JP5216420B2 - 靴下 - Google Patents

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本発明は靴下に関し、詳しくは、着用時に靴下の上端位置をブーツの長さやボトムの丈の長さに応じて任意に調節できるものである。
従来、靴下として、足のつま先からふくらはぎの下端までのクルー丈のショートタイプと、膝下丈のロングタイプが提供されている。また、これらの靴下には踝の形状に沿わせたヒール部を有するヒール付き靴下と、ヒール部を形成せずにつま先から上端まで連続した筒形状としたヒールレス靴下がある。前記ヒール部の無い靴下の場合、生産性が高い反面、ずれや捩れが発生しやすい問題がある。
一方、ヒール付きのショートタイプとして、例えば、実公昭42−5762号、ヒール付きロンクタイプとして実開昭50−9123号の靴下が提供されている。
前記ヒール付き靴下は、ヒール無し靴下に対してずれや捩れが発生しにくい利点があるが、実公昭42−5762号の靴下では緊締力の強い部分(締付部)を足首と土踏まずに位置させており、実開昭50−9123号の靴下では脚部と土踏まずに緊締力の強い部分を位置させている。これらの靴下では、土踏まずと脚部の2カ所に緊締力の強い部分を設けているため、靴下が位置ずれすることなく、靴下の踝の部分は踝でしっかりと位置決め保持される。
これらの靴下は、踝位置からの上端までの丈が一定となっているため、ブーツ等の靴の長さやボトムの長さに対応して靴下の丈を調節することができない。
例えば、ショートブーツを履く場合には、靴下の上端が脚のふくらはぎの下位置のクルー丈の靴下を着用するのが好ましい。一方、ロングブーツを履く場合には、靴下の上端が膝下に位置する膝下丈の靴下を着用するのが好ましい。
このように、着用するブーツやボトムに応じて、丈の相違する靴下を着用することが好ましい。この為には、丈が相違すると共に色や柄が相違する多種類の靴下を購入し、かつ、これらを丈に応じて分類しておく必要があり、着用時に手間がかかると共に費用もかかる問題がある。
実公昭42−5762号 実開昭50−9123号
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、一足の靴下でクルー丈のショートタイプと膝下丈のロングタイプに長さ調節ができ、かつ、調節した位置に安定保持できる靴下を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、伸縮性編地からなる筒状本体の長さ方向の一端を縫着してつま先先端部としていると共に他端開口は履き口とし、ヒール部は形成していない靴下であり、
前記筒状本体のつま先側先端部と履き口との間に、緊締力を大とした編地からなるストッパー用バンド部を周方向に連続して備え、該ストッパー用バンド部の位置を、土踏まずに位置させて着用すると前記履き口はふくらはぎの下端に位置するショートタイプとなり、前記バンド部の位置をかかとを越えて足首位置に位置させると履き口が膝下のロングタイプとなることを特徴とする靴下を提供している。
前記のように、本発明の靴下では、緊締力を大としたストッパー用バンド部を移動させるだけでショートタイプとロングタイプとに使い分けることでき、着用するブーツやボトムに適した丈を有する靴下にすることができる。また、ストッパー用バンド部は緊締力を大としているため移動させた位置からずれにくく、かつ、移動させる位置が細い足首回りまたは窪んだ土踏まずの位置であるため、これらの位置に確実に保持することができる。
具体的には、ストッパー用バンド部を踝を越えて足首の位置に移動させると、履き口は膝下に位置する膝下丈のロングタイプとすることができる。その場合、ストッパー用バンド部が足首回りにしっかりと保持されるため履き口が膝下位置からずり下がらない。また、ストッパー用バンド部からつま先側先端部までの長さは、ショートタイプとする場合より比較して長くなるが、伸縮性編地で形成しているため、編地が伸びることにより対応できる。
一方、ストッパー用バンド部を土踏まずの位置に移動させると、履き口はふくらはぎの下に位置してクルー丈のショートタイプとなる。この場合、ストッパー用バンド部からつま先先端までの寸法は短くなるが、該ストッパー用バンド部の位置を予め土踏まずと対応する位置に設定して編成しておくことにより、ショートタイプとした場合に、つま先側に余分な長さを生じさせず弛みを発生させないようにしている。
前記ストッパー用バンド部のつま先側の下端位置は、つま先から履き口までの全長に対して、つま先から27〜52%位置に配置していることが好ましい。
具体的には、ストッパー用バンド部の前記下端位置はつま先先端か8〜18cmの距離に位置し、平置き状態で土踏まずと対応する位置に設けている。
このように、ストッパー用バンド部の位置を土踏まずに対応する位置に設けていることにより、ショートタイプとした場合に弛みが発生せず、歩行時に余った部分がつま先側にたまることを防止できる。
前記ストッパー用バンド部の幅は1〜5cmの範囲、好ましくは、1.5〜3cmである。
ストッパー用バンド部の幅は広い程、保持力が高まり、移動させた位置のズレ発生を抑制できるが、幅が広すぎると伸びにくくなる。この観点からストッパー用バンド部の幅を前記のように1〜5cmの範囲としている。
本発明の靴下の伸縮性編地は丸編地からなり、シームレスの筒状に連続編成し、両端開口
の一端側を縫着してつま先先端部とし、他端はウエルト編みした端末編組織としている。該編組織からなる靴下は、前記のようにヒール部は形成せずに、外観上において外径が略一定の直線を呈するものとしているが、各部の編目のループ長さを変えて、あるいは/および編密度をかえて、横伸び率を変えている。
具体的には、前記ストッパー用バンド部の横伸び率を最小とし、履き口のウエルト編み部に隣接する上部の横伸び率は最大とし、締付感を与えること無く脚にフィットするようにしている。
前記ストッパー用バンド部は、長さ方向に隣接する両側部より編目のループ長さを短くし、編み目を密にし、または伸び率が低い編み糸で編成し、横伸び限界幅は前記隣接する両側部の62〜90%として緊締力を大としている。かつ、該ストッパー用バンド部の外径は隣接する両側部に外観上で同等としていることが好ましい。
編成する編み糸は伸縮性糸であればよく、例えば、ポリウレタン弾性糸にナイロンを巻き付けたカバーリングヤーン、あるいはウーリーナイロン、ナイロンとキュプラ等の混合糸等との交編が好適に用いられる。また、編み糸の太さはカバーリングヤーンの場合、40〜65デシテックスのものが好適に用いられる。
編組織は、プレーン(平編組織)で良いが、デザイン上の観点から、種々の編組織を組み合わせてもよい。
ストッパー用バンド部は他の部分よりも緊締力を大としているため、外観上の目印を設けなくとも着用時にストッパー用バンド部の位置を確認することはでき、よって、デザイン上の観点から目印を設けなくとも良い。
しかしながら、ストッパー用バンド部に、外観上で識別できる目印ラインまたは目印用柄を設けてもよい。このように目印を付しておくと、着用者が急いで着用する場合等に好適であり、かつ、着用後にストッパー用バンド部が意図した位置であるか否かを確認することができる。
上述したように、本発明の靴下は、ストッパー用バンド部の位置を移動させるだけで、1足でクルー丈のショートタイプと膝下丈のロングタイプとに使い分けることができる。よって、ショートブーツを履く時はクルー丈、ロングブーツを履く時は膝下丈とすることができ、同様に、ボトムの長さに応じてもショートタイプとロングタイプとに使いわけることができる。
以下、本発明の靴下の実施形態を図面を参照して説明する。
実施形態の靴下1には、図1(A)(B)に示すストッパー用バンド部2を設け、該ストッパー用バンド部2の位置を移動させることにより、図1(A)に示すふくらはぎの下端までのクルー丈のショートタイプと、図1(B)に示す膝下丈のロングタイプとに使い分けることができる構成としている。
なお、図1(A)(B)ではストッパー用バンド部2の位置を明確にするために斜線を付して図示しているが、靴下1の外観上においてストッパー用バンド部2は他の部位と同色として識別できないようにしている。
靴下1は図2に示す構成で、平置状態で、つま先の先端P1から履き口側の他端P2までの長さ寸法L1は25〜35cmの範囲とし、本実施形態では29cmとしている。
また、平置き状態でつま先の先端P1から他端P2まで外観上は連続した直線状とし、ヒール部は形成していない。
靴下1は、伸縮性糸からなる編糸を丸編機で編成してシームレスの筒状本体3を設け、該筒状本体3の一端開口を縫着して閉鎖したつま先先端部4を形成している。他端側の端末編組織はウエルト編み組織として履き口側バンド部5を形成し、その先端開口を履き口6としている。前記一端側のつま先先端部4からウエルト編み組織の履き口側バンド部5までは平編み組織としている。
前記つま先先端部4から平置き状態で土踏まずに相当する位置に前記ストッパー用バンド部2を足裏側から足甲側にかけた全周に渡って幅Wで形成している。該ストッパー用バンド部2の位置は、つま先より8〜18cmの距離L2をあけた位置に設け、幅Wは1〜5cmの範囲としている。本実施形態では、距離L2は12cmとし、幅Wは2cmとしている。
ストッパー用バンド部2は、長さ方向で隣接する領域7A、7Bより平編組織の編目のループを短くして緊締力を大としている。具体的には、平置き状態で、隣接領域7A、7Bの限界横伸び幅に対して62〜90%の伸び率としている。本実施形態では隣接領域7A、7Bに対して77%としている。
ストッパー用バンド部2に隣接する履き口側の隣接領域7Bは履き口側バンド部5に達するまで、段階的に編目のループを長くして緊締力を低下させるグラデーション編みとしている。即ち、図3に示すように、履き口側の隣接領域7Bでは、7B−1、7B−2、7B−3、7B−4と順次ループRを長くして限界横伸び幅を拡大し、履き口側バンド部5に隣接する領域7B−4では限界横伸び幅をストッパー用バンド部2の1.5〜2.2倍程度としている。本実施形態では領域7B−4の限界横伸び幅はストッパー用バンド部2の1.8倍としている。
一方、ストッパー用バンド部2のつま先側の隣接領域7Aは、図2に示すように、ストッパー用バンド部2に隣接する領域7A−1は前記領域7B−1と同組織とし、7A−2は7B−2と同組織としている。このように、ストッパー用バンド部2を挟む両側を同様な編組織とすることで、連続した外観を与えることができると共に、違和感がなく、フィット性において優れたものとしている。
なお、ストッパー用バンド部2のつま先側に隣接する前記領域7Aはつま先先端まで編み目のループを同じ長さとして同じ緊締力で編成し、領域7A全体を同組織としてもよい。また、つま先部分は1×1タックメッシュ編みとして強度をアップしてもよい。
ウエルト編み組織とした履き口側バンド部5では、限界横伸び幅は前記隣接領域7B−4より小さく、履き口部分での緊締力を若干強めて履き口部分でのずり下がりを防止している。
靴下1を構成する編糸は、伸縮性を有する弾性糸であれば良い。
本実施形態では、ポリウレタン弾性芯糸にナイロンを巻き付けた51デジテックスのシングルカバーリングヤーンを用いている。
前記した1種類の編糸で全体を編成し、ストッパー用バンド部2は外観上において差異を設けておらず、ストッパー用バンド部2を設けていることが分からないようにしている。 なお、履き口側バンド部5となるウエルト編み組織の端末では、装飾用の編糸を挿入して編成してもよい。
前記した緊締力を強めたストッパー用バンド部2を設けた靴下1では、該ストッパ用バンド部2の位置でずり下がりを阻止しているため、ストッパー用バンド部2の位置を図1(A)(B)に移動することにより、図1(A)に示すクルー丈のショートタイプと、図1(B)に示す膝下丈のロングタイプとに使い分けることできる。
図1(A)に示すクルー丈とする場合は、ストッパー用バンド部2は踝を越えない位置、即ち、土踏まずの位置としている。この位置では隣接するつま先側と踝側よりも緊締力を大としているため、土踏まずから位置ずれせずに保持できる。
また、ストッパー用バンド部2の位置は、設計段階でつま先先端から土踏まずまでに相当する寸法をあけて設けているため、ストッパー用バンド部2からつま先先端部4までの領域7Aでダブりや弛みが発生することはない。
一方、図1(B)に示す膝下丈とする場合は、ストッパー用バンド部2を踝を越えて足首位置に移動させている。この場合、靴下を伸びの良い伸縮性編地から形成しているためストッパー用バンド部2からつま先先端部4までの領域7Aは着用者の足により無理なく伸ばされて足にフィットさせることができる。また、膝下に位置する履き口6の位置はストッパー用バンド部2が足首に位置するため膝下位置まで達することとなる。かつ、比較的緊締力を大とした履き口側バンド部5と併せ、伸びのよい伸縮性編地を用い、グラデーションにより伸びの変化を設設けている為、よくフィットし、膝下位置からずり下がるのを防止できる。
なお、図4の変形例に示すように、ストッパー用バンド部2に色の相違する編糸を用いて表示ライン11を設けたり、同一糸で模様をいれた編み目として、ストッパー用バンド部2の位置が一目で視認できるようにしてもよい。
(A)(B)は本発明の実施形態の靴下の着用状態を示す図面である。 前記靴下の平面図である。 前記靴下の一部の編組織を示す図面である。 変形例を示す概略図である。
符号の説明
1 靴下
2 ストッパー用バンド部
3 筒状本体
4 つま先側先端部
5 履き口側バンド部
6 履き口
R ループ

Claims (5)

  1. 伸縮性編地からなる筒状本体の長さ方向の一端を縫着してつま先先端部としていると共に他端開口は履き口とし、ヒール部は形成していない靴下であり、
    前記筒状本体のつま先側先端部と履き口との間に、緊締力を大とした編地からなるストッパー用バンド部を周方向に連続して備え、該ストッパー用バンド部の位置を、土踏まずに位置させて着用すると前記履き口はふくらはぎの下端に位置するショートタイプとなり、前記バンド部の位置をかかとを越えて足首位置に位置させると履き口が膝下のロングタイプとなることを特徴とする靴下。
  2. 前記ストッパー用バンド部のつま先側の下端位置は、つま先から履き口までの全長に対して、つま先から27〜52%位置に配置している請求項1に記載の靴下。
  3. 前記ストッパー用バンド部のつま先側の下端位置は、つま先先端から8cm〜18cmの距離に位置し、平置き状態で土踏まずと対応する位置にあり、かつ、該ストッパー用バンド部の幅は1〜5cmの範囲としている請求項1または請求項2に記載の靴下。
  4. 前記伸縮性編地は丸編地からなり、前記ストッパー用バンド部は長さ方向に隣接する両側部より編目のループ長さを短くし、編目を密にし、または伸び率が低い編み糸で編成し、横伸び限界幅は前記両側部の62%〜90%として緊締力を大とし、かつ、該ストッパー用バンド部の外径は隣接する両側部に外観上で同等としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の靴下。
  5. 前記ストッパー用バンド部に、外観上で識別できる目印ラインまたは目印用柄を設けている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の靴下。
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