次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明を弾球遊技機の一例であるパチンコ機に適用した構成を説明するが、スロットマシンに対しても容易に適用することができる。
図1に示すように、第1実施形態に係るパチンコ機(遊技機)10の前面部には、主として、外枠12と、内枠14と、前面枠16と、上皿部18と、下皿部20と、施錠装置22と、発射ハンドル24などが設けられている。
外枠12は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。内枠14は、全体がプラスチック製で、外枠12に対して開閉可能に軸支されている。また、内枠14の右端中央からやや下方には、施錠装置22が設けられている。
前面枠16は、本発明の前面扉の一具体例を示すもので、パチンコ機10の前面部全体の約2/3のサイズを占め、内枠14の左端に開閉可能となるように軸支されている。また、前面枠16は、全体がプラスチック製であり、遊技盤26(図2参照)を前方から視認するべく、遊技盤26に形成された遊技領域28(図2参照)の形状に対応して略円形に形成された開口部30を有している。また、前面枠16の裏面には、ガラス板32がガラス枠(図示省略)によって取り付けられている。そして、遊技者を基準とすれば、遊技盤26に形成された遊技領域28はガラス板32の後方に位置するようになっている。
また、前面枠16の下方側には、上皿部18が設けられている。この上皿部18には、演出ボタン40と、球貸操作部155と、がそれぞれ設けられている。
また、上皿部18の下方側には、下皿部20が設けられている。また、下皿部20の右下方側には、遊技球を発射させるための発射ハンドル24が設けられている。この発射ハンドル24には、発射レバー44と、発射停止ボタン46がそれぞれ設けられている。
また、下皿部20の左右下方側には、所定の効果音を出力するための各サブスピーカ48がそれぞれ設けられている。
また、内枠14には、遊技領域28の形状に合致した開口部(図示省略)が形成されている。この内枠14の内側面には、遊技盤26が取り付けられる。これにより、遊技者は、遊技盤26の遊技領域28を内枠14の開口部及び前面枠16の開口部30を通して視認することができる。
さらに、パチンコ機10の正面左側には、球貸装置(遊技媒体貸出部)154が設けられている。本実施形態では、球貸装置154として、CRユニットが適用されている。この球貸装置154には、プリペイドカードを挿入するカード挿入口157が形成されている。なお、球貸装置154として、現金ユニットを設けた構成でもよい。この現金ユニットには、カード挿入口157に替えて、現金を入れるための現金投入口(図示省略)が形成されている。
また、球貸操作部155には、球貸しを要求するための球貸スイッチ156、カード挿入口157に挿入されたプリペイドカードの返却を要求するための返却スイッチ158と、がそれぞれ設けられている。
例えば、球貸装置154のカード挿入口157にプリペイドカードを挿入すると、プリペイドカードの記憶情報が球貸装置154内部のカードリードライタにより読み取られる。プリペイドカードの残り度数が「0」である場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。一方、プリペイドカードの残り度数が「0」でない場合には、球貸スイッチ156を押圧操作すると、カードリードライタによりプリペイドカードの残り度数が減算されてプリペイドカードの記憶情報が書き換えられると共に、その減算された度数(貸出金額)に対応する個数の遊技球(貸球)が払出装置161から上皿部18に案内される。このとき、例えば、プリペイドカードの残り度数が減算されて「0」となった場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。
なお、球貸装置154として現金ユニットを用いる構成では、球貸装置の現金投入口に現金を投入すると、現金が球貸装置内部のキャッシュカウンタによりカウントされる。投入金額が所定の額に到達した後、球貸スイッチを押圧操作すると、キャッシュカウンタにより投入金額が減額されていくとともに、その減額された金額(貸出金額)に対応する個数から消費税に相当する個数が引かれて、遊技球(貸球)が払出装置161から上皿部18に案内される。
次に、遊技盤26の表面構造について説明する。
図2に示すように、遊技盤26は、内枠14に保持されるとともに、裏機構盤(図示省略)によりその背面側が覆われている。遊技盤26には、遊技盤26の表面に設けられた外レール50と内レール52とにより略円形状の遊技領域28が形成されている。遊技領域28の内部には、中央装置54と、始動口56Bと、ワープ入球口58と、多数の障害釘60等と、がそれぞれ配設されている。
中央装置54は、遊技領域28の略中央部に配置されており、演出役物(演出部材)200を備えた演出図柄表示装置62と、センター役物64と、ランプ装置66と、を備えている。
演出図柄表示装置62は、主制御基板102(図3参照)やサブ制御基板106(制御手段、図3参照)からのコマンド(特別変動パターン又は通常変動パターンを指示するコマンド)に基づいて表示制御されており、略長方形状の表示面(表示領域)62Aを有している。この表示面62A上には、特別図柄の演出図柄が表示される。具体的には、演出図柄表示装置62の表示面62A上には、1又は複数の演出図柄を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する演出図柄表示領域が形成されている。すなわち、左演出図柄を表示する左演出図柄表示領域、中央演出図柄を表示する中央演出図柄表示領域、及び右演出図柄を表示する右演出図柄表示領域が、略横一列となる配置方向に沿って並んで形成されている(それぞれ図示省略)。各演出図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する方向(上下方向)に図柄変動方向が設定されており、その方向に複数の演出図柄が順次表示されていく。また、演出図柄表示装置62の表示面62Aの近傍には、表示面62Aの前方を移動する演出役物200が設けられている。この演出役物200の構成については、後述する。
ここで、図8に示すように、演出役物200は、遊技者にとって有利な遊技状態に至ったタイミングで、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示された特別画像Gと連動するようにして、演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方を移動する。そして、後述のように、演出役物200は、演出図柄表示装置62の表示面62Aに変動表示される特別画像Gの一部を透過する。なお、遊技者にとって有利な遊技状態とは、例えば、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される2つの演出図柄が同じ図柄で停止表示され、最後の演出図柄が変動中のリーチ状態が例示できる。
図2に示すように、演出図柄表示装置62は、遊技球が始動口56Bに入球することにより、その表示面の表示領域に表示される各演出図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、演出図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示(確定表示)すると、変動入賞装置80に配設された大入賞装置84の大入賞口86が開放される。本実施形態のパチンコ機10では始動口56Bに遊技球が入球すると、各演出図柄がそれぞれ変動され、演出図柄が3桁同一図柄で揃うことにより、「大当り」という特定価値を付与するものである。
ここで、本実施形態のパチンコ機10では、例えば、大当りとして2種類のものが予め設定されている。具体的には、「7、7、7」などの同一の奇数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する確変大当りがある。また、「8、8、8」などの同一の偶数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する通常大当りがある。
確変大当り及び通常大当りは、比較的多くのラウンド数(例えば、15ラウンド)を有し、大入賞口86の開放時間が約26秒間である大当りである。このため、賞球数が比較的多くなる。なお、各大当りでは、大入賞口86に所定数(例えば、10個)の遊技球が入球するか、あるいは所定数(例えば、10個)の遊技球が入球しなくても所定時間(例えば、26秒間)が経過したときに大入賞口86が閉じられて1ラウンドが終了する。
また、確率変動状態は、大当り(確変大当り及び通常大当りの2種類の大当りを意味する)に移行する確率が予め定められた高確率となる状態である。また、開放時間延長状態は、始動口56Bの開放時間が通常よりも延長される状態である。例えば、通常の開放時間は、約0.1秒間であるのに対して、開放時間延長状態では、約4秒間に延長される。なお、始動口56Bは、普通図柄の抽選に当選することにより開放するもので、普通電動役物として機能する。
また、確変大当りの後は、大当りに移行する確率が、通常遊技状態と比べ予め定められた高確率となる、特別図柄の確率変動状態になる。そして、次回大当りが発生するまでの間か、あるいは規定回数(例えば、10000回)の特別図柄の変動表示が行われるまでの間、特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する。また、通常大当りの後は、大当りに移行する確率が通常遊技状態と同一の予め定められた低確率状態となるとともに、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する時短遊技状態となる。
センター役物64は、演出図柄表示装置62の前面周辺部に突設して装着されている。センター役物64は、可動する一対の翼片部64Aを有している。この翼片部64Aの可動によりワープ入球口58の開口面積が変化する。
また、遊技領域28の左下方側には、主制御基板102からのコマンド(特別変動パターン又は通常変動パターンを指示するコマンド)に基づいて識別図柄(特別図柄の識別図柄及び普通図柄の識別図柄を意味する)を表示制御する7セグ表示基板(図柄表示装置)68が配置されている。この7セグ表示基板68は、特別図柄の識別図柄を表示する7セグメント表示器70と、4個の普通図柄保留表示LED72と、4個の特別図柄保留表示LED74と、普通図柄の識別図柄を表示する2個の普通図柄表示LED76と、を有している。
ここで、確変大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた識別図柄(例えば、奇数の数字からなる確変大当り図柄)が停止表示される。また、通常大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた別の識別図柄(例えば、偶数の数字からなる通常大当り図柄)が停止表示される。
また、演出図柄表示装置62の左側には、普通図柄作動ゲート78が配置されている。この普通図柄作動ゲート78の内部には、ゲートスイッチ124(図3参照)が配設されている。これにより、遊技球が普通図柄作動ゲート78を通過すると、ゲートスイッチ124が作動して、7セグ表示基板68の普通図柄表示LED76が変動表示される。
各普通図柄保留表示LED72及び各特別図柄保留表示LED74は、4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器70の左右両側に近接して配置されている。これは、普通図柄作動ゲート78を通過した遊技球の数を4個まで普通図柄の保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。また、始動口56Bに入球した遊技球の数も4個まで特別図柄の保留とし、入球ごとに順次点灯しシフト表示するものである。7セグメント表示器70の変動表示が開始する度に、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED74は消灯される。また、普通図柄も普通図柄表示LED76の変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED72が消灯される。そして、7セグメント表示器70に予め定められた大当り図柄が停止表示されると大当りが発生し、大入賞口86が開放状態となる。また、2個の普通図柄表示LED76が予め定められた表示態様(当り図柄)で停止表示されると、普通図柄当りが発生し、始動口56Bが開放状態となる。なお、7セグメント表示器70にて表示される特別図柄の識別図柄と、演出図柄表示装置62にて表示される特別図柄の演出図柄とは、同一の遊技結果(抽選結果)を示すものである。
始動口56Bは、演出図柄表示装置62の下方に離れて配置されているものであり、いわゆるチューリップ式で一対の翼片部材56Aが開閉するように形成されている。その内部には、遊技球の通過を検知する始動口スイッチ120(図3参照)と、翼片部材56Aを作動させるための始動口ソレノイド130(図3参照)と、がそれぞれ備えられている。この一対の翼片部材56Aが左右に開くと始動口56Bの開放面積が大きくなって遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部材56Aが閉じその離間距離が小さくなると始動口56Bの開放面積が小さくなって遊技球の入球の可能性が小さくなる通常状態となる。
変動入賞装置80は、始動口56Bの下方に配置されており、基板82と、大入賞装置84と、を備えている。ここで、大入賞装置84は、略中央に配置されており、帯状に開口された大入賞口86と、この大入賞口86を開放又は閉鎖する開閉板88と、この開閉板88を開閉するための大入賞口ソレノイド132(図3参照)と、入賞球を検知するカウントスイッチ126(図3参照)と、を備えている。
また、中央装置54の左側下方部には、風車63が配置されている。さらに、遊技領域の左側下方部及び右側下方部には、一対のサイドランプ90がそれぞれ配置されている。
また、遊技盤26の下方にはアウト口92が設けられており、このアウト口92の下部にはバック球防止部材94が設けられている。このバック球防止部材94は、遊技領域28に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。また、内レール52の先端部には、ファール球防止部材96が取り付けられている。
次に、パチンコ機10を構成する電子制御装置について説明する。
図3及び図4に示すように、電子制御装置は、主制御基板102と、払出制御基板104と、サブ制御基板106と、発射制御基板108と、を備えている。
図4に示すように、主制御基板102は、CPU102Aと、ROM102Bと、を備えている。
また、主制御基板102のCPU102Aは、ROM102Bに記憶されたデータに基づいて、始動口ソレノイド130、大入賞口ソレノイド132、識別図柄表示装置134及びサブ制御基板106をそれぞれ制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、遊技全体を司り主として当否判定などの遊技状態を判断するものである。
特に、CPU102Aは、始動口56Bへの遊技球の入球を契機として、大当り抽選処理(特別遊技抽選処理)を実行し、任意の乱数(特別図柄当否判定乱数)を用いて当否を判定する機能を備えている。また、特別図柄の当否判定の実行に伴って、CPU102Aは、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(変動時間)を決定する機能も備えている。
この識別図柄の変動パターンは、演出図柄表示装置62に表示される各演出図柄の演出パターン(遊技演出)に対応するもので、CPU102Aが行う「識別図柄の変動パターンの決定」は、「演出図柄の演出パターン(遊技演出)の決定」に相当する。そして、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(演出図柄の演出パターン)が決定されると、7セグメント表示器70で特別図柄(識別図柄)の変動表示が開始されるとともに、演出図柄表示装置62で演出図柄の変動表示が開始され、決定された変動パターンにより特定される変動時間が経過すると、特別図柄および演出図柄が停止表示され、その停止表示された演出図柄の図柄組み合わせ態様により、特別図柄の当否判定結果(大当り抽選結果)が遊技者に報知される。なお、演出図柄表示装置62は、遊技盤26の表面(盤面)略中央に、遊技者の視野に入り易い状態で配置される。一方、7セグメント表示器70は、遊技盤26の表面(盤面)の端部(本実施形態では盤面左側端部)に、遊技者の視野に入り難い状態で配置される。このことから、遊技者は演出図柄表示装置62の表示内容に注目して遊技を行うのが一般的である。
そして、CPU102Aは、上述した演出図柄の変動表示及び停止表示の制御を行うサブ制御基板106や、盤面に設けられた各種入賞口に遊技球が入球することで発生する賞球の払い出し制御を行う払出制御基板104を直接的に制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116をサブ制御基板106を介して間接的に制御する。
主制御基板102のROM102Bには、CPU102Aにより実行される遊技全体の制御を実現するためのプログラムが記憶されている。
また、主制御基板102は、中継端子板118を介して、始動口スイッチ120と、大入賞口スイッチ122と、ゲートスイッチ124と、カウントスイッチ126と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、主制御基板102は、中継端子板128を介して、始動口ソレノイド130と、大入賞口ソレノイド132と、識別図柄表示装置134と、にそれぞれ電気的に接続されている。なお、7セグ表示基板68は、識別図柄表示装置134の一実施形態である。
払出制御基板104は、中継端子板136を介して、ガラス枠スイッチ138と、外部タンクスイッチ140と、タンクスイッチ142と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板144を介して、エラーLED146に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、下皿満タンスイッチ148に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板150を介して、球貸表示基板152と、球貸装置(CRユニット)154と、にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、球貸表示基板152には、球貸スイッチ156と、返却スイッチ158と、がそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板160を介して、払出モータ162を備えた払出装置161と払出スイッチ164とにそれぞれ電気的に接続されている。さらに、払出制御基板104は、主制御基板102と発射制御基板108とにそれぞれ電気的に接続されている。
図3及び図4に示すように、サブ制御基板106は、演出表示基板110と、アンプ基板112と、装飾駆動基板114と、演出ボタン基板116と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、図17に示すように、サブ制御基板(制御手段)106は、主制御基板102からのコマンドに基づいて遊技の演出の制御を司るものである。また、サブ制御基板106は、CPU106Aと、ROM106Bと、演出役物200の動作回数(本明細書において、移動回数又は移動距離と定義する。以下同様)を算出する動作算出部106Cと、動作算出部106Cで算出された演出役物200の動作回数(移動回数又は移動距離)を演出役物200の耐久基準値と比較して演出役物200の動作回数が耐久基準値を超えているか否かを判定する比較判定部106Dと、演出役物200の動作回数が耐久基準値を超えている場合であって演出役物200の動作を伴う特別変動パターンが選択されたときに演出役物200の動作を禁止する通常変動パターンに差替える演出調整部106Eと、コマンド送信部106Fと、を備えている。
サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102からのコマンドを受けて演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116などの各基板を制御する。特に、CPU106Aは、主制御基板102から送信されてくる遊技状態に関するコマンドを受信して、演出図柄及び演出役物200の変動パターン(特別変動パターン又は通常変動パターン)を選択(指定)する。具体的には、主制御基板102は、遊技全体の制御を司るものであるため、大当り遊技などの当選確率を指定し、当否判定を決定したり、これから実行する遊技状態を指定するものである。そして、主制御基板102は、決定した遊技状態に関する情報を特定したコマンドをサブ制御基板106に対して送信する。サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102から送信されてきたコマンドに基づいて、遊技演出を選択・指定することになる。
サブ制御基板106は、主制御基板102から受信したコマンドに基づいて詳細な遊技演出を決定(選択・指定)する。例えば、サブ制御基板106のCPU106Aは、大当り遊技に関するコマンドを受信すると、大当り遊技の演出を行うための演出図柄表示装置62における演出図柄の変動表示、演出役物200の移動動作、各種スピーカ170における音出力、各種LED・ランプ172における発光出力などに関する各種変動パターン(特別変動パターン又は通常変動パターン)を選択・指定するとともに、これを指示するコマンドを生成する。なお、このコマンドは、演出表示基板110、装飾駆動基板114、アンプ基板112に対してコマンド送信部106Fを介して送信する。
なお、演出表示基板110は、サブ制御基板106のコマンド送信部106Fから送信されてきたコマンドに基づいて演出図柄の具体的な変動表示パターン(特別変動表示パターン(特別演出図柄の変動表示パターン)又は通常変動表示パターン(通常演出図柄の変動表示パターン))を選択・指定する。また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106のコマンド送信部106Fから送信されてきたコマンドに基づいて演出役物200の具体的な移動動作パターン(移動パターン又は停止パターン)や各種LED・ランプ172の具体的な発光パターン(特別発光パターン又は通常発光パターン)を選択・指定する。さらに、アンプ基板112は、サブ制御基板106のコマンド送信部106Fから送信されてきたコマンドに基づいて各種スピーカ170の具体的な音出力パターン(特別音出力パターン又は通常音出力パターン)を選択・指定する。
ここで、サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102から受信したコマンドのうち、演出役物200の移動動作を伴うコマンドか否かを判定する。例えば、大当り遊技やいわゆるリーチ遊技などの遊技者にとって有利な遊技状態を指定するコマンドであれば、演出図柄の変動表示に、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンになる。本実施形態では、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンとして、図28に示すように、特別変動パターンA、特別変動パターンB、特別変動パターンC、が例示されており、CPU106Aが主制御基板102からのコマンドに基づいて演出役物200の移動動作を伴う場合と判定したときに、これらの3つの特別変動パターンA、B、Cのうちから1つの特別変動パターンを選択・指定する。一方、大当り遊技の抽選に外れを指定したり、通常遊技を指定するなどの遊技者にとって有利にならない遊技状態を指定するコマンドであれば、演出図柄の変動表示のみで完了し、演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンになる。このように、CPU106Aは、主制御基板102から受信したコマンドに基づいて、演出役物200の移動動作を伴うものであるか否かを判定し、各変動パターンを特定したコマンドを、コマンド送信部106Fを介して演出表示基板110、装飾駆動基板114、アンプ基板112に対して送信する。
ROM106Bには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。特に、ROM106Bには、演出表示基板110、装飾駆動基板114、アンプ基板112に対して送信するコマンドが生成される際に参照するデータが記憶されている。
また、ROM106Bには、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、特別変動パターンB、特別変動パターンCを1回実行したときに、演出役物200が実際に移動する移動距離が記憶されている。具体的には、ROM106Bには、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンAを1回実行したときに演出役物200が実際に移動する単位移動距離Aと、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンBを1回実行したときに演出役物200が実際に移動する単位移動距離Bと、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンCを1回実行したときに演出役物200が実際に移動する単位移動距離Cと、が記憶されている。
また、ROM106Bには、演出役物200の耐久基準値を示すデータが記憶されている。具体的には、演出役物200の耐久基準値を示すデータとして、演出役物200の総移動回数の規定値や、演出役物200の総移動距離の規定値が記憶されている。ここで、演出役物200の耐久基準値とは、演出役物200の耐久試験を経て確立された絶対制限値であり、例えば、1日における演出役物200の稼働回数(移動回数)の制限値や、1日における演出役物200の稼働距離(移動距離)の制限値という形で規定されている。
動作算出部106Cは、演出役物200の移動回数(総移動回数)又は移動距離(総移動距離)を算出する。具体的には、動作算出部106Cは、カウンタを搭載したCPUで構成されており、CPU106Aにより選択・指定(実行)された演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、Cの回数をカウントする。これにより、動作算出部106Cは、演出役物200の移動回数をカウントすることができる。なお、CPU106Aで動作算出部106Cの機能を兼備してもよい。
ここで、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、Cの回数のカウント値は、ROM106B、あるいは内蔵するRAM(図示省略)に記憶されていき、次回の動作算出部106Cによるカウント処理の際にROM106B(RAM)に記憶されたカウント値が更新されていく。ROM106Bに記憶された演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、Cのカウント値は、パチンコ機10の電源投入時にリセットされる設定にすることにより、パチンコ機10の1日の稼働で演出役物200の移動動作を伴う変動パターンA、B、Cが何回実行されたのかを動作算出部106Cで算出することができる。
また、動作算出部106Cは、カウンタを搭載したCPUで構成されており、演出役物200の移動距離を算出することも可能である。具体的には、CPU106Aにより選択・指定(実行)された演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、Cの回数をカウントし、ROM106Bに予め記憶された演出役物200の単位移動距離A、B、Cに基づいて、演出役物200の総移動距離を算出する。詳細には、特別変動パターンAの回数×(演出役物200の単位移動距離A)+特別変動パターンBの回数×(演出役物200の単位移動距離B)+特別変動パターンCの回数×(演出役物200の単位移動距離C)で、演出役物200の総移動距離が算出される。このように、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、Cの回数をカウントし、逐一、上記公式を利用することにより現時点における演出役物200の総移動距離を容易に算出することができる。また、ROM106B又はRAMに、現時点における演出役物200の総移動距離を記憶しておけば、次回以降の特別変動パターンA、B、Cの回数に基づいて単位移動距離A、B、Cを順次加算していくことにより、常に最新となる演出役物200の総移動距離を容易に算出することもできる。なお、ROM106Bに記憶された演出役物200の移動距離(総移動距離)のデータは、パチンコ機10の電源投入時にリセットされる設定にすることにより、パチンコ機10の1日の稼働で演出役物200の移動距離(総移動距離)を動作算出部106Cで算出することができる。
ここで、動作算出部106Cで算出された演出役物200の総移動距離は、データとしてROM106B(あるいは内蔵するRAM(図示省略))に逐次記憶されていき、次に演出役物200の総移動距離の総移動距離が算出されたときに、ROM106Bに記憶されたデータが更新されることが好ましい。
比較判定部106Dは、例えば、CPUで構成されており、ROM106Bに記憶された演出役物200の耐久基準値を示すデータに基づき、動作算出部106Cで算出された演出役物200の移動回数(総移動回数)や移動距離(総移動距離)を参照して、演出役物200の耐久基準値を超えているか否かを判定する。演出役物200の耐久基準値を超えている場合には、演出役物200の演出動作がいわゆるオーバーワークの状態を意味している。なお、CPU106Aで比較判定部106Dの機能を兼備してもよい。
演出調整部106Eは、例えば、CPU106Aで構成されており、比較判定部106Dにより演出役物200の耐久基準値を超えていると判定された後に、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンがCPU106Aにより選択された場合には、遊技演出に関する変動パターンを調整する。具体的には、演出調整部106Eは、比較判定部106Dにより演出役物200の耐久基準値を超えていると判定された後に、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンA、B、CがCPU106Aにより選択・指定された場合に、CPU106Aにより選択・指定された特別変動パターンA、B、Cに替えて、CPU106Aにより選択・指定された特別変動パターンA、B、Cの変動時間と同一の変動時間に設定された、演出役物200の移動が禁止されている通常変動パターンを選択・指定し、かつ演出役物200の移動が禁止されている通常変動パターンを指示するコマンドを生成する。そして、演出調整部106Eで選択・指定された通常変動パターンを指示するコマンドは、コマンド送信部106Fから各基板110、112、114に対して送信される。なお、CPU106Aで演出調整部106Eの機能を兼備してもよい。
ここで、通常変動パターンとは、いわゆる演出役物200の移動動作の停止パターン、演出図柄表示装置62における通常演出図柄の通常変動表示パターン、各種LED・ランプ172における通常発光パターン、各種スピーカ170における通常音出力パターンを意味するものである。なお、通常変動パターンとして、演出図柄表示装置62、各種LED・ランプ172及び各種スピーカ170を使用した3種類の演出を説明したが、3種類の演出が同時に実行される場合に限定されるものではなく、少なくとも、演出図柄表示装置62における通常演出図柄の変動表示が実行されればよい。
一方、演出調整部106Eは、比較判定部106Dにより演出役物200の耐久基準値を超えていないと判定された場合には、CPU106Aにより選択・指定された変動パターンを調整するものではない。また、演出調整部106Eは、比較判定部106Dにより演出役物200の耐久基準値を超えていると判定された場合であっても、演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンがCPU106Aにより選択・指定された場合には、CPU106Aにより選択・指定された通常変動パターンを調整するものではない。これらの場合には、CPU106Aにより選択・指定された変動パターン(特別変動パターンA、B、Cあるいは通常変動パターン)を指示するコマンドが、コマンド送信部106Fから各基板110、112、114に対してそのまま送信される。
コマンド送信部106Fは、CPU106Aにより選択・指定された変動パターンに関するコマンドを演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114などに対して送信する。
図4に示すように、演出表示基板110には、演出表示装置166(62)と、演出表示ROM168と、がそれぞれ電気的に接続されている。この演出表示ROM168には、演出図柄表示装置62に変動表示及び停止表示される演出図柄のデータ(画像データ)が記憶されている。なお、演出図柄表示装置62は、演出表示装置166の一実施形態である。
ここで、演出表示ROM168は、遊技者に有利な遊技状態に至ったタイミングで演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される特別画像G(図8参照)のデータを記憶する。そして、演出表示基板110は、演出表示ROM168に記憶された画像データに基づいて、遊技者に有利な遊技状態に至ったタイミングで演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Gが表示されるように、演出図柄表示装置62を制御する。
具体的には、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される特別画像Gとして、あるキャラクタG1が登場して刀G2を引き抜くしぐさを模した画像が例示される。このとき、このキャラクタG1は、パチンコ遊技のタイトルになっているゲームの主人公が考えられ、刀G2を引き抜いて敵を倒すことにより、敵の血しぶきをイメージした赤色筋G3の画像(赤色筋画像)が刀G2の画像の一部に合わせて表示される。
また、図8乃至図10に示すように、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別画像Gの演出方法は、完成された特別画像Gの一部を最初に表示し、その一部の画像が時間の経過と共に成長してやがて完成画像に至るような演出が実行される。具体的には、表示面62Aで表示される刀G2の画像には、血しぶきをイメージした赤色筋G3の画像が合成されるが、その赤色筋G3の画像は、最初、刀G2の一部分に赤色筋G3の画像が入り、時間が経過していくと、赤色筋G3の画像が刀G2の画像全体に、かつ左側から右側に向かって広がっていくように演出される。
ここで、演出表示ROM168には、サブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに演出図柄表示装置62で変動表示する特別演出図柄のデータ、サブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに演出図柄表示装置62で変動表示する通常演出図柄のデータなどが記憶されている。
また、図4に示すように、アンプ基板112には、所定の効果音を出力する各種スピーカ170(48)が電気的に接続されている。アンプ基板112は、サブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに、各種スピーカ170(48)に対して特別音出力パターンに基づいた音出力制御を行う。また、アンプ基板112は、サブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに、各種スピーカ170(48)に対して通常音出力パターンに基づいた音出力制御を行う。これにより、サブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときには、各種スピーカ170(48)から特別音が出力される。また、サブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときには、各種スピーカ170(48)から通常音が出力される。なお、サブスピーカ48は、各種スピーカ170の一実施形態である。
また、装飾駆動基板114には、各種LED・ランプ172(66)及び駆動モータ176が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からのコマンド(特別変動パターン又は通常変動パターンを指示するコマンド)を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。特に、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からのコマンド(特別変動パターン又は通常変動パターンを指示するコマンド)に基づいて、各ランプ装置66の発光を制御する。ここで、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに、各種LED・ランプ172(66)に対して特別発光パターンに基づいた発光制御を行う。また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに、各種LED・ランプ172(66)に対して通常発光パターンに基づいた発光制御を行う。これにより、サブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときには、各種LED・ランプ172(66)は特別発光パターンに基づいて発光する。サブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときには、各種LED・ランプ172(66)は通常発光パターンに基づいて発光する。
また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からのコマンド(特に、特別変動パターン)を受けて演出役物200の移動を制御する。具体的には、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からのコマンド(特に、特別変動パターン)に基づいて駆動モータ176の駆動制御を実行する。これにより、図8乃至図10に示すように、演出役物200は、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別画像Gの変動タイミングと連動する形で、演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方を上下方向に移動する。具体的には、演出役物200は、演出図柄表示装置62の表示面62AにキャラクタG1が刀G2を引き抜くしぐさが表示されるタイミングにあわせて、表示面62Aに表示される刀G2の画像の前方に位置するように移動制御される。これにより、遊技者は、表示面62Aに表示される刀G2の画像の一部と演出役物200の刀状部材202とが重ねられた状態を視認することになり、演出役物200の刀状部材202があたかも表示面62Aで表示されている刀G2の画像と合致した一体的なものと考える。この結果、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される特別画像の表示演出と演出役物200による役物演出との相乗効果により、現実的で一体感がありかつ迫力のある演出を実現することが可能になる。
さらに、表示面62Aで表示される刀G2の画像に合成される赤色筋G3の画像の太さは、演出役物200の刀状部材202の透過部206の太さよりも太くなるように設定されている。具体的には、図10に示すように、演出役物200の刀状部材202の透過部206を透過する画像の演出表示図柄装置62の表示面62Aにおける表示面積Xが、刀状部材202の透過部206の透過面積Yを演出図柄表示装置62に対して投影した投影面積Yと比較して、広い面積となるように、演出図柄表示装置62の表示制御が演出表示基板110により実行される。このため、遊技者は、刀状部材202の透過部206を介して表示面62Aに表示された特別画像Gの一部(赤色筋画像)だけを視認することができる。一方、表示面62Aに表示された特別画像Gの他の部分であって刀状部材202の非透過部208と前後方向に重なる部分(非透過部208が表示面62Aに投影される領域)の画像は、非透過部208で遮断されて遊技者が視認することは不可能となる。
ここで、上記した演出役物200の移動動作が開始される場合は、装飾駆動基板114がサブ制御基板106から遊技演出の特別変動パターン(演出役物200の移動動作を伴う変動パターン)を指示するコマンドを受けたときに限られる。なお、装飾駆動基板114がサブ制御基板106から遊技演出の通常変動パターン(演出役物200の移動動作を伴わない変動パターン)を指示するコマンドを受けたときには、駆動モータ176が駆動されないため、演出役物200は移動動作を実行しない(すなわち、演出役物200は初期位置で停止した状態である)。
また、図4に示すように、演出ボタン基板116には、操作スイッチ174(40)が電気的に接続されている。なお、ランプ装置66は、各種LED・ランプ172の一実施形態である。また、演出ボタン40は、操作スイッチ174の一実施形態である。
次に、演出図柄表示装置62の前方を移動する演出役物200の構成について説明する。
図2、図5及び図6に示すように、演出役物200は、刀の一部をモチーフにしたものであり、演出図柄表示装置62の表示面62A上をパチンコ機正面視にて左右方向に跨って配置された刀状部材202を備えている。この刀状部材202は、刀の刃の部位に相当する刃部204を備えている。この刃部204には、全体としてパチンコ機正面視で左右方向に延び、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示された画像を透過する透過部206と、透過部206以外の部位となり演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示された画像を透過しない非透過部208と、が形成されている。この透過部206は、透過性材料(例えば、無色透明の樹脂、プラスチック、ガラス)で構成されており、刃部204の他の部位と一体成形され、あるいは別々に成形された後、組み付けられて、構成されている。このため、演出役物200の刀状部材202と演出図柄表示装置62の表示面62Aが前後方向に重なる領域(刀状部材202が表示面62Aに投影される領域)については、遊技者は、透過部206を介して表示面62Aに表示されている特別画像Gの一部(透過部206が表示面62Aに投影された領域Yの画像)のみを視認することができ、非透過部208に対応する領域の画像(非透過部208が表示面62Aに投影された領域の画像)は視認することができない。
ここで、図8乃至図10に示すように、透過部206は、パチンコ機正面視にて左側に位置する第1透過部206Aと、第1透過部206Aと接続され右下方に湾曲傾斜しながら左右方向に延びる第2透過部206Bと、第2透過部206Bから下方向に延びる2本の第3透過部206Cと、で構成されている。各透過部206A、206B、206Cは、一体的なものとして相互に接続されている。
図10に示すように、演出図柄表示装置62の表示面62Aで表示される赤色筋G3の画像は、先ず、第1透過部206Aから透過し、次に第2透過部206Bから透過し、そして、第3透過部206Cから透過するように、時差を設けて演出される。このため、遊技者は、先ず、第1透過部206Aから透過した赤色筋G3の画像を視認し、次に第2透過部206Bから透過した赤色筋G3の画像を視認し、そして、第3透過部206Cから透過した赤色筋G3の画像を視認することになる。換言すれば、遊技者は、第1透過部206A、第2透過部206B及び第3透過部206Cが特定色(赤色)で徐々(段階的に(時差的に))に充足されていくように視認する。この結果、演出役物200の刀状部材202には、パチンコ機正面視にて左側から右側に赤色筋G3が走るように流れていくため、遊技者は、あたかも刀で敵を倒したかのような錯覚に陥ることになる。
図5及び図6に示すように、刀状部材202の左側端部には、パチンコ機上下方向に延びた左側ラック状部材210が接続されている。演出図柄表示装置62の表示面62Aの近傍には、ピニオンギア212が配置されており、ピニオンギア212が左側ラック状部材210のラック歯210Aと噛み合っている。また、ピニオンギア212は、駆動モータ176(図4参照)の回転軸176Aが接続されており、駆動モータ176が駆動することにより回転する。なお、駆動モータ176は、装飾駆動基板114により駆動制御される。
刀状部材202の右側端部には、パチンコ機上下方向に延びた右側ラック状部材214が接続されている演出図柄表示装置62の表示面62Aの近傍には、従動ギア216が回転可能に配置されており、従動ギア216が右側ラック状部材214のラック歯214Aと噛み合っている。このため、駆動モータ176が駆動し、ピニオンギア212が正方向に回転すると、駆動モータ176の駆動力がピニオンギア22を介して左側ラック状部材210に伝達される。これにより、左側ラック状部材210には下方向に引っ張る力が作用して、刀状部材202が下方向に移動する。このとき、右側ラック状部材214には下方向に引っ張る力が作用して、右側ラック状部材214が下方向に移動する。なお、従動ローラ216は、右側ラック状部材214のラック歯214Aと噛み合っているので、右側ラック状部材214が下方向に移動すると、従動ローラ216は回転する。
また、駆動モータ176が駆動してピニオンギア212が逆方向に回転した場合には、刀状部材202は、上方向に移動する。このように、駆動モータ176は、サブ制御基板106からのコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)を受けて駆動し、ピニオンギア212を正方向又は逆方向に回転することにより、刀状部材202の下方向又は上方向の移動を可能にしている。なお、演出役物200の刀状部材202は、表示面62Aの近傍に設けた位置検出センサ(図示省略)からの刀状部材202の検出信号と、駆動制御の対象となる駆動モータ176の回転数と、確実に位置制御することができる。
次に、本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の演出役物200の移動動作について説明する。なお、図2、図5及び図7に示すように、通常遊技の状態(大当り遊技、確率変動遊技、時短遊技、リーチなどの遊技者に有利な遊技状態以外の遊技状態)では、サブ制御基板106から通常変動パターンを指示するコマンドを受信するため、演出役物200の刀状部材202は、演出図柄表示装置62の表示面62Aの上方の待機位置で停止している。
図5及び図7に示すように、遊技者に有利な遊技状態(大当り遊技、確率変動遊技、時短遊技、リーチなどの遊技者に有利な遊技状態)になると、サブ制御基板106から演出表示基板110に対して、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Gを表示させるコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)が出力される。これにより、演出表示基板110は、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Gを表示する準備に入る。同時に、サブ制御基板106から装飾駆動基板114に対して演出役物200を移動させるコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)が出力される。これにより、装飾駆動基板114は、演出役物200の刀状部材202を移動させる準備に入る。
そして、各準備が終了すると、図8に示すように、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Gが表示される。例えば、演出図柄表示装置62の表示面62Aには、あるキャラクタG1が刀G2を持った状態を示す特別画像Gが表示される。
また、同時に、図6に示すように、演出役物200の刀状部材202が表示面62Aの前方側を下方向に移動する。刀状部材202の移動は、上述した通りであり、駆動モータ176が正方向に回転してピニオンギア212が回転し、これに従って演出役物200である刀状部材202が下方に移動する。ここで、演出役物200である刀状部材202は、表示面62Aに表示される特別画像Gの刀G2の画像の近傍まで下方に移動する。演出役物200である刀状部材202が下方に移動すると、刀状部材202と表示面62Aに表示される特別画像Gの刀G2の画像とが前後方向に重なる。
図9及び図10に示すように、刀状部材202と表示面62Aに表示される特別画像Gの刀G2の画像とが前後方向に重なったタイミングで、表示面62Aに赤色筋G3の画像が左側から右側に向かって徐々に表示される。すなわち、表示面62Aには赤色筋G3の画像が左側から右側に時差をもって表示されていき、最終的に、表示面62Aの左側から右側にわたった赤色筋G3の画像が表示される。
表示面62Aには赤色筋G3の画像が表示されると、その一部は、演出役物200の刀状部材202の透過部206を介して遊技者に視認可能になる。すなわち、表示面62Aには赤色筋G3の画像が左側から右側に時差をもって表示されていくと、その赤色筋G3の変動表示に伴って、先ず、刀状部材202の第1透過部206Aに赤色筋G3を視認でき、次に、第2透過部206Bに赤色筋G3を視認でき、最後に第3透過部206Cに赤色筋G3を視認できるようになる。このように、遊技者は、表示面62Aに表示される刀G2の画像と同時に、赤色筋G3が刀状部材202を左側から右側に徐々に進んでいく様も見ることになるため、表示面62Aに表示されている刀G2の画像演出と演出役物200である刀状部材202における透過演出とが有機的一体的な遊技演出を実現しているものと錯覚することになる。これにより、両者の演出内容に相乗効果を持たせることができるため、遊技者は遊技の意外性という印象を抱くことになり、ひいては遊技性を向上させることができる。また、演出役物200の刀状部材202に発光源等を直接取り付けている構成ではないので、刀状部材202の移動に伴い電気線などのハーネス類による支障が生じることはない。また、演出図柄表示装置62の表示面62Aで表示される特別画像Gを利用して刀状部材202の装飾演出を実現しているため、コスト高の問題も生じない。
特に、演出図柄表示装置62の表示面62Aには、特別画像Gの一部を構成する赤色筋G3の画像が時差をもって表示されていき、最終的には表示面62Aの左右方向に延びたひとつの完成画像として表示される。これと同時に、演出役物200の刀状部材202の透過部206には、赤色筋G3の画像の成長過程を示す画像が透過されていき、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される特別画像Gが完成画像に至ったときに演出役物200である刀状部材202の装飾演出が完成する。これにより、演出役物200の刀状部材202の装飾演出に変化を持たせることができ、装飾演出の遊技性を高めることができる。
また、演出図柄表示装置62は、演出役物200である刀状部材202の透過部206を透過する画像の演出図柄表示装置62の表示面62Aにおける表示面積Xが、刀状部材202の透過部206の透過面積Yを演出図柄表示装置62の表示面62Aに対して投影した投影面積Yと比較して広い面積となるように、表示制御される。これにより、演出図柄表示装置62の表示面62Aで表示される赤色筋G3の画像の表示面積Xが刀状部材202の透過部206で透過される赤色筋G3の透過面積Yよりも大きくなるので、刀状部材202の移動に誤差が生じても、刀状部材202の透過部206には演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される赤色筋G3の画像の一部が常に透過される。換言すれば、刀状部材202の移動誤差を、演出図柄表示装置62の表示面62Aで表示される赤色筋G3の画像の大きな表示面積Xの範囲で吸収することができる。この結果、演出図柄表示装置62の表示面62Aにおける特別画像Gの表示演出と、演出役物200の刀状部材202を透過する画像により実現される演出役物200の装飾演出と、の間に、遊技的に関連した一体的な演出を常に成立させることができる。
次に、本発明が適用される演出役物200の変形例について説明する。
図11乃至図13に示すように、演出役物250は、月をモチーフにしたものであり、演出図柄表示装置62の表示面62A上をパチンコ機正面視にて左右方向に移動する月状部材252を備えている。この月状部材252は、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示された特別画像Qを透過する透過部254で構成されている。この透過部254は、透過性材料(例えば、無色透明の樹脂、プラスチック、ガラス)で構成されている。このため、演出役物250である月状部材252と演出図柄表示装置62の表示面62Aが前後方向に重なる領域(月状部材252が表示面62Aに投影される領域)については、遊技者は、透過部254を介して表示面62Aに表示されている特別画像Qの一部(透過部254が表示面62Aに投影された領域の画像、本実施形態では月S1の画像)を視認することができる。
月状部材252には、無色透明の棒状部材256が取り付けられている。この棒状部材256は、パチンコ機左右方向に延びたラック状部材258が接続されている。演出図柄表示装置62の表示面62Aの近傍には、ピニオンギア260が配置されており、ピニオンギア260がラック状部材258のラック歯258Aと噛み合っている。また、ピニオンギア260は、駆動モータ176(図4参照)の回転軸176Aが接続されており、駆動モータ176が駆動することにより回転する。なお、駆動モータ176は、装飾駆動基板114により駆動制御される。
駆動モータ176が駆動し、ピニオンギア260が正方向に回転すると、駆動モータ176の駆動力がピニオンギア260を介してラック状部材258に伝達される。これにより、ラック状部材258には左方向に引っ張る力が作用して、月状部材252が左方向に移動する。この結果、月状部材252は、演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方を左方向に移動する。
なお、駆動モータ176が駆動してピニオンギア260が逆方向に回転した場合には、月状部材252は、右方向に移動する。これにより、月状部材252は、演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方を右方向に移動する。このように、駆動モータ176は、サブ制御基板106からのコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)を受けて駆動し、ピニオンギア260を正方向又は逆方向に回転することにより、月状部材252の左方向又は右方向の移動を可能にしている。なお、演出役物250は、表示面62Aの近傍に設けた位置検出センサ(図示省略)からの演出役物250(月状部材252)の検出信号と、駆動制御の対象となる駆動モータ176の回転数と、確実に位置制御することができる。
演出表示ROM168には、月状部材252の透過部254を透過させる特別画像Qに関する画像データが記憶されている。具体的には、演出図柄表示装置62の表示面62A上に表示される月Sの画像データが記憶されている。特に、図14乃至図16に示すように、月Sの画像は、演出図柄表示装置62の表示面62A上の左側にあるときには三日月S1となり、左側に移動するに従って半月S2、満月S3に移っていく様を示す画像データが記憶されている。また、演出表示ROM168には、月状部材252の移動に伴い変動表示されるキャラクタTに関する特別画像の画像データが記憶されている。具体的には、月状部材の位置によって変化するキャラクタTに関する画像データが記憶されており、例えば、月状部材252が表示面62Aの右側に三日月S1として位置する場合には人間T1を模した画像を実現する画像データであり、月状部材252が表示面62Aの左側に移動していくに従い半猫人T2、猫T3に段階的に変身していく画像を実現する画像データが記憶されている。そして、この画像データは、月状部材252が満月になると、キャラクタTが完全な猫T3になる画像を実現するデータである。
演出表示基板110は、演出表示ROM168に記憶された特別画像Qのデータに基づいて演出図柄表示装置62の表示面62Aを演出制御する。具体的には、演出図柄表示装置62の表示面62Aは、表示面62Aの右側に黄色の三日月S1を示す画像を表示し、表示面62Aを右側から左側に移動するにしたがって徐々に半月S2、満月S3になっていく様を示す画像を表示する。また、演出図柄表示装置62の表示面62Aは、表示面62Aの左側部位にキャラクタT(人間:T1)を示す画像を表示し、月状部材252が表示面62Aを右側から左側に移動するにしたがって徐々に別のキャラクタ(半猫人:T2、猫:T3)になっていく様を示す画像を表示する。
また、装飾駆動基板114は、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される月Sに関する画像の変動表示に合わせるようにして、演出役物250である月状部材252の移動制御を行う。例えば、表示面62Aの右側に三日月S1の画像が表示されている場合には、月状部材252の透過部254が三日月S1の画像の前後方向に重なる位置(月状部材252の透過部254を表示面62Aに投影させたときに透過部254の投影領域と三日月S1の画像表示の領域とが合致する位置)に、月状部材252を移動させる。そして、装飾駆動基板114は、表示面62Aを変動表示する月Sの画像に合わせるようにして、月状部材252の透過部254が月Sの画像の前後方向に重なる位置(月状部材252の透過部254を表示面62Aに投影させたときに透過部254の投影領域と月の画像表示領域とが合致する位置)を維持した状態で、月状部材252を移動させる。
次に、本発明の演出役物250の演出動作について説明する。なお、図2に示すように、通常遊技の状態(大当り遊技、確率変動遊技、時短遊技、リーチなどの遊技者に有利な遊技状態以外の遊技状態)では、演出役物250である月状部材252は、演出図柄表示装置62の表示面62Aの右側の待機位置にある。
図11、図12及び図14に示すように、遊技者に有利な遊技状態(大当り遊技、確率変動遊技、時短遊技、リーチなどの遊技者に有利な遊技状態)になると、サブ制御基板106から演出表示基板110に対して、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像を表示させるコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)が出力される。これにより、演出表示基板110は、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Qを表示する準備に入る。同時に、サブ制御基板106から装飾駆動基板114に対して演出役物250である月状部材252を移動させるコマンド(特別変動パターンを指示するコマンド)が出力される。これにより、装飾駆動基板114は、演出役物250である月状部材252を移動させる準備に入る。
そして、各準備が終了すると、図14に示すように、演出図柄表示装置62の表示面62Aに特別画像Qが表示される。例えば、演出図柄表示装置62の表示面62Aの右側部位には、黄色に輝く三日月S1を示す画像が表示される。また、同時に、演出図柄表示装置62の表示面62Aの左側部位には、あるキャラクタT(人間:T1)を示す画像が表示される。
また、図12に示すように、演出役物250である月状部材252が表示面62Aの前方側を右方向から左方向に向かって移動する。月状部材252の移動は、上述した通りであり、駆動モータ176が正方向に回転してピニオンギア260が回転し、これに従って月状部材252が左方向に移動する。ここで、月状部材252が最初に停止する位置では、月状部材252の透過部254に表示面62Aに表示されている三日月S1の画像が透過されるようになっている。このように、表示面62Aに表示される三日月S1の画像の表示タイミングに合わせるようにして、月状部材252の移動が制御される。月状部材252が最初に停止した状態では、表示面62Aの右側部位に三日月S1が表示されており、この三日月S1は月状部材252の透過部254を介して視認することができる。また同時に、表示面62Aの左側部位には、あるキャラクタT(人間:T1)が三日月S1を見上げるしぐさを示す画像が表示されている。このように、表示面62Aに表示される月Sの画像と、キャラクタTの画像と、月状部材252の移動と、が一体的な関連性を持った演出を実現することができ、遊技者は、月状部材252があたかも三日月S1であるかのような印象を抱くことになる。
次に、図15に示すように、演出表示基板110が演出図柄表示装置62を表示制御して、演出図柄表示装置62の表示面62Aは、三日月S1が表示面62A内を右側から左側に移動(表示面62Aの右側端部から左側に表示面62Aの表示幅の約1/4を移動)して半月S2となるような画像を表示される。また、表示面62Aに表示される半月S2の画像の変動表示タイミングに合わせるようにして、月状部材252が表示面62Aの前方を左方向に移動する。そして、月状部材252の次の停止位置では、月状部材252の透過部254に表示面62Aで表示される半月S2の画像が透過された状態になっている。また同時に、表示面62Aの左側部位には、あるキャラクタT(人間:T1)が半猫人T2に変身する途中の画像が表示されている。このように、表示面62Aに表示される月Sの画像による演出と、キャラクタTの画像による演出と、月状部材252の移動演出と、が一体的な関連性を持った演出を実現することができ、遊技者は、月状部材があたかも半月S2であるかのような印象を抱くことになる。また、遊技者は、キャラクタT(人間:T1)が半月S2の月を見て、人間T1から猫T3に変身するかのような印象を抱くことになる。
そして、図13及び図16に示すように、演出表示基板110が演出図柄表示装置62を表示制御して、演出図柄表示装置62の表示面62Aは、半月S2が表示面62A内を右側から左側に移動(表示面62Aの右側端部から左側に表示面62Aの表示幅の約1/2を移動)して満月S3となるような画像を表示される。また、表示面62Aに表示される満月S3の画像の変動表示タイミングに合わせるようにして、月状部材252が表示面62Aの前方を左方向に移動する。そして、月状部材252の次の停止位置では、月状部材252の透過部254に表示面62Aで表示される満月S3の画像が透過された状態になっている。また同時に、表示面62Aの左側部位には、あるキャラクタTが人間T1から猫T3に変身した容姿を示す画像が表示されている。このように、表示面62Aに表示される満月S3の画像による演出と、キャラクタTの画像による演出と、月状部材252の移動演出と、が一体的な関連性を持った演出を実現することができ、遊技者は、月状部材252があたかも満月S3であるかのような印象を抱くことになる。また、遊技者は、キャラクタTが満月S3の月を見て、人間T1から猫T3に変身したかのような印象を抱くことになる。
以上のように、演出役物250である月状部材252の移動と表示面62Aに表示される月Sの画像とは常に連動しており、月状部材252の透過部254を表示面62Aに投影させたときの投影領域に月Sの特別画像が常に表示されている。表示面62Aには月Sの画像が表示されると、月Sの画像は月状部材252の透過部254を介して遊技者に視認可能になる。すなわち、表示面62Aには月Sの画像が左側から右側に向かって時差をもって表示されていくと、その月Sの変動表示に伴って、月状部材252の透過部254から月Sを視認できるようになる。このように、遊技者は、表示面62Aに表示される月Sの画像を、月状部材252を介して視認できると同時に、月状部材252を左側から右側に徐々に進んでいく様も見ることになるため、表示面62Aに表示されている月Sの画像演出と月状部材252における透過演出とが有機的一体的な遊技演出を実現しているものと錯覚することになる。さらに、変形例の演出役物250では、表示面62Aには、月Sの形状変化に応じて人間T1から猫T3に変身するキャラクタTの画像も表示されるため、キャラクタTの画像演出との間に関連性をもたせることができる。これにより、三者の演出内容に相乗効果を持たせることができるため、遊技者は遊技の意外性という印象を抱くことになり、ひいては遊技性を大きく向上させることができる。
特に、演出図柄表示装置62の表示面62Aには、特別画像を構成する三日月S1の画像が時差をもって表示されていき、最終的には満月S3を示す完成画像として表示される。これと同時に、月状部材252の透過部254には、月Sの画像の成長過程(形状変化)を示す画像が透過されていき、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される特別画像Qが満月S3の完成画像に至ったときに月状部材252の装飾演出が完成する。これにより、月状部材252の装飾演出に変化を持たせることができ、月状部材252の装飾演出による遊技性を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係るパチンコ機10の作用及び効果についてフローチャートに基づいて説明する。先ず、サブ制御基板106における変動パターンの決定処理について説明する。なお、演出役物としては、上述した演出役物200や演出役物250が該当する。また、演出役物200や演出役物250の移動動作と関連する特別演出図柄として、特別画像Gや特別画像Qが該当する。以下、演出役物の一例として、演出役物200を例示して説明する。
図18に示すように、サブ制御基板106において変動パターンが決定される。すなわち、サブ制御基板106のCPU106Aにより、演出役物200の移動動作のある変動パターンが決定されたか否かが判断される(S100)。S100における判断は、上述した通り、主制御基板102からのコマンドをサブ制御基板106が受信して、CPU106Aにより判断される。例えば、大当り遊技に当選した場合、リーチ遊技が進行する場合などの遊技者に有利な遊技状態に当選すると、CPU106Aにより演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンが決定され、大当り遊技の抽選に外れ場合、通常遊技が進行する場合などの遊技者に有利にならない遊技状態に当選すると、CPU106Aにより演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンが決定される。
次に、演出役物200の移動動作のある特別変動パターンが決定されたと判断された場合(S100:YES)には、演出役物200の移動動作回数又は移動距離が耐久基準値(所定値)を超えているか否かが判断される(S120)。かかるステップは、サブ制御基板106の動作算出部106Cにより演出役物200の移動動作回数又は移動距離が算出された上で、比較判定部106Dにより耐久基準値を超えているか否かが判定される。なお、演出役物200の移動動作回数の計数処理と、演出役物200の移動距離の計数処理と、については、後述する別のフローチャートで詳細に説明する。
演出役物200の移動動作回数が耐久基準値(所定値)を超えているか否かの判断は、ROM106B又はRAMに記憶された演出役物200の1日における総移動動作回数が耐久基準値(所定値)となる規定回数を超えているか否かを判定することにより判断できる。また、演出役物200の移動距離が耐久基準値(所定値)を超えているか否かの判断は、ROM106B又はRAMに記憶された演出役物200の1日における総移動距離が耐久基準値(所定値)となる総移動距離を超えているか否かを判定することにより判断できる。なお、演出役物200の1日における総移動距離は、動作算出部106C又はCPU106Aにより演出役物200の移動動作回数から算出(1回の移動動作における移動距離を決定し、移動回数を乗じた算出。各特別変動パターンA、B、Cごとの総移動距離を加算して算出)してもよいし、演出役物200の移動動作の度に演出役物200の移動距離をROM106Bに更新しておき、それを加算し続けていくことにより容易に算出することができる。
次に、演出役物200の移動動作回数又は移動距離が耐久基準値(所定値)を超えていると判定された場合(S120:YES)には、サブ制御基板106の演出調整部106Eにより、S100で決定された演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンに替えて、当該特別変動パターンの変動時間と同一の変動時間となる、演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンに差替えられる(S140)。なお、CPU106Aにより、演出調整部106Eの機能を兼備してもよい。
演出調整部106Eによる変動パターン差替え処理について具体的に説明する。例えば、特別変動パターンには、3種類のパターンがある。具体的には、図28に示すように、特別変動パターンAとして、変動時間が43.0秒、演出役物200の移動距離が50cm、特別変動パターンBとして、変動時間が83.0秒、演出役物200の移動距離が75cm、特別変動パターンCとして、変動時間が61.0秒、演出役物200の移動距離が60cm、が例示される。
また、特別変動パターンが差替えられる先の通常変動パターンには、3種類のパターンがある。具体的には、図29に示すように、通常変動パターンAとして、変動時間が43.0秒、演出役物200の移動無し、通常変動パターンBとして、変動時間が83.0秒、演出役物200の移動無し、通常変動パターンCとして、変動時間が61.0秒、演出役物200の移動無し、が例示される。
そして、特別変動パターンAは、通常変動パターンAに差替えられ、特別変動パターンBは、通常変動パターンBに差替えられ、特別変動パターンCは、通常変動パターンCに差替えられる。このように、変動パターン差替え処理では、各特別変動パターンA、B、Cは、同一の変動時間であって、演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンに差替えられる。
ここで、S100において演出役物200の移動動作のある特別変動パターンが決定されたと判断されていない場合(S100:NO)には、S140の差替え工程は実行されない。この場合には、演出役物200の移動動作回数又は移動距離が耐久基準値(所定値)を超えているか否かに関係なく、演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンが決定され、演出図柄表紙装置62では演出役物200の動作と関連しない通常演出図柄が変動表示される。また、各種スピーカ170からは、演出役物200の動作と関連しない通常音出力パターンに基づいて通常音が出力され、各種LED・ランプ172は、演出役物200の動作と関連しない通常発光パターンに基づいて発光する。
一方、S100において演出役物200の移動動作のある特別変動パターンが決定されたと判断された場合(S100:YES)であって、S120において演出役物200の移動動作回数又は移動距離が耐久基準値(所定値)を超えていないと判定された場合(S20:NO)には、S140の差替え工程は実行されない。この場合には、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンが決定され、演出図柄表紙装置62では演出役物200の動作と関連する特別演出図柄が変動表示される。そして、演出役物200は、決定された特別変動パターンに基づいて移動動作を実行する。また、各種スピーカ170からは、演出役物200の動作と関連する特別音出力パターンに基づいて特別音が出力され、各種LED・ランプ172は、演出役物200の動作と関連する特別発光パターンに基づいて発光する。なお、詳細は後述するが、特別変動パターンは、例えば、変動時間が異なる3種類の特別変動パターン(特別変動パターンA、特別変動パターンB、特別変動パターンC)が用意されており、それぞれの特別変動パターンの種類に対応した演出処理が実行される。
演出役物200の移動動作を伴わない通常変動パターンに差替えられた後、サブ制御基板106における変動パターンの決定処理が終了する。なお、S100において演出役物200の移動動作のある特別変動パターンが決定されたと判断されない場合(S100:NO)、及び演出役物200の移動動作回数又は移動距離が耐久基準値(所定値)を超えていると判断されない場合(S120:NO)には、サブ制御基板106における変動パターンの決定処理が終了する。
次に、サブ制御基板106における演出役物200の移動動作回数の計数処理についてフローチャートに基づいて説明する。
図19に示すように、サブ制御基板106の動作算出部106Cにより、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したか否かが判断される(S200)。S200の工程では、CPU106Aにより特別変動パターンが決定された回数や、コマンド送信部106Fから各基板に送信されるコマンドのうち特別変動パターンを指示するコマンドが何回送信されたか否かを参照して判断される。なお、S200の工程は、動作算出部106Cに替えて、CPU106Aにより実行されてもよい。
次に、サブ制御基板106の動作算出部106Cにより、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したと判断された場合(S200:YES)には、演出役物200の移動動作の回数がカウントされる(S220)。このカウント値は、ROM106Bや動作算出部106Cに搭載されたRAMに、その都度記憶され、常に最新の演出役物200の移動動作の回数が更新されていく。なお、S220の工程は、動作算出部106Cに替えて、CPU106Aにより実行されてもよい。
なお、図18に示すS120の工程では、演出役物200の移動動作の回数に基づいて演出役物200の耐久基準値を検討する場合に、図19で実行した演出役物200の移動(動作)回数の計数処理の結果が参照される。
そして、S220の工程が終了した場合、あるいは、S220の工程で演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したと判断されない場合(S220:NO)には、サブ制御基板106における演出役物200の移動動作回数の計数処理が終了する。
次に、サブ制御基板106における演出役物200の移動距離の計数処理についてフローチャートに基づいて説明する。なお、本演出役物200の移動距離の計数処理と、図19に示すサブ制御基板106における演出役物200の移動(動作)回数の計数処理と、はいずれか一方の処理がCPU106Aにより選択されて実行される。
図20に示すように、サブ制御基板106の動作算出部106Cにより、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したか否かが判断される(S300)。S300の工程では、CPU106Aにより特別変動パターンが決定された回数や、コマンド送信部106Fから各基板に送信されるコマンドのうち特別変動パターンを指示するコマンドが何回送信されたか否かを参照して判断される。なお、S300の工程は、動作算出部106Cに替えて、CPU106Aにより実行されてもよい。
次に、サブ制御基板106の動作算出部106Cにより、演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したと判断された場合(S300:YES)には、実行された特別変動パターンは、特別変動パターンAであるか否かが動作算出部106Cにより判断される(S320)。
そして、実行された特別変動パターンが特別変動パターンAであると動作算出部106Cにより判断された場合(S320:YES)には、特別変動パターンAを選択したときに演出役物200が移動する移動距離が、これまでの演出役物200の総移動距離に加算される(S340)。なお、加算された後の演出役物200の総移動距離は、ROM106B又は動作算出部106Cに搭載されているRAMなどに記憶され、常に最新の演出役物200の総移動距離が更新されていく。
次に、実行された特別変動パターンが特別変動パターンAであると動作算出部106Cにより判断されない場合(S320:NO)には、実行された特別変動パターンは、特別変動パターンBであるか否かが動作算出部106Cにより判断される(S360)。
そして、実行された特別変動パターンが特別変動パターンBであると動作算出部106Cにより判断された場合(S360:YES)には、特別変動パターンBを選択したときに演出役物200が移動する移動距離が、これまでの演出役物200の総移動距離に加算される(S380)。なお、加算された後の演出役物200の総移動距離は、ROM106B又は動作算出部106Cに搭載されているRAMなどに記憶され、常に最新の演出役物200の総移動距離が更新されていく。
次に、実行された特別変動パターンが特別変動パターンBであると動作算出部106Cにより判断されない場合(S360:NO)には、実行された特別変動パターンは、特別変動パターンCであるか否かが動作算出部106Cにより判断される(S400)。
そして、実行された特別変動パターンが特別変動パターンCであると動作算出部106Cにより判断された場合(S400:YES)には、特別変動パターンCを選択したときに演出役物200が移動する移動距離が、これまでの演出役物200の総移動距離に加算される(S420)。なお、加算された後の演出役物200の総移動距離は、ROM106B又は動作算出部106Cに搭載されているRAMなどに記憶され、常に最新の演出役物200の総移動距離が更新されていく。
ROM106B又は動作算出部106Cに搭載されているRAMに記憶された演出役物200の総移動距離は、図18に示すS120の工程では、演出役物200の移動距離(総移動距離)に基づいて演出役物200の耐久基準値を検討する場合に、図20で実行した演出役物200の移動動作回数の計数処理の結果が参照される。
なお、S300において演出役物200の移動動作を伴う特別変動パターンを実行したと判断されない場合(S300:NO)、あるいはS400において、実行された特別変動パターンが特別変動パターンCであると動作算出部106Cにより判断されない場合(S400:NO)には、サブ制御基板106における演出役物200の移動距離の計数処理が終了する。
次に、演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114における演出制御処理についてフローチャートに基づいて説明する。ここで、演出制御処理の主体は、演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114のそれぞれである。これにより、演出図柄の変動表示、演出役物200の移動動作、効果音の出力、所定の発光パターンによる発光動作のそれぞれが同時に実行される。ここで、演出図柄の変動表示は、演出表示基板110において制御され、演出役物200の移動動作及び所定の発光パターンによる発光動作は、装飾駆動基板114により制御され、効果音の出力は、アンプ基板112により制御されるものである。なお、演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114において演出制御処理が同時に実行される構成に限られるものではなく、少なくとも演出表示基板110における演出図柄の変動表示制御と、装飾駆動基板114における演出役物200の移動動作制御の2つの演出制御処理が実行されれば、本発明の目的を達成することができる。
先ず、特別変動パターンAに基づいた演出制御処理について説明する。
図21に示すように、サブ制御基板106から特別変動パターンAを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S500)。具体的には、特別変動パターンAを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S500:YES)には、特別変動パターンAに基づいた演出処理が実行される(S520)。
ここで、特別変動パターンAとは、図28に示すように、変動時間が43.0秒の演出である。すなわち、1回の特別変動パターンAに対して、特別演出図柄の変動表示時間、演出役物200(250)の移動時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が43.0秒間だけ継続する。そして、1回の特別変動パターンAに基づく演出役物200(250)の移動距離は、50cmになる。
具体的には、装飾駆動基板114により、演出役物200(250)の移動動作が開始される。そして、演出表示基板110により、演出役物200(250)の移動に合わせた特別演出図柄の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始される。例えば、演出役物200の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Gが表示される(図8及び図9参照)。あるいは、演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Qが表示される(図14乃至図16参照)。
また、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、装飾駆動基板114により、各種LED・ランプ172の特別発光パターンに基づいた発光処理が実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、アンプ基板112により、各種スピーカ170から特別音出力パターンに基づいた効果音が出力される。
次に、特別変動パターンBに基づいた演出制御処理について説明する。
図22に示すように、サブ制御基板106から特別変動パターンBを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S600)。具体的には、特別変動パターンBを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S600:YES)には、特別変動パターンBに基づいた演出処理が実行される(S620)。
ここで、特別変動パターンBとは、図28に示すように、変動時間が83.0秒の演出である。すなわち、1回の特別変動パターンBに対して、特別演出図柄の変動表示時間、演出役物200(250)の移動時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が83.0秒間だけ継続する。そして、1回の特別変動パターンBに基づく演出役物200(250)の移動距離は、75cmになる。
具体的には、装飾駆動基板114により、演出役物200(250)の移動動作が開始される。そして、演出表示基板110により、演出役物200(250)の移動に合わせた特別演出図柄の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始される。例えば、演出役物200の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Gが表示される(図8及び図9参照)。あるいは、演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Qが表示される(図14乃至図16参照)。
また、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、装飾駆動基板114により、各種LED・ランプ172の特別発光パターンに基づいた発光処理が実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、アンプ基板112により、各種スピーカ170から特別音出力パターンに基づいた効果音が出力される。
次に、特別変動パターンCに基づいた演出制御処理について説明する。
図23に示すように、サブ制御基板106から特別変動パターンCを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S700)。具体的には、特別変動パターンCを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S700:YES)には、特別変動パターンCに基づいた演出処理が実行される(S720)。
ここで、特別変動パターンCとは、図28に示すように、変動時間が61.0秒の演出である。すなわち、1回の特別変動パターンCに対して、特別演出図柄の変動表示時間、演出役物200(250)の移動時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が61.0秒間だけ継続する。そして、1回の特別変動パターンCに基づく演出役物200(250)の移動距離は、60cmになる。
具体的には、装飾駆動基板114により、演出役物200(250)の移動動作が開始される。そして、演出表示基板110により、演出役物200(250)の移動に合わせた特別演出図柄の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始される。例えば、演出役物200の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Gが表示される(図8及び図9参照)。あるいは、演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、演出図柄表示装置62の表示面62Aには特別画像Qが表示される(図14乃至図16参照)。
また、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、装飾駆動基板114により、各種LED・ランプ172の特別発光パターンに基づいた発光処理が実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方への移動に対応させて、アンプ基板112により、各種スピーカ170から特別音出力パターンに基づいた効果音が出力される。
次に、通常変動パターンに基づいた演出制御処理について説明する。
ここで説明する通常変動パターンとは、サブ制御基板106の演出調整部106Eで特別変動パターンと差替えられた通常変動パターンではなく、主制御基板102からのコマンドで指定された通常変動パターンである。
図24に示すように、サブ制御基板106から通常変動パターンを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S800)。具体的には、通常変動パターンを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S800:YES)には、通常変動パターンに基づいた演出処理が実行される(S820)。
ここで、通常変動パターンとは、変動時間が所定時間の演出である。すなわち、通常演出図柄の変動表示時間及び各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が所定時間だけ継続する。
具体的には、演出表示基板110により、演出役物200の移動と関連しない通常演出図柄(特別画像G、Qとは異なる画像)の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始される。また、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常発光パターンに基づいた発光処理が装飾駆動基板114により各種LED・ランプ172を介して実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常音出力パターンに基づいた効果音出力処理がアンプ基板112により各種スピーカ170を介して実行される。
次に、通常変動パターンAに基づいた演出制御処理について説明する。
ここで説明する通常変動パターンAは、図18のS140においてサブ制御基板106の演出調整部106Eで特別変動パターンAから差替えられた通常変動パターンAである。
図25に示すように、サブ制御基板106から通常変動パターンAを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S900)。具体的には、通常変動パターンAを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S900:YES)には、通常変動パターンAに基づいた演出処理が実行される(S920)。
ここで、通常変動パターンAとは、図29に示すように、特別変動パターンAの変動時間と同一の変動時間となる、変動時間が43.0秒の演出である。すなわち、1回の通常変動パターンAに対して、通常演出図柄の変動表示時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が43.0秒間だけ継続する。なお、通常変動パターンAに基づく演出では、演出役物200(250)の移動が伴わず、移動距離は、0(ゼロ)cmである。
具体的には、演出表示基板110により、演出役物200又は演出役物250の移動と関連しない通常演出図柄(特別画像G、Qとは異なる画像)の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始され、43.0秒間継続する。また、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常発光パターンに基づいた発光処理が装飾駆動基板114により各種LED・ランプ172を介して43.0秒間実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常音出力パターンに基づいた効果音出力処理がアンプ基板112により各種スピーカ170を介して43.0秒間実行される。
以上のように、図18のS140において、サブ制御基板106の演出調整部106Eにより特別変動パターンAが通常変動パターンAに差替えられた場合には、特別変動パターンAによる演出処理ではなく、特別変動パターンAの変動時間と同一の変動時間となる通常変動パターンAによる演出処理が実行される。
次に、通常変動パターンBに基づいた演出制御処理について説明する。
ここで説明する通常変動パターンBは、図18のS140においてサブ制御基板106の演出調整部106Eで特別変動パターンBから差替えられた通常変動パターンBである。
図26に示すように、サブ制御基板106から通常変動パターンBを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S1000)。具体的には、通常変動パターンBを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S1000:YES)には、通常変動パターンBに基づいた演出処理が実行される(S1020)。
ここで、通常変動パターンBとは、図29に示すように、特別変動パターンBの変動時間と同一の変動時間となる、変動時間83.0秒の演出である。すなわち、1回の通常変動パターンBに対して、通常演出図柄の変動表示時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が83.0秒間だけ継続する。なお、通常変動パターンBに基づく演出では、演出役物200(250)の移動が伴わず、移動距離は、0(ゼロ)cmである。
具体的には、演出表示基板110により、演出役物200又は演出役物250の移動と関連しない通常演出図柄(特別画像G、Qとは異なる画像)の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始され、83.0秒間継続する。また、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常発光パターンに基づいた発光処理が装飾駆動基板114により各種LED・ランプ172を介して83.0秒間実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常音出力パターンに基づいた効果音出力処理がアンプ基板112により各種スピーカ170を介して83.0秒間実行される。
以上のように、図18のS140において、サブ制御基板106の演出調整部106Eにより特別変動パターンBが通常変動パターンBに差替えられた場合には、特別変動パターンBによる演出処理ではなく、特別変動パターンBの変動時間と同一の変動時間となる通常変動パターンBによる演出処理が実行される。
次に、通常変動パターンCに基づいた演出制御処理について説明する。
ここで説明する通常変動パターンCは、図18のS140においてサブ制御基板106の演出調整部106Eで特別変動パターンCから差替えられた通常変動パターンCである。
図27に示すように、サブ制御基板106から通常変動パターンCを指示するコマンドを受信したか否かが判断される(S1100)。具体的には、通常変動パターンCを指示するコマンドを受信したと演出表示基板110、アンプ基板112及び装飾駆動基板114により判断された場合(S1100:YES)には、通常変動パターンCに基づいた演出処理が実行される(S1120)。
ここで、通常変動パターンCとは、図29に示すように、特別変動パターンCの変動時間と同一の変動時間となる、変動時間61.0秒の演出である。すなわち、1回の通常変動パターンCに対して、通常演出図柄の変動表示時間、各種スピーカ170からの音出力時間、各種LED・ランプ172の発光時間が61.0秒間だけ継続する。なお、通常変動パターンCに基づく演出では、演出役物200(250)の移動が伴わず、移動距離は、0(ゼロ)cmである。
具体的には、演出表示基板110により、演出役物200又は演出役物250の移動と関連しない通常演出図柄(特別画像G、Qとは異なる画像)の変動表示が演出図柄表示装置62の表示面62Aで開始され、61.0秒間継続する。また、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常発光パターンに基づいた発光処理が装飾駆動基板114により各種LED・ランプ172を介して61.0秒間実行される。さらに、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連しない通常音出力パターンに基づいた効果音出力処理がアンプ基板112により各種スピーカ170を介して61.0秒間実行される。
以上のように、図18のS140において、サブ制御基板106の演出調整部106Eにより特別変動パターンCが通常変動パターンCに差替えられた場合には、特別変動パターンCによる演出処理ではなく、特別変動パターンCの変動時間と同一の変動時間となる通常変動パターンCによる演出処理が実行される。
本発明の第1実施形態のパチンコ機10によれば、演出役物200(250)の耐久基準値を超えている場合に、演出役物200(250)の移動動作を伴う特別変動パターンを選択したときには、その選択した特別変動パターンに替えて、同一の変動時間となる、演出役物200(250)の移動動作を伴わない通常変動パターンが採用される。このため、演出役物200(250)の移動動作を阻止して、演出役物200(250)の耐久性を越えるような稼働を防止できる。この結果、演出役物200(250)の製品寿命の低下を防止でき、併せて破損や故障を防止できる。
ここで、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別演出図柄と、演出役物200(250)の移動動作と、が関連するように演出設定されている場合でも、特別変動パターンを通常変動パターンに替えたときに、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別演出図柄を通常演出図柄に替えることにより、演出役物200(250)の移動と関連しない演出図柄が変動表示される。このため、演出役物200(250)が移動動作していない動作環境でも、通常演出図柄を見て遊技者は、違和感を感じることはない。このように、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別演出図柄と、演出役物200(250)の移動動作と、が関連するように演出設定されている場合でも、演出役物200(250)の移動の有無により、演出図柄の種類も替えることにより、演出役物200(250)の演出と演出図柄による演出との乖離を防止できる。この結果、統一した遊技演出を実行することができる。
特に、特別変動パターンを通常変動パターンに替えるときに、両者の変動時間を同一の時間とすることにより、例えば、これから実行される遊技の遊技時間が短くなったり、長くなったりすることがない。通常、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄の変動時間や演出役物200(250)の移動時間などは、そのときに実行されている遊技の遊技時間と略同じ時間に設定されている。なぜなら、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄や演出役物200(250)の移動動作は、そのときに実行されている遊技の種類(例えば、大当り遊技であるか、通常遊技であるかなど)と密接に関係しているものとなるからである。このような前提の中で、遊技の種類が確定した後に、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄の変動表示時間や演出役物200の移動時間が変更されると、演出図柄の変動表示や演出役物200の動作演出と、遊技の種類との間で乖離が生じ、遊技者が違和感を抱くことになる。このような問題を解決するために、特別変動パターンを通常変動パターンに替えるときに、両者の変動時間を同一の時間とすることが必要不可欠になる。そして、差替え前の特別変動パターンと差替え後の通常変動パターンとの変動時間を同一にすることにより、遊技の種類と演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄の演出とが時間的に合致するため、遊技者は違和感を抱くことなく、遊技に集中することができる。
また、演出役物200又は演出役物250は、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される特別演出図柄の少なくとも一部を透過可能な透過部206又は透過部254を有し、特別演出図柄の少なくとも一部が透過部206又は透過部254を特定色で徐々に充足していく時間変化型装飾演出を実行するものである。そして、演出図柄表示装置62の表示面62Aに表示される時間変化型装飾演出が透過部206又は透過部254の全部を特定色で充足したときに、特別演出図柄の変動表示と有機的一体性を保つ演出役物200又は演出役物250による装飾演出が完成される。このように、特別演出図柄の変動表示と、演出役物200又は演出役物250の移動動作と、が渾然一体となる演出を実現する構成では、特別演出図柄の変動表示と、演出役物200又は演出役物250の移動動作と、がタイミング良く合致するような設定がされている。このような演出で、特別変動パターンを通常変動パターンに差替えると、特別演出図柄の変動表示と、演出役物200又は演出役物250の移動動作と、のタイミングがずれて、両者の渾然一体性が崩れるおそれが生じる。そこで、特別変動パターンを通常変動パターンに差替えた場合には、演出役物200又は演出役物250の移動動作が伴わないため、演出役物200又は演出役物250の移動動作と関連がない通常変動パターンに基づいて通常演出図柄を変動表示させる。これにより、特別演出図柄の変動表示と、演出役物200又は演出役物250の移動動作と、の渾然一体性を打ち切り、両者の動作に独立性を持たせることができるため、遊技者に演出の違和感を与えてしまうことを防止できる。
なお、第1実施形態では、演出図柄表示装置62の近傍に設けられ表示面62Aを上下方向又は左右方向に移動する演出役物200又は演出役物250を例示したが、これは、単一の移動可能な部材で構成され、しかも演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄を透過する透過部206(254)を備え、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄を透過可能に構成したものである。これに対して、別の演出役物として、複数(例えば、2個)の独立した部材が演出図柄表示装置62の表示面62Aの前方を左右方向に移動可能に構成したものである。そして、別の演出役物は、演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄を透過する機能は有しないが、複数(2個)の独立した移動部材で1つの特殊演出を完成し、かつこの特殊演出に演出図柄表示装置62の表示面62Aで変動表示される演出図柄の表示演出を有機的に絡め、全体として1つのまとまった遊技演出を導出可能にしたものである。
なお、前述の実施形態では、演出役物200が演出図柄表示装置62の近傍又は前面を移動する例について説明したが、これに限られるものでない。演出役物200が、演出図柄表示装置62で行われる表示と連動して動作すればよいので、必ずしも演出図柄表示装置62の近傍または前面を移動する必要はない。例えば、演出図柄表示装置62で主人公がピストルを撃つ表示がされれば、それに合わせて、回転体である演出役物200が回転動作するようにしてもよい。