JP5223276B2 - 作業機械のブームおよびフロントアタッチメント - Google Patents

作業機械のブームおよびフロントアタッチメント Download PDF

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Description

本発明は、油圧ショベルやビル解体機等の作業機械に備えられるブームおよびそのブームを用いたフロントアタッチメントに関するものである。
油圧ショベルのブームは、「く」の字状に折れ角が設けられた単一の部材で構成されるものが一般的であるが、油圧ショベル本体に支持される第1ブームと、この第1ブームの先端部に対し水平軸まわりに揺動自在に連結された第2ブームとを有し、両ブームの折れ角を油圧シリンダで自在に変更できる分割式ブームも知られている。
図15はその分割式ブームを持つフロントアタッチメントの構成を示したものである。
同図に示すフロントアタッチメント50は、分割式ブーム51の先端部にアーム52が連結され、そのアーム52の先端部にバケット53が備えられている。なお、51aはブームシリンダ、52aはアームシリンダ、53aはバケットシリンダである。
分割式ブーム51は、基端側が油圧ショベル本体(上部旋回体)に支持される第1ブーム51bと、この第1ブーム51bの先端側に連結される第2ブーム51cとを有し、両ブーム51b,51cは連結ピン51dを介して連結されている。
第1ブーム51bと第2ブーム51cの各下面中央部には第2ブームシリンダ51eが架設されており、この第2ブームシリンダ51eのピストンロッド51fを伸縮させることにより、両ブーム51bおよび51cの折れ角θを変更することができるようになっている。
上記分割式ブーム51を備えたフロントアタッチメント50によれば、アーム52をより足元側に引き寄せることができるため、単一部材で構成されているブームに比べ、作業範囲を拡大することができるという利点がある。
しかしながら、上記したフロントアタッチメント50では、掘削作業を行う際、掘削対象の地盤が固いとバケット53が地盤にくい込まない状態でアーム引きが行われることになり、分割式ブーム51に対し上向きの引張力が作用する。
このとき、第1ブーム51bは2本のブームシリンダ51aによって保持されているため変位しないが、第2ブーム51cについては第2ブームシリンダ51eの推力不足により、連結ピン51dを支点とし矢印X方向に浮く場合がある。このように第2ブームシリンダ51eのピストンロッド51fが伸びてしまうと、掘削力の低下は避けられない。
上記した掘削力の低下を補うために、第2ブームシリンダ51eを大型化してピストンロッド51fの伸びを防止する方法も考えられるが、その場合、フロントアタッチメント50もその大型化した第2ブームシリンダ51eに見合った構造に補強しなければならず、重量が増加する。また、フロントアタッチメント50の重量が増加すれば、重量のバランスを取るためのカウンタウエイトも大型化しなければならない。
本発明は以上のような従来の分割式ブームにおける課題を考慮してなされたものであり、分割式ブームを大型化することなく、作業能力を高めることができる作業機械のブームおよびフロントアタッチメントを提供するものである。
本発明は、基端部が作業機械本体に支持されている第1ブームと、先端部にアームまたは作業装置が連結される第2ブームとが水平軸まわりに揺動自在に連結されるとともに、上記第2ブームを揺動させるための第2ブームシリンダが備えられているブームであって、
上記第2ブームにおける上記第1ブーム連結側端部に、上記第2ブームシリンダのピストンロッドを連結するためのロッド連結部が形成され、このロッド連結部に連結された上記第2ブームシリンダの後端部を上記第1ブームに枢支させてなる作業機械のブームである。
本発明に従えば、第2ブームの揺動中心となる水平軸よりも後方側からその第2ブームに対し起伏力を与えることができるため、第1ブームと第2ブームの略中間に第2ブームシリンダを架設する従来構成に比べ、第2ブームシリンダの能力を有効に活用することができる。
本発明において、上記第1ブーム連結側端部の上側に、上記水平軸としての連結ピンを軸通させるボスを形成し、上記第1ブーム連結側端部の下側から、上記ロッド連結部としてのブラケットを上記作業機械本体側に向けて延設することが好ましい。
それにより、第2ブームの揺動中心である水平軸とロッド連結部との距離を長く取ることができ、第2ブームに対する起伏力を増加させることができるようになる。
本発明において、第2ブームシリンダの能力を有効に活用するには、上記第1ブームと上記第2ブームとの連結点をA、上記第1ブームにおける上記第2ブームシリンダ後端部の連結点をB、上記第2ブームにおける上記第2ブームシリンダのロッドの連結点をCとするとき、上記第2ブームシリンダの縮小状態において上記連結点Cが上記連結点Aよりも作業機械本体側に位置するように各連結点を配置することが好ましい。
また、上記第2ブームシリンダ伸張時または伸張中において、上記連結点Aと連結点Cと連結点Bのなす角度が略90°を形成するように各連結点を配置することが好ましい。
本発明のブームは、上記第2ブームシリンダを縮小させた状態では、上記第1ブームと上記第2ブームが、くの字に折り曲げられ、上記第2ブームシリンダを最大に伸張させると、くの字の姿勢の上記第2ブームが折り曲げ方向と逆方向に反り返るように構成されている。
本発明において、上記第1ブームの両側側面に、上記第1ブームを起伏させるための一対のブームシリンダが設けられている構成では、上記第2ブームシリンダを上記第1ブーム内に収容することにより、作業視界が良好になるとともに、違和感なくブームを操作することができるようになる。また、バケットや破砕機等の先端アタッチメントを引き寄せる操作を行う場合において第2ブームシリンダとの接触を解消することができる。
本発明において、上記第1ブーム内における上記第2ブームシリンダの上方にその第2ブームシリンダに沿って仕切板を設ければ、この仕切板によって上記第1ブーム内に上記第2ブームシリンダを収容するための収容室を形成することができる。
本発明において、上記第1ブームの前面に、上記第1ブームを起伏させるためのブームシリンダが設けられている構成では、上記第1ブームの両側側面に、一対の上記第2ブームシリンダを設けることができる。この構成によれば、小型作業機械にも本発明のブームを適用することができる。
本発明は、上記構成を有するブームと、上記第2ブームの先端部に連結されるアームと、このアームの先端部に連結される作業装置とから構成される作業機械のフロントアタッチメントである。
本発明は、上記構成を有するブームと、上記第2ブームの先端部に連結される作業装置とから構成される作業機械のフロントアタッチメントである。
本発明によれば、分割式ブームを大型化することなく、アーム引き等の作業能力を高めることができる。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、作業機械としての油圧ショベルとその作業範囲を示したものであり、Pは高所作業でのフロントアタッチメントの姿勢を、Pは掘削作業でのフロントアタッチメントの姿勢を、それ以外は高所作業と掘削作業の間の作業姿勢を示している。
同図において、1は油圧ショベルであり、左右にクローラ2を装着した下部走行体3上に上部旋回体4が旋回自在に搭載されており、上部旋回体4の前部に、起伏動作するフロントアタッチメント5が取り付けられている。
1 フロントアタッチメントの構成
上記フロントアタッチメント5は、ブーム6と、このブーム6の先端部に連結されるアーム7と、このアーム7の先端部に連結されるバケット(作業装置)8とを有しており、ブーム6はブームシリンダ9を伸縮させることによって起伏するように構成され、アーム7はアームシリンダ10を伸縮させることによって水平軸まわりに揺動(矢印U方向に)するように構成され、バケット8はバケットシリンダ11を伸縮させることによって同じく水平軸まわりに揺動(矢印V方向に)するように構成されている。
上記ブーム6は、さらに、上部旋回体(作業機械本体)4の前部に支持される第1ブーム6aと、この第1ブーム6aの先端部に連結される第2ブーム6bとを有し、両ブーム6aおよび6bは、第2ブームフットピン6cを介し水平軸まわりに揺動自在に連結されている。また、第2ブーム6bは第2ブームシリンダ12を伸縮させることによって起伏するように構成されている。
なお、図中、13は上部旋回体4の後部に取り付けられるカウンタウエイトである。
2 ブームの構成
図2は上記ブーム6の要部を拡大して示した側面断面図であり、図3はブーム6の平面図である。
両図において、第1ブーム6aは上向き凸となる円弧状に形成された箱形部材からなり、基端部には上部旋回体4とブームフットピン(図示しない)を介して連結するためのボス6dが形成され、先端部には、第2ブームフットピン6cを介して第2ブーム6bを連結するための一対の支持部6e,6eが形成されている。
また、第1ブーム6aの先端寄りには、ボス6f,6fが形成され、このボス6f,6fを軸通しているピン6gの両端は、ブームシリンダ9,9の各ロッドと接続されるようになっている。
上記ボス6fの下方を迂回するようにして第1ブーム6aの内部には仕切板6hがL字状に形成されており、この仕切板6hの下方には第2ブームシリンダ12を収容するための収容室Sが形成されている。なお、上記仕切板6hにおいてボス6fに近接している部分はアール部6h′に形成され、このアール部6h′より後側は第2ブームシリンダ12に沿って直線に形成されている。
第2ブームシリンダ12の後端部12aは、第1ブーム6aの側壁6iに対して連結ピン14を介して支持されており(図2のW−W矢視断面を示している図4参照)、ピストンロッド12bのロッド先端部12cは、第2ブーム6bのブラケット(後述する)6lと連結されている。
また、第2ブーム6bにおける後端部(第1ブーム連結側端部)6jの上側には、上記支持部6eおよびその支持部6eを軸通する第2ブームフットピン6cによって支持される被支持部6kが形成されている。一方、後端部6jの下側には、上記ピストンロッド12bを連結するためのブラケット(ロッド連結部)6lが斜め下向き(二点鎖線で示した第2ブーム6bの姿勢において)舌片状に延設されている。
なお、上記ブラケット6lの上面には、上記仕切板6hのアール部6h′に対応してアール部6l′が形成されている。
上記被支持部6kおよび一対の支持部6eに貫通して第2ブームフットピン6cが装着された状態で、第2ブームシリンダ12を伸縮させると、第2ブームフットピン6cを中心として第2ブーム6bを上下方向に揺動させることができるようになっている。
また、第2ブームシリンダ12のピストンロッド12bを戻して縮小状態にすると、ブラケット6lのアール部6l′が仕切板6hのアール部6h′に近接した状態でブラケット6lが停止し、第2ブームシリンダ12は第1ブーム6aの収容室S内に格納される。このとき、第2ブームシリンダ12のロッド先端部12cは、第2ブームフットピン6cよりも後方、すなわち、油圧ショベル本体側に位置するようになっている。
一方、第2ブームシリンダ12のピストンロッド12bを伸張すると、第2ブームフットピン6cを中心として第2ブーム6bが上向きに回転し、ブラケット6lが図中、二点鎖線で示す位置に変位する。
この場合、第1ブーム6aと第2ブーム6bは略一直線となり、遠位での作業に適した姿勢となる。
なお、ブームシリンダ9として例えば35MPa用、内径φ120mmの油圧シリンダを2本使用する場合、上記第2ブームシリンダ12としては35MPa用、内径φ190mmの油圧シリンダを用いることができる。
3 フロントアタッチメントの動作対比
次に、図5および図6に示した従来のフロントアタッチメントと、図7および図8に示した、本実施形態のブームを備えたフロントアタッチメントとを動作の点において対比する。
3-1 従来の分割式ブームの動作
3-1-1 第2ブームシリンダ縮小時
図5において、アーム引きによる掘削を行う場合、アーム52はアームフットピン52aを起点に回転し、ブーム51側に移動する。その際アーム52の長さは、アーム52の先のバケット53が地面にめり込まない場合は、その半径が変わらないため、ブームフットピンの位置である点Lもしくは点Kを起点として、第2ブーム51cを持ち上げる力へと転換される。
このとき、第1ブーム51bについては2本のブームシリンダ(図示しない)により保持されているために変位することがなく、それらのブームシリンダに比べると保持力の弱い第2ブームシリンダ51eによって保持されている第2ブーム51cが持ち上げられてしまう。その結果、第2ブームシリンダ51eが伸びるという現象が起こる。
3-1-2 第2ブームシリンダ51eにかかる応力について
第2ブームシリンダ51eを引っ張ろうとする力F1は、点Kと点Mを通る線分K−Mと、それを押すシリンダ推力P−Qよって構成される。しかしながら、シリンダ推力は線分R−Sに垂直な線分N−O側から押す方が効率がよいため、線分N−Oに対し線分P−Qのなす角度∠OMPの分だけその推力は減じられる。
すなわち、従来の分割式ブームでは、
∠OMPの角度が63°であり、cos63°は0.454であるから、
第2ブームシリンダ51eの推力100に対し45%程度の能力しか利用されていないことになる。
3-1-3 第2ブームシリンダ伸張時
図6において、第2ブームシリンダ51eを中間地点まで伸張させた際にそのシリンダにかかる応力を上記と同様に求めると、
∠OMPの角度が69°となるから、第2ブームシリンダ51eの推力100に対し36%の能力しか利用されていないことになる。
このように、従来の分割式ブームにおける第2ブームシリンダ51eは、半分に満たない能力しか利用されていないことがわかる。
3-2 本実施形態のブームの動作
3-2-1 第2ブームシリンダ縮小時
図7において、フロントアタッチメント5の第2ブームシリンダ12にかかる応力について検討する。
第2ブームシリンダ12を引っ張ろうとする力F2は、点Aと点Cを通る線分A−Cと、それを押すシリンダ推力F−Gよって構成される。この場合も線分H−Jに対し線分F−Gのなす角度∠FCHの分だけその推力は減じられることになる。
しかしながら、∠FCHの角度は38°と小さく、
cos38°は0.788であるから、
第2ブームシリンダ12の推力100に対し79%までその能力を利用することができるようになる。
3-2-2 第2ブームシリンダ伸張時
図8において、第2ブームシリンダ12を中間地点まで伸張させた際にそのシリンダにかかる応力を上記と同様に求めると、
∠FCHの角度が3°とさらに小さくなる(∠FCHと比較して)から、第2ブームシリンダ12の推力100に対し99%の能力まで利用することが可能になる。
すなわち、本実施形態によるブーム6によれば、第2ブームシリンダ12の能力を従来のそれに比べ、第2ブームシリンダ縮小時においては79/45=1.76倍に高めることができ、また、第2ブームシリンダ伸張時に至っては99/36=2.75倍まで高めることができるようになる。
このように本実施形態のブーム6によれば、第2ブームシリンダ12の伸張動作において80%程度のシリンダ保持力から始まり、略100%までシリンダ保持力を高めることができるため、第2ブームシリンダの推力不足による第2ブームの浮き上がりを確実に防止することができる。
4 本実施形態に係るブームの特徴
上述した本実施形態のブームによれば、掘削作業時において第2ブームシリンダ12が伸びることを防止できるだけでなく、以下のような利点がある。
(a) 第2ブーム6bを反り返らせることが可能になる。
図9(a)は第2ブーム6bの揺動範囲を示したものであり、実線で示した姿勢は図8に対応し、二点鎖線で示した姿勢は図7に対応している。
図9(b)は従来の、くの字に折り曲げられた単一構成からなるブーム60を示したものであり、この従来構成のブーム60を図9(a)中に重ねると、破線で表したブーム60になる。
図9(a)から分かるように、本発明の第2ブーム6bは、くの字に折り曲げられた従来のブーム60からさらに42〜43°T方向(折り曲げ方向と逆方向)に反り返らせることができるようになっている。
このような反り返り動作は、従来の分割式ブーム(図5参照)であっても不可能な動作である。なぜなら、第1ブーム51bと第2ブーム51cにはシリンダストロークの限られた第2ブームシリンダ51eが架設されているからである。
上記したように、第2ブーム6bの反り返りが可能になると、前方回転半径が小さくなるという利点がある。
図10は前方回転半径の違いを示したものであり、同図(a)は本発明のブームで構成されるフロントアタッチメントを備えた油圧ショベル1であり、同図(b)は従来のブームで構成されたフロントアタッチメントを備えた油圧ショベル60である。
図10(b)に示すように、従来のフロントアタッチメント61では、ブーム62を後方に向けて最大に回転させ、アーム63を折り畳んだ状態であっても、壁面64との間に距離Xを確保しないと旋回ができない。なお、図中、65はバケットである。
これに対し、図10(a)に示す本発明のフロントアタッチメントを備えた油圧ショベル1では、第2ブーム6bを反り返らすことでフロントアタッチメント5のバランスをくずすことなく第2ブーム6bを後方に変位させることができ、それにより、前方回転半径を小さくすることが可能になる。
したがって、本発明の油圧ショベル1では、前方に壁面64が存在しても上記距離Xの約1/2の距離X′さえあれば旋回が可能になる。
(b) 図2に示したように、第2ブームシリンダ12を第1ブーム6a内に収容しているため、従来の分割式ブームに比べオペレータの作業視界が良好になるとともに、分割式ブームに不慣れなオペレータとっても違和感なくブーム操作が行える。さらに、例えばアーム引きを行なってバケット等の先端アタッチメントが運転席側に接近するような場合でもその先端アタッチメントが第2ブームシリンダに接触することがない。
(c) ブーム6を単一のブームと略同じ形状にすることができ、大幅な設計変更を必要としない。
(d) 従来の分割式ブームでは、第2ブームシリンダの能力を十分活用できない構成であるため、ブームを長く設計することができなかったが、本実施形態のブームでは、第2ブームシリンダのシリンダ保持力を高めることができるため、長尺ブームを製作することが可能になる。
(e) 従来の分割式ブームでは、第1ブームと第2ブームの略中間位置に第2ブームシリンダを架設する構成のため、シリンダ長さを長くせざるを得ないが、本実施形態のブームでは短いシリンダでコンパクトに構成することができる。
(f) 従来の分割式ブームでは、シリンダ保持力として引き側の推力が欲しいために第2ブームシリンダのロッド径を細く設計したいという要求があったが、長尺ロッドにすると座屈する虞れがあり実現できなかった。これに対し、本実施形態のブームでは第2ブームシリンダの長さが短くて済むためにロッド径を細く設計しても座屈する虞れがなく、十分な引き側の推力を得ることができる。
5 本実施形態のブームにおけるピン配置の利点
次に、本実施形態のブームにおける特異なピン配置がもたらす利点について図11を参照しながら説明する。
第2ブーム6bを起伏させる第2ブームシリンダ12のシリンダーピン位置(ロッド側ピン位置)はブーム形状を損なうことなく、より効率的に第2ブーム6bを起伏させる位置に配置されている。
具体的には、第2ブーム6bの起伏力は点A−C間の距離L1によって左右される。もしブーム形状をオリジナルのブーム形状より変更しなければ、シリンダーピン位置は仮想点Vに位置するから、点A−V間の距離はL2である。
ピン間距離である点A−Cと点A−Vの長さを比較すると、L1>L2であるから、点Cにピン位置を配置する方が、第2ブーム6bの起伏力を高める上で有利となる。なお、上記点A−Cと点A−V間距離は具体的には、842mmと566mmであり、約1.5倍の起伏力増加が得られる。
6 本発明に係るブームの適用例
図12は本発明のブームを小型油圧ショベルに適用した例を示したものである。
同図に示すように、上部旋回体65の後端66の旋回半径を短くしたいわゆる後方小旋回タイプの小型油圧ショベル67では、ブーム68を起伏させるためのブームシリンダ69がブーム68の前側に設けられていることが多い。
このような構成の小型油圧ショベルに対して本発明のブームを装着する場合、上記ブームシリンダ69と干渉しない部位、具体的には第1ブーム68aの左右両側に第2ブームシリンダ70を一対配置すればよい。
この場合、図13の拡大図に示すように、第2ブーム68bの後端部から一対のブラケット68c,68d(手前側のブラケット68cのみ図示)を平行に延設し、一方のブラケット68cと第1ブーム68aの一方側面に設けられたボス68eとをピンを介して第一の第2ブームシリンダ70で連結し、他方のブラケット68dと第1ブーム68aの他方側面に設けられたボス68f(図示しない)とをピンを介して第二のブームシリンダ71(図示しない)で連結する。
なお、第2ブームシリンダ70,71を上記のように配置しても回転半径外であるため、ブーム68の起伏動作時にキャビンと干渉することはない。
7 ブームと作業装置との組み合わせ例
図14は、本発明のブームに、破砕機またはブレーカ等の作業装置を装着する場合の構成を示したものである。なお、説明を簡単にするため、破砕機装着例とブレーカ装着例を同一図面上に併せて示している。
同図において、80はブーム6の先端に装着された破砕機であり、81はブレーカである。
破砕機80を装着する場合、第2ブーム6bの先端に、破砕機80のブラケット80aを取り付け、第2ブーム6bに配索されているオプション用油圧配管を、破砕機80に内蔵されている破砕機駆動用の油圧シリンダに接続する。
この構成では第2ブーム6bをアームとして機能させることができるため、アームを必要とせず、フロントアタッチメントのコンパクト化が図れる。しかも第2ブーム6bを反り返らすことにより、コンパクトでありながら作業範囲は大きく取ることができるため、上方に天井がある場合のように高さ方向が制限された作業環境、例えば地下やトンネル内のように、通常のフロントアタッチメントでは作業ができないような環境においても効率良く作業が行えるという利点がある。
また、ブレーカ81を装着する場合は、第2ブーム6bの先端部に、ブレーカ81のブラケット81aを取り付け、第2ブレーカ6bに配索されているオプション用油圧配管を、ブレーカ81に内蔵されているチゼル駆動用の打撃シリンダに接続する。
この構成においても第2ブーム6bをアームとして機能させることができるため、フロントアタッチメントのコンパクト化が図れる。また、上記と同様に第2ブーム6bを反り返らすことによって作業範囲を拡張することが可能なため、狭所での作業が効率良く行える。
このように、図14に示すブームと作業装置の組み合わせでは、フロントアタッチメントの長さを短くして能力の高い大きな作業装置を装着することができるため、例えば、足元を解体しながら作業場所を順番に階下へ移動していくような解体作業にも適している。
また、本発明のブームはコンパクトでありながら作業範囲が広いという特徴を備えているため、特殊なブームに交換することなく作業装置を装着することができる。
なお、上記した破砕機は、鉄筋や鉄骨構造物の解体に使用される鉄筋カッターに代えることもできる。
また、本発明に係る作業機械のブームは、上記したように、一般土木用としての油圧ショベルのフロントアタッチメントに適用する場合に限らず、ビル解体機や鉄筋コンクリートを圧砕する圧砕機等の建設用専用機にも適用できるが、さらには荷役作業用専用機、グラップルを備えた林業用専用機等のフロントアタッチメントにも幅広く適用することができる。
本発明に係るブームで構成されたフロントアタッチメントを持つ油圧ショベルの作業範囲図である。 図1に示すブームの要部拡大断面図である。 図2に示すブームの平面図である。 図2に示すW−W矢視から見た断面図である。 比較例としてのフロントアタッチメント動作説明図である。 比較例としてのフロントアタッチメント動作説明図である。 本発明に係るフロントアタッチメント動作説明図である。 本発明に係るフロントアタッチメント動作説明図である。 (a)は本発明に係るブームの揺動範囲を示す説明図、(b)は対比のための示した従来のブームである。 (a)は本発明のブームを備えた建設機械の前方回転半径を示した説明図、(b)は従来の建設機械の前方回転半径を示した説明図である。 本発明に係るブームのピン配置を示す説明図である。 本発明のブームを小型油圧ショベルに適用した場合の構成を示す説明図である。 図12に示したブームの拡大図である。 本発明のブームに破砕機、ブレーカを装着した場合の構成を示す説明図である。 従来の分割式ブームの構成を示す側面図である。
符号の説明
1 油圧ショベル
2 クローラ
3 下部走行体
4 上部旋回体
5 フロントアタッチメント
6 ブーム
6a 第1ブーム
6b 第2ブーム
6c 第2ブームフットピン
6d ボス
6e 支持部
6f ボス
6g ピン
6h 仕切板
6i 側壁
6k 被支持部
6l ブラケット
7 アーム
8 バケット
9 ブームシリンダ
10 アームシリンダ
11 バケットシリンダ
12 第2ブームシリンダ
12a 第2ブームシリンダの後端部
12b ピストンロッド
12c ロッド先端部
13 カウンタウエイト

Claims (9)

  1. 基端部が作業機械本体に支持されている第1ブームと、先端部にアームまたは作業装置が連結される第2ブームとが水平軸まわりに揺動自在に連結されるとともに、上記第2ブームを揺動させるための第2ブームシリンダが備えられているブームであって、
    上記第2ブームにおける上記第1ブーム連結側端部に、上記第2ブームシリンダのピストンロッドを連結するためのロッド連結部が形成され、このロッド連結部に連結された上記第2ブームシリンダの後端部を上記第1ブームに枢支させてなり、
    上記第2ブームシリンダの縮小状態において、上記第2ブームにおける上記第2ブームシリンダのピストンロッドの連結点Cが、上記第1ブームと上記第2ブームとの連結点Aよりも、作業機械本体側に位置するように配置されていることを特徴とする作業機械のブーム。
  2. 上記第1ブーム連結側端部の上側に、上記水平軸としての連結ピンを軸通させるボスが形成され、上記第1ブーム連結側端部の下側から、上記ロッド連結部としてのブラケットが上記作業機械本体側に向けて延設されている請求項1記載の作業機械のブーム。
  3. 上記第1ブームにおける上記第2ブームシリンダ後端部の連結点をBとするとき、上記第2ブームシリンダ伸張時または伸張中において、上記連結点Aと連結点Cと連結点Bのなす角度が略90°を形成するように各連結点が配置されている請求項1に記載の作業機械のブーム。
  4. 上記第2ブームシリンダを縮小させた状態で、上記第1ブームと上記第2ブームが、くの字に折り曲げられ、上記第2ブームシリンダを最大に伸張させることにより、くの字の姿勢の上記第2ブームが折り曲げ方向と逆方向に反り返るように構成されている請求項1〜のいずれか1項に記載の作業機械のブーム。
  5. 上記第1ブームの両側側面に、上記第1ブームを起伏させるための一対のブームシリンダが設けられ、上記第2ブームシリンダが上記第1ブーム内に収容されている請求項1〜のいずれか1項に記載の作業機械のブーム。
  6. 上記第1ブーム内における上記第2ブームシリンダの上方にその第2ブームシリンダに沿って仕切板が設けられ、この仕切板によって上記第1ブーム内に上記第2ブームシリンダを収容するための収容室が形成されている請求項5に記載の作業機械のブーム。
  7. 上記第1ブームの前面に、上記第1ブームを起伏させるためのブームシリンダが設けられ、上記第1ブームの両側側面に、一対の上記第2ブームシリンダが設けられている請求項1〜のいずれか1項に記載の作業機械のブーム。
  8. 上記請求項1〜のいずれか1項に記載のブームと、上記第2ブームの先端部に連結されるアームと、このアームの先端部に連結される作業装置とから構成されることを特徴とする作業機械のフロントアタッチメント。
  9. 上記請求項1〜のいずれか1項に記載のブームと、上記第2ブームの先端部に連結される作業装置とから構成されることを特徴とする作業機械のフロントアタッチメント。
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