本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、運搬車両であるトラック1の荷台2にパレット3が固定された状態を示している。パレット3には、積層された板ガラス等の貨物4が図示しない固定具により一体に支持されている。また、このトラック1が備える荷台2は、屋根5を備えて周囲を密閉可能な箱型荷台であって、屋根5が跳ね上げ式とされていることにより車幅方向の両側からパレット3の積み降ろしができるようになっている。
パレット3は、図2(a)及び図2(b)に示すように、図2では省略した前記貨物4(積層された板ガラス等)を固定保持する支持板6と、平面視矩形状の底フレーム7と、支持板6を傾斜した状態で支持板6の背面側を支持すべく底フレーム7から起立する柱部8とを備えている。底フレーム7は、車長方向に延びる2つの長辺部7aと車幅方向に延びる2つの短辺部7bとから成る。パレット3の底フレーム7の四隅には、床面との間にフォークリフトのフォーク等を挿入する空隙を形成するために、ブロック状の脚部9が設けられている。そして、各脚部9はその4つの周壁が平坦な垂直面とされ、底フレーム7はその上面が平坦な水平面とされている。
荷台2の床面上には、図3に示すように、一対の枠体(第1枠体10及び第2枠体11)が設置されている。第1枠体10は荷台2の前側に位置し、第2枠体11は荷台2の後ろ側に位置して互いに車長方向に対向している。そして、図1に示すように荷台2に載置されたパレット3を、第1枠体10と第2枠体11とで挟むようにして固定する。
以下、第1枠体10の構成について説明する。なお、第2枠体11は、第1枠体10と同一の構成であるため、第1枠体10のものと同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
第1枠体10は、図3に示すように、車幅方向に延びる基体部12と、該基体部12に一体に連設されて該基体部12の下方に延出する一対の挿入部材13とを備えている。また、第1枠体10は、基体部12の中央に上方押え手段14を備えている。
基体部12には、第1の押え部材である第1伸縮式固定部15が二つ設けられている。第1伸縮式固定部15は第2枠体11と対向する方向(以下、第1の押え方向とする)に進退自在となるよう設けられている。
基体部12の一端部にはアーム部16が取り付けられ、基体部12の他端部に第2伸縮式固定部17が備えられている。第2の押え部材である第2伸縮式固定部17は、第1の押え方向と直交する第2の押え方向に進退自在となるよう設けられている。また、基体部12の長手方向の他端部に設けた荷締機取付部18を介して、ワイヤ19を引張る荷締機20が取り付けられている。
ワイヤ19は、一端をアーム部16に取り付けられ、第1伸縮式固定部15と上方押え手段14と第2伸縮式固定部17とを経由して他端を荷締機20に取り付けられている。ワイヤ19の経路については後述する。
また、基体部12は、図4に示すように断面C字形のリップ溝形鋼で形成され、上記第2枠体11に面する側壁12aと、この側壁12aの上端及び下端から前方に延びる上壁12b及び下壁12cと、上下壁12b、12cの向い合う端部に形成されたリップ部12dとからなる。また、図3に示すように、上方押え手段14には、第1A定滑車21aと第2A定滑車22aと第1B定滑車21bと第2B定滑車22bとが一体に設けられている。
第1枠体10の基体部12には、第1の押え方向の断面をL字型とするライニング板23が取り付けられている。
第1枠体10の基体部12の側面12aには、合成樹脂製の緩衝部材24が取り付けられている。緩衝部材24を設けたことにより、パレット3の脚部9が衝突した場合に緩衝作用が得られると共に、パレット3の脚部9が圧接したときに緩衝部材24が弾発的に圧縮されて脚部9への圧接力及び脚部9との摩擦係合力を増加させることができる。
各挿入部材13は、荷台2の床面に開設された複数の開口25の何れかに選択的に挿入される。各開口25は、荷台2の前後左右方向の夫々に互いに所定間隔を存して形成されており、挿入部材13は、第1枠体10が所望の位置となるように開口25に挿入される。
開口25には、図4に示すように、荷台2の床面から下方に延設されて挿入部材13の挿入を案内する案内部材26が一体に連設されている。そして、開口25に挿着された挿入部材13は、ボルト27により案内部材26に連結され、案内部材26を介して荷台2に位置決め固定される。この開口25に装着された挿入部材13とボルト27で第1枠体10の固定手段を構成している。なお、固定手段は挿入部材13とボルト27に限られず、第1枠体10を荷台2に固定するものであればよい。
上方押え手段14は、図5〜図8に示すように、一端部が第1スペーサ28及び第2スペーサ29を介して基体部12にねじ止めにより取り付けられた支持板30を備えている。支持板30の板厚方向には第1貫通孔31が設けられ、この第1貫通孔31に係止部材32が挿入されている。支持板30の他端部には第2の押え方向を軸線とする第2の支軸33が設けられ、第2の支軸33にアーム板34の一端部が取り付けられている。アーム板34は第2の支軸33に回動自在に軸支されている。
アーム板34の板厚方向には第2貫通孔35が設けられている。第2貫通孔35は長方形の孔であり、この長方形の孔の長辺35aは第1の押え方向に伸び、短辺35bは第2の押え方向に伸びている。長辺35aの長さはL1、短辺35bの長さはL2として形成されている。第2貫通孔35は、アーム板34を回動させて支持板30と重なるときに係止部材32を挿入可能とするよう形成されている。
アーム板34の他端部には、L字型に形成された上方圧接部材36が取り付けられている。上方圧接部材36は、アーム板34と接続する垂直部36aと、この垂直部36aに対して第1の押え方向に概ね直角に形成され第2の支軸33の外周側に形成された水平部36bとを有している。水平部36bの上面には、第1のパッド37がねじ止めで取り付けられている。また、アーム板34への上方圧接部材36の取り付けは、補強板38で補強されている。
係止部材32は、第1貫通孔31の内部を上下方向に移動する係止軸39と、係止軸39に取り付けられて、第1動滑車40を覆うようにして保持する滑車保持部41と、滑車保持部41の下側に取り付けられた第1のバネ42とを備える。第1のバネ42は、第1スペーサ28に取り付けられた係止部43から突出した支柱43aの周りに伸縮自在に支持されている。また、係止軸39の上側には、係止軸39の軸線を回転軸とするストッパ44がボルト45を介して取り付けられている。
ストッパ44は略直方体に形成され、上方向から見たストッパ44の長辺44aの長さはL3、短辺44bの長さはL4として形成されている。長辺44aの長さL3は、第2貫通孔35の短辺35bの長さL2よりも長く、長辺35aの長さL1よりも短い。また、ストッパ44の短辺44bの長さL4は、第2貫通孔35の短辺35bの長さL2よりも短い。
第1スペーサ28の両側の端部には、第1A定滑車21aを支持する第1A支持部材46aと第1B定滑車21bを支持する第1B支持部材46bとが第1スペーサ28に溶接により取り付けられている。また、第1動滑車40の近傍には第2A定滑車22aを支持する第2A支持部材47aと第2B定滑車22bを支持する第2B支持部材47bとが溶接により取り付けられている。
図7及び図8は、アーム板34を回動して、係止部材32が第2貫通孔35を貫通した状態を示している。図7に示すように、第1A支持部材46aと第1B支持部材46bの取り付け位置は、第2A支持部材47aと第2B支持部材47bの取り付け位置よりも高い。そのため、第1A定滑車21aと第1B定滑車21bの取り付け位置は、第2A定滑車22aと第2B定滑車22bよりも高い位置となる。また、上方押え手段14に外力が加えられていないときは、第1動滑車40の位置は、第1A定滑車21a、第1B定滑車21b及び第2A定滑車22a、第2B定滑車22bよりも高い位置となる。
ワイヤ19は、第1A定滑車21a、第1B定滑車21bと、第2A定滑車22a、第2B定滑車22bと、第1動滑車40とに係合されている。また、上方押え手段14は、第1A定滑車21a、第1B定滑車21bと、第2A定滑車22a、第2B定滑車22bと、第1動滑車40とを一体に設けている。
図8に示すように、アーム板34を回動して、係止部材32が第2貫通孔35を貫通すると、第1のパッド37が下方向を向いてパレット3と対向してパレット3と当接可能となる。係止部材32が第2貫通孔35を貫通した状態でストッパ44を90度回転させることにより、アーム板34が係止される。アーム板34及び上方圧接部材36が圧接部材に該当する。
アーム部16は、図9に示すように、基体部12の一端部に取り付けられたアーム固定部48を備えている。アーム固定部48には、アーム支軸49が第1の押え方向及び第2の押え方向に対して垂直な第3の押え方向を軸線方向として設けられている。このアーム支軸49にアーム可動部50の一端部が回動自在に軸支されている。また、アーム可動部50の他端部に貫通孔51が第3の押え方向に対して垂直に形成されている。
この貫通孔51は、角ネジが螺合するネジ溝を有するネジ孔として形成され、貫通孔51に断面角形のネジ山52aを備えた角ネジから成る側方圧接部材52が挿通されている。この角ネジ構造により、側方圧接部材52が軸方向に移動可能であると共に、その先端部をパレット3の脚部9に押し付けるとき、より大きな力を加えることができる。側方圧接部材52の先端部には、合成樹脂製の第2のパッド53が設けられている。
第2のパッド53は、アーム可動部50の回動により、パレット3の脚部9の第2の垂直面である車幅方向の面と当接し、第2の押え方向からパレット3を押し付けることが可能である。また、アーム部16のアーム固定部48には、ワイヤ19を係止するワイヤ係止部54が設けられている。したがって、アーム部16が第4の押え部材に該当する。
第1伸縮式固定具15は、図10に示すように、第3支持部材55を介して基体部12に支持された第3定滑車56と、第4支持部材57を介して基体部12に支持された第4定滑車58とを備えて構成されている。
第3支持部材55と第4支持部材57は、プレート59と一体に設けられている。このプレート59には、第3支持部材55と第4支持部材57との間で、貫通孔59aが第1の押え方向に設けられている。この貫通孔59aには、筒状の第1伸縮式固定具挿入部材60aが挿通され、この第1伸縮式固定具挿入部材60aはプレート59に一体に設けられている。プレート59は、ボルトとナットで基体部12のリップ部12dに固定されている。
また、第1伸縮式固定具挿入部材60aの内周面には、筒状の第1伸縮式固定具取付部60bが取り付けられる。第2のバネ61にはコイルバネが用いられ、第2のバネ61の一端部(緩衝部材24と離隔する端部)は第5支持部材62に取り付けられ、他端部(緩衝部材24と近接する端部)は第1伸縮式固定具取付部60bに固定されている。
第1伸縮式固定具挿入部材60a及び第1伸縮式固定具取付部60bの内部には第1の接続部材63が挿入されており、第1の接続部材63は第1伸縮式固定具取付部60bの内部を第1の押え方向に進退自在に移動することができる。第1の接続部材63は、一端部(緩衝部材24と離隔する端部)で第5支持部材62に接続され、他端部(緩衝部材24と近接する端部)で第1の押付部材64と接続されている。また、第1の接続部材63は第2のバネ61に挿入されている。第1の接続部材63と第1の押付部材64とは、第3の押え方向の軸線を有する第1の揺動軸65を介して接続され、第1の押付部材64は第1の揺動軸65を支点として揺動する。
第1の押付部材64は、第1の接続部材63と接続される第1の揺動部材66と、この第1の揺動部材66のパレット3と対向する側に設けられる第3のパッド67とを備える。第3のパッド67は、緩衝部材24の一部に設けられた凹部68に挿入できるよう設けられている。また、第2のバネ61の他端部(緩衝部材24と離隔する側)には、第5支持部材62を介して第2動滑車69が取り付けられている。
第2のバネ61に外力が加えられていない状態では、第2動滑車69は、第3定滑車56と第4定滑車58よりも緩衝部材24から離隔する側に設けられている。また、第2のバネ61の一端部側から他端部方向に力が加わると第2のバネ61が縮むため、第5支持部材62と第2動滑車69と第1の接続部材63とが緩衝部材24に近接する方向に移動する。また、第1の押付部材64は、第1の接続部材63の移動によりパレット3の脚部9の第1の垂直面である車長方向の面を押し付けて、第1の押え方向からパレット3の脚部9を押える。
従って、第3定滑車56と第4定滑車58と第2動滑車69とは、第1伸縮式固定具15に一体に設けられている。
第2伸縮式固定部17は、図11に示すように、基体部12の他端部に取り付けられた固定部70を備えている。固定部70は、基体部12と同様に断面C字形のリップ溝形鋼で形成され、固定部70は、基体部12の一端部に取り付けられたアーム部16に面する側壁70aと、この側壁70aの上端及び下端から側方に延びる上壁70b及び下壁70cと、上下壁の向い合う端部に形成されたリップ部70dとからなる。また、側面70aには、緩衝部材71が設けられている。
第2伸縮式固定部17には、滑車取付部72が設けられている。この滑車取付部72の固定部70と近接する側の端部には第5定滑車73が固定され、滑車取付部72の固定部70から隔離した端部には第5定滑車73よりも径の小さい第6定滑車74が固定されている。また、固定部70の中央部には、第6支持部材75を介して第7定滑車76が固定されている。
滑車取付部72と第6支持部材75とは、プレート77と一体に設けられている。このプレート77には、滑車取付部72と第6支持部材75との間で、貫通孔77aが第2の押え方向に設けられている。この貫通孔77aには、筒状の第2伸縮式固定具挿入部材78aが挿通され、この第2伸縮式固定具挿入部材78aはプレート77に一体に設けられている。プレート77は、ボルトとナットでリップ部70dに固定される。
また、第2伸縮式固定具挿入部材78aの内周面には、筒状の第2伸縮式固定具取付部78bが取り付けられる。第3のバネ79にはコイルバネが用いられ、第3のバネ79の一端部(緩衝部材71と離隔する端部)は第7支持部材80に取り付けられ、他端部(緩衝部材71と近接する端部)は第2伸縮式固定具取付部78bに固定されている。
第2伸縮式固定具挿入部材78a及び第2伸縮式固定具取付部78bの内部には第2の接続部材81が挿入されており、第2の接続部材81は第2伸縮式固定具取付部78bの内部を第2の押え方向に進退自在に移動することができる。第2の接続部材81は、一端部(緩衝部材71と離隔する端部)で第7支持部材80に取り付けられ、他端部(緩衝部材71と近接する端部)で第2の押付部材82と接続されている。また、第2の接続部材81の他端部は、筒状に形成された第3のバネ79の内部に挿入されている。第2の接続部材81と第2の押付部材82とは、第3の押え方向の軸線を有する第2の揺動軸83を介して接続され、第2の押付部材82は第2の揺動軸83を支点として揺動する。
第2の押付部材82は、第2の接続部材81と接続される第2の揺動部材84と、この第2の揺動部材84のパレット3と対向する側に設けられる第4のパッド85とを備える。第4のパッド85は、緩衝部材71の一部に設けられた凹部86に挿入できるよう設けられている。また、第3のバネ79の他端部(緩衝部材71と離隔する側)には、第7支持部材80を介して第3動滑車87が取り付けられている。
第3のバネ79に外力が加えられていない状態では、第3動滑車87は、第7定滑車76と第5定滑車73よりも緩衝部材71から離隔する側に設けられている。また、第3のバネ79の一端部側から他端部方向に力が加わると第3のバネ79が縮むため、第7支持部材80と第3動滑車87と第2の接続部材81とが緩衝部材71に近接する方向に移動する。また、第2の接続部材81の移動により、第2の押付部材82は第4のパッド85をパレット3の脚部9の第2の垂直面に押し付けることによって、パレット3を押える。
荷締機20は、図12に示すように、支軸88を介して回転自在に支持され外周にワイヤ19が巻回される円筒形のドラム89と、この支軸88に支持されるギア90とを備えている。また、荷締機20には、コ字状に形成されたアーム板91が配置されている。アーム板91の中央部には作業者が把持するハンドル92が接続される。又、アーム板91の両端部には支軸88が連結されている。アーム板91は、支軸88を介して回動可能に形成されている。
アーム板91の先端部の内側には、固定軸93が取り付けられている。この固定軸93には、第1回動レバー94が回動自在に支持されている。この第1回動レバー94には、第1のストッパ95との当接によりハンドル92を押し下げた場合にのみギア90に係合する第1の爪部94aが形成されている。
アーム板91を取り付けた枠体96の側面の外側には、第2回動レバー97が取り付けられている。第2回動レバー97は、レバー本体98とこのレバー本体98に固定された回動軸99とを備え、レバー本体98は枠体96に支持された回動軸99に回動自在に軸支されている。第2回動レバー97には、第2のストッパ100との当接によりギア90に対してドラム89が逆転する際にのみギア90に係合する第2の爪部97aが形成されている。
したがって、図12に示す状態からハンドル92を時計回りに押し下げると、第1回動レバー94に形成された第1の爪部94aとギア90の歯90aとの係合により、ギア90が正転するとともにドラム89も正転し、ワイヤ19がドラム89の外周面に巻回される。そして、このようにギア90とドラム89とが正転する際には、第2回動レバー97は、正転するギア90の歯90bに押されて僅かに回転移動し、歯90bとの接触がなくなると、次の歯90c方向に回転移動する。
ドラム89の外周面にワイヤ19を巻回することにより、ワイヤ係止部54に係止されているワイヤ19が引張られる。したがって、荷締機20が引張手段に該当する。
そして、ハンドル92によるギア90の正転操作が終了し、それまでとは反対方向にハンドル92を操作すると、第2回動レバー97とギア90との係合により、ギア90は静止し回転しない状態となると共に、それまでギア90に係合していた上記第1回動レバー94は、ギア90との係合が解除されギア90の歯90aの形状により、歯90aに摺接しながら反時計回りに僅かに回転移動し、歯90aとの接触がなくなると、次の歯90d方向に回転移動する。このとき、次の歯に第1回動レバー94が接触する直前において第1回動レバー94は、第1のストッパ95に当接する。
次いで、図3、図11及び図13に示されたワイヤ19について説明する。ワイヤ19は、一端部をワイヤ固定部54に取り付けられ、第3定滑車56、第2動滑車69、第4定滑車58、第1A定滑車21a、第2A定滑車22a、第1動滑車40、第2B定滑車22b、第1B定滑車21b、第3定滑車56、第2動滑車69、第4定滑車58、第7定滑車76、第3動滑車87、第5定滑車73、第6定滑車74の順序で係合して、他端部を荷締機20に取り付けられている。
荷締機20の動作開始時は、ワイヤ19が荷締機20に巻回されていない。そのため、図14に示すように、第1伸縮式固定部15の第2のバネ61は縮んでおらず、第1の接続部材63には第2のバネ61の弾性力はほとんど伝達されない。したがって、第3のパッド67は、緩衝部材24の凹部68に挿入された状態であって、他の枠体に対向する方向に押し出されない。
荷締機20の動作によりワイヤ19が荷締機20に巻回されると、各々の滑車に巻き掛けられているワイヤ19が引張られて短くなるため、第2のバネ61が縮む。したがって、図15に示すように、第1の接続部材63に第2のバネ61の弾性力が伝達されて、第3のパッド67は凹部68から押し出された状態となる。
また、荷締機20の動作開始時は、第2伸縮式固定部17の第3のバネ79は縮んでおらず、第2の接続部材81には第3のバネ79の弾性力はほとんど伝達されない。この時、図14に示す第1伸縮式固定部15と同様に、第2伸縮式固定部17の第4のパッド85は緩衝部材71の凹部86に挿入された状態であって、他の枠体に対向する方向に押し出されない。
荷締機20の動作によりワイヤ19が荷締機20に巻回されると、各々の滑車に係合により巻き掛けられているワイヤ19が短くなるため、第3のバネ79が縮む。したがって、図15に示す第1伸縮式固定部15と同様に、第2伸縮式固定部17の第2の接続部材81に第3のバネ79の弾性力が伝達されて、第4のパッド85は凹部86から押し出された状態となる。
また、図8に示すように、上方押え手段14のアーム板34を回動して、第2貫通孔35に係止部材32を挿入し、アーム板34をストッパ44で係止した場合、上方押え手段14の第1のバネ42は荷締機20の動作開始時では縮んでいない。そのため、第1動滑車40と係止部材32とには第1のバネ42の弾性力はほとんど伝達されない。
一方、荷締機20の動作によりワイヤ19が荷締機20に巻回されると、各々の滑車に巻き掛けられているワイヤ19が短くなるため、第1のバネ42が縮む。そのため、第1動滑車40と係止部材32とが下方向に移動し、ストッパ44の下方向に移動する。ストッパ44の下方向の移動によりアーム板34が荷台2の床面の方向に下降して、第1のパッド37がパレット3の上側の水平面を押える。このアーム板34の下降する方向が第3の押え方向に該当し、上方押え手段14が第3の押え部材に該当し、第1のパッド37が圧接部材に該当する。
以上の構成により荷台にパレットを固定するときには、図3及び図16に示すように、先ず、第1枠体10と第2枠体11とを、パレット3の長さ寸法に合わせた間隔を存して対向するように荷台2に取り付ける。このとき、このとき、第1枠体10と第2枠体11との対向間隔がパレット3の長さ寸法よりも大であって最も近い寸法になるように荷台2の開口25を選択し、これらの開口25に各挿入部材13を挿入する。各開口25に挿入した各挿入部材13は、図4に示すように、ボルト27により案内部材26に固定する。
次いで、図16に示すように、第1枠体10と第2枠体11との夫々の長手方向の一端部の各アーム部16を互いに外方側に回動させて退避させ、第1枠体10と第2枠体11との間に形成されるパレット3の収容部分の一方を開放する。当該開放される側は、図1に示したトラック1の荷台2のように、屋根5を跳ね上げて開放した車幅方向の一側方であり、パレット3の積み込み側に対応している。
また、このとき、上方押え手段14の上方圧接部材36を車長方向の外側に回動させて第1枠体10と第2枠体11との間に形成されるパレット3の収容部分の上方を開放させる。
続いて、フォークリフト等の移送装置によってパレット3を荷台2の床面上に沿って移送し、第1枠体10と第2枠体11との間にパレット3を載置する。パレット3はできるだけ第1枠体10に近接させるようにして第1枠体10と第2枠体11との間に載置する。
次いで、図8に示すように、上方押え手段14のアーム板34が回動してアーム板34の第2貫通孔35に係止軸39を挿入する。係止軸39を第2貫通孔35に挿入する際には、ストッパ44は長辺44aが車長方向に伸び、短辺44bが車幅方向に伸びるように位置されている。また、係止軸39を第2貫通孔35に挿入した後に、長辺44aが車幅方向に伸び、短辺44bが車長方向に伸びるようにストッパ44を回転させる。車幅方向に伸びたストッパ44の長辺44aは車幅方向に伸びた第2貫通孔35の短辺35bよりも長いため、アーム板34はストッパ44によって係止される。
次いで、図17に示すように荷締機20のハンドルを押し下げて、ワイヤ19を引張ると、図10に示される第1伸縮式固定部15に備えられた第2動滑車69が第1の押え方向であって緩衝部材24に近づく方向に移動する。そのため、第1伸縮式固定部15に備えられた第3のパッド67が第1の押え方向であってパレット3に近接する方向に移動し、第3のパッド67がパレット3の脚部9に当接する。また、ワイヤ19を引張ると、図11に示される第2伸縮式固定部17に備えられた第3動滑車87が第2の押え方向であって緩衝部材71に近づく方向に移動する。そのため、第2伸縮式固定部17に備えられた第4のパッド85が第2の押え方向であってパレット3に近接する方向に移動し、第4のパッド85がパレット3の脚部9に当接する。
また、図8に示す第1動滑車40が下側に移動するため、アーム板34と、上方圧接部材36とが荷台2の床面方向に移動する。第1のパッド37がパレット3に当接することによりパレット3が押えられ、上方押え手段14が固定される。
次いで、第1枠体10の一方端を開放していたアーム部16を内方側に回動させ、このアーム部16に設けられた第2のパッド53をパレット3の脚部9に当接させる。そして、第2枠体11についても第1枠体10と同様にパレットの固定方法を実行することにより、図18に示すようにパレットの固定が完了する。
なお、本実施の形態では第1のバネ42と第2のバネ61と第3のバネ79を用いているが、これらのバネ42、61、79の代わりに伸縮自在なゴムなどを用いてもよい。要は、伸縮自在な弾性部材を用いればよい。
以上により、荷台2上のパレット3を迅速に固定することができ、しかもワイヤ19の他端を引張るだけでパレット3を第1の押え方向と第2の押え方向と第3の押え方向とから確実に固定することができる。