JP5219046B2 - マイクロ波発振素子及びマイクロ波発振装置 - Google Patents

マイクロ波発振素子及びマイクロ波発振装置 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波発振素子及びマイクロ波発振装置に関するものであり、簡単な素子構成で且つ低電流密度でマイクロ波発振するための構成に関するものである。
現在の半導体装置等のエレトロニクス分野においては、電子の有する電荷の自由度を利用しているが、電子は電荷以外にスピンという自由度を有している。近年、このスピンの自由度を利用したスピントロニクスが次世代の情報技術の担い手として注目を集めている。このスピントロニクスでは電子の電荷とスピンの自由度を同時に利用することによって、従来にない機能や特性を得ることを目指している。
この様なスピントロニクスの初期的デバイスとしてはGMR(巨大磁気抵抗)素子が挙げられ、GMR素子を流れるセンス電流の担い手となる電子のスピン、即ち、アップスピンかダウンスピンかにより、フリー層の磁化方向とピンド層の磁化方向との違いの影響を受けて抵抗の大きさが変化する現象を利用したものである。
近年このようなGMR素子やTMR(トンネル磁気抵抗)素子をメモリセルとしたMRAM(磁気ランダムアクセスメモリ)において、従来、配線層に電流を流すことによって発生した磁界によりフリー層の磁化方向を制御していたものを、GMR素子或いはTMR素子に直接電流を流して電流の担い手となる電子のスピンによりフリー層の磁化方向を制御するスピンRAMが提案されている(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)。
このようなスピントロニクスにおいては、スピン緩和という概念が非常に重要になり、スピン緩和はスピン或いは磁気モーメントの運動の減衰を意味するものである。スピンは磁気モーメントを持ち、強磁性体中で巨視的な秩序が磁化 vMとなって現れる。この磁化 vMを磁場 vH中に置くと、磁場 vHとの相互作用が磁化にトルクとして作用し、磁化は磁場によって決まる周波数で歳差運動する。なお、ここでは、明細書作成の都合上、MやHのベクトル記号の表記に、「 vM」或いは「 vH」を用いる。
この歳差運動は緩和により角運動量が散逸して減衰し、最終的には磁化は磁場の方向を向くことになる。このような磁化の運動は、磁場方向を回転軸とする歳差運動の基本方程式に減衰項を加えた下記に示すLandau−Lifshitz−Gilbert(LLG)方程式で表される。
vM/dt=−γ vM× vH+(α/MvM×(d vM/dt)
但し、γは磁気回転比、Mは飽和磁化、αはGilbertの緩和定数である。
このLLG方程式における右辺の第2項が減衰を表し、これがスピン或いは磁気モーメントの角運動量の散逸を表す。スピン或いは磁気モーメントは物質毎に決まる緩和時間の後に vHの方向に整列するとともに、その際にスピン或いは磁気モーメントの角運動量の散逸が生じる。この角運動量の散逸はスピン流として外部に取り出すことが可能であり、この現象はスピンポンピングとして知られている。
近年、CPP(Current Perpendiclar to Plane)型のGMR素子やTMR(トンネル磁気抵抗)素子にスピン偏極電流を流すことによりマイクロ波発振することが報告されている(例えば、非特許文献1、特許文献3乃至特許文献6参照)。
図10は、従来のCPP型マイクロ波発振器の概念的構成図であり、下部電極51上に強磁性体からなるピンド層52、非磁性中間層53、強磁性体からなるフリー層54、キャップ層55及び上部電極56を設けたものである。このCPP型マイクロ波発振器に電流を流すとピンド層52のフィルタ作用によってフリー層54にスピン偏極電流が流れ、このスピン偏極電流のスピンがフリー層54の磁化に作用して磁化が歳差運動を始め、マイクロ波発振が生じる。
図11は、スピントルクによるマイクロ波発振原理の説明図であり、磁性体にスピン偏極電流或いは純スピン流を流すと、局在スピンにスピントルクがかかる。このスピントルクは上記のLLG方程式の第2項で表される緩和トルクと反対方向に作用して緩和トルクを減ずる。その結果、
スピントルク>緩和トルク
の条件を満たす量のスピン偏極電流或いは純スピン流を磁性体に注入した場合に、緩和トルクを表すLLG方程式の第2項が実効的に0或いは負になり、局在スピンは歳差運動を開始し、マイクロ波の発振を行う。
特開2002−305337号公報 特開2007−059879号公報 特開2008−053915号公報 特開2007−124340号公報 特開2008−071720号公報 特開2007−184923号公報
S.I.Kiselev et al.,Nature,Vol.425,pp.380−383,2003
しかし、従来のCPP型のGMR素子やTMR素子は、多層の成膜工程が必要になるとともに、緩和係数αの大きな強磁性金属を利用している。したがって、強磁性金属に非常に大きな電流を流す必要があり、このために強磁性体層の面直方向の微小面積に電流を流すための微細加工が必要になるという問題がある。また、強磁性体層の面直方向の微小面積に電流を流す結果、充分なマイクロ波出力を得ることができないという問題もある。
TMR素子の場合にはトンネル絶縁膜を介して電流を流しているため高抵抗となり、流す電流に限界があるとともに、高抵抗に起因してジュール熱の発生量が多くなり、温度変化により発振周波数が不安定になるという問題がある。
また、CPP型のGMR素子の場合には、スピン偏極電流によるフリー層の磁化反転を防止するために、出力を大きくしようとすると、強磁性体層の面直方向に複数の微小電流通路を形成する必要があり、より精度の高い微細加工が必要になる。
したがって、本発明は、複雑な成膜工程や微細加工の必要がない簡単な素子構造によりマイクロ波発振を可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、マイクロ波発振素子であって、緩和係数αが金属強磁性体より小さな強磁性体層と、スピン軌道相互作用を有する金属層との接合界面を有し、前記金属層から前記強磁性体層へ純スピン流を注入してマイクロ波発振を励起する。
このように、金属層に電流を流しスピンホール効果により純スピン流を生成し、生成した純スピン流を緩和係数αが金属強磁性体より小さな強磁性体層へ注入し、強磁性体層において緩和トルクを純スピン流の注入によるスピントルクにより打ち消すことによってマイクロ波発振が可能になる。この場合、金属層と強磁性体層の簡単な積層構造であるので、複雑な成膜工程や微細加工が不要になる。
また、電流は面内方向に流すので、素子サイズは自由に大きくすることが可能であり、マイクロ波発振の大出力化が容易になる。さらに、電流は面内方向に流れるため低抵抗となり且つ金属層から強磁性体層へ注入するのは、スピン偏極電流と異なり電流を伴わない純スピン流であるので、純スピン流の注入に伴って発熱が生ずることがないので、発振周波数が安定になる。
このような緩和係数αが金属強磁性体より小さな強磁性体としては、YIG、フェライト酸化物、或いは、ペロブスカイトMn酸化物等の強磁性誘電体層を用いることが望ましい。緩和係数αが小さいので、小さな電流密度でLLG方程式の第2項で表されるαに比例する緩和トルクを相殺することが可能になる。
また、強磁性誘電体層には電流が流れない結果、電流による加熱、化学変化、或いは、エレクトロマイグレーションなどが発生しないので、素子劣化を大幅に低減することができる。また、強磁性誘電体層でジュール熱は発生しないので発振周波数が安定になる。
また、強磁性誘電体層としては、入手が容易で且つ緩和定数αの小さなYIG(イットリウム鉄ガーネット)やイットリウムガリウム鉄ガーネット、即ち、一般式で表記するとYFe5−xGa12(但し、0≦x<5)を用いることが望ましい。
また、金属層としては、スピン軌道相互作用の大きなPt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道を有する元素のいずれかを用いることが望ましい。これらの元素はスピン軌道相互作用が大きいので、スピンホール効果による純スピン流の生成を高効率に行い、強磁性体層により多くの純スピン流を注入することができ、それによって、より低しきい値電流密度でのマイクロ波発振が可能になる。
マイクロ波発振は強磁性体層が有する自己の磁化だけでも起こるので磁界の印加は必須ではないが、強磁性体層の前記金属層との接合界面の反対側の面に、前記強磁性体層に磁場方向をバイアスするバイアス層を設けても良い。発振周波数は磁界強度依存性を有するので、バイアス磁界によって発振周波数を制御することができる。
さらに、強磁性体層に可変外部磁界印加する外部磁界印加手段、例えば、バイアス磁化を発生させるための配線や、電磁石等を設けても良い。このような配線や、電磁石等により発生させる外部磁界を変化させることによって、発振周波数を任意に制御することが可能になる。
また、上述のマイクロ波発振素子と、マイクロ波発振素子からのマイクロ波出力を増幅する増幅器を備えることによって高出力・高性能のマイクロ波発振装置を構成することが可能になる。
本発明によれば、金属層と強磁性体層の簡単な積層構造だけであるので、複雑な成膜工程や微細加工の必要がなく、大出力化が可能になる。
特に、強磁性体層として緩和係数αの小さな強磁性誘電体層を用いた場合には、低しきい値電流密度での発振が可能になるとともに、さらなる大出力化が容易になる。
本発明の実施の形態のマイクロ波発振素子の概念的構成図である。 本発明の実施の形態のマイクロ波発振素子におけるスピン注入現象の説明図である。 本発明の実施例1のマイクロ波発振素子の概念的斜視図である。 マイクロ波発振強度の磁場強度依存性、電流依存性の説明図である。 マイクロ波発振しきい値電流特性の説明図である。 マイクロ波発振周波数の磁場強度依存性の説明図である。 本発明の実施例2のマイクロ波発振素子の概念的構成説明図である。 本発明の実施例3のマイクロ波発振素子の概念的構成説明図である。 本発明の実施例4のマイクロ波発振装置の概念的構成説明図である。 従来のCPP型マイクロ波発振器の概念的構成図である。 スピントルクによるマイクロ波発振原理の説明図である。
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態のマイクロ波発振素子を説明する。図1は、本発明の実施の形態のマイクロ波発振素子の概念的構成図であり、強磁性体層11とスピン軌道相互作用を有する金属層12との積層構造からなる。この金属層12の両端に端子13,13を設けて、電源14により電圧を印加して金属層12に電流を流すことによってマイクロ波発振が得られる。
この場合の強磁性体層11としては、緩和係数αの小さなYIG、即ち、YFe5−xGa12(0≦x<5)、フェライト酸化物、或いは、ペロブスカイトMn酸化物等の強磁性誘電体が望ましいが、CoFeやCoFeB等の金属強磁性体でも良い。
また、スピン軌道相互作用を有する金属層12としては、Pt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道を有する元素等のスピン軌道相互作用が大きな元素からなる単体でも、これらの合金でも良く、さらには、これらの単体或いは合金に不純物をドープしたものでも良い。
また、強磁性体層11の厚さは、厚さが薄いほどマイクロ波発振しきい値電流密度が低くなるので、強磁性体層11が強磁性体としての特性を発現するための厚さがあれば良く、そのためには、約5nm程度の膜厚が必要になる。また、強磁性体層11の厚さを厚くするとマイクロ波発振しきい値電流密度は高くなるが、マイクロ波の発振出力は大きくなる。
また、金属層12の厚さは任意であるが、スピンホール効果による純スピン流の生成効率には物質毎に最適値が存在し、厚くしすぎるとバックフロー電流により効率が悪くなる。また、あまり薄すぎると高抵抗になり、金属層12側でのジュール熱の発生量が増大するので、例えば、Ptを用いる場合には5〜20nm程度の厚さが望ましい。
また、強磁性体層11の成膜方法としては、金属強磁性体であればめっき法或いはスパッタ法を用いれば良い。また、強磁性誘電体を用いる場合には、液相成長法、スパッタ法、MOD法(Metal−organic decomposition Method:有機金属塗布熱分解法)、或いは、ゾル−ゲル法のいずれを用いても良い。また、強磁性体層11の結晶性としては単結晶でも良いし或いは多結晶でも良い。
例えば、MOD法を用いる場合には、例えば、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用い、150℃に加熱したホットプレート上で5分間乾燥させて、MOD溶液に含まれる余分な有機溶媒を蒸発させたのち、電気炉中において、例えば、550℃で5分間加熱する仮焼成によって酸化物層とする。次いで、電気炉中において、750℃で1〜2時間加熱する本焼成において酸化物層の結晶化を進めてYIG層とすれば良い。
図2は本発明の実施の形態のマイクロ波発振素子におけるスピン注入現象の説明図である。図に示すように、金属層12に電流Jを流した場合、スピンホール効果により電流Jと垂直方向にアップスピンとダウンスピンの逆向きの流れが生じ、電流Jと垂直方向に純スピン流Jが誘起されて強磁性体層11中に注入される。この時、純スピン流Jのスピンの向きσは電流Jと純スピン流Jの両方に対して垂直になる。
強磁性体層11に注入された純スピン流J によるスピントルクが、LLG方程式の第2項の緩和トルクを上回った時点から強磁性体層11の磁化Mは面直方向に立ち上がって自発的歳差運動を始めて強磁性体層11からマイクロ波を発振することになる。発生したマイクロ波は電流Jと直交する方向に放出される。
発生したマイクロ波は、素子形状を考慮することによってそのまま空間に放出することもできるし、或いは、マイクロ波回路を伝播して最終的にはアンテナから放出するようにしても良い。
この場合、強磁性体層11は固有の磁化Mを持っているので外部磁界Hを印加しなくてもマイクロ波発振は可能である。マイクロ波発振の周波数は、強磁性体層11を構成する物質の飽和磁化Mに依存しており、金属強磁性体のCoを用いた場合には数10GHzの発振が得られ、一方、強磁性誘電体であるYIGを用いた場合には数GHzの発振が得られる。
なお、一般にマイクロ波発振の周波数を小さくしたい場合には飽和磁化Mの小さい物質を、一方、マイクロ波発振の周波数を大きくしたい場合には飽和磁化Mの大きな物質を選択すれば良い。例えば、YIG〔YFe5−xGa12(0≦x<5)〕の場合に、Feの量が少なくなると飽和磁化Mは小さくなるので、YFe12の代わりにYFe5−xGa12(0<x<5)を用いることで発振周波数を小さくすることができる。
また、マイクロ波発振しきい値電流密度は、LLG方程式の第2項から明らかなように緩和係数αに依存するので、緩和係数αが小さいほど発振しきい値電流密度は小さくなり、この点からは緩和係数αの小さな強磁性誘電体が好適となる。
因に、従来のCPP型GMR素子における発振しきい値電流密度が試料サイズが130nm×70nmで2.2×1011A/m2 であったものが、YIGを用いた場合には、4.4×108 A/m2 となり従来の0.2%になった。なお、強磁性誘電体を用いた場合には、強磁性体層11には電流が流れないので、電流による加熱、化学変化、或いは、エレクトロマイグレーションなどが発生せず、素子劣化を大幅に低減することができる。
また、このマイクロ波発振素子に外部磁界Hを印加した場合には、マイクロ波発振周波数は、印加した外部磁界Hの強度にほぼ比例した関係を有することになる。したがって、外部磁界Hを印加することによってマイクロ波発振周波数を制御することが可能になる。
外部磁界Hを印加する手段としては、強磁性体層11の金属層12との接合面と反対側の面に反強磁性層や強磁性体層からなるバイアス層を設けても良く、それによって、バイアス層による磁界に依存した周波数のマイクロ波が得られる。
したがって、複数のマイクロ波発振素子を設けておき、バイアス層から印加される磁界が互いに異なるようにバイアス層の磁化を設定し、所定のマイクロ波発振素子をスイッチング素子により任意に選択することによって所望の周波数のマイクロ波が得られることになる。
あるいは、従来の磁場書込型のMRAMと同様に強磁性体層11に平行に外部磁場印加のための配線を設け、電流に伴って発生する磁界を印加しても良く、この場合には配線に流す電流によってマイクロ波発振周波数を可変にすることができる。
さらには、個々のマイクロ波発振素子或いはマイクロ波発振素子装置の両端に、永久磁石や電磁石を配置することによっても外部磁場の印加は可能であり、電磁石の場合にはマイクロ波発振周波数を可変にすることができる。
以上を前提として、次に、図3乃至図6を参照して、本発明の実施例1のマイクロ波発振素子を説明する。図3は本発明の実施例1のマイクロ波発振素子の概念的斜視図であり、GGG単結晶基板21上に液相成長法により、厚さが、例えば、1.5μmのYFe12組成のYIG層22を形成し、その上に厚さが、例えば、10nmのPt膜をスパッタ法で堆積してPt層23とする。なお、この実施例1に使用したYIG結晶は、FDK株式会社製のものを用いた。
次いで、2mm×5mmのサイズに切り出したのち、Pt層23の長手方向の両端に端子24,24を設けることで、本発明の実施例1のマイクロ波発振素子の基本構成が完成する。このマイクロ波発振素子に端子24,24を介して電流を流すとともに、電流と垂直方向に外部磁界Hを印加することによってマイクロ波発振を観測した。
図4は、マイクロ波発振強度Iの磁場強度依存性、電流依存性の説明図であり、マイクロ波発振強度Iはバックグラウンドノイズを相殺するために、互いに逆方向に電流を流した場合の強度の差〔I(+J)−I(−J)〕で表している。図における複雑なスパイクはYIG層22の形状等に起因して多数のモードで発振していることを表している。なお、ここでは示していないが、100mAの電流を流した場合に数10pWの出力が得られた。
図5は、マイクロ波発振しきい値電流特性の説明図であり、図3に示した試料サイズにおいて、マイクロ波発振しきい値電流は約40mAであった。この値は、Pt層23に40mAの電流を流すことによってYIG層22に注入される純スピン流によるスピントルクが緩和トルクより上回ったことを表している。これを電流密度に換算すると、約4.4×108 A/m2 となる。したがって、従来のCPP型GMR素子に比べて3桁以上しきい値電流密度が低下したことが確認された。なお、縦軸のSは、図4における電流波形におけるピーク−ピークの値である。
図6は、マイクロ波発振周波数の磁場強度依存性の説明図であり、100mTの外部磁場を印加することによって約5GHzの周波数でマイクロ波発振が起こっており、発振周波数が、外部印加磁場にほぼ比例することが確認された。
次に、図7を参照して、本発明の実施例2のマイクロ波発振素子を説明する。図7は本発明の実施例2のマイクロ波発振素子の概念的構成説明図であり、シリコン基板31上に下地絶縁膜32を介して、マスクスパッタ法を用いてTa下地層33、IrMnからなる反強磁性層34、YIG層35、及び、Pt層36を順次成膜して、Pt層36の両端に端子37,37を設けたものである。なお、反強磁性層34を成膜する際に、両方の端子37 ,37を結ぶ線に直交する方向に磁界を印加しながら成膜する。
この実施例2のマイクロ波発振素子においては、反強磁性層34を磁界バイアス層としているので、反強磁性層34を予め所定の強度に磁化しておくことによって、マイクロ波発振周波数を所定の値に設定することが可能になる。
次に、図8を参照して、本発明の実施例3のマイクロ波発振素子を説明する。図8は本発明の実施例3のマイクロ波発振素子の概念的構成説明図であり、図8(a)は概念的側面図であり、図8(b)は図8(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概念的断面図である。図に示すように、シリコン基板31上に下地絶縁膜32を介して下層配線38を設ける。次いで、層間絶縁膜39を介して、マスクスパッタ法を用いてTa下地層33、YIG層35、及び、Pt層36を順次成膜する。
次いで、層間絶縁膜40を設けてPt層36の表面が露出するまで平坦化研磨したのち、マスクスパッタ法を用いて露出したPt層36の両端に端子37,37を設ける。次いで、層間絶縁膜41を介して上層配線42を形成する。
図8(c)に示すように、下層配線38と上層配線42に互いに逆方向の電流を流すことによって、YIG層35に対して図において左向きの外部磁界が印加される。したがって、この下層配線38と上層配線42に流す電流を制御することによって外部磁界の強度が制御され、それによって、マイクロ波発振周波数を可変にすることが可能になる。
次に、図9を参照して、本発明の実施例4のマイクロ波発振装置を説明する。図9は本発明の実施例4のマイクロ波発振装置の概念的構成説明図であり、マイクロ波発振素子30 ,30,・・30と増幅器43 ,43,・・43との直列接続回路が、選択回路44を介して並列に接続されてマイクロ波発振装置を構成する。
この場合の各マイクロ波発振素子30 ,30,・・30の構成は例えば、上記の実施例2と同様の構成になっており、各マイクロ波発振素子30 ,30,・・30を構成するバイアス層の磁化の大きさを素子毎に異なるように設定している。したがって、選択回路44によって電流を流すマイクロ波発振素子30 ,30,・・30を切り替えることによって所望の周波数のマイクロ波を発振することができる。
マイクロ波は、当該マイクロ波発振素子30に接続されている増幅器43によって増幅され、図示を省略した所定のマイクロ波回路を経てアンテナから放出されることになる。
以上、本発明の実施の形態及び各実施例を説明したが、本発明は実施の形態及び各実施例に記載された構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。例えば、上記の各実施例においては、金属層としてPtを用いているが、Ptに限られるものではなく、Ptと同様にスピン軌道相互作用の大きなPdや、Au、Ag、Biや、その他のf軌道を有する元素を用いても良い。さらには、単体金属である必要はなく、これらの合金でも良く、さらには、これらの単体金属或いは合金に不純物を添加したものを用いても良い。
また、上記の実施例2或いは実施例4においては、YIG層に磁化方向のバイアスするためにIrMn等の反強磁性層を設けているが、CoFeB等の金属強磁性体を用いても良い。
また、上記の各実施例においては、強磁性誘電体として、YFe5−xGa12(但し、0≦x<5)を用いているが、純粋なYFe5−xGa12に限られるものではなく、BiやSi等の不純物をドープしたものでも良い。さらには、YFe5−xGa12以外の強磁性誘電体を用いても良い。
また、上記の実施例3においては、バイアス磁界発生用の配線を上下に二本設けているが、配線はどちらか一本でも良い。
11 強磁性体層
12 金属層
13,13端子
14 電源
21 GGG単結晶基板
22 YIG層
23 Pt層
24 ,24 端子
30 マイクロ波発振素子
31 シリコン基板
32 下地絶縁膜
33 Ta下地層
34 反強磁性層
35 YIG層
36 Pt層
37 ,37 端子
38 下層配線
39 層間絶縁膜
40 層間絶縁膜
41 層間絶縁膜
42 上層配線
43 増幅器
44 選択回路
51 下部電極
52 ピンド層
53 非磁性中間層
54 フリー層
55 キャップ層
56 上部電極

Claims (7)

  1. 緩和係数が金属強磁性体より小さな強磁性体層と、スピン軌道相互作用を有する金属層との接合界面を有し、前記金属層から前記強磁性体層へ純スピン流を注入してマイクロ波発振を励起するマイクロ波発振素子。
  2. 前記強磁性体層が強磁性誘電体層からなる請求項1に記載のマイクロ波発振素子。
  3. 前記強磁性誘電体層が、YFe5−xGa12(但し、0≦x<5)からなる請求項2に記載のマイクロ波発振素子。
  4. 前記スピン軌道相互作用を有する金属層が、Pt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道を有する元素のいずれかからなる金属層である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  5. 前記強磁性体層の前記金属層との接合界面の反対側の面に、前記強磁性体層に磁場方向をバイアスするバイアス層を設けた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  6. 前記強磁性体層に可変外部磁界印加する外部磁界印加手段を設けた請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のマイクロ波発振素子と、前記マイクロ波発振素子からのマイクロ波出力を増幅する増幅器を備えたマイクロ波発振装置。
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