーオキシベンゾエート/メチルエチルケトンパーオキサイド混合系として用いることができる。
また、無機過酸化物としては、具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを例示できる。
本発明では、このような重合開始剤(D)は、その使用量を特に限定されないが、例えばエポキシアクリレート樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、特に2〜7重量部の量で用いることが望ましい。
なお、本発明では、このような重合開始剤(D)とともに、ラジカル重合促進剤を併用することが望ましく、このような促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルトおよびジメチルアニリンなどを例示できる。
以上説明したアクリレート樹脂(A)、導電材(B)および重合開始剤(D)を含む本発明に係る導電性塗料組成物は、さらに(C)重合性希釈剤を含んでいてもよい。
このような重合性希釈剤(C)としては、例えば、芳香族ビニル化合物、単官能性(メタ)アクリレート系重合性モノマー、および多官能性(メタ)アクリレート系重合性モノマーなどを例示することができる。
芳香族ビニル化合物としては、具体的には、例えばスチレンモノマー、ビニルトルエンおよびジアリルフタレートなどを例示することができる。
単官能性(メタ)アクリレート系重合性モマーとしては、具体的には、例えば2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルトリグリコール(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレート系重合性モノマーは、(メタ)アクリレートに代表される重合性官能基をモノマー中に2個以上有するものであり、具体的には、
1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー;
などが挙げられる。
このような重合性希釈剤(C)は、以上の化合物を単独で含んでいても、二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
このような重合性希釈剤(C)は、エポキシアクリレート樹脂(A)100重量部に対して、50〜150重量部、好ましくは80〜110重量部の量で用いることが望ましい。
このような範囲の量で重合希釈剤(C)を用いることにより、導電性能の安定性および塗装作業性が向上する。
本発明に係る導電性塗料組成物は、以上説明した成分(A)〜(D)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、上記アクリレート樹脂(A)と共重合可能な各種モノマー(例:上記以外のアクリルモノマー、ビニルモノマー)の他、塗料分野において公知の各種添加剤、例えば:
ソーダ長石、マイカ、アルミナ、タルク、クレーおよび炭酸カルシウムなどの充填剤(体質顔料)、
無水石膏、半水石膏、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナなどの吸水剤、 t-ブチルカテコールなどの滑剤、
弁柄およびチタン白などの顔料、
芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエン)、ケトン類(例:メチルイソブチルケトン(MIBK))、エステル類(例:酢酸エチル、酢酸イソブチル)などの各種有機溶剤、および
可塑剤、レベリング剤、消泡剤などを含んでいてもよい。
導電性塗料セット
本発明に係る導電性塗料組成物は、上述したラジカル重合性樹脂(A)、導電材(B)、重合開始剤(D)および任意成分である反応性希釈剤(C)を、塗布直前に、任意の順序で混合して調製され、所望の箇所に塗布される。したがって、各成分(A)〜(D)は、使用するまで、各々別々に、特に少なくとも成分(A)および(C)と、成分(D)とが別々となるように貯蔵または搬送される。
本発明に係る導電性塗料セットは、以上説明したラジカル重合性樹脂(A)および導電材(B)を収容する第一容器および重合開始剤(D)を収容する第二容器を備えている。
本発明に係る塗料セットでは、重合性希釈剤(C)を、ラジカル重合性樹脂と混合して、第一の容器に収容していてもよい。
本発明に係る導電性塗料セットによれば、各成分(A)〜(D)を各々第一および第二の容器に収容した状態で貯蔵および搬送し、使用直前に第一および第二の容器から所望量の各成分を混合することで、本発明に係る導電性塗料組成物を容易に調製することができる。
導電性塗膜
本発明に係る導電性塗膜は、上述した導電性塗料組成物から形成された導電性塗膜層を備えている。
本発明に係る導電性塗膜は、このような導電性塗膜層を有していればその層構成を特に限定されない。例えば、本発明に係る導電性塗膜では、導電性塗膜層とともに、絶縁性の熱硬化性樹脂塗料を用いて形成された絶縁性塗膜層を備えていてもよく、また導電性塗膜層が、2層の前記絶縁性塗膜層間に形成されていてもよい。
絶縁性塗膜は、導電性塗膜と、これを施工する基材または被加熱物との間の絶縁性を確保するために形成される他、導電性塗膜上に形成した場合には、その保護層または断熱層としても機能し得る。
本発明で、絶縁性塗膜の形成に用いる塗料としては、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル変性フッ素樹脂などをアクリレート樹脂として含む熱硬化性樹脂塗料を例示することができる。この内、特にエポキシアクリレート樹脂あるいは不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
このような熱硬化性樹脂塗料は、塗料分野において公知の各種添加剤、例えば上述したような充填剤、体質顔料、吸水剤、滑剤、顔料、有機溶剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤などを添加することができる。
本発明に係る導電性塗膜では、導電性塗膜層の厚さは、要求される発熱量、層構成などに応じて適宜選択できるが、例えば100〜700μm、好ましくは200〜400μmであることが望ましい。
また、導電性塗膜層と絶縁性塗膜層とを積層した多層導電性塗膜では、絶縁性塗膜層の厚さは、基材または被加熱物との絶縁性、導電性塗膜層の化学的または物理的保護機能など目的に応じて種々変更することができる。例えば、絶縁性塗膜層は、200〜1000μm、好ましくは300〜600μmの厚さを有することが望ましい。
塗膜付き基材
本発明に係る塗膜付き基材は、基材と、その表面の少なくとも一部を被覆する上記導電性塗膜とからなることを特徴としている。このような塗膜付き基材は、適当な電極に接続し、通電することで発熱する面発熱体として使用することができる。
本発明の塗膜付き基材に用いられる基材は、特に限定されず、各種プラスチックス、セラミックス、木質、紙、織布、不織布、繊維、所望により表面を絶縁処理した鋼、銅またはアルミなどの金属材料などのいずれであってもよい。これら基材は、その用途に応じて、種々の形状とすることが可能である。
また、本発明の面発熱体は、上記の導電性塗膜で、その表面の少なくとも一部が被覆された基材を備えていてもよい。すなわち、本発明の面発熱体は、上述の被膜付き基材と、その導電性被膜層に接続された電極とから構成される。
本発明に係る塗膜付き基材は、上述した導電性塗料組成物、および所望により絶縁性塗料を、所望形状の基材に、任意の順序で塗布して導電性塗膜を形成することで製造できる。この際、最外層に絶縁性塗膜層を設け、この絶縁性塗膜層によって、導電性塗膜が、その表面および側面を含め、完全に被覆されるようにすることが好ましい。このような導電性塗料組成物および絶縁性塗料の塗布は、特に限定されず、エアースプレー、エアーレススプレー、刷毛塗り、ローラ塗りなどの種々の方法で行うことが可能である。
また、本発明に係る塗膜付き基材は、木製、プラスチック製または金属製の型内に、先ず離型紙を装着し、該離型紙上に上記の方法で導電性塗膜層および絶縁性塗膜層を形成し、次いでガラス繊維などの繊維基材にポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた基材を収容して積層し、硬化後脱型して製造することができる。この場合、型の形状を適宜変更することにより、所望の形状の基材上に導電性塗膜が形成された塗膜付き基材を製造することができる。
面状発熱体
本発明に係る面状発熱体は、上述した導電性塗膜と、この導電性塗膜の導電性塗膜層に接続された電極とからなる。
本発明の面状発熱体は、被加熱物に直接、所望により導電性塗膜層および絶縁性塗膜層を積層してなる導電性塗膜を形成した場合には、基材を必要としない。
本発明に係る面状発熱体は、上述したような塗膜付き基材の製造に際して、導電性塗膜の導電性塗膜層に接続するように、銅、炭素鋼、ステンレス、アルミおよびチタンなどの金属製箔、金属製リード線などの電極を介在させることで製造することができる。具体的には、本発明に係る面状発熱体は、例えば絶縁性塗膜層形成後この層に電極を接着した後に、導電性塗膜層を形成するか、導電性塗膜層形成後に該層に電極を接着し、さらに絶縁性塗膜層を形成することで製造できる。
ここで、添付図1〜図6を参照して、本発明に係る面発熱体をさらに具体的に説明する。
添付図1(A)は、本発明に係る面状発熱体の好ましい一態様を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)中のB−B線断面矢視図である。
図示されるように、この面状発熱体1は、基材3と、基材3上に形成された導電性塗膜5と、導電性塗膜5内に埋設された電極7,7とを有している。
基材3は、平面視長方形状の金属板9と、金属板9の両面に形成された絶縁性塗膜層11,11とを備えている。さらに、この基材3は、一方の絶縁性塗膜層11上に積層された保護層13を有している。
このような基材3の他方の絶縁性塗膜層11上には、導電性塗膜5が形成されるが、この導電性塗膜5は、基材3の絶縁性塗膜層11に密着する第一の絶縁性塗膜層15と、この絶縁性塗膜層15上に形成される導電性塗膜層17と、この導電性塗膜層17上に形成される第二の絶縁性保護塗膜層19とを有する。
また、この導電性膜5では、絶縁性塗膜層11の外周縁部上は、導電性塗膜17が形成されていない非加熱部20であり、この部分では第一および第二の絶縁性塗膜層15,19が直接密着している。そして、第二の絶縁性保護塗料層19上には、基材3の導電性塗膜5形成側からの放熱量を調節するための断熱層21が形成されている。
電極7,7は、帯状金属箔からなり、面状発熱体1の幅方向両側において、導電性塗膜層17および第一の絶縁性塗膜層15間に形成されて長手方向に延在している。そして、電極7,7は、各々その一方端が非加熱部20を横断して外部のリード線22,22に接合され、他方端は非加熱部20に達することなく終端している。
また、電極7,7とリード線22,22との接合部23,23は、接着剤によって絶縁・防水処理されている。
このような構造を有する本体態様の面状発熱体1は、例えば以下に説明する方法(以下、塗装方式と記すこともある)によって製造することができる。即ち先ず、基材3に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第一の絶縁性塗膜層15を形成し、電極7,7を接着して粗面化とともに、第一の絶縁性塗膜層15の表面外周部をマスキングする。次いで、本発明に係る導電性塗料組成物を塗布し、速やかにマスキングを除去し、本発明に係る塗料組成物を乾燥硬化させて導電性塗膜層17とする。そして、導電性塗膜層17および絶縁性塗膜外周部上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第二の絶縁性塗膜層19とする。このようにして、導電性塗膜層17を囲む非加熱部20が形成される。
その後、第二の絶縁性塗膜層19上に、断熱塗料を塗布して乾燥硬化させて断熱層21とした後、電極7,7にリード線22,22を接続し、接続部分23,23を接着剤、パテなどによって絶縁・防水処理する。
以上説明した面状発熱体1は、リード線22,22を、付図視の外部電源に接続されたコントローラ25に接続し、このコントローラによって導電性塗膜層に流れる電流またはこれに加える印加電圧を制御することで、所望の温度で発熱させることができる。
添付図2(A)は、本発明に係る面状発熱体の他の好ましい態様を示す平面図であり、図2(B)は、図2(A)中のB−B線断面矢視図である。なお、図2(A)および(B)において、図1(A)および(B)と同様の部分には同様の符号を付す。
図示されるように、この面状発熱体31は、基材33と、基材33上に形成された導電性塗膜5と、導電性塗膜5内に埋設された電極7,7とを有している。
基材33は、平面視長方形状の繊維強化プラスチック(FRP)板からなる。
このような基材33の一方の表面には、導電性塗膜5が形成されるが、この導電性塗膜5では、図1(A)および(B)と同様の順序で積層された第一の絶縁性塗膜層15、導電性塗膜層17および第二の絶縁性塗膜層19を有している。
ただし、この面状発熱体31では、電極7,7は、導電性塗膜層17と第二の絶縁性塗膜層19との間に設けられている。
このような構造を有する本体態様の面状発熱体31は、例えば以下のような方法(以下、FRP成形方式と記すことがある)によって製造することができる。即ち先ず、平板状の型に離型剤を塗布した後、離型剤層上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第二の絶縁性塗膜層19を形成した後、電極7,7を接着して粗面化するとともに、第二の絶縁性塗膜層19の表面外周部をマスキングする。次いで、本発明に係る導電性塗料組成物を塗布し、速やかにマスキングを除去し、塗料組成物を乾燥硬化させて導電性塗膜層17とする。そして、導電性塗膜層17および第二の絶縁性塗膜層19外周部上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第一の絶縁性塗膜層15とする。このようにして、導電性塗膜層17を囲む非加熱部20が形成される。
さらに、第一の絶縁性塗膜層15上に、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維を積層し、乾燥硬化させて基材33とする。その後、面状発熱体31を脱型し、電極7,7にリード線22,22を接続し、接続部分を接着剤・パテなどによって絶縁・防水処理する。
以上説明した本態様の面状発熱体31にあっても、リード線22,22を、の外部電源に接続されたコントローラ25に接続すれば、図1(A)および(B)に示される面状発熱体1と同様に機能する。
なお、図1および図2に示した平板状の基材を用いた面状発熱体1および31に付き具体的に説明したが、本発明の面状発熱体は、その形状を平坦形状に特定するものではなく、例えば、図3(A)、図3(B)および図4(A)に示す形状とすることができる。
すなわち、添付図3(A)は、本発明に係る面状発熱体の別の好ましい態様を示す概略平面図であり、添付図3(B)は、その概略側面図であり、図4(A)は、図3(A)中X−X線断面矢視図である。
図示されるように、本態様の面状発熱体41は、屈曲板状の基材43と、基材43上に形成された導電性塗膜45と、導電性塗膜45内に埋設された電極47,47とを有している。なお、屈曲平板状基材43は、その屈曲側に設けられた三角形の補強板42によって補強されている。この面発熱体41は、送電線鉄塔に設けられた送電・配電装置48上に、該装置48上部が内部に位置するように被せて配置される、降雪時の着雪防止装置として使用される。
このような面発熱体41の基材43は、屈曲板状の金属板49と、金属板49の両面に形成された絶縁性塗膜層51,51とを備えている。さらに、この基材43は、一方の絶縁性塗膜層51上にさらに積層された絶縁性塗膜層52および断熱層53を有している。
このような基材43の他方の絶縁性塗膜層51上には、導電性塗膜45が形成されるが、この導電性塗膜45は、基材43の絶縁性塗膜層51に密着する第一の絶縁性塗膜層55と、この絶縁性塗膜層55上に形成される導電性塗膜層57と、この導電性塗膜層57上に形成される第二の絶縁性塗膜層59とを有している。
また、この導電性45では、第一の絶縁性塗膜層55の外周縁部上は、導電性塗膜57が形成されていない非加熱部60であり、この部分では第一および第二の絶縁性塗膜層55,59が直接密着している。そして、第二の絶縁性塗料層59上には、この絶縁性塗膜層59を保護するための保護層61が形成されている。
電極47,47は、帯状金属箔からなり、面状発熱体41の幅方向両側において、導電性塗膜層57および第一の絶縁性塗膜層55間に形成されて長手方向に延在している。そして、電極4747は、各々その一方端が非加熱部60を横断して外部のリード線22,22に接合され、他方端は非加熱部60に達することなく終端している。
また、電極4747とリード線22,22との接合部23,23は、接着剤によって絶縁・防水処理されている。そして、電極47,47は、各々その一方端が非加熱部60を横断して外部のリード線2222に接合され、他方端は非加熱部60に達することなく終端している。
また、電極47,47とリード線2222との接合部2323は、接着剤・パテなどによって絶縁・防水処理されている。
このような構造を有する本体態様の面状発熱体41は、例えば以下に説明する塗装方式によって製造することができる。即ち先ず、基材43に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第一の絶縁性塗膜層55を形成し、電極47,47を接着して粗面化する。次いで、第一の絶縁性塗膜層55の表面外周部をマスキングする。その後、本発明に係る導電性塗料組成物を塗布し、速やかにマスキングを除去し、塗料組成物を乾燥硬化させて導電性塗膜層57とする。そして、導電性塗膜層57および絶縁性塗膜55外周部上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第二の絶縁性塗膜層59とする。このようにして、導電性膜層57を囲む非加熱部60が形成される。
また、絶縁性塗膜55形成時に、基材43の他方の絶縁性塗膜層51上に、絶縁塗料を塗布し、乾燥硬化させて絶縁性塗膜層52を形成し、さらに断熱塗料を塗布乾燥して断熱層53を形成する。
その後、電極4747にリード線22,22を接続し、接続部分23,23を接着剤、パテなどによって絶縁・防水処理した後、第一の絶縁性塗膜層59上に、絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させて保護層61とする。
以上説明した面状発熱体41は、リード線22,22を、の外部電源に接続されたコントローラ25に接続し、このコントローラによって導電性塗膜層に流れる電流またはこれに加える印加電圧を制御することで、所望の温度で発熱させることができる。
なお、図3(A)および(B)のような外観形状の面発熱体は、図4(B)に示すように、基材としてFRPを用い、他の塗膜層構造を有するものとすることもできる。
即ち、図4(B)は、図3で示す外観形状の面発熱体を、FRP基材を用いて製造した場合の、図3(A)中X−X線断面図である。
図示されるように、この面発熱体41は、基材73と、基材73上に形成された導電性塗膜75と、導電性塗膜75内に埋設された電極47,47とを有している。
基材73は、図3で示す外観形状の繊維強化プラスチック(FRP)板からなる。
このような基材73の一方の表面には、導電性塗膜75が形成されるが、この導電性塗膜75は、図1(A)および(B)と同様の順序で積層された第一の絶縁性塗膜層55、導電性塗膜層57、第二の絶縁性塗膜層59および保護層61を有している。ただし、電極47,47は、導電性塗膜層57と、第二の絶縁性塗膜層59との間に形成されている。
このような構造を有する本体態様の面状発熱体41は、例えば以下のようなFRP成形方式によって製造することができる。即ち先ず、円錐状の型に離型剤を塗布した後、離型剤層上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて保護層61を形成した後、保護層61上に絶縁性塗料を塗布し、硬化させて第二の絶縁性塗膜層59を形成する。次いで、第二の絶縁性塗膜層59上に電極47,47を接着して粗面化するとともに、第二の絶縁性塗膜層59の表面外周部をマスキングする。その後、本発明に係る導電性塗料組成物を塗布し、速やかにマスキングを除去し、塗料組成物を乾燥硬化させて導電性塗膜層57とする。そして、導電性塗膜層57および第二の絶縁性塗膜59外周郡上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第一の絶縁性塗膜層55とする。このようにして、導電性塗膜層57を囲む非加熱部60が形成される。
さらに、第一の絶縁性塗膜層55上に、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維を積層し、乾燥硬化させて基材73とする。その後、面状発熱体41を脱型し、電極47,47にリード線22,22を接続し、接続部分23,23を接着剤・パテなどによって絶縁・防水処理する。
以上説明した本態様の面状発熱体41にあっても、リード線22,22を、の外部電源に接続されたコントローラ25に接続すれば、図4(B)に示される面状発熱体31と同様に機能する。したがって、送電線鉄塔に設けられた送電・配電装置48上に、該装置48の上部が内部に位置するように被せて配置される、降雪時の着雪防止装置として好適である。
また、本発明に係る面状発熱体は、添付図5(A)および(B)に示すように、曲面形状を有していてもよい。
すなわち、添付図5(A)は、本発明に係る面状発熱体のさらに別の好ましい態様を示す概略平面図であり、添付図5(B)は、その概略側面図である。
図示されるように、本態様の面状発熱体81は、ドーム状に湾曲した湾曲板となっており、添付図4(A)または(B)に示されたのと同様の層構造を有する。なお、ドーム状に湾曲した基材43は、その屈曲側に設けられた半円形状の補強板82によって補強されている。
また、この面状発熱体81の電極87,87は、帯状金属箔からなり、面状発熱体81の幅方向両側において、長手方向に延在している。そして、電極87,87は、各々その一方端が外部のリード線22,22に接合され、他方端は非加熱部60に達することなく終端している。
また、電極57,57とリード線22,22との接合部23,23は、接着剤によって絶縁・防水処理されている。そして、電極47,47は、各々その一方端が非加熱部60を横断して外部のリード線62,62に接合され、他方端は外部に達することなく終端している。
このような外観ドーム状の面発熱体81は、金属製基材の形状をドーム状とし、上述した塗装方式を採用することにより、あるいは用いる型の内部形状をドーム状とし、上述したFRP成形方式を採用して製造することにより、各々図4(A)または図4(B)に示された層構造を有するようにできる。
このような本態様の面状発熱体81にあっても、リード線22,22を、付図視の外部電源に接続されたコントローラ25に接続すれば、図3に示される面状発熱体31と同様に機能する。したがって、送電線鉄塔に設けられた送電・配電装置48上に、該装置48の上部が内部に位置するように被せて配置される、降雪時の着雪防止装置として好適である。
以上、基材を有する面状発熱体に関して具体的に説明してきたが、本発明の面状発熱体は、添付図6(A)〜(C)および図7に示すように、用途によっては被加熱物に直接導電性塗膜を形成してもよい。
即ち、添付図6(A)は、信号機に適用した本発明に係る面状発熱体の好ましい一態様を示す側面図であり、図6(B)および(C)は、各々その正面図および平面図であり、図7は、図6(A)のX−X線断面矢視図であり、図6(D)はここで使用される天板の平面図である。
図示されるように、信号機101は、縦長直方体状の信号本体103と、該信号機本体103に収容され、かつ本体正面に露出した電灯105a、105bおよび105cを備えており、これらは各々上から赤、黄および青に発光する。本体103の正面には、各電球の上部を覆う正面視逆U字状のフード106a、106bおよび106cが設けられており、上記フード106a〜106cの各々に面状発熱体107が形成されている。また信号機101は、その上部を覆う天板が設けられており、天板そのものも一の面状発熱体110となっている。
フード106a〜106cの各々に設けられる面状発熱体107は、特に図7に示されるように、フード表面に形成された導電性塗膜であり、これに埋設された電極117,117を有している。
フード106a〜106cは、正面視逆U字状の鋼鈑であり、その両面に絶縁性塗膜層119a,119bが形成されている。さらに、このフード106a〜106cは、一方の絶縁性塗膜層119b上に積層された保護層121を有している。
このような基材フード106aの他方の絶縁性塗膜層119a上には、面状発熱体107が形成されるが、この面状発熱体107は、フード106aの絶縁性塗膜層119に密着する第一の絶縁性塗膜層125と、この絶縁性塗膜層125上に形成される導電性塗膜層127と、この導電性塗膜層127上に形成される第二の絶縁性塗膜層129および保護層131を有している。
また、この面状発熱体107では、第一の絶縁性塗膜層125の外周縁部上は、導電性塗膜127が形成されていない非加熱部130であり、この部分では第一および第二の絶縁性塗膜層125,129が直接密着している。そして、第二の絶縁性塗料層129上には、この絶縁性塗膜層129を保護するための保護層131が形成されている。
電極117,117は、帯状金属箔からなり、面状発熱体107の幅方向両側において、長手方向に延在している。そして、電極117,117は、各々その一方端が外部のリード線22,22に接合され、他方端は非加熱部60に達することなく終端している。
また、電極117,117とリード線22,22との接合部(不図)は、接着剤・パテなどによって絶縁・防水処理されている。
このような構造を有する本体態様の面状発熱体107は、例えば以下に説明する塗装方式によって製造することができる。即ち先ず、フード106aの表面に絶縁性塗料を塗布して絶縁性塗膜層119aを形成する。次に、絶縁性塗膜層119a上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第一の絶縁性塗膜層125を形成し、電極117,117を接着して粗面化する。次いで、第一の絶縁性塗膜層125の表面外周部をマスキングする。その後、本発明に係る導電性塗料組成物を塗布し、速やかにマスキングを除去し、塗料組成物を乾燥硬化させて導電性塗膜層127とする。そして、導電性塗膜層127および絶縁性塗膜125外周部上に絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させて第二の絶縁性塗膜層129とする。このようにして、導電性膜層127を囲む非加熱部130が形成される。
また、絶縁性塗膜125形成時に、フード106aの他方の表面に、絶縁塗料を塗布し、乾燥硬化させて絶縁性塗膜層109aを形成し、さらに断熱塗料を塗布乾燥して断熱層121を形成する。
その後、第一の絶縁性塗膜層129上に、絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させて保護層131とした後、電極117,117にリード線22,22を接続し、接続部分(不図示)を接着剤、パテなどによって絶縁・防水処理する。
天板をなす面状発熱体110は、信号機本体103上部を覆うように両側部を湾曲させた基材の両面に、上述したフード106a〜106cと同様に絶縁体層を設け、その一方に保護層を設けるとともに、他方に図7中に示した面発熱体107と同様の層構成を有する導電性塗膜を形成した基材付の面発熱体であり、導電性塗膜に埋設された電極137,137を有している。
電極137,137は、帯状金属箔からなり、幅方向両側において、長手方向に延在している。そして、電極137,137は、それぞれその一方端が外部のリード線22,22に接合され、他方端は導電性塗膜内で終端している。
このような基材付きの面発熱体110は、上述したのと同様の塗装方式で製造できる。
以上説明した信号機101によれば、面状発熱体107および110のリード線22,22を、付図視の外部電源に接続されたコントローラ25に接続し、このコントローラによって導電性塗膜層に流れる電流またはこれに加える印加電圧を制御することで、所望の温度で発熱させ、降雪時にフード106a〜106cおよび信号機上面に着雪するのを有効に防止することができる。
発明の効果
本発明に係る導電性塗料組成物によれば、複雑な表面形状の基材または被加熱物にも容易に施工でき、耐水性、耐熱性、耐候性および機械的強度に優れた塗膜を提供できる。
本発明に係る導電性塗料セットによれば、上記塗料組成物を容易に調製することが可能である。
本発明に係る塗膜付き基材および面発熱体は、前記塗料組成物を用いて形成されているため、複雑な表面形状を備えることができる他、耐水性、耐熱性、耐候性および機械的強度に優れた導電性塗膜を有している。
以下、本発明を、その実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
【実施例1】<導電性塗料の製造>
エポキシアクリレート樹脂34.0重量部、平均粒径5μmのグラファイト18.0重量部、平均繊維長70.0μmのミルド化炭素繊維14.0重量部、t−ブチルカテコール0.03重量部及びスチレンモノマー33.45重量部を混合し、ペイントシェーカーで1時間分散させた。その後ナフテン酸コバルト0.02重量部及び脂肪酸アマイドワックス0.5重量部を加えて更に15分間分散させて導電性発熱塗料を製造した。
得られた導電性発熱塗料の組成を表1に示す。
実施例2〜4
<導電性塗料の製造>
塗料組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性発熱塗料を製造した。
Figure 0005226911
[製造例1]
<絶縁性塗料の製造>
エポキシアクリレート樹脂37重量部、マイカ16重量部、弁柄4重量部、t−ブチルカテコール0.02重量部及びスチレンモノマー42.44重量部を混合し、ペイントシェーカーで1時間分散させた。その後ナフテン酸コバルト0.04重量部及び脂肪酸アマイドワックス0.5重量部を加えて更に15分間分散させて絶縁性塗料(エポキシアクリレート樹脂系絶縁プライマー)を製造した。
得られた絶縁性塗料の組成を、表2に示す。
[製造例2〜4]
<絶縁性塗料の製造>
塗料組成を表2に示すように変更した以外は、製造例1と同様にして絶縁性塗料(製造例2:エポキシアクリレート樹脂系絶縁塗料、製造例3不飽和ポリエステル樹脂系絶縁塗料:および製造例4:ウレタン樹脂系絶縁塗料)を製造した。
Figure 0005226911
<塗膜の機械的強度>
離型紙上に、実施例1〜4の導電性塗料および製造例1〜4の絶縁性塗料の各々を塗装した後、7日間乾燥保持し、遊離塗膜を作製した。
得られた遊離塗膜の機械的強度(引張り強さおよび伸び率)を、をJIS K5400『引っ張り強さと伸び率の測定』に基づき測定した。試験は、オリエンテック製RTM−100を使用し、クロスヘッド速度1.0mm/分、気温25℃の条件下で行った。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0005226911
【実施例6】 <発熱塗膜電気抵抗への絶縁塗料の影響>
添付図8に示すように、120×200×5mm厚塩ビ板150に、10mm幅、30μm厚の銅箔製電極151,151を貼り付けた後、塩ビ板150および電極151,151に、実施例1〜4の導電性発熱塗料を乾燥膜厚が300μmになるように塗装して導電性塗膜を形成た。
1日乾燥後電極151,151間の抵抗を測定した。次いで、製造例1の絶縁塗料を乾燥膜厚が500μmになるように上塗りして1日乾燥させた後、再度電極151,151間の抵抗を測定した。
得られた結果を表4に示す。
[比較例1〜3]
アクリル樹脂系導電性塗料(商品名:マグクリーン200下塗り、中国塗料社製)、ビニル樹脂系導電性塗膜(商品名:マグクリーン200上塗り、中国塗料社製)およびエポキシ樹脂系導電性塗膜(商品名:エピコンC-プライマー、中国塗料社製)を用いて導電性塗膜を形成した以外は、実施例6と同様にして、電極間の抵抗を測定した。
得られた結果を表4に示す。
Figure 0005226911
【実施例7】<塗膜発熱体の耐水性>
添付図8に示すように、120×200×5mm厚塩ビ板150に、10mm幅、30μm厚の銅箔製電極151,151を貼り付けた後、塩ビ板150および電極151,151に、実施例1〜4の導電性発熱塗料を乾燥膜厚が300μmになるように塗装して導電性塗膜を形成た。
乾燥硬化後、湿度90%、温度50℃下で放置し、100時間毎に測定して抵抗の経時変化を観察した。
得られた結果を表5に示す。
[比較例4,5]
アクリル樹脂系導電性塗料(商品名:マグクリーン200下塗り、中国塗料社製)およびビニル樹脂系導電性塗膜(商品名:マグクリーン200上塗り、中国塗料社製)を用いて導電性塗膜を形成した以外は、実施例7と同様にして、電極間の抵抗の経時変化を観察した。
得られた結果を表5に示す。
Figure 0005226911
【実施例8】 <塗膜発熱体の耐熱性>
添付図8に示すように、120×200×5mm厚塩ビ板150に、10mm幅、30μm厚の銅箔製電極151,151を貼り付けた後、塩ビ板150および電極151,151に、実施例1〜4の導電性発熱塗料を乾燥膜厚が300μmになるように塗装して導電性塗膜を形成た。
得られた導電性塗膜を、湿度50%下において温度−20℃または80℃で放置し、各々所定時間毎に測定して抵抗の経時変化を観察した。
得られた結果を表6に示す。
Figure 0005226911
<塗装方式による発熱パネルの製作と発熱特性>
添付図1(A)および(B)に示される面状発熱体1を、実施例1の導電性塗料および製造例1〜3の絶縁性塗料を用い、上述の塗装方式に従って以下のように製造した。
<基材3>
(長さ310mm×幅270mm×厚さ3mmのサンドブラスト鋼板)
鋼飯9の両面に製造例1の絶縁性塗料を塗布して乾燥硬化させ、厚さ150μmの絶縁性塗膜層11,11を形成した。一方(非発熱面側)の断熱性塗膜層11上に、ウレタン系上塗り塗料(グレー)を塗布し、厚さ60μmの保護層13を形成した。
<導電性塗膜5>
基板3の他方(発熱面側)の絶縁性塗膜層11に、製造例2の絶縁性塗料を塗布乾燥させた厚さ300μmの絶縁性塗膜層15と、実施例1の導電性塗料を塗布乾燥させた厚さ300μmの導電性塗膜層17と、製造例3の絶縁性塗料を塗布乾燥させた厚さ300μmの絶縁性塗膜層19とを積層して形成した。
絶縁性塗膜層19の表面には、断熱塗料を塗布して、厚さ3000μmの断熱層21を設けた。
<電極7>
厚さ30μm×幅10mm×長さ280mmの銅箔を用いた。電極7の取り付け方法は、図1(A)および(B)で説明した方法に従った。得られた面発熱体1を用い、100Vの交流電源に接続されたコントローラ25を介して通電し、気温20℃で消費電力(電力計を用いた)、表面温度(貼り付け式熱電対を用いた)を測定するとともに、鋼鈑9と導電性塗膜層17間の電気抵抗を測定した。
得られた結果を表7に示した。
実施例10〜12
【実施例10〜12】<塗装方式による発熱パネルの製作と発熱特性>
導電性塗膜17を、実施例2〜の導電性塗料を用いて形成した以外は、実施例9と同様にして添付図1(A)および(B)に示される面状発熱体1を製造、その消費電力、表面温度および電気抵抗を測定した。
得られた結果を表7に示した。
Figure 0005226911
【実施例13】<FRP成形方式による面発熱体の製造>
添付図2(A)および(B)に示される面状発熱体31を、実施例1の導電性塗料および製造例1〜3の絶縁性塗料を用い、上述のFRP成型方式に従って以下のように製造した。
<導電性塗膜5>
ポリエステル型(270×310mm平板)に離型剤を塗布し、次いでエアースプレーを用い、製造例3の絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ500μmの絶縁性塗膜層19と、実施例1の導電性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ300μmの導電性塗膜層17と、製造例2の絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ500μmの絶縁性塗膜層15とを積層した。
<基材3>
導電性塗膜5形成後、絶縁性塗膜層15上に、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させたガラス繊維を型内に装填・積層(6層5mm厚)した。硬化後、脱型して導電性塗膜5が形成されたFRP基材33を得た。
<電極7>
厚さ30μm×幅10mm×長さ280mmの銅箔を用いた。電極7の取り付け方法は、図2(A)および(B)で説明した方法に従った。
<面状発熱体の製造およびその着雪防止機能>
添付図3(A)および(B)および図4(A)に示される面状発熱体41を、実施例1の導電性塗料および製造例1〜3の絶縁性塗料を用い、上述の塗装方式に従って以下のように製造した。
<基材43>
(長さ1100mm×幅550mm×厚さ3 mmのアルミ板:屈曲側に設けられる2枚の三角形アルミ製補強板によって補強)
長手方向中間で屈曲するアルミ板43を脱脂し、下地処理した後、両面に製造例1の絶縁性塗料を塗布して乾燥硬化させ、厚さ150μmの絶縁性塗膜層51,51を形成した。一方(非発熱面側)の断熱性塗膜層51上に、製造例3の絶縁性塗料を塗布乾燥させて厚さ300μmの絶縁性塗膜層52を形成し、さらに断熱塗料を塗布して、厚さ3000μmの断熱層21を設けた。
<導電性塗膜45>
基板43の他方(発熱面側)の絶縁性塗膜層51に、製造例2の絶縁性塗料を塗布乾燥させた厚さ300μmの絶縁性塗膜層55と、実施例2の導電性塗料を塗布乾燥させた厚さ300μmの導電性塗膜層57と、製造例3の絶縁性塗料を塗布乾燥させた厚さ600μmの絶縁性塗膜層59とを積層し、さらにウレタン系上塗り塗料(グレー)を塗布し、厚さ60μmの保護層61を形成した。
<電極47>
厚さ30μm×幅10mm×長さ1070mmの銅箔を用いた。電極57の取り付け方法は、図4(A)で説明した方法に従った。得られた面発熱体41を送電線鉄塔アームの配電電柱機器(トランス、開閉器)に図3(B)に示すように被せ、交流100 Vの電源に接続したコントローラ25を介して電流を流し、降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表8に示した。
<面状発熱体の製造およびその着雪防止機能>
形状を、図5(A)および(B)に示されるドーム型とした以外は、実施例14と同様にして塗装方式にて面状発熱体81を製造し、着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表8に示した。
<面状発熱体の製造およびその着雪防止機能>
添付図3(A)および(B)および図4(B)に示される面状発熱体41を、実施例1の導電性塗料および製造例1〜3の絶縁性塗料を用い、上述のFRP成型方式に従って以下のように製造した。
<導電性塗膜75>
ポリエステルメス型(湾曲状)に離型剤を塗布し、次いでエアースプレーを用い、製造例3の絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ300μmの保護層61と、製造例2の絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ300μmの絶縁性塗膜層59と、実施例1の導電性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ300μmの導電性塗膜層57と、製造例2の絶縁性塗料を塗布し乾燥硬化させた厚さ500μmの絶縁性塗膜層55とを積層した。
<基材73>
導電性塗膜75形成後、絶縁性塗膜層55上に、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させたガラス繊維を型内に装填・積層(6層5mm厚)した。硬化後、脱型して導電性塗膜75が形成されたFRP基材73を得た。
<電極47>
厚さ30μm×幅10mm×長さ1070mmの銅箔を用いた。電極47の取り付け方法は、図4(B)で説明した方法に従った。得られた面発熱体41を送電線鉄塔アームの配電電柱機器(トランス、開閉器)に図4(B)に示すように被せ、交流100 Vの電源に接続したコントローラ25を介して電流を流し、降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表8に示した。
【実施例17】<面状発熱体の製造およびその着雪防止機能>
形状を、図5(A)および(B)に示されるドーム型とした以外は、実施例16と同様にしてFRP成型方式にて面状発熱体81を製造し、その着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表8に示した。
Figure 0005226911
<道路交通信号機の着雪氷防止機能>
添付図6(A)〜(C)に示す信号機101のフード106aに、図7の積層構成を有する面状発熱体107を、上述した塗装方式に従って以下のように形成した。
<フード106a>
フード106aの一方の表面に製造例1の絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させた厚さ150μmの絶縁性塗膜層119aを形成し、他方の表面には製造例3の絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化させた厚さ300μmの絶縁性塗膜層119bを形成し、さらにウレタン系上塗塗料(艶消し黒)を塗布して厚さ60μmの保護層121を形成した。
<面状発熱体107>
導電性塗膜
絶縁性塗膜層119aに製造例2の絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化した厚さ300μmの絶縁性塗膜層125と、実施例2の導電性塗料を塗布し、乾燥硬化した厚さ300μmの導電性塗膜層127と、製造例3の絶縁性塗料を塗布し、乾燥硬化した厚さ600μmの絶縁性塗膜層129とを積層した。次いで、ウレタン系上塗り塗料(グレー)を塗布し、乾燥硬化させて厚さ60μmの保護層131を形成した。
電極117
厚さ30μm×幅10mm×長さ310mmの銅箔を用いた。電極117の取り付け方法は、図6および図7で説明した方法に従った。このような面発熱体107がフード106aに設けられた信号機を戸外に取り付け、交流100 Vの電源に接続したコントローラ25を介して電流を流し、降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表9に示した。
【実施例19】<道路交通信号機の着雪氷防止機能>
添付図6(A)〜(C)に示すような信号機101のフード106aに、実施例18と同様にして面状発熱体107を形成した。
次いで、信号機101の上部に、基材付き面状発熱体110を取り付けた。
なお、この面状発熱体110は、上述した塗装方式に従って、以下のようにして製造した。
<基材>
両端が湾曲した鋼鈑製基材(長さ500mm×幅150mm×厚さ3mm)を実施例18のフード106aに対するのと同様にして絶縁処理した。
導電性塗膜および電極>
絶縁処理した基材の一面に、実施例18と同様にして導電性塗膜層127および電極117を形成した。面発熱体110および107が設けられた信号機101を戸外に取り付け、交流100 Vの電源に接続したコントローラ25を介して電流を流し、降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表9に示した。
実施例20〜21
<道路交通信号機の着雪氷防止機能>
添付図6(A)〜(C)に示すような信号機101に、表9に示すように、面状発熱体107および/または110を設ける以外は、実施例18と同様にして降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表9に示す。
[比較例6]
<道路交通信号機の着雪氷防止機能>
添付図6(A)〜(C)に示すような信号機101に、面状発熱体107および110の何れも設けなかった以外は、実施例18と同様にして降雪時での着雪氷防止効果を調べた。
得られた結果を表9に示す。
Figure 0005226911
図1(A)は、本発明に係る面状発熱体の好ましい一態様を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)中のB−B線断面矢視図である。 図2(A)は、本発明に係る面状発熱体の他の好ましい態様を示す平面図であり、図2(B)は、図2(A)中のB−B線断面矢視図である。 図3(A)は、本発明に係る面状発熱体の別の好ましい態様を示す概略平面図であり、図3(B)は、その概略側面図である。 図4(A)は、図3(A)中X−X線断面矢視図であり、図4(B)は、図3で示す外観形状の面上発熱体を、FRP成形方式で製造した場合の図3(A)中X−X線断面図である。 図5(A)は、本発明に係る面状発熱体のさらに別の好ましい態様を示す概略平面図であり、添付図5(B)は、その概略側面図である。 図6(A)は、信号機に適用した本発明に係る面状発熱体の好ましい一態様を示す側面図であり、図6(B)および(C)は、各々その正面図および平面図であり、図6(D)はここで使用される天板の平面図である。 図7は、図6(A)のX−X線断面矢視図である。 図8は、実施例における試験装置の概略平面図である。
1,31,41,81,107,110 面発熱体
17,57,127 導電性塗膜層
7,47,117 電極
15,19,55,59,125,129 絶縁性塗膜層

Claims (12)

  1. (A)エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂100重量部と、
    (B)炭素材および黒鉛材から選択される導電材であって、かつ、下記(b-1)〜(b-3):
    (b-1)グラファイトと平均繊維長が10〜300μmにあるミルド化炭素繊維とからなる導電材;
    (b-2)粒径範囲が1〜5μmにある第一粒子と粒径範囲が20〜60μmにある第二粒子とからなる導電材;および
    (b-3)該第一粒子と該第二粒子と粒径範囲が80〜100μmにある第三粒子とからなる導電材
    のいずれかの導電材30〜200重量部と、
    (D)重合開始剤とを含むことを特徴とする導電性塗料組成物。
  2. 前記導電材(B)が、47〜170重量部の量で用いられる請求項1記載の導電性塗料組成物。
  3. 前記導電性塗料組成物が、さらに(C)重合性希釈剤50〜150重量部を含み、
    該重合性希釈剤(C)が、スチレンモノマー、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルトリグリコール(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1または2に記載の導電性塗料組成物。
  4. 前記重合性希釈剤(C)が、80〜110重量部の量で用いられる請求項記載の導電性塗料組成物。
  5. (A)エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂、および(B)炭素材および黒鉛材から選択される導電材であって、かつ、(b-1)グラファイトと平均繊維長が10〜300μmにあるミルド化炭素繊維とからなる導電材;(b-2)粒径範囲が1〜5μmにある第一粒子と粒径範囲が20〜60μmにある第二粒子とからなる導電材;および(b-3)該第一粒子と該第二粒子と粒径範囲が80〜100μmにある第三粒子とからなる導電材のいずれかの導電材を収容する第一容器と、
    (D)重合開始剤を収容する第二容器とを備えることを特徴とする導電性塗料セット。
  6. 前記第一容器が、さらに(C)重合性希釈剤を収容し、
    該重合性希釈剤(C)が、スチレンモノマー、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチルトリグリコール(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項記載の導電性塗料セット。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載された導電性塗料組成物から形成された導電性塗膜層を備えることを特徴とする導電性塗膜。
  8. 前記導電性塗膜層と、絶縁性の熱硬化性樹脂塗料を用いて形成された絶縁性塗膜層とを備えることを特徴とする導電性塗膜。
  9. 前記導電性塗膜層が、2層の前記絶縁性塗膜層間に形成される請求項またはに記載の導電性塗膜。
  10. 請求項のいずれかに記載の導電性塗膜で、その表面の少なくとも一部が被覆されたことを特徴とする塗膜付き基材。
  11. 請求項のいずれかに記載の導電性塗膜と、該導電性塗膜の前記導電性塗膜層に接続された電極とからなることを特徴とする面状発熱体。
  12. 前記導電性塗膜で、その表面の少なくとも一部が被覆された塗膜付き基材を備える請求項11記載の面状発熱体。
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