JP5223610B2 - 電力変換回路 - Google Patents
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Description
一方、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、及びそれらの系列の半導体素子の開発により、それらワイドバンドギャップ半導体を用いた素子の、有用な特性が注目を集めている。即ち、バンドギャップが広いこと、熱伝導性の高いこと、絶縁耐圧が高いこと等である。この特性を有効に活用すれば、シリコン半導体素子を圧倒するパワーデバイス特性が期待できる。更に、シリコン半導体素子を用いた場合よりも小型化が可能で、素子自体の重量を低減できるほか、放熱系の装置を小型化又は削減も可能となりうる。
正極に接続した相を負極に接続した相から見ると電位は+2VC、逆にみれば−2Vc。
正極に接続した相を中性点に接続した相から見ると電位は+VC、逆にみれば−Vc。
中性点に接続した相を負極に接続した相から見ると電位は+VC、逆にみれば−Vc。
同じ電位に接続した相同士は電位差は0。
このように、2レベルインバータの+VC、0、−Vcの切替え、即ち電位差の絶対値がVCと0の2段階であるに対し、3レベルインバータでは+2VC、+VC、0、−Vc、−2Vcの切替え、即ち電位差の絶対値が2VCとVCと0の3段階とできる。
インピーダンスソースインバータの特長は、スイッチング素子のデッドタイムがノイズにより消滅してショートスルー状態が生じても問題が無いので、インバータの高信頼性化を図れること、インバータの高スイッチング周波数化を図れること、更には定圧直流電源よりも高い電圧を3相交流出力とできることである。ここでデッドタイムとは、2レベルインバータの場合、各相の上下スイッチを同時にオンとできない場合に、上下スイッチのオンオフを逆転させる際に、その間に上下スイッチをいずれもオフとする状態を言う。
Shinichi Matsumoto,"Advancement of hybrid vehicle technology," European Conference of power electronics and applications(EPE2005),Sept.2005,pp.1−7 Relph Teichmann,"Compation of three−level converters versus two−level converters for low−voltage drivers, traction and utility applications," IEEE Tranas of Industorial applications,vol.41,no.3,May/June 2005,pp.855−865 IEEE Transactions on Industry Applications,vol.39,No.2,pp.504−510,March/April 2003
このようなノーマリオフ型のスイッチを、例えば電気自動車及びハイブリッド自動車におけるインバータに用いると、各スイッチ素子のゲート駆動回路の故障が生じた場合にスイッチ素子に過電流が流れ、大量の熱の発生によりスイッチ素子の破壊が生じる。
Pengらのインピーダンスソースインバータは、正極負極のショート状態(非特許文献3ではシュートスルー)をキャパシタの昇圧及び電荷補充のために積極的に用いるものであり、ノーマリオン型のスイッチを採用するに都合がよい。
更に、マルチレベルインバータに組み上げることで、素子ごとの負担を軽減することが考えられるが、各レベル毎にインピーダンスソース回路を設けること、即ち3レベルインバータであれば中性点から見た正極の電位レベルと中性点から見た負極の電位レベルを形成するために2組のインピーダンスソース回路を設けることは装置全体の構成が膨大となるために好ましくない。
即ち、請求項1に係る発明は、中性点を挟んで、各々二次電池と第1の双方向スイッチの直列接続を2組有する直流電源部と、第1及び第2のインダクタと、第1及び第2のキャパシタとを有するインピーダンス部と、12個の第2の双方向スイッチと、6個のダイオードを有し、3相の入出力端子を有する3相スイッチング部とを少なくとも有する中性点クランプ方式の電力変換回路であって、第1及び第2の双方向スイッチは、各々、制御電位により一方向に導通を行うトランジスタと、それとは逆並列に接続されたダイオードとから成り、インピーダンス部は、第1のインダクタの第1端子と、第1のキャパシタの第1端子とが直流電源部の正極側に接続され、第1のインダクタの第2端子と、第2のキャパシタの第1端子とが3相スイッチング部の第1極側に接続され、第2のインダクタの第1端子と、第1のキャパシタの第2端子とが3相スイッチング部の第2極側に接続され、第2のインダクタの第2端子と、第2のキャパシタの第2端子とが直流電源部の負極側に接続されており、3相スイッチング部は、3つの並列接続されたスイッチ列を有し、当該各スイッチ列は、第2の双方向スイッチが4個ずつ同方向に直列接続され、且つ2個のダイオードの直列接続が第2の双方向スイッチの第2番目と第3番目との直列接続とは逆方向に並列接続され、且つ当該2個のダイオードの中間点が中性点に接続され、第2の双方向スイッチの第2番目と第3番目との中間点に3相の入出力端子のいずれかが接続されており、3相スイッチング部は、各双方向スイッチを制御することで、第1極から第2極への電流、第1極から中間点及び第2極への電流、第1極及び中間点から第2極への電流を切替可能としたものであり、3相スイッチング部のスイッチング状態が、第1極と第2極を短絡状態とした場合には2個の第1の双方向スイッチをいずれもオフとして2個の二次電池を放電可能とし、それ以外の場合には2個の第1の双方向スイッチをいずれもオンとして二次電池を充電するように電流を流す制御装置を有し、12個の第2の双方向スイッチは、ノーマリオン型のトランジスタであることを特徴とする電力変換回路である。
請求項2に係る発明は、ノーマリオン型のトランジスタは、窒化ガリウムを用いた電界効果トランジスタであることを特徴とする。
ところが、インピーダンスソースインバータは、正極と負極のショート(シュートスルー)状態をキャパシタの昇圧及び電荷補充のために積極的に用いるものであり、少なくとも短時間のショート(シュートスルー)状態が装置の直接的な破壊をもたらすことはない。
更にマルチレベルとすることで、各スイッチ素子の負担が軽減されるので、ゲート部又はチャネル部の劣化が抑制される。
更に、直流電源部には、二次電池(充電池)を用い、順方向に接続されたダイオードとは逆方向に、導通可能なスイッチ素子を設けておく(第1の双方向スイッチ)ので、二次電池(充電池)を充電する方向の電流状態が許容される。これにより、以下で示す通り外部負荷電流が小さい場合にも、インピーダンス部の電流状態が不連続となることが無い。尚、キャパシタの昇圧及び電荷補充のための正極と負極のショート(シュートスルー)状態の場合は第1の双方向スイッチはオフとして、キャパシタ電位が直流電源部電位よりも高い場合にはダイオードにより二次電池(充電池)の充電を遮断できる。
また、インピーダンス部は1組であり、回路全体の構成を小さいままとすることができる。
また、逆方向に並列接続されたダイオードは、ノーマリオン型のスイッチの寄生ダイオードを用いても良く、或いは別途追加して接続したものでも良い。この場合、ダイオードを構成する半導体はワイドバンドギャップ半導体に限定されない。
中性点Oに、二次電池(充電池)V0pの負極が接続され、二次電池(充電池)V0pの正極側にダイオードD0pの正極が接続されている。またスイッチ素子Q0pはダイオードD0pとは逆並列に接続されており、オン時(導通時)には二次電池(充電池)V0pを充電する方向に電流を流しうるものである。スイッチ素子Q0pとダイオードD0pが2個の第1の双方向スイッチの一方を形成している。
同様に、中性点Oに、二次電池(充電池)V0nの正極が接続され、二次電池(充電池)V0nの負極側にダイオードD0nの負極が接続されている。またスイッチ素子Q0nはダイオードD0nとは逆並列に接続されており、オン時(導通時)には二次電池(充電池)V0nを充電する方向に電流を流しうるものである。スイッチ素子Q0nとダイオードD0nが2個の第1の双方向スイッチの他方を形成している。
スイッチ素子Q0p及びQ0nは、信頼性の面でノーマリオフ型のパワー素子が望ましい。例えばIGBTを用いると良い。この場合、ダイオードD0pとD0nは、IGBTの寄生ダイオードを用いても、別途追加しても良い。
スイッチ素子Q0p及びQ0nがオフの状態では、二次電池(充電池)V0p及びV0nはダイオードD0p及びD0nを通じて放電することはあっても、充電はされない。
直流電源部の正極側であるダイオードD0pの負極には、第1のインダクタL1の第1端子が接続され、第1のインダクタL1の他端である第2端子が3相スイッチング部S3phの第1極Pに接続されている。直流電源部の正極側であるダイオードD0pの負極には更に第1のキャパシタC1の正極である第1端子が接続されている。第1のキャパシタC1の負極である第2端子は3相スイッチング部S3phの第2極Nに接続されている。
また、第2のキャパシタC2の正極である第1端子が3相スイッチング部S3phの第1極Pに接続されている。第2のキャパシタC2の負極である第2端子が,直流電源部の負極側であるダイオードD0nの正極に接続されている。
また、第2のインダクタL2の第1端子が3相スイッチング部S3phの第2極Nに接続されている。第2のインダクタL2の第2端子が、直流電源部の負極側であるダイオードD0nの正極に接続されている。
スイッチ素子Qap1、Qap2、Qan1、Qan2、Qbp1、Qbp2、Qbn1、Qbn2、Qcp1、Qcp2、Qcn1及びQcn2としてはノーマリオン型のいわゆるGaN−HEMTを用いる。ソースS、ドレインD、ゲートGのバイアス電位回路は図1では省略した。図1に示す通り、当該12個のスイッチ素子を全てオンとすると、第1極P側から第2極N側に電流が流れる。この際、各素子の第1極P側にドレインD、第2極N側にソースSが配置される。
第1極Pと端子Aの間には、GaN−HEMTから成るスイッチ素子Qap1とQap2とが直列に接続されている。スイッチ素子Qap1とQap2とは、制御電圧により、電流の遮断と、第1極Pから端子Aへの電流の導通を切り替えることが可能なスイッチである。
また、スイッチ素子Qap1とQap2の接続点にはダイオードDapの負極が接続され、ダイオードDapの正極が中性点Oに接続されている。スイッチ素子Qap2は、制御電圧により、中性点Oから端子Aへの電流の導通とその遮断を切り替えることができる。
また、スイッチ素子Qap1とQap2には逆並列に、ダイオードDap1とDap2が接続されている。即ちダイオードDap1とDap2は、常時、端子Aから第1極Pへの電流の導通を可能とするものである。
端子Aと第2極Nとの間には、GaN−HEMTから成るスイッチ素子Qan1とQan2とが直列に接続されている。スイッチ素子Qan1とQan2とは、制御電圧により、電流の遮断と、端子Aから第2極Nへの電流の導通を切り替えることが可能なスイッチである。
また、スイッチ素子Qan1とQan2の接続点にはダイオードDanの正極が接続され、ダイオードDanの負極が中性点Oに接続されている。スイッチ素子Qan2は、制御電圧により、端子Aから中性点Oへの電流の導通とその遮断を切り替えることができる。
また、スイッチ素子Qan1とQan2には逆並列に、ダイオードDan1とDan2が接続されている。即ちダイオードDan1とDan2は、常時、第2極Nから端子Aへの電流の導通を可能とするものである。
更に、第1極Pと端子Cの間に、GaN−HEMTから成るスイッチ素子Qcp1とQcp2とが直列に接続され、各々に逆並列にDcp1とDcp2が接続されている。また、スイッチ素子Qcp1とQcp2の接続点にはダイオードDcpの負極が接続され、ダイオードDcpの正極が中性点Oに接続されている。端子Cと第2極Nとの間に、GaN−HEMTから成るスイッチ素子Qcn1とQcn2とが直列に接続され、各々に逆並列にDcn1とDcn2が接続されている。また、スイッチ素子Qcn1とQcn2の接続点にはダイオードDcnの正極が接続され、ダイオードDcnの負極が中性点Oに接続されている。
例えば次のように3相交流側端子Aに直流側端子P、O、Nが接続される場合をそれぞれ1、0、−1とする。尚、第1極である直流側端子Pは最も電位が高く、中性点である直流側端子Oは中間電位であり、第2極である直流側端子Nは最も電位が低い。
図2は3相交流側端子Aに直流側端子P、O、Nが接続される4つの場合を模式的に示した回路図(部分図)である。
図2.Aは3相交流側端子Aに直流側端子Pが接続される場合を示しており、状態1である。スイッチ素子Qap1とQap2をオン(導通)状態とし、スイッチ素子Qan1とQan2をオフ(遮断)状態とする。図2.Aは直流側端子Pから3相交流側端子Aに電流が流れることを示すため、遮断状態の6個のダイオードを白抜きで示し、オフ(遮断)状態のスイッチ素子Qan1とQan2を破線で示した。
図2.Aのように、スイッチ状態1では直流側端子Pから3相交流側端子Aに電流が流れる場合に、3相交流側端子Aと中性点O及び直流側端子Nはいずれも遮断される。
図2.Bのように、スイッチ状態0で中性点Oから3相交流側端子Aに電流が流れる場合に、3相交流側端子Aと直流側端子P及びNはいずれも遮断される。また、スイッチ素子Qan1はオン(導通)状態であるが、電流は流れない。
スイッチ状態0では、次の図2.Cの電流状態も生じうる。図2.Bの電流状態が生ずるのは、図2.Aの電流状態の後の場合や、その他、3相交流側端子BやCとの関係により3相交流側端子Aを介して外部負荷に電流が流れ出す場合である。
図2.Cのように、スイッチ状態0で3相交流側端子Aから中性点Oに電流が流れる場合に、3相交流側端子Aと直流側端子P及びNはいずれも遮断される。また、スイッチ素子Qap2はオン(導通)状態であるが、電流は流れない。
スイッチ状態0では、前述の図2.Bの電流状態も生じうる。図2.Cの電流状態が生ずるのは、図2.Dの電流状態の後の場合や、その他、3相交流側端子BやCとの関係により3相交流側端子Aを介して外部負荷から電流が流れ込む場合である。
図2.Dのように、スイッチ状態−1では3相交流側端子Aから直流側端子Nに電流が流れる場合に、3相交流側端子Aと直流側端子P及び中性点Oはいずれも遮断される。
このように、3相交流側端子A、B、Cがそれぞれ、直流側のP、O、Nのどの端子と接続しているかを、1、0、−1で示すことができる。例えば(1,−1,−1)であれば、3相交流側端子Aが直流側のPに、3相交流側端子B及びCが直流側のNに接続されていることを意味する。同様に(1,0,−1)であれば、3相交流側端子Aが直流側のPに、3相交流側端子Bが中性点Oに、3相交流側端子Cが直流側のNに接続されていることを意味する。この際、上記で述べた通り、中性点Oに接続された3相交流側端子Bの電流状態は2通り許容される。
図3は本発明に特徴的な2つのスイッチ状態と、他の2つの電流状態に付いて説明する4つの模式的回路図(部分図)である。
図3.Aは直流側端子Pと中性点Oを短絡する場合(POショート状態)である。スイッチ素子Qap1とQap2とQan1をオン(導通)状態とし、スイッチ素子Qan2をオフ(遮断)状態とする。図3.Aは直流側端子Pから中性点Oに電流が流れることを示すため、導通状態のダイオードDanを塗り潰しで、遮断状態の他の5個のダイオードを白抜きで示し、オフ(遮断)状態のスイッチ素子Qan2を破線で示した。
図3.Aのように、POショート状態では直流側端子Pから中性点Oに電流が流れる。
3相交流端子Aに、直流側端子Pから電流が流れることは許容され、また、3相交流端子Aから、中性点Oに電流が流れることは許容される。
図3.Bのように、ONショート状態では中性点Oから直流側端子Nに電流が流れる。
3相交流端子Aに、中性点Oから電流が流れることは許容され、また、3相交流端子Aから、直流側端子Nに電流が流れることは許容される。
図3.C及び図3.Dは他のスイッチ状態について説明する模式的回路図(部分図)である。
スイッチ回路の故障の場合、或いはスイッチングタイミング(電圧負荷タイミング)と電流の状態がずれた場合、スイッチ状態、即ち直流電圧印加状態と、電流の向きが必ずしも一致しないことはあり得る。
図3.Cは、3相交流端子Aから外部負荷に電流が流れ出しうるその他の場合を示すものである。スイッチ素子Qap1とQap2がオフであっても、直流側端子NからダイオードDan2及びDan1を介しての電流経路は許容される。この場合、例えば図1でキャパシタC1及びC2が充電される状態となる。この場合、スイッチ素子Qan1とQan2は同時にオンであっても良い。また、3相交流側のABC各相のスイッチ状態が、ゼロベクトル状態である(−1,−1,−1)の場合に、インピーダンス部を介さないで外部負荷への電流流出及び電流流入経路が確保される。
図3.Dは、外部負荷から3相交流端子Aに電流が流れ込みうるその他の場合を示すものである。スイッチ素子Qan1とQan2がオフであっても、ダイオードDap2及びDap1を介して直流側端子Pへの電流経路は許容される。この場合、例えば図1でキャパシタC1及びC2が充電される状態となる。この場合、スイッチ素子Qap1とQap2は同時にオンであっても良い。また、3相交流側のABC各相のスイッチ状態が、ゼロベクトル状態である(1,1,1)の場合に、インピーダンス部を介さないで外部負荷への電流流出及び電流流入経路が確保される。
尚、3相交流側のABC各相のスイッチ状態が(0,0,0)のゼロベクトル状態では、図3.Cや図3.Dの状態でなく、図2.B及び図2.Cが3相のいずれかで、且つ同時に生ずることにより、インピーダンス部を介さないで外部負荷への電流流出及び電流流入経路が確保される。
本発明に係る図1の電力変換回路100は、図3.A及び図3.Bのスイッチ状態を用いることが、広く知られたNPC方式の3レベルインバータと大きく異なるところである。ショート状態は、インピーダンス部のキャパシタの昇圧及び電荷補充のために必要不可欠のものであり、1スイッチングサイクルごとに必ず1回設けることが好ましい。
尚、インピーダンスソースインバータにおいては、デッドタイムを設ける必要がない。
NPC方式の3レベルインバータのフェーザー図(ベクトル図)で、例えば(0,0,0)、(1,0,−1)、(1,−1,−1)、(1,0,−1)、(0,0,0)(以下繰り返し)の状態(電気角0乃至30度)の場合を例にして図4で説明する。
図4.Aはスイッチ状態(0,0,0)(ゼロベクトル)、図4.Bはショート(POショートとONショートを同時に起こしたもの、シュートスルー)、図4.Cはスイッチ状態(1,0,−1)、図4.Dはスイッチ状態(1,−1,−1)の回路状態を簡略化した回路図である。
このスイッチングサイクル区間では、スイッチング状態(1,−1,−1)は勿論、スイッチング状態(1,0,−1)でも、相AB間では3相交流端子Aから外部負荷に電流が流れて3相交流端子Bから電力変換回路100に電流が流れ込む状態が続く。同様に、相AC間では3相交流端子Aから外部負荷に電流が流れて3相交流端子Cから電力変換回路100に電流が流れ込む状態が続く。相BC間では電位差が無い場合(スイッチング状態(1,−1,−1))と電位差が生ずる場合(スイッチング状態(1,0,−1))があるが、3相交流端子Bは、あくまで、外部負荷から電力変換回路100に電流が流れ込む端子であるものとする。これはスイッチング状態(0,0,0)やショートの状態でも同じとする。
また、キャパシタC1及びC2は各々、充電池V0pとV0nの合計電圧の2乃至3倍程度の電位差を保つものとする(通常の設計)。
実際、ショートである図4.Bにおいて、スイッチ素子Q0p及びQ0nをオフ(遮断状態)とすると、キャパシタC1よりも電位が低い充電池V0pは、ダイオードD0pで遮断状態となる。このため、キャパシタC1によりインダクタL1に電流が急激に流れ込む。同様に、キャパシタC2によりインダクタL2に電流が急激に流れ込む。
外部負荷への電流の経路は、インダクタL2、充電池V0n及びV0p並びにインダクタL1の経路、キャパシタC1とインダクタL1の経路、インダクタL2とキャパシタC2の経路と考えて良い。
まず、図4.Aの状態は、3つのスイッチ状態であり、(1,1,1)、(0,0,0)及び(−1,−1,−1)である。3相はそれぞれ、全て端子P、全て端子O、全て端子Nに接続される。
また、図4.Dの状態は、6つのスイッチ状態であり、(1,−1,−1)、(1,1,−1)、(−1,1,−1)、(−1,1,1)、(−1,−1,1)及び(1,−1,1)である。即ち、中性点Oに接続される相が無く、且つゼロベクトルでない場合である。
図5.Aは図4.Cの再掲である。一方図5.Bも図5.Aと同じスイッチ状態で生じうる。即ち、図4.C(図5.Aと同じ)の説明では、(1,−1,−1)の状態と前後して(1,0,−1)のスイッチ状態となったとし、且つB相の電流は外部負荷から流れ込む場合のみを想定した。しかし、(1,1,−1)の状態と前後して(1,0,−1)のスイッチ状態となった場合はB相の電流は外部負荷へ流れ出す場合が考えられる。即ち、中性点Oから、電流が外部負荷へ流れ出す場合が図5.Bである。外部負荷へ端子Oから流れ出す電流部分の経路は、充電池V0nとインダクタL2の経路、キャパシタC1と逆直列の充電池V0pの経路と考えて良い。
図5.A及び図5.Bとなりうる場合は、6つのスイッチ状態であり、(1,0,−1)、(0,1,−1)、(−1,1,0)、(−1,0,1)、(0,−1,1)及び(1,−1,0)である。即ち、中性点Oに接続される相と端子Pに接続される相と、端子Nに接続される相が1つずつ存在する場合である。
図5.Cとなりうる場合は、6つのスイッチ状態であり、(1,0,0)、(1,1,0)、(0,1,0)、(0,1,1)、(0,0,1)及び(1,0,1)である。
外部負荷から端子Oに流れ込む電流部分の経路は、充電池V0pとインダクタL1の経路、キャパシタC2と逆直列の充電池V0nの経路と考えて良い。キャパシタC1とインダクタL2は、直流電源部を構成する充電池V0p及びV0nとの関係で、図4.Aのゼロベクトル状態に等しい状態となっている。
図5.Dとなりうる場合は、6つのスイッチ状態であり、(−1,0,0)、(−1,−1,0)、(0,−1,0)、(0,−1,−1)、(0,0,−1)及び(−1,0,−1)である。
端子Oから外部負荷へ流れ出す電流部分の経路は、充電池V0nとインダクタL2の経路、キャパシタC1と逆直列の充電池V0pの経路と考えて良い。キャパシタC2とインダクタL1は、直流電源部を構成する充電池V0p及びV0nとの関係で、図4.Aのゼロベクトル状態に等しい状態となっている。
図6.Bは2レベルインバータにおけるフェーザー図を示すものである。尚、3レベルインバータを用いても、2レベルインバータの機能を発揮させうることは自明である。図6.Bと図6.Aの比較から、2レベルインバータよりも3レベルインバータの方が、フェーザーのベクトルに近いベクトルを用いて、外部負荷への電力供給するための、3相交流の印加電圧をパルス幅変調(PWM)により精度良く制御できることが分かる。
更に、詳細を記載しなかったが、図1の電力変換回路100は、図6.Cに示した通常のNPC方式の3レベルインバータの制御において、ショートスルー(シュートスルー)区間を設けることで全く同様に制御可能である。図6.Cのフェーザー図は、フェーザーベクトルに対し、それを囲む最も近い3つのベクトルを用いて、各ベクトルの時間占有割合を算出することを模式的に示しているものである。図6.Cのフェーザー図においては、3相交流端子ABC、それぞれ3つの直流側端子との接続の組み合わせである27通りのスイッチ状態が示されている。
図1の電力変換回路100はスイッチ素子Q0p及びQ0nにより、充電池V0p及びV0nを充電する方向の電流を許容できるので、外部負荷から回生電流を回収する回生回路として利用できる。
また、上記実施例では二次電池(充電池)のみを有する実施例を示したが、容易な回路構成により、燃料電池その他の充電不可の電池を併用する回路に用い得ることは明らかである。
Q0p、Q0n:第1の双方向スイッチを形成するスイッチ素子(IGBT等)
D0p、D0n:第1の双方向スイッチを形成するダイオード
L1:第1のインダクタ
L2:第2のインダクタ
C1:第1のキャパシタ
C2:第2のキャパシタ
S3ph:3相スイッチング回路
P:3相スイッチング回路S3phの第1極(高電位である直流側端子)
O:3相スイッチング回路S3phの中性点(直流側端子)
N:3相スイッチング回路S3phの第2極(低電位である直流側端子)
A、B、C:3相スイッチング回路S3phの3相交流側端子
Qap1、Qap2、Qan1、Qan2、Qbp1、Qbp2、Qbn1、Qbn2、Qcp1、Qcp2、Qcn1、Qcn2:3相スイッチング回路S3phの第2の双方向スイッチを形成するスイッチ素子(GaN−HEMT)
Dap1、Dap2、Dan1、Dan2、Dbp1、Dbp2、Dbn1、Dbn2、Dcp1、Dcp2、Dcn1、Dcn2:3相スイッチング回路S3phの第2の双方向スイッチを形成するダイオード
Claims (2)
- 中性点を挟んで、各々二次電池と第1の双方向スイッチの直列接続を2組有する直流電源部と、
第1及び第2のインダクタと、第1及び第2のキャパシタとを有するインピーダンス部と、
12個の第2の双方向スイッチと、6個のダイオードを有し、3相の入出力端子を有する3相スイッチング部とを少なくとも有する中性点クランプ方式の電力変換回路であって、
前記第1及び第2の双方向スイッチは、各々、制御電位により一方向に導通を行うトランジスタと、それとは逆並列に接続されたダイオードとから成り、
前記インピーダンス部は、
前記第1のインダクタの第1端子と、前記第1のキャパシタの第1端子とが前記直流電源部の正極側に接続され、
前記第1のインダクタの第2端子と、前記第2のキャパシタの第1端子とが前記3相スイッチング部の第1極側に接続され、
前記第2のインダクタの第1端子と、前記第1のキャパシタの第2端子とが前記3相スイッチング部の第2極側に接続され、
前記第2のインダクタの第2端子と、前記第2のキャパシタの第2端子とが前記直流電源部の負極側に接続されており、
前記3相スイッチング部は、3つの並列接続されたスイッチ列を有し、
当該各スイッチ列は、前記第2の双方向スイッチが4個ずつ同方向に直列接続され、且つ2個のダイオードの直列接続が前記第2の双方向スイッチの第2番目と第3番目との直列接続とは逆方向に並列接続され、且つ当該2個のダイオードの中間点が中性点に接続され、前記第2の双方向スイッチの第2番目と第3番目との中間点に前記3相の入出力端子のいずれかが接続されており、
前記3相スイッチング部は、前記各双方向スイッチを制御することで、前記第1極から前記第2極への電流、前記第1極から前記中間点及び前記第2極への電流、前記第1極及び前記中間点から前記第2極への電流を切替可能としたものであり、
前記3相スイッチング部のスイッチング状態が、前記第1極と前記第2極を短絡状態とした場合には前記2個の第1の双方向スイッチをいずれもオフとして前記2個の二次電池を放電可能とし、
それ以外の場合には前記2個の第1の双方向スイッチをいずれもオンとして前記二次電池を充電するように電流を流す制御装置を有し、
前記12個の第2の双方向スイッチは、ノーマリオン型のトランジスタであることを特徴とする電力変換回路。 - 前記ノーマリオン型のトランジスタは、窒化ガリウムを用いた電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換回路。
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