JP4767781B2 - インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ装置に関する。
従来、例えば直流電源の正極端に接続した第1リアクタ、および、直流電源の負極側に接続した第2リアクタ、および、第1リアクタの入力端と第2リアクタの出力端との間に接続した第1コンデンサ、および、第1リアクタの出力端と第2リアクタの入力端との間に接続した第2コンデンサを備えて構成される昇圧回路と、この昇圧回路の出力側に接続した複数相のインバータ回路とを備えるZ(インピーダンス)ソース電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2003/0231518号明細書
ところで、上記従来技術に係る電力変換装置において、例えば直流電源が燃料電池等の非充電式の電源である場合には、昇圧回路から直流電源への電流の逆流を防止する必要が生じる。このとき、単に、直流電源と昇圧回路との間に逆流防止回路、例えば直流電源から昇圧回路に向かい順方向となるダイオード等を設けるだけでは、この電力変換装置の出力電流(つまり負荷電流)が相対的に小さい場合に、逆流防止回路を介して直流電源から昇圧回路に流れる電流がゼロとなり、昇圧回路の第1リアクタに作用する両端電圧が反転することで、インバータ回路に入力される電圧が減少し、インバータ回路から出力される電圧が不安定になるという問題が生じる。しかも、逆流防止回路によって電流の逆流が防止されていることから、昇圧回路の各コンデンサが過剰に充電されることで電圧が過剰に上昇してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、負荷の大小に拘わらずにZ(インピーダンス)ソース電力変換装置を適切に作動させることが可能なインバータ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のインバータ装置は、直流電源(例えば、実施の形態でのバッテリ12)の正極端に接続した第1リアクタ(例えば、実施の形態での第1リアクタL1)、および、前記直流電源の負極端に接続した第2リアクタ(例えば、実施の形態での第2リアクタL2)、および、前記第1リアクタの入力端と前記第2リアクタの出力端との間に接続した第1コンデンサ(例えば、実施の形態での第1コンデンサC1)、および、前記第1リアクタの出力端と前記第2リアクタの入力端との間に接続した第2コンデンサ(例えば、実施の形態での第2コンデンサC2)を備えて構成される昇圧回路(例えば、実施の形態での昇圧回路10b)と、該昇圧回路の出力側に接続した複数相のインバータ回路(例えば、実施の形態でのインバータ回路10a)とを備えるインバータ装置であって、前記直流電源から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記昇圧回路との間に直列に接続されたダイオード(例えば、実施の形態でのダイオードD)と、該ダイオードに並列に接続されて前記直流電源と前記昇圧回路との間の通電のオンおよびオフを切り換えるスイッチング素子(例えば、実施の形態でのトランジスタQin)と、前記インバータ回路の何れかの相を短絡する期間であるショート期間の開始以前に前記スイッチング素子をオフ状態に設定し、前記ショート期間の終了以後に前記スイッチング素子をオン状態に設定する制御手段(例えば、実施の形態での制御部13)とを備えることを特徴としている。
上記構成のインバータ装置によれば、インバータ回路の何れかの相を短絡することによって昇圧回路の各リアクタを充電する期間であるショート期間の開始以前においてスイッチング素子をオフ状態に設定すると共に、このオフ状態をショート期間中において維持し、ショート期間の終了以後、つまり昇圧回路の各リアクタの放電期間においてスイッチング素子をオン状態に設定することにより、直流電源から昇圧回路に向かう順方向の通電に加えて、昇圧回路から直流電源に向かう逆方向の通電を許容するようになっている。このため、例えば負荷電流が相対的に小さい状態等において、直流電源と昇圧回路との間のダイオードを流れる電流がゼロとなり、昇圧回路の各リアクタの両端電圧の正負が逆転してしまうことを防止することができる。これにより、インバータ回路に入力される電圧が変動してインバータ回路から出力される電圧が不安定になったり、昇圧回路の各コンデンサが過剰に充電されてしまうことを防止することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のインバータ装置では、前記直流電源は非充電式(例えば、実施の形態での燃料電池41)であって、前記直流電源から前記ダイオードに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記ダイオードとの間に直列に接続された逆流防止ダイオード(例えば、実施の形態での逆流防止ダイオードDI)と、互いに直列に接続された前記直流電源および前記逆流防止ダイオードに並列に接続された充電可能な蓄電器(例えば、実施の形態での蓄電器42)とを備えることを特徴としている。
上記構成のインバータ装置によれば、非充電式の直流電源に対しては逆流防止ダイオードによって昇圧回路からの通電が禁止され、充電可能な蓄電器に対してはスイッチング素子によって昇圧回路からの通電が許容されることから、例えば負荷電流が相対的に小さい状態等において、直流電源および蓄電器と昇圧回路との間のダイオードを流れる電流がゼロとなり、昇圧回路の各リアクタの両端電圧の正負が逆転してしまうことを防止することができる。これにより、インバータ回路に入力される電圧が変動してインバータ回路から出力される電圧が不安定になったり、昇圧回路の各コンデンサが過剰に充電されてしまうことを防止することができる。
また、請求項3に記載の本発明のインバータ装置は、非充電式の直流電源(例えば、実施の形態での燃料電池41)の正極端に接続した第1リアクタ(例えば、実施の形態での第1リアクタL1)、および、前記直流電源の負極側に接続した第2リアクタ(例えば、実施の形態での第2リアクタL2)、および、前記第1リアクタの入力端と前記第2リアクタの出力端との間に接続した第1コンデンサ(例えば、実施の形態での第1コンデンサC1)、および、前記第1リアクタの出力端と前記第2リアクタの入力端との間に接続した第2コンデンサ(例えば、実施の形態での第2コンデンサC2)を備えて構成される昇圧回路(例えば、実施の形態での昇圧回路10b)と、該昇圧回路の出力側に接続した複数相のインバータ回路(例えば、実施の形態でのインバータ回路10a)とを備えるインバータ装置であって、前記直流電源から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記昇圧回路との間に直列に接続された逆流防止ダイオード(例えば、実施の形態での逆流防止ダイオードDI)と、互いに直列に接続された前記直流電源および前記逆流防止ダイオードに並列に接続された並列部と、該並列部での通電のオンおよびオフを切り換える制御手段(例えば、実施の形態での制御部13)とを備え、前記並列部は、充電可能な蓄電器(例えば、実施の形態での蓄電器42)と、該蓄電器から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記蓄電器と前記昇圧回路との間に直列に接続されたダイオード(例えば、実施の形態でのダイオードD)と、該ダイオードに並列に接続されて前記蓄電器と前記昇圧回路との間の通電のオンおよびオフを切り換えるスイッチング素子(例えば、実施の形態でのトランジスタQin)とを備えて構成され、前記制御手段は、前記インバータ回路の何れかの相を短絡する期間であるショート期間の開始以前に前記スイッチング素子をオフ状態に設定し、前記ショート期間の終了以後に前記スイッチング素子をオン状態に設定することを特徴としている。
上記構成のインバータ装置によれば、インバータ回路の何れかの相を短絡することによって昇圧回路の各リアクタを充電する期間であるショート期間の開始以前においてスイッチング素子をオフ状態に設定すると共に、このオフ状態をショート期間中において維持し、ショート期間の終了以後、つまり昇圧回路の各リアクタの放電期間においてスイッチング素子をオン状態に設定することにより、直流電源および蓄電器から昇圧回路に向かう順方向の通電に加えて、昇圧回路から蓄電器に向かう逆方向の通電を許容するようになっている。このため、例えば負荷電流が相対的に小さい状態等において、直流電源と昇圧回路との間の逆流防止ダイオードおよび蓄電器と昇圧回路との間のダイオードを流れる電流がゼロとなり、昇圧回路の各リアクタの両端電圧の正負が逆転してしまうことを防止することができる。これにより、インバータ回路に入力される電圧が変動してインバータ回路から出力される電圧が不安定になったり、昇圧回路の各コンデンサが過剰に充電されてしまうことを防止することができる。
本発明のインバータ装置によれば、例えば負荷電流が相対的に小さい状態等において、昇圧回路の各リアクタの両端電圧の正負が逆転してしまうことを防止することができる。これにより、インバータ回路に入力される電圧が変動してインバータ回路から出力される電圧が不安定になったり、昇圧回路の各コンデンサが過剰に充電されてしまうことを防止することができる。
以下、本発明のインバータ装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態によるインバータ装置10は、3相電力機器、例えばハイブリッド車両や燃料電池車両や電動車両等の車両に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ等のモータ11を制御するインバータ回路10aと、昇圧回路10bとを備え、例えばモータ11と電気エネルギーの授受が可能なバッテリ12を直流電源として、制御部13から入力される制御指令(例えば、パルス幅変調信号からなるゲート信号)を受けて、モータ11の駆動および回生作動を制御する。
インバータ回路10aは、例えば図1に示すように、トランジスタのスイッチング素子(例えば、IGBT:Insulated Gate Bipolar mode Transistor)を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路21を備えて構成されている。
このブリッジ回路21は、2段に配置された各相トランジスタU1,U2、V1,V2、W1,W2により各相毎に3つの直列回路が構成されると共に、これら3つの直列回路が並列に接続されたインバータ回路である。
各相トランジスタU1,V1,W1のコレクタは正極側端子21pに接続され、各相トランジスタU2,V2,W2のエミッタは負極側端子21nに接続され、各相トランジスタU1,V1,W1のエミッタは各相トランジスタU2,V2,W2のコレクタに接続され、各相トランジスタU1,U2、V1,V2、W1,W2のコレクタ−エミッタ間にはエミッタからコレクタに向けて順方向となるようにして各ダイオードDU1,DU2、DV1,DV2、DW1,DW2が接続されている。
そして、このインバータ回路10aには、各相トランジスタU1,U2、V1,V2、W1,W2をパルス幅変調(PWM)によりオン/オフ駆動するパルス、つまり各相トランジスタU1,U2、V1,V2、W1,W2のコレクタ−エミッタ間の導通(オン)と遮断(オフ)を制御するゲート信号が、制御部13から各相トランジスタU1,U2、V1,V2、W1,W2のゲートに入力されている。
昇圧回路10bは、バッテリ12の正極端に接続した第1リアクタL1、および、バッテリ12の負極側に接続した第2リアクタL2、および、第1リアクタL1の入力端と第2リアクタL2の出力端との間に接続した第1コンデンサC1、および、第1リアクタL1の出力端と第2リアクタL2の入力端との間に接続した第2コンデンサC2を備えて構成された、いわゆるZ(インピーダンス)ソース回路である。
バッテリ12と昇圧回路10bとの間には、バッテリ12から第1リアクタL1に向かい順方向となるようにして直列に接続されたダイオードDが設けられ、このダイオードDに並列に接続されてバッテリ12と昇圧回路10bとの間の通電のオンおよびオフを制御部13から入力されるゲート信号に応じて切り換えるスイッチング素子をなすトランジスタQinが設けられている。そして、このトランジスタQinのコレクタは昇圧回路10bの第1リアクタL1に接続され、エミッタはバッテリ12の正極端に接続されている。
制御部13は、例えば回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、運転者のアクセル操作に係るアクセル開度および運転者のブレーキ操作に係るブレーキスイッチのオン/オフ等の各検出信号(例えば、図1に示すアクセル,ブレーキ等)等に応じて外部のトルク指令出力部14から入力されるモータ11に対するトルク指令から、目標d軸電流及び目標q軸電流を演算し、目標d軸電流及び目標q軸電流に基づいて3相の各相出力電圧を算出し、各相出力電圧に応じてインバータ回路10aへゲート信号であるPWM信号を入力すると共に、実際にインバータ10aからモータ11に供給される各相電流I1u,I1v,I1wの検出値をdq座標上に変換して得たd軸電流及びq軸電流と、目標d軸電流及び目標q軸電流との各偏差がゼロとなるように制御を行う。
例えばモータ11の駆動時に、制御部13は、正弦波状の各相出力電圧と三角波等のキャリア信号とに基づくパルス幅変調により、インバータ回路10aの各スイッチング素子をオン/オフ駆動させる各パルスからなるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、パルス幅変調信号)を生成する。そして、インバータ回路10aにおいて3相の各相毎に対をなす各相トランジスタU1,U2およびV1,V2およびW1,W2のオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り替えることによって、昇圧回路10bを介してバッテリ12から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のモータ11の固定子巻線への通電を順次転流させることで、各相の固定子巻線に交流のU相電流I1uおよびV相電流I1vおよびW相電流I1wを通電する。
なお、各相トランジスタU1,U2およびV1,V2およびW1,W2を、パルス幅変調(PWM)によりオン/オフ駆動させるためのパルスのデューティ、つまりオン/オフの比率のマップ(データ)は予め制御部13に記憶されている。
このため、制御部13には、モータ11に供給される各相電流I1u,I1v,I1wの少なくとも何れか2つ(例えば、V相電流Iv,W相電流Iw等)を検出する電流センサ31から出力される検出信号と、例えば座標変換の処理等において用いられるモータ11のロータの回転角θ(つまり、所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)を検出する回転センサ32から出力される検出信号と、バッテリ12の端子電圧(電源電圧)Vsを検出する電源電圧センサ33から出力される検出信号と、昇圧回路10bから出力され、インバータ回路10aに印加される出力電圧Voutを検出する出力電圧センサ34から出力される検出信号とが入力されている。
また、制御部13は、インバータ回路10aの何れかの相を短絡する期間であるショート期間の開始以前にトランジスタQinをオフ状態に設定し、このショート期間の終了以後にトランジスタQinをオン状態に設定することを指示するゲート信号をトランジスタQinのゲートに入力している。
本実施形態によるインバータ装置10は上記構成を備えており、次に、このインバータ装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
なお、以下において、インバータ回路10aの1段目の各相トランジスタU1,V1,W1のうちの何れかをトランジスタQ1とし、このトランジスタQ1と同じ相であって、2段目の各相トランジスタU2,V2,W2のうちの何れかをトランジスタQ2とし、負荷(つまり、モータ11)に対する通電時には、1段目の各相トランジスタU1,V1,W1のうち、各トランジスタQ2とは異なる相のトランジスタと、2段目のトランジスタQ2とがオン状態に設定される。
先ず、例えば図2に示すステップS01においては、各トランジスタQ1,Q2,Qinのゲートに入力されているゲート信号(駆動信号)を取得する。
次に、ステップS02においては、各トランジスタQ1,Q2がオン状態に設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS05に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
そして、ステップS03においては、トランジスタQinがオン状態に設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり図3に示すように、インバータ回路10aの何れかの相を短絡するショート期間である場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
そして、ステップS04においては、トランジスタQinをオフ状態に設定することを指示するゲート信号を出力し、ショート期間を開始して、一連の処理を終了する。
また、ステップS05においては、トランジスタQinがオン状態に設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり図3に示すように、ゼロベクトル期間または負荷導通期間の何れかである場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、トランジスタQinをオン状態に設定することを指示するゲート信号を出力し、一連の処理を終了する。
例えば図4(a)に示すように、インバータ回路10aの何れかの相が短絡されるショート期間においては、各トランジスタQ1,Q2がオン状態とされ、トランジスタQinがオフ状態とされる。これにより、昇圧回路10bの各コンデンサC1,C2は放電状態とされ、各リアクタL1,L2は充電状態とされ、インバータ回路10aと昇圧回路10bとの間で電流が還流するように設定される。このため、例えば相対的に負荷が大きい状態での図5(a)および相対的に負荷が小さい状態での図5(b)に示すように、各コンデンサC1,C2の両端電圧Vcは低下傾向に変化し、各リアクタL1,L2を流れる電流ILは増大傾向に変化し、インバータ回路10aに印加される出力電圧Voutがゼロとなる。
そして、例えば図4(b)に示すように、ショート期間からモータ11への通電が禁止されるゼロベクトル期間へと移行する際には、各トランジスタQ1,Qinがオン状態とされ、トランジスタQ2がオフ状態とされる。これにより、インバータ回路10aと昇圧回路10bとの間での電流の還流が遮断され、各リアクタL1,L2の両端には、ショート期間とは逆方向であって、かつ、バッテリ12の電源電圧Vsと同方向の両端電圧VLが誘起されると共に、各リアクタL1,L2は放電状態とされ、昇圧回路10bの各コンデンサC1,C2は充電状態とされ、ダイオードDを介してバッテリ12から昇圧回路10bに電流が流れるように設定される。このため、例えば図5(a),(b)に示すように、ゼロベクトル期間において、各コンデンサC1,C2の両端電圧Vcは増大傾向に変化し、各リアクタL1,L2を流れる電流ILは低下傾向に変化し、インバータ回路10aに印加される出力電圧Voutは増大傾向に昇圧される。
そして、例えば図4(c),(d)に示すように、ゼロベクトル期間から負荷(つまり、モータ11)に対する通電時(負荷導通期間)への移行時には、トランジスタQ1がオフ状態とされ、各トランジスタQ2,Qinがオン状態とされることで、各リアクタL1,L2の放電状態と、各コンデンサC1,C2の充電状態とは継続される。そして、昇圧回路10bによりバッテリ12の電源電圧Vsに各リアクタL1,L2の両端電圧VLが加算されることによって昇圧された出力電圧Vout(=Vs+VL)がインバータ回路10aに印加され、このインバータ回路10aからモータ11へと電流が供給される。
この負荷導通期間において、例えば図5(a)に示すように、相対的に負荷が大きい場合、つまりモータ11に供給される電流が相対的に大きい場合には、例えば図4(a)に示す負荷導通期間1のように、ダイオードDを介してバッテリ12から昇圧回路10bに電流が流れることになる。
一方、例えば図5(b)に示すように、相対的に負荷が小さい場合、つまりモータ11に供給される電流が相対的に小さい場合には、例えば図4(b)に示す負荷導通期間2のように、オン状態のトランジスタQinを介して昇圧回路10bからバッテリ12に電流が流れることになる。
これにより、負荷導通期間1および負荷導通期間2において、各リアクタL1,L2の両端にはバッテリ12の電源電圧Vsと同方向の両端電圧VLが誘起されることになり、例えばゼロベクトル期間および負荷導通期間においてトランジスタQinをオフ状態に維持した場合に、ダイオードDを流れる電流がゼロになることに伴い各リアクタL1,L2の両端にバッテリ12の電源電圧Vsと逆方向の両端電圧VLが誘起され、インバータ回路10aに印加される出力電圧Voutが(Vs+VL)から(Vc−VL)へと急激に低下してしまう場合に比べて、インバータ回路10aの出力を安定化させることができる。
そして、例えば図4(e)に示すように、負荷導通期間からショート期間へと移行する際には、トランジスタQinをオン状態からオフ状態へと切り換えると共に、トランジスタQ2をオン状態に維持した状態で、トランジスタQ1をオフ状態からオン状態へと切り換える。これにより、インバータ回路10aからモータ11へと電流が供給されている状態で各リアクタL1,L2の両端にバッテリ12の電源電圧Vsと逆方向の両端電圧VLが誘起される実質的なショート期間である負荷導通期間3を経て、例えば図4(a)に示す上述したショート期間に到ることになる。
なお、各リアクタL1,L2を流れる電流ILが低下傾向に変化する負荷導通期間において、例えば図5(a)に示すように相対的に負荷が大きい場合には、電流ILは正の値に維持されることに対し、例えば図5(b)に示すように相対的に負荷が小さい場合には、電流ILは正の値から負の値へ滑らかに連続するようにして変化することになる。そして、各リアクタL1,L2を流れる電流ILが増大傾向に変化するショート期間において、例えば図5(a)に示すように相対的に負荷が大きい場合には、電流ILは正の値に維持されることに対し、例えば図5(b)に示すように相対的に負荷が小さい場合には、電流ILは負の値から正の値へ滑らかに連続するようにして変化することになる。
上述したように、本実施形態によるインバータ装置10によれば、インバータ回路10aの何れかの相を短絡することによって昇圧回路10bの各リアクタL1,L2を充電する期間であるショート期間の開始以前においてトランジスタQinをオフ状態に設定すると共に、このオフ状態をショート期間中において維持し、ショート期間の終了以後、つまり昇圧回路10bの各リアクタL1,L2の放電期間においてトランジスタQinをオン状態に設定することにより、バッテリ12から昇圧回路10bに向かう順方向の通電に加えて、昇圧回路10bからバッテリ12に向かう逆方向の通電を許容するようになっている。このため、例えば負荷電流が相対的に小さい状態等において、バッテリ12と昇圧回路10bとの間のダイオードDを流れる電流がゼロとなって昇圧回路10bの各リアクタL1,L2の両端電圧の正負が逆転してしまうことを防止することができる。これにより、インバータ回路10aに入力される電圧が変動してインバータ回路10aから出力される電圧が不安定になったり、昇圧回路10bの各コンデンサC1,C2が過剰に充電されてしまうことを防止することができる。
なお、上述した実施の形態において、インバータ装置10は、充電可能なバッテリ12を直流電源として備えるとしたが、これに限定されず、例えば燃料電池41等の非充電式の直流電源を備えてもよい。
この第1変形例に係るインバータ装置10は、例えば図6に示すように、上述した実施の形態でのバッテリ12の代わりに燃料電池41を備え、さらに、燃料電池41からダイオードDに向かい順方向となるようにして、燃料電池41の正極端とダイオードDとの間に直列に接続された逆流防止ダイオードDIと、互いに直列に接続された燃料電池41および逆流防止ダイオードDIに対して並列に接続された充電可能な蓄電器(例えば、バッテリやキャパシタ等)42とを備えて構成されている。
この第1変形例に係るインバータ装置10では、上述した負荷導通期間2において、オン状態のトランジスタQinを介して昇圧回路10bから蓄電器42に電流が流れることになる。
さらに、上述した第1変形例においては、充電可能な蓄電器42を、互いに直列に接続された燃料電池41および逆流防止ダイオードDIに対して並列に接続するとしたが、これに限定されず、例えば図7に示す第2変形例に係るインバータ装置10のように、互いに直列に接続された燃料電池41および逆流防止ダイオードDIに対して、互いに直列に接続された蓄電器42およびダイオードDからなる並列部42aを、並列に接続してもよい。
この第2変形例に係るインバータ装置10では、上述した負荷導通期間2において、オン状態のトランジスタQinを介して昇圧回路10bから蓄電器42に電流が流れることになる。
本発明の実施形態に係るインバータ装置の構成図である。 本発明の実施形態に係るインバータ装置の動作を示すフローチャートである。 各トランジスタQ1,Q2,Qinのオン/オフ状態を示す図である。 図4(a)〜(e)はインバータ装置における電流の流れを示す図である。 図5(a)は相対的に負荷が大きい場合の電流ILと、両端電圧Vcと、出力電圧Voutとの時間変化の一例を示すグラフ図であり、図5(b)は相対的に負荷が小さい場合の電流ILと、両端電圧Vcと、出力電圧Voutとの時間変化の一例を示すグラフ図である。 本発明の実施形態の第1変形例に係るインバータ装置の構成図である。 本発明の実施形態の第2変形例に係るインバータ装置の構成図である。
符号の説明
10 インバータ装置
10a インバータ回路
10b 昇圧回路
11 モータ(負荷)
12 バッテリ(直流電源)
13 制御部
41 燃料電池(直流電源)
42 蓄電器

Claims (3)

  1. 直流電源の正極端に接続した第1リアクタ、および、前記直流電源の負極端に接続した第2リアクタ、および、前記第1リアクタの入力端と前記第2リアクタの出力端との間に接続した第1コンデンサ、および、前記第1リアクタの出力端と前記第2リアクタの入力端との間に接続した第2コンデンサを備えて構成される昇圧回路と、
    該昇圧回路の出力側に接続した複数相のインバータ回路とを備えるインバータ装置であって、
    前記直流電源から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記昇圧回路との間に直列に接続されたダイオードと、
    該ダイオードに並列に接続されて前記直流電源と前記昇圧回路との間の通電のオンおよびオフを切り換えるスイッチング素子と、
    前記インバータ回路の何れかの相を短絡する期間であるショート期間の開始以前に前記スイッチング素子をオフ状態に設定し、前記ショート期間の終了以後に前記スイッチング素子をオン状態に設定する制御手段と
    を備えることを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記直流電源は非充電式であって、
    前記直流電源から前記ダイオードに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記ダイオードとの間に直列に接続された逆流防止ダイオードと、
    互いに直列に接続された前記直流電源および前記逆流防止ダイオードに並列に接続された充電可能な蓄電器と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 非充電式の直流電源の正極端に接続した第1リアクタ、および、前記直流電源の負極側に接続した第2リアクタ、および、前記第1リアクタの入力端と前記第2リアクタの出力端との間に接続した第1コンデンサ、および、前記第1リアクタの出力端と前記第2リアクタの入力端との間に接続した第2コンデンサを備えて構成される昇圧回路と、
    該昇圧回路の出力側に接続した複数相のインバータ回路とを備えるインバータ装置であって、
    前記直流電源から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記直流電源と前記昇圧回路との間に直列に接続された逆流防止ダイオードと、
    互いに直列に接続された前記直流電源および前記逆流防止ダイオードに並列に接続された並列部と、
    該並列部での通電のオンおよびオフを切り換える制御手段とを備え、
    前記並列部は、充電可能な蓄電器と、該蓄電器から前記第1リアクタに向かい順方向となるようにして、前記蓄電器と前記昇圧回路との間に直列に接続されたダイオードと、該ダイオードに並列に接続されて前記蓄電器と前記昇圧回路との間の通電のオンおよびオフを切り換えるスイッチング素子とを備えて構成され、
    前記制御手段は、前記インバータ回路の何れかの相を短絡する期間であるショート期間の開始以前に前記スイッチング素子をオフ状態に設定し、前記ショート期間の終了以後に前記スイッチング素子をオン状態に設定することを特徴とするインバータ装置。

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