JP2004223796A - 脆性材料の割断加工方法 - Google Patents
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- C03B33/093—Severing cooled glass by thermal shock using at least one focussed radiation beam, e.g. laser beam using two or more focussed radiation beams
Abstract
【課題】レーザビームの理想的な出力分布を容易に実現でき、材料の割断を容易かつ確実に行える割断加工方法を提供する。
【解決手段】材料10の割断予定線Kに沿って複数のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 を同時に照射して、材料10上に同径の複数のレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 を形成する。このとき、各レーザビームのエネルギー分布について、レーザビーム進行方向の最前端のレーザビームL1 の出力を最も高くし、レーザビーム進行方向の逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームL2 ,L3 ,L4 の出力を段階的に小さくする。次に、各レーザビームの照射により材料内部に生じる引張側熱応力および圧縮側熱応力の境界となる変曲点Aに対応した部位Cを冷却する。これにより、初期亀裂10aが形成された加工始点から加工終点に向かって、亀裂が割断予定線Kに沿って進行し、材料10が割断される。
【選択図】 図1
【解決手段】材料10の割断予定線Kに沿って複数のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 を同時に照射して、材料10上に同径の複数のレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 を形成する。このとき、各レーザビームのエネルギー分布について、レーザビーム進行方向の最前端のレーザビームL1 の出力を最も高くし、レーザビーム進行方向の逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームL2 ,L3 ,L4 の出力を段階的に小さくする。次に、各レーザビームの照射により材料内部に生じる引張側熱応力および圧縮側熱応力の境界となる変曲点Aに対応した部位Cを冷却する。これにより、初期亀裂10aが形成された加工始点から加工終点に向かって、亀裂が割断予定線Kに沿って進行し、材料10が割断される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスなどの脆性材料の割断加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
ガラスのような脆性材料を割断する加工法として、従来より、いわゆる熱割断法が用いられている。この熱割断法は、特開平1−108006号公報に記載されているように、被加工材に形成した亀裂の近傍にレーザービームや電子ビームなどの熱源を配置するとともに、熱源を割断予定線に沿って移動させることにより、材料内部に発生した熱応力で亀裂を順次進展させて被加工材を分断する方法である。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−108006号公報(第1実施例参照)
【0004】
ところで、例えばガラスのような透明材料の加熱にCO2 レーザを使用した場合、CO2 レーザの10.6μmの波長域では、レーザ光はガラスを透過できずガラス表面で吸収されるため、熱の発生はガラス表面に限られる。このガラス表面の僅かな領域だけで発生する熱による応力はわずかなものであり、ガラス全体を割断するには不十分である。
【0005】
そこで、材料を割断し得る応力を発生させるには、材料表面で発生する熱を時間をかけて材料内部に伝導させることにより、加熱領域を拡大させ、材料内部の応力を大きくすることが必要になる。
【0006】
熱源が点熱源の場合には、熱源の出力密度を材料表面が溶融・破壊しない程度の大きさに制限する一方、応力発生に必要な内部領域にまで熱量が伝搬するのを待つ時間が必要となるが、この詳細な計算は、日本機械学会論文集(A編)56巻524 号(1990−4)に記載されており、そこでは、円状に加熱する場合を例にとって説明している。
【0007】
【非特許文献1】
日本機械学会論文集A編56巻524 号(1990−4)(第855 〜 860頁参照)
【0008】
また、材料の実質的な加熱時間を延長するために、レーザビームのスポット形状を楕円形状にしたものが特許第3027768号公報に示されている。
【0009】
【特許文献2】
特許第3027768号公報(第4図参照)
【0010】
しかしながら、レーザビームは、図7に示すように、一般に、そのビーム中心部分のエネルギー密度が高く、周辺にいくにしたがってエネルギー密度が低下するガウス分布と呼ばれるエネルギー分布(出力分布)を有しており、このため、レーザビームを単に楕円形状にしただけでは、依然として、ビーム中心部分のエネルギー密度が高く、周辺部分のエネルギー密度が低くなっている。
【0011】
したがって、このようなレーザビームを材料に照射して割断加工を行うと、図8に示すように、材料上に照射されたレーザスポットの周辺部分の温度が低いために、材料の加工始点の温度を短時間に上昇させることができず、加工効率をあまり高くできないという問題が生じる。そこで、レーザスポットの周辺部分の温度を上昇させることも考えられるが、この場合には、レーザスポットの中心部分の温度が高くなりすぎて、材料表面が軟化し溶融する恐れがある。
【0012】
また、レーザビームのエネルギー分布が長い裾野部分を有していることにより、材料の加工終点においては、割断に必要な温度の加熱領域を形成した後にも、暫くの間は低出力のレーザーが材料表面に照射され続けるため、材料の速やかな冷却ができないという問題がある。
【0013】
一般に、工業用割断装置において、割断に最適な熱分布は、材料の加工始点でできるだけ速やかに昇温するとともに、材料内部に必要な加熱領域を形成した後は、できるだけ速やかに温度が低下するような分布である。このような熱分布の例を図5に示す。
【0014】
図5に示すような熱分布を材料表面に形成するためには、移動熱源として、たとえば図6に示すようなエネルギー分布を有するレーザビームを用いればよい。このようなエネルギー分布は、一本のレーザビームを非球面レンズおよびミラーを用いて成形することにより達成可能であるが、この場合には、装置全体の構造がやや複雑になり、コスト高になるという欠点がある。
【0015】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、脆性材料の割断加工方法において、レーザビームの理想的なエネルギー分布を容易に実現でき、しかも、材料の割断を容易かつ確実に行えるようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、材料の加工始点に形成した亀裂を、材料の局部的加熱により材料内部に発生する熱応力で割断予定線に沿って誘導することにより、脆性材料を割断するための割断加工方法である。この割断加工方法においては、材料の割断予定線に沿って複数のレーザビームを同時に照射して、材料上に同径の複数のレーザスポットを形成し、各レーザビームのエネルギー分布について、材料の加工始点から加工終点に向かうレーザビーム進行方向の最前端のレーザビームの出力を最も高くするとともに、レーザビーム進行方向と逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームの出力を段階的に小さくなるようにしている。
【0017】
ここで、図3は、4本のレーザビームを用いる場合を例にとって示しており、同図に示すように、レーザビーム進行方向(図右方向)の最前端のレーザビームの出力が最も高く、レーザビーム進行方向と逆側(図左側)に向かうにしたがい、残りの各レーザビームの出力が段階的に小さくなっている。このようなエネルギー分布を有する複数のレーザビームが移動することにより、各レーザビームの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布を容易に実現できる。その結果、材料表面には、図5に示すような温度分布が形成されることになる。
【0018】
一般に、材料において加熱された加熱領域は、熱膨張を起こして周囲に拡がろうとするが、その周囲の領域が加熱されていないために、熱膨張が抑制され、その結果、加熱領域の内部には圧縮応力が生じる。そこで、従来より、この加熱領域の近傍を冷却することによって、材料表面に引張応力を生じさせ、これにより、材料の亀裂を割断予定線に沿って進行させるようにすることが行われている(特許第3027768号公報第9欄第26行〜第10欄第7行参照)。しかしながら、同公報には、材料の冷却部位について明確には記載されていない。
【0019】
本発明に係る発明者は、材料内部に生じる応力について有限要素法を用いて分析した結果、図4に示すような温度分布が材料表面に形成されているとき、材料内部に生じる熱応力には、引張応力から圧縮応力に切り換わる変曲点Aが、最後端のレーザビームの後方に存在していることを見出した。
【0020】
請求項1の発明では、この変曲点を冷却することにより、変曲点部位を急激に収縮させ、変曲点部位近傍の引張応力領域に過大な引張応力(亀裂発生応力)を発生させて、材料に亀裂を発生させようとしている。発生した亀裂は、レーザビームの移動にともない、割断予定線に沿って加工始点から加工終点に向かって順次進行する。これにより、材料の割断を容易かつ確実に行えるようになる。
【0021】
これに対して、変曲点から離れた変曲点前方側つまり圧縮応力の領域を冷却した場合には、当該領域の圧縮応力が単に低下するだけで、引張応力が発生するまでには到らないので、亀裂は発生しない。また、変曲点から離れた変曲点後方側つまり引張応力の領域を冷却した場合には、当該領域の温度低下により当該領域の引張応力も減少する。
【0022】
また、請求項1の発明によれば、材料内部の応力に基づいて決定される変曲点が冷却ポイントになるので、割断される材料の種類や温度分布などの如何に拘らず、常に最適な冷却ポイントを容易に見出すことができる。
【0023】
請求項2の発明では、複数のレーザビームが、単一のレーザビームを半透過式反射ミラーおよびこれに対向配置された全反射ミラーの間で複数回反射させることにより、生成されている。この場合には、レーザビームの分割装置として、反射ミラーにより構成される簡単な装置を用いるので、複数のレーザビームを容易かつ安価に得ることができる。
【0024】
複数のレーザビームによる複数のレーザスポットとしては、請求項3の発明に記載されているように、三つ以上のレーザスポットが好ましい。これは、各レーザスポットの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布を得るためである。このようなエネルギー分布を二つのレーザスポットで形成することは困難である。
【0025】
とくに単一のレーザビームを二つのレーザビームに分割して二つのレーザスポットを形成することにより、図6に示すようなエネルギー分布を得ようとする場合には、レーザビーム進行方向の前端側のレーザビームの出力が高くなりすぎて(すなわち、図6中のピーク出力が高くなりすぎて)、材料が溶解する恐れがある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図6は本発明の一実施態様による割断加工方法を説明するための図であって、図1はレーザ割断加工装置の概略構成図、図2(a)はレーザ割断加工装置におけるビームスプリッターの概略構成図、同図(b)は材料上に照射されたレーザスポットと冷却ポイントの位置関係を示す図、図3はレーザビームの出力分布を示す図、図4は材料内部の熱応力分布曲線を材料表面の温度分布曲線とともに示す図、図5はレーザビームによる割断に最適な材料表面の温度分布を示す図、図6は図5の温度分布を得るためのレーザビームの出力分布を示す図である。
【0027】
図1に示すように、このレーザ割断加工装置1は、レーザ発振器2と、レーザ発振器2から出射されたレーザビームLを下方に反射する反射ミラー3と、入射されたレーザビームLを複数のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 に分割するビームスプリッター4とから主として構成されている。テーブル5上には、レーザビームにより割断加工される材料10が配置されている。テーブル5は、図示しない駆動機構により、左右方向に移動可能に構成されている。
【0028】
ビームスプリッター4は、図2(a)に示すように、全反射ミラー40と、これに対向配置された部分反射ミラー(半透過式反射ミラー)41とから構成されている。全反射ミラー40の一方の主面には全反射膜40aが装着されている。部分反射ミラー41において全反射ミラー40と対向する主面には部分反射膜41aが装着されており、逆側の主面には反射防止膜41bが装着されている。
【0029】
部分反射ミラー41の部分反射膜41aは、一定の透過率を有しており、このため、部分反射膜41aと全反射膜40aの間で反射を繰り返しつつ、部分反射ミラー41を透過して順次出射されてくる各レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 のエネルギー分布は、レーザビームL1 の出力が最大であり、部分反射ミラー41の部分反射膜41aで反射される度に段階的に小さくなってレーザビームL4 の出力が最小になっている(図3参照)。
【0030】
図2(b)には、レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 が材料10上に照射されたときのそれぞれのレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 が示されている。これらのレーザスポットはいずれも円形であって、同じ径を有している。また、材料10の一端には、割断加工の始点となる初期亀裂10aが形成されている。この初期亀裂10aとしては、工具を用いて形成した切欠きや、レーザビームにより穿孔した孔などが用いられる。さらに、材料10の初期亀裂10aの近傍には、割断加工の際に材料表面を冷却するための部位である冷却ポイントCが示されている。
【0031】
割断加工の際には、上述のように、レーザ発振器2から出射されたレーザビームLが、ビームスプリッター4により、4本のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 に分割される(図1および図2(a)参照)。
【0032】
次に、テーブル5を図1左方に移動させる。すると、材料10上に照射されるレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 のそれぞれのレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 が、材料10の初期亀裂10aを通って図1右方に延びる割断予定線Kに沿って図1右方(つまり図2(b)矢印方向)に移動する。
【0033】
このとき、上述のように、各レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 の出力分布について、材料の加工始点から加工終点に向かうビーム進行方向(図2(b)矢印方向)の最前端のレーザビームL1 の出力を最も高くするとともに、ビーム進行方向と逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームL2 ,L3 ,L4 の出力を段階的に小さくしているので、このようなエネルギー分布を有する複数のレーザビームが移動することにより、各レーザビームの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布が実現される。これにより、材料10の表面には、図5に示すような温度分布が形成されることになる。
【0034】
このとき、材料10の内部に生じる熱応力の分布は、有限要素法による分析により、図4に示すようになる。図4の熱応力分布曲線から分かるように、材料10の内部には、引張応力から圧縮応力に切り換わる変曲点Aが存在している。
【0035】
次に、変曲点Aに対応する材料10の部位である冷却ポイントC(図2(b))を冷却する。この場合には、たとえば、エアやヘリウム等のガス、水や液化ガス等の液体、またはこれらの双方、あるいはドライアイス等の冷却作用を持つ固体を部位Cまたはその直近近傍に接触させる。
【0036】
すると、冷却ポイントCが急激に収縮することで、冷却ポイントCの近傍(つまり変曲点Aの近傍)の引張応力領域に過大な引張応力(亀裂発生応力)が発生して、材料10に亀裂が発生する。この亀裂は、テーブル10の移動にともなうレーザビームの移動によって、割断予定線Kに沿って加工始点から加工終点に向かって順次進行する。これにより、材料10の割断を容易かつ確実に行えるようになる。
【0037】
この場合には、材料内部の応力に基づいて決定される変曲点が冷却ポイントになるので、割断される材料の種類や温度分布などの如何に拘らず、常に最適な冷却ポイントを容易に見出すことができる。
【0038】
また、この場合には、複数のレーザビームが、単一のレーザビームを部分反射ミラーおよびこれに対向配置された全反射ミラーの間で複数回反射させることにより、生成されており、レーザビームの分割装置として、反射ミラーによる簡単な装置を用いているので、複数のレーザビームを容易かつ安価に得ることができる。
【0039】
なお、ここでは、ビームスプリッター4によりレーザビームを4本のレーザビームに分割して四つのレーザスポットを形成する例を示したが、割断する材料の特性や均一性などに応じて、レーザビームの分割本数すなわちレーザスポットの個数は適宜設定される。ただ、レーザスポットの個数としては、三つ以上のレーザスポットが好ましい。
【0040】
これは、各レーザスポットの重ね合わせにより、図6に示すような理想的なエネルギー分布を得るためであって、このようなエネルギー分布を二つのレーザスポットで形成することは困難である。とくに単一のレーザビームを分割して二つのレーザスポットを形成することにより図6に示すようなエネルギー分布を得ようとすると、レーザビーム進行方向の前端側のレーザビームの出力が高くなりすぎて(すなわち、図6中のピーク出力が高くなりすぎて)、材料が溶解する恐れがある。
【0041】
ここで、割断加工の具体例を示すと、図2(b)のように、ビーム進行方向に沿って最前端のレーザスポットS1 の縁部から最後端のレーザスポットS4 の縁部までの距離eを13mmとし、レーザスポットS4 の縁部から冷却ポイントCの中心までの距離fを5mmとするとき、出力45WのCO2 レーザを使用して、厚み0.7mmのソ−ダ石灰ガラス板を245mm/secで切断することができた。
【0042】
なお、前記実施態様では、部分反射ミラー41の部分反射膜41aが一定の透過率を有するものを例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。部分反射ミラー41への各入射点において、それぞれ異なる透過率を有する部分反射膜を装着するようにしてもよい。
【0043】
前記実施態様では、ビームを分割するための簡易な手段として、反射ミラーからなるビームスプリッターを用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。表面に多数の反射面を形成したグレーティングを用いて、グレーティングによる干渉によってビームを分割する方法や、ホログラムを利用したビーム分割方法を採用するようにしてもよい。
【0044】
また、半導体レーザを使用する場合には、光源をアレイ状に配列したLD(laser diode) スタックを使用することにより、ビームの分割が可能である。あるいは、ポリゴンやガルバなどの可動式反射鏡によりビームを走査するようにしてもよく、この場合には、ビームの走査速度を場所により変化させることで、または、レーザ光源の出力をミラーの走査位置に応じて変化させることで、同様にビームの分割が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、脆性材料の割断加工方法において、レーザビームの理想的なエネルギー分布を容易に実現でき、しかも、材料の割断を容易かつ確実に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様による割断加工方法を使用するレーザ割断加工装置の概略構成図である。
【図2】(a)は図1のレーザ割断加工装置におけるビームスプリッターの概略構成を示す図、(b)は材料上に照射されるレーザスポットと冷却ポイントの配置を示す図である。
【図3】レーザビームの出力分布を示す図である。
【図4】材料内部の熱応力分布曲線を材料表面の温度分布曲線とともに示す図である。
【図5】レーザビームによる割断に最適な材料表面の温度分布を示す図である。
【図6】図5に示す温度分布を得るためのレーザビームの出力分布を示す図である。
【図7】一般的なレーザビームの出力分布を示す図である。
【図8】図7のレーザビームを移動させた場合における材料表面の温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1: レーザ割断加工装置
10: 材料
10a: 初期亀裂
2: レーザ発振器
4: ビームスプリッター
40: 全反射ミラー
41: 部分反射ミラー(半透過式反射ミラー)
L: レーザビーム
L1 ,L2 ,L3 ,L4 : レーザビーム
S1 ,S2 ,S3 ,S4 : レーザスポット
C: 冷却ポイント
K: 割断予定線
A: 変曲点
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスなどの脆性材料の割断加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
ガラスのような脆性材料を割断する加工法として、従来より、いわゆる熱割断法が用いられている。この熱割断法は、特開平1−108006号公報に記載されているように、被加工材に形成した亀裂の近傍にレーザービームや電子ビームなどの熱源を配置するとともに、熱源を割断予定線に沿って移動させることにより、材料内部に発生した熱応力で亀裂を順次進展させて被加工材を分断する方法である。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−108006号公報(第1実施例参照)
【0004】
ところで、例えばガラスのような透明材料の加熱にCO2 レーザを使用した場合、CO2 レーザの10.6μmの波長域では、レーザ光はガラスを透過できずガラス表面で吸収されるため、熱の発生はガラス表面に限られる。このガラス表面の僅かな領域だけで発生する熱による応力はわずかなものであり、ガラス全体を割断するには不十分である。
【0005】
そこで、材料を割断し得る応力を発生させるには、材料表面で発生する熱を時間をかけて材料内部に伝導させることにより、加熱領域を拡大させ、材料内部の応力を大きくすることが必要になる。
【0006】
熱源が点熱源の場合には、熱源の出力密度を材料表面が溶融・破壊しない程度の大きさに制限する一方、応力発生に必要な内部領域にまで熱量が伝搬するのを待つ時間が必要となるが、この詳細な計算は、日本機械学会論文集(A編)56巻524 号(1990−4)に記載されており、そこでは、円状に加熱する場合を例にとって説明している。
【0007】
【非特許文献1】
日本機械学会論文集A編56巻524 号(1990−4)(第855 〜 860頁参照)
【0008】
また、材料の実質的な加熱時間を延長するために、レーザビームのスポット形状を楕円形状にしたものが特許第3027768号公報に示されている。
【0009】
【特許文献2】
特許第3027768号公報(第4図参照)
【0010】
しかしながら、レーザビームは、図7に示すように、一般に、そのビーム中心部分のエネルギー密度が高く、周辺にいくにしたがってエネルギー密度が低下するガウス分布と呼ばれるエネルギー分布(出力分布)を有しており、このため、レーザビームを単に楕円形状にしただけでは、依然として、ビーム中心部分のエネルギー密度が高く、周辺部分のエネルギー密度が低くなっている。
【0011】
したがって、このようなレーザビームを材料に照射して割断加工を行うと、図8に示すように、材料上に照射されたレーザスポットの周辺部分の温度が低いために、材料の加工始点の温度を短時間に上昇させることができず、加工効率をあまり高くできないという問題が生じる。そこで、レーザスポットの周辺部分の温度を上昇させることも考えられるが、この場合には、レーザスポットの中心部分の温度が高くなりすぎて、材料表面が軟化し溶融する恐れがある。
【0012】
また、レーザビームのエネルギー分布が長い裾野部分を有していることにより、材料の加工終点においては、割断に必要な温度の加熱領域を形成した後にも、暫くの間は低出力のレーザーが材料表面に照射され続けるため、材料の速やかな冷却ができないという問題がある。
【0013】
一般に、工業用割断装置において、割断に最適な熱分布は、材料の加工始点でできるだけ速やかに昇温するとともに、材料内部に必要な加熱領域を形成した後は、できるだけ速やかに温度が低下するような分布である。このような熱分布の例を図5に示す。
【0014】
図5に示すような熱分布を材料表面に形成するためには、移動熱源として、たとえば図6に示すようなエネルギー分布を有するレーザビームを用いればよい。このようなエネルギー分布は、一本のレーザビームを非球面レンズおよびミラーを用いて成形することにより達成可能であるが、この場合には、装置全体の構造がやや複雑になり、コスト高になるという欠点がある。
【0015】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、脆性材料の割断加工方法において、レーザビームの理想的なエネルギー分布を容易に実現でき、しかも、材料の割断を容易かつ確実に行えるようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、材料の加工始点に形成した亀裂を、材料の局部的加熱により材料内部に発生する熱応力で割断予定線に沿って誘導することにより、脆性材料を割断するための割断加工方法である。この割断加工方法においては、材料の割断予定線に沿って複数のレーザビームを同時に照射して、材料上に同径の複数のレーザスポットを形成し、各レーザビームのエネルギー分布について、材料の加工始点から加工終点に向かうレーザビーム進行方向の最前端のレーザビームの出力を最も高くするとともに、レーザビーム進行方向と逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームの出力を段階的に小さくなるようにしている。
【0017】
ここで、図3は、4本のレーザビームを用いる場合を例にとって示しており、同図に示すように、レーザビーム進行方向(図右方向)の最前端のレーザビームの出力が最も高く、レーザビーム進行方向と逆側(図左側)に向かうにしたがい、残りの各レーザビームの出力が段階的に小さくなっている。このようなエネルギー分布を有する複数のレーザビームが移動することにより、各レーザビームの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布を容易に実現できる。その結果、材料表面には、図5に示すような温度分布が形成されることになる。
【0018】
一般に、材料において加熱された加熱領域は、熱膨張を起こして周囲に拡がろうとするが、その周囲の領域が加熱されていないために、熱膨張が抑制され、その結果、加熱領域の内部には圧縮応力が生じる。そこで、従来より、この加熱領域の近傍を冷却することによって、材料表面に引張応力を生じさせ、これにより、材料の亀裂を割断予定線に沿って進行させるようにすることが行われている(特許第3027768号公報第9欄第26行〜第10欄第7行参照)。しかしながら、同公報には、材料の冷却部位について明確には記載されていない。
【0019】
本発明に係る発明者は、材料内部に生じる応力について有限要素法を用いて分析した結果、図4に示すような温度分布が材料表面に形成されているとき、材料内部に生じる熱応力には、引張応力から圧縮応力に切り換わる変曲点Aが、最後端のレーザビームの後方に存在していることを見出した。
【0020】
請求項1の発明では、この変曲点を冷却することにより、変曲点部位を急激に収縮させ、変曲点部位近傍の引張応力領域に過大な引張応力(亀裂発生応力)を発生させて、材料に亀裂を発生させようとしている。発生した亀裂は、レーザビームの移動にともない、割断予定線に沿って加工始点から加工終点に向かって順次進行する。これにより、材料の割断を容易かつ確実に行えるようになる。
【0021】
これに対して、変曲点から離れた変曲点前方側つまり圧縮応力の領域を冷却した場合には、当該領域の圧縮応力が単に低下するだけで、引張応力が発生するまでには到らないので、亀裂は発生しない。また、変曲点から離れた変曲点後方側つまり引張応力の領域を冷却した場合には、当該領域の温度低下により当該領域の引張応力も減少する。
【0022】
また、請求項1の発明によれば、材料内部の応力に基づいて決定される変曲点が冷却ポイントになるので、割断される材料の種類や温度分布などの如何に拘らず、常に最適な冷却ポイントを容易に見出すことができる。
【0023】
請求項2の発明では、複数のレーザビームが、単一のレーザビームを半透過式反射ミラーおよびこれに対向配置された全反射ミラーの間で複数回反射させることにより、生成されている。この場合には、レーザビームの分割装置として、反射ミラーにより構成される簡単な装置を用いるので、複数のレーザビームを容易かつ安価に得ることができる。
【0024】
複数のレーザビームによる複数のレーザスポットとしては、請求項3の発明に記載されているように、三つ以上のレーザスポットが好ましい。これは、各レーザスポットの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布を得るためである。このようなエネルギー分布を二つのレーザスポットで形成することは困難である。
【0025】
とくに単一のレーザビームを二つのレーザビームに分割して二つのレーザスポットを形成することにより、図6に示すようなエネルギー分布を得ようとする場合には、レーザビーム進行方向の前端側のレーザビームの出力が高くなりすぎて(すなわち、図6中のピーク出力が高くなりすぎて)、材料が溶解する恐れがある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図6は本発明の一実施態様による割断加工方法を説明するための図であって、図1はレーザ割断加工装置の概略構成図、図2(a)はレーザ割断加工装置におけるビームスプリッターの概略構成図、同図(b)は材料上に照射されたレーザスポットと冷却ポイントの位置関係を示す図、図3はレーザビームの出力分布を示す図、図4は材料内部の熱応力分布曲線を材料表面の温度分布曲線とともに示す図、図5はレーザビームによる割断に最適な材料表面の温度分布を示す図、図6は図5の温度分布を得るためのレーザビームの出力分布を示す図である。
【0027】
図1に示すように、このレーザ割断加工装置1は、レーザ発振器2と、レーザ発振器2から出射されたレーザビームLを下方に反射する反射ミラー3と、入射されたレーザビームLを複数のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 に分割するビームスプリッター4とから主として構成されている。テーブル5上には、レーザビームにより割断加工される材料10が配置されている。テーブル5は、図示しない駆動機構により、左右方向に移動可能に構成されている。
【0028】
ビームスプリッター4は、図2(a)に示すように、全反射ミラー40と、これに対向配置された部分反射ミラー(半透過式反射ミラー)41とから構成されている。全反射ミラー40の一方の主面には全反射膜40aが装着されている。部分反射ミラー41において全反射ミラー40と対向する主面には部分反射膜41aが装着されており、逆側の主面には反射防止膜41bが装着されている。
【0029】
部分反射ミラー41の部分反射膜41aは、一定の透過率を有しており、このため、部分反射膜41aと全反射膜40aの間で反射を繰り返しつつ、部分反射ミラー41を透過して順次出射されてくる各レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 のエネルギー分布は、レーザビームL1 の出力が最大であり、部分反射ミラー41の部分反射膜41aで反射される度に段階的に小さくなってレーザビームL4 の出力が最小になっている(図3参照)。
【0030】
図2(b)には、レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 が材料10上に照射されたときのそれぞれのレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 が示されている。これらのレーザスポットはいずれも円形であって、同じ径を有している。また、材料10の一端には、割断加工の始点となる初期亀裂10aが形成されている。この初期亀裂10aとしては、工具を用いて形成した切欠きや、レーザビームにより穿孔した孔などが用いられる。さらに、材料10の初期亀裂10aの近傍には、割断加工の際に材料表面を冷却するための部位である冷却ポイントCが示されている。
【0031】
割断加工の際には、上述のように、レーザ発振器2から出射されたレーザビームLが、ビームスプリッター4により、4本のレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 に分割される(図1および図2(a)参照)。
【0032】
次に、テーブル5を図1左方に移動させる。すると、材料10上に照射されるレーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 のそれぞれのレーザスポットS1 ,S2 ,S3 ,S4 が、材料10の初期亀裂10aを通って図1右方に延びる割断予定線Kに沿って図1右方(つまり図2(b)矢印方向)に移動する。
【0033】
このとき、上述のように、各レーザビームL1 ,L2 ,L3 ,L4 の出力分布について、材料の加工始点から加工終点に向かうビーム進行方向(図2(b)矢印方向)の最前端のレーザビームL1 の出力を最も高くするとともに、ビーム進行方向と逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームL2 ,L3 ,L4 の出力を段階的に小さくしているので、このようなエネルギー分布を有する複数のレーザビームが移動することにより、各レーザビームの重ね合わせによって、図6に示すような理想的なエネルギー分布が実現される。これにより、材料10の表面には、図5に示すような温度分布が形成されることになる。
【0034】
このとき、材料10の内部に生じる熱応力の分布は、有限要素法による分析により、図4に示すようになる。図4の熱応力分布曲線から分かるように、材料10の内部には、引張応力から圧縮応力に切り換わる変曲点Aが存在している。
【0035】
次に、変曲点Aに対応する材料10の部位である冷却ポイントC(図2(b))を冷却する。この場合には、たとえば、エアやヘリウム等のガス、水や液化ガス等の液体、またはこれらの双方、あるいはドライアイス等の冷却作用を持つ固体を部位Cまたはその直近近傍に接触させる。
【0036】
すると、冷却ポイントCが急激に収縮することで、冷却ポイントCの近傍(つまり変曲点Aの近傍)の引張応力領域に過大な引張応力(亀裂発生応力)が発生して、材料10に亀裂が発生する。この亀裂は、テーブル10の移動にともなうレーザビームの移動によって、割断予定線Kに沿って加工始点から加工終点に向かって順次進行する。これにより、材料10の割断を容易かつ確実に行えるようになる。
【0037】
この場合には、材料内部の応力に基づいて決定される変曲点が冷却ポイントになるので、割断される材料の種類や温度分布などの如何に拘らず、常に最適な冷却ポイントを容易に見出すことができる。
【0038】
また、この場合には、複数のレーザビームが、単一のレーザビームを部分反射ミラーおよびこれに対向配置された全反射ミラーの間で複数回反射させることにより、生成されており、レーザビームの分割装置として、反射ミラーによる簡単な装置を用いているので、複数のレーザビームを容易かつ安価に得ることができる。
【0039】
なお、ここでは、ビームスプリッター4によりレーザビームを4本のレーザビームに分割して四つのレーザスポットを形成する例を示したが、割断する材料の特性や均一性などに応じて、レーザビームの分割本数すなわちレーザスポットの個数は適宜設定される。ただ、レーザスポットの個数としては、三つ以上のレーザスポットが好ましい。
【0040】
これは、各レーザスポットの重ね合わせにより、図6に示すような理想的なエネルギー分布を得るためであって、このようなエネルギー分布を二つのレーザスポットで形成することは困難である。とくに単一のレーザビームを分割して二つのレーザスポットを形成することにより図6に示すようなエネルギー分布を得ようとすると、レーザビーム進行方向の前端側のレーザビームの出力が高くなりすぎて(すなわち、図6中のピーク出力が高くなりすぎて)、材料が溶解する恐れがある。
【0041】
ここで、割断加工の具体例を示すと、図2(b)のように、ビーム進行方向に沿って最前端のレーザスポットS1 の縁部から最後端のレーザスポットS4 の縁部までの距離eを13mmとし、レーザスポットS4 の縁部から冷却ポイントCの中心までの距離fを5mmとするとき、出力45WのCO2 レーザを使用して、厚み0.7mmのソ−ダ石灰ガラス板を245mm/secで切断することができた。
【0042】
なお、前記実施態様では、部分反射ミラー41の部分反射膜41aが一定の透過率を有するものを例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。部分反射ミラー41への各入射点において、それぞれ異なる透過率を有する部分反射膜を装着するようにしてもよい。
【0043】
前記実施態様では、ビームを分割するための簡易な手段として、反射ミラーからなるビームスプリッターを用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。表面に多数の反射面を形成したグレーティングを用いて、グレーティングによる干渉によってビームを分割する方法や、ホログラムを利用したビーム分割方法を採用するようにしてもよい。
【0044】
また、半導体レーザを使用する場合には、光源をアレイ状に配列したLD(laser diode) スタックを使用することにより、ビームの分割が可能である。あるいは、ポリゴンやガルバなどの可動式反射鏡によりビームを走査するようにしてもよく、この場合には、ビームの走査速度を場所により変化させることで、または、レーザ光源の出力をミラーの走査位置に応じて変化させることで、同様にビームの分割が可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、脆性材料の割断加工方法において、レーザビームの理想的なエネルギー分布を容易に実現でき、しかも、材料の割断を容易かつ確実に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様による割断加工方法を使用するレーザ割断加工装置の概略構成図である。
【図2】(a)は図1のレーザ割断加工装置におけるビームスプリッターの概略構成を示す図、(b)は材料上に照射されるレーザスポットと冷却ポイントの配置を示す図である。
【図3】レーザビームの出力分布を示す図である。
【図4】材料内部の熱応力分布曲線を材料表面の温度分布曲線とともに示す図である。
【図5】レーザビームによる割断に最適な材料表面の温度分布を示す図である。
【図6】図5に示す温度分布を得るためのレーザビームの出力分布を示す図である。
【図7】一般的なレーザビームの出力分布を示す図である。
【図8】図7のレーザビームを移動させた場合における材料表面の温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1: レーザ割断加工装置
10: 材料
10a: 初期亀裂
2: レーザ発振器
4: ビームスプリッター
40: 全反射ミラー
41: 部分反射ミラー(半透過式反射ミラー)
L: レーザビーム
L1 ,L2 ,L3 ,L4 : レーザビーム
S1 ,S2 ,S3 ,S4 : レーザスポット
C: 冷却ポイント
K: 割断予定線
A: 変曲点
Claims (3)
- 材料の加工始点に形成した亀裂を、材料の局部的加熱により材料内部に発生する熱応力で割断予定線に沿って誘導することにより、脆性材料を割断するための割断加工方法であって、
材料の割断予定線に沿って複数のレーザビームを同時に照射して、材料上に同径の複数のレーザスポットを形成し、各レーザビームのエネルギー分布について、材料の加工始点から加工終点に向かうレーザビーム進行方向の最前端のレーザビームの出力を最も高くするとともに、レーザビーム進行方向の逆側に向かうにしたがい残りのレーザビームの出力を段階的に小さくなるようにし、
次に、前記レーザビームの照射により材料内部に生じる引張側熱応力および圧縮側熱応力の境界となる変曲点を冷却することにより、前記亀裂を前記割断予定線に沿って加工始点から加工終点に向かって進行させるようにした、
ことを特徴とする脆性材料の割断加工方法。 - 請求項1において、
前記複数のレーザビームが、単一のレーザビームを半透過式反射ミラーおよびこれに対向配置された全反射ミラーの間で複数回反射させることにより、生成されている、
ことを特徴とする脆性材料の割断加工方法。 - 請求項1または2において、
前記複数のレーザビームによる複数のレーザスポットが三つ以上のレーザスポットを有している、
ことを特徴とする脆性材料の割断加工方法。
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