JP5216534B2 - レーザ発振器およびこれを用いたレーザ加工機 - Google Patents

レーザ発振器およびこれを用いたレーザ加工機 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ発振器を用いてレーザ光を安定に発生させる技術に関し、詳しくはパルス状のレーザ光を一定の周波数で安定して発生させる技術に関する。
レーザ光は、一般的な光とは異なり、光の波長や位相が揃っているという大きな特徴を有している。このため、光の指向性や干渉性(コヒーレント性)が高いだけでなく、光学系を用いて極めて小さな領域に集光させることが可能である。そこで、このような性質を利用して、レーザ光は、通信や計測技術、医療分野、加工技術などの多くの分野で利用されている。またレーザ光は、連続して出射するだけでなく、極短時間のパルス状のレーザ光(以下、「レーザパルス」と呼ぶことがある)を一定周波数で出射することも可能である。このように一定周波数で出射されるレーザパルスを用いれば、高速通信を実現したり、各種の現象を高い時間分解能で計測したり、更には難加工性の材質であっても加工による熱の影響を最小限に抑えて加工することができるなど、レーザ光の可能性をより一層広げることが可能である。
ここで、レーザ光は、光学的な共振による光の増幅を発生原理としているので、レーザ光を安定して出射するためには、レーザ発振器内で所定の発振条件が正しく満足されていることが重要となる。また、一定周波数のレーザパルスを発生させる方法にも、いわゆるQスイッチを用いた方法やモードロックを利用する方法など種々の方法が存在するが、何れの方法を用いるにせよ、安定したレーザパルスを出射するためには、レーザ発振器内での発振条件が正しく満足されていることが前提となる。そこで、レーザ光の光量をモニタすることにより、あるいはレーザ光の光量と投入電力とをモニタすることによって、レーザ発振器内での発振条件が満足されなくなった場合には、これを直ちに検出しようとする技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3など)。
特開平10−190103号公報 特開2002−076506号公報 特開2003−224316号公報
しかし、パルス状のレーザ光を一定周波数で出射する場合、提案されているような従来の方法では、レーザ発振器の動作異常を十分な精度で判定することは難しく、その結果、レーザ発振器の発振条件が満足されているにも拘わらず、異常が発生したものと誤判定してしまったり、逆に発振条件が不安定になっているにも拘わらず、安定して動作しているものと誤判定してしまったりすることがあるという問題があった。
この発明は上記のような事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、パルス状のレーザ光を一定周波数で出射するレーザ発振器における動作異常の有無を、精度良く検出することが可能な技術を提供するところにある。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明のレーザ発振器は次の構成を採用した。すなわち、
パルス状のレーザ光であるレーザパルスを所定周波数で出射するレーザ発振器において、
前記レーザパルスを受光する受光手段と、
所定の計数時間内において、前記受光されたレーザパルスの光強度と、相異なる複数の閾値強度とを比較し、各閾値強度以上となるパルス数を計数することによって、各閾値強度ごとの該レーザパルスのパルス数を計数することにより、該レーザパルスの出射パルス数を検出する出射パルス数検出手段と、
前記レーザパルスの前記所定周波数と前記計数時間とによって定まる基準パルス数と、前記出射パルス数検出手段で検出された各閾値強度ごとの出射パルス数とを比較することにより、前記計数時間内に得られた前記レーザパルスのピーク強度の最小値と最大値とが、それぞれに定められた所定の基準範囲内にあるか否かを判断することによって、前記レーザ発振器の異常の有無を判定する異常判定手段と
を備えることを特徴とする。
このような本発明のレーザ発振器においては、所定周波数でパルス状に出射されるレーザ光(レーザパルス)を受光すると、受光したレーザパルスの光強度を、相異なる複数の閾値強度と比較して、所定の計数時間内に各閾値強度以上となるパルス数を計数することによって、各閾値強度ごとに出射パルス数を検出する。こうして、各閾値強度ごとに得られた出射パルス数を、基準パルス数と比較すれば、計数時間内のレーザパルスのピーク強度の最小値が、最小値用に定められた所定の基準範囲内にあるか否か、およびレーザパルスのピーク強度の最大値が、最大値用に定められた所定の基準範囲内にあるか否か判断することができる。ここで基準パルス数とは、所定周波数で出射されるレーザパルスが、所定の計数時間の間に出射されるパルス数であり、周波数と計数時間とが分かれば直ちに決定することができる。そして、ピーク強度の最小値および最大値が、それぞれ所定の基準範囲内にあればレーザ発振器の動作は正常であると判断し、逆に、所定の基準範囲内になければ、動作が異常であると判断する。

こうすれば、ピーク強度の最小値もしくは最大値に関する情報だけでなく、各レーザパルスのピーク強度のバラツキ幅に関する情報も反映させて、レーザ発振器の動作異常の有無を判定することができるので、動作異常の有無を精度良く判定することが可能となる。
また、上述した本発明のレーザ発振器においては、各光強度レベルの出射パルス数に基づいて検出されたピーク強度の最小値と最大値との偏差が、所定の基準値よりも大きい場合に、レーザ発振器の動作が異常であると判定してもよい。
レーザパルスを出射するレーザ発振器の動作が異常になると、各レーザパルスのピーク強度のバラツキが大きくなる。従って、所定の計数時間内に得られたピーク強度の最小値と最大値との偏差が所定の基準値を超えた場合に異常と判定してやれば、レーザ発振器の動作異常を精度良く判定することが可能となる。
また、上述した本発明のレーザ発振器においては、異なる光強度レベルでの出射パルス数を次のようにして検出しても良い。すなわち、出射パルス数を検出する際の光強度レベルを、所定の計数時間毎に段階的に変化させることにより、異なる各光強度レベルでの出射パルス数を検出しても良い。
こうすれば、異なる光強度レベルの出射パルス数を検出することができる。また、レーザパルスのパルス幅は非常に短く、またレーザパルスが出射される周波数も高いので、異なる光強度レベルでの出射パルス数を同時に計数することは、それほど容易なことではない。これに対して、出射パルス数を検出する際の光強度レベルを所定の計数時間毎に段階的に変化させながら、出射パルス数を検出してやれば、異なる光強度レベルでの出射パルス数を同時に検出する必要がないので好適である。
また、上述した本発明のレーザ発振器を、いわゆるレーザ加工機のレーザ光源として組み込むこととしても良い。
レーザパルスを用いて加工を行うレーザ加工機においては、レーザパルスを出射するレーザ発振器の動作が異常になると、各レーザパルスの強度にバラツキが生じたり、レーザパルスを一定の周波数で出射することができなくなって、加工品質の低下を引き起こす。これに対して、上述した本発明のレーザ発振器では、動作異常を精度良く判定することができるので、被加工対象物の加工品質が低下することを未然に防止することが可能となるので好ましい。
また、上述した本発明のレーザ発振器は次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
パルス状のレーザ光であるレーザパルスを所定周波数で出射するレーザ発振器において、
前記レーザパルスを受光する受光手段と、
前記受光されたレーザパルスの光強度と予め設定された複数の閾値強度とを比較して、所定の計数時間の間に該レーザパルスの光強度が該閾値強度を超えた回数を計数することにより、該閾値強度毎に該レーザパルスの出射パルス数を検出する出射パルス数検出手段と、
前記レーザパルスの前記所定周波数と前記計数時間とによって定まる基準パルス数と、前記閾値強度毎に得られた前記出射パルス数とを比較することにより、該レーザパルスのピーク強度の最小値が存在する強度範囲である最小ピーク強度範囲を検出する最小ピーク強度範囲検出手段と、
前記レーザパルスのピーク強度の最大値が存在する強度範囲である最大ピーク強度範囲を、前記閾値強度毎に得られた前記出射パルス数に基づいて検出する最大ピーク強度範囲検出手段と、
前記最小ピーク強度範囲および前記最大ピーク強度範囲が、それぞれ所定の強度範囲内にあるか否かを判断することによって、前記レーザ発振器の異常の有無を判定する異常判定手段と
を備えることを特徴とするレーザ発振器として把握することも可能である。
また、このような態様で把握された本発明のレーザ発振器における異常判定手段は、最小ピーク強度範囲と最大ピーク強度範囲との偏差が、所定の基準値よりも大きい場合に、レーザ発振器の動作が異常であると判定することとしてもよい。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.動作異常の判定原理:
C.第1実施例:
D.第2実施例:
E.変形例:
E−1.第1変形例:
E−2.第2変形例:
A.装置構成 :
図1は、本実施例のレーザ発振器100を搭載したレーザ加工機10の構成を示した説明図である。本実施例のレーザ加工機10は、レーザ光を出射するレーザ発振器100と、出射されたレーザ光を被加工対象物Wに導くための光学系200と、レーザ発振器100や光学系200の動作を制御する制御部300などから構成されている。レーザ発振器100からは、パルス状のレーザ光(レーザパルス)が所定の周波数で出射され、レーザ発振器100から出射されたレーザパルスは、反射ミラー12で反射されて光学系200に導かれる。光学系200には、複数の光学レンズが組み込まれており、レンズ間の距離を調整することによって、レーザパルスの焦点位置を光軸方向に沿って移動させることが可能となっている。そして、光学系200によって焦点位置が調整されたレーザパルスは、出射レンズ14を介して被加工対象物Wの表面に照射される。また、光学系200にガルバノスキャナを組み込んでおけば、被加工対象物Wの表面上でレーザパルスの照射位置を走査させることも可能である。
図2は、本実施例のレーザ発振器100の内部構造を示した説明図である。また、図2では、レーザ発振器100の動作を制御するための制御部300が備える各種の機能も概念的に示されている。図2に示されるように、レーザ発振器100は、互いに向き合わせて設けられた一組の反射ミラー102,104と、反転分布と呼ばれる特殊なエネルギー状態を取り得るレーザ媒質106と、レーザ媒質106を励起させて反転分布状態を発生させる励起光源108と、レーザ光を所定周波数でパルス状に出射するための変調器110と、レーザ光の光強度を検出する光検出器112などから構成されている。
レーザ光を出射するに際しては、まず励起光源108からの励起光をレーザ媒質106に照射する。すると、レーザ媒質106の一部が、反転分布と呼ばれる特殊なエネルギー状態となる。この反転分布は、エネルギー準位が低い状態の存在確率よりも、エネルギー準位が高い状態の存在確率の方が高くなった不安定な状態である。このため、より安定なエネルギー分布の状態に移ろうとして、高いエネルギー準位の状態から低いエネルギー準位の状態へと遷移し、この際にエネルギー準位差に応じた波長の光が放出される。このようにして放出された光が引き金となって、高いエネルギー準位から低いエネルギー準位への遷移が促進され、より強い光が放出されて、更にそのことがエネルギー準位の遷移を促進する。尚、レーザ媒質106に励起光を照射して、レーザ媒質106内に反転分布状態を作り出すことは「ポンピング」と呼ばれる。本実施例のレーザ発振器100では、制御部300に設けられた励起光源駆動部が励起光源108を駆動することによって、レーザ媒質106のポンピングを行う。
また、レーザ媒質106の両側には、一組の反射ミラー102,104が向かい合わせに設けられている。これら反射ミラー102,104間の距離を、エネルギー準位の遷移によって放出された光の波長の整数倍に調整しておけば、レーザ媒質106から放出された光を、反射ミラー102,104間の定在波の形態で蓄えておくことができる。
このように励起光源108からの励起光によってレーザ媒質106の中に反転分布を形成しながら、その一方で、より安定なエネルギー分布の状態に戻ろうとして所定の波長の光が放出される。その結果、放出された光が、反射ミラー102,104間の定在波の形態で蓄えられていき、遂には、光の一部が出力側の反射ミラー102を透過して、レーザ光として出射される。このような現象は、向かい合わせにした反射ミラー102,104の間で生じる一種の共振現象と考えることができる。
変調器110は、レーザ光をパルス状に成形するために用いられる。パルス状のレーザ光(レーザパルス)を生成する方法には種々の方法が存在するが、代表的な方法としては、「Qスイッチ」と呼ばれる方法や、「モードロック」と呼ばれる方法などが存在する。Qスイッチと呼ばれる方法では、反射ミラー102,104の間に外部から変調可能な変調器110を設けておき、レーザパルスを出射しない間は、反射ミラー102,104の間で共振が起きない条件となるように、変調器110を変調しておく。その結果、レーザ媒質106の内部には反転分布状態が蓄積されていく。そして、レーザパルスを出射する際には、変調器110による変調を解除して、反射ミラー102,104の間で共振が起きる条件に戻してやる。すると、レーザ媒質106に反転分布状態として蓄えられていたエネルギーが一気に放出されて、極短時間の非常に強いレーザパルスが出射されることになる。
また、モードロックと呼ばれる方法では、反射ミラー102,104内に複数の共振モードが発生し得ることを利用して、レーザパルスを発生させる。すなわち、反射ミラー102,104の間に存在し得る定在波には、節の数が異なる複数の定在波を考えることができる。また、光の波長は、反射ミラー102,104の間に形成される共振器の大きさに比べると非常に短いので、反射ミラー102,104の軸線に直交する方向の定在波も考えることができる。実際のレーザ発振器100には、このように複数の共振モードが存在しており、モード毎に少しずつ異なる共振周波数(波長)を有している。モードロックと呼ばれる方法では、これら複数のモードの位相を一定条件に揃えてやる。例えば、外部から制御可能な光スイッチを反射ミラー102,104の間に設けておき、一瞬だけ光スイッチを開いて各モードを一斉に発振させれば、複数のモードの位相を揃えることができる。あるいは、弱い光は吸収するが、光強度が一定以上になると光を透過する性質を有する特殊な吸収体(飽和性吸収体)を、反射ミラー102,104の間に設けるようにしてもよい。各モード単独の光は弱いので飽和性吸収体で吸収されてしまうが、各モードの位相が揃うと光が強くなって飽和性吸収体を通過するようになる。その結果、最終的には、各モードの位相を揃えることができる。そして、このように複数のモードの位相が揃った状態では、一定の時間周期毎に各モードの光が強め合う条件が成立して、その度に極短時間だけ強いレーザパルスが発生するようになる。
尚、レーザパルスを発生させる方法には、上述したQスイッチ法や、モードロック法に限らず、例えばレーザパルスを出射する時にだけ、出射側の反射ミラー102の透過率を低下させる「共振器ダンピング法」と呼ばれる方法など、種々の方法が存在している。本実施例のレーザ発振器100では、何れの方法を採用することも可能である。
また、レーザ発振器100としては、アルゴンガスやヘリウムガスや炭酸ガスなどの気体をレーザ媒質106として用いる気体レーザや、有機溶媒に色素を溶かした液体をレーザ媒質106として用いる色素レーザ、不純物が添加された透明な固体媒体(ルビーなど)をレーザ媒質106として用いる固体レーザ、発光ダイオードをレーザ媒質106として用いる半導体レーザなど、種々の方式のレーザ発振器を用いることができる。あるいは、Er(エルビウム)やY(イットリウム)、Yb(イッテルビウム)などの希土類元素を添加した光ファイバーをレーザ媒質106として用いることも可能である。
B.動作異常の判定原理 :
レーザ発振器100が正常の動作している場合には、一定の光強度のレーザパルスを、一定の時間間隔で、安定して出射することが可能である。従って、レーザ光の光強度をモニタして、一定の光強度以上のレーザパルスが、一定の時間間隔で出射されているか否かを確認すれば、レーザ発振器100が正常に動作しているか否かを判断することができる。レーザパルスを出射するレーザ発振器の動作異常の有無は、このような考え方に基づいて判定されてきた。
図3は、従来のレーザ発振器で採用されてきた動作異常の判定方法を示した説明図である。図3(a)は、レーザ発振器が正常に動作している状態を表している。レーザ発振器が正常に動作している場合は、図3(a)に例示したように、ピーク強度の揃ったレーザパルスが一定の時間間隔で出射される。従って、レーザ発振器の出荷時(若しくは理想的に調整された状態)でのピーク強度に対して、若干のマージンを持った閾値の光強度(閾値強度)Ethを設定しておき、レーザ光の光強度が閾値強度Ethを越えた回数を計数する。そして、所定の計数時間t0 の間に計数されたレーザパルスの出射パルス数が、レーザ発振器がレーザパルスを出射するべき所定周波数とレーザパルスの計数時間とによって算出されるパルス数(基準パルス数)と一致していれば、レーザ発振器が正常に動作しているものと判断する。例えば、図3(a)に示した例では、計測時間t0 の間に計数されたパルス数が4つであれば、レーザ発振器が正常に動作しているものと判断される。
これに対して、レーザ発振器が正常に動作していない場合は、図3(b)に例示したように、レーザパルスのピーク強度にバラツキが発生する。例えば、前述したQスイッチを用いてレーザパルスを発生させている場合には、レーザパルスを出射してから次のレーザパルスを出射するまでの間に発生させる反転分布状態がばらついてしまい、その結果、レーザパルスのピーク強度がばらついてしまうことが起こり得る。また、モードロックを用いてレーザパルスを発生させる場合には、反射ミラー102,104の間に形成される複数のモードが設計通りでなかった場合(例えば、あるモードが欠落していたり、あるいは各モードの強度分布が歪んでいる場合など)には、各レーザパルスのピーク強度にばらつきが発生することが起こり得る。
このように、各レーザパルスのピーク強度にばらつきが生じると、図3(b)に例示したように、ピーク強度が閾値強度Ethを越えないパルスが発生して、計数した出射パルス数が、本来計数されるべき基準パルス数に達しなくなる。このため、レーザ発振器が正常に動作していないことを検出することができる。
もっとも、このような従来から採用されてきた方法では、まだ正常に動作しているレーザ発振器であっても、動作が異常であると誤判定してしまうことが起こり得る。例えば、発振器としての動作は正常であるが、長年の使用による経時変化などによって出力ピークが僅かに劣化した場合を考える。この場合、図3(c)に示したように、基準周波数でしかも安定したピーク強度でレーザパルスが出力されており、レーザ発振器としては正常に動作していると考えられるにも拘わらず、所定の計測時間t0 に計数された出射パルス数が基準パルス数に達しないために、動作異常と誤判定されてしまうことが起こり得る。
もちろん、図3(c)に例示した場合であれば、閾値強度Ethの設定を少し下げてやることで、誤判定を回避することができる。しかし、閾値強度Ethを下げると、図3(d)に例示したように、本来は動作異常と判定すべき場合も正常と判定してしまうことが起こり得る。すなわち、図3(d)に示した例では、閾値強度が「Eth」から「Eth'」に下げられており、このため、閾値強度が「Eth」に設定されていれば動作異常と正しく判定された場合でも(図3(b)参照)、正常と誤判定されてしまう。
本実施例のレーザ発振器100では、レーザパルスの出射パルス数を複数の閾値強度で計数することによって、レーザ発振器100の動作異常を精度良く判定することが可能となっている。以下、本実施例のレーザ発振器100で用いられている動作異常の判定方法について説明する。
C.第1実施例 :
図4は、第1実施例のレーザ発振器100内で出射パルス数を計数するための大まかな回路構成を示した説明図である。これらの回路構成は、図2中に示されるように出射パルス数計数部302として、制御部300の中に組み込まれている。そして、レーザ発振器100に設けられた光検出器112からの信号を受け取って、出射パルス数を計数する。
図4(a)には、アナログ回路を用いて形成された出射パルス数計数部302の構成が示されている。図示されているように、光検出器112で検出された光強度の信号は、複数(ここでは4つ)の経路に分割されて、それぞれの経路に設けられたアナログ比較器に入力される。また、それぞれのアナログ比較器には、異なる閾値強度Eth0 、Eth1 、Eth2 、Eth3 (但し、Eth0 >Eth1 >Eth2 >Eth3 )が設定されている。各アナログ比較器では、光検出器112から受け取った光強度が、それぞれに設定された閾値強度を超えるたびにパルス信号を出力し、このパルス信号を、アナログ比較器毎に設けられたカウンタで計数する。一定の計数時間t0 毎に、それぞれのカウンタをリセットしながら、各カウンタで得られた計数値を、各閾値強度についての出射パルス数として出力する。図4(a)には、閾値強度Eth0 については出射パルス数N0 が、閾値強度Eth1 については出射パルス数N1 が、閾値強度Eth2 については出射パルス数N2 が、そして閾値強度Eth3 については出射パルス数N3 が、それぞれ出力される様子が示されている。尚、本実施例では、設定されている閾値強度の数は4つであるものとして説明しているが、閾値強度の数は複数であれば、何個の閾値強度を設定しても構わない。
あるいは、同様な処理を、ソフトウェアを用いて実現しても良い。すなわち、図4(b)に示すように、光検出器112で検出された光強度の波形データを波形メモリに一旦記憶しておく。記憶する波形データは、少なくとも計測時間t0 以上の長さがあれば十分である。また、複数の閾値強度を予めメモリに設定しておく。そして、波形データを解析して、計測時間t0 の間に閾値強度を超えた回数を求めて、それぞれの閾値強度についての出射パルス数として出力することとしても良い。
このようにして複数の閾値強度Eth0 、Eth1 、Eth2 、Eth3 について得られた出射パルス数N0 、N1 、N2 、N3 は、制御部300内に設けられたピーク強度範囲検出部(図2参照のこと)に供給されて、レーザパルスのピーク強度が存在する範囲が検出される。そして、その検出結果が異常判定部(図2参照のこと)に供給されて、レーザ発振器100の動作異常の有無が判定される。
図5は、複数の閾値強度について得られた出射パルス数に基づいて、レーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。図5(a)には、光検出器112で検出された光強度の波形と、複数の閾値強度Eth0 〜Eth3 とが例示されている。図示されるように、最も高い閾値強度Eth0 は、レーザ発振器100の理想的な(若しくは出荷時の)レーザパルスのピーク強度に対して、若干低めに設定されている。また、他の閾値強度Eth1 〜Eth3 は、閾値強度Eth0 よりも低く、且つ、ほぼ等間隔に設定されている。尚、本実施例では、各閾値強度Eth0 、Eth1 、Eth2 、Eth3 は、等間隔となるように設定されているものとして説明するが、これら各閾値強度は、必ずしも等間隔に設定しておく必要はない。
図5(a)に示した波形では、各レーザパルスのピーク強度は、閾値強度Eth1 、Eth2 、Eth3 を超えているため、それぞれの閾値強度で計測時間t0 に計数される出射パルス数N1 、N2 、N3 は、何れも「4」となる。尚、ここでは、計測時間t0 の間にレーザ発振器100が出射すべきパルス数(基準パルス数)も「4」であるものとする。また、最も高い閾値強度Eth0 については、出射パルス数N0 は「0」となる。
図5(b)には、各閾値強度について得られた出射パルス数N0 〜N3 がまとめて示されている。閾値強度Eth1 から閾値強度Eth3 については、基準パルス数と同じ出射パルス数が計数されている。従って、計数時間t0 に射出された全てのレーザパルスは、閾値強度Eth1 よりもピーク強度が高いと考えられる。また、閾値強度Eth1 よりも一段階だけ高い閾値強度Eth0 で計数された出射パルス数は、基準パルス数に達していない。このことから、計数時間t0 に射出されたレーザパルスの中で、最も光強度の小さなパルスのピーク強度(最小ピーク強度)は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の強度範囲に存在すると考えることができる。
一方、最も高い閾値強度Eth0 について得られた出射パルス数N0 は「0」であるから、計数時間t0 に射出されたレーザパルスの中には、ピーク強度が閾値強度Eth0 よりも高いパルスは存在していないことが分かる。また、閾値強度Eth0 よりも一段階だけ低い閾値強度Eth1 で得られた出射パルス数N1 は「0」ではないから、閾値強度Eth1 を超えるピーク強度のレーザパルスは存在する。このことから、計数時間t0 に射出されたレーザパルスの中で、最も光強度の大きなパルスのピーク強度(最大ピーク強度)は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の強度範囲に存在すると考えることができる。図5(b)には、このようにして、各閾値強度Eth0 〜Eth3 について得られた出射パルス数N0 〜N3 に基づいて、最大ピーク強度が存在する強度範囲(最大ピーク強度範囲)と、最小ピーク強度が存在する強度範囲(最小ピーク強度範囲)とが求められた様子が示されている。
また、レーザ発振器100の動作が異常であると誤判定してしまう図3(c)に示した場合については、図5(c)に示すような出射パルス数N0 〜N3 を得ることができる。このような場合にも、図5(b)と同様にして、最大ピーク強度が存在する強度範囲および最小ピーク強度が存在する強度範囲を求めることができる。ピーク強度が閾値強度Eth1 を超えるレーザパルスは存在しないが(何故なら、閾値強度Eth1 に対応する出射パルス数N1 が「0」なので)、一段階だけ低い閾値強度Eth2 を超えるレーザパルスは存在している(何故なら、閾値強度Eth2 に対応する出射パルス数N2 が「0」ではないので)。従って、最大ピーク強度が存在する強度範囲は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の範囲にあると考えることができる。また、閾値強度Eth2 では基準パルス数の出射パルス数が得られているが、一段だけ高い閾値強度Eth1 では、得られた出射パルス数N1 が基準パルス数に達していない。従って、最小ピーク強度が存在する強度範囲は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の範囲にあると考えることができる。本実施例のレーザ発振器100に搭載された制御部300の「ピーク強度範囲検出部」(図2参照のこと)では、以上のようにして、各閾値強度で得られた出射パルス数から、最大ピーク強度が存在する範囲(最大ピーク強度範囲)、および最小ピーク強度が存在する範囲(最小ピーク強度範囲)を検出する。
制御部300に設けられた「異常判定部」(図2参照のこと)は、こうして求めた最大ピーク強度範囲および最小ピーク強度範囲に基づいて、レーザ発振器100の動作異常の有無を判定する。例えば、図5(b)に示した例では、最小ピーク強度範囲は閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の強度範囲にあるので、レーザパルスは十分な光強度を有しており、所望の周波数でパルスを出射している。また、最大ピーク強度範囲と最小ピーク強度範囲とは離れていない(図示した例では一致している)ので、レーザパルスの出力ばらつきも小さい。これらのことから、レーザ発振器100は正常に動作していると判定することができる。図5(c)に示した例についても同様に、最小ピーク強度範囲は閾値強度Eth2 〜閾値強度Eth1 の強度範囲にあり、最大ピーク強度範囲と最小ピーク強度範囲とが離れていないので、レーザ発振器100は正常に動作していると判定することができる。
図6は、レーザ発振器100の動作が異常と判定される場合を例示した説明図である。図6(a)には、光検出器112で検出された光強度の波形が、各閾値強度Eth0 〜Eth3 とともに示されている。このような波形について、各閾値強度での出射パルス数N0 、N1 、N2 、N3 を求めると、図6(b)に示す結果を得ることができる。
図6(b)に示した結果では、閾値強度Eth3 で得られた出射パルス数N3 は基準パルス数と同じ値が計数されているが、閾値強度Eth2 で得られた出射パルス数N2 は基準パルス数に達していない。従って、最小ピーク強度は、閾値強度Eth3 〜閾値強度Eth2 の範囲に存在すると考えることができる。また、最も高い閾値強度Eth0 で得られた出射パルス数N0 は「0」であるが、閾値強度Eth1 で得られた出射パルス数N1 は「0」ではないから、最大ピーク強度は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の範囲に存在すると考えることができる。そしてこの場合は、最小ピーク強度が存在する強度範囲と、最大ピーク強度が存在する強度範囲との間に大きな隔たりが存在するので、レーザパルスの強度が大きくばらついており、レーザ発振器100が正常に動作していないと判定することができる。
また、図6(b)に示した例では、最小ピーク強度が存在する強度範囲も、閾値強度Eth3 〜閾値強度Eth2 と低くなっている。このような場合には、たとえ図6(c)に示したように、最小ピーク強度の強度範囲と最大ピーク強度の強度範囲とが離れていない場合でも、出力異常を正しく判定することができる。
このように、本実施例のレーザ発振器100では、最小ピーク強度の存在範囲と、最小ピーク強度の存在範囲とを検出することによって、レーザ発振器100の動作異常の有無を精度良く判定することができる。判定に際しては、最小ピーク強度の許容存在範囲、および最大ピーク強度の許容存在範囲を予め設定しておき、最小ピーク強度の存在範囲および最大ピーク強度の存在範囲が、それぞれの許容存在範囲内にあるか否かを判断して、何れかが許容存在範囲を超えていた場合に、レーザ発振器100の動作異常と判定することができる。
あるいは、最小ピーク強度と最大ピーク強度との許容偏差に基づいて、レーザ発振器100の動作異常の有無を判定するようにしても良い。すなわち、各出射パルス数から最小ピーク強度の存在範囲および最大ピーク強度の存在範囲を求めておく。そして、最小ピーク強度の存在範囲と、最大ピーク強度の存在範囲との偏差を求め、その偏差が予め設定しておいた許容範囲にあるか否かを判断する。その結果、偏差が許容範囲内にあった場合は、先に求めた最小ピーク強度の存在範囲が低すぎないか、あるいは最大ピーク強度の存在範囲が高すぎないかの何れか一方を確認する。最小ピーク強度の下限値あるいは最大ピーク強度の上限値の何れか一方を予め設定しておき、設定されている方の条件を確認すればよい。そして、最小ピーク強度の存在範囲と、最大ピーク強度の存在範囲との偏差が許容範囲内にあり、尚且つ、最小ピーク強度の存在範囲が下限値以上であるか、最大ピーク強度の存在範囲が上限値以下であった場合に、レーザ発振器100が正常に動作していると判定、それ以外の場合は、動作異常と判定してもよい。
以上に詳しく説明したように、第1実施例のレーザ発振器100では、複数の閾値強度のそれぞれについて出射パルス数を求めることにより、レーザ発振器100の動作異常の有無を、簡単に且つ精度良く判定することが可能となる。
D.第2実施例 :
上述した第1実施例では、光検出器112で検出された同じ波形から、各閾値強度についての出射パルス数を求めることとした。これに対して、各閾値強度の出射パルス数を時分割して求めるようにしても良い。こうすれば、同時に複数の出射パルス数を計数する必要がないので、出射パルスを容易に計数することが可能となり、レーザ発振器100の動作判定を容易に実行することが可能となる。以下では、このような第2実施例について説明する。
図7は、第2実施例のレーザ発振器100内で出射パルス数を計数するための大まかな回路構成を示した説明図である。図4(a)を用いて前述した第1実施例では、複数のアナログ比較器が並列に接続されており、光検出器112で検出された光強度の信号波形は各アナログ比較器に分配して供給されていた。これに対して、第2実施例では、光検出器112からの信号波形は1つのアナログ比較器に入力されている。また、アナログ比較器の閾値には、デジタル−アナログ変換器(DAC)の出力が入力されている。第2実施例では、このDACの出力が、計数時間t0 毎に、「閾値強度Eth3 →閾値強度Eth2 →閾値強度Eth1 →閾値強度Eth0 」と切り換わる階段波形となっている。すなわち、1つのアナログ比較器を計数時間t0 毎に時分割して、それぞれの分割時間内で異なる閾値強度との比較を行うのである。
そして、アナログ比較器の出力パルスをカウンタで計数する。このとき、閾値強度が切り換わる度にカウンタをリセットすることにより、各分割時間内で光強度の波形が閾値時間を超えた回数を計数して出力する。こうすれば、閾値強度が、「閾値強度Eth3 →閾値強度Eth2 →閾値強度Eth1 →閾値強度Eth0 」と切り換わるタイミングに同期して、「出射パルス数N3 →出射パルス数N2 →出射パルス数N1 →出射パルス数N0 」と繰り返して、各閾値強度での出射パルス数を得ることができる。
図8は、第2実施例のレーザ発振器100において、複数の閾値強度での出射パルス数を時分割で求める様子を示した説明図である。図8(a)には、レーザ発振器100が正常に動作している場合が例示されており、図8(b)には、正常に動作していない場合が例示されている。何れの場合についても、一定の計数時間t0 が経過する度に、閾値強度を、「閾値強度Eth3 →閾値強度Eth2 →閾値強度Eth1 →閾値強度Eth0 」と切り換えることにより、「出射パルス数N3 →出射パルス数N2 →出射パルス数N1 →出射パルス数N0 」の順番で、それぞれの出射パルス数を求めることができる。その結果、例えば図8(a)に例示した波形では、図5(b)に示した出射パルス数と同様な結果が得られるので、レーザ発振器100の動作は正常と判定することができる。また、図8(b)に例示した波形については、図6(b)と同様な結果が得られるので、動作異常と判定することが可能となる。その結果、第2実施例においても、第1実施例と同様に、レーザ発振器100の動作異常の有無を、簡単に且つ精度良く判定することが可能となる。
また、上述した第2実施例では、次のようにしても良い。先ず、閾値強度の設定を、「閾値強度Eth3 →閾値強度Eth2 →閾値強度Eth1 →閾値強度Eth0 →閾値強度Eth3 」と複数周期に亘って繰り返すことにより、「出射パルス数N3 →出射パルス数N2 →出射パルス数N1 →出射パルス数N0 →出射パルス数N3 」と、複数周期に亘って繰り返される出射パルス数を計数する。そして、複数周期に亘って計数された出射パルス数N3 、出射パルス数N2 、出射パルス数N1 、出射パルス数N0 を、それぞれ平均することによって、平均出射パルス数Nav3 、平均出射パルス数Nav2 、平均出射パルス数Nav1 、平均出射パルス数Nav0 を算出する。こうして各閾値強度について得られた平均出射パルス数Navに基づいて、最小ピーク強度の存在範囲、最大ピーク強度の存在範囲を求めることとしても良い。こうすれば、計測ばらつきの影響を受けることがなくなるので、レーザ発振器100の動作異常の有無を、より精度良く判定することが可能となる。
もちろん、前述した第1実施例においても同様に、各出射パルス数の計数を複数回繰り返して、それら計数値を平均することによって、各閾値強度での平均出射パルス数を求めることとしても良い。こうすれば、第1実施例においても、計測ばらつきの影響を排除して、レーザ発振器100の動作異常の有無を、より精度良く判定することが可能となる。
E.変形例 :
上述した第1実施例および第2実施例については、幾つかの変形例を考えることができる。以下では、これら変形例について簡単に説明する。
E−1.第1変形例 :
上述した第1実施例あるいは第2実施例では、各閾値強度の間隔については特に言及しなかった。しかし、各閾値強度の間隔は、次のように設定することが望ましい。一般に、レーザパルスのピーク強度には、許容可能なばらつきの最大値が定められている。ここでは、許容可能なばらつきの最大値を、「ピークバラツキ許容幅」と呼ぶことにする。各閾値強度の間隔は、このピークバラツキ許容幅よりも狭い間隔に設定することが望ましい。このようにしておけば、次のような理由から、レーザパルスのピーク強度のバラツキが、ピークバラツキ許容幅を超えたことを直ちに検出することができる。その結果、レーザ発振器100の動作異常をより精度良く判定することが可能となる。
図9は、第1変形例において、レーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。図9(a)には、各閾値強度の間隔が、ピークバラツキ許容幅よりも僅かに狭く設定されている場合が示されている。また、図9(b)には、各閾値強度の間隔が、ピークバラツキ許容幅の半分に設定されている場合が示されている。また、図9(a)および図9(b)の何れについても、光強度の波形は、ピーク強度のバラツキが許容限界となっているレーザパルスの波形となっている。
図9(a)に示した例では、最小ピーク強度がある強度範囲は、閾値強度Eth2 〜閾値強度Eth1 の範囲であり、最大ピーク強度がある強度範囲は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 となる。各閾値強度の間隔がピークバラツキ許容幅よりも僅かに狭く設定されている場合、バラツキ限界にあるレーザパルスの最小ピーク強度および最大ピーク強度の存在範囲は、図9(a)に示したように、隣接する2つの強度範囲にまたがって検出される。図9(a)に示した例では、閾値強度Eth2 〜閾値強度Eth1 の強度範囲と、これに隣接する閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の強度範囲とにまたがって検出されている。逆に、レーザパルスのピーク強度がバラツキ限界にある場合、最小ピーク強度および最大ピーク強度の存在範囲が、3つ以上の強度範囲にまたがって検出されることは起こり得ない。従って、最小ピーク強度および最大ピーク強度の存在範囲が3つ以上の強度範囲にまたがって検出された場合、そのレーザパルスは、ピーク強度のバラツキがピークバラツキ許容幅を超えていると判断することができる。
各閾値強度の間隔が、ピークバラツキ許容幅の半分に設定された図9(b)においても、同様なことが成立する。図9(b)に示した例では、最小ピーク強度の存在範囲は、閾値強度Eth3 〜閾値強度Eth2 の範囲であり、最大ピーク強度がある強度範囲は、閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 となる。各閾値強度の間隔がピークバラツキ許容幅の半分にく設定されている場合、バラツキ限界にあるレーザパルスの最小ピーク強度および最大ピーク強度の存在範囲は、1つの強度範囲を挟んで3つの強度範囲にまたがって検出される。図9(b)に示した例では、閾値強度Eth2 〜閾値強度Eth1 の強度範囲を間に挟んで、一つ下の強度範囲(閾値強度Eth3 〜閾値強度Eth2 )から、一つ上の強度範囲(閾値強度Eth1 〜閾値強度Eth0 の強度範囲)にかけての3つの強度範囲にまたがって検出される。従って、最小ピーク強度および最大ピーク強度の存在範囲が4つ以上の強度範囲にまたがって検出された場合、そのレーザパルスは、ピーク強度のバラツキがピークバラツキ許容幅を超えていると判断することができる。
このように、各閾値強度の間隔を、ピークバラツキ許容幅よりも少なくとも狭い間隔に設定しておけば、レーザパルスのピーク強度のバラツキが許容限界を超えたことを直ちに検出することができる。その結果、レーザ発振器100の動作異常をより精度良く判定することが可能となる。尚、図9(a)と図9(b)とを比較すれば明らかなように、各閾値強度の間隔が狭くなるほど、レーザパルスのピーク強度のバラツキが許容限界を超えたことを、より精度良く検出することが可能である。
E−2.第2変形例 :
また、上述した各種の実施例および変形例では、各閾値強度の中で最も低い閾値強度(最低閾値強度。上述した実施例では閾値強度Eth3 が該当する)の設定については、特に言及していない。しかし、最低閾値強度は、レーザパルスのピーク強度の許容可能な下限値に設定しておくことが望ましい。こうすれば、以下の理由から、レーザパルスのピーク強度が許容限界以上に低下したことを直ちに検出することができるので、レーザ発振器100の動作異常を精度良く判定することが可能となる。
図10は、第2変形例において、レーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。図10(a)には、ピーク強度が許容可能な下限値(EthL )の近くまで低下したレーザパルスの波形が示されている。また、各閾値強度の最も低い閾値強度Eth3 は、ピーク強度の許容下限値EthL に設定されている。図10(a)に例示した場合は、レーザパルスのピーク強度はかろうじて許容下限値EthL を超えている。このため、各閾値強度についての出射パルス数を計数すると、図10(b)に示すような結果を得ることができる。最低閾値強度Eth3 をピーク強度の許容下限値EthL に設定しておけば、図10(b)に示すような結果が得られた場合に、「レーザ発振器100の動作は正常であるが、出力レベルが許容限界付近まで低下している」と正しく判断することができる。
その後も、レーザ発振器100の使用を続けているうちに、各閾値強度での出射パルス数の計数結果が、図10(c)に示した結果になったら、レーザパルスの出力レベルが許容限界以下に低下したと判断することができる。
このように第2変形例においては、最低閾値強度Eth3 がピーク強度の許容可能な下限値EthL に設定されているので、レーザパルスのピーク強度が許容限界以上に低下したことを直ちに検出することができるので、レーザ発振器100の動作異常を精度良く判定することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
本実施例のレーザ発振器100を搭載したレーザ加工機10の構成を示した説明図である。 本実施例のレーザ発振器100の内部構造を示した説明図である。 従来のレーザ発振器で採用されてきた動作異常の判定方法を示した説明図である。 第1実施例のレーザ発振器100内で出射パルス数を計数するための大まかな回路構成を示した説明図である。 複数の閾値強度について得られた出射パルス数に基づいてレーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。 レーザ発振器100の動作が異常と判定される場合を例示した説明図である。 第2実施例のレーザ発振器100内で出射パルス数を計数するための大まかな回路構成を示した説明図である。 第2実施例のレーザ発振器100において複数の閾値強度での出射パルス数を時分割で求める様子を示した説明図である。 第1変形例においてレーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。 第2変形例においてレーザ発振器100の動作異常の有無を判定する様子を示した説明図である。
符号の説明
10…レーザ加工機、 12…反射ミラー、 14…出射レンズ、
100…レーザ発振器、 102,104…反射ミラー、
106…レーザ媒質、 108…励起光源、 110…変調器、
112…光検出器、 200…光学系、 300…制御部
302…出射パルス数計数部、 W…被加工対象物

Claims (4)

  1. パルス状のレーザ光であるレーザパルスを所定周波数で出射するレーザ発振器において、
    前記レーザパルスを受光する受光手段と、
    所定の計数時間内において、前記受光されたレーザパルスの光強度と、相異なる複数の閾値強度とを比較し、各閾値強度以上となるパルス数を計数することによって、各閾値強度ごとの該レーザパルスのパルス数を計数することにより、該レーザパルスの出射パルス数を検出する出射パルス数検出手段と、
    前記レーザパルスの前記所定周波数と前記計数時間とによって定まる基準パルス数と、前記出射パルス数検出手段で検出された各閾値強度ごとの出射パルス数とを比較することにより、前記計数時間内に得られた前記レーザパルスのピーク強度の最小値と最大値とが、それぞれに定められた所定の基準範囲内にあるか否かを判断することによって、前記レーザ発振器の異常の有無を判定する異常判定手段と
    を備えることを特徴とするレーザ発振器。
  2. 請求項1に記載のレーザ発振器において、
    前記異常判定手段は、前記ピーク強度の最小値と最大値との偏差が、所定の基準値よりも大きい場合に、前記レーザ発振器の動作が異常であると判定する手段であることを特徴とするレーザ発振器。
  3. 請求項1に記載のレーザ発振器において、
    前記出射パルス数検出手段は、前記出射パルス数を検出するための前記光強度レベルを、前記計数時間毎に段階的に変化させながら、該出射パルス数を検出する手段であることを特徴とするレーザ発振器。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のレーザ発振器を備えることを特徴とするレーザ加工機。
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