JP5220077B2 - 吸着走行装置 - Google Patents

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本発明は、ビルの壁面などに吸着して走行する吸着走行装置に関する。
従来から高所作業用のゴンドラに連結し、ゴンドラの上下移動とともに移動しながら壁面に吸着して、ゴンドラの揺れを止めるために、吸着パッドを利用してゴンドラの進行とともに移動する吸着走行装置が知られている。
例えば、特許文献1に示す装置は、複数の吸着パッドを一連に連通させる真空連通パイプに真空ポンプを接続し、この真空連通パイプ内を常時真空状態にしている。そして、各吸着パッドには、その吸着パッドが壁面に接触したとき吸着パッドの内部と真空連通パイプとを連通させるバルブ機構を組み込んでいる。このバルブ機構は、吸着パッドが壁面に接触して作用する力によって接触を検知する接触検知機構を備え、壁面との接触を検知したときに開弁動作するものである。
これにより、壁面側に位置する吸着パッドのみが真空ポンプによって吸引されるようにしている。
特開2008−207746号公報 特許第2520351号公報 特開2006−326712号公報
上記特許文献1のような従来の装置は、各吸着パッドに壁面との接触を機械的に検出する接触検知機構と開閉弁とを設けるとともに、複数の吸着パッドを一連に連通させる真空連通パイプを備えることによって、壁面と対向する側の吸着パッドのみ真空ポンプと連通し、吸着力を発揮させることができるようにしている。
このように上記吸着パッドは壁面との接触によって作用する力によって真空連通パイプを介して真空ポンプ側と連通するバルブ機構を備えているので、吸着パッドが壁面と正対した時点で壁面に接触してある程度の大きさの力を受けていなければならない。
そのため、壁面側に位置する吸着パッドと壁面との距離を小さく設定しておく必要がある。もし、壁面に対向する吸着パッドと壁面との間隔が大きすぎると、上記接触検知機構が壁面との接触を検知し難くなって、吸着パッドのバルブ機構が開かないという問題が発生するからである。
しかし、上記壁面との間隔を小さくし過ぎると、壁面とは反対側に位置する吸着パッドがチェーンの回転に伴って移動して壁面と正対するまでの回転過程において、その進行方向前方側の端部が壁面に接触して擦られてしまうことがある。このように、吸着パッドの端部が壁面で擦られると、吸着パッドが破損し、その破損箇所から真空漏れが発生してしまうことになる。
特に、この特許文献1の装置では、常時真空ポンプと接続した上記真空連通パイプを備えたことにより、これに接続された吸着パッドのうち一つでも真空漏れを起こした場合、他の吸着パッドの真空度までも落としてしまう可能性がある。これを防止するためには、真空ポンプのパワーを上げたり、頻繁に吸着パッドを交換したりする必要があり、吸着力の安定性や経済性に劣るという問題があった。
この発明の目的は、被吸着面とは反対側から被吸着面側に方向転換する吸着パッドが、方向転換の過程において被吸着面に接触することが無く、正対してからは確実に被吸着面に接触するとともに、真空ポンプの作用によって安定した吸着力を発揮することができる吸着走行装置を提供することである。
第1の発明は、装置本体に、一対の無端状の運動伝達要素間に複数の支持板をかけ渡してクローラ機構を構成する一方、各支持板には、当該支持板の板面に対して直角方向に移動可能な吸着パッドと、上記吸着パッドを移動するための電動アクチュエータと、吸着パッド内を吸引する電動真空ポンプとを備え、上記吸着パッドが被吸着面に対して吸引力を発揮したり、その吸引力を開放したりして、吸着パッドを設けた上記支持板と装置本体とが相対移動する構成にし、上記支持板には、電動アクチュエータに接続したアクチュエータ用接点と、上記電動真空ポンプに接続したポンプ用接点とを設け、上記装置本体における上記アクチュエータ用接点の移動軌跡上には、上記吸着パッドを被吸着面に向かって移動させるための電動アクチュエータの進出用電源に接続した進出用電極と、吸着パッドを被吸着面から離す方向に移動させるための電動アクチュエータの後退用電源に接続した後退用電極とを設け、上記進出用電極は、当該装置本体に対して相対移動する吸着パッドが被吸着面に対向し始めてから所定の位置まで移動する範囲内に対応させ、上記後退用電極は、上記吸着パッドが被吸着面から離れてから所定位置まで移動する範囲に対応させてなり、さらに、ポンプ用接点の移動軌跡上には上記電動真空ポンプの電源に接続したポンプ用電極を設けるとともに、このポンプ用電極は、少なくとも上記吸着パッドが進出して被吸着面に接触し始める位置から、吸着パッドが被吸着面から離れ始めるより前の所定の位置までの範囲に対応させてなることを特徴とする。
第2の発明は、上記ポンプ用電極が、上記装置本体が一方向へ走行する際に上記吸着パッドが被吸着面に接触し始める位置から所定の距離移動した位置までに対応させた第1電極と、上記装置本体が他方向へ走行する際に上記吸着パッドが被吸着面に接触し始める位置から所定の距離移動した位置までに対応させた第2電極と、これら第1電極および第2電極間に設けた第3電極とからなり、上記第1〜第3電極は、上記ポンプ用接点の移動軌跡上において隣り合う電極間に隙間を形成し、第1〜3電極のそれぞれは第1〜3電源を別々に対応させ、装置本体が一方向に走行するとき、第1,3電極をオンにして第2電極をオフにし、装置本体が他方向に走行するとき、第2,3電極をオンにして第1電極をオフにすることを特徴とする。
第3の発明は、上記電動アクチュエータは電動モータからなり、上記支持板の板面に対して直角方向に移動可能にした支持軸に上記吸着パッドを設けるとともに、この支持軸は伝達機構を介して上記電動モータに連結して電動モータの回転力で移動する構成にする一方、上記伝達機構には支持軸に一定以上のトルクが作用したとき電動モータと支持軸との間の伝達力を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とする。
第1〜第3の発明では、支持板に設けた吸着パッドが、被吸着面に対向し始めてから、吸着パッドを被吸着面に対して進出させるようにしているため、吸着パッドが被吸着面に対向するまでは被吸着面と吸着パッドとの距離を大きく設定することができる。そのため、吸着パッドが被吸着面に対向する過程で被吸着面に接触して擦れて破損してしまうようなことがない。
このように、吸着パッドが被吸着面との摩擦によって破損することがないので、その耐久性が向上するとともに、吸着時の真空漏れも発生しにくく安定した吸着力を得ることができる。
また、支持板ごとに真空ポンプを備え、この真空ポンプのオン・オフによって吸着パッドの吸引力を発揮させたり開放させたりするので、他の吸着パッドの影響を受けず、無駄なく効率的に吸着状態を作ることができる。
しかも、被吸着面側において、必要な位置に設けたポンプ用電極及びモータ用電極によって、被吸着面側に位置した支持板のポンプ用接点及びアクチュエータ用接点に給電するようにしたので、支持板の位置を特定するための特別な位置検出機構を設けることなく、必要な位置で吸着パッド内を被吸着面に対して進出させるとともに真空にすることができる。
特に、吸着パッドを被吸着面に押し付けてから真空ポンプを作動させることができるので、吸着パッド内を確実に減圧することができる。また、真空ポンプの動力を無駄にすることもない。
第2の発明では、第3電極を常時オンにしたまま、装置本体の走行方向に応じて第1電極あるいは第2電極をオンにする構成にしたので、一装置を設置したままで走行方向が反対になっても対応することができる。
第3の発明によれば、電動モータによって必要以上に強い力で吸着パッドを被吸着面に押し付けることがなくなる。そのため、電動モータに過負荷を掛けることがないだけでなく、吸着パッドの破損も防止できる。言い換えれば、被吸着面に段差があったとしても、吸着パッドの押圧力を一定に保って、常に安定した吸着力を維持できることになる。
図1は実施形態における装置本体の全体を示した斜視図である。 図2は実施形態における装置本体上面図である。 図3は実施形態における装置本体の斜視図であって、一方のサイドプレート及びシャフトを省略した図である。 図4は実施形態の支持板を中心とする吸着ユニットの斜視図である。 図5は実施形態の給電の斜視図であり、ポンプ用電極を示した図である。 図6は実施形態の給電の斜視図であり、モータ用電極を示した図である。 図7は実施形態のポンプ用電極とモータ用電極との位置関係を説明するための説明図である。 図8は実施形態の真空破壊弁の動作説明図である。 図9は実施形態において吸着パッドに接続した真空配管を示した回路図である。 図10は、実施形態の真空ポンプ及び電動モータを制御するコントローラのブロック図である。 図11は、実施形態において装置本体の走行方向を検出するためのセンサとスリット板とを示した模式図である。 図12は、図11に示したセンサの出力信号を示したグラフであり、(a)は、図11においてへスリット板が矢印α方向へ回転した場合、(b)はスリット板が矢印β方向へ回転した場合の出力信号を示している。
図1〜図12にこの発明の一実施形態を示す。
この実施形態の吸着走行装置は、図1に示す装置本体1を被吸着面に対向させ、連結したワイヤーなどで牽引し、後で説明する吸着パッド18が被吸着面に対して吸着力を発揮したり、その吸着力を開放したりしながら走行する吸着走行装置である。
上記装置本体1は、一対のサイドプレート1a間に4本のシャフト1bを渡して構成され、上記サイドプレート1a,1aには一対の回転軸2を設けている。また、各回転軸2の両端付近には一対の歯車3,4を設けている。なお、図中、符号1cは、この実施形態の吸着走行装置を被吸着面に沿って走行させる際に、ウインチで巻きとるワイヤーなどを連結する連結部である。
そして、上記一対の回転軸2,2の歯車3,3、及び歯車4,4にこの発明の無端状の運動伝達要素である無端状のチェーン5,6を掛け渡し、これらチェーン5,6とともに歯車3,4と回転軸2とが一体回転するようにしている。
また、上記歯車4のうち一方の歯車4には、歯車4と一体的に回転するスリット板37を取り付けている。このスリット板37は、後で詳しく説明するが、チェーン5,6の回転方向を検出するために用いる部材である。
なお、図1〜図3において、歯車3,4の歯及びチェーン5,6は一部のみを示し、他は省略している。図3は装置本体1の内部を示すため、一方のサイドプレート1aと、1本のシャフト1bを省略している。
さらに、上記対向する上記歯車3,4の内側には、後で説明する電極を取り付けた給電プレート7,8を取り付けている。この給電プレート7,8は図1の上下方向である装置本体1の走行方向に長くし、チェーン5,6の移動軌跡に沿った形状の板部材である(図1,3,5,6参照)。
上記給電プレート7,8には、上記各回転軸2を貫通させる図示しない軸孔を備え、この軸孔によって回転軸2の回転を妨げないように構成にしている。
そして、上記給電プレート7は、その両側であって回転軸2に固定した固定部材9a,9bによって回転軸2上の軸方向位置を固定されている。同様に、もう一方の電極保持プレート8は、その両側に設けた固定部材10a,10bによって回転軸2上の位置を固定されている。
このように構成することにより、一対の給電プレート7,8の間隔及びこれら給電プレート7,8の装置本体1内の相対位置が維持されることになる。
また、上記チェーン5,6間には複数の支持板11を掛け渡してクローラ機構を構成している。各図では、一部の支持板11のみを示しているが、実際にはチェーン5,6の移動軌跡全周に沿って複数の支持板11を設けている。
支持板11には、図4に示すように、両脇に起立する支持片12,13を固定している。上記支持片12にはボルト孔12aを形成し、このボルト孔12aにチェーン5に取り付けたボルト14(図2参照)を貫通させるとともに、このボルト14にナット15を締め付けて、支持片12にチェーン5を固定している。
また、上記支持片12と対向する支持片13にも、支持片12と同様にボルト孔13a(図3参照)を設け、このボルト孔にチェーン6に取り付けたボルト14(図2参照)を貫通させ、ナット15を締め付けることによって支持片13とチェーン6とを固定している。
このように、両脇の支持片12,13を介して、各支持板11は一対のチェーン5,6に固定される。
図4に示すように、上記支持板11には、支持板11を貫通して支持板11の板面に直交する方向に進退可能にしたガイド棒16,16を設けるとともに、このガイド棒16,16の一端には、支持板11と平行なパッド支持板17を固定している。そして、このパッド支持板17には一対の吸着パッド18,18を設けている。この吸着パッド18は、内部を減圧することによって、被吸着面に吸着して装置本体1を被吸着面に固定するものであり、円盤状の金属製パッドベース18aの外周に沿って柔軟性及び密着性に優れた樹脂材料などで構成したシール部18bを設けた部材であり、上記シール部18b内に連通し、図示しない真空パイプを連結する接続部18cを備えている。そして、この実施形態の吸着走行装置を動作させたとき、上記シール部18bが被吸着面に密着して吸着パッド18を被吸着面に吸着させる。
なお、上記支持板11に対し、吸着パッド18が配置される側が、装置本体1の外周側となる。
また、図4において、支持板11の上方となる装置本体1の内側には、上記吸着パッド18,18内を減圧するための電動の真空ポンプPを設けている。この真空ポンプPと上記吸着パッド18の接続部18cとを図示しない真空パイプによって接続するが、上記パッド支持板17及び上記支持板11には、この真空パイプを貫通させるための貫通孔を形成している。
なお、図の説明において上下というのは図面における位置関係のことで、実際の装置の使用状況における上下とは必ずしも同じではない。
さらに、支持板11には、パッド支持板17を支持板11の板面に対して直角方向に移動させるためのこの発明の電動アクチュエータとしての電動モータMを設けている。この電動モータMの出力軸にはギア19を設けるとともに、このギア19にはトルクリミッタ20を介してスクリューシャフト21(図3,4参照)を連係している。このトルクリミッタ20は、その回転軸の回転トルクが設定値以下の場合に上記電動モータMの回転をスクリューシャフト21へ伝達するが、トルクが設定値を超えた場合には電動モータMとスクリューシャフト21との連携を遮断し、スクリューシャフト21へ回転力を伝達しないように機能する。
上記トルクリミッタ20を、支持板11に固定した支持台22に取り付け、この支持台22の下方には第1筒部材23を設けている。この第1筒部材23が上記スクリューシャフト21の外周との間に間隔を保って囲むようにしている。また、この第1筒部材23の下端を開口させるとともに、この開口に対応する支持板11の中央部には貫通孔を形成し、上記スクリューシャフト21をパッド支持板17側へ突出させている。
一方、パッド保持板17の中央には、上記スクリューシャフト21にかみ合う雌ねじを備え、両端を開口させた第2筒部材24を固定し、この第2筒部材24の雌ねじに上記スクリューシャフト21をかみ合わせている。従って、スクリューシャフト21が回転すると、第2筒部材24が軸方向に移動する。すなわち、スクリューシャフト21の回転方向に応じてパッド支持板17及び吸着パッド18が上記支持板11から装置本体1の外方へ進出したり後退したりする。
このとき、上記一対のガイド棒16が、上記スクリューシャフト21の回転に伴って第2筒部材24が回転することを防止し、パッド支持板17が上記支持板11に対して平行状態を維持して移動するように機能する。
この実施形態においては、上記第2筒部材24が、上記支持板11に板面に対して直角方向に移動可能にしたこの発明の支持軸を構成し、上記ギア19、トルクリミッタ20及び上記スクリューシャフト21がこの発明の伝達機構を構成している。さらに、上記トルクリミッタ20が、上記支持軸である第2筒部材24に一定以上のトルクが作用したとき電動モータMとの間の伝達力を遮断する遮断手段を構成する。
また、上記支持板11には、図示していないが、電動モータMに給電していない状態で、電動モータのブレーキとして機能する電気ブレーキ基板を設けている。この電気ブレーキ基板は、電動モータMのプラスマイナスの両極を短絡可能なリレー回路を設けモータの逆起電力によりモータの回転にブレーキを掛けるものである。つまり、電動モータMに給電されていないとき、吸着パッド18を進退させる方向の外力が作用し、その外力がスクリューシャフト21を回転させる力として作用したとしても、スクリューシャフト21に連結した電動モータMの回転にブレーキがかかっているので、スクリューシャフト21が回転せず、吸着パッド18の位置を保持できる。
なお、第2筒部材24の外径を第1筒部材23の内径よりも小さくし、吸着パッド18が後退する際には、第2筒部材24が第1筒部材23内に収容されるようにしている。また、パッド支持板17の中央には貫通孔を形成し、吸着パッド18とともにパッド支持板17が後退したときには、上記貫通孔から上記スクリューシャフト21が突出するようにしている。
また、上記支持片12上には一対のポンプ用接点25,25を設け、このポンプ用接点25,25を図示しない配線によって支持板11上の真空ポンプPに接続している。
そして、このポンプ用接点25,25は、対向する給電プレート7に設けた後で詳しく説明するポンプ用電極に接触して真空ポンプPに給電するようにしている。
さらに、支持片12上には給電プレート7の外周に摺接する一対のガイド部材26,26を設けるとともに、支持片12の側面にはサイドプレート1aに取り付けた直線状のガイドレール27(図1,3参照)に摺接するガイドローラ28,28を設けている。なお、サイドプレート1aにおいて上記ガイドレール27を備えている側が、被吸着面側となる。
さらに、上記支持板11には真空破壊弁32,33を設けている。この真空破壊弁32、33は、図9に示すように、真空ポンプPと吸着パッド18とを接続する経路中に設け、通常は図示の閉弁状態を保ち、所定の位置においてのみ開弁して吸着パッド18の真空を破壊するようにしている。この真空破壊のタイミングについては後で説明する。
なお、図9中の符号36は、他の図には示していないが、上記支持板11において上記ガイド棒16の近傍に設けた真空漏れ防止弁である。この真空漏れ防止弁36は、吸着パッド18内の真空度が低い場合には吸着パッド18と真空ポンプPとの間の連通路を最小限に絞り、吸着パッド18内の真空度が高くなると絞りを開放する機構を備えた弁である。このような漏れ防止弁36を設ければ、一方の吸着パッド18のシール部18bが被吸着面の凹凸などによって密着できずに真空漏れが発生した場合にも、大気との連通を最小限にして並列に接続されたもう一方の吸着パッド18への影響を最小限にとどめることができる。
一方、上記ポンプ用接点25に対向する給電プレート7には、電源に接続するポンプ用電極を設けているが、このポンプ用電極は、図5に示すようにポンプ用第1電極部29a、ポンプ用第2電極部29b、ポンプ用第3電極部29cの3つの部分に分かれている。これらポンプ用第1〜第3電極部29a〜29cは、上記ポンプ用接点25,25の移動軌跡のうち被吸着面と対向する側に断続的に設けられ、それぞれ直流電源のプラス、マイナスに接続する一対の線状電極からなる。そして、これら各電極部に電圧が印加されたとき、真空ポンプPが作動して上記吸着パッド18内を減圧し、吸着力を発揮させるようにしている。
また、図7に示すように上記ポンプ用第1〜第3電極部29a〜29cは、それぞれ、ポイントx1からx2までのポンプ用第1電極部29a、ポイントx2からx3までのポンプ用第2電極部29b、ポイントx3からx4までのポンプ用第3電極部29cとなっている。
上記ポイントx1は装置本体1の走行方向が矢印A方向であって、チェーン5、6が矢印α方向に回転した場合に、上記支持板11の板面、すなわち吸着パッド18が被吸着面に対向し始める位置であり、ポイントx4は、被吸着面に対向した吸着パッドが被吸着面から離れ始める位置である。
反対に、装置本体1が矢印B方向へ走行し、チェーン5,6が矢印β方向に回転する場合には、上記ポイントx4が、吸着パッド18が被吸着面に対向し始める位置で、ポイントx1が、吸着パッド18が被吸着面から離れ始める位置となる。
そして、この実施形態においては、装置本体1を上記矢印A方向に走行させる際には、上記ポンプ用第1電極部29a及びポンプ用第2電極部29bに直流電圧を印加して、真空ポンプPを作動させるようにしている。つまり、吸着パッド18は、チェーン5,6の移動軌跡に沿って移動し、被吸着面に対向し始めるポイントx1から被吸着面から離れ始めるポイントx4よりも手前のポイントx3までの間に真空ポンプPによって真空に引かれて被吸着面に対する吸引力を保つことになる。
また、吸着パッド18がポイントx3を過ぎると真空ポンプPには給電されなくなり、吸着力は開放される。
但し、シール部18bと被吸着面との間からの自然リークだけでは、吸着パッド18の吸着力が直ちに無くなることはない。この実施形態では、上記真空ポンプPをオフにするとともに、真空破壊弁32を開弁させて吸着力をなくして、上記ポイントx4において吸着パッド18が被吸着面から速やかに離れるようにしている。
さらに、装置本体1を矢印B方向に走行させ、チェーン5,6が矢印β方向に回転する場合には、上記ポンプ用第1電極部29aには電圧を供給せず、ポンプ用第2電極部29b及びポンプ用第3電極部29cに給電する。つまり、装置本体1を矢印B方向に走行させる場合にも、吸着パッド18は、被吸着面に対向し始めるポイントx4から被吸着面から離れ始めるポイントx1よりも手前のポイントx2までの間、真空ポンプPによって真空に引かれて被吸着面に対する吸引力を保つことになる。
また、このように装置本体1が矢印B方向に走行する場合にも、吸着パッド18がポイントx2を過ぎると真空ポンプPには給電されなくなり、吸着力は開放される。この場合にも、真空ポンプPをオフにするとともに上記真空破壊弁33を開弁させて、上記ポイントx1において吸着パッド18が被吸着面から速やかに離れるようにしている。
この実施形態において装置本体1が一方向である矢印A方向に走行するときのみオンになるポンプ用第1電極部29aがこの発明のポンプ用電極の第1電極であり、装置本体1が他方向である矢印B方向に走行するときにのみオンになる上記ポンプ用第3電極部29cがこの発明の第2電極である。さらに、走行方向にかかわらずオンになる上記ポンプ用第2電極部29bがこの発明の第3電極に相当する。
そして、この実施形態の吸着走行装置は、走行方向に応じてポンプ用電極の各電極部をオン・オフすることで、走行方向が何れの場合にも、適切なタイミングで吸着パッド18内を真空状態にして吸着力を発揮させたり、吸着力を消滅させたりすることができる。
さらにまた、上記支持板11のもう一方の支持片13上には、図4に示すように、一対のモータ用接点30,30を設けている。また、この支持片13にも上記支持片12と同様に、他方の給電プレート8の外周に摺接するガイド部材26,26及びガイドローラ28,28を備えている。
そして、上記モータ用接点30に対向する給電プレート8には、電源に接続するモータ用電極を設けているが、このモータ用電極は、図6、図7に示すようにモータ用第1電極部31a、モータ用第2電極部31b、モータ用第3電極部31c、モータ用第4電極部31dの4つの部分に分かれている。
これらモータ用第1〜第4電極部31a〜31dは、上記モータ用接点30,30の移動軌跡のうち被吸着面側に断続的に設けられ、それぞれ直流電源のプラス、マイナスに接続する一対の線状電極からなる。そして、これら各電極部に電圧が印加されたとき、この電極部に接触したモータ用接点30,30を介して給電された電動モータMが作動して上記スクリューシャフト21を回転させる。このスクリューシャフト21の回転によって吸着パッド18を被吸着面側へ進出させたり、装置本体1側へ後退させたりするようにしている。
但し、上記モータ用第1〜第4電極部31a〜31dには、装置本体1の走行方向によって電圧を印加したりしなかったりする。
上記給電プレート8に設けたモータ用電極は、図7に示すように、装置本体1の走行方向が矢印A方向の場合に、矢印α方向に移動する吸着パッド18が被吸着面に対向し始めるポイントx1を過ぎてから所定の位置まで移動する間に設けたモータ用第2電極部31bと、上記吸着パッド18が被吸着面から離れてから所定位置まで移動する範囲に設けた第4電極部31dとを備えるとともに、上記走行方向が矢印B方向の場合に、矢印β方向に回転する吸着パッド18が被吸着面に対向し始めるポイントx4を過ぎてから所定の位置まで移動する間に設けたモータ用第3電極部31cと、吸着パッド18が被吸着面から離れてから所定位置まで移動する範囲に設けたモータ用第1電極部31aとを備えている。
そして、装置本体1を矢印A方向に走行させる場合には、モータ用第2電極部31bには、電動モータMによって回転するスクリューシャフト21の回転方向が吸着パッド18を進出させる方向になるように印加電圧の極性を設定し、モータ用第4電極部31dの印加電圧の極性は、上記モータ用第2電極部31bの印加電圧とは反対極性にして、モータ用接点30がモータ用第4電極部31dに接触したときには吸着パッド18を装置本体1側へ後退させるようにする。
このとき、他の電極部であるモータ用第1電極部31a及びモータ用第3電極部31cには電圧を印加しない。
すなわち、上記走行方向が矢印A方向の場合には、上記モータ用第2電極部31bがこの発明の進出用電極であり、上記モータ用第4電極部31dが後退用電極である。そして、各電極部31b,31dに接続した電源がそれぞれ進出用電源であり、後退用電源である。
一方、装置本体1を矢印B方向に走行させる場合には、矢印β方向に回転する吸着パッド18が被吸着面に対向し始めるポイントx4から所定の位置まで移動する間に設けたモータ用第3電極部31cに、吸着パッド18を進出させる方向の極性の電圧を印加して電動モータMを回転させるとともに、上記モータ用第1電極部31aには上記モータ用第3電極部32cとは反対極性の電圧を印加して吸着パッド18を装置本体側へ後退させるようにする。
このとき、他の電極部であるモータ用第2電極部31b及びモータ用第4電極部31dには給電しない。
すなわち、上記走行方向が矢印B方向の場合には、上記モータ用第3電極部31cがこの発明の進出用電極であり、上記モータ用第1電極部31aが後退用電極である。そして、各電極部31c,31aに接続した電源がそれぞれ進出用電源であり、後退用電源である。
これにより、装置本体1の走行方向によらず、吸着パッド18は、被吸着面から離れたら装置本体1側へ後退してその位置を保ち、被吸着面に対向してから被吸着面側に進出することになる。そのため、被吸着面に対向する前の方向転換過程において、吸着パッド18が被吸着面で擦られて破損するようなことがない。
しかも、吸着パッド18が被吸着面に対向したとき、上記電動モータMによって被吸着面へ向かって進出するので、被吸着面に密着して効率的に吸着パッド18内部の真空度を上げることができる。
さらに、上記したように電動モータMの回転軸にはトルクリミッタ20を連結しているため、進出した吸着パッド18が被吸着面に接触して、その押圧力が大きくなって回転トルクが大きくなると、電動モータMの回転力を上記スクリューシャフト21へ伝達しなくなる。これにより、被吸着面に対して吸着パッド18が必要以上に強く押し付けられることが無い。また、被吸着面に段差があったとしても、吸着パッド18の押圧力を一定に保つことができる。すなわち、段差を有する被吸着面に対しても、吸着パッド18を吸着させて装置本体1の走行を安定させることができる。
また、この実施形態では、上記両支持片12,13において、ガイド部材26,26が、給電プレート7,8に摺接し、ガイドローラ28,28がガイドレール27に摺接することによって、チェーン5,6の移動に伴って移動する支持板11の軌道をより安定したものにしている。
また、この実施形態において、上記した給電プレート7,8に設けたポンプ用電極と、モータ用電極との位置関係は図7に示すとおりである。
すなわち、装置本体1が矢印A方向に走行する場合、矢印α方向に回転して被吸着面に対向した吸着パッド18を被吸着面に向かって進出させるための上記モータ用第2電極部31bにほぼ対応する位置から、吸着パッド18を被吸着面から後退させるためのモータ用第4電極部31dとの間に、真空ポンプPに給電するポンプ用第1、第2電極部29a、29bを設けているが、上記ポンプ用第2電極部29bの後端を吸着パッド18が被吸着面から離れ始めるポイントx4よりも手前のポイントx3としている。そのため、吸着パッド18のポンプ用接点25がこのポイントx3に達した時点で真空ポンプPがオフになり、上記ポイントx4までの間に吸着力が低下するようにしている。
特に、この実施形態では、ポイントx3に達して真空ポンプPをオフにしたら、上記真空破壊弁32を開弁させて真空破壊を促進するようにしている。
このように、吸着パッド18内の真空破壊が速やかに行なわれれば、吸着パッド18の後退動作もスムーズになり、よりスムーズな走行が可能になる。例えば、吸着パッド18内の真空度が高く、吸着力が強い状態で電動モータMによって吸着パッド18を後退させた場合には、被吸着面に吸着している吸着パッドを強引に剥離させることになる。その場合には、装置本体1に振動が発生してスムーズな走行が妨げられるだけでなく、振動によって吸着状態の吸着パッド18までもが剥離してしまう可能性があるが、この実施形態のように真空破壊をスムーズに行なえば、上記のような問題も起こらない。
また、装置本体1の走行方向が矢印B方向の場合にも、上記と同様に、矢印β方向に回転、被吸着面に対向した吸着パッド18を被吸着面に向かって進出させるための上記モータ用第3電極部31cにほぼ対応する位置から、吸着パッド18を被吸着面から後退させるためのモータ用第1電極部31aとの間に、真空ポンプPに給電するポンプ用第3、第2電極部29c、29bを設けているが、上記ポンプ用第2電極部29bの後端を吸着パッド18が被吸着面から離れ始めるポイントx1よりも手前のポイントx2としている。そのため、吸着パッド18のポンプ用接点25がこのポイントx2に達した時点で真空ポンプPがオフになり、上記ポイントx1までの間に吸着力が低下するようにしている。
特に、この実施形態では、ポンプ用接点25がポイントx2に達して真空ポンプPをオフにしたら、上記真空破壊弁33を開弁させて真空破壊を促進するようにしている。
但し、ポンプ用電極と、モータ用の進出電極及び後退電極の位置関係は、図7に示すものに限らない。吸着パッド18を被吸着面側に進出させるタイミングが、吸着パッド18が被吸着面に正対してからであり、吸着パッド18を後退させるタイミングが自然リークあるいは真空破壊によって吸着力が低下してからであれば、スムーズな走行が可能である。
上記したように、この実施形態では、真空ポンプPをオフにするとともに真空破壊弁32,33を開弁させて真空破壊を行なっているが、上記真空破壊弁32が装置本体1の走行方向が上記矢印A方向のときに機能する弁で、真空破壊弁33が上記走行方向が矢印B方向のときに機能する弁である。
これら真空破壊弁を開弁させる具体的構成を以下に説明する。
上記真空破壊弁32,33には、それを開弁状態に切り換えるため、ローラ部32a,33aとレバー部32b,33bとからなる一方向作動ローラレバーを備えている(図4参照)。上記レバー部32b,33bを押し込んだとき真空破壊弁32,33が開弁して真空を破壊するようにしているが、上記一方向作動レバーは、ローラ部32a,33aに押圧力を作用させたとき、その押圧力の方向によってローラ部32a,33aがレバー部32b,33bへ押圧力を伝えたり伝えなかったりするものである。
これら真空破壊弁32,33は、どちらも同じ構造なのでここでは一方の真空破壊弁32について図8を用いて説明する。
真空破壊弁32は、図8に示すようにローラ部32aとレバー部32bとを備えているが、このローラ部32aに押圧力を作用させる押圧部材34(図1、図3参照)をサイドプレート1aに取り付けている。
この押圧部材34は図8に示すように傾斜面34a、34bを備えている。この押圧部材34を上記ポンプ用第1電極29a及びポンプ用第3電極29cに対応する位置に設け、サイドプレート1aに対して相対移動する支持板11上の真空破壊弁32の上記ローラ部32aが、上記押圧部材34によって押圧されるようにしている。
上記ローラ部32aは、押圧力の作用方向によってその押圧力を、レバー部32bを押し込む力として伝えるものである。そして、図8(a)に示すように、押圧部材34に対する真空破壊弁32の移動方向によって、ローラ部32aには押圧部材34の斜面34aが当接したり、斜面34bが当接したりする。これら斜面34a,34bのどちらがローラ部32aに当接するのかによって、ローラ部32aに作用する力の方向が変わる。
例えば、真空破壊弁32が押圧部材34に対し矢印α方向に移動した場合には、上記ローラ部32aには斜面34aが当接し、レバー部32bを押し込んで真空破壊弁32を開弁させる。
一方、図8(c)に示すように、真空破壊弁32が矢印β方向に移動して、ローラ部32aが斜面34bに当接した場合には、上記ローラ部32aはレバー部32bに対して回動し、押圧力をレバー部32bに伝達しない。
つまり、真空破壊弁32は押圧部材34に対応する位置まで移動したとしても、その移動方向によっては、真空破壊が起こったり起こらなかったりする。
そこで、この実施形態では、装置本体1が矢印A方向に走行し、真空破壊弁32が矢印α方向に移動する場合には、レバー部32bが押し込まれて真空破壊が起こるように、この一方向作動レバーの向きを設定している。
また、もう一方の真空破壊弁33については特に図示しないが、装置本体1が矢印B方向に走行した場合に、サイドプレート1aに設けた押圧部材35によって開弁し、矢印A方向に走行したときには押圧力がレバー部33bに作用しないように設けられている。
なお、この実施形態では、支持板11上に設けた各部材の配置を図3に示す配置と異なり、トルクリミッタ20を中心に左右反対にしたものを形成し、図3に示す配置の支持板11と反対にした支持板11とを、その移動軌跡に沿って交互に配置するようにしている。但し、支持板11の両脇に設けた支持片12,13の位置は全て同じにしている。
このように、部材の配置が異なる支持板11を交互に設けたのは、真空パイプや、電気配線の位置が片側に偏って集中しないようにするためである。
そのため、上記真空破壊弁32,33も、支持板の両側に位置することになり、それらに対応させた押圧部材34,35も、両サイドプレート1a,1aに設けている。
また、この実施形態の吸着走行装置は、矢印A,B両方向の走行に対応可能であるが、走行方向に応じて、電源のオン・オフを切り換える必要がある。このような電源のオン・オフは、図10に示すコントローラCによって制御している。
このコントローラCは、図示していないが、サイドプレート1aに取り付け、センサS1,S2に接続して支持板11の移動方向を判定する方向判定部38と、交流電源40に接続した電源制御部39とを備えている。
上記電源制御部39は、交流電源40の電圧を直流に変換して、各電極部へ印加するが、方向判定部38によって判定された支持板11の移動方向に応じて、そのオン・オフを制御している。
具体的には、図7に示す矢印A方向に装置本体1が走行し、支持板11が矢印α方向に移動する場合には、ポンプ用第1電極部29a及びポンプ用第2電極部29bをオンにして、ポンプ用第3電極部29cをオフにするとともに、モータ用第2電極部31bとモータ用第4電極部31dとをその極性を反対にしてオンにし、他のモータ用電極部をオフにする。
また、装置本体1の走行方向が矢印B方向で、支持板11が矢印β方向へ移動する場合には、ポンプ用第1電極部29aをオフにして、ポンプ用第2電極部29b及びポンプ用第3電極部29cをオンにするとともに、モータ用第3電極部31cとモータ用第1電極部31aとをその極性を反対にしてオンにし、他のモータ用電極部をオフにする。
なお、図10では、上記支持板11の移動方向が矢印α方向の場合にのみオンにする電極部には実線の矢印を接続し、移動方向が矢印β方向の場合にのみオンにする電極部には破線の矢印を接続している。また、移動方向に限らずオンにするポンプ用第2電極部29bには一点差線の矢印を接続している。
このように、コントローラCの電源端子から各電極部へ電源配線を接続し、電源制御部39は方向判定部38から入力された信号に基づいてオン・オフするだけの単純な制御によって、吸着パッド18を最適なタイミングで被吸着面に対して進出させたり、後退させたりしながら、必要な吸着力を維持することもできる。
なお、上記コントローラCの方向判定部38における方向判定方法を、図11、図12を用いて説明する。
上記方向判定部38に接続したセンサS1,S2は、発光部と受光部とを備え、発光部からの光を受光部が受信したときに一定値の信号を出力する、いわゆるフォトセンサである。このセンサS1,S2は、図2、図3に示すように一方のサイドプレート1aに取り付けたもので、このセンサS1,S2の検出領域を、上記歯車4と一体回転するスリット板37の外周に対応させている。
このスリット板37は、外周に沿って一定の間隔でスリットを形成し、外周を波型にした板である。このスリット板の回転によって各センサS1,S2の発光部からの光がスリット板37で遮断されたときには、センサS1,S2から出力される信号値が「0」となり、発光部がスリットと一致し受光部が受光したときには出力される信号値が「1」となるものとする。
また、上記センサS1とセンサS2とを、上記波の位相をずらした位置に設けている。そのため、スリット板37が回転したとき、各センサS1,S2から出力される信号値は異なる。
上記スリット板37が図11に示す矢印α方向に回転した場合の各センサS1,S2の出力信号は図12(a)に示すようになり、矢印β方向に回転した場合の各センサS1,S2の出力信号は図12(b)に示すようになる。但し、図12に示すグラフは横軸を時間、縦軸を出力信号値とする。
そして、スリット板37がα方向に回転した場合の図12(a)において、センサS1の信号が立ち上がる時刻t1におけるセンサS2の信号値は「1」である。
一方、スリット板37がβ方向に回転した場合の図12(b)において、センサS1の信号が立ち上がる時刻t2におけるセンサS2の信号値は「0」である。
このように、スリット37の回転方向によって、センサS1の出力信号とセンサS2の出力信号との関係が異なる。従って、上記方向判定部38では、一対のセンサS1,S2から入力される信号値に基づいて、スリット板37の回転方向、すなわちチェーン5,6の回転方向あるいは支持板11の移動方向を判定することができる。
但し、支持板11の移動方向や装置本体1の走行方向を判定する方法は、この実施形態のものに限らず、どのようなものでもかまわない。
また、装置本体1の走行方向をコントローラCに入力することができれば、コントローラCで支持板11の移動方向や装置本体1の走行方向を判定しなくても、上記電源制御部39は走行方向に応じた電源制御は可能である。
さらに、装置本体1の走行方向を反対にした場合に、装置本体1を反対向きに設置するようにすれば、走行方向に応じた制御をする必要はない。
但し、この実施形態のように、両方向に対応可能にしておけば、装置本体1を一旦設置した状態で、走行方向を変えることもできる。
なお、上記実施形態において電動モータMがこの発明の電動アクチュエータを構成し、モータ用接点30,30がこの発明のアクチュエータ用接点、モータ用電極がアクチュエータの進出電極あるいは後退電極を構成しているが、上記吸着パッド18を移動させるアクチュエータは電動モータに限らない。上記アクチュエータとしては、給電によって吸着パッド18の移動を制御できるものならよく、例えばソレノイドなどを利用することができる。
また、上記実施形態では、一対の無端状の運動伝達要素としてチェーン5,6を用いているが、この発明の運動伝達要素はチェーンに限らない。例えば、ベルトやワイヤーなど、上記支持板11を掛け渡してクローラ機構を構成できる無端状の部材ならどのようなものでもよい。
また、上記走行安定化装置の装置本体1は、ワイヤーなどで牽引して移動させることによって、走行するようにしたものであるが、上記装置本体1に駆動手段を設けて、例えば、歯車3,4を回転させるようにすれば、被吸着面に吸着しながら移動する自走式装置としても利用できる。
この発明の吸着走行装置は、ビルの壁面などの垂直面や、急傾斜面を安定して上昇あるいは下降するために利用できる。
1 装置本体
5 チェーン
6 チェーン
11 支持板
18 吸着パッド
19 ギア
20 トルクリミッタ
21 スクリューシャフト
24 第2筒部材
25 ポンプ用接点
29a ポンプ用第1電極部
29b ポンプ用第2電極部
29c ポンプ用第3電極部
30 モータ用接点
31a モータ用第1電極部
31b モータ用第2電極部
31c モータ用第3電極部
31d モータ用第4電極部
P (電動)真空ポンプ
M 電動モータ

Claims (3)

  1. 装置本体には、一対の無端状の運動伝達要素間に複数の支持板をかけ渡してクローラ機構を構成する一方、各支持板には、当該支持板の板面に対して直角方向に移動可能な吸着パッドと、上記吸着パッドを移動するための電動アクチュエータと、吸着パッド内を吸引する電動真空ポンプとを備え、上記吸着パッドが被吸着面に対して吸引力を発揮したり、その吸引力を開放したりして、吸着パッドを設けた上記支持板と装置本体とが相対移動する構成にし、上記支持板には、電動アクチュエータに接続したアクチュエータ用接点と、上記電動真空ポンプに接続したポンプ用接点とを設け、上記装置本体における上記アクチュエータ用接点の移動軌跡上には、上記吸着パッドを被吸着面に向かって移動させるための電動アクチュエータの進出用電源に接続した進出用電極と、吸着パッドを被吸着面から離す方向に移動させるための電動アクチュエータの後退用電源に接続した後退用電極とを設けるとともに、上記進出用電極は、当該装置本体に対して相対移動する吸着パッドが被吸着面に対向し始めてから所定の位置まで移動する範囲内に対応させ、上記後退用電極は、上記吸着パッドが被吸着面から離れてから所定位置まで移動する範囲に対応させてなり、さらに、ポンプ用接点の移動軌跡上には上記電動真空ポンプの電源に接続したポンプ用電極を設けるとともに、このポンプ用電極は、少なくとも上記吸着パッドが進出して被吸着面に接触し始める位置から、吸着パッドが被吸着面から離れ始めるより前の所定の位置までの範囲に対応させてなる吸着走行装置。
  2. 上記ポンプ用電極は、上記装置本体が一方向へ走行する際に上記吸着パッドが被吸着面に接触し始める位置から所定の距離移動した位置までに対応させた第1電極と、上記装置本体が他方向へ走行する際に上記吸着パッドが被吸着面に接触し始める位置から所定の距離移動した位置までに対応させた第2電極と、これら第1電極および第2電極間に設けた第3電極とからなり、上記第1〜第3電極は、上記ポンプ用接点の移動軌跡上において隣り合う電極間に隙間を形成し、第1〜3電極のそれぞれは第1〜3電源を別々に対応させ、装置本体が一方向に走行するとき、第1,3電極をオンにして第2電極をオフにし、装置本体が他方向に走行するとき、第2,3電極をオンにして第1電極をオフにする請求項1に記載の吸着走行装置。
  3. 上記電動アクチュエータは電動モータからなり、上記支持板の板面に対して直角方向に移動可能にした支持軸に上記吸着パッドを設けるとともに、この支持軸は伝達機構を介して上記電動モータに連結して電動モータの回転力で移動する構成にする一方、上記伝達機構には支持軸に一定以上のトルクが作用したとき電動モータと支持軸との間の伝達力を遮断する遮断手段を備えた請求項1または2に記載の吸着走行装置。
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