JP5217607B2 - 分析試料作製方法 - Google Patents
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Description
上記の点を鑑みて、本発明者らは、効率的に、分析誤差の少ない分析試料を作製可能な分析試料作製方法を提供することを目的とする。
図1は、本実施の形態の分析試料作製方法の概略を示す図である。
また、図2は、研磨シートの断面図である。(A)は、図1のA−A線での断面を示し、(B)は、研磨痕の拡大図を示している。
シート基材20−1は、たとえば、プラスチック、紙または布などである。
バインダ20−3は、樹脂材などであり、シート基材20−1に砥粒20−2を固定する機能を有する。
このように分析対象層10−3の材料を転移させた研磨シート20を、分析装置で測定し、組成分析などを行う。
チップ抵抗30は、アルミナ基板31の表面に形成された抵抗体32と、抵抗体32を保護する保護膜33,34を有している。また、抵抗体32の両端に形成された表面電極35、アルミナ基板31の裏面に形成された裏面電極36と、表面電極35と裏面電極36とを電気的に接続する側面電極37を有している。抵抗体32、保護膜33は、たとえば、鉛ガラスを含有している抵抗体、主成分を鉛ガラスとする保護膜であり、保護膜34は、たとえば、レジン(樹脂材)からなる保護膜である。表面電極35及び裏面電極36には、たとえば、鉛ガラスのフリットを分散した銀(Ag)が用いられる。側面電極37には、たとえばレジン銀が用いられる。また、これらの電極を覆うように、ニッケルめっき38、はんだめっき39が形成されており、層構造となっている。表層のはんだめっき39の厚さは約3〜12μmの範囲で製造されることが多い。
ところで、2006年7月にEU(ヨーロッパ連合)によって施行されたRoHS(the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment)指令では、電子・電気機器における一定濃度以上の特定有害物質の使用を規制している。また、技術的に他の物質への代替が困難なものについては、規制対象外としている。
図4は、分析の流れを示すフローチャートである。
ここでは、研磨シートとして、プラスチックフィルム基材上に、平均粒径9μm、または12μmのアルミナ砥粒を樹脂バインダで固定したものを用いた。このようなプラスチックフィルム基材の研磨シートは、基材面に凹凸がなく、滑らかである。また、砥粒の粒径分布もシャープであるため、研磨表面が比較的均質であり、平滑であるため、一般に精密研磨用途に使用される。
(荷重=0.5kg)500/38.0≒13(g/mm2)
(荷重=1.0kg)1000/38.0≒26(g/mm2)
(荷重=5.0kg)5000/38.0≒132(g/mm2)
また、研磨痕の面積は約19mm×80mm=1520mm2となるように研磨した。
たとえば、図5(A)のように砥粒の平均粒径が12μmで、圧力が13g/mm2の場合、転移量は1.50mg程度で飽和している。すなわち、研磨シートの研磨機能がほぼ喪失していることがわかる。また、図5(B)のように砥粒の平均粒径が9μmで、圧力が26g/mm2の場合、転移量は2.1mg程度で飽和している。このような転移量を以下飽和転移量という。
以下では、チップ抵抗30として、図3のような寸法のものを用いた場合について説明する。なお、はんだめっき39の膜厚は8μmとする。
図3のようなチップ抵抗30のはんだめっき39を研磨シート40で研磨する際、保護膜33に含まれる鉛ガラスの影響を受けないアルミナ基板31下部の電極部分の凸部の層を研磨する。はんだめっき39からなる分析対象層(研磨対象層)の体積は、図3の寸法及びはんだめっき39の膜厚から、片側で0.40mm×1.25mm×8μm≒0.004mm3となる。
次に、研磨シート40を分析試料として分析する(ステップS3)。
以下、蛍光X線による分析用の分析試料の作製方法について説明する。
蛍光X線分析装置では、高精度の測定を行うため、研磨シート上に採取した試料(研磨痕)を、X線の照射領域(分析範囲)の中心に設置することが必要である。通常X線の照射領域は装置の試料観察モニタに表示されるが、研磨シートで研磨を行う際には、どの範囲で研磨すればよいのかがわからない。そのため、たとえば、X線の照射範囲を考慮した、以下のような研磨シートを用いて、前述の研磨を行う。
研磨シート50のシート基材は、プラスチックなど光学的透過性を有するものを用い、研磨面の裏面にX線照射範囲を示す円形マーク51と、X線照射領域の中心を示すマーク52をマーキングしている。円形マーク51の直径は、X線の照射範囲が、直径1mm、3mm、5mm、10mmなどと調整できる場合には、たとえば、最大の10mmとする。図7では、照射範囲内(円形マーク51内)に複数の研磨痕53−1,53−2,53−3,53−4を作製した例を示している。
たとえば、インクジェットプリンタを用いて、研磨シート55に、円形マーク56、照射範囲の中心のマーク57が、所定の間隔で重複することがないように作製する。そして、隣り合う円形マーク56またはマーク57の中間線で切断して、個々の研磨シートを作製する。
このような、マーキングを研磨シート50に施すことによって、研磨の際、研磨すべき位置が明確になり、効率よく、試料の無駄なく、研磨を行うことができる。また、研磨シート50を分析試料として蛍光X線分析装置にセットする際、研磨シート50を、適切なX線の照射領域にセットすることが容易になる。これにより、研磨シート50に転移させた層材料を有効に測定することができるとともに、照射領域からはみ出した試料による誤差の影響を抑制することができる。
前述したように、砥粒の平均粒径が12μmの研磨シートを用い、研磨圧力を132g/mm2とした場合の研磨痕の平均厚は、表1より0.567μmであり、望ましい研磨距離dは、17.6mmであった。
図のように研磨回数が2回までは、錫が大量に検出され、ニッケルも多少検出されたが、銀と鉛は検出されなかった。また、研磨回数が3回になると、検出されるニッケルの量が増えるが鉛は検出されず、研磨回数が4回になると、鉛がわずかに検出されるようになった。
このとき、砥粒の平均粒径が12μmの研磨シートを用い、研磨圧力132g/mm2で研磨すると、研磨距離は約8.8mmとなる。つまり、X線の照射領域の直径10mmと近い値となり、X線の照射領域内をより多くの転移物を覆うことが可能になり、高精度な分析が期待できる。
図10は、研磨装置の一例の構成を示す斜視図である。
研磨装置60は、台61上の両端に設けられた支柱62−1,62−2によって互いに平行に支えられたガイド板63−1,63−2と、スライド板64−1,64−2を介してガイド板63−1,63−2間に挟まれた研磨棒65を有している。スライド板64−1,64−2には、図11のように、X軸方向にスライドするボールスライダ64aがガイド板63−1,63−2との間に設けられている。また、Z軸方向にスライドするボールスライダ64bが研磨棒65との間に設けられている。これによって、研磨棒65がX軸方向とZ軸方向に対して動くようになっている。研磨距離は、ガイド板63−1,63−2上に、スライド板64−1,64−2を挟んで設けられる止め具66−1,66−2によって調整される。
なお、研磨装置は、特に上記の構成に限定されるものではない。
(付記1) 研磨シートにより、第1の試料を研磨し、前記研磨シートの凹部に第1の研磨痕を付着させる工程と、
前記第1の研磨痕部分の研磨機能が喪失した時点における前記第1の研磨痕の平均厚を求める工程と、
前記研磨シートにより、前記第1の試料と同材料である第2の試料の分析対象層を研磨し、前記研磨シートの凹部に第2の研磨痕を付着させる工程と、を有し、
前記平均厚に基づいて、前記第2の研磨痕の面積を求めることを特徴とする分析試料作製方法。
(付記3) 前記第1の研磨痕の平均厚及び前記分析対象層の体積に基づいて前記第2の研磨痕の面積を求めることを特徴とする付記1記または2に記載の分析試料作製方法。
10−1 基板
10−2 層
10−3 層(分析対象層)
20 研磨シート
20a,20b 研磨痕
Claims (4)
- 研磨シートにより、分析対象層と略同一の組成の材料である第1の試料を研磨し、前記研磨シートの凹部に第1の研磨痕を付着させる工程と、
前記第1の研磨痕部分の研磨機能が喪失した時点における前記第1の研磨痕の平均厚を求める工程と、
前記研磨シートにより、第2の試料の前記分析対象層を、前記第1の研磨痕を付着させたときと同じ圧力で研磨し、前記研磨シートの凹部に第2の研磨痕を付着させる工程と、を有し、
前記分析対象層の体積を前記平均厚で割ることで、前記第2の研磨痕の面積を求めることを特徴とする分析試料作製方法。 - 前記第2の研磨痕が分析装置の分析範囲内に収まるように、前記研磨シートの種類を選択して前記平均厚及び前記第2の研磨痕の面積を決定することを特徴とする請求項1に記載の分析試料作製方法。
- 前記第2の研磨痕が蛍光X線分析装置のX線照射領域内に収まるように、前記研磨シートの種類を選択して前記平均厚及び前記第2の研磨痕の面積を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の分析試料作製方法。
- 前記第2の研磨痕の全面積が前記分析装置の分析範囲内に収まるように、前記第2の研磨痕を前記分析範囲内に複数作成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の分析試料作製方法。
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