本発明に係る間欠塗工装置(以下、「本発明間欠塗工装置」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図8に示す第1の実施の形態に係る本発明間欠塗工装置11は、圧送されてきた塗工液Mを吐出口Daから基材Wへ吐出するダイDと、塗工液Mを圧送する圧送手段12と、ダイDと圧送手段12の間に設けられ、ダイDへ塗工液Mの供給を断続的に行なうと共にダイDへ供給されない不要な塗工液Mを還流路15へ戻す間欠供給装置14とを備えている。本発明間欠塗工装置11を用いた塗工の形態は、基材WとダイDの相対移動で行われ、例えば、基材Wを走行させてダイDを停止させる態様(前者の態様)と、基材Wを停止させてダイDを走行させる態様(後者の態様)とがある。前者の態様の一例としては、図示は省略したが、一定速度で回転駆動するバックアップロールに巻き掛けて走行する基材Wの表面に、固定したダイDの吐出口Daから吐出する塗工液を塗工するものがある。後者の態様の一例としては、固定盤に固定した基材Wの表面に、基材Wの表面に沿って移動するダイDの吐出口Daから吐出する塗工液Mを塗工するものがある。基材Wとしては、前者の態様ではプラスチックフィルム等の連続したものが選択され、後者の態様ではガラス板等の適宜長さに切断したものが選択される。塗工液Mは、電池電極又は液晶板等に適用されるものが選択される。ダイDの姿勢としては、吐出口Daの吐出方向を水平に向ける場合以外に、図示は省略したが、吐出口Daの吐出方向を下方または上方に向ける場合があり、塗工条件に応じて最適な姿勢が選択される。このダイDの姿勢の選択は、前記の前者の態様又は後者の態様の選択と合わせて行われる。
前記ダイDは、図1に示す如く、従来と同様に、分割可能に接合した二つのリップ部材Db,Dcの境界部にコートハンガー状等の分散用液路DdやマニホールドDeが形成され、該境界部の先端にスリット状の吐出口Daを開口している。ダイDは、吐出口Daの厚みとなるリップ部材Db,Dcの隙間寸法(例えば、50〜1500μm)を調整できるようにして、各種塗工条件に対応できるようにしてある。
前記圧送手段12は、従来と同様に、塗工液Mを貯えるタンクTと、タンクT内の塗工液MをダイDへ圧送するポンプPとを備えている。圧送手段12とダイDは、間欠供給装置14を介して送液路13で接合され、圧送手段12と間欠供給装置14が圧送手段側送液路13bで接続され、間欠供給装置14とダイDがダイ側送液路13aで接続されている。前記還流路15は、間欠供給装置14から延びてタンクTに接合され、不要な塗工液Mを戻すようにしてある。ダイ側送液路13aには、送液路13a内の圧力を検知する圧力計PG2(図2参照)が必要に応じて設けられている。本発明間欠塗工装置11は、間欠供給装置14と圧送手段12の間に、流量調節弁37を備えた逃がし路38を設け、圧送手段12から間欠供給装置14へ圧送する塗工液Mの流量を増大させる必要があるときに、還流路15へ還流できる能力を越える分量を逃がし路38を介してタンクTへ還流させることができるようにしてある。逃がし路38の流量調節弁37は、逃がし路38を介して還流させる塗工液の流量を調節して、還流路15へ還流させる分量を最適な流量にするためのものである。なお、流量調節弁37は、還流路15の流入側(分岐空間16aに近い箇所)に設け、後述する体積調整装置28を通過して還流路15へ戻る塗工液の流量を調節できるようにすることもある。
前記間欠供給装置14は、図2に示す如く、ケーシング16、弁装置17及び体積調整装置28を備え、ケーシング16の内側に、圧送手段12及び逃がし路38に連通する分岐空間16aと、分岐空間16aに連通できると共にダイDに連通するダイ側空間16bと、分岐空間16aに連通できると共に還流路15に連通する還流側空間16cとが形成されている。ケーシング16は、適所で分割・接合できるようにすることで、内側の清掃をし易くすることもある。間欠供給装置14は、弁装置17及び体積調整装置28の配置について、後述する弁装置17の弁体18及び体積調整装置28のピストン30がケーシング16の分岐空間16aを介して並列状となるようにしてある。分岐空間16aとダイ側空間16bは、弁装置17が開弁状態(図2参照)のときに連通し、弁装置17が閉弁状態(図4参照)のときに連通しないようになっている。また、分岐空間16aと還流側空間16cは、体積調整装置28の後述する通液路30cを介して常時連通している。
前記弁装置17は、図2に示す如く、ケーシング16の分岐空間16aとダイ側空間16bの境界に設けた環状の弁座19と、ダイ側空間16b内に位置して弁座19から開度Fで離座する開弁端位置Aから分岐空間16aへ向かう移動の途中で弁座19に液漏れなく内嵌して閉弁状態(着座状態)のまま移動して至る閉弁端位置B(図4参照)までの間を進退自在に設けられた弁体18と、弁体18を進退させる弁体用操作装置21と、弁体18と弁体用操作装置21を連結する弁軸24とを備えている。弁体18は、図4に示すように二点鎖線で示す閉弁開始位置H1(弁体18が開弁端位置Aから閉弁端位置Bへ向かって後退しているときに閉弁状態が最初に始まる位置)から閉弁状態のまま実線で示す閉弁端位置Bまで吸引用移動寸法L1だけ吸引用後退(矢符eへの移動)ができると共に、図5に示すように二点鎖線で示す閉弁端位置Bから閉弁状態のまま実線で示す閉弁終了位置H2(弁体18が閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ向かって前進しているときに閉弁状態が終了する位置)まで押出用移動寸法L2だけ押出用前進(矢符dへの移動)ができるようなっている。なお、閉弁開始位置H1と閉弁終了位置H2は、弁座19の構造により、異なる位置になる場合も、又は同一の位置になる場合もある。
前記弁座19は、ケーシング16に凹設した環状凹溝(図示略)に内嵌したOリングからなる環状シールや、単動シールでU字型のシールジャケットとV字型の耐腐食性スプリングで構成された環状シール、例えば、Busak+Shamban社製のロトバリシール(登録商標名)等を用いることができる。弁座19は、シール部19sに弁体18の後述する外周面18aが当接したとき、弁装置17を閉弁状態にする。
前記弁体18は、図2に示す如く、中実の短円柱状又は分岐空間16a側を開口するよえに中刳したコップ状等に形成され、外周面18aが弁座19の内周に形成された円状のシール部19sに液漏れなく内嵌して閉弁状態(図4及び図5参照)となるようになっており、中実部を貫通した弁軸24の一端24aに着脱可能に嵌着したナット等の締結具26で弁軸24に接合してある。弁軸24は、シール25を介してケーシング16を貫通して弁体用操作装置21へ至っている。弁体18の進退方向に沿った寸法は、前記吸引用移動寸法L1(図4参照)及び押出用移動寸法L2(図5参照)を確保できる寸法となっている。弁体18は、弁座19から開度Fで離座する開弁端位置Aに位置するとき、ダイ側空間16bを形成するケーシング内周面16dに遊嵌合して、該ケーシング内周面16dとの間に環状の通液路を形成するようになっている。本例の弁体18は、図3に示す如く、開弁端位置A(図2参照)から分岐空間16aへ向かって後退中に、弁座19のシール部19sに外周面18aの分岐空間側端面18b側を当接させたとき、前記閉弁開始位置H1となる。逆に、弁体18は、図5に示す如く、閉弁端位置Bからダイ側空間16bへ向かって前進中に、弁座19のシール部19sに外周面18aの分岐空間側端面18b側を当接させたとき、前記閉弁終了位置H2となる。
前記弁体用操作装置21は、図2に示す如く、位置決め制御及び速度制御可能な電動サーボモータからなる駆動源22と、駆動源22と前記弁軸24の間に設けられ、駆動源22である電動サーボモータの回転力を弁軸24に伝達して弁体18を進退移動させる動力伝達機構23と、駆動源22に制御指令を発する制御装置36(図1参照)とを備えている。動力伝達機構23は、図示は省略したが、駆動源22である電動サーボモータの出力軸に接合したピニオンギヤと、弁軸24に連結されると共にピニオンギヤが歯合して弁体進退方向に沿って摺動自在なラックギヤとを組合せたギヤ機構や、駆動源22である電動サーボモータの出力軸に接合したクランクと、弁軸24に連結され弁体進退方向に沿って摺動自在なスライダーと、クランクとスライダーを回転連鎖で連結する連結軸とを組合せたガタ付きが非常に少ないリンク機構等が採用される。
前記弁体用操作装置21は、制御装置36(図1参照)の発する制御指令を受けた駆動源22である電動サーボモータの位置決め制御により、弁体18の停止位置である開弁端位置A(図2参照)及び閉弁端位置B(図4参照)の各位置を設定できるようにしてある。また、弁体用操作装置21は、弁体18の開弁端位置A及び閉弁端位置Bの設定を変更可能としてあり、開弁端位置Aにおける弁体18の開度F(図2に示す弁体18分岐空間側端面18bから弁座19のシール部19sまでの弁体進退方向に沿った寸法)や、弁体18の前記吸引用移動寸法L1及び押出用移動寸法L2を間欠塗工に適した寸法に調節できるようにしてある。
また、弁体用操作装置21は、制御装置36の発する制御指令を受けた駆動源22である電動サーボモータの速度制御により、弁体18の進退時の速度を変更できるようになっている。すなわち、弁体用操作装置21は、図8の図(A),(B)に示す如く、弁体18を起動位置である閉弁端位置Bから停止位置である開弁端位置Aへ向かって前進(図5の矢符dの方向への移動)させるときに、起動から停止までの前進移動時間U(すなわち、塗工休止時間帯Rの終期域Rc及び塗工時間帯Qの初期域Qaの所要時間であって、例えば10ミリ秒)の時間帯における起動からの各経過時刻と、起動から停止までの前進移動経路における弁体18の各通過位置との関係を変更可能にして、各経過時刻と各通過位置の関係を任意に設定できるようになっており、弁体18の各通過位置における移動速度を塗工条件に応じた最適値とすることで、塗工域Cにおける始端Ct側(図1参照)を良好な状態に形成できるようにしてある。なお、塗工条件に応じた弁体18の移動速度の最適値は、予め塗工テストを行なって求めておくとよい。
更に、弁体用操作装置21は、駆動源22である電動サーボモータの速度制御により、弁体18を起動位置である開弁端位置Aから停止位置である閉弁端位置Bへ向かって後退(図3の矢符eの方向への移動)させるときに、図8の図(A),(B)に示す起動から停止までの後退移動時間S(すなわち、塗工時間帯Qの終期域Qc及び塗工休止時間帯Rの初期域Raの所要時間であって、例えば7ミリ秒)の時間帯における起動からの各経過時刻と、起動から停止までの後退移動経路における弁体18の各通過位置との関係を任意に設定できるようになっており、弁体18の各通過位置における移動速度を塗工条件に応じた最適値とすることで、塗工域Cにおける終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ円滑に吸引して、終端Cb側を良好な状態に形成できるようにしてある。
前記体積調整装置28は、図2に示す如く、分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を調整するものであって、ケーシング16の分岐空間16aと還流側空間16cの境界に設けた環状の外嵌部29と、外嵌部29との間で通液路30cを形成して外嵌部29に移動自在に内嵌するピストン30と、ピストン30を進退させるピストン用操作装置31と、ピストン30とピストン用操作装置31を連結する連結棒34とを備えている。ピストン用操作装置31によるピストン30の進退範囲は、分岐空間16a内へ進入して分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を減少させる体積減少位置Xから分岐空間16a内から退出して分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を増大させる体積増大位置Y(図4参照)までとしてある。
ところで、塗工の条件として、図1に示す基材Wに形成する非塗工域Gの長さ寸法Ga(隣接する塗工域C,Cの終端Cbから始端Ctまでの寸法)を短くし、且つ基材WとダイDの相対移動速度を速くする場合には、弁体18を急速に進退させるようにして、弁装置17からダイDへの塗工液Mの停止と供給を瞬時に行う必要がある。しかし、前記弁装置17は、ダイDへの塗工液Mの供給を再開(以下、「塗工再開」という。)するために弁体18が閉弁位置B(図5参照)から開弁位置A(図2参照)へ向かって急速に前進(矢符d)して分岐空間16a内から端面18b側を抜け出させる直前位置となる閉弁終了位置H2へ至るまでは、分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を急速に減少させることになる。このときに、分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積の単位時間当たりの減少量が圧送手段12から分岐空間16a内へ供給される塗工液Mの流量に比べて大きい場合には、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を急速に低下させることになる。また、弁装置17は、閉弁終了位置H2を経て開弁端位置A(図2参照)へ至って開弁しても、分岐空間16a内で弁体18に隣接する塗工液Mが液粘性等によりに急速に流動することができないと共に、上記塗工液Mの圧力の急速な低下と相まって、開弁しても直ちに所定流量の塗工液MをダイDへ供給できずに塗工始端Ct側に所定の塗工厚みを得ることができない問題を招くことになる。本発明塗工装置11は、体積調整装置28を備えることで、塗工再開時における分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積の急速な減少を阻止すると共に、分岐空間16a内で弁体18に隣接する塗工液Mを開弁中(すなわち、閉弁終了位置H2を経て開弁端位置Aへ向かって移動中)の弁体18と弁座19の隙間へ押し出させることで、この問題の解決を図っている。
前記外嵌部29は、前記弁座19と同様に、ケーシング16に凹設した環状凹溝(図示略)に内嵌したOリング若しくは前記ロトバリシール(登録商標名)からなる環状シール、又はケーシング16と一体若しくは別体に形成して所定位置に設けた短筒部等が用いられる。
前記ピストン30は、図2の図(A)(B)に示す如く、中実部30aを貫通した連結棒34の一端34aに着脱可能に嵌着したナット等の締結具26で連結棒34に接合すると共に、中実部30aの外周面にピストン移動方向(図4の矢符kの方向及び図5の矢符jの方向)に沿って複数条の凹溝30bを設け、外嵌部29に中実部30aを摺動自在に内嵌させることで、外嵌部29との間に通液路30cを凹溝30bで形成するようにしてある。また、ピストン30は、図示は省略したが、凹溝30bを設けることなく円柱状の中実部30aの外周面と外嵌部29の間に環状の通液路30cを形成するように外嵌部29に隙間バメ状態で内嵌させたものとすることもある。連結棒34は、シール25を介してケーシング16を貫通してピストン用操作装置31へ至っている。
前記ピストン30は、図6の図(A)(B)及び図7の図(A)(B)に示す如く、流量調節機能を持たせるために、適宜本数の凹溝30bについて、分岐空間寄り域30b−1の半径方向の深さ寸法t(図7の図(A)参照)を一定にすると共に、還流側空間寄り域30b−2の半径方向の深さ寸法tを還流側空間16cへ向かって行く程に小さくなるように形成してある。前記体積調整装置28は、図6の図(A)に示す如く、弁装置17の弁体18を開弁端位置Aに位置させた塗工状態のときに、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力が塗工に最適な値となるように、ピストン30の体積減少位置Xを調整することでピストン30と外嵌部29の最少内径部29sとで形成する通液部30cの通過抵抗を最適な値にできるようにしてある。
前記体積調整装置28は、図4に示す如く、外嵌部29とピストン30の間に通液路30cを常時形成しているため、圧送手段12からケーシング16の分岐空間16a内へ供給されてくる塗工液Mのうち塗工に用いられない不要な塗工液Mを、通液路30cを介して還流側空間16cへ戻すことができる。もし、圧送手段12からケーシング16の分岐空間16a内へ供給されてくる塗工液Mの供給流量が通液路30cを介して還流路15へ還流できる流量を越えたときには、越える分の流量を逃がし路38を介してタンクT(図1参照)へ還流できるように、逃がし路38の流量調節弁37を予め調節しておくとよい。圧送手段12から塗工液Mの供給流量が通液路30cを介して還流路15へ還流できる流量を越えないときには、逃がし路38を設ける必要はない。このときには、還流路15の入口側に圧力調節弁(図示略)を設けると共に、分岐空間16a内の圧力を検知する圧力計PG1の検知圧力値と設定器で設定した設定圧力値の差を小さくするように圧力調節弁を作動させて、分岐空間16a内における塗工液Mの圧力を設定圧力値となるようにするとよい。
前記動力伝達機構33は、図示は省略したが、前記弁体用操作装置21の動力伝達機構23と同様に、駆動源32である電動サーボモータの出力軸に接合したピニオンギヤと、連結棒34に連結されると共にピニオンギヤが歯合してピストン進退方向に沿って摺動自在なラックギヤとを組合せたギヤ機構や、駆動源32である電動サーボモータの出力軸に接合したクランクと、連結棒34に連結されピストン進退方向に沿って摺動自在なスライダーと、クランクとスライダーを回転連鎖で連結する連結軸とを組合せたガタ付きが非常に少ないリンク機構等が採用される。
前記ピストン用操作装置31は、位置決め制御及び速度制御可能な電動サーボモータからなる駆動源32と、駆動源32と連結棒34の間に設けられ、駆動源22である電動サーボモータの回転力を連結棒34に伝達してピストン30を進退移動させる動力伝達機構33と、駆動源32に制御指令を発する制御装置36とを備えている。ピストン用操作装置31は、制御装置36を前記弁体用操作装置21と共用し、弁体用操作装置21と連係させて制御するようにしてある。ピストン用操作装置31は、図5に示すように前記弁体18が二点鎖線で示す閉弁端位置Bから開弁端位置A(図2参照)へ向かって前進(矢符d)するときの適宜時期にピストン30を分岐空間16aへ向かって前進(矢符j)させると共に、前記弁体18が図2(A)に示す開弁端位置A若しくは図4に二点鎖線で示す閉弁開始位置H1から閉弁端位置Bへ向かって後退(矢符e)するときの適宜時期及び/又は弁体18が閉弁端位置Bで停止中の適宜時期にピストン30を還流路側空間16cへ向かって後退(矢符k)させるようになっている。
前記ピストン用操作装置31は、制御装置36の発する制御指令を受けた駆動源32である電動サーボモータの速度制御により、図8の図(A),(B)に示す如く、ピストン30を起動位置である体積増大位置Yから停止位置である体積減少位置Xへ向かって前進させるときに、起動から停止までの前進移動時間帯おける起動からの各経過時刻と、起動から停止までの前進移動経路におけるピストン30の各通過位置との関係を変更可能にして、各経過時刻と各通過位置の関係を任意に設定できるようになっている。ピストン用操作装置31は、ピストン30の各通過位置における移動速度を塗工時の条件(例えば、弁体18の移動速度、塗工液Mの粘度等)に応じた最適値とすることが可能となり、図5に示す如く、塗工再開時における弁体18の前進による分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積の急速な減少を阻止すると共に、図示は省略したが、分岐空間16a内で弁体18に隣接する塗工液Mを開弁中の弁体18と弁座19の隙間へ押し出させるように流動させ、塗工域Cにおける始端Ct側(図1参照)を良好な状態に形成できるようになる。なお、塗工条件に応じたピストン30の移動速度の最適値は、予め塗工テストを行なって求めておくとよい。
更に、前記ピストン用操作装置31は、塗工再開時において、ピストン30を体積増大位置Y(図4参照)から体積減少位置X(図2参照)へ向かって前進(矢符j)させる移動寸法を、弁体18を閉弁端位置B(図5参照)から開弁端位置A(図2(A)参照)まで前進させるための移動寸法と同一にする場合と、それ以外に弁体18の移動寸法と異なる寸法となるように、体積増大位置Y及び/又は体積減少位置Xを任意の位置へ変更できるようにして、ピストン30の前進による分岐空間16a内の塗工液充填空間体積の減少できる量を変更できるようにする場合もある。また、ピストン用操作装置31は、塗工再開時におけるピストン30の起動時刻及び停止時刻を、弁体18の起動時刻及び停止時刻に合致させる以外に異なる任意の時刻に変更できるようにしてある。このピストン30の前進移動寸法並びに起動時刻及び停止時刻については、殊に塗工液Mの粘度や、ダイDへ供給する塗工液Mの流量の条件により変更を必要とする場合があり得るので、最適な寸法や時刻を予め塗工テストを行なって求めておくとよい。
また、前記弁体用操作装置21は、駆動源22である電動サーボモータの速度制御により、ピストン30を起動位置である体積減少位置Xから停止位置である体積増大位置Yへ向かって後退(図4の矢符k)させるときに、起動から停止までの後退移動時間おける起動からの各経過時刻と、起動から停止までの後退移動経路におけるピストン30の各通過位置との関係を変更可能にして、各経過時刻と各通過位置の関係を任意に設定できるようになっている。
更に、前記ピストン用操作装置31は、ダイDへの塗工液Mの供給を休止(以下、「塗工休止」という。)するときに、ピストン30を体積減少位置Xから体積増大位置Yへ向かって後退(矢符k)させる移動寸法を、弁体18を開弁端位置Aから閉弁端位置Bまで後退させるための移動寸法と同一にする場合と、それ以外に弁体18の移動寸法と異なる寸法となるように、体積減少位置X及び/又は体積増大位置Yを任意の位置へ変更できるようにする場合もある。また、ピストン用操作装置31は、塗工休止のためのピストン30の起動時刻及び停止時刻を、弁体18の起動時刻及び停止時刻に合致させる以外に異なる任意の時刻に変更できるようにしてある。このピストン30の塗工休止のための起動時刻及び後退の速度については、ダイ吐出口Daから基材Wの塗工域Cにおける終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ円滑に吸引して終端Cb側を良好な状態に形成できるようにするために、塗工液Mの粘度や、吐出停止直前にダイ吐出口Daから吐出する塗工液Mの流量等の条件により、変更を必要とする場合があり得るので、最適な時刻及び速度を予め塗工テストを行なって求めておくとよい。
前記ピストン用操作装置31の動作の態様としては、図8の図(A)に示す如く、塗工再開のために弁体18を閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ前進させる時間帯(前進移動時間Uの時間帯)に、弁体18の前進と並行してピストン30を体積増大位置Yから体積減少位置Xへ前進させると共に、塗工休止のために弁体18を開弁端位置Aから閉弁端位置Bへ後退させる時間帯(後退移動時間Sの時間帯)のうちの閉弁開始位置H1を経て閉弁端位置Bへ後退させる時間帯(塗工休止時間帯Rの初期域Ra)に、弁体18の後退と並行してピストン30を体積減少位置Xから体積増大位置Yへ後退させる場合がある。なお、ピストン30の後退は、弁体18が閉弁開始位置H1を経て閉弁端位置Bへ向かって後退する以降であって、塗工休止時間帯Rの後期域Rcの手前までに完了させるように、後退速度を遅くすることも可能である。
前記ピストン用操作装置31の動作の別態様としては、図8の図(B)に示す如く、塗工再開のために弁体18を閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ前進させる時間帯(前進移動時間Uの時間帯)のうちの閉弁終了位置H2を経て開弁端位置Aへ前進させる時間帯(塗工時間帯Qの初期域Qa)に、弁体18の前進と並行してピストン30を体積増大位置Yから体積減少位置Xへ前進させると共に、塗工休止のために弁体18を開弁端位置Aから閉弁端位置Bへ後退させる時間帯(後退移動時間Sの時間帯)のうちの閉弁開始位置H1へ至るまでの時間帯(塗工時間帯Qの終期域Qc)に、ピストン30を起動して分岐空間16aへ向かって前進させて分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を高めることで、弁体18が開弁端位置Aから閉弁開始位置H1へ至るときに開度Fが徐々に減少している弁装置17を介してダイDへ供給する塗工液Mの送液量の低下を阻止して、基材Wの塗工域Cの終端Cbの塗工厚みを確保するようにし、弁体18が閉弁開始位置H1を経た以降にピストン30を体積増大位置Yへ後退させる。なお、閉弁開始位置H1と閉弁終了位置H2の位置関係は、弁座19の構造により、図8の図(A)(B)に示すように異なる場合、図示は省略したが同一の場合、又は閉弁開始位置H1が閉弁位置B側に位置すると共に閉弁終了位置H2が開弁位置A側に位置するように逆転する場合もある。
前記制御装置36は、弁装置17の弁体用操作装置21の位置決め制御及び速度制御可能な駆動源22の電動サーボモータ、及び体積調整装置28のピストン用操作装置31の位置決め制御及び速度制御可能な駆動源32の電動サーボモータに対して指令を行なうものである。制御装置36は、弁装置17の駆動源22に関して、開弁端位置Aにおける弁体18の開度Fと閉弁端位置Bにおける弁体18の吸引用移動寸法L1や押圧用移動寸法L2の設定値を塗工条件に応じて変更できるように回路構成されると共に、開弁端位置Aと閉弁端位置Bとの間おける弁体18の起動からの各経過時刻と、開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間おける弁体18の各通過位置との関係を任意に設定して、弁体18の各通過位置における移動速度を塗工条件に対応できるように回路構成されている。また、制御装置36は、体積調整装置28の駆動源32に関して、ピストン30の停止位置である体積増大位置Y及び/又は体積減少位置Xを任意の位置へ変更できるように回路構成されると共に、体積減少位置Xと体積増大位置Yとの間おけるピストン30の起動からの各経過時刻と、体積減少位置Xから体積増大位置Yまでの間おけるピストン30の各通過位置との関係を任意に設定して、ピストン30の各通過位置における移動速度を塗工条件に対応できるように回路構成されている。更に、制御装置36は、弁装置17の弁体18の起動・停止と体積調整装置28のピストン30の起動・停止とを連係させ、弁体18が閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ向かって前進するときの適宜時期にピストン30を分岐空間16aへ向かって前進させると共に、弁体18が開弁端位置Aから閉弁開始位置H1を経て閉弁端位置Bへ向かって後退するときの適宜時期若しくは弁体18が閉弁開始位置H1から閉弁端位置Bへ向かって後退するときの適宜時期、及び/又は弁体18が閉弁端位置Bで停止している時期にピストン30を還流路15側へ向かって後退させるように回路構成されている。
上述の如く構成された本実施の形態に係る間欠塗工装置11は、制御装置36で弁体用操作装置21の駆動源22及び体積調整装置28の駆動源32を制御して、図1に示す如く、ダイDの吐出口Daから塗工液Mを基材Wへ吐出して塗工域Cを形成する塗工時間帯Q(図8参照)と、塗工液Mを吐出させずに非塗工域Gを形成する塗工休止時間帯R(図8参照)を交互に形成するようにしてある。圧送手段12から間欠供給装置14のケーシング16の分岐空間16aへ圧送された塗工液Mは、図2に示す如く、弁体用操作装置21で弁体18が開弁端位置Aまで前進した塗工時間帯Q(図8参照)では、弁体18と弁座19との隙間(開度F)、ダイ側空間16b及びダイDを通過してダイ吐出口Daから基材Wへ吐出して塗工され、逆に、弁体18が弁体用装置装置21で閉弁端位置B(図4参照)まで後退した塗工休止時間帯Rでは、ダイDへの供給が停止される。
そして、図5に示すように弁体18が二点鎖線で示す閉弁端位置Bから前進(矢符d)して図2に示す開弁端位置Aへ至る開弁動作のときにおいて、弁体18が閉弁端位置Bから押出用移動寸法L2だけ移動して閉弁終了位置H2へ至る塗工休止時間帯R(図8参照)の終期域Rcでは、閉弁状況下のダイ側空間16b内の塗工液充填体積を減少させることで、ダイ側空間16bに残存している停止状態の塗工液Mを、送液路13a内を矢符fの方向へ圧送してダイDの内部へ押出して塗工の準備状態となる。続いて、弁体18が閉弁終了位置H2を経て更に前進(矢符d)して開弁端位置A(図2参照)へ至る塗工時間帯Q(図8参照)の初期域Qaでは、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、弁体18と弁座19との隙間(開度F)及びダイ側空間16bを通過させてダイ吐出口Daから吐出させ、基材Wに塗工域Cの始端Ct寄りを形成する。このとき、分岐空間16a内の塗工液Mは、前進する弁体18の一部が分岐空間16aから退出しつつ離れるのに伴い液圧力を減圧しようとするが、弁体18の前進移動時間U(図8に示す塗工休止時間帯Rの終期域Rcと塗工時間帯Qの初期域Qaの総和)の時間中に体積調整装置28のピストン30が体積増大位置Yから体積減少位置Xへ前進(矢符j)して、ピストン30の一部が分岐空間16a内へ進入しつつ液圧力を増大させるようにして圧力変動を少なくできる。更に、体積調整装置28は、塗工時間帯Qの初期域Qaにおけるダイ側空間16b内の塗工液Mの液圧力を塗工域Cの始端Ctを形成するのに適した圧力値となるように、ピストン30の分岐空間16a内への進入速度及び進入寸法を設定することで、分岐空間16a内の塗工液Mを開弁中の弁装置18を介してダイDへ最適な状態で圧送することができる。開弁端位置A(図2参照)へ至って停止している弁体18の開弁が継続している塗工時間帯Qの継続域Qbでは、基材Wに塗工域Cを形成する。
逆に、図2に示す弁体18が開弁端位置Aから後退(矢符e)して図4に示す閉弁端位置Bへ至る閉弁動作のときにおいて、塗工時間帯Q(図8参照)の終期域Qcにおいて弁体18が急速に後退した後に、続けて、弁体18が図4に示す閉弁開始位置H1から吸引用移動寸法L1だけ吸引用後退して閉弁端位置Bへ至る塗工休止時間帯Rの初期域Raでは、閉弁状況下のダイ側空間16b内の塗工液充填体積を増大させて、塗工休止直後のダイDに残存している塗工液Mを、送液路13a内を矢符gの方向へ通過させてダイ側空間16b側へ吸引することで、ダイDの吐出口Daから塗工域Cの終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ吸引して、ダイ吐出口Daの幅方向の全域にわたって液切れを良好して、吐出口Daの長手方向(基材Wを横断する方向)へ沿って塗工域Cの終端Cbを一直線となるようにシャープに形成できる。
本発明間欠塗工装置11は、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送する塗工液について、常に還流路15へ還流させる余分な流量を増量して供給できるので、塗工に必要な流量よりも多量の流量が通過する分岐空間16a内の塗工液圧力を常に高めることが可能となり、弁体18が閉弁終了位置H2(図5)から開弁端位置A(図2参照)まで更に前進するときに、塗工液圧力の高い分岐空間16aからダイ側空間16bを介してダイDへ塗工液Mを迅速に供給することが可能となる。
本発明間欠塗工装置11は、弁装置17の一つの弁体18を弁体用操作装置21で開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間を進退させる簡単な構成で、基材Wに塗工域Cの始端Ctを形成するための準備となる塗工休止時間帯Rの終期Rcの動作及び塗工液Mをダイ吐出口Daから吐出させる塗工時間帯Qの初期域Qaの動作と、基材Wの塗工域Cを形成するために塗工液Mをダイ吐出口Daから継続的に吐出させる塗工時間帯Qの継続域Qbの動作と、基材Wに塗工域Cの終端Cbを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止する塗工時間帯Qの終期Qcの動作及び吐出している塗工液MをダイDの内部へ吸引させる塗工休止時間帯Rの初期域Raの動作と、基材Wの非塗工域Gを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止させる塗工休止時間帯Rの継続域Rbの動作とを連続的に繰り返すことができるので、装置構造を簡単にできると共にこれら動作のタイミングの調整が簡単にできる優れた効果を有する。更に、本発明間欠塗工装置11は、塗工域Cの始端Ctを形成する塗工時間帯Qの初期域Qaにおいて、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を体積調整装置28の前進するピストン30で適正な圧力値にできるので、塗工時間帯Qの初期域Qaにおける塗工を円滑に行なうことができる。
(第2の実施の形態)
図9及び図10は本発明間欠塗工装置11の第2の実施の形態に係る間欠供給装置47を示す部分断面図であって、図9は弁体48が開弁端位置Aに位置する態様を示し、図10の図(A)は弁体48が閉弁開始位置H1から閉弁端位置Bへ後退している態様を示し、図10の図(B)は弁体48が閉弁端位置Bから閉弁終了位置H2へ前進している態様を示している。
本実施の形態に係る本発明間欠塗工装置11は、弁装置47が前記第1の実施の形態の弁装置17と大きく異なり、図示省略した体積調整装置28については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9及び図10において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
前記弁装置47は、ケーシング16の分岐空間16aとダイ側空間16bの境界に設けた弁座49と、弁体48と、弁体48を進退させる弁体用操作装置21を備えている。該弁体48は、短円柱状の主体部48aと、短円柱状部48aから分岐空間16aへ延設した通水部48cと、主体部48aの外周面に凹設した環状凹溝にOリングからなるシール又は前記ロトバリシール(登録商標名)等を内嵌して環状シール部48hとをからなり、通水部48cの外径寸法を分岐空間16aへ向かって行く程に小さくなるようにして、開弁したときに、通水部48cと弁座49の間に通水抵抗の小さな液路を形成するようにしてある。該弁座49は、ケーシング16の内周面16dから突設する輪状に形成され、内側に形成した円形の貫通孔49aへ弁体48の環状シール部48hを液漏れなく内嵌できるようにしてある。
前記弁体用操作装置21は、弁体48に接合した弁棒24を押し引き操作して、弁体48が、図10の図(A)に示すように、二点鎖線で示す閉弁開始位置H1から閉弁状態のまま実線で示す閉弁端位置Bまで吸引用移動寸法L1だけ吸引用後退(矢符eへの移動)できると共に、同図の図(B)に示すように、二点鎖線で示す閉弁端位置Bから閉弁状態のまま実線で示す閉弁終了位置H2まで押出用移動寸法L2だけ押出用前進(矢符dへの移動)できるようなっている。なお、閉弁開始位置H1と閉弁終了位置H2は、弁体48の環状シール部48hの構造により、異なる位置となる場合も、又は同一の位置となる場合もある。
(第3の実施の形態)
図11乃至図15は本発明間欠塗工装置11の第3の実施の形態に係る間欠供給装置57を示すものである。
本実施の形態に係る本発明間欠塗工装置11は、弁装置57が前記第1の実施の形態と大きく異なり、図示省略した体積調整装置28については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図11乃至図15において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
前記弁装置57は、ケーシング16の分岐空間16aとダイ側空間16bの境界に設けた環状の弁座19と、弁体58と、弁体58を進退させる弁体用操作装置21を備え、弁体58の進退範囲を、図12の図(A)に示すように、二点鎖線で示す閉弁開始位置H1から閉弁状態のまま実線で示す閉弁端位置Bまで吸引用移動寸法L1だけ吸引用後退(矢符eへの移動)できると共に、同図の図(B)に示すように、二点鎖線で示す閉弁端位置Bから閉弁状態のまま実線で示す閉弁終了位置H2まで押出用移動寸法L2だけ押出用前進(矢符dへの移動)できるようなっている。なお、閉弁開始位置H1と閉弁終了位置H2は、弁座19の構造により、異なる位置となる場合も、又は同一の位置となる場合もある。
前記弁座19は、第1の実施の形態と同様に、ケーシング16に取着した環状シールで形成され、例えば、ケーシング16に凹設した環状凹溝(図示略)に内嵌したOリングからなるシールや、ロトバリシール(登録商標名)等を環状シールとして用いることができる。
前記弁体58は、ダイ側空間16b寄りの閉弁行程領域58bと分岐空間16a寄りの開弁行程領域58dを連接させてなり、閉弁行程領域58bに、弁座19に全周囲を当接させることができる外周面58aが形成され、開弁行程領域58dに、弁座19に当接することなくダイ側空間16b及び分岐空間16aに開口して連通できる複数個の通液部58cが設けられている。閉弁行程領域58bの外周面58aは、弁体58の進退方向に沿った寸法が、前記吸引用移動寸法L1及び押出用移動寸法L2を確保するのに十分な寸法となっている。複数個の通液部58cは、弁体58がダイ側空間16bへ向かって前進するのに伴い、分岐空間16aから全部の通液部58cを通過してダイ側空間16bへ流れる塗工液Mの流量が多くなるように形成してある。
前記弁体58の開弁行程領域58dは、図13に示す如く、閉弁行程領域58bから等間隔で延設された複数本の通液部形成用脚部58eからなり、隣接する脚部58e,58eの間に開口した通液部58cを形成すると共に、脚部58e,58e…で囲まれた内側に、分岐空間16a側を開口すると共に各通液部58cに連通する中空部58fが形成されている。弁体58は、図11に示す流量調節状態のときに、各通液部形成用脚部58eの円弧状の外側面が弁座19に当接すると共に、開口した通液部58cが弁座19に当接しないようになっている。流量調節状態の弁体58は、分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、内側の中空部58f(図13参照)及び各通液部58cのうちダイ側空間16bに開口する部分を通過させてダイ側空間16bへ導き、ダイDへ供給することができる。弁体58は、ダイ側空間16bへ向かう方向へ前進(矢符d)して、ダイ側空間16bに開口する各通液部58cの開口面積が大きくなる程に、開弁行程領域58dを通過する塗工液の流量を多くすることができる。
前記弁体58の開弁行程領域58dに形成する各通液部58cは、図14に示す如く、閉弁行程領域58bから延びる外周面58aの一部に凹設され、分岐空間16a側へ向かって行く程に半径方向の深さ寸法hが大きくなるように形成することも可能である。更に、弁体58の開弁行程領域58dに形成する各通液部58cは、図15に示す如く、分岐空間16a側へ向かって行く程に外周面の半径が小さくなるように截頭円錐状に形成することも可能である。
前記弁装置57は、図11に示す如く、弁座19に弁体58の閉弁行程領域58bを臨ませた状態でダイ側空間16bへ向かう方向へ前進(矢符d)させるのに伴い塗工液の流量を増大させることができるので、弁体58の停止位置である開弁端位置Aを変更してダイDへ供給する塗工液の流量を調節することで、基材Wに形成される塗工域Cの塗工膜厚みを最適値にすることができる。
(第4の実施の形態)
図16乃至図19は、第4の実施の形態に係る本発明塗工装置61を示すものである。本実施の形態に係る本発明塗工装置61は、弁装置17の弁体18と体積調整装置28のピストン30を対向させて直列状に配設した点で、前記第1の実施の形態(図1乃至図8)の弁体18とピストン30を並列状に配設した本発明塗工装置11と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図16乃至図19において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
前記間欠供給装置14は、図17に示す如く、長筒状のケーシング16の内側に、中間の分岐空間16aを介して対峙させるようにダイ側空間16bと還流側空間16cを形成してある。更に、分岐空間16aは、その略中間に、圧送手段12及び逃がし路38を連通させてある。間欠供給装置14の弁装置17及び体積調整装置28の構成及び動作は、前記第1の実施の形態と実質的に同一であるため、ここでの説明を省略する。
本発明塗工装置61は、弁装置17の弁体18と体積調整装置28のピストン30とを分岐空間16aを介して対向させて直列状に配設することで、弁体18とピストン30を接近させることが可能となり、ピストン30を分岐空間16aへ向かって前進させて分岐空間16a内の塗工液Mの圧力の昇圧を弁装置17へ瞬時に及ぼして、分岐空間16a内の塗工液Mを開弁中の弁装置18を介してダイDへ最適な流量で圧送することができるようになる。
(第5の実施の形態)
図20乃至図26は、第5の実施の形態に係る本発明塗工装置71を示すものである。本実施の形態に係る本発明塗工装置71は、体積調整装置78に開閉弁機能を持たせた点で、前記第1の実施の形態(図1乃至図8)の開閉弁機能を持たない体積調整装置28を備えた本発明塗工装置11と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図20乃至図26において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
本実施の形態に係る本発明塗工装置71は、体積調整装置78に開閉弁機能を持たせることで、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、塗工時間帯では、図21に示すように開弁している弁装置17を介してダイDへ圧送すると共に、体積調整装置78のピストン75の閉弁行程領域75bを外嵌部76に液漏れなく内嵌させて還流路15へ還流させないようにし、また、塗工休止時間帯では、図25に示すように開弁している弁装置17によりダイDへの圧送を停止すると共に、体積調整装置78のピストン75の開弁行程領域75dを外嵌部76に臨ませて形成した通液路75cを通じて還流路15へ還流させるようにしてある。本発明塗工装置71は、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送する塗工液Mの流量を、塗工時間帯の塗工に必要な流量と同一又は若干多い状態とすることが可能なり、圧送手段12及び塗工液Mの特性等から、分岐空間16aから還流路15及び逃がし路38へ戻す流量を抑制したい場合に適している。なお、逃がし路38を備えない場合には、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送する塗工液Mの流量を、塗工時間帯の塗工に必要な流量と同等とすることが可能なり、還流路15へ戻す流量を極限近くまで抑制したい場合に応えることができる。
なお、本実施の形態に係る本発明塗工装置71は、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送される塗工液Mの流量が塗工時間帯の塗工に必要な流量より多い場合があることを考慮して、間欠供給装置74と圧送手段12の間に、流量調節弁37を備えた逃がし路38を必要に応じて設けることがある。逃がし路38は、塗工塗工時間帯に生じた不要な塗工液MをタンクT等へ導くためのものである。
本発明間欠塗工装置71は、圧送されてきた塗工液Mを吐出口Daから基材Wへ吐出するダイDと、塗工液Mを圧送する圧送手段12と、ダイDと圧送手段12の間に設けられ、ダイDへ塗工液Mの供給を断続的に行なうと共にダイDへ供給されない不要な塗工液Mを還流路15へ戻す間欠供給装置74とを備えている。これらダイD及び圧送手段12は、前記第1の実施の形態のダイD及び圧送手段12と実質的に同一である。
前記間欠供給装置74は、図21に示す如く、ケーシング16、弁装置17及び体積調整装置78を備え、ケーシング16の内側に、圧送手段12及び逃がし路38に連通する分岐空間16aと、分岐空間16aに連通できると共にダイDに連通するダイ側空間16bと、分岐空間16aに連通できると共に還流路15に連通する還流側空間16cとが形成されている。これらケーシング16、弁装置17及び逃がし路38は、前記第1の実施の形態のケーシング16、弁装置17及び逃がし路38と実質的に同一である。
前記体積調整装置78は、図21の図(A)に示す如く、分岐空間16aの体積調整用であって、分岐空間16aと還流路15の間に設けられた外嵌部76と、外嵌部76へ進退自在に内嵌されピストン75と、ピストン75を移動操作するピストン用操作装置31と、ピストン75とピストン用操作装置31を連結する連結棒77とを備えて、ピストン用操作装置31によるピストン75の進退範囲を、分岐空間16a内へ進入して分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を減少させる体積減少位置Xから分岐空間16a内から退出して分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を増大させる体積増大位置Y(図24参照)までとしてある。
前記ピストン75は、図21の図(A)〜(C)に示す如く、分岐空間16a側へ延びて外嵌部76との間で通液路75cを形成できる開弁行程領域75d及び還流側空間16c側へ延びて外嵌部76に液漏れなく内嵌できる閉弁行程領域75bを連接してある。ピストン75は、中実円棒材を切削加工する等して開弁行程領域75d及び閉弁行程領域75bが一体又は別体に形成され、開弁行程領域75d及び閉弁行程領域75bの外周面75aを同一の外径寸法とすると共に、開弁行程領域75dの外周面75aにピストン進退方向(図24に示す矢符k,j)に沿って複数条の凹溝を設けて通液路75cを形成してある。ピストン75は、外嵌部76のシール部76sに開弁行程領域75dの外周面75aを摺動可能に内嵌して形成した通液路75cで、分岐空間16aと還流側空間16cを連通させて体積調整装置78を開状態にすると共に、外嵌部76のシール部76sに閉弁行程領域75dの外周面75aを摺動可能に内嵌することで、分岐空間16aと還流側空間16cの連通を断って体積調整装置78を閉状態にするようにしてある。
前記ピストン用操作装置31は、位置決め制御及び速度制御可能な電動サーボモータからなる駆動源32と、駆動源32と連結棒34の間に設けられ、駆動源22である電動サーボモータの回転力を連結棒34に伝達してピストン75を進退移動させる動力伝達機構33と、駆動源32に制御指令を発する制御装置73(図20参照)とを備えている。これら駆動源32及び動力伝達機構33については、前記第1の実施の形態の駆動源32及び動力伝達機構33と実質的に同一である。
前記制御装置73は、弁体用操作装置21とピストン用操作装置31を連係して制御するように弁体用操作装置21の駆動源22及びピストン用操作装置31の駆動源32へ制御指令を発するものである。制御装置73は、弁体18を閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ向かって前進させるときにおいて、図25に示すように弁体18が二点鎖線で示す閉弁端位置Bから実線で示す閉弁終了位置H2へ向かって前進(矢符d)するときに、ピストン75を二点鎖線で示す体積増大位置Yから実線で示す中間位置N1へ向かって前進(矢符j)させ、更に、弁体18が閉弁終了位置H2を過ぎて開弁端位置A(図22参照)へ向かって前進(矢符d)するときに、ピストン75を中間位置N2(図23参照)及び閉終了位置N3(図22参照)を順に経て体積減少位置X(図21参照)へ向かって前進(矢符j)させるようにしてある。ピストン75は、体積増大位置Yから前進(矢符j)して閉終了位置N3(図22参照)へ至るまでは、ピストン75の開弁行程領域75dを外嵌部76のシール部76sに臨ませつつ移動し、閉終了位置N3に到達すると、閉弁行程領域75bの分岐空間寄り端部75gを外嵌部76のシール部76sに臨ませる。更に、ピストン75は、前進(矢符j)に伴い閉終了位置N3を過ぎて体積減少位置X(図21参照)へ至る間での間、閉弁行程領域75bの外周面75aを外嵌部76のシール部76sに液漏れなく内嵌することになる。
また、制御装置73は、弁体18を開弁端位置Aから閉弁端位置Bへ向かって後退(矢符e)させるときにおいて、図21及び図22に示すように弁体18が開弁状態のまま後退(矢符e)するのと並行してピストン75の閉弁行程領域75bを外嵌部76に臨ませつつピストン75を還流路側空間16cへ向かって後退(矢符k)させると共に、図24に示すように弁体18が閉弁状態のままの閉弁端位置Bへ向かって後退(矢符e)するのと並行してピストン75の開弁行程領域75dを外嵌部76に臨ませつつピストン75を還流路側空間16cへ向かって体積増大位置Yまで後退(矢符k)させるようにしてある。図23に示すように弁体18が後退の途中で閉弁開始位置H1に到達したときには、塗工液Mを分岐空間16aから中間位置N2に位置するピストン75の通液路75cを介して還流側空間16cへ送り出すようになる。
上述の如く構成された本実施の形態に係る間欠塗工装置71は、制御装置73で弁体用操作装置21の駆動源22及び体積調整装置78の駆動源32を制御して、図1に示す如く、ダイDの吐出口Daから塗工液Mを基材Wへ吐出して塗工域Cを形成する塗工時間帯Q(図26参照)と、塗工液Mを吐出せずに非塗工域Gを形成する塗工休止時間帯R(図26参照)を交互に形成するようにしてある。圧送手段12から間欠供給装置14のケーシング16の分岐空間16aへ圧送された塗工液Mは、図21に示す如く、弁体用操作装置21で弁体18が開弁端位置Aまで前進した塗工時間帯Q(図26参照)では、弁体18と弁座19との隙間(開度F)、ダイ側空間16b及びダイDを通過してダイ吐出口Daから基材Wへ吐出して塗工され、逆に、弁体18が弁体用装置装置21で閉弁端位置B(図24参照)まで後退した塗工休止時間帯Rでは、ダイDへの供給が停止される。
そして、図25に示すように弁体18が二点鎖線で示す閉弁端位置Bから前進(矢符d)して図21に示す開弁端位置Aへ至る開弁動作のときにおいて、弁体18が閉弁端位置Bから押出用移動寸法L2だけ移動して閉弁終了位置H2へ至る塗工休止時間帯R(図26参照)の終期域Rcでは、閉弁状況下のダイ側空間16b内の塗工液充填体積を減少させることで、ダイ側空間16bに残存している停止状態の塗工液Mを、送液路13a内を矢符fの方向へ押出してダイDの内部へ供給して塗工の準備状態となる。続いて、弁体18が閉弁終了位置H2を過ぎて更に前進(矢符d)して図21に示す開弁端位置Aへ至る塗工時間帯Qの初期域Qaでは、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、弁体18と弁座19との隙間(開度F)及びダイ側空間16bを通過させてダイ吐出口Daから吐出させ、基材Wに塗工域Cの始端Ct寄りを形成する。分岐空間16a内の塗工液Mは、前進(矢符d)する弁体18の一部が分岐空間16aから退出するのに伴い液圧力を減圧しようとするが、弁体18の前進移動時間U(図26に示す塗工休止時間帯Rの終期域Rcと塗工時間帯Qの初期域Qaの総和)の時間中に体積調整装置78のピストン75が体積増大位置Y(図25参照)から中間位置N1,N2及び閉終了位置N3を順に経て体積減少位置X(図21参照)へ前進(矢符j)してピストン75の一部が分岐空間16a内へ進入しつつ液圧力を増大させるようにして圧力変動を少なくできる。体積調整装置78は、塗工時間帯Qの初期域Qaにおけるダイ側空間16b内の塗工液Mの液圧力が塗工域Cの始端Ctを形成するのに適した圧力値となるように、ピストン75の分岐空間16a内への進入速度及び進入寸法を設定することで、分岐空間16a内の塗工液Mを開弁中の弁装置18を介してダイDへ最適な状態で圧送することができる。開弁端位置Aへ至って停止している弁体18の開弁が継続している塗工時間帯Qの継続域Qbでは、基材Wに塗工域Cを形成する。
逆に、図21に示す弁体18が開弁端位置Aから後退(矢符e)して図24に示す閉弁端位置Bへ至る閉弁動作のときにおいて、塗工時間帯Q(図26参照)の終期域Qcにおいて弁体18が急速に後退した後に、続けて弁体18が閉弁開始位置H1から吸引用移動寸法L1だけ移動して閉弁端位置Bへ至る塗工休止時間帯Rの初期域Raでは、閉弁状況下でダイ側空間16b内の塗工液充填体積を増大させて、塗工休止直後のダイDに残存している塗工液Mを、送液路13a内を矢符gの方向へ通過させてダイ側空間16b側へ吸引することで、ダイDの吐出口Daから塗工域Cの終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ吸引して、ダイ吐出口Daの幅方向の全域にわたって液切れを良好して、吐出口Daの長手方向(基材Wの横断方向)へ沿って塗工域Cの終端Cbを一直線となるようにシャープに形成する。
本発明間欠塗工装置71は、前記第1の実施の形態に係る本発明間欠塗工装置11と同様に、弁装置17の一つの弁体18を弁体用操作装置21で開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間を進退させる簡単な構成で、基材Wに塗工域Cの始端Ctを形成するための準備となる塗工休止時間帯Rの終期Rcの動作及び塗工液Mをダイ吐出口Daから吐出させる塗工時間帯Qの初期域Qaの動作と、基材Wの塗工域Cを形成するために塗工液Mをダイ吐出口Daから継続的に吐出させる塗工時間帯Qの継続域Qbの動作と、基材Wに塗工域Cの終端Cbを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止する塗工時間帯Qの終期Qcの動作及び吐出している塗工液MをダイDの内部へ吸引させる塗工休止時間帯Rの初期域Raの動作と、基材Wの非塗工域Gを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止させる塗工休止時間帯Rの継続域Rbの動作とを連続的に繰り返すことができるので、装置構造を簡単にできると共にこれら動作のタイミングの調整が簡単にできる優れた効果を有する。更に、本発明間欠塗工装置71は、塗工域Cの始端Ctを形成する塗工時間帯Qの初期域Qaにおいて、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を体積調整装置78の前進するピストン75で適正な圧力値にできるので、塗工時間帯Qの初期域Qaにおける塗工を円滑に行なうことができる。
本発明間欠塗工装置71は、分岐空間16aへ圧送する塗工液Mついて、図21に示すように弁体18が開弁状態となるときには還流路15へ戻すことなく弁装置17へ供給すると共に、図24に示すように弁体18が閉弁状態となるときには、弁装置17へ供給することなく還流路15へ戻すため、塗工時に必要な流量と同等の圧送流量とすることが可能となり、還流路15へ戻す流量を抑制したい場合に応えることができる。
(第6の実施の形態)
図27乃至図31は、第6の実施の形態に係る本発明塗工装置81を示すものである。本実施の形態に係る本発明塗工装置81は、ケーシング16の分岐空間16aとケーシング16の外側を連通させる開口部16eに設けた外嵌部86にピストン85を液漏れなく摺動自在に内嵌すると共に、弁装置17の弁体18と体積調整装置88のピストン85を対向させて直列状に配設した点で、前記第1の実施の形態(図1乃至図8)の分岐空間16aと還流路15の間に設けられた外嵌部29に通液路30cを形成するようにピストン30を摺動自在に内嵌すると共に、弁体18とピストン30を並列状に配設した本発明塗工装置11と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図27乃至図31において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
本発明間欠塗工装置81は、圧送されてきた塗工液Mを吐出口Daから基材Wへ吐出するダイDと、塗工液Mを圧送する圧送手段12と、ダイDと圧送手段12の間に設けられ、ダイDへ塗工液Mの供給を断続的に行なうと共にダイDへ供給されない不要な塗工液Mを還流路15へ戻す間欠供給装置84とを備えている。これらダイD及び圧送手段12は、前記第1の実施の形態のダイD及び圧送手段12と実質的に同一である。
前記間欠供給装置84は、図28に示す如く、ケーシング16、弁装置17及び体積調整装置88を備え、ケーシング16の内側に、圧送手段12及び還流路15に連通する分岐空間16aと、分岐空間16aに連通できると共にダイDに連通するダイ側空間16bとが形成されている。分岐空間16aと還流路15の間には、圧力調節弁82が必要に応じて設けられ、分岐空間16a内の圧力を検知する圧力計PG1の検知圧力値mと設定器で設定した設定圧力値nの差を小さくするように圧力調節弁82が作動して、分岐空間16a内における塗工液Mの圧力を設定圧力値となるようにしてある。弁装置17は、前記第1の実施の形態の弁装置17と実質的に同一である。
前記体積調整装置88は、図28に示す如く、分岐空間16aの体積調整用であって、ケーシング16の分岐空間16aとケーシング16の外側を連通させる開口部16eに設けられた環状の外嵌部86と、外嵌部86に液漏れなく摺動自在に内嵌するピストン85と、ピストン85を進退させるピストン用操作装置31と、ピストン85とピストン用操作装置31を連結する連結棒87とを備え、ピストン用操作装置31によるピストン85の進退範囲を、分岐空間16a内へピストン85の一部を進入して分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を減少させる体積減少位置Xから分岐空間16a内からピストン85の一部を退出させて分岐空間16a内の塗工液充填空間の体積を増大させる体積増大位置Y(図30参照)までとしてある。ピストン用操作装置31は、前記第1の実施の形態のピストン用操作装置31と同様に、位置決め制御及び速度制御可能な電動サーボモータからなる駆動源32と、駆動源32と連結棒34の間に設けられ、駆動源22である電動サーボモータの回転力を連結棒34に伝達してピストン85を進退移動させる動力伝達機構33と、駆動源32に制御指令を発する制御装置83とを備えている。
前記外嵌部86は、前記第1の実施の形態の弁座19と同様に、ケーシング16に凹設した環状凹溝(図示略)に内嵌したOリング若しくは前記ロトバリシール(登録商標名)からなる環状シールが用いられる。
前記ピストン85は、図28に示す如く、中実円棒材を切削加工する等して成形され、中実部を貫通した連結棒87の一端87aに着脱可能に嵌着したナット等の締結具26で連結棒87に接合してある。なお、体積調整装置88は、図示は省略したが、ピストン85にOリング等のシールを嵌着すると共に、筒状に形成した外嵌部86の内周面にピストン85のOリング等のシールを液漏れなく摺動自在に内嵌するようにして構成することも可能である。
前記制御装置83は、弁装置17の弁体用操作装置21の位置決め制御及び速度制御可能な駆動源22の電動サーボモータ及び体積調整装置88のピストン用操作装置31の位置決め制御及び速度制御可能な駆動源32の電動サーボモータに対して指令を行なうものである。制御装置83は、弁装置17の駆動源22に関して、開弁端位置Aにおける弁体18の開度Fと閉弁端位置Bにおける弁体18の吸引用移動寸法L1(図30参照),押出用移動寸法L2(図31参照)の設定値を塗工条件に応じて変更できるように回路構成されると共に、開弁端位置Aと閉弁端位置Bとの間おける弁体18の起動からの各経過時刻と、開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間おける弁体18の各通過位置との関係を任意に設定して、弁体18の各通過位置における移動速度を塗工条件に対応できるように回路構成されている。また、制御装置83は、体積調整装置88の駆動源32に関して、ピストン85の停止位置である体積増大位置Y及び/又は体積減少位置Xを任意の位置へ変更できるように回路構成されると共に、体積減少位置Xと体積増大位置Yとの間おけるピストン85の起動からの各経過時刻と、体積減少位置Xから体積増大位置Yまでの間おけるピストン85の各通過位置との関係を任意に設定して、ピストン85の各通過位置における移動速度を塗工条件に対応できるように回路構成されている。更に、制御装置83は、弁装置17の弁体18の起動・停止と体積調整装置88のピストン85の起動・停止とを連係させ、弁体18が閉弁端位置Bから開弁端位置Aへ向かって前進するときの適宜時期にピストン85を分岐空間16aへ向かって前進させると共に、弁体18が開弁端位置Aから閉弁開始位置H1を経て閉弁端位置Bへ向かって後退するときの適宜時期及び/又は弁体18が閉弁端位置Bで停止している時期にピストン85をケーシング16の外側へ向かって後退させるように回路構成されている。
本発明塗工装置81は、弁装置17の弁体18と体積調整装置88のピストン85を対向させて直列状に配設して構成することで、弁体18とピストン85を接近させることが可能となり、ピストン85を分岐空間16aへ向かって前進させて分岐空間16a内の塗工液Mの圧力の昇圧を弁装置17へ瞬時に及ぼして、分岐空間16a内の塗工液Mを開弁中の弁装置18を介してダイDへ最適な状態で圧送することができるようになる。本発明塗工装置81は、前記第1の実施の形態(図1乃至図8)の弁体18とピストン30を並列状に配設しすることと同様に、弁体18とピストン85を並列状に配設して構成することも可能である。
上述の如く構成された本実施の形態に係る間欠塗工装置81は、制御装置83で弁体用操作装置21の駆動源22及び体積調整装置88の駆動源32を制御して、図27に示す如く、ダイDの吐出口Daから塗工液Mを基材Wへ吐出して塗工域Cを形成する塗工時間帯Q(図8参照。但し、図8の図(A)(B)中の「ピストン30の位置」を「ピストン85の位置」と読み替える。)と、塗工液Mを吐出せずに非塗工域Gを形成する塗工休止時間帯R(図8参照)を交互に形成するようにしてある。圧送手段12から間欠供給装置84のケーシング16の分岐空間16aへ圧送された塗工液Mは、図28に示す如く、弁体用操作装置21で弁体18が開弁端位置Aまで前進した塗工時間帯Q(図8参照)では、弁体18と弁座19との隙間(開度F)、ダイ側空間16b及びダイDを通過してダイ吐出口Daから基材Wへ吐出して塗工され、逆に、弁体18が弁体用装置装置21で閉弁端位置B(図30参照)まで後退した塗工休止時間帯Rでは、ダイDへの供給が停止される。
そして、図31に示すように弁体18が閉弁端位置Bから前進(矢符d)して開弁端位置A(図28参照)へ至る開弁動作のときにおいて、弁体18が閉弁端位置Bから押出用移動寸法L2だけ移動して閉弁終了位置H2へ至る塗工休止時間帯R(図8参照)の終期域Rcでは、閉弁状況下のダイ側空間16b内の塗工液充填体積を減少させることで、ダイ側空間16bに残存している停止状態の塗工液Mを、送液路13a内を矢符fの方向へ押出してダイDの内部へ供給して塗工の準備状態となる。続いて、弁体18が閉弁終了位置H2を過ぎて更に前進(矢符d)して図28に示す開弁端位置Aへ至る塗工時間帯Qの初期域Qaでは、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、弁体18と弁座19との隙間(開度F)及びダイ側空間16bを通過させてダイ吐出口Daから吐出させ、基材Wに塗工域Cの始端Ct寄りを形成する(図27参照)。分岐空間16a内の塗工液Mは、前進する弁体18の一部が分岐空間16aから退出しつつ離れるのに伴い液圧力を減圧しようとするが、弁体18の前進移動時間U(図8に示す塗工休止時間帯Rの終期域Rcと塗工時間帯Qの初期域Qaの総和)の時間中に体積調整装置88のピストン85が体積増大位置Yから体積減少位置Xへ前進して、ピストン85の一部が分岐空間16a内へ進入しつつ液圧力を増大増大させるようにして圧力変動を少なくできる。体積調整装置88は、塗工時間帯Qの初期域Qaにおけるダイ側空間16b内の塗工液Mの液圧力を塗工域Cの始端Ctを形成するのに適した圧力値となるように、ピストン85の分岐空間16a内への進入速度及び進入寸法を設定することで、分岐空間16a内の塗工液Mを開弁中の弁装置18を介してダイDへ最適な状態で圧送することができる。開弁端位置A(図28参照)へ至って停止している弁体18の開弁が継続している塗工時間帯Qの継続域Qbでは、基材Wに塗工域Cを形成する。
逆に、図28乃至図30に示すように弁体18が開弁端位置Aから後退(矢符e)して閉弁端位置Bへ至る閉弁動作のときにおいて、塗工時間帯Q(図8参照)の終期域Qcにおいて弁体18が急速に後退した後に、続けて図30に示すように弁体18が閉弁開始位置H1から吸引用移動寸法L1だけ移動して閉弁端位置Bへ至る塗工休止時間帯Rの初期域Raでは、閉弁状況下でダイ側空間16b内の塗工液充填体積を増大させて、塗工休止直後のダイDに残存している塗工液Mを、送液路13a内を矢符gの方向(図30)へ通過させてダイ側空間16b側へ吸引することで、ダイDの吐出口Daから塗工域Cの終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ吸引して、ダイ吐出口Daの幅方向の全域にわたって液切れを良好して、吐出口Daの長手方向(基材Wの横断方向)へ沿って塗工域Cの終端Cbを一直線となるようにシャープに形成する。
本発明間欠塗工装置81は、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送する塗工液について、常に還流路15へ還流させる余分な流量を増量して供給できるので、塗工に必要な流量よりも多量の流量が通過する分岐空間16a内の塗工液圧力を常に高めることが可能となり、弁体18が閉弁終了位置H2(図31)から開弁端位置A(図28参照)まで更に前進するときに、塗工液圧力の高い分岐空間16aからダイ側空間16bを介してダイDへ塗工液Mを迅速に供給することが可能となる。
本発明間欠塗工装置81は、弁装置17の一つの弁体18を弁体用操作装置21で開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間を進退させる簡単な構成で、基材Wに塗工域Cの始端Ct(図27参照)を形成するための準備となる塗工休止時間帯R(図8参照)の終期Rcの動作及び塗工液Mをダイ吐出口Daから吐出させる塗工時間帯Qの初期域Qaの動作と、基材Wの塗工域Cを形成するために塗工液Mをダイ吐出口Daから継続的に吐出させる塗工時間帯Qの継続域Qbの動作と、基材Wに塗工域Cの終端Cbを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止する塗工時間帯Qの終期Qcの動作及び吐出している塗工液MをダイDの内部へ吸引させる塗工休止時間帯Rの初期域Raの動作と、基材Wの非塗工域Gを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止させる塗工休止時間帯Rの継続域Rbの動作とを連続的に繰り返すことができるので、装置構造を簡単にできると共にこれら動作のタイミングの調整が簡単にできる優れた効果を有する。更に、本発明間欠塗工装置81は、塗工域Cの始端Ctを形成する塗工時間帯Qの初期域Qaにおいて、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を体積調整装置88の前進するピストン85で適正な圧力値にできるので、塗工時間帯Qの初期域Qaにおける塗工を円滑に行なうことができる。
(第7の実施の形態)
図32乃至図35は第7の実施の形態に係る本発明塗工装置91を示すものである。本実施の形態に係る本発明塗工装置91は、弁装置17の弁体18と体積調整装置98のピストン85を連結して連動させるようにした点で、前記第1の実施の形態(図1乃至図8)の弁装置17の弁体18と体積調整装置28のピストン30を個別に移動させるようした本発明塗工装置11と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図32乃至図35において第1の実施の形態を示す図1乃至図8に記載の符号と同一の符号は相当部分を示している。
上記体積調整装置98は、図33に示す如く、分岐空間16aの体積調整用であって、ケーシング16の分岐空間16aとケーシング16の外側を連通させる開口部16eに設けられた環状の外嵌部86と、外嵌部86に液漏れなく摺動自在に内嵌するピストン85とを備え、弁装置17の弁体18及びピストン85を連動させるように連結97して、弁体18が図35に示す閉弁端位置Bから開弁端位置A(図33参照)へ向かって前進(矢符d)するときにピストン85を分岐空間16aへ向かって前進させると共に、弁体18が開弁端位置A(図33参照)から図35に示す閉弁端位置Bへ向かって後退(矢符e)するときにピストン85をケーシング16の外側へ向かって後退させるようにしてある。外嵌部86及びピストン85は、前記第6の実施の形態に係る本発明塗工装置81に備えた外嵌部86及びピストン85と実質的に同一であるので、詳細な説明を省略する。
図33に示すように前記弁装置17の弁体18と体積調整装置98のピストン85との連結97は、弁体用操作装置21と弁体18を連結する弁軸24の延長部24bを弁体18からピストン85へ向かって延設し、延長部24bに外嵌したデスタントパイプ99で弁体18とピストン85の間隔を保持させると共に、ピストン85を貫通した延長部24aの一端24aにナット等の締結具26を緊締することで、弁軸24に弁体18及びピストン85を接合する等して構成してある。
前記弁体用操作装置21の動作の態様としては、図8の図(A)に示す第1の実施の形態と同様に作動して、弁体18を開弁端位置Aと閉弁端位置Bとの間で進退させる。本実施の形態に係る間欠塗工装置91は、制御装置36で弁体用操作装置21の駆動源22を制御して、図27に示す如く、ダイDの吐出口Daから塗工液Mを基材Wへ吐出して塗工域Cを形成する塗工時間帯Q(図8参照)と、塗工液Mを吐出せずに非塗工域Gを形成する塗工休止時間帯R(図8参照)を交互に形成するようにしてある。圧送手段12から間欠供給装置94のケーシング16の分岐空間16aへ圧送された塗工液Mは、図33に示す如く、弁体用操作装置21で弁体18が開弁端位置Aまで前進した塗工時間帯Q(図8参照)では、弁体18と弁座19との隙間(開度F)、ダイ側空間16b及びダイDを通過してダイ吐出口Daから基材Wへ吐出して塗工され、逆に、弁体18が弁体用装置装置21で閉弁端位置B(図34参照)まで後退した塗工休止時間帯Rでは、ダイDへの供給が停止される。
そして、図35に示すように弁体18が二点鎖線で示す閉弁端位置Bから押出用移動寸法L2だけ押出用前進して実線で示す閉弁終了位置H2へ至る塗工休止時間帯R(図8参照)の終期域Rcでは、閉弁状況下のダイ側空間16b内の塗工液充填体積を減少させることで、ダイ側空間16bに残存している停止状態の塗工液Mを、送液路13a内を矢符fの方向へ押出してダイDの内部へ供給して塗工の準備状態となる。続いて、弁体18が閉弁終了位置H2を経て更に前進(矢符d)して開弁端位置A(図33参照)へ至る塗工時間帯Qの初期域Qaでは、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送された塗工液Mを、弁体18と弁座19との隙間(開度F)及びダイ側空間16bを通過させてダイ吐出口Daから吐出させ、基材Wに塗工域Cの始端Ct寄りを形成する(図32参照)。分岐空間16a内の塗工液Mは、前進する弁体18の一部が分岐空間16aから退出しつつ離れるのに伴い液圧力を減圧しようとするが、弁体18の前進移動時間U(図8に示す塗工休止時間帯Rの終期域Rcと塗工時間帯Qの初期域Qaの総和)の時間中に体積調整装置98のピストン85が体積増大位置Yから中間位置Zを経て体積減少位置Xへ前進して分岐空間16a内の液圧力を増圧させようとするため、弁体18による減圧とピストン85による増圧との相殺で液圧力に大きな変動が生じない。このように、間欠供給装置94は、ピストン85が分岐空間16a内へ進入することで、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力の大きな変動を生じさせずに、塗工時間帯Qの初期域Qaにおけるダイ側空間16b内の塗工液Mの液圧力を塗工域Cの始端Ctを良好に形成することができる。開弁端位置A(図33参照)へ至って停止している弁体18の開弁が継続している塗工時間帯Qの継続域Qbでは、基材Wに塗工域Cを形成する。
逆に、図33に示す弁体18が開弁端位置Aから後退して図34に示す閉弁端位置Bへ至る閉弁動作のときにおいて、塗工時間帯Q(図8参照)の終期域Qcにおいて弁体18が急速に後退した後に、続けて弁体18が閉弁開始位置H1から吸引用移動寸法L1だけ移動して閉弁端位置Bへ至る塗工休止時間帯Rの初期域Raでは、閉弁状況下でダイ側空間16b内の塗工液充填体積を増大させて、塗工休止直後のダイDに残存している塗工液Mを、送液路13a内を矢符gの方向へ通過させてダイ側空間16b側へ吸引することで、ダイDの吐出口Daから塗工域Cの終端Cbまで出ている塗工液M(図1の図(C)において破線Eで囲まれている部分)をダイDの内部へ吸引して、ダイ吐出口Daの幅方向の全域にわたって液切れを良好して、吐出口Daの長手方向(基材Wの横断方向)へ沿って塗工域Cの終端Cbを一直線となるようにシャープに形成する。
本発明間欠塗工装置91は、圧送手段12から分岐空間16aへ圧送する塗工液について、常に還流路15へ還流させる余分な流量を増量して供給できるので、塗工に必要な流量よりも多量の流量が通過する分岐空間16a内の塗工液圧力を常に高めることが可能となり、弁体18が閉弁開始位置H1(図33)から開弁端位置A(図33参照)まで更に前進するときに、塗工液圧力の高い分岐空間16aからダイ側空間16bを介してダイDへ塗工液Mを迅速に供給することが可能となる。
本発明間欠塗工装置91は、弁装置17の一つの弁体18を弁体用操作装置21で開弁端位置Aから閉弁端位置Bまでの間を進退させる簡単な構成で、基材Wに塗工域Cの始端Ct(図32参照)を形成するための準備となる塗工休止時間帯R(図8参照)の終期Rcの動作及び塗工液Mをダイ吐出口Daから吐出させる塗工時間帯Qの初期域Qaの動作と、基材Wの塗工域Cを形成するために塗工液Mをダイ吐出口Daから継続的に吐出させる塗工時間帯Qの継続域Qbの動作と、基材Wに塗工域Cの終端Cbを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止する塗工時間帯Qの終期Qcの動作及び吐出している塗工液MをダイDの内部へ吸引させる塗工休止時間帯Rの初期域Raの動作と、基材Wの非塗工域Gを形成するためにダイ吐出口Daからの塗工液Mの吐出を停止させる塗工休止時間帯Rの継続域Rbの動作とを連続的に繰り返すことができるので、装置構造を簡単にできると共にこれら動作のタイミングの調整が簡単にできる優れた効果を有する。更に、本発明間欠塗工装置91は、塗工域Cの始端Ctを形成する塗工時間帯Qの初期域Qaにおいて、分岐空間16a内の塗工液Mの圧力を体積調整装置98の前進するピストン85で大きく変動させることがなくなり、塗工時間帯Qの初期域Qaにおける塗工を円滑に行なうことができる。
(その他の実施の形態)
図16〜図19の本発明塗工装置61の弁装置17、図20〜図25の本発明塗工装置71の弁装置17、図27〜図31の本発明塗工装置81の弁装置17及び図32〜図35の本発明塗工装置91の弁装置17については、図9及び図10に示す弁装置47に置換することも、または図11乃至図15に示す弁装置57に置換することも勿論可能である。