JP5216017B2 - 脆性材料基板の分断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザビームを照射して脆性材料基板の分断を行う方法に関する。ここで脆性材料基板には、ガラス基板、サファイア基板、焼結材料のセラミックス、単結晶シリコン、半導体ウエハ、セラミック基板等が含まれる。
ガラス等の脆性材料基板に対し、基板に設定した分断予定ラインに沿ってレーザを照射してクラック(加工部分の材料が除去されない)や溝(加工部分の材料が除去される)を形成し、形成したクラックや溝に沿ってブレイク処理を行うことにより、基板を分断する方法が実用されている。
図12は、レーザ照射により基板内に形成される溝やクラックの一例を示す模式断面図である。図12(a)は、レーザアブレーション加工により形成される溝、図12(b)はレーザアブレーション加工により形成される溝およびクラック、また、図12(c)はレーザスクライブ加工により形成されるクラックを示している。
レーザアブレーション加工では、分断予定ラインに沿ってUVレーザ等のレーザビームを走査し、基板の溶融温度以上で加熱して蒸散させることにより、溝101、あるいは溝101とともに溝101の底に誘発されるクラック102が形成される。
また、レーザスクライブ加工では、COレーザ等のレーザビームを、加工対象の基板に照射して加工面にビームスポットを形成し、このビームスポットを走査して、軟化点以下の温度で分断予定ラインに沿って加熱した後に、ビームスポットの軌跡に沿って冷却を行う。これにより、加熱部位の周囲に生じた圧縮応力と、冷却部位の周囲に生じた引張応力との間の応力差に基づいてクラック103が形成される(例えば特許文献1参照)。
そして、レーザアブレーション加工により形成された溝101(あるいは溝101とクラック102)、または、レーザスクライブ加工により形成されたクラック103に沿って、基板の裏面R側(溝やクラックを形成した面と反対面)から曲げモーメントM(ブレイク圧)を加えてブレイク処理を行うことにより、クラック102、103や溝101を板厚方向に進展させて基板を分断する。
一般に、脆性材料基板の分断の際に、小さな曲げモーメント(ブレイク圧)を加えるだけで簡単かつ確実にブレイク処理が行えるようにするためには、クラックや溝をできるだけ板厚方向に深く形成しておくことが好ましい。また、分断面の「欠け」の発生を減らして分断面の品質を良好にするためにも、クラックや溝を板厚方向に深く形成しておくことが好ましい。
しかしながら、レーザアブレーション加工においては、溝(あるいは溝とクラック)を深く形成することは技術的には可能であるが、溝の深さと加工時間とがほぼ比例するため、深い溝を形成しようとすれば、加工に長い時間を要することになる。ところがアブレーション加工の場合は、加工時間が長くなるほど、溝となる部位から蒸散される基板物質の量が増加し、これが周囲の基板表面を汚染することになる。そのため、溝を深く形成することは、加工時間、基板汚染の観点から実用的ではない。むしろ、浅い溝で確実に分断できるようにすることが望ましい。
一方、レーザスクライブ加工においては、基板物質が蒸散することはないので、基板汚染の問題は生じないが、そもそもクラックを深く進展させること自体が基板内部に生じる熱歪みの影響で阻害され、技術的に困難である。クラックの進展を阻害する基板内の熱歪みの影響について、以下に説明する。
図13は、基板に対し、基板の軟化温度以下でレーザ照射するようにしてビームスポットを走査し、次いで冷却したときに、基板内に生じる熱歪みの分布を示す模式断面図である。図において、レーザビームは、紙面の奥側から紙面の手前側へ連続して移動するものとする。
図13(a)に示すように、レーザビームのビームスポットにより加熱された部位100には、図中、破線矢印で示すような方向に圧縮応力が生じる。次いで、図13(b)に示すように、ビームスポットの通過により加熱された部位100の近傍に、冷媒の吹き付けによって冷却スポット110が形成されると、図中実線矢印で示すような引張応力が生じる。
この結果、これらの応力差に応じて、図13(c)に示すように、引張応力に対して直角方向である基板の板厚方向に進展したクラック120が形成される。
しかし、冷却スポット110が形成された場合でも、クラック120を形成するのに十分な応力差が発生する部位は基板表面部分に限られる。冷却スポット110から基板の板厚方向へ拡散する熱と、加熱された部位100から基板の板厚方向へ拡散する熱との間に、クラック120を形成するのに十分な応力差、すなわち温度差がなくなれば、加熱された部位100から基板内の板厚方向に拡散された余剰の熱は、圧縮応力領域130として基板内に残存するようになると考えられる。圧縮応力領域130は、基板内における相対的な熱歪みとして定義される。
圧縮応力領域130は、図13(c)に示すように、クラック120が基板の板厚方向にまっすぐ垂直に進展する作用を妨げるようになる。その結果、クラック120の板厚方向への進展は、レーザビームを脆性材料基板の表面で実用的な速度で走査させた場合には、板厚の2割〜4割程度の深さが限界であった。
したがって、ビームスポットをクラック形成予定ライン(図13では紙面に垂直な方向)に沿って連続して走査した場合には、基板はラインに沿って途切れることなく連続して加熱され、基板内部に圧縮応力領域が連続的に形成されることになるので、クラック形成予定ラインの直下に深いクラックを形成することは、圧縮応力領域の存在により原理的に困難であった。
これに対し、レーザスクライブ加工において、レーザビームの照射を強く受ける高温部分と、この高温部分よりレーザビームの照射を弱く受ける低温部分とをクラック形成予定ライン(分断予定ライン)に沿って交互に形成することにより、クラックを深くまっすぐ垂直に進展することができるクラック形成方法が開示されている(特許文献2参照)。
特許文献2では、クラック形成予定ラインに沿ってレーザビームを照射して脆性基板表面にクラックを形成する際に、クラック形成予定ライン上の一部の脆性基板の表面を遮光してレーザビームが照射されない領域を形成することにより、以下のような現象が生じることを見出している。
すなわち、レーザビームに対する遮光長さ(クラック形成予定ライン方向の遮光部分の長さ)が大きければ、遮光部分でクラックの進展が停止するが、少しずつ遮光長さを小さくしていくと、やがて、遮光部分においてもクラックが連続して形成されるとともに、遮光部分において形成されるクラックはその深さが深くなるという現象を発見している。
上記現象において、遮光部分を非遮光部分との相対比較において低温部分と定義し、非遮光部分を高温部分と定義する。この低温部分のクラック形成予定ライン方向の長さを適正化することにより、低温部分での熱歪みの発生を抑え、高温部分で連続して形成された垂直クラックを低温部分で途切れさせることなく、むしろ深いクラックを形成しながら、このクラックをレーザビームが照射される次の高温部分に誘導させることが可能になる。
すなわち、クラック形成予定ライン方向における低温部分の長さを適正化することにより(低温部分でクラックを途切れさせないようにしつつ低温部分の長さをできるだけ長くする)、基板内部に圧縮応力領域が存在しないか、あるいは存在してもその発生が最小限に抑えられているので、低温部分と高温部分とに、板厚方向にまっすぐで深い連続したクラックを精度よく形成することができる。これにより、脆性基板を分割するためのブレイク装置の簡略化、場合によっては省略が可能になる。
特許第3027768号公報 WO2006/11608号公報
特許文献2に記載されるように、レーザビームの照射を強く受ける高温部分と、この高温部分よりレーザビームの照射を弱く受ける低温部分とを、クラック形成予定ライン(分断予定ライン)に沿って、適正な長さで交互に形成するようにすれば、クラックを垂直にまっすぐ深く進展させることができ、後のブレイク処理を容易に行うことができる。
しかしながら、この方法を実行するためには、予め、レーザスクライブ加工(クラック形成)のときに、高温領域と低温領域とを、適正な間隔に設定しておく必要があり、そのための設定や調整に手間を要することになる。同一規格、同一材料の基板を繰り返し加工する場合のように設定を頻繁に変更する必要がないときは、それでもかまわないが、異なる種類の基板等を次々と分断しようとする場合には、その度に設定を変更する必要があり、設定の手間を要することになる。
そこで、本発明は、レーザを照射して基板に溝やクラックを形成し、形成した溝やクラックに沿ってブレイク処理を行って基板を分断する場合に、安定して基板を分断することができ、それでいて分断に要する曲げモーメント(ブレイク圧)を低減することができる分断方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、基板内部に形成される圧縮応力領域の影響を受けないようにするための適正な加熱、冷却条件を意識することなく、すなわち圧縮応力領域が発生する加熱、冷却条件の下で加工を行った場合であっても、十分に小さな曲げモーメントを与えるだけで分断することができる分断方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の脆性材料基板の分断方法は、脆性材料基板に設定した分断予定ラインに沿って、レーザビームの照射により形成されるビームスポットを相対移動させて、前記基板を軟化点以下の温度で基板表面側から加熱し、次いでノズルからの冷媒噴射により形成される冷却スポットを、前記ビームスポットを追随するように相対移動させて基板を冷却することによりクラックを形成する工程と、形成されたクラックに沿って基板裏面側から曲げモーメントを加えることにより分離するブレイク工程とからなる脆性材料基板の分断方法であって、クラックを形成する工程において、加熱条件又は/及び冷却条件を分断予定ラインに沿って周期的に変化させることにより、クラックの最大深さが基板内部の圧縮応力領域により制限される深さ以内に留まり、かつ、分断予定ライン方向に沿ってクラックの深さが前記加熱条件又は/及び冷却条件の周期で変化する周期クラックを形成し、前記周期クラックを形成する工程の加熱条件又は冷却条件を、以下の(1)から(6)の少なくともいずれかのパラメータを以下に示すようにして周期的に変化させるようにしている。
(1)冷却スポットを形成する冷媒噴射量を変化させ、浅いクラックは噴射量を多くし、深いクラックは噴射量を少なくする
(2)ビームスポットの走査速度を変化させ、浅いクラックは走査速度を速くし、深いクラックは走査速度を遅くする
(3)ビームスポットが通過してから冷却スポットが到達するまでの時間を変化させ、浅いクラックは時間を短くし、深いクラックは時間を長くする
(4)ビームスポットを形成するレーザビームの照射強度を変化させ、浅いクラックは照射強度を弱くし、深いクラックは照射強度を強くする
(5)ビームスポットを形成するレーザビームのパルス間隔を変化させ、浅いクラックはパルス間隔を長くし、深いクラックはパルス間隔を短くする
(6)ビームスポットの形状を、長軸を有する形状にするとともにその長軸方向をスクライブ予定ラインに沿った方向にして当該長軸方向の形状を変化させ、浅いクラックは長軸長さを長くし、深いクラックは長軸長さを短くする
本発明によれば、クラックを形成する工程で、基板に対する加熱条件又は冷却条件の少なくともいずれかを、分断予定ラインに沿って周期的に変化させ、周期的に変化する温度差を基板に与える。これにより、基板内には加熱による圧縮応力と冷却による引張応力との内部応力差が周期的に変化するようになる。その結果、応力差により生じるクラックも周期的に変化し、「周期クラック」が形成されるようになる。
(1)から(6)のパラメータはいずれも、基板の加熱の程度、冷却の程度を変化させて、基板の板厚方向における温度勾配に差を生じさせることができるパラメータであるので、いずれか一つあるいはいくつかを連動して周期的に変化させることにより、周期クラックを形成することができる。
このとき既述の理由により、基板内部には圧縮応力領域が発生し(図13参照)、周期クラックの最大深さは圧縮応力領域で制限されることになる(最大深さは板厚の1割〜4割程度)。その一方で、周期クラックが形成された分断予定ラインに沿って、基板の裏面側から曲げモーメントを加えると、曲げモーメントが周期クラックのいずれかのクラックのピーク部分に集中する(応力集中)ようになり、たとえクラックは浅く形成されていても、比較的小さな曲げモーメントを与えるだけでブレイクされてしまうようになる。
本発明によれば、周期クラックを形成するようにし、クラック形成後のブレイク処理において周期クラックのいずれかのクラックのピーク部分に応力集中させるようにしたので、小さな曲げモーメント(ブレイク圧)を与えるだけで、応力集中点を起点にして、容易にブレイク処理を行うことができる。
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
上記発明において、周期クラックの波長が10mm〜200mmであり、周期クラックの最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%であるようにしてもよい。
これによれば、周期クラックの波長が短すぎても(10mm未満)、長すぎても(200mm超)、ブレイクの際に、曲げモーメント(ブレイク圧)が集中しにくくなるので、適切な波長(10mm〜200mm)にすることにより、曲げモーメントが集中して加わりやすくなる。また、周期クラックの最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%となるようにすることにより、クラックのピーク部分が顕著に現れるようになり、曲げモーメントを集中させて加えることが容易になる。特に、脆性材料基板がガラス基板である場合に、この数値範囲の周期クラックを形成すれば、容易に分断することができる。
また、本発明の課題を解決するためになされた本発明の他の脆性材料基板の分断方法は、脆性材料基板に設定した分断予定ラインに沿って、レーザビームの照射により形成されるビームスポットを相対移動させて前記基板を溶融温度以上の温度で加熱して溝を形成する工程と、形成された溝に沿って基板裏面側から曲げモーメントを加えることにより分離するブレイク工程とからなる脆性材料基板の分断方法であって、溝を形成する工程において、加熱条件を分断予定ラインに沿って周期的に変化させることにより、分断予定ライン方向に沿って溝の深さが前記加熱条件の周期で変化する周期溝を形成し、前記周期溝を形成する工程の加熱条件を、以下の(1)から()の少なくともいずれかのパラメータを以下に示すようにして周期的に変化させるようにしている。
(1)レーザビームの走査速度を変化させ、浅い溝は走査速度を速くし深い溝は走査速度を遅くする
(2)レーザビームの照射強度を変化させ、浅い溝は照射強度を弱くし、深い溝は照射強度を強くする
(3)レーザビームのパルス間隔を変化させ、浅い溝はパルス間隔を長くし、深い溝はパルス間隔を短くする
本発明によれば、溝を形成する工程で、基板に対する加熱条件を分断予定ラインに沿って周期的に変化させることにより、深さの周期的に変化する「周期溝」が形成されるようになる。続いて、周期溝が形成された分断予定ラインに沿って、基板の裏面側から曲げモーメントを加えると、曲げモーメントが周期溝のいずれかの深さのピーク部分に集中する(応力集中)ようになり、たとえ溝は全体として浅く形成されていても、比較的小さな曲げモーメントを与えるだけでブレイクできるようになる。
すなわち溝が全体としては浅く形成されていているので、基板表面の蒸散による汚染は少なく、しかも比較的小さな曲げモーメントで確実にブレイクできる。
また、(1)から()のパラメータはいずれも、基板の溶融量(乃至溶融部分の深さ)に影響するので、いずれかあるいはいくつかを連動して周期的に変化させることにより、周期溝を形成することができる。
上記本発明において、溝を形成する工程において、周期溝とともに周期溝の底に周期クラックが形成される場合には、周期溝および周期クラックに曲げモーメントを加えるようにしてもよい。
これによれば、周期溝の底に周期クラックが形成される場合には、周期クラックのピークに集中して曲げモーメントを加えることになり、この場合も同様に、比較的小さな曲げモーメントを与えればブレイクされるようになる。溝は全体として浅く形成されているので、基板表面の汚染も少ない。
上記発明において、周期溝の深さの変化の波長が1mm〜10mmであり、周期溝の最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%であるようにしてもよい。
これによれば、周期溝の深さの変化の波長を適切な波長(1mm〜10mm)にすることにより、曲げモーメントが集中して加わりやすくなる。また、周期溝の最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%となるようにすることにより、溝のピーク部分が顕著に現れるようになり、曲げモーメントを集中させて加えることが容易になる。
特に、脆性材料基板がサファイア基板である場合に、この数値範囲の周期クラックを形成すれば、容易に分断することができる。
本発明の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるレーザスクライブ装置の構成図。 図1のレーザスクライブ装置の制御系の構成を示すブロック図。 図1のレーザスクライブ装置の光学系調整機構の内部構成を示す図。 レーザスクライブ加工を行ったときに基板に形成される周期クラックを示した模式図。 本発明の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるブレイク装置の概略構成図。 図5aのブレイク装置の左側ユニット(A)と右側ユニット(B)とが分離された状態を示す斜視図。 周期クラックが形成されたガラス基板のブレイク処理を説明するための模式図。 本発明の他の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるレーザアブレーション装置の構成図。 図7のレーザアブレーション装置の制御系の構成を示すブロック図。 図7のレーザアブレーション装置の光学系調整機構の内部構成を示す図。 レーザアブレーション加工を行ったときに基板に形成される周期溝を示した模式図。 レーザアブレーション加工を行ったときに基板に形成される周期溝および周期クラックを示した模式図。 レーザ照射により基板内に形成される溝やクラックの例を示す模式断面図。 ビームスポットを走査し、次いで冷却したときに、基板内に生じる熱歪みの分布を示す模式断面図。
符号の説明
12 回転テーブル
13 レーザ(COレーザ)
14 光学系調整機構
16 冷却ノズル
16a 流量調整弁
16b ノズル位置調整機構
23a,23b スライドテーブル
25a,25b 製品クランプユニット
35 レーザ(UVレーザ)
36 光学系調整機構
50 制御部
53、55 記憶部
CS 冷却スポット
HS ビームスポット
SL スクライブライン(クラック)
AL スクライブライン(溝)
W 周期クラックまたは周期溝の波形
Cr クラック
Gr 溝
LS レーザスクライブ装置
BM ブレイク装置
LA レーザアブレーション装置
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは一枚のガラス基板を分断する場合を例に説明するが、ガラス以外の脆性材料基板であっても、あるいはフラットパネルディスプレイ用基板のような複数の基板を貼り合せた貼り合せ基板であっても、本発明を適用することができる。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態として、レーザスクライブ加工による分断方法について説明する。この分断方法では、分断予定ラインに沿って周期クラックを形成するレーザスクライブ装置と、形成した周期クラックに沿って曲げモーメント(ブレイク圧)を加えるブレイク装置とが用いられる。
まず、レーザスクライブ装置について説明する。図1は本発明の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるレーザスクライブ装置の構成図であり、図2はその制御系のブロック図である。
図1に基づいて、レーザスクライブ装置の全体構成について説明する。レーザスクライブ装置LSは、水平な架台1上に平行に配置された一対のガイドレール3,4に沿って、紙面前後方向(以下Y方向という)に往復移動するスライドテーブル2が設けられている。両ガイドレール3,4の間に、スクリューネジ5が前後方向に沿って配置され、このスクリューネジ5に対し、スライドテーブル2に固定されたステー6が螺合されており、スクリューネジ5をモータ(図示外)によって回転することにより、スライドテーブル2がガイドレール3,4に沿ってY方向に移動し、モータの回転の向きによって往復移動するように構成されている。
スライドテーブル2上に、水平な台座7がガイドレール8に沿って、図1の左右方向(以下X方向という)に往復移動するように配置されている。台座7に固定されたステー10に、モータ9によって回転するスクリューネジ10aが貫通螺合されており、スクリューネジ10aが回転することにより、台座7がガイドレール8に沿って、X方向に移動し、モータの回転の向きによって往復移動する。
台座7上には、回転機構11によって回転する回転テーブル12が設けられており、この回転テーブル12の載置面上に、切断対象の脆性材料基板であるガラス基板Gが水平な状態で載置され、必要に応じて固定される。回転機構11は、回転テーブル12を、載置面に垂直な軸を回転軸として、回転させるようになっており、基準位置に対して任意の回転角度になるように回転できるように形成されている。ガラス基板Gは、例えば吸引チャックによって回転テーブル12に固定される。
回転テーブル12の上方には、円形断面のレーザビームを、予め設定した出力(照射強度)およびパルス間隔で発振するレーザ13と、上記レーザビームの断面形状を光学的に変形してガラス基板Gの上に楕円形状のビームスポットHS(図2)を形成する光学系調整機構14とが、取付フレーム15に固定されている。
このレーザ13には、基板が溶融されないように基板の溶融温度未満の温度で加熱するために、比較的長波長のレーザ、例えばCOレーザが使用される。
図3は、光学系調整機構14の内部構成を示す図である。レーザビームの光路Lに沿って、上側に平凸レンズ14a、下側にシリンドリカルレンズ14bが取り付けられ、それぞれモータ(不図示)により上下方向(Z方向)に位置調整できるようにレンズ位置調整機構14c、14dにより支持するようにしてある。平凸レンズ14aの位置を調整することにより主として楕円形状のビームスポットを形成する際の短軸長さの調整(幅方向の調整)が行われ、シリンドリカルレンズ14bの位置を調整することにより長軸長さの調整が行われる。
取付フレーム15には、光学系調整機構14の近傍に、冷却ノズル16が取り付けられている。この冷却ノズル16からは、冷却水、Heガス、炭酸ガス等の冷媒がガラス基板
Gに噴射されるようにしてあり、ガラス基板Gの表面には冷却スポットCS(図2)が形成される。冷媒は、冷媒供給源(不図示)から流量調整弁16aを介してノズル16に送られる。この流量調整弁16aの開閉により、噴射開始および停止の制御が行われるとともに、開度の調整により冷媒の噴射量が制御される。
ノズル16には、モータ(不図示)駆動によりノズル16のX方向の位置を調整するノズル位置調整機構16bが設けられている。ノズル位置調整機構16bで冷却スポットCSとビームスポットHSとのスポット間距離を調整することにより、加熱から冷却までの時間が調整される。
また、取付フレーム15には、カッターホイール18が上下調節機構17を介して取り付けられている。このカッターホイール18は、焼結ダイヤモンドまたは超硬合金を材料とし、外周面に頂点を刃先とするV字形の稜線部を備えたものであって、ガラス基板Gへの圧接力が上下調節機構17によって調整できるようになっている。カッターホイール18は、ガラス基板Gの端縁(あるいは端縁以外でもよい)に初期亀裂TRを形成するときに、一時的に下降させるようにして用いる。
さらに、取付フレーム15にはガラス基板Gに刻印されたアライメントマークを映し出すカメラ20が取り付けられている。ガラス基板G上のアライメントマークの位置は予め制御系に記憶されており、アライメントマークによりガラス基板の位置決め(ガラス基板の所定位置にレーザ照射及び冷媒噴射をすること)ができるようにしてある。
続いて、制御系について説明する。図2に示すようにレーザスクライブ装置LSの制御系は、CPUからなり装置全体の制御を行う制御部50、キーボードおよびマウスからなり各種の入力操作が行われる入力部51、液晶パネルからなり制御情報やパラメータの入力画面が表示される表示部52、制御プログラムや制御に用いるパラメータが記憶される記憶部53、および、制御部50による制御下で駆動されるテーブル駆動部61、レーザ駆動部62、光学系駆動部63、冷媒駆動部64、ノズル駆動部65、カメラ駆動部66、カッター駆動部67の各駆動部により構成される。
記憶部53には、予め、加熱条件や冷却条件として利用する制御パラメータとして、冷媒噴射量、基板に対するビームスポット及び冷却スポットの相対的な走査速度、ビームスポットと冷却スポットとのスポット間距離、レーザ照射強度(レーザ出力)、レーザパルス間隔、ビームスポット形状が記憶されるようにしてある。これらの制御パラメータは、入力部51、および、表示部52に表示された入力画面により適宜設定できるようにしてある。
そして、制御部50は、記憶部53に記憶された上記制御パラメータに基づいて、周期クラックを形成するための制御信号を生成する。すなわち、加熱条件あるいは冷却条件となる制御パラメータの少なくとも一つを周期的に変化させる制御信号を発生することにより、分断予定ラインに沿ってレーザビームを走査するときに、基板Gに対して、周期的に変化する加熱又は冷却を行うための制御を行う。具体的な制御については、後述する。生成された制御信号は、対応する駆動部にそれぞれ送信され制御動作が実行される。
各駆動部について説明する。テーブル駆動部61は、スライドテーブル2及び台座7、回転テーブル12の位置決めを行うためのモータ(モータ9等)を駆動する。周期クラックを形成する際には、記憶部53に設定された走査速度に基づいて、台座7のX方向への走査が行われる。
レーザ駆動部62は、レーザ13からレーザビームを照射する。周期クラックを形成する際には、記憶部53に設定されたレーザ照射強度、レーザパルス間隔に基づいてレーザビームを照射する。
光学系駆動部63は、光学系調整機構14のレンズ位置調整機構14c、14dを駆動する。周期クラックを形成する際には、記憶部53に設定されたビームスポットの形状(長軸長さ、短軸長さ)に基づいて変形したビームスポットを照射する。
冷媒駆動部64は、冷媒噴射量を制御する流量調整弁16aを駆動する。周期クラックを形成する際には、記憶部53に設定された冷媒噴射量に基づいて冷媒を噴射する。
ノズル駆動部65は、冷却ノズル16の位置を調整するためのノズル位置調整機構16bを駆動する。周期クラックを形成する際には、記憶部53に設定されたスポット間距離に基づいてノズル16の位置を調整する。なお、スポット間距離と走査速度とに基づいてビームスポットHSが通過してから冷却スポットCSが通過するまでの時間(加熱/冷却間時間という)が決定されることになる。加熱/冷却間時間が長いほどクラックの深さが深くなる。
上記各駆動部以外に、カメラ駆動部66は、カメラ20を駆動し、アライメントマークを映し出す。映し出されたアライメントマークにより、基板Gの位置決めが行われる。
また、カッター駆動部67は、カッターホイール18を駆動する。これにより基板Gに初期亀裂を形成する。
次に、周期クラックを形成するときの制御信号について具体的に説明する。周期クラックを形成するためには、記憶部53に記憶させた制御パラメータの少なくとも一つを周期的に変化させた制御信号を生成する。以下、制御パラメータごとに説明する。
(1)冷媒噴射量
冷媒噴射量を周期変化させ、他の制御パラメータを一定に維持する制御信号の場合、冷媒噴射量が少ない部分ではクラックの深さが浅くなり、冷媒噴射量が多い部分ではクラックの深さが深くなる。すなわち冷媒が多く噴射され強く冷却された部分で基板厚み方向における温度勾配(温度差)が大きくなり、この部分の応力差が大きくなってクラックが深く進展する。
(2)走査速度
基板上でのビームスポット(及び冷却スポット)の走査速度を周期変化させ、他の制御パラメータを一定に維持する制御信号の場合、走査速度が速い部分ではクラックの深さが浅くなり、遅い部分ではクラックの深さが深くなる。すなわち走査速度が遅い部分では入熱量が増加して強く加熱され、この部分の応力差が大きくなってクラックが深く進展する。
(3)ビームスポットと冷却スポットとの間の距離(スポット間距離)
スポット間距離を周期変化させ、他の制御パラメータを一定(ビームスポットの走査速度も一定)に維持する制御信号の場合、スポット間距離を短くして加熱/冷却間時間(ビームスポットHSが通過してから冷却スポットCSが通過するまでの時間)を短くした部分ではクラックの深さが浅くなり、スポット間距離を長くして加熱冷却間時間を長くした部分ではクラックの深さが深くなる。すなわちスポット間距離を長くした部分におけるクラック形成時の圧縮応力領域(すなわちクラック進展が制限される領域)が深くなり、クラックが深く進展する。
(4)レーザ照射強度(出力)
レーザ照射強度(出力)を周期変化させ、他の制御パラメータを一定に維持する制御信号の場合、レーザビームの照射強度が弱い部分ではクラックの深さが浅くなり、照射強度が強い部分ではクラックの深さが深くなる。すなわち照射強度が強い部分では入熱量が増加して強く加熱され、この部分の応力差が大きくなってクラックが深く進展する。
(5)レーザパルス間隔
レーザのパルス間隔を周期変化させ、他の制御パラメータを一定に維持する場合、レーザのパルス間隔が長い部分ではクラックの深さが浅くなり、パルス間隔が短い部分ではクラックの深さが深くなる。すなわち、パルス間隔が短い部分では入熱量が増加して強く加熱され、この部分の応力差が大きくなってクラックが深く進展する。
(6)ビームスポット形状
レーザスクライブ加工では、楕円形状等のビームスポットの長軸方向を分断予定ライン(スクライブ予定ライン)に合わせるようにしてビームスポットの走査が行われる。このときの長軸長さを周期変化させ、他の制御パラメータを一定にする場合、長軸長さが短い部分では単位面積当りの熱量が多くなり、クラックの深さが深くなり、長軸長さが長い部分では単位面積当たりの熱量が少なくなり、クラックの深さが浅くなる傾向がある。
また、上述した(1)から(6)の制御パラメータについて、複数の制御パラメータを同時に周期変化させるようにしてもよい。例えば、冷媒噴射量とレーザ照射強度とを同時に変化させて基板に生じる温度差を大きくしてもよい。
次に、スクライブ動作について説明する。上記レーザスクライブ装置LSでは、従来のスクライブ動作に比べ、制御パラメータの一部が周期的に変化する制御信号によって駆動部を動作させる点が異なるが、それ以外は同じである。
すなわち、分断予定ラインの端に、カッターホイール18により初期亀裂TRを形成し、ついでビームスポットHSおよび冷却スポットCSを分断予定ラインに沿って走査させる。このときに、制御パラメータの一部が周期的に変化する制御信号により各駆動部が制御されるようにする。これにより、基板Gに周期クラックが形成されるようになる。
図4は、制御パラメータを周期的に変化させながらレーザスクライブ加工を行ったときに基板Gに形成される周期クラックを示した模式図であり、図4(a)は基板Gの斜視図、図4(b)はA−A’断面図、図4(c)はB−B’断面図、図4(d)はC−C’断面図である。
初期亀裂TRから直線状にビームスポットHSおよび冷却スポットCSが走査されることにより、図4(a)に示すようにクラックCrが形成され、基板表面には直線状のスクライブラインSLが形成される。
このとき、図4(a)(b)に示すように、板厚方向に進展するクラックCrの先端部分は、制御パラメータが変動する周期と同周期の波形Wとなり、周期クラックが形成される。
形成される周期クラックの波長は、制御パラメータの変動周期(すなわち波長)に対応して変化する。周期クラックの波長を適切な波長にすれば、後述するブレイク装置を用いて基板Gに対し曲げモーメントを加えたときに、曲げモーメント(ブレイク圧)が周期クラックのピーク(山部分)に集中して加えられることになるので、加えられる曲げモーメントが小さくても容易に分断できるようになる。
曲げモーメント(ブレイク圧)が周期クラックのピーク(山部分)に集中しやすい周期クラックの波長は、ガラスのような基板では、経験的に10mm〜200mmであることが判明している。そのため、この波長範囲になるように、走査速度との関係で制御パラメータの周期を調整する。
また、周期クラックの最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%となるようにすれば、周期クラックの山と谷とのピーク部分が顕著に現れるようになり、ブレイク装置において、曲げモーメントを集中して加えることが容易になる。
基板Gの板厚にもよるが、例えば基板の板厚が0.5mm〜1mm程度であれば、5μm〜50μmの範囲にすればよい。
なお、形成される周期クラックの先端(最深部)は、図4(c)(d)に示すように、クラック形成時に基板内に生じている圧縮応力領域の影響で進展が止まる結果、通常は板厚の10%〜40%の深さとなり、これ以上は進展しない。
次に、ブレイク装置について説明する。図5(a)は本発明の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるブレイク装置の概略構成図である。図1と同じ構成については同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
ここで説明の都合上、空間座標(x,y,z)を用い、ブレイク装置10の設置床面と平行なテーブル基準面を(x,y,z)とし、設置床面と鉛直な方向をz軸とし、基板Gの分断方向(ブレイク方向)をy軸とする。ブレイク装置BMは−x軸方向にスライド可能なスライドテーブル23aと、y軸と平行な回転軸を中心に傾動可能であり、且つ、+x軸方向にスライド調整可能な傾動テーブル23bを有している。
図5bはブレイク装置BMの左側ユニットBM(A)と右側ユニットBM(B)とが分離された状態を示す斜視図である。ブレイク装置BM全体が図5aの架台1に取り付けられるものとすると、左側ユニットBM(A)は図5aに示したような基板Gにおいて、スクライブラインSLより左側(−x軸方向)に設置される機構部を指し、右側ユニットBM(B)は基板GのスクライブラインSLより右側(+x軸方向)に設置される機構部を指す。
また切断すべき基板Gを載置して保持するために、第1の製品テーブル24aがスライドテーブル23aに固定され、第2の製品テーブル24bが傾動テーブル23bに固定されている。また第1の製品テーブル24aの上部に第1の製品クランプユニット25aが取り付けられ、第2の製品テーブル24bの上部に第2の製品クランプユニット25bが取り付けられる。基板GのスクライブラインSLをy軸と平行にし、スクライブラインSLを中心に基板の−x軸側(左側)の領域を基板左部GLと呼び、+x軸側(右側)の領域を基板右部GRと呼ぶ。第1の製品クランプユニット25aは基板左部GLの右端部を強固に押圧して基板を固定し、第2の製品クランプユニット25bは基板右部GRの左端部を強固に押圧して基板を固定するものである。
左側ユニットBM(A)にはスライド機構26が設けられる。スライド機構26はスライドテーブル23aを−x軸方向に付勢するもので、付勢力を与える弾性部材、例えばエアシリンダ、バネ等が設けられる。これに加えてスライド機構26にはスライド範囲を規制するストッパや、スライド速度を規制するダンパ等が設けられる(図示せず)。
右側ユニットBM(B)は支柱である一対の水平保持ブロック上部27aと一対の水平保持ブロック27bとにより保持される。水平保持ブロック下部27bは架台1に固定され、水平保持ブロック上部27aは傾動テーブル23bを回動自在に保持する。水平保持ブロック上部27aと水平保持ブロック下部27bとの間に図示しないスライドユニットが設けられ、水平保持ブロック上部27aがx軸方向にスライド調整できるようになっている。そして+y軸側、及び−y軸側の水平保持ブロック上部27aには傾動軸28が設けられ、傾動テーブル23b、第2の製品テーブル24b、及び第2の製品クランプユニット25bが傾動軸28を回転軸として傾斜可能なように保持されている。傾動軸28は例えば水平ブロック上部27aに軸受ハウジングを設け、このハウジングに圧入されたボールベアリングで保持される。ここで水平保持ブロック上部27a及び傾動軸28を傾動機構という。
第1の製品クランプユニット25aは、基板左部GLを固定し、基板のスクライブラインSLに剪断応力及び曲げ応力を集中させるものである。第1の製品クランプユニット25aには、基板GのスクライブラインSL付近を押圧する第1のクランプバー29aが設けられている。この第1のクランプバー29aの先端は第1の製品テーブル24aの右側
エッジに位置し、z軸方向に微動可能である。同様に第2の製品クランプユニット25bは、基板右部GRを固定し、基板のスクライブラインSLに剪断応力及び曲げ応力を集中させるものである。第2の製品クランプユニット25bには、基板GのスクライブラインSL付近を押圧する第2のクランプバー29bが設けられている。第2のクランプバー29bの先端は第2の製品テーブル24bの左側エッジに位置し、z軸方向に微動可能である。
基板Gの保持方法として、真空吸着、その他の手段により製品テーブルに固定することができる。基板がガラスであり、その表面に樹脂が成膜されている場合は、静電吸着によっても固定することができる。
続いて傾動テーブル23bの傾動機構について説明する。図5a,bに示すように、水平保持ブロック上部27aの傾動軸28は、これを回転軸として水平保持ブロック下部27bを除く右側ユニットBM(B)全体を図6a中のCW方向又はCCW方向に回動可能にする。図6aは傾動軸28の取付位置を示すブレイク装置の要部断面図である。傾動機構を介して傾動テーブル23bを回動させるために、回動制御部30が設けられる。回動制御部30はモータの回転力又は流体シリンダを用いて傾動テーブル23bを所定角だけ回動するものであってもよく、アームやリンクを介して手動で傾動テーブル23bを回動するものであってもよい。また傾動テーブル23bは回動を開始するのと同時に+x軸方向に移動するようになっている。
ブレイク装置の初期設定で、第1の製品テーブル24aと第2の製品テーブル24bとが、1枚の基板Gに対して同一の載置面を持つよう位置決めされているとする。傾動軸28は、テーブルに載置された基板Gの上面及び下面から見て、中央の位置にくるよう高さが調整される。
基板Gの厚みを2dとする。第1の製品テーブル24aの載置面は(x,y,−d)となり、傾動軸28の位置は(0,y,−d〜+d)となる。傾動軸28の位置は基板Gの厚みや材料に応じて調整可能である。また第1の製品テーブル24aの右エッジと、第2の製品テーブル24bの左エッジとの間隔を2gとすると、第1のクランプバー29aの基板Gに対する押圧位置と、第2のクランプバー29bの基板Gに対する押圧位置との間隔は2gと同程度が望ましい。なお、傾動軸28は基板GのスクライブラインSLと平行で、基板の厚み範囲内に位置することが望ましい。
図6(b)はスクライブラインSLを中心とするブレイク装置の部分拡大断面図である。ここでは基板Gの分断後の位置を実線を用いて示している。傾動軸28の位置(x,y,z)を(0,y,0)とする。分割後の基板右部GRにおいて、スクライブラインSLの終点をPRとする。また基板右部GRが第2の製品テーブル24bの左エッジと接するラインの終点をPR’とする。なお、基板Gが分割切断される前では、PRはPL(分割後の基板左部GLにおけるスクライブラインSLの終点)と一致する。
図6(b)に示すように第2の製品テーブル24bをCCW方向に角度θだけ傾斜させると、点PR’の位置は(0,y,0)から(x,y,z)に移動する。ここで各座標値は以下のようになる。
=0
=−d
=dsinθ
=d(1−cosθ)−d
第2のクランプバー29bの押圧力により、基板右部GRの点PR’(x,y,z)の部分が第2の製品テーブル24bに対する不動点になるとすると、基板右部GRの点PRに位置するブレイク部分に対して前記の不動点PR’から剪断力と引張力(曲げモーメント)が加わり、基板Gが分断される。基板Gの切断時にはスライド機構26により基板左部GLに対して−x軸方向の付勢力が作用し、また傾動テーブル23bが回動を開始すると同時に+x軸方向に移動すると共に、基板左部GLの切断面である右エッジ部が−x軸方向に後退し、基板右部GRの左エッジ部と接触しなくなる。このためガラス基板の分断面に傷が付かず、滑らかな分断面が得られる。
この場合の水平移動量x−xを計算すると、θ=3°の場合、0.039mmとなる。
スクライブラインSLで左右に分割された基板GR,GLは、第1のクランプバー29a、第2のクランプバー29bを基板Gから解除することにより、基板GR,GLを製品テーブルから外すことができる。x軸方向に帯状となる1枚の基板を多数個に分割する場合、基板Gの所定箇所にスクライブラインSLをそれぞれ設ける。そして基板Gをx方向に所定ピッチだけ搬送し、製品クランプユニット25a,25bをセットし、その都度傾動テーブル23bを傾斜させる。このような操作を繰り返すことにより、1枚のマザー基板から複数枚の基板を製造することができる。
第2の製品テーブルが傾斜すると、基板の断面がスクライブライン形成位置を中心にV字を形成するように曲げモーメント(曲げ応力)が加えられることになる。そして、V字を形成するように曲げモーメントが加えられる場合、クラックは基板下面(製品テーブルに接する面)から押し広げられるようになるので、曲げモーメントは、より下面側に近いクラック先端部分(周期クラックの山ピーク)に集中することになる。このとき、周期クラックの谷ピークでは、紙面に対して前後の部分でクラック先端が浅くしか進展していないので、分断が開始するのに大きな曲げモーメントを必要とする。これに対し、周期クラックの山ピークでは、紙面に対して前後の部分でクラック先端が更に深く進展しているので、分断が開始するのに大きな曲げモーメントを必要としない。そのため、周期クラックの山ピークが起点となって分断されやすくなる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態として、レーザアブレーション加工による分断方法について説明する。ここでは1枚のサファイア基板を分断する場合を例に説明する。この分断方法では、分断予定ラインに沿って周期溝を形成するレーザアブレーション装置と、形成した周期溝に沿って曲げモーメント(ブレイク圧)を加えるブレイク装置とが用いられる。このうち、ブレイク装置は第一実施形態で説明したブレイク装置と同じであるので説明を省略する。
レーザアブレーション装置について説明する。図7は本発明の一実施形態である脆性基板の分断方法において用いられるレーザアブレーション装置の構成図であり、図8はその制御系のブロック図である。なお、図1、図2のレーザスクライブ装置LSと同じ構成部分については、同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。このレーザアブレーション装置LAでは、レーザスクライブ装置に比べて、基板を溶融させやすい短波長のレーザを用いる。また、加熱後の強制的な冷却は必ずしも必要でないので、冷却機構は用いないようにしている。
レーザアブレーション装置LAの全体構成について説明する。サファイア基板Gの位置をXY方向および回転方向に移動させるためのスライドテーブル2、台座7、回転テーブル12についてはレーザスクライブ装置LSと同じである。
回転テーブル12の上方には、レーザビーム(元ビーム)を、予め設定した出力およびパルス間隔で発振するレーザ35と、元ビームを集光してガラス基板Gの表面上あるいは表面近傍にビームスポットHS(図8)を形成する光学系調整機構36とが、取付フレーム15に固定されている。
レーザ35には、基板材料が溶融されるように溶融温度以上で加熱するために、比較的短波長のレーザが使用され、例えばUVレーザが使用される。
図9は、光学系調整機構36の内部構成を示す図である。レーザビームの光路Lに沿って凸レンズ36aが取り付けられ、モータ(不図示)により駆動されるレンズ位置調整機構36bにより位置調整できるようにしてある。この凸レンズ36aの焦点の位置を変えることで、ビームスポットHSの形状が定められるとともに基板を溶融するときの深さ位置が調整される。
続いて、制御系について説明する。図8に示すようにレーザアブレーション装置LAの制御系は、制御部50、入力部51、表示部52、記憶部55、および、制御部50による制御下で駆動されるテーブル駆動部61、レーザ駆動部62、カメラ駆動部66、光学系駆動部68の各駆動部により構成される。
記憶部55には、予め、制御パラメータとして、基板の走査速度、レーザビームの焦点深さ、レーザ照射強度(レーザ出力)、レーザパルス間隔が記憶されるようにしてある。これらの制御パラメータは、入力部51、および、表示部52に表示された入力画面により適宜設定できるようにしてある。
そして、制御部50は、記憶部55に記憶された上記制御パラメータに基づいて、周期溝を形成するための制御信号を生成する。すなわち、制御パラメータの少なくとも一つを周期的に変化させる制御信号を発生することにより、分断予定ラインに沿って周期的に変化する溶融状態を基板Gに発生する制御を行う。具体的な制御については、後述する。生成された制御信号は、対応する駆動部にそれぞれ送信され制御動作が実行される。
各駆動部について説明する。テーブル駆動部61は、スライドテーブル2及び台座7、回転テーブル12の位置決めを行うためのモータ(モータ9等)を駆動する。周期溝を形成する際には、記憶部55に設定された走査速度に基づいて、台座7のX方向への走査が行われる。
レーザ駆動部62は、レーザ35からレーザビームを照射する。周期溝を形成する際には、記憶部55に設定されたレーザ照射強度(出力)、レーザパルス間隔に基づいてレーザビームを照射する。
光学系駆動部63は、光学系調整機構36のレンズ位置調整機構36bを駆動する。周期溝を形成する際には、記憶部55に設定された焦点深さに基づいてレーザビームの焦点位置を調整する。
続いて、周期溝を形成するときの制御信号について具体的に説明する。周期溝を形成するためには、上述した制御パラメータの少なくとも一つが周期的に変化する制御信号を生成する。以下、制御パラメータごとに説明する。
(2)走査速度
走査速度を周期変化させ、他の条件を一定に維持する制御信号の場合、走査速度が速い部分では溝の深さが浅くなり、遅い部分では溝の深さが深くなる。すなわち走査速度が遅い部分での入熱量が増加して強く溶融され、この部分の溝が深く形成される。
(3)焦点深さ
レーザビームの焦点深さを周期変化させ、他の条件を一定(走査速度も一定)に維持する制御信号の場合、焦点深さを基板表面または浅い位置にした部分では溝深さが浅くなり、焦点深さを深い位置にした部分では溝深さが深くなる。すなわち焦点深さを深くした部分では深くまで強く溶融される結果、溝が深く進展する。
(4)レーザ照射強度
レーザ照射強度を周期変化させ、他の条件を一定に維持する制御信号の場合、レーザビームの照射強度が弱い部分では溝深さが浅くなり、照射強度が強い部分では溝深さが深くなる。すなわち照射強度が強い部分は入熱量が増加して強く溶融され、この部分の溝が深く形成される。
(5)レーザパルス間隔
レーザのパルス間隔を周期変化させ、他の条件を一定に維持する場合、レーザのパルス間隔が長い部分では溝深さが浅くなり、パルス間隔が短い部分では溝深さが深くなる。すなわち、パルス間隔が短い部分は入熱量が増加して強く溶融され、この部分の溝が深く形成される。
また、上述した(1)から(5)の制御パラメータについて、複数の制御パラメータを同時に周期変化させるようにしてもよい。例えば、走査速度と焦点深さとを同時に変化させたりしてもよい。
次に、アブレーション動作について説明する。上記レーザアブレーション装置LAでは、従来のアブレーション動作に比べ、制御パラメータの一部が周期的に変化する制御信号によって駆動部を動作させる点が異なるが、それ以外は同じである。
すなわち、分断予定ラインに沿って、ビームスポットHSを走査させ、基板Gを溶融させる。このときに、制御パラメータの一部が周期的に変化する制御信号により各駆動部が制御されるようにする。これにより、基板Gに周期溝が形成されるようになる。
図10は、制御パラメータを周期的に変化させながらレーザアブレーション加工を行ったときに基板Gに形成される周期溝を示した模式図であり、図10(a)は基板Gの斜視図、図10(b)はA−A’断面図、図10(c)はB−B’断面図、図10(d)はC−C’断面図である。
直線状にビームスポットHSが走査されることにより、図10(a)に示すように溝Grが形成され、基板表面には直線状のスクライブラインALが形成される。
このとき、図10(a)(b)に示すように、板厚方向に進展する溝Grの先端部分は、制御パラメータが変動する周期と同周期の波形Wとなり、周期溝が形成される。
形成される周期溝の波長は、制御パラメータの変動周期(すなわち波長)に対応して変化する。周期溝の波長を適切な波長にすれば、ブレイク装置BMを用いて基板Gに対し曲げモーメントを加えたときに、曲げモーメント(ブレイク圧)が周期溝のピーク(山部分)に集中して加えることができ、小さな曲げモーメントを加えるだけで容易かつ安定して分断できるようになる。
曲げモーメント(ブレイク圧)を集中して加えることができる周期溝の波長は、サファイアのような基板では経験的に1mm〜10mmであることが判明している。そのため、この波長範囲になるように、走査速度との関係で制御パラメータの周期を調整する。
また、周期溝の最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%となるようにすれば、周期溝の山と谷とのピーク部分が顕著に現れるようになり、ブレイク装置において、曲げモーメントを集中して加えることが容易になる。
なお、形成される周期溝は、レーザアブレーションによる加工時間を長くすれば深くすることもできるが、できるだけ加工時間を短くして、浅い周期溝の状態でブレイク動作を行うようにする。周期溝の深さが浅い場合でも、周期溝のピーク部分に集中的に曲げモーメントが加わることで、比較的小さな曲げモーメントで分断することができ、しかもアブレーション加工で生じる基板表面の汚染を低減することができる。
また、上述したレーザアブレーション加工では溝Grが形成される場合を説明したが、基板材料の種類や加熱条件によっては、図11に示すように、溝Grが形成されるだけでなく、溝Grの底にクラックCrが形成され、波形Wが周期溝と周期クラックとにより形成される場合がある。
この場合も、図10で説明した周期溝が形成された場合と同様であり、できるだけ浅い周期溝および周期クラックの状態でブレイク動作を行うようにすれば、比較的小さな曲げモーメントで分断することができ、しかもアブレーション加工で生じる基板表面の汚染を低減することができる。
次に、本発明の実施形態についての具体例を説明する。
(実施例1) 冷媒噴射量の変動による周期クラックの形成
初期亀裂TRを形成した無アルカリガラス基板(長さ300mm×幅300mm×厚さ0.7mm)に、COレーザ(出力120W)を走査してスクライブラインを形成し、そのとき冷媒噴射量を変動させて周期クラックを形成した。ビームスポット及び冷却スポットの走査速度を150mm/秒、冷媒噴射量の変動周期(切替間隔)を1秒とし、冷却水量の設定を0.8cc/分、1cc/分、0.8cc/分の順で切り替えた。結果を表1に示す。
他の条件を一定に設定すると、単位時間当たりの冷却水量が多い位置(端部から150mm)でクラックが深く形成された。浸透深さの変動幅は13μm〜15μmであり、基板板厚(0.7mm)の1.8%〜2.1%であった。
Figure 0005216017
(実施例2) 走査速度の変動による周期クラックの形成
初期亀裂TRを形成した無アルカリガラス基板(長さ300mm×幅300mm×厚さ0.7mm)に、COレーザ(出力150W)を走査してスクライブラインを形成し、そのとき走査速度を変動させて周期クラックを形成した。
レーザビーム及び冷却スポットの走査速度を、220mm/秒と300mm/秒との2つの速度で変動させた。結果を表2に示す。
他の条件を一定にして走査速度を変えると、走査速度が遅い位置で深いクラックが形成された。
Figure 0005216017
(実施例3) レーザ照射強度(出力)の変動による周期クラックの形成
初期亀裂TRを形成した無アルカリガラス基板(長さ300mm×幅300mm×厚さ0.7mm)に、COレーザを使用してスクライブラインを形成し、そのとき照射強度を変動させて周期クラックを形成した。
レーザビーム及び冷却スポットの走査速度を220mm/秒で一定にし、レーザ照射強度(出力)は、150Wと110Wとの2つの出力で変動させた。結果を表3に示す。
他の条件を一定にすると、照射強度(出力)が大きい位置で深いクラックが形成された。
Figure 0005216017
(実施例4) ビーム形状の変動による周期クラックの形成
初期亀裂TRを形成した無アルカリガラス基板(長さ300mm×幅300mm×厚さ0.7mm)に、COレーザ(出力150W)を使用してスクライブラインを形成し、そのとき楕円形状のビームスポットの長軸および短軸の長さを変動させて周期クラックを形成した。
レーザビーム及び冷却スポットの走査速度を220mm/秒で一定にし、長軸と短軸は(40mm×1.5mm)と、(27mm×1.9mm)の2つの形状で変動させた。結果を表4に示す。
他の条件を一定にすると、ビームスポットの長軸が長い位置で浅いクラックが形成された。
Figure 0005216017
本発明は、レーザビームを照射してガラス基板等の脆性材料基板の分断を行う方法に利用することができる。

Claims (7)

  1. 脆性材料基板に設定した分断予定ラインに沿って、レーザビームの照射により形成されるビームスポットを相対移動させて、前記基板を軟化点以下の温度で基板表面側から加熱し、次いでノズルからの冷媒噴射により形成される冷却スポットを、前記ビームスポットを追随するように相対移動させて基板を冷却することによりクラックを形成する工程と、形成されたクラックに沿って基板裏面側から曲げモーメントを加えることにより分離するブレイク工程とからなる脆性材料基板の分断方法であって、
    クラックを形成する工程において、加熱条件又は/及び冷却条件を分断予定ラインに沿って周期的に変化させることにより、クラックの最大深さが基板内部の圧縮応力領域により制限される深さ以内に留まり、かつ、分断予定ライン方向に沿ってクラックの深さが前記加熱条件又は/及び冷却条件の周期で変化する周期クラックを形成し、
    前記周期クラックを形成する工程の加熱条件又は冷却条件を、以下の(1)から(6)の少なくともいずれかのパラメータを以下に示すようにして周期的に変化させることを特徴とする脆性材料基板の分断方法。
    (1)冷却スポットを形成する冷媒噴射量を変化させ、浅いクラックは噴射量を多くし、深いクラックは噴射量を少なくする
    (2)ビームスポットの走査速度を変化させ、浅いクラックは走査速度を速くし、深いクラックは走査速度を遅くする
    (3)ビームスポットが通過してから冷却スポットが到達するまでの時間を変化させ、浅いクラックは時間を短くし、深いクラックは時間を長くする
    (4)ビームスポットを形成するレーザビームの照射強度を変化させ、浅いクラックは照射強度を弱くし、深いクラックは照射強度を強くする
    (5)ビームスポットを形成するレーザビームのパルス間隔を変化させ、浅いクラックはパルス間隔を長くし、深いクラックはパルス間隔を短くする
    (6)ビームスポットの形状を、長軸を有する形状にするとともにその長軸方向をスクライブ予定ラインに沿った方向にして当該長軸方向の形状を変化させ、浅いクラックは長軸長さを長くし、深いクラックは長軸長さを短くする
  2. 前記周期クラックの波長が10mm〜200mmであり、周期クラックの最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%である請求項1に記載の脆性材料基板の分断方法。
  3. 脆性材料基板がガラス基板である請求項1に記載の脆性材料基板の分断方法。
  4. 脆性材料基板に設定した分断予定ラインに沿って、レーザビームの照射により形成されるビームスポットを相対移動させて前記基板を溶融温度以上の温度で加熱して溝を形成する工程と、形成された溝に沿って基板裏面側から曲げモーメントを加えることにより分離するブレイク工程とからなる脆性材料基板の分断方法であって、
    溝を形成する工程において、加熱条件を分断予定ラインに沿って周期的に変化させることにより、分断予定ライン方向に沿って溝の深さが前記加熱条件の周期で変化する周期溝を形成し、
    前記周期溝を形成する工程の加熱条件を、以下の(1)から()の少なくともいずれかのパラメータを以下に示すようにして周期的に変化させることを特徴とする脆性材料基板の分断方法。
    (1)レーザビームの走査速度を変化させ、浅い溝は走査速度を速くし深い溝は走査速度を遅くする
    (2)レーザビームの照射強度を変化させ、浅い溝は照射強度を弱くし、深い溝は照射強度を強くする
    (3)レーザビームのパルス間隔を変化させ、浅い溝はパルス間隔を長くし、深い溝はパルス間隔を短くする
  5. 前記周期溝を形成する工程において、周期溝とともに周期溝の底に周期クラックが形成され、周期溝及び周期クラックに曲げモーメントを加える請求項に記載の脆性材料基板の分断方法。
  6. 前記周期溝の波長が1mm〜10mmであり、周期溝の最大深さと最小深さとの深さの差が基板の板厚の1%〜5%である請求項に記載の脆性材料基板の分断方法。
  7. 脆性材料基板がサファイア基板である請求項に記載の脆性材料基板の分断方法。
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