JP4900075B2 - エキシマランプ - Google Patents
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例えば、アルゴン−フッ素の放電ガスでは193nmの光が放射され、クリプトン−フッ素の放電ガスでは248nmの光が放射され、キセノン−フッ素の放電ガスでは351nmの光が放射され、キセノン−塩素の放電ガスでは308nmの光が放射される。
放電容器を構成する石英ガラスは、エキシマ分子から放射される多量の紫外線の照射を受け、表面の(=Si−O−Si=)の結合の一部が切断され、=Si・(・は不対電子、=は酸素との結合を表す)などの欠陥が生成し、それとハロゲンガスが反応し、石英ガラス中にハロゲンが取り込まれ、放電空間のハロゲン量が減少し、ハロゲンと希ガスのエキシマ分子の生成量が減少し光出力が減少する。
エキシマランプDは、エキシマ光を取り出す窓部材10と放電容器の基体となる基体部材11が接触した状態で配置され、放電容器1を構成するものである。
窓部材10は、ハロゲンと反応せず光透過性を有するフッ化マグネシウムであり、基体部材11はハロゲンと反応しないニッケルである。
窓部材10と基体部材11は、放電空間Sとなる凹部が形成されており、それぞれの凹部を向かい合わせるようにして、窓部材10と基体部材11を接触させ、窓部材10と基体部材11が接触した状態になっている外側面を耐ハロゲン性の強い封止部材であるエポキシ樹脂2によって封止し、気密構造の放電空間Sを形成するものである。
図11に示すように、窓部材10と基体部材11の接触面10a、11aには凹凸があり、それぞれの面粗さをJIS・B0601:2001に定めるところの算術平均粗さ(Ra)で表すと、機械切削で製造されたフッ化マグネシウムより窓部材10では、Ra=10μmであり、機械切削で製造されたニッケルよるなる基体部材11ではRa=10μmである。ここで、窓部材10および基体部材11の接触面10a、11aは、お互いを密着させるために、うねりが小さい形状となっている。具体的にはJIS・B0601:2001に定めるところの、算術平均うねり(Wa)がカットオフ波長λc=0.08mmにおいて10μm以下である。
そして、この僅かの隙間は放電空間Sにつながっているものであり、放電空間S内の発光ガスがこの隙間に入り込むものである。
さらに、前記ガス流通遅延手段は、前記窓部材と前記基体部材のそれぞれの接触面が光学研磨されており、この光学研磨された接触面が互いに接触している構造であることを特徴とする。
或いは、前記ガス流通遅延手段は、前記窓部材の接触面或いは前記基体部材の接触面から内部に向かう凹部が形成され、当該凹部に珪素を除く金属の酸化物またはフッ化物よりなる粉体が充填されており、前記粉体の粒径の外径をA(μm)前記窓部材と前記基体部材の接触面の算術平均粗さRaをB(μm)とすると、A<Bとなる構造であることを特徴とする。
図1は、本願発明のエキシマランプの断面説明図である。
エキシマランプAは、エキシマ光を取り出す窓部材10と放電容器の基体となる基体部材11が接触した状態で配置され、放電容器1を構成するものである。
窓部材10は、珪素を除く金属の酸化物またはフッ化物であり、ハロゲンと反応せず光透過性を有するフッ化マグネシウムであり、基体部材11はハロゲンと反応しないニッケルである。
なお、窓部材10は、フッ化マグネシウム以外にイットリアやサファイヤ(Al2O3)であってもよい。
窓部材10と基体部材11は、放電空間Sとなる凹部が形成されており、それぞれの凹部を向かい合わせるようにして、窓部材10と基体部材11を接触させ、窓部材10と基体部材11が接触した状態になっている外側面を耐ハロゲン性の強い封止部材であるエポキシ樹脂2によって封止し、気密構造の放電空間Sを形成するものである。
窓部材10の外面には光を透過するためのメッシュ状の一方の電極3が配置されており、基体部材11が他方の電極を兼ねており、一方の電極3と基体部材11に高周波高電圧を印加することにより、放電空間S内に誘電体エキシマ放電によりエキシマが生成され、193nmのエキシマ光が窓部材10より放出されるものである。
窓部材10と基体部材11の形状は、同一形状であって、その外形形状は、L1が45mm、L2が120mm、L3が20mmの直方体形状をしており、それぞれの部材の中央には、放電空間Sとなる凹部S0が形成されている。
この凹部S0の形状は、M1が25mm、M2が110mm、M3が1mmである。
図3は、窓部材10の接触面10aと基体部材11の接触面11aを接触させた状態の拡大断面図である。
第2のガス流通路K2は、図2に示すように、窓部材10と基体部材11の接触面上であって、放電空間Sとなる凹部S0の端部と封止部材2との間に形成される領域である。
第3のガス流通路K3は、図3に示すように、窓部材10と基体部材11のそれぞれの接触面10aと11aの隙間の領域である。
放電空間S内に封入された発光ガスは、まず、第1のガス流通路K1を通り、窓部材10の接触面10aと基体部材11の接触面11aの間の第3のガス流通路K3に流れ込む。
次に、発光ガスは、第2のガス流通路K2を通り、封止部材2に至る。
第3のガス流通路K3は、窓部材10と基体部材11のそれぞれの接触面10aと11aの隙間の大きさによって、変化するものである。
つまり、窓部材10の接触面10aと基体部材11の接触面11aの隙間が小さい場合、放電空間Sの発光ガスが封止部材2に到達するまでの時間を遅らせることができ、封止部材2にフッ素が到達するまでの時間を遅らせることができる。
窓部材10の接触面10aと基体部材11の接触面11aをそれぞれ光学研磨する。
図4に示すように、窓部材10と基体部材11の接触面には凹凸がある。それぞれの面粗さをJIS・B0601:2001に定めるところの算術平均粗さ(Ra)で表すと、光学研磨で製造されたフッ化マグネシウムより窓部材10では、Ra=0.1μmであり、光学研磨で製造されたニッケルよるなる基体部材11では、Ra=0.1μmである。ここで、窓部材10および基体部材11の接触面10a、11aは、お互いを密着させるために、うねりが小さい形状となっている。具体的にはJIS・B0601:2001に定めるところの、算術平均うねり(Wa)がカットオフ波長λc=0.08mmにおいて10μm以下である。
特に隙間が小さく、隙間長をd(m)と封入ガス圧をP(Pa)とした時、隙間長dと封入ガス圧Pの積、d×P<0.02(Pa・m)を満たす場合はガス分子の流れはガス分子同士の衝突よりもガス分子と器壁(接触面)との衝突が顕著となる「分子流」特性を示し、フッ素が封止部材2に到達するまでの時間を特に遅らせることができる。封入ガス圧が60kPaの場合、「分子流」特性を示すための隙間長は約0.3μm以下である。
実験結果を下記の表1に示す。
図1に示すエキシマランプと異なる点は、エキシマランプBの窓部材10には、放電空間Sとなる凹部S0の外周に、接触面10aから内部に向かう環状凹部Tが形成されている。そして、この環状凹部T内にフッ化マグネシウムかる粉体Rが充填されている。
図6は、環状凹部Tの一部拡大断面図であり、粉体Rは平均粒径が2μmであり、発光ガスであるハロゲン、特に、フッ素との反応性が低いことが必要であり、珪素を除く金属の酸化物やフッ化物である。
また、図1に示すエキシマランプBの窓部材10の接触面10aと、基体部材11の接触面11aは機械切削にて製造されたものであり、算術平均粗さ(Ra)で表すと、Ra=10μmである。
ここで、窓部材10および基体部材11の接触面10a、11aは、お互いを密着させるために、うねりが小さい形状となっている。具体的にはJIS・B0601:2001に定めるところの、算術平均うねり(Wa)がカットオフ波長λc=0.08mmにおいて10μm以下である。
図5中、図1と同一符号は同一部分であり、説明は省略する。
この環状凹部Tは、幅1mm、深さ0.5mmである。
そして、このエキシマランプBにおいては、図5に示すように、放電空間Sとなる凹部S0の端部と封止部材2との間である第2のガス流通路K2の途中に、環状凹部Tを形成し、この環状凹部T内に粉体Rを充填し、粉体の粒径の外径が2μm、接触面10a、11aの面粗さRaが10μmであり、粉体の粒径の外径が接触面10a、11aの面粗さの値より小さく、しかも、図6に示すように、粉体Rは環状凹部T内で乱雑に密に充填されるため、それぞれの粉体Rの離間距離が0.3μm前後となり、さらに、粉体Rの間の空間が複雑に入り組んだ状態になっているので、この空間に流れ込んだフッ素の流動特性が「分子流」となる。
実験結果を下記の表2に示す。
つまり、環状凹部に粉体を充填することにより、封止部材にフッ素が到達するまでの時間を十分に遅らせることができ、長時間に渡って所望の光出力が得られるエキシマランプとなる。
エキシマランプCは、エキシマ光を取り出す両端が開口した中空円筒状の窓部材10と、この窓部材10の両端開口を塞ぐ放電容器の基体となる基体部材11が接触した状態で配置されている。
窓部材10は、ハロゲンと反応せず光透過性を有するフッ化マグネシウムであり、窓部材10の外面には、一対の帯状の外部電極3が配置されている。基体部材11はハロゲンと反応しないニッケルであり、中央部分に窪みが形成されており、この窪みの底部が窓部材10の端面である接触面10aに接触する接触面11aとなっている。
さらに、基体部材11とフランジ4との間にOリング5が配置されており、基体部材11とフランジ4をボルト6とナット7で締め付けることによりOリング5が窓部材10の外面と基体部材11とフランジ4とに接触して変形する。
また、フランジ4と窓部材10とはエポキシ樹脂2によって封止し、窓部材10内が気密構造の放電空間Sとなる。
粉体Rは平均粒径が2μmであり、発光ガスであるハロゲン、特に、フッ素との反応性が低いことが必要であり、珪素を除く金属の酸化物やフッ化物である。
接触面10aと接触面11aは機械切削にて製造されたものであり、面粗さにしてRa=10μmである。
粉体Rは環状凹部T内で乱雑に密に充填されるため、それぞれの粉体Rの離間距離が0.3μm前後となり、さらに、粉体Rの間の空間が複雑に入り組んだ状態になっているので、この空間に流れ込んだフッ素の流動特性が「分子流」となる。
10 窓部材
10a 接触面
11 基体部材
11a 接触面
2 封止部材
3 電極
S 放電空間
S0 凹部
T 環状凹部
R 粉体
Claims (3)
- 複数の放電容器構成部材が接触した状態で封止部材によって気密構造の放電空間が形成されたエキシマランプにおいて、
前記放電空間には、エキシマ放電によってエキシマ分子を形成する希ガスとハロゲンが封入され、
前記放電容器構成部材は、放電空間で発生するエキシマから放射される光を放電容器外に取り出す窓部材と、放電容器の基体となる基体部材とからなり、
前記窓部材は、珪素を除く金属の酸化物またはフッ化物よりなり、
前記基体部材は、金属、または、珪素を除く金属の酸化物またはフッ化物よりなり、
前記窓部材と前記基体部材との接触面であって、前記放電空間と前記封止部材との間にガス流通遅延手段が設けられていることを特徴とするエキシマランプ。 - 前記ガス流通遅延手段は、前記窓部材と前記基体部材のそれぞれの接触面が光学研磨されており、この光学研磨された接触面が互いに接触している構造であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
- 前記ガス流通遅延手段は、前記窓部材の接触面或いは前記基体部材の接触面から内部に向かう凹部が形成され、当該凹部に珪素を除く金属の酸化物またはフッ化物よりなる粉体が充填されており、
前記粉体の粒径の外径をA(μm)
前記窓部材と前記基体部材の接触面の算術平均粗さRaをB(μm)とすると、
A<Bとなる構造である請求項1に記載のエキシマランプ。
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