1.第1実施形態
(1)パチンコ遊技機の構造
本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠40の内部に遊技盤2を取り付けて構成されている。
図1に示すように、遊技盤2には、発射ハンドル装置11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材12で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する案内釘(図示せず)が多数突設され、また、盤ランプ19が配設されている。
遊技領域3には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち演出(客待ち用のデモ表示)、装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、変動表示を経て停止表示された装飾図柄により、大当たり抽選(即ち、大当たり乱数の取得とその大当たり乱数を用いた判定)の結果を報知する演出である。この装飾図柄変動演出は、特別図柄変動に並行して行われる。また、大当たり抽選は、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞に対して行われる。
遊技領域3の中央部であって画像表示器4の前方には、センター役物装置30が配置されている。センター役物装置30は、表示部4aの周縁部前方に配設された枠体部31を備えている。枠体部31の下部には、上面を転動する遊技球を、第1始動口51aへと案内可能なステージ部32が形成されている。枠体部31の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部32へ遊技球を流出するワープ部33が配設されている。
また、遊技領域3の左右方向における中央下部には、始動入賞装置5が設けられている。始動入賞装置5は、遊技球の入球し易さが常時変わらない第1始動口51aと、電動チューリップ(以下、「電チュー」という。)52により開閉される第2始動口51bとを備えている。電チュー52は、電チューソレノイド53(図8参照)により駆動される。第2始動口51bは、電チュー52が開いているときのみ遊技球が入賞可能となる。
また、遊技領域3には、大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、始動入賞装置5の下方に配置されており、大入賞口71と、大入賞口ソレノイド72(図8参照)により動作する開閉部材73とを備えている。大入賞口71は、開閉部材73により開閉される。
また、遊技領域3には、複数の普通入賞装置9及び遊技球が通過可能なゲート8が設けられている。各普通入賞装置9は、始動入賞装置5の左方及び右方に配置されている。各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。ゲート8は、センター役物装置30の左方に配置されている。
遊技領域3の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、それぞれ、遊技球の第1始動口51a、第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄(特別図柄)により報知する(これを「特別図柄変動」という)ものである。第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bに停止表示された図柄(特別図柄)が大当たり図柄又は小当たり図柄であれば、大入賞口71を所定回数開閉する当たり遊技が行われる。
特別図柄の変動表示中または当たり遊技中に、遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図8参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図8参照)に、保留記憶として記憶する。そして、特別図柄変動を実行可能になったときに、記憶しておいた保留記憶に基づいて大当たりか否かの判定を行い、特別図柄変動を実行する。
第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている保留記憶の個数を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される保留記憶の個数は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の保留記憶がある状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の保留記憶がある状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対して大当たり乱数等の乱数は取得されない。
普通図柄表示器13は、ゲート8への遊技球の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果を、変動表示を経て停止表示される普通図柄により報知するものである。停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数、電チュー52を開く補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20(図8参照)は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶する。そして、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始して、その判定結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する当たり乱数の取得は行われない。
図2に示すように、遊技機枠40は、外枠41と内枠42とガラス扉枠47とを備えている。外枠41は、パチンコ遊技機1の外郭部となる枠体であり、内枠42は、遊技盤2が取り付けられる枠体であり、ガラス扉枠47は、遊技盤面を保護するとともに発射ハンドル装置11などが配設される枠体である。遊技機枠40は、左側部にヒンジ部45を備えて構成され、ヒンジ部45により、ガラス扉枠47は、外枠41および内枠42に対してそれぞれ回動自在とされ、内枠42は、外枠41およびガラス扉枠47に対してそれぞれ回動自在とされている。なお、ガラス扉枠47の後面の右上部には、このような遊技機枠40の開放を検出するための枠開放SW(スイッチ)44が配設されている。枠開放SW44は、ガラス扉枠47のみが開かれた場合、又は、ガラス扉枠47が内枠42とともに開かれた場合に、ONされて、後述する払出制御基板21(図8参照)に対して枠開放信号を出力する。
図1,3及び4に示すように、ガラス扉枠47は、前面下部に、受け皿ユニット35を備える。受け皿ユニット35は、球受け皿36および演出ボタン37を備える。また、ガラス扉枠47は、受け皿ユニット35の右方に、発射ハンドル装置11を備える。球受け皿36は、図示しない賞球払出装置から払い出された遊技球を一時貯留すると共に、遊技球を整列状態として図示しない球送り機構部に送る流路となるものである。発射ハンドル装置11は、遊技球の発射操作を行うものである。発射ハンドル装置11が操作されると、球送り機構部により、球受け皿36から図示しない発射レール(Mレール)の発射部へ遊技球が送られ、発射部に送られた遊技球は、図示しない打球機構部の槌により叩かれて遊技領域3へ打ち出される。演出ボタン37は、遊技中に実行される演出に合わせて遊技者が押下操作するもので、遊技者の遊技への関与度を高める効果を発揮するものである。なお、球受け皿36の下方には、球受け皿36からあふれた遊技球を貯留する余剰球受け皿38が配設されている。
また、ガラス扉枠47は、球受け皿36の上方に、遊技領域3を視認可能な透視窓としてガラス板39を備えている。少なくとも遊技領域3の前方はガラス板39が配される。その他、ガラス扉枠47には、スピーカ17、及び、枠ランプ18が配設されている。
ガラス扉枠47は、前面の周縁部48における右端部48aが前方へ突出した突出部56となっている。なお周縁部48は、図1に示すように、右端部48a、左端部48b、上端部48c、及び下端部48dから構成されている。突出部56は、図1に示すように正面から見た場合、ガラス扉枠47の上端から下端にわたって上下方向に延びるように形成されている。突出部56は、上方から下方にかけて中央が、右方(遊技機枠の外側)へ向かって湾曲している。また、突出部56は、上端部56a及び下端部56bの左右方向の幅寸法が、中央部56cの左右方向の幅寸法に比べて幅広となっている。
突出部56の下端部56bには、発射ハンドル装置11が配されている。突出部56は、発射ハンドル装置11が配された下端部56bまでを含めて、上端部56aから一連の形状として形成されている。なお、突出部56の前面には、複数の枠ランプ18が一帯に均一に配置されており、これにより、発射ハンドル装置11が配されている下端部56bまでを含めた一連の形状が、強調されている。
突出部56は、図3,4に示すように、特に、遊技機枠40の上端からガラス板39の下端(遊技領域3の下端)までが、発射ハンドル装置11が配されている下端部56bに比べて大きく前方へ突出している。なお、突出部56において最も前方へ突出している部分の突出量、すなわち、突出部56において最も前方へ突出している部分の前後方向の長さ寸法は、受け皿ユニット35の前後方向の長さ寸法と略同じであり、実施形態では、120mm〜150mm程度とされている。
また、突出部56は、図3,4に示すように、左右方向に略沿って貫通された窓部(貫通部に相当する)59を備える。窓部59は、側面視において、上部及び下部が中央部に比べて幅狭、すなわち、中央部が上部及び下部に比べて幅広の略楕円形状とされている。窓部59の上下方向の長さ寸法は、遊技領域3の上下方向の長さ寸法(ガラス板39の上下方向の長さ寸法)と略同じである。また、窓部59の前後方向の長さ寸法は、最も長い箇所で、突出部56の前後方向の長さの3/4〜2/3程度とされている。なお、窓部59を基準として、突出部56の前方側を突出部56の前部57と称し、突出部56の後方側を突出部56の後部58と称する。突出部56の前部57及び突出部56の後部58は、非透明に構成されている。
窓部59には、窓部59に嵌合可能な形状の表示装置60(電飾装置に相当する)が配設されている。すなわち、表示装置60は、突出部56の前部57と後部58との間に配されている。表示装置60は、図5(a)に示すように、透明の樹脂パネル(以下「導光板」という)61と、発光装置(光源)62とを備えて構成されている。なお、図5(a)では図示を省略するが、導光板61および発光装置62は図示しないハウジングにより覆われて表示装置60を構成しており、窓部59に配されている。
導光板61は、左右方向を薄肉とする薄板形状とされている。図5(b)に示すように、導光板61の平面部61aには、文字や図柄などの表示情報を表すドットパターン61bが形成されている。なお、導光板61において、文字や図柄などの表示情報が表示される部分を表示部63という。
発光装置62は、導光板61の前側の側部、及び後側の側部に向けて光を入射できるように、導光板61の前方および後方に配置されている。発光装置62は、導光板61の前側の側部から光を入射させる前側発光素子群(LED群)62aと、導光板61の後側の側部から光を入射させる後側発光素子群(LED群)62bとを備えており、前側発光素子群62aと、後側発光素子群62bとは、導光板61に対する入射光の方向が異なるように配置されている。具体的には、前側発光素子群62aは、図6に示す方向の入射光を発し、後側発光素子群62bは、図7に示す方向の入射光を発する。ここで、前側発光素子群62aの発する入射光の方向(図6参照)、及び、後側発光素子群62bの発する入射光の方向(図7参照)は、前後方向に沿う成分と、上下方向に沿う成分を有するが、左右方向に沿う成分を有していない。そのため、パチンコ遊技機1の右側面側から表示装置60を見た際に、視認者が発光装置62の発する光を正面から受けることがなく、まぶしいと感じにくくなっている。すなわち、発光装置62は、前後方向に沿う仮想鉛直面に略沿って発光するように窓部59の内面側に配されているため、表示部63を左右方向に沿って視認した際に、視認者がまぶしいと感じにくくなっている(図5(a)参照)。なお、発光装置62は、ランプ制御基板24に接続されており、演出制御基板22によりランプ制御基板24を介して点灯制御される。
導光板61には、側部から入射される光の方向に応じて、異なる表示情報が表示されるように、ドットパターン61bが複数形成されている(図5(b)参照)。ドットパターン61bは、導光板61に入射された光に作用して所望の文字や模様を表示させるための溝である。実施形態では、前側発光素子群62aにより入射光が入射された場合には、図6に示すように「大当たりSTART!!」の文字(所定の表示に相当する)が表示され、後側発光素子群62bにより入射光が入射された場合には、図7に示すように花びらの模様(所定の表示に相当する)が表示される。一方、発光装置62が点灯されていないときは、導光板61には、文字および模様は表示されない。したがって、パチンコ遊技機1を右側面から視認した場合、導光板(透明の樹脂パネル)61を介して、ガラス板39越しに遊技領域3をはっきりと視認することができる。
(2)パチンコ遊技機の電気系統
次に、図8に基づいて実施形態のパチンコ遊技機1の電気系統について説明する。図8に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、メイン制御基板20、払出制御基板21、サブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM内に、第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。
メイン制御基板20は、大当たりの抽選や遊技状態の移行など主に利益に関わる制御を行うものである。メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チュー52を駆動する電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、開閉部材73を駆動する大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図8に矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプ等にはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板21から信号を受信する。払出制御基板21には、図示しない払出装置を駆動する払出駆動モータ26が接続され、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。また、払出制御基板21には、枠開放SW44が接続されており、払出制御基板21は、枠開放SW44から開放信号を受信すると、メイン制御基板20を介して演出制御基板22に対して枠開放信号を送信する。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ17が接続され、画像制御基板23は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示し、スピーカ17から音声を出力する。また、演出制御基板22は、ランプ制御基板24との間でコマンドや信号の送受信を行う。ランプ制御基板24には枠ランプ18、及び盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、枠ランプ18や盤ランプ19を点灯・消灯する。また、ランプ制御基板24には表示装置60の発光装置62が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、前側発光素子群62a又は後側発光素子群62bを点灯・消灯する。また、演出制御基板22には、演出ボタン37が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW37aが接続されており、演出ボタン37(図1参照)が押下されると、演出ボタン検出SW37aから演出制御基板22に対して信号が出力される。
(3)パチンコ遊技機の動作
次に、図9〜14に基づいて、上記のように構成された遊技機における演出制御基板22の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機1の電源投入時にゼロクリアされる。
[サブ側タイマ割込処理]演出制御基板22は、図9に示すようなサブ側タイマ割込処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割込処理では、後述するコマンド受信処理(S1101)を行い、続いて、コマンド受信処理でセットしたコマンドを画像制御基板23やランプ制御基板24に送信するコマンド送信処理(S1102)を行う。コマンド送信処理が実行されると、各種コマンドを受信した画像制御基板23やランプ制御基板24は、各種演出装置(実施形態では、画像表示器4,スピーカ17,枠ランプ18,盤ランプ19,発光装置62が相当する)を用いて各種演出(図柄変動演出や大当たり演出、客待ち演出など)を実行したり、所定の内容を報知したりする。
[コマンド受信処理]図10に示すように、コマンド受信処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から変動開始コマンドを受信していれば後述する演出選択処理を行い(S1301,S1302)、変動停止コマンドを受信していれば後述する変動演出終了中処理を行う(S1303,1304)。そして、演出制御基板22は、オープニングコマンドを受信していれば、後述する当たり演出選択処理を行い(S1305,1306)、エンディングコマンドを受信していれば、エンディングコマンドを解析し、モードフラグを参照してエンディング演出パターンを選択し、エンディング演出開始コマンドをセットするエンディング演出選択処理を行う(S1307,1308)。続いて、演出制御基板22は、後述する客待ちコマンド受信処理を行って(S1309)、コマンド受信処理を終える。
[演出選択処理]図11に示すように、演出選択処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から受信した変動開始コマンドを解析する(S1401)。変動開始コマンドには、現在の遊技状態を示す情報、大当たり抽選において当選した特別図柄の種類を示す情報、及び、装飾図柄変動演出の変動パターンを示す変動パターン情報が含まれている。次に、演出制御基板22は、演出モードを示すモードフラグを参照する(S1402)。続いて、解析した変動開始コマンドおよび参照したモードフラグに基づいて装飾図柄変動演出の変動パターンを選択する変動演出パターン選択処理を行う(S1403)。そして、演出制御基板22は、装飾図柄変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをセットする(S1404)。ここで、演出モードとは、画像表示器4における演出の態様であり、演出モードが異なると、登場するキャラクタや背景が異なる等、画像表示器4に表示される動画が異なり、装飾図柄変動演出も演出モードに応じたものが選択される。
[変動演出終了中処理]図12に示すように、変動演出終了中処理では、演出制御基板22は、変動停止コマンドを解析し(S1501)、モードフラグを参照する(S1502)。次に、今終了しようとする装飾図柄変動演出が当たり(大当たりまたは小当たり)を報知するものか否かを判定して(S1503)、当たりを報知するものであればモードフラグ変更処理を行う(S1508)。モードフラグ変更処理では、その当たりの種類に応じた演出モードを示すものにモードフラグを変更するとともに、変更後の演出モードが通常モードでない場合には、その演出モードに対応するカウンタの値Mに上限回数をセットする。
一方、演出制御基板22は、今終了しようとする装飾図柄変動演出が当たりを報知するものでなければ(S1503でNO)、モードフラグが0か否かを判定し(S1504)、0であればステップS1509に進む。なお、モードフラグが0とは通常モードであることを示し、初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)モードフラグは0である。一方、モードフラグが0でなければ、現在の演出モード用のカウンタの値Mを1減少させて(S1505)、その値Mが0にならなければ(S1506でNO)、ステップS1509に進むが、0になれば(S1506でYES)、通常モードに戻すためにモードフラグを0として(S1507)、ステップS1509に進む。ステップS1509では、演出制御基板22は、装飾図柄変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをセットする。
[当たり演出選択処理]図13に示すように、当たり演出選択処理では、演出制御基板22は、オープニングコマンドを解析して(S1601)、解析したオープニングコマンドに基づいて、当たり演出のパターンを選択する当たり演出パターン選択処理を行う(S1602)。そして、演出制御基板22は、当たり演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをセットする(S1603)。なお、当たり演出とは、小当たり遊技又は大当たり遊技時に実行される演出をいう。ステップS1603でセットされたオープニング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(図9のステップS1102参照)によりランプ制御基板24に送信されると、ランプ制御基板24は、前側発光素子群62aを点灯させて、導光板61に「大当たりSTART!!」の文字(図6参照)を表示させる。
[客待ちコマンド受信処理]図14に示すように、客待ちコマンド受信処理では、演出制御基板22は、客待ちコマンドを受信したか否かを判定し(S1701)、受信していれば、客待ち演出を実行するまでの時間の計測を開始するとともに計測フラグをONして(S1702、S1703)、ステップS1705に進む。一方、受信していなければ、計測フラグがONされているか否か判定し(S1704)、オンされていなければ、客待ち演出実行までの時間の計測中ではないので処理を終え、オンされていればタイムアップか、すなわち、いま計測している時間が客待ち演出実行までの時間として設定した所定時間に達したか否か判定する(S1705)。そして、タイムアップでなければ、処理を終え、タイムアップであれば、計測フラグをOFFするとともに(S1706)、客待ち演出を開始するための客待ち演出開始コマンドをセットする(S1707)。ステップS1707でセットされた客待ち演出開始コマンドが、コマンド送信処理(図9のステップS1102参照)によりランプ制御基板24に送信されると、ランプ制御基板24は、後側発光素子群62bを点灯させて、導光板61に花びらの模様(図7参照)を表示させる。
(4)実施形態の効果
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機1は、前面に遊技領域3が形成される遊技盤2と、遊技盤2を内部に収納する遊技機枠40と、を備え、遊技機枠40は、前方から遊技領域3を視認可能に構成されるとともに、前面の周縁部48における右端部48aから前方へ突出した突出部56を備えて構成され、突出部56は、左右方向に略沿って貫通する窓部59(貫通部)を備え、窓部59には、パチンコ遊技機1を装飾する表示装置60(電飾装置)が配され、少なくとも表示装置60の発光装置62が点灯していない間は、すなわち、電飾装置の非作動時は、窓部59越しに遊技領域3を視認可能に構成されている。
第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、窓部59越しに遊技領域3を視認することができるので、突出部56を備えていてもホール内の従業員が遊技者の遊技状況を確認しやすく、また、窓部59には表示装置60が配されているので、高い装飾効果を発揮できる。また、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、突出部56に窓部59があるため、パチンコ遊技機1に突出部56があることによって遊技者に与えてしまう圧迫感や閉塞感を低減することができる。なお、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、ガラス扉枠47を開ける際に突出部56の前部57を把持することもできるので、ガラス扉枠47の開閉を容易に行うことができる。
ここで、図15に基づいて、ホールの従業員が遊技者の遊技状況を確認する状況について詳述する。ホール内では、複数台のパチンコ遊技機1が通路に沿って並べて配置されて、いわゆる遊技島67を構成している。遊技島67は、例えば同一の機種を複数台並べて構成される。このように、突出部56を有するパチンコ遊技機1を複数台並べて遊技島67を構成した場合でも、パチンコ遊技機1の突出部56には窓部59があり、窓部59に配された表示装置60は、発光装置62が消灯されているときは導光板61に文字等が表示されずに透明であるから、図15に示すように、ホールの従業員P1は、遊技島67の入口(通路の入口)から、各遊技機1の窓部59(透明の導光板61)を介して、各遊技機1の遊技領域3を視認することが可能である(例えば図示二点鎖線a参照)。このように、ホールの従業員P1は、各遊技機1の正面から遊技領域3を視認する必要がなく、遊技島67の入口から各遊技機1の遊技領域3を確認できる。よって、遊技機1が突出部56を備えていてもホールの従業員P1は遊技者P2,P3の遊技状況を確認しやすい。なお、図15に示すように、ホールの従業員P1だけでなく、パチンコ遊技機1を遊技している遊技者P2も、遊技者P3の遊技する左隣りのパチンコ遊技機1の窓部59(透明の導光板61)を介して、遊技者P3の遊技するパチンコ遊技機1の遊技領域3を視認することが可能である。このように、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、突出部56を備えるパチンコ遊技機1であっても突出部56により遊技領域3に死角がつくられないので、不正行為を行い難くすることができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、表示装置60による文字や模様の表示によりパチンコ遊技機1の右側面が装飾されるので、遊技島67の入口(通路の入口)から各遊技機1を視認するホールの来店者に対して、斬新な演出効果を発揮できる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1によれば、発光装置62は、前後方向及び上下方向に略沿って発光するように、言い換えれば、左右方向に沿って発光しないように、窓部59(貫通部)の内面側に配されている。したがって、パチンコ遊技機1の右側面側から表示装置60を見た場合に、視認者が発光装置62の発する光を正面から受けることがないので、まぶしいと感じにくい。すなわち、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、発光装置62は、前後方向に沿う仮想鉛直面に略沿って光を発するため、表示部63を左右方向に沿って視認した際に、視認者がまぶしいと感じにくい。なお、前側発光素子群62aの発する入射光の方向、及び、後側発光素子群62bの発する入射光の方向は、前後方向に沿う成分のみを有するよう構成してもよいし、上下方向に沿う成分のみを有するよう構成してもよい。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態のパチンコ遊技機1では、窓部59に配される電飾装置を表示装置60により構成し、表示装置60により表示される文字又は模様を遊技機の側面から視認できるよう構成したが、第2実施形態のパチンコ遊技機1Aでは、図16,17に示すように、電飾装置として、突出部56の前部57の背面側、すなわち、窓部(貫通部)59の内面59aの前側57aに発光装置(以下「光源」ともいう)76を配し、この発光装置76により、遊技領域3(遊技盤2)を照らすよう構成している。なお、窓部(貫通部)59の内面59aは、前側57aと後側58aとに分けられ、内面59aの前側57aは、突出部56の前部57に設けられ、内面59aの後側58aは、突出部56の後部58に設けられている。
第2実施形態のパチンコ遊技機1では、発光装置76は、左右2列に配した発光素子を、上下方向に6つずつ並べて構成されている。図17に示すように、左側の発光素子群76aおよび右側の発光素子群76bは、前後方向に沿う鉛直面を基準として左に傾斜して配置されており、すなわち、遊技領域3に向かって傾斜して配置されており、点灯時に、発光装置76からの光が遊技盤2に配置された飾り部材78を照射するよう配されている。なお、右側の発光素子群76bは、左側の発光素子群76aよりも鋭い角度で傾斜して配置されており、左側の発光素子群76a及び右側の発光素子群76bからの光が突出部56の後部58に遮られないようになっている。なお、突出部56の前部57は前後方向において遊技領域3と重ならない形状となっているので(図1参照)、突出部56の前部57が遊技領域3と重なって遊技の邪魔になることはない。
このように構成した第2実施形態のパチンコ遊技機1Aによれば、発光装置76により前方から遊技領域3(遊技盤2)を照らすため、発光装置76を用いて遊技領域3(遊技盤2)を光らせる演出を実行するにあたって、発光装置を遊技盤に配し、発光装置による光を遊技者に直接みせる場合と比べて、まぶしくて遊技しにくいという不快感を与える恐れを低減できる。したがって、遊技者に不快感を与えることなく、発光装置を用いた輝度の高い演出を実行することができる。
3.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、実施形態のパチンコ遊技機1と同様の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技機枠40の左側部にヒンジ部45を設け、右側部に突出部56を設けて構成したが、右側部にヒンジ部を設けた場合には、左側部に突出部を設けて構成してもよく、また、上側部又は下側部にヒンジ部を設ける場合には、左側部および右側部に突出部を設けて構成してもよい。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、表示装置60は、「大当たりSTART!!」の文字や花びらの模様を表示可能に構成したが、表示装置60により表示される文字や模様は任意に変更可能である。例えば、確変遊技状態である間に作動させて「確変中」の文字を表示するなど、遊技状態を表示するよう構成してもよい。また、表示装置60をホールコンピュータと接続して、例えば「本日のイベント台」の文字を表示するなど、ホールが来店者に対して知らせたい情報をホールコンピュータの制御により表示するよう構成してもよい。この場合、表示装置60はランプ制御基板24には接続しない。また、客待ち演出や装飾図柄変動演出に伴って作動して、遊技機のモチーフとなっているキャラクタや機種名を表示するよう構成してもよい。これらの場合、表示装置の導光板には、表示したい文字等のドットパターンを形成する。
また、表示装置60は、遊技者が演出ボタン37を操作したときの演出ボタン検出SW37aからの信号に基づいて、演出のための文字や模様を表示するよう構成してもよい。また、表示装置60は、ガラス扉枠47や内枠42が開放されたときの枠開放SW44からの信号に基づいて、又は、図示しない磁気検知センサによる不正な遊技球の誘導行為の検出に基づいて、エラー表示を行うよう構成してもよい。なお、エラー表示としては、不正が検出されたことをホールの従業員などに報知するために、例えば「エラー」の文字を表示する。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、電飾装置は、導光板61に文字や模様を表示可能な表示装置60により構成したが、突出部56の窓部59に、単にLEDなどの発光装置を配置するだけの構成としてもよい。この場合、LEDとして、光の三原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)の発光素子を有するフルカラーLEDを適用すれば、赤、緑、青、水、紫、黄、白の7色に発光可能とすることができる。
また、第1実施形態のパチンコ遊技機1では、電飾装置は、導光板61に文字や模様を表示可能な表示装置60により構成したが、液晶表示装置やドットマトリクス表示装置などの表示装置により構成することができる。この場合、液晶表示装置として透明な表示画面に画像を表示する透明液晶表示装置を用いて構成すれば、窓部59の全域が表示画面となるように構成しても、表示画面を透して遊技領域3を視認できるので、高い装飾効果及び不正行為防止効果を発揮することができる。