発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本発明の可動役物装置が適用されたパチンコ機Pは、遊技場の島設備に配置される機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2に収納保持された後述する遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、前面枠2の下方に配設された前面ボード5と、前面ボード5に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には受け皿7が設けられている。
図2に示すように、遊技盤3の盤面はガイドレール8等で囲まれた遊技領域9となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受け皿7に貯留された遊技球を遊技領域9に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域9の上部中央付近には中央役物ユニット10が配設されており、この中央役物ユニット10の左右両側が遊技球の流下通路となっている。中央役物ユニット10は、中央部に開口11を有する枠状の装飾ケース12と、装飾ケース12の右側部に配置された可動役物装置13とを具備しており、後述するように、可動役物装置13は第1の可動体25と第2の可動体26やそれらの駆動機構等によって構成されている。また、中央役物ユニット10の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる可変表示装置14が配設されており、この可変表示装置14の表示画面14aは装飾ケース12の開口11から露出している。
装飾ケース12には開口11の下辺に隣接するステージ15が設けられており、ステージ15の中央部には溝15aが形成されている。この溝15aの真下位置には第1の始動入賞口16が配設されており、第1の始動入賞口16の右方には通過チャッカー17と第2の始動入賞口18が横一列に配設されている。第1の始動入賞口16は上面に入賞孔が開口された単純構造の始動入賞口であるが、第2の始動入賞口18は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、第1および第2の始動入賞口16,18のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄表示の電子抽選が行われ、可変表示装置14の表示画面14a上で図柄の変動表示と停止表示が行われる。また、通過チャッカー17を遊技球が通過したことを契機に普通図柄表示の電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2の始動入賞口18の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可するようになっている。
第1の始動入賞口16の真下位置にはアタッカー19が配設されており、このアタッカー19によって図示せぬ大入賞口が覆われている。アタッカー19は、第1および第2の始動入賞口16,18のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)に移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄表示の抽選結果が当たりの場合、可変表示装置14の表示画面14a上で図柄の変動表示を例えば「777」のように特定図柄で停止させると共に、アタッカー19が複数回繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー19は1回の開放動作について例えば30秒通過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入球するまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。その他、遊技領域9には遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口20が配設されており、いずれの始動入賞口16,18や一般入賞口20にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域9の最下端部に設けられたアウト口21から遊技盤3の裏面側に排出されるようになっている。
図3と図4に示すように、前記装飾ケース12の左側壁には中空構造のワープ通路22が形成されており、このワープ通路22の入口は遊技領域9に開口していると共に、ワープ通路22の出口22aはステージ15の左上部に開口している。したがって、中央役物ユニット10の左側の遊技領域9を流下する遊技球がワープ通路22の入口に入球すると、その遊技球はワープ通路22の内部から出口22aを通ってステージ15上に誘導される。そして、前述したようにステージ15の溝15aの真下に第1の始動入賞口16が配置されているため、溝15aから落下した遊技球は高い確率で第1の始動入賞口16へと導かれる。また、装飾ケース12の下側壁にはステージ15の後端から開口11の下辺に向かって上り勾配で連続する傾斜面23が形成されており、この傾斜面23にはハート形状をなす複数の装飾突部23aが形成されている。
図5〜図9に示すように、装飾ケース12の右側部に配置された可動役物装置13は、装飾ケース12の一部をなす装飾体24と、装飾体24の前方に配置された第1の可動体25および第2の可動体26と、装飾体24の裏面にネジ止めにより一体化されたベース板27と、ベース板27に取り付けられたモータ28およびソレノイド29と、ベース板27の裏面側に固定された支持基板30等を備えており、支持基板30に実装されたフォトインタラプタ31はベース板27に開設された透孔27aと対向している。ここで、第1の可動体25はバナナを模した役物であり、後述するように、この第1の可動体25は図2の実線で示す起立姿勢と同図の2点破線で示す傾倒姿勢との間を揺動動作するようになっている。一方、第2の可動体26は腰掛け姿勢の女性を模した役物であり、後述するように、この第2の可動体26は装飾体24の前方を上下方向へ往復移動するようになっている。
ベース板27はその上端が後端よりも前方へ突出した前傾姿勢に保たれており、本実施形態例の場合、遊技盤3の盤面と平行な垂直面に対するベース板27の傾斜角度θは約12度に設定されている(図6参照)。ベース板27の下端部は装飾体24から突出して装飾ケース12の前面壁で覆われており、この装飾ケース12の後方とベース板27の下端部前方との間にできる下側スペースS1に第1のアクチュエータであるモータ28が配置されている。この下側スペースS1はベース板27を前傾姿勢にすることで奥行き寸法(前後方向の長さ)に余裕があり、下側スペースS1と両可動体25,26とは平面的にオーバーラップしない位置関係にある。一方、第2のアクチュエータであるソレノイド29はベース板27の上端部後方にできる上側スペースS2に配置されており、この上側スペースS2は装飾体24の内部に画成されて第2の可動体26と平面的にオーバーラップしている。
モータ28には減速ギアユニット32が積層・一体化されており、これらモータ28と減速ギアユニット32の一体品はベース板27の下端部に突出形成された載置部27bにネジ止めされている。モータ28の回転軸は減速ギアユニット32に内蔵された図示せぬ減速ギア列の最初段ギアに連結されており、この減速ギア列の最終段ギアに連結された出力軸32aが減速ギアユニット32から突出している。モータ28の回転軸と減速ギアユニット32の出力軸32aはベース板27の板面に対して直交しており、出力軸32aは載置部27bによって包囲された凹所内に突出している。ベース板27には載置部27b近傍に一対の歯車33a,33bが軸支されており、減速ギアユニット32の出力軸32aは前段側の歯車33aに連結されている。一方、後段側の歯車33bは後述する歯車部材35に噛合しており、この歯車部材35はベース板27に立設された支軸34に回転可能に支持されている。したがって、モータ28が正逆いずれかの方向へ回転すると、その回転が減速ギアユニット32の減速ギア列や一対の歯車33a,33bを介して歯車部材35に伝達され、これらモータ28から歯車部材35に至る各部品によって第1の可動体25を動作させる第1の駆動機構が構成されている。なお、ベース板27の下端部近傍には円筒状のストッパ27cが立設されており、このストッパ27cは下側スペースS1内を通って装飾体24の前方に突出している。
図10〜図15に示すように、第1の可動体25は、モータ28を駆動源として正逆両方向へ回転する前記歯車部材35と、歯車部材35と一体的に回転する鍔状部材36と、歯車部材35を支持する支軸34を中心に正逆両方向へ回動する揺動体37と、揺動体37の回転中心寄りの基端側に固定されたガイド部材38と、揺動体37の自由端側の長方形部分に前後進可能に支持された作動部材39と、作動部材39に軸支された2段歯車40と、作動部材39と鍔状部材36との間に架設されたコイルスプリング41と、2段歯車40を介して揺動体37に連結された中継部材42と、中継部材42に搭載された回路基板43と、回路基板43に接続されたフラットケーブル44と、フラットケーブル44をガイド部材38に固定する止め具45と、歯車部材35やガイド部材38を内包するように揺動体37に固定された下側包囲体46および上側包囲体47と、作動部材39や回路基板43を内包するように中継部材42に固定された中空構造の外装部材48,49等によって主に構成されている。
歯車部材35は円板状の基部35aを有しており、この基部35aの裏面周縁部に刻設された歯部35bが前述した後段側の歯車33bと噛合している。基部35aの裏面には検出突片35cが形成されており、この検出突片35cはベース板27の透孔27aを挿通して支持基板30と対向している(図9参照)。これにより、歯車部材35の回転に伴って検出突片35cが支持基板30に実装されたフォトインタラプタ31の光路を遮断すると、フォトインタラプタ31から歯車部材35の原点位置を示す切替信号が検出されるようになっている。一方、基部35aの表面側には、その中心位置から前方へ突出する円筒状のガイド突起35dと、ガイド突起35dの外側から前方へ突出する円弧状の駆動突起35eとが形成されており、これらガイド突起35dと駆動突起35eは支軸34を中心とする同心円上に配置されている。ガイド突起35dの外周面には軸線方向へ延びる複数の摺動リブ35fが形成されており、ガイド突起35dの上端には複数の凹部35gが形成されている。
鍔状部材36は外周縁の一部に切欠き状の凹部36aを有する板状体であり、その中心位置に形成された貫通孔36bを支軸34に挿入して図示せぬEリング等で抜け止めすることにより、鍔状部材36は歯車部材35と共に支軸34に回転可能に支持されている。また、図13の破線で示すように、鍔状部材36の裏面には、貫通孔36bを中心に円弧状に延びる内壁部36cと、貫通孔36bから内壁部36cに向かって放射状に延びる複数の連結リブ36dと、内壁部36cの外側に位置する係止ピン36eとが形成されており、各連結リブ36dをガイド突起35dの対応する凹部35gに嵌合することにより、歯車部材35と鍔状部材36は回転方向に位置決めされた状態で一体化されて回転体50を構成している。
揺動体37の基端側には円形孔37aを有する環状筒部37bが形成されており、この環状筒部37bの外周縁には周方向に沿って所定の角度範囲(約90度)で延びる切欠き部37cが形成されている。また、環状筒部37bから外方へ突出する揺動体37の自由端側には細長形状のガイド孔37dが形成されると共に、このガイド孔37dの長手方向に沿って延びる第1のラック37eが刻設されている。円形孔37bは歯車部材35のガイド突起35dに回転可能に挿入されており、その際、環状筒部37bの両端面が基部35aと鍔状部材36とで挟持されることにより、揺動体37は回転体50からの脱落しないようになっている。また、歯車部材35の駆動突起35eは切欠き部37c内に位置しており、駆動突起35eが切欠き部37cの内部を周方向に移動する角度範囲だけ、揺動体37と回転体50とは相対的に回動可能となっている。この点については後ほど詳細に説明することとし、ここでは簡単に説明すると、第1の可動体25が図2の実線で示す起立姿勢にあるとき、駆動突起35eは切欠き部37cの一方の端部に当接しており、この状態から回転体50(歯車部材35と鍔状部材36)が図2の反時計方向へ回転し始めると、揺動体37は回転体50と一体的に同方向へ回動する。そして、第1の可動体25が図2の破線で示す傾倒姿勢まで回動すると、環状筒部37bの近傍がベース板27に立設されたストッパ27cに当接して揺動体37の回転が規制されるため、その後は回転体50のみが同方向へ回転を続行し、この間で駆動突起35eが切欠き部37c内を他方の端部に向かって移動する。
ガイド部材38は揺動体37の環状筒部37bとガイド孔37d間にネジ止めされており、このガイド部材38の一端側には円弧状の外壁部38aが形成されている。外壁部38aは環状筒部37bの外側に約半周に亘って延びており、図13と図14に示すように、この外壁部38aと前述した鍔状部材36の内壁部36cとの間にはリング状空間S3が画成されている。また、ガイド部材38の裏面には湾曲状に延びるガイド溝38bが形成されており、このガイド溝38bはリング状空間S3に連通している。ガイド部材38の他端側は後述する止め具45の受け面38cとなっており、この受け面38cには凹部38dが形成されている。また、受け面38cを挟んで対向するガイド部材38の両側面にはそれぞれ係止溝38eが形成されており、前述したガイド溝38bは受け面38cと反対側の面に形成されている。
作動部材39の裏面には一対のボス39aが突設されており、これらボス39aをガイド孔37dに挿入することにより、作動部材39は揺動体37の長手方向に沿って直線的に往復移動できるようになっている。なお、揺動体37の裏面側から一方のボス39aに対して図示せぬ抜け止めワッシャがネジ止めされており、この抜け止めワッシャによって作動部材39のガイド孔37dからの脱落が阻止されている。図11に示すように、2段歯車40は上段側の大径ギア40aと下段側の小径ギア40bを一体化した歯車であり、小径ギア40bは揺動体37の第1のラック37eに噛合している。この2段歯車40は作動部材39に立設された支軸51に軸支されると共に、ブラケット52によって作動部材39からの脱落が阻止されている。
コイルスプリング41は作動部材39と回転体50とを連結する可撓性の伝達部材であり、このコイルスプリング41の両端は作動部材39の端面に形成された係止孔39bと揺動体37の係止ピン36eとにそれぞれ掛止めされている。コイルスプリング41はガイド部材38の裏面に形成されたガイド溝38bに挿通されると共に、ガイド溝38bに連続するリング状空間S3内に配置されており、これらガイド溝38bとリング状空間S3によってコイルスプリング41の折れ曲がりが防止されている。したがって、歯車部材35の駆動突起35eが揺動体37の切欠き部37c内を移動するとき、すなわち、ストッパ27cに当接して回転停止した揺動体37に対して回転体50のみが回転するとき、回転体50の回転に伴ってコイルスプリング41がガイド溝38bとリング状空間S3内をスムーズに移動するため、回転体50の回転運動をコイルスプリング41で直線運動に変換して作動部材39を確実に前後方向へスライド移動させることができる。
中継部材42は、作動部材39を覆う長方形状の平板部42aと、平板部42aの両長辺から直角に突出する一対の側壁部42bとを有しており、これら側壁部42bは揺動体37の裏面側に配置された外装部材48にネジ止めされている。図11に示すように、一方の側壁部42bの内面には第2のラック42cが刻設されており、この第2のラック42cは2段歯車40の大径ギア40aに噛合している。このように、作動部材39に軸支した2段歯車40の小径ギア40bを揺動体37の第1のラック37eに噛合すると共に、この2段歯車40の大径ギア40aを中継部材42の第2のラック42cに噛合しているため、揺動体37に対する作動部材39の前後進動作を2段歯車40で増速して中継部材42に伝達することができる。
回路基板43には発光体としての複数のLED53が実装それており、この回路基板43は中継部材42の平板部42a上にネジ止めされている。回路基板43の長手方向の一端側には導光体54がネジ止めされており、この導光体54には最先端のLED53の真上に位置する円柱状突部54aが形成されている。また、回路基板43の長手方向の他端側にはコネクタ55が実装されており、このコネクタ55と各LED53は図示せぬ引き回しパターンを介して接続されている。
フラットケーブル44は互いに平行に延びる複数本の導体を一対のベースフィルム間に担持した帯状体であり、このフラットケーブル44の両端をコネクタ55と図示せぬ制御装置に接続することにより、回路基板43上の各LED53に制御装置からフラットケーブル44を介して電力が供給されるようになっている。ここで、フラットケーブル44は止め具45を用いてガイド部材38の受け面38cに固定されており、止め具45とコネクタ55との間でフラットケーブル44をU字状に撓めて長さ方向に余裕を持たせることにより、回路基板43が搭載された作動部材39の前後進動作をフラットケーブル44の伸縮によって吸収するようになっている。以下、この止め具45を用いたフラットケーブル44の取付構造について図16〜図22を参照して詳細に説明する。
図20〜図22に示すように、止め具45は、一対のスナップ脚56aの一端部間を矩形状の平板部56bで橋絡した断面コ字状の本体56と、平板部56bに並設された平面視L字状のフック部57とを有する合成樹脂の成形品であり、本体56とフック部57との間には一側端を開放したスリット58が画成されている。両スナップ脚56aの内壁には係止爪56cがそれぞれ形成されており、平板部56bの裏面には凸部56dが形成されている。
このような止め具45を用いてフラットケーブル44をガイド部材38の受け面38cに固定する場合、まず、フラットケーブル44の所定箇所をガイド部材38の受け面38cに載置した後、このフラットケーブル44の上方から止め具45の両スナップ脚56aをガイド部材38に押し込んで係止爪56cをガイド部材38の係止溝38eに係止する。その際、図19に示すように、平板部56bの裏面に形成した凸部56dが受け面38cに形成した凹部38dに挿入されるため、フラットケーブル44の所定箇所が凸部56dと凹部38dとの間で厚み方向に挟圧される。しかる後、止め具45から突出するフラットケーブル44の先端部分を平板部56bの表面側に折り返してスリット58に挿入し、当該部分をフック部57の裏面側を通って表面側に導出することにより、フラットケーブル44の所定箇所をガイド部材38の受け面38cに対して簡単かつ確実に固定することができる。最後に、図16〜図8に示すように、フック部57の表面側に導出するフラットケーブル44をU字状に撓めてコネクタ55に接続すれば、このU字状部分44aによってコネクタ55と止め具45との間の位置変位を吸収することができる。
図10〜図15に戻り、下側包囲体46には揺動体37の基端部がネジ止めされており、この下側包囲体46に対して上側包囲体47が揺動体37の前面側からスナップ結合されている。これら下側包囲体46と上側包囲体47はバナナの皮を模した装飾体であり、揺動体37と下側包囲体46および上側包囲体47は回転体50に同軸配置されて一体的に回動するようになっている。
また、前述したように、揺動体37の裏面側に配置された外装部材48には中継部材42の側壁部42bがネジ止めされており、この外装部材48に対して他の外装部材49が回路基板43の前面側からスナップ結合されている。これら外装部材48,49はバナナの果実を模した装飾体であり、光透過性の有色樹脂を用いて成形されている。回路基板43の前面側に配置される外装部材49の先端部には透孔49aが形成されており、この透孔49aから導光体54の円柱状突部54aが露出している。これにより、回路基板43に実装されたLED53の光を外装部材49を透して外部に照射することができると共に、最先端のLED53の光を導光体54の円柱状突部54aから外部に直接照射することができる。なお、これら外装部材48,49と中継部材42(回路基板43を含む)および作動部材39(2段歯車40を含む)によってスライド体が構成されている。
次に、このように構成された第1の可動体25の動作を主として図15(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図15において、フラットケーブル44と上側包囲体47および外装部材49は図示省略されている。
回転体50(歯車部材35と鍔状部材36)が初期位置にあるとき、図15(a)に示すように、第1の可動体25は表示画面14aに向けて若干前傾した起立姿勢に保持されており、揺動体37に形成された切欠き部37cの一端は自重によって歯車部材35の駆動突起35eに当接している。この場合、作動部材39はコイルスプリング41に引っ張られてガイド孔37dの後端側に位置しており、中継部材42や回路基板43を内包する外装部材48,49の基端側は下側包囲体46と上側包囲体47の内部に大きく入り込んでいる。
この状態でモータ28の回転(例えば正転)によって歯車部材35が同図の反時計方向へ回転すると、駆動突起35eに自重で当接している揺動体37も歯車部材35と一体的に回動し、図15(b)に示すように、揺動体37はベース板27の下端部近傍に立設されたストッパ27cに当接することによって停止する。これにより、第1の可動体25は支軸34を中心として表示画面14aの前方を起立位置から傾倒位置までに回動し、この間、コイルスプリング41の両端が掛止めされた係止孔39bと係止ピン36eの相対位置は変化しないため、作動部材39は揺動体37と一緒に回動するだけである。
このように揺動体37がストッパ27cに当接して傾倒位置で停止した後、歯車部材35がさらに同方向へ回転すると、図15(c)に示すように、駆動突起35eが切欠き部37c内を一端から他端に向かって移動し、それに伴って鍔状部材36の係止ピン36eが外壁部38aの内側を同図の反時計方向へ回動する。その結果、作動部材39がコイルスプリング41に押されてガイド孔37dの前端側へ移動し、それに伴って中継部材42と回路基板43および外装部材48,49が同図の矢印X1方向へ向かって前進する。このとき、作動部材39に軸支された2段歯車40の小径ギア40bが揺動体37の第1のラック37eに噛合し、大径ギア40aが中継部材42の第2のラック42cに噛合しているため、揺動体37に対する作動部材39の矢印X1方向への動きが2段歯車40で増速されて中継部材42に伝達され、外装部材48,49の基端側が下側包囲体46と上側包囲体47の内部から突出する。したがって、バナナ全体を模した第1の可動体25を表示画面14aの前面に沿って起立位置から傾倒位置まで回動させた後、この傾倒位置でバナナの身を模した外装部材48,49を皮を模した外装部材48,49から突出させるという一連の動きを低トルクで小型の1つのモータ28を用いて行うことができる。
また、作動部材39が矢印X1方向へ移動している途中で回路基板43上の各LED53を基端側から先端側に向かって順次点灯させることにより、各LED53から順次発せられた光が外装部材49を透して外部に照射されると共に、最先端のLED53の光が導光体54の円柱状突部54aから外部に直接照射されるため、外装部材48,49の突出動作とLED53の点灯動作とを関連付けて演出効果を高めることができる。その際、回路基板43上の各LED53にはコネクタ55に接続されたフラットケーブル44から電力供給されるが、前述したように、フラットケーブル44は止め具45を用いてガイド部材38の受け面38cに固定されており、止め具45とコネクタ55との間でフラットケーブル44をU字状に撓めて長さ方向に余裕を持たせてあるため、作動部材39の移動に伴うコネクタ55と止め具45間の相対的な位置変動はフラットケーブル44のU字状部分44aによって吸収される。
なお、第1の可動体25が図15(c)に示す状態にあるとき、モータ28を逆転させて歯車部材35が同図の時計方向へ回転すると、図15(b)に示すように、駆動突起35eが切欠き部37c内を他端から一端に向かって移動し、この間で中継部材42と回路基板43および外装部材48,49が同図の矢印X2方向へ後退する。そして、駆動突起35eが切欠き部37cの一端に当接した後、歯車部材35がさらに同方向へ回転すると、作動部材39が駆動突起35eに押圧されて歯車部材35と一体的に回動し、歯車部材35が初期位置まで回転して停止すると、第1の可動体25は図15(a)に示す起立姿勢に復帰する。
次に、第2の可動体26について詳細に説明すると、図23と図25に示すように、第2の可動体26の後方には支持体59が配設されており、この支持体59の内部には前記回転体50を基端側として上下方向へ延びるスリット60が形成されている。支持体59は装飾体24の裏面に一体形成された部材であり、スリット60の前端側は装飾体24を貫通して開口している。支持体59の後端面の上下2箇所には半円状の切欠き59a,59bが形成されており、これら切欠き59a,59bには駆動リンク61の支軸61aと従動リンク62の支軸62aがそれぞれ回転可能に支持されている。
駆動リンク61の後端側には扇形の受け部61bが形成されており、この受け部61bの後方に回動アーム63が配置されている。回動アーム63は軸部63aを中心に略直交方向へ延びる第1および第2の腕部63b,63cを有しており、第1の腕部63bの先端は駆動リンク61の受け部61bの後端面に接離可能に対向している。第2の腕部63cの先端は前記ソレノイド29のプランジャー29aにピン64を用いて回転可能に結合されており、このソレノイド29は枠状のブラケット65によってベース板27の裏面に固定されている。また、回動アーム63の軸部63aはブラケット65にピン66を用いて回転可能に支持されており、ベース板27には回動アーム63を挿通させる長孔27dが形成されている(図9参照)。ここで、ソレノイド29は内部にスプリング等の復帰機構を持たないタイプであり、非通電時にプランジャー29aは自重によってソレノイド29の本体部分から下方へ突出している。なお、ソレノイド29から第2の可動体26に至る各部品、すなわち回動アーム63と駆動リンク61および従動リンク62により、第2の可動体26を動作させる第2の駆動機構が構成されている。
従動リンク62は駆動リンク61の下方に平行に配置されており、これら駆動リンク61と従動リンク62の先端は第2の可動体26の背面にネジ止めされた連結体67に回転可能に連結されている。図24に示すように、この連結体67は互いに平行な一対の支持壁67a間を取付部67bで橋絡したH形状の成形品であり、両支持壁67aの内面の上下2箇所には突起67cが形成されている。上側2つの突起67cは駆動リンク61の先端側に設けられた軸受部61cの軸孔61dに嵌め込まれ、下側2つの突起67cは従動リンク62の先端側に設けられた軸受部62bの軸孔62cに嵌め込まれている。なお、駆動リンク61の軸受部61cと従動リンク62の軸受部62bはスリット60を通って装飾体24の前方へ突出しており、このスリット60を覆い隠すように装飾体24の前方に配置された第2の可動体26の背面側で連結体67と両軸受部61c,62bとが連結されている。ここで、軸受部61cの外周面には両突起67cを軸孔61dにガイドする一対のテーパ61eが形成され、軸受部62bの外周面にも両突起67cを軸孔62cにガイドする一対のテーパ62dが形成されている。したがって、装飾体24の前方から駆動リンク61と従動リンク62に向けて第2の可動体26を押し込むことにより、スリット60から突出している両軸受部61c,62bの軸孔61d,62cに連結体67の対応する突起67cを簡単かつ確実に嵌め込むことができる。
図25(a)はソレノイド29に通電されていない非通電状態を示し、かかる非通電時にプランジャー29aはソレノイド29の本体部分から下方へ突出しており、回動アーム63の第1の腕部63bの先端は駆動リンク61の受け部61bの後端面下部と当接してしている。この場合、駆動リンク61の上端は支持体59の天井面59c(スリット60の上端)から大きく離れており、駆動リンク61と従動リンク62の先端に連結された第2の可動体26は上下方向(矢印Y1−Y2)の最下部に位置している。
ソレノイド29に通電されると、図25(b)に示すように、プランジャー29aが上方へ引き込まれるため、回動アーム63が軸部63aを中心に同図の時計方向へ回転し、駆動リンク61が第1の腕部63bからの押圧力を受けて上方へ回転する。また、従動リンク62も駆動リンク61に同期して上方へ回転し、それに伴って第2の可動体26が最下部から矢印Y1方向へ上昇する。その際、プランジャー29aの上死点で回動アーム63が停止しても、駆動リンク61は天井面59cと当接する位置までは回転しておらず、両者間に微小寸法のクリアランスC1が確保されるようになっている。ただし、回動アーム63と駆動リンク61はピン等を用いて結合されておらず、単に第1の腕部63bと受け部61bとが接離可能に対向配置されているだけであるため、図25(c)に示すように、駆動リンク61は回動アーム63の停止後も慣性によってクリアランスC1内を上方へ回転して天井面59cに衝突した後、その反動で下方へ回転して回動アーム63の第1の腕部63bに衝突し、かかる動作を慣性力がなくなるまで続けて停止する。したがって、ソレノイド29への通電に伴って回動アーム63が図25(b)に示す角度で停止した後も、第2の可動体26はクリアランスC1の範囲内で矢印Y1−Y2方向へ僅かに上下動作を繰り返し、その間、第2の可動体26はガクガクと不規則な動きで上下動することとなる。
前述した第1の可動体25と第2の可動体26は、遊技球が始動入賞口16,18に入賞することを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果に応じて単独または複合的に動作されるようになっている。例えば、スーパーリーチ時などに第1の可動体25を起立位置と傾倒位置との間で揺動動作だけさせたり、この揺動動作に引き続いて第1の可動体25を傾倒位置で前後進動作させたり、あるいは第1の可動体25の傾倒位置での前後進動作に連動して第2の可動体26を上下動させる、というように第1の可動体25と第2の可動体26の可動態様にバリエーションを持たせるようになっており、遊技者はこれらの可動態様によって大当たりである可能性が高いのではないかとドキドキしながら遊技を楽しむことができる。
以上説明したように本実施形態例に係る可動役物装置13では、装飾ケース12の一部をなす装飾体24の内部にベース板27をその上端が後端よりも前方へ突出した前傾姿勢で配置し、このベース板27の下端部前方にできる下側スペースS1に、第1の可動体25の駆動源であるモータ28を第1および第2の可動体25,26と平面的にオーバーラップしない位置関係で配置すると共に、ベース板27の上端部後方にできる上側スペースS2に、第2の可動体26の駆動源であるソレノイド29を第2の可動体26と平面的にオーバーラップする位置関係で配置したので、モータ28とソレノイド29を装飾体24の内部の限られた実装スペースにコンパクトに配置することができ、その分、第1および第2の可動体25,26の大きさや動きに設計上の自由度を持たせることができる。
その際、モータ28をその回転軸の軸線方向がベース板27の板面と直交するように配置すると共に、プランジャー29aがベース板27の板面と平行な面内を上下動するようにソレノイド29を配置したので、モータ28とソレノイド29をそれぞれ対応する部位にスペース効率良く配置することができる。しかも、下側スペースS1近傍のベース板27に回転体50と歯車33a,33bを軸支すると共に、第1の可動体25が回転体50を回動中心として可変表示装置14の表示画面14aの前方を揺動するようにしたので、モータ28を駆動源とする第1の可動体25の駆動機構をベース板27上にコンパクトに配置することができる。さらに、第2の可動体26とソレノイド29との間に駆動リンク61と従動リンク62および回動アーム63で構成されたリンク機構を介設し、このリンク機構によってプランジャー29aの往復移動を第2の可動体26の上下運動に動力伝達するようになすと共に、装飾体24に一体形成された支持体59に駆動リンク61と従動リンク62を挿通させるスリット60を設け、このスリット60を回転体50を基端側として上方へ延出させたので、ソレノイド29を駆動源とする第2の可動体26の駆動機構を上側スペースS2近傍にコンパクトに配置することができる。したがって、装飾ケース12(装飾体24)の内部の限られた実装スペースに第1および第2の可動体25,26のそれぞれ駆動機構をスペース効率良く配置することができる。
なお、上記実施形態例では、第1の可動体25の駆動源である第1のアクチュエータとしてモータ28を用いると共に、第2の可動体26の駆動源である第2のアクチュエータとしてソレノイド29を用いた場合について説明したが、第1および第2のアクチュエータとして両方ともモータを用いたり、両方ともソレノイドを用いることも可能である。ただし、2つのアクチュエータに大きさの違いがある場合、容積が大きい方のアクチュエータを下側スペースS1に配置することが好ましい。
また、上記実施形態例では、複合運動(揺動動作とスライド動作)を行う第1の可動体25と上下運動を行う第2の可動体26について説明したが、第1および第2の可動体25,26が他の可動形態で動作する可動役物装置についても本発明は適用可能である。