JP5223443B2 - ArFエキシマランプ - Google Patents

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Description

本発明は、アルゴン(Ar)とフッ素(F)で形成されたエキシマ分子から放射するエキシマ光を発生するArFエキシマランプに関する。更に詳しくは、ArFエキシマランプから放射されるエキシマ光のスペクトル幅を狭くし、放射される光の純度を改善する技術に関する。
近年、半導体集積回路において、高集積回路部分を作製する露光用光源として、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザが広く利用されている。特に、最近では、このArFエキシマレーザの放射スペクトルを狭帯域化することによって、更に集積度を上げた半導体集積回路の製造が行なわれている。該狭帯域化の具体例としては、中心発振波長が193.3nmに対して、スペクトル幅の半値全幅が0.35pm以下のArFエキシマレーザが開発されている。このような技術としては、例えば、特開2001−267666号公報などが知られている。しかし、ArFエキシマレーザを用いて半導体ウエハの露光を行なう場合、該ArFエキシマレーザのビーム径は小さく、照射面積が非常に狭くなり、1枚の半導体ウエハを露光する露光時間が長くなるといった問題があった。また、該ArFエキシマレーザの発振装置自身は、非常に大型の設備であり、価格が高価であるといった問題があった。
一方、最近では、ArFエキシマレーザと同様にArFエキシマ分子からのエキシマ光を放射するエキシマランプの開発が進められている。このような従来の技術としては、例えば、特開平06−209131号公報等が知られている。該公報によれば、放電容器の内部に種々の放電ガスを封入することにより、所望の波長の光が得られることが記載されており、Arとフッ素を封入することにより、発光波長180nm〜200nmの光が放射されることが記載されている。該エキシマランプでは、広い面積に対して一括照射が可能であり、照射装置自身も小型の設備にできるといった利点がある。
図5に、従来のエキシマランプの概略を示す。図5は、エキシマランプ100の概略断面図であって、同軸に配置された外管101aと内管101bとで形成された放電容器101と、該外管101aの外表面に形成された網状部材等から成る光透過性電極102と、該内管101bの内表面に接触する螺旋状電極103と、から構成されている。また、該放電容器101の内部には、放電用ガス104として、例えばArとFとが封入されている。また、該内管101bの内側には、冷却媒体導入口105a、冷却媒体導出口105bが設けられ、図中に示した矢印のように該内管101b内に冷却媒体を流すことにより該内管101b側から放電用ガス104を冷却している。更に、該光透過性電極102と、該螺旋状電極103との間に高周波高電圧を印加する高周波高電圧電源106が接続されている。該放電用ガス104としてArとFを封入した場合、該高周波高電圧源106から供給された高周波高電圧によって該放電容器102内にArの放電プラズマが形成される。この放電プラズマ中でFが分解され、活性なF原子と活性なAr原子とが結びつき、活性なArFエキシマ分子を生成する。その後、該ArFエキシマ分子が崩壊することにより、波長193nmに中心発光波長を持つArFエキシマ光が発生し、該放電容器101の側面にある網状部材等から成る該光透過性電極102の開口部分からArFエキシマ光が放射される。
しかし、上述のArFエキシマ光を放射する従来のエキシマランプでは、該エキシマランプから放射される光のスペクトル幅が半値全幅で約2.5nm〜3.0nmであり、ArFエキシマレーザの場合に比べて、非常に広くなっている。このように、広い波長域の光を照射すると、本来必要とされる波長193nmの光以外の不要な光も同時に照射されることとなり、被照射物にダメージを与えるといった問題があった。
また、一般的に、広い波長域の光を狭帯域化する方法としては、誘電体多層膜からなる波長選択フィルタを用いる技術が知られている。しかし、該誘電体多層膜から成るフィルタには、光の入射角による角度依存性があり、該エキシマランプのように広い面積を一括照射するランプでは、照射領域全体に亘って均一なフィルタとして作用できないため、安定した狭帯域化ができないといった問題があった。
特開2001−267666号公報 特開平06−209131号公報
この発明が解決しようとする課題は、ArFエキシマランプから放射されるArFエキシマ光のスペクトルの半値全幅を狭くし、純度の高い光を効率良く放射するArFエキシマランプを提供することにある。
この発明のArFエキシマランプは、筒状の放電容器と、該放電容器の外表面に形成された第1の電極と、該第1の電極と対を成す第2の電極と、該放電容器の内部に封入されたアルゴン(Ar)とフッ素(F)から成るエキシマ分子を形成する放電用ガスと、該放電容器の一部に設けられた光取り出し窓と、から成るArFエキシマランプにおいて、該放電容器の内部には、電極間に電圧を印加することによって、放電プラズマが形成される放電空間と、放電プラズマの存在しない非放電空間が構成され、また、該放電用ガスに加えてSOガスが含まれており前記光取り出し窓は、該放電容器の前記第1の電極が配置された領域外に形成され、該放電容器の該非放電空間を介して前記光取り出し窓から外部へ光が放射されること、を特徴とする。
更には、前記筒状の放電容器は、その端部を封止する金属キャップを備え、前記放電容器の外表面には一対の電極が配置されており、前記光取り出し窓は、該電極の配置されていない領域に設けられていることを特徴とする。
また、前記放電容器は、金属酸化物、または、金属フッ化物から構成されており、前記放電容器の内部には、酸素と、硫黄と、アルゴンと、フッ素、または、フッ化物から成るガスと、が封入されていることを特徴とする。
また、前記フッ化物から成るガスは、フッ素と硫黄化合物との混合ガスであることを特徴とする。
更には、前記フッ化物から成るガスは、六フッ化硫黄(SF)であることを特徴とする。
また、前記放電容器の内部に封入された硫黄は、硫黄原子の個数に換算して、該放電容器内に封入した全封入ガスの分子数に対して、0.005%以上、1%以下の範囲で封入したことを特徴とする。
本発明のArFエキシマランプは、放電容器内部にSOガスを含有し、該第1の電極が配置された領域外に光取り出し窓を設けており、該放電容器の内部には、電極間に電圧を印加することによって、放電プラズマが形成される放電空間と、放電プラズマの存在しない非放電空間が構成されているため、ArFエキシマ分子から放射されるArFエキシマ光(中心発光波長193nm)を該放電容器内部に存在するSOガスが放電容器内の該第1の電極が配置された領域外(放電プラズマが無い非放電空間)でフィルタとして作用することにより、該エキシマ光を吸収し、該光取り出し窓から外部へ放射されるArFエキシマ光のスペクトル幅を狭帯域化することができる。
また、前記筒状の放電容器は、その端部を封止する金属キャップを備え、前記放電容器の外表面には一対の電極が配置されており、前記光取り出し窓は、該電極の配置されていない領域に設けられていることにより、ArFエキシマ分子から放射されるArFエキシマ光(中心発光波長193nm)を前記光取り出し窓から外部へ放射することができる。
また、該放電容器が、金属酸化物、または、金属フッ化物から構成されているので、該放電容器内に存在するフッ素が該放電容器の管壁に吸収されることが無く、ArFエキシマ光を安定して長時間放射することができる。
更には、放電容器の内部にアルゴンとフッ素、または、フッ化物から成るガスと、が封入されているので、ArFエキシマ分子が安定して形成されると共に、酸素と硫黄とが封入されていることで、放電プラズマによって該酸素と該硫黄とが分解され、SO2を生成し、該SO2ガスが非放電空間でフィルタとして作用することにより、放電容器の光取出し窓から放射されるArFエキシマ光のスペクトル幅を狭帯域化できる。

また、前記フッ化物から成るガスは、SFであるので、該放電容器内に純粋のフッ素ガスを直接導入する場合に比べて、取り扱いが容易であり、安全である。更には、フッ素ガスと硫黄化合物を別々に供給する必要がない。また、放電容器やシール部の材料とフッ素が反応して発光効率が低下することを抑制できる。
更に、前記放電容器の内部に封入された硫黄は、該放電容器内に封入した全封入ガスの分子数に対して硫黄原子の個数に換算して、0.005%から1%の範囲で封入されているので、ArFエキシマ光のスペクトル幅を効率良く狭帯域化することができる。
本発明のArFエキシマランプは、放電容器内にSOガスを含有することで、ArFエキシマランプから放射されるArFエキシマ光のスペクトル幅を狭帯域化させるものである。具体的には、ArFエキシマ分子の崩壊によって放射されるArFエキシマ光(中心発光波長193nm)に対して、波長193nm付近には高い透過率を持ち、該波長193nmより短波長側、及び、長波長側のどちらの領域においても1nm以上の範囲に亘って高い吸収を持つSOをフィルタとして作用させることで、波長193nm付近の光のみを狭帯域化して放射することができる、といったものである。また、放電容器内の該第1の電極が配置された領域外(放電プラズマが無い空間)に光取り出し窓を有することにより、該光取り出し窓近傍に該SOガスが安定して存在でき、該ArFエキシマ光が、放電プラズマが無い空間を通過することで、該SOガスが光吸収層として作用し、該ArFエキシマランプから放射される光の狭帯域化を実現できる、といった利点を有するものである。
本発明におけるArFエキシマランプの第1の実施例として、図1に該ArFエキシマランプの概略図を示す。図1−a)は、本発明のArFエキシマランプ10の管軸方向に沿って切断した概略断面図である。該ArFエキシマランプ10は、筒状のサファイア管(Al)から成る放電容器1と、該放電容器1の外表面に配置された一対の電極2a、2bと、該放電容器1内であって、該電極2a、2bの配置されていない領域(放電プラズマ5の存在していない空間:以下、非放電空間と称する)に設けられた光取り出し窓8と、該放電容器1の端部を封止する金属キャップ3とから構成されている。また、一方の該金属キャップ3の端には、該放電容器1にガスを導入、または、導出するための排気用細管部4が形成されている。また、該金属キャップ3は、該放電容器1であるサファイア管の端部に設けたメタライズ層6とロウ材7を介して溶着されている。該ロウ材7としては、例えば、銀銅合金(Ag−Cu合金)を使用している。更には、該金属キャップ3は、例えば、ニッケル(Ni)で構成されており、該放電容器1に封入されたフッ素(F)を含むガスによる影響が無く、Fを吸着する率も非常に低い、といった特徴を有している。
図1−b)は、該放電容器1をランプ管軸方向に直交する面で切断した断面であって、図1−a)のA−A断面図である。本実施例では、断面円形のサファイア(Al)から成る該放電容器1と、該放電容器1の外表面に配置された一対の電極2a、2b、と、該放電容器1内の放電プラズマ5が形成される放電空間5aと、非放電空間9と、から構成されている。また、該放電容器1内には、放電用ガスとしてアルゴン(Ar)と六フッ化硫黄(SF)と少量の酸素(O)とが封入されている。
本実施例で示すArFエキシマランプでは、該放電容器1がサファイアで構成され、該金属キャップ3がNiで構成されているので、放電ガスとして封入されたフッ素を含むガスの影響を、該放電容器1や該金属キャップ3が受け、劣化することがない。更には、該放電容器1や該金属キャップ3等にフッ素が吸着され、該放電容器1内のフッ素濃度が低下することが無いので、長時間に渡って安定した光出力を得ることができる。
更に、該放電容器1の外面に配置されたアルミニウムから成る一対の電極2a、2b間にパルス電圧を印加すると、Arガスによる放電プラズマが誘起され、フッ素を含むガス分子が分解され、活性なArFエキシマ分子を形成する。その後、該ArFエキシマ分子の崩壊に伴い、ArFエキシマ光として、波長193nmに中心発光波長を持つ光が放射される。ここにおいて、本実施例では、該放電用ガスに加えてSOガスを含有させ、且つ、該光取り出し窓8が、該放電容器1の非放電空間9に設けられているので、ArFエキシマ分子から放射されるArFエキシマ光は、該非放電空間9に存在するSOガスがフィルタとして作用することにより、該光取り出し窓8から放射される際に、そのスペクトル幅が狭帯域化される、といった効果を持つ。尚、本実施例では、該放電用ガスとして、その組成がAr99.99%、SF0.01%、封入圧力がArとSFとを合わせて約13.3KPaとし、Oは放電容器1の表面から脱離した酸素を利用した。尚、ランプ消灯後は、該放電容器1の表面から脱離した酸素に変わってF等が置換されており、脱離した酸素は、SOガスの生成に利用され、放電空間にSOとして存在する等と成っている。
次に、図2として、本発明のArFエキシマランプから放射されるエキシマ光の放射スペクトルを示す。図2における横軸は放射される光の波長(nm)、縦軸は各波長において放射された光の相対強度を示している。また、実線で示した放射スペクトルは、本発明のArFエキシマランプから放射されるArFエキシマ光であって、放電空間内にArとSFを封入し、放電によりArFエキシマ分子とSOを形成させ、非放電空間を介して光取り出し窓から放射された光である。また、比較例1として破線で示した放射スペクトルは、本発明のArFエキシマランプと同等の封入ガス、すなわち、ArとSFを封入し、放電によりArFエキシマ分子とSOを形成させたものであるが、非放電空間を介さず、網状電極を配置した放電容器側面から取り出した光である。該比較例1の放射スペクトルは、放電空間で生成され、非放電空間を通過することなく該放電容器を構成するガラスを介して放射されるArFエキシマ光を直接的に測定したものである。更には、比較例2として一点鎖線で示した放射スペクトルは、バッファガスとしてのNeを含むArガスに直接Fガスを導入したArFエキシマランプから放射される光である。
最初に、比較例1(破線)、及び、比較例2(一点鎖線)で示した放射スペクトルは、共にその放射スペクトルの幅が半値全幅で約2.5nmと、広いものであった。これは、ArにSFを封入した場合(比較例1)でも、Arガスに直接Fガスを導入した場合(比較例2)でも、ArFエキシマランプから放射されるArFエキシマ光のスペクトル幅は、ほぼ同等であり、広い幅の放射スペクトルを持っていることを示している。
一方、本発明のArFエキシマランプの放射スペクトル(実線)は、比較例1、及び、比較例2に示した放射スペクトルに比べて、スペクトル幅が狭くなっている。該スペクトル幅を半値全幅で比較すると、比較用のスペクトルでは約2.5nmであるのに対して、本発明のArFエキシマランプでは約0.5nmと1/3以下のスペクトル幅になっている。これは、該ArFエキシマランプの光取り出し窓部分、すなわち、非放電空間部分に存在するSO2ガスによるものと考えられる。該SO2ガスは、波長193nm付近には高い透過率を持ち、該波長193nmより短波長側、及び、長波長側のどちらの領域においても1nm以上の範囲に亘って高い吸収を持つ、といった特性を有する。この特性により、ArFエキシマランプにおいて、エキシマ光として放射されるスペクトルの裾野部分は吸収され、中心発光波長である波長193nmの光は、放射スペクトルが狭帯域化されてランプ外部へ放射されるものと考えられる。
尚、本発明における具体的な放電過程としては、次のように考えられる。該ArFエキシマランプの該放電空間の外表面に密着配置した電極間に高周波高電圧(例えば20kHz、p−p6kV)を印加することによって、内部に封入されたArガスの放電が発生する。該放電により、放電容器の内部に封入されたSFは、放電プラズマ中で活性なSとFとに分解される。その後、更にFはArと結合し活性な状態のArFエキシマ分子を形成し、該ArFエキシマ分子の崩壊に合わせて波長193nmを中心発光波長とするArFエキシマ光が放射される。また、Sは、微量の酸素と結びつき、SOを生成し、放電プラズマ外の空間に浮遊する。この放電プラズマ外の空間、すなわち、非放電空間に存在する該SOガスがフィルタとして作用することにより、該光取り出し窓から放射される中心発光波長193nmのArFエキシマ光が狭帯域化される。
次に、該ArFエキシマ光を狭帯域化するためのフィルタとして作用したSOを放電容器内部に存在させる方法を示す。該SOガスを直接、該放電容器に封入することが一般的である。しかし、該SOガスを直接、該放電容器に封入する以外にも、該放電容器中で該SOガスを生成することもできる。具体的には、放電容器内部に硫黄化合物と酸素化合物を封入し、放電プラズマにより該硫黄化合物と該酸素化合物をSとOに分解し、分解された硫黄原子(S)と酸素原子(O)が反応することでSOを生成することができる。ここで、Sの供給源である該硫黄化合物としては、例えば、S、SO、SO、SF等を用いることが出来る。また、Oの供給源である該酸素化合物としては、例えば、O、HO、CO等を用いることが出来る。これらの該硫黄化合物、該酸素化合物は気体状態で該放電容器の内部に容易に封入することが可能である。尚、Oの供給源としては、酸素化合物をガスとして封入する以外に、金属酸化物から成る放電容器から放電により離脱するOを利用できる場合もあり、必ずしも酸素化合物をガスとして封入しなくとも良い場合がある。
また、ArFエキシマランプとして該放電容器の材質をサファイア(Al)で構成し、該放電容器内部にAr、SF、Oを全封入圧で13.3KPa封入したランプにおいて、SFの濃度を変化させ、放射されるスペクトル幅へのSOの濃度の影響を調べた。その結果、該ArFエキシマランプから放射される放射スペクトルのスペクトル幅は、SOの濃度に大きく影響を受けていた。具体的には、S原子の個数に換算して、放電容器内に封入した全封入ガスの分子数に対するS原子の封入率で、1%以上封入した場合、放射スペクトルのスペクトル幅はあまり狭帯域化できなかった。同様に全封入ガスの分子数に対する該S原子の封入率が1%以下の場合、放射スペクトルのスペクトル幅の狭帯域化に極めて有効であることが確認できた。しかし、該S原子の封入率が極端に少なくなると、SOの生成量がごく微量となり、狭帯域化の効果を得られない。具体的には、S原子の封入率が0.005%以下の場合、スペクトル幅の狭帯域化は確認できなくなった。結果として、ArFエキシマランプから放射されるArFエキシマ光に対してフィルタとして作用するSOを生成するために封入される硫黄の濃度は、S原子の個数に換算して、放電容器内に封入した全封入ガスの分子数に対して0.005%以上、1%以下の範囲であることが望ましい。
次に、該ArFエキシマランプに使用する放電容器について述べる。図1に示した本発明の第1の実施例では、円筒状のサファイアを用いている。このように、サファイアを採用したのは、該放電容器内に封入されるガスの中でも、特に、Fに対する耐性が強い材料が求められるためである。また、ArFエキシマ分子の解離により放射される光は、波長193nmに中心発光波長を持つ光であり、該放電容器が光取出し窓を兼ねる場合には、該波長の光に対する透過率の高い材料であることが必要である。これらの条件を満たす材料としては、上記のサファイア等の金属酸化物や、MgF等の金属フッ化物が適した材料である。このように、該放電容器を金属酸化物、または、金属フッ化物から構成することで、該放電容器内に封入されたフッ素に対する耐性が確保でき、長寿命のArFエキシマランプを提供することができる。また、このような材料を用いることで、該放電容器中のフッ素が該放電容器を構成する材料と反応する等により、フッ素の濃度が点灯時間と共に低下するといった不具合を回避することが出来る。
図3には、本発明のArFエキシマランプの第2の実施例を示す。図3−a)は、本発明の第2の実施例であるArFエキシマランプ11の管軸方向に沿って切断した概略断面図である。該ArFエキシマランプ11は、筒状のサファイア管(Al)から成る放電容器12と、該放電容器12の外表面に配置された一方の電極13aと、放電容器12の内部に配置された筒状誘電体15と、該筒状誘電体15の内部に配置された螺旋状の線状電極14と、該電極13aの配置されていない部分に相当する該放電容器12の非放電空間16(放電プラズマ17の存在していない空間)に設けられた光取り出し窓18と、該放電容器12の端部を封止する金属キャップ19とから構成されている。また、一方の該金属キャップ19の端には、該放電容器12にガスを導入、または、導出するための排気用細管部20が形成されている。また、該金属キャップ19は、該放電容器12であるサファイア管の端部に設けたメタライズ層21とロウ材22を介して溶着されている。該ロウ材22としては、例えば、銀銅合金(Ag−Cu合金)を使用している。更には、該金属キャップ19は、例えば、ニッケル(Ni)で構成されており、該放電容器12に封入されたフッ素(F)を含むガスによる影響が無く、Fを吸着する率も非常に低い、といった特徴を有している。
図3−b)は、該放電容器12をランプ管軸方向に直交する面で切断した断面であって、図3−a)のA−A断面図である。本実施例では、断面円形のサファイア(Al)から成る該放電容器12と、該放電容器12の外表面に配置された一方の電極13aと、該放電容器12の内部に配置された筒状誘電体15と、該筒状誘電体15の内部に配置された螺旋状の線状電極14と、該放電容器12内の放電プラズマ17が形成される放電空間17と、該電極13aが形成されていない領域である該非放電空間16と、から構成されている。また、該放電容器12内には、放電用ガスとしてアルゴン(Ar)と六フッ化硫黄(SF)と少量の酸素(O)とが封入されている。
図4には、本発明のArFエキシマランプの第3の実施例を示す。図4−a)は、本発明の第3の実施例であるArFエキシマランプ41の管軸方向に沿って切断した概略断面図である。該ArFエキシマランプ41は、筒状のサファイア管(Al)から成る放電容器42と、該放電容器42の外表面に配置された一方の電極43aと、放電容器42の内部に配置され一方の端が放電容器42内で開放された筒状誘電体45と、該筒状誘電体45の内部に配置された螺旋状の線状電極44と、該電極43aの配置されていない領域である該放電容器42の非放電空間54(放電プラズマ47の存在していない空間)を介し該筒状誘電体45の開放された一端側に設けられた光取り出し窓48と、該放電容器42の端部を封止する金属キャップ49とから構成されている。一方の該金属キャップ49の中心には略円形の穴が設けられ、該穴にサファイアから成る円盤状の光取り出し窓48が、該光取り出し窓の円周上に設けられたメタライズ層61とロウ材62とで溶接されている。また、他方の該金属キャップ49の端には、該放電容器42にガスを導入、または、導出するための排気用細管部55が形成されている。また、該金属キャップ49は、該放電容器42であるサファイア管の端部に設けたメタライズ層61とロウ材62を介して溶着されている。該ロウ材62としては、例えば、銀銅合金(Ag−Cu合金)を使用している。更には、該金属キャップ49は、例えば、ニッケル(Ni)で構成されており、該放電容器42に封入されたフッ素(F)を含むガスによる影響が無く、Fを吸着する率も非常に低い、といった特徴を有している。
図4−b)は、該放電容器42をランプ管軸方向に直交する面で切断した断面であって、図4−a)のA−A断面図である。本実施例では、断面円形のサファイア(Al)から成る該放電容器42と、該放電容器42の外表面に配置された一方の電極43aと、該放電容器42の内部に配置された筒状誘電体45と、該筒状誘電体の内部に配置された螺旋状の線状電極44と、該放電容器42内の放電プラズマ47が形成される放電空間53と、から構成されている。また、該放電容器42内には、放電用ガスとしてアルゴン(Ar)と六フッ化硫黄(SF)と少量の酸素(O)とが封入されている。
この発明のエキシマランプにおける第1の実施例を示す概略断面図。 この発明のエキシマランプから放射される放射スペクトルを示すグラフ。 この発明のエキシマランプにおける第2の実施例を示す概略断面図。 この発明のエキシマランプにおける第3の実施例を示す概略断面図。 従来のエキシマランプを示す概略断面図。
符号の説明
1 放電容器
2a 電極
2b 電極
3 金属キャップ
4 細管部
5 放電プラズマ
5a 放電空間
6 メタライズ層
7 ロウ材
8 光取り出し窓
9 非放電空間
10 ArFエキシマランプ
11 ArFエキシマランプ
12 放電容器
13a 電極
14 電極
15 筒状誘電体
16 非放電空間
17 放電プラズマ
18 光取り出し窓
19 金属キャップ
21 メタライズ層
22 ロウ材
23 放電空間
24 非放電空間
41 ArFエキシマランプ
42 放電容器
43a 電極
44 電極
45 筒状誘電体
47 放電プラズマ
48 光取り出し窓
49 金属キャップ
53 放電空間
54 非放電空間
55 排気用細管部
61 メタライズ層
62 ロウ材
100 エキシマランプ
101 放電容器
101a 外管
101b 内管
102 光透過性電極
103 螺旋状電極
104 放電用ガス
105a 冷却媒体導入口
105b 冷却媒体導出口
106 高周波高電圧源

Claims (6)

  1. 筒状の放電容器と、該放電容器の外表面に形成された第1の電極と、該第1の電極と対を成す第2の電極と、該放電容器の内部に封入されたアルゴン(Ar)とフッ素(F)から成るエキシマ分子を形成する放電用ガスと、該放電容器の一部に設けられた光取り出し窓と、から成るArFエキシマランプにおいて、
    該放電容器の内部には、電極間に電圧を印加することによって、放電プラズマが形成される放電空間と、放電プラズマの存在しない非放電空間が構成され、また、該放電用ガスに加えてSOガスが含まれており
    前記光取り出し窓は、該放電容器の前記第1の電極が配置された領域外に形成され、該放電容器の該非放電空間を介して前記光取り出し窓から外部へ光が放射されること、を特徴とするArFエキシマランプ。
  2. 前記筒状の放電容器は、その端部を封止する金属キャップを備え、前記放電容器の外表面には一対の電極が配置されており、前記光取り出し窓は、該電極の配置されていない領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のArFエキシマランプ。
  3. 前記放電容器は、金属酸化物、または、金属フッ化物から構成されており、
    前記放電容器の内部には、酸素と、硫黄と、アルゴンと、フッ素、または、フッ化物か
    ら成るガスと、が封入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のArF
    エキシマランプ。
  4. 前記フッ化物から成るガスは、フッ素と硫黄化合物との混合ガスであることを特徴とする請求項3に記載のArFエキシマランプ。
  5. 前記フッ化物から成るガスは、六フッ化硫黄(SF)であることを特徴とする請求項3に記載のArFエキシマランプ。
  6. 前記放電容器の内部に封入された硫黄は、硫黄原子の個数に換算して、該放電容器内に封入した全封入ガスの分子数に対して、0.005%以上、1%以下の範囲で封入したことを特徴とする請求項3に記載のArFエキシマランプ。
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