JP5214572B2 - エンジン冷却液制御装置およびエンジン台上試験システム - Google Patents

エンジン冷却液制御装置およびエンジン台上試験システム Download PDF

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Description

本発明は、冷却液の温度を制御して試験対象のエンジンに送り出すエンジン冷却液制御装置、およびエンジンの台上試験を行なうエンジン台上試験システムに関する。
近年、地球環境の観点から、エンジン台上試験システムにおいて、燃費、性能をより短時間に高精度に測定することについてのニーズが高まっている。
ここで、エンジン台上試験は、試験対象のエンジンを室内に設置しそのエンジンの周囲に設置された様々な設備を駆使しながら行なう試験をいう。
エンジン台上試験の一般的な試験方法の1つとして、試験対象のエンジンに動力計(ここでは、計測・測定機能のみでなく動力発生、制御可能な動力装置をいう)を結合し、動力計の回転速度およびエンジンのスロットル開度を制御し、その時のエンジン出力トルク、燃料消費量、各部の温度や圧力を計測する方法がある。この試験を行なうにあたっては、エンジンに供給する燃料の温度と圧力、およびエンジン冷却液の温度と圧力を制御することにより、一層高精度な試験が行なわれる。また、台上試験といえども、近年では実車相当の試験を行ないたいとする要求が強く、燃料や冷却液の温度と圧力の制御条件が一段と厳しくなっている。特に、冷却液の温度制御については、応答性が遅いため、目的温度に達するまでに長時間を要し、高精度の試験を効率良く行なう上での大きな障害となっている。
特許文献1には、エンジン潤滑油温度制御についての提案がある。
特開平6−117212号公報
本発明は、上記事情に鑑み、エンジンの冷却液温度を従来よりも高速に所望の温度に制御することのできるエンジン冷却液制御装置、およびそのエンジン冷却液制御装置を利用して短時間に試験を行なうことのできるエンジン台上試験システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明のエンジン冷却液制御装置は、試験対象のエンジンに冷却液を送り込みエンジンから送り出された冷却液をエンジン内に再び送り込む冷却液循環路の一部を分担し冷却液循環路内の冷却液の温度を制御して冷却液をエンジンに向けて送り出すエンジン冷却液制御装置であって、
冷却液循環路上に配置され冷却液循環路内の冷却液を第2の冷却液で冷却する熱交換器と、
熱交換器に送り込む第2の冷却液の流量を調整する流量調整弁の開度を制御する弁開度制御部とを備え、
上記弁開度制御部が、
冷却液循環路内の冷却液の、エンジン出口部分の温度を計測する第1の温度センサで計測される第1の温度計測値と、冷却液循環路内の冷却液の、このエンジン冷却液制御装置出口部分の温度を計測する第2の温度センサで計測される第2の温度計測値とを取得し、第2の温度計測値に、第1の温度計測値の、第2の温度計測値からの平均的な偏差を加えることにより、温度演算値を求める温度演算器と、
冷却液循環路内の冷却液の、エンジン出口部分の目標温度と、温度演算器で求められた温度演算値との入力を受け、その温度演算値を目標温度と同じ値に制御するための流量調整弁の開度を表わす第1の弁開度制御値を出力するPID制御器と、
流量調整弁の開度を、PID制御器から出力された第1の弁開度制御値に応じた開度に制御する弁開度制御器とを備えたことを特徴とする。
エンジンの試験にあたっては、エンジンを適切に冷却するためにエンジン出口部分の冷却液の温度を目標温度に制御する必要がある。
ここで、冷却液循環路の長さは、実験室のレイアウトの都合もあり、多くのケースで一周あたり10m〜15mにもなり、エンジン冷却液制御装置内の熱交換器からエンジン出口までの長さもその約半分と長く、エンジン出口の冷却液温度を計測してその温度計測値に基づいて熱交換器で冷却液の温度を制御してもその制御がエンジン出口の冷却液温度に反映されるまでに時間がかかり、応答性が悪い。この応答性を向上させるには、冷却液循環路を短かくしたり、冷却液を高速に送り出す必要があるが、設備全体のシステム上、いずれも難しい。
本発明のエンジン冷却液制御装置は、エンジン出口の冷却液温度の計測値である第1の温度計測値のほかに、エンジン冷却液制御装置出口の冷却液温度の計測値である第2の温度計測値も取得して、温度演算器で上記の温度演算値を求め、その温度演算値が目標温度になるように制御するものであり、冷却液循環路の長さや冷却液の流速等の条件が従来と同じであっても、冷却液の温度の制御応答性が向上する。
ここで、上記本発明のエンジン冷却液制御装置において、予め、冷却液循環路内の冷却液の、エンジン出口部分の温度と、エンジンの馬力と、流量調整弁の開度との対応関係が記述されたマップを記憶しておき、目標温度とエンジンの馬力計測値とを入力し、そのマップを参照して、冷却液循環路内の冷却液の、エンジン出口部分の温度を目標温度に一致させるための流量調整弁の開度を表わす第2の弁開度制御値を出力するマップ演算器と、
PID制御器から出力された第1の弁開度制御値とマップ演算器から出力された第2の弁開度制御値とを加算して第3の弁開度制御値を生成する加算器とをさらに備え、
弁開度制御器は、流量調整弁を、加算器で生成された第3の弁開度制御値に応じた開度に制御するものであることが好ましい。
このように、マップ演算器を備えてPID制御器からの出力とマップ演算器からの出力との双方に基づいて流量調整弁の開度を制御すると、動力計の回転数をステップ的に変更したり、スロットル開度を急激に変更したりなど、試験条件が急に大きく変化した場合の安定性がさらに向上する。
また、本発明のエンジン冷却液制御装置において、温度演算器は、冷却液循環路内の冷却液が熱交換器から送り出されてからエンジンの出口に達するまでの時間に応じた平均算出時間を求め、第2の温度計測値に、第1の温度計測値の、第2の移動計測値からの上記の平均算出時間に渡って平均化された偏差を加えることにより、温度演算値を求めるものであることが好ましい。
温度制御の遅れ時間は、熱交換器で冷却された冷却液がエンジンの出口に達するまでの時間と密接に関連しており、したがって冷却液が熱交換器から送り出されてからエンジンの出口に達するまでの時間に応じた平均算出時間を設定することにより、系の応答速度に合わせた温度演算値を求めることができ、より高精度な温度制御が可能となる。
さらに、本発明のエンジン冷却液制御装置において、冷却液循環路上に配置され冷却液循環路内の冷却液を循環させるポンプをさらに備えることが好ましい。
このポンプを備えることにより、冷却液の、エンジン入口およびエンジン出口での圧力についても一層高精度に制御することができる。
さらに、本発明のエンジン冷却液制御装置において、上記熱交換器は、上記第2の冷却液として工業用水を用いて、冷却液循環器内の冷却液を冷却するものであることが好ましい。
上記第2の冷却液として冷却用の溶質が加えられた冷却液を採用してもよいが、工業用水をそのまま利用してもよい。
また、本発明のエンジン台上試験システムは、
本発明のエンジン冷却液制御装置と、
エンジンの出力軸に連結される動力計と、
燃料の温度および圧力を制御して燃料をエンジンに供給するとともに燃料消費量を計測する燃料制御計測装置と、
エンジンのスロットル開度を制御するスロットルアクチュエータとを備えたことを特徴とする。
ここでは、前述と同様、計測・測定機能のみでなく動力発生、制御可能な動力装置を動力計と称している。
本発明のエンジン台上試験システムは、本発明のエンジン冷却液制御装置を採用しているため、従来障害となっていた冷却液温度の応答性の低さが解消され、高精度かつ効率の良いエンジン台上試験を行なうことができる。
以上の本発明によれば、エンジンの冷却液を従来よりも高速に所望の温度に制御することができる。
本発明のエンジン台上試験システムの一実施形態を示すブロック図である。 図1に示すエンジン台上試験システムのうちの、冷却液循環路を示したブロック図である。 本実施形態における冷却液温度制御回路を示すブロック図である。 平均算出時間(sec)の算出方法説明図である。 図3に示す温度演算器における温度演算値の求め方を示すフローチャートである。 冷却液温度制御フローを示す図である。 既存制御法を採用したとき冷却液の温度変化を示した概念図である。 本実施形態における冷却液の温度変化を示した概念図である。 試験条件をステップ的に変化させたときの温度T1の変動を示した図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明のエンジン台上試験システムの一実施形態を示すブロック図である。
この図1は、テスト室100内に、試験対象のエンジン10と、動力計20と、スロットルアクチュエータ30と、燃料制御計測装置40と、エンジン冷却液制御装置50と、現場中継箱60と、冷却液循環路を形成する冷却液用配管70と、工業用水の水路を形成する工業用水用配管80とが図示されている。また、ここで、テスト室100の外部に、操作盤90が備えられている。エンジン10からは排気管11が延び、建屋設備である排気ファン(不図示)により建屋の外に排気される構造となっている。
ここで、動力計20は、エンジン10の出力軸15に結合されており、動力計電流の制御により回転速度やトルクが制御される。
また、スロットルアクチュエータ30は、エンジン10のスロットル開度を制御する。
また、燃料制御計測装置40は、エンジン10に供給される燃料の温度と圧力を制御してエンジン10に供給する。また、この燃料制御計測装置40は、燃料消費量を計測する。
エンジン冷却液制御装置50は、本発明のエンジン冷却液制御装置の一例であり、冷却液の温度と圧力を制御して冷却液を循環させる。冷却液の温度制御は、工業用水用配管80内を流れる工業用水との熱交換により行なわれる。
エンジン10にはその各部に温度センサや圧力センサ等が配置されており、現場中継箱60では、それらのセンサによるエンジン各部の温度や圧力が計測される。また、この現場中継箱60は、イグニッション、スタータの電気的なコントロールも担当している。また、操作盤90には、手動運転、自動運転によるエンジン台上試験実施のための操作部であって、制御・計測・管理を行なうCPUが内蔵されている。尚、この操作盤90は、制御・計測のための信号線が各部に延びているが、煩雑さを避けるため図示省略されている。
図2は、図1に示すエンジン台上試験システムのうちの、冷却液循環路を示したブロック図である。
冷却液循環路は、エンジン10内の流路と、エンジン冷却液制御装置50内の流路と、それら2つの流路どうしを結ぶ冷却液用配管70とで構成されている。この冷却液循環路上には、エンジン10内の循環ポンプ12と、エンジン冷却液制御装置50内の循環ポンプ51と、さらにエンジン冷却液制御装置50内の熱交換器52が配置されている。エンジン10の運転により発熱した冷却液は、エンジン10内の循環ポンプ12により、エンジン10の出口→エンジン冷却液制御装置50の入口→エンジン冷却液制御装置50内の循環ポンプ51→熱交換器52→エンジン冷却液制御装置50の出口→エンジン10の入口と循環する。循環距離は、1周約10m〜15mにも及ぶ。エンジン10を運転すると、エンジン10の出力軸に結合されているエンジン10内の循環ポンプ12が回り、冷却液が循環する。したがって冷却液の流量(リットル/min)はエンジン10の回転速度にほぼ比例する。ここで、エンジン冷却液制御装置50内にも循環ポンプ51が配備されている。この循環ポンプ51は、エンジン10の出口での冷却液の圧力P1または、入口での冷却液の圧力P2を、試験内容に応じた任意の圧力に制御する。あるいは、出口圧力P1と入口圧力P2の差圧を指定の値、通常は実車相当となるように制御する。
エンジン冷却液制御装置50内の熱交換器52には、工業用水の流路も形成されており、冷却液はこの熱交換器52を通過する間に工業用水で冷却されて再びエンジン10に向けて送り出される。工業用水の流路を形成する用水用配管80の途中には、工業用水の流量調整弁81が配備されている。この流量調整弁81は、制御モータ82によりその開度が調整される。熱交換器52は、この工業用水の流量に応じた冷却能力を発揮し、冷却液は、この工業用水の流量に応じて冷却される。
ここで、冷却液は、エンジン10の出口での温度T1が設定温度となるように、熱交換器52を流れる工業用水の水量が調整される。このとき、エンジン10の回転速度が低い場合は冷却液の流量が低く、その結果、エンジン冷却液制御装置50から出た冷却液がエンジン10の出口に到達するまでに長時間を要する。
従来は、一般的には、エンジン出口付近の温度T1を計測しその温度T1が設定温度となるようにPID制御が行なわれている。この場合、熱交換器52で冷却された冷却液がエンジン10の出口に到達するまでの大きな時間遅れを考慮する必要があり、ゆっくりとした制御にとどめる必要がある。その結果、エンジン10の出口での温度T1が目標温度に到達するまでに長時間を要し、高精度な試験、計測を効率よく行なうことができない。
そこでここでは、エンジン10の出口での冷却液の温度T1を監視しつつ、さらにエンジン冷却液制御装置50の出口での冷却液の温度T2も監視し、温度T2に、さらに温度T1の、温度T2からの偏差を加えることにより温度演算値を求め、その温度演算値をPID制御の対象としている。その結果、より速いPID制御が可能となり、エンジン10の出口の温度T1の、目標温度への収束時間が短縮され、高精度な試験、計測を効率良く行なうことが可能となる。さらに、図3を参照して説明するマップを持つと、過渡運転での温度のオーバシュートも抑えられる。
図3は、本実施形態における冷却液温度制御回路を示すブロック図である。
ここには、PID制御器510、温度演算器520、マップ演算器530、スイッチ540、加算器550、および弁開度制御器560が示されている。
また、この図3には、図2にも示したエンジン10、エンジン冷却液制御装置内の循環ポンプ51、熱交換器52、冷却液用配管70、工業用水用配管80、流量調整弁81、および流量調整弁81の弁開度制御用のモータ82も示されている。
また、ここには、冷却液用配管70等によって形成されている冷却液循環路内を流れる冷却液の、エンジン出口での温度T1を計測する温度センサ521が備えられている。この温度センサ521から出力されたエンジン出口での冷却液の温度計測値T1は、温度演算器520に入力される。また、これと同様に、エンジン冷却液制御装置50(図2参照)の出口部分の冷却液の温度を計測する温度センサ522が配置されており、その温度センサ522から出力されたエンジン冷却液制御装置50の出口での冷却液の温度計測値T2も温度演算器520に入力される。また、エンジン10の出力軸の回転速度を計測するための速度センサ531と、エンジンの出力軸のトルクを計測するための動力計20が配置されている。
速度センサ531および動力計20でそれぞれ計測されたエンジン出力軸の回転速度およびトルクは、乗算器533で互いに乗算されて馬力計測値に変換される。その馬力計測値はマップ演算器530に入力される。
マップ演算器530には、エンジン出口での冷却液の温度T1と、エンジン10から出力された馬力と、工業用水の流量調整弁81の開度との対応関係を表わすマップ530aが記憶されている。このマップ530aは、様々な条件下での安定した運転状態を作り、温度T1と馬力と弁開度とを取得して作成したものである。エンジン台上試験を実際に行なう際には、マップ演算器530には温度T1に代わる目標温度(Tset)と、その時点のテンポラリな馬力計測値が入力され、マップ530aが参照されて、流量調整弁81の開度(ここではこの弁開度を、PID制御器510から出力される弁開度と区別するために、「予測弁開度」と称する)が出力される。このマップ演算器530から出力された予測弁開度はスイッチ540を通り、加算器550により、後述するPID制御器510から出力された弁開度(ここでは、これを「PID制御弁開度」と称する)と加算されてその加算された弁開度が弁開度制御器560に入力される。弁開度制御器560はモータ82に信号を送り、流量調整弁81を、入力されてきた弁開度に応じた開度に制御する。
温度演算器520には、上述の通り、2つの温度センサ521,522で計測された、冷却液のエンジン出口の温度計算値T1と装置出口の温度計測値T2が入力され、以下の演算式に基づいて温度演算値(ここではこの温度演算値を「T1 F.B.(フィードバック)」と称する)が求められる。
T1 F.B.(℃)=T2+Σ(T1−T2)/N ・・・(1)
ここでNは、以下のようにして求められる平均算出時間(sec)である。
ただし、Nは具体的には平均算出時間に相当する平均算出時間を演算周期Δtで割った離散個数である。
図4は、平均算出時間(sec)の算出方法説明図である。
この図4には、エンジン冷却液制御装置50(図2参照)内の熱交換器52からエンジン出口までの冷却液の流路の長さD(m)を示した図である。装置出口の温度センサ522は、熱交換器に隣接して配置されているため、この距離D(m)は、温度センサ522から温度センサ521までの距離と同じである。
平均算出時間(sec)は、以下のようにして算出される。
冷却液の流速Rは、
R=A/πB ・・・(2)
ここで、Aは、冷却液流量(m/sec)
Bは、冷却液用配管の内径(m)
Rは、冷却液流速(m/sec)
である。冷却液流量Aは、エンジンの回転速度に比例するため、エンジン回転速度から求められる。
平均算出時間N(sec)は、
N=D/R ・・・(3)
ここで、Dは、図4に示す距離(m)
Rは、(2)式で求めた冷却液の流速(m/sec)
である。
ここでは、上記の通り、エンジン回転速度から求めた冷却液流量、配管径、配管長により平均算出時間Nを算出して、(1)式による演算に用いている。こうすることにより、この系の応答速度にあわせた温度演算値T1 F.B.(℃)が算出される。
図5は、図3に示す温度演算器520における温度演算値T1 F.B.の求め方を示すフローチャートである。
温度の演算が開始されると、その初回には、温度偏差T5が、式
T5=T1−T2 ・・・(4)
により算出される(ステップS11)。ここで、T1,T2は、それぞれ、エンジン出口温度計測値、装置出口温度計測値である。
次にその初回の温度演算値T3の算出時刻からの経過時間Cの計測が開始され(ステップS12)、再度、温度偏差
T3=T1−T2 ・・・(5)
が算出され(ステップS13)、その温度偏差T3の平均算出時間N(sec)の間の総和T4(初期値はT4=0)が式
T4=T3+T4 ・・・(6)
に従って算出される(ステップS14)。この(6)式は、それまでの総和T4に今回算出した温度偏差T3を加算した値を新たな総和T4とすることを意味している。
次いで、経過時間Cが平均算出時間N(sec)に達したか否かが判定される(ステップS15)。経過時間Cが移動平均時間N(sec)に達すると、温度偏差平均値T5が、式
T5=T4/N ・・・(7)
により算出され(ステップS16)、経過時間CがC=0にリセットされ(ステップS17)、温度演算値T1 F.B.が、式
T1 F.B.=T2+T5 ・・・(8)
により算出されて、図3に示すPID制御器510に向けて出力される(ステップS18)。ステップS15で経過時間Cが平均算出時間N(sec)に達していない旨判定されたときは、前回算出された温度演算値T1 F.B.がそのまま出力され続ける。
このように、本実施形態では、図4を参照して説明した冷却液の流速に応じて、すなわち、系のその時その時の応答性に応じて、温度演算値T1 F.B.の更新周期が変更される。尚、ここでは温度演算値算出の周期自体を変更しているが、温度演算値算出周期は温度T1,T2の1回のサンプリング周期に合わせ、移動平均を行なってもよい。
図6は、冷却液温度制御フローを示す図である。
ここでは、先ずマップ演算器530に有効なマップ530aが存在するか否かが判定され(ステップS21)、マップ530aが存在するときは、マップ演算器530において、予測弁開度が求められる(ステップS22)。また、温度演算器520では、温度演算値が算出され(ステップS24)、PID制御器510にて、その温度演算値と、目標温度Tsetから、PID制御弁開度が算出される(ステップS24)。ステップS22で求められた予測弁開度はスイッチ540を通過して加算器550に入力され、また、ステップS24で算出されたPID制御弁開度も加算器550に入力され、加算器550により互いに加算される。加算器550は、その加算値からなる弁開度を弁開度制御器560に向けて指令値として出力する(ステップS25)。弁開度制御器560は、流量調整弁81の開度が指令値としてのその弁開度に一致するように、制御モータ82に制御電流を出力する。
図6のステップS21においてマップ演算器530内に有効なマップ530aが存在しないと判定されたときは、スイッチ540が開き、加算器550にはPID制御器510からのPID制御弁開度のみが入力されてそのPID制御弁開度からなる指令値が加算器550から弁開度制御器560に出力される。弁開度制御器560は、流量調整弁81がそのPID制御弁開度に応じた開度となるように制御モータ82に制御電流を送る。
ここで、マップ演算器530を利用したときは、弁開度の大まかな値は予測弁開度で定まり、PID制御器510からはその大まかな弁開度からの誤差を補正するだけの小さな値のPID制御弁開度が出力されることになる。一方、マップ演算器530を利用しないときはPID制御器510からは弁開度の全幅を表わすPID制御弁開度が出力されることになる。
PID制御器510では、温度演算器520で算出された温度演算値T1 F.B.が目標温度Tsetに一致するようにPID制御弁開度が求められるため、スイッチ540をオンにするとPID制御弁開度が自動的にマップ演算器530で求められた予測弁開度を補正するだけの小さい値となり、あるいは、スイッチ540をオフにすると、その予測弁開度の分も含めた、そのPID制御弁開度のみで流量調整弁の開度を制御するだけの大きな値となる。
ここで、図3ではスイッチ540を備え、また図6ではステップS21を置いて、マップ演算器530を利用する場合と利用しない場合との双方を使い分ける旨、説明したが、マップ演算器530を備えてそのマップ演算器530を常に利用するときはスイッチ540および図6のステップS21は不要である。また、マップ演算器530を利用せずに温度演算器520およびPID制御器510のみを利用しても良く、その場合は、マップ演算器530、スイッチ540、および加算器550ともに不要であって、PID制御器510からの出力値が弁開度制御器560に入力される。また、このときは、マップ演算器530に馬力を入力するための、乗算器533、並びに速度センサ531、動力計20も、図3に示す冷却液の温度制御用としては不要である。ただし、エンジン10の回転速度やトルクは、重要な計測項目であり、図1に示すエンジン台上試験システムとしては必要である。
図7は、既存制御法を採用したときの冷却液の温度変化を示した概念図、図8は本実施形態における冷却液の温度変化を示した概念図である。
図7の既存制御法は、本実施形態と対比される比較例であって図3においてマップ演算器530および温度演算器520は存在せず、エンジン出口部分の冷却液の温度T1を直接にPID制御器10に入力し、PID制御器510でその温度T1を目標温度Tsetに一致させるためのPID制御弁開度を求め、そのPID制御弁開度に基づいて流量調整弁81の開度を制御するという、従来方法を採用した場合を指している。
図7に示す比較例の場合、図8に示す実施形態の場合と比べ、エンジン出口温度T1は、目標温度Tsetから大きく偏倚している。図8に示す実施形態は、マップ演算器530は使わずに温度演算器520で算出した温度演算値T1 F.B.をPID制御器10に入力した場合の例である。温度演算器520では、前述のようにして求めた平均算出時間(図4参照)ごとに、エンジン出口温度T1と装置出口温度T2との双方を考慮した温度演算値を求めて弁開度の制御に反映させており、図8に示すように、エンジン出口温度T1が図7に示す比較例よりもその変動が抑えられる。
表1は、「既存制御法」と、「演算」と「演算+マップ」の動作原理、特徴、および欠点を示した図である。ここで、「演算」は、図3におけるスイッチ540を開放にした場合(マップ演算器530を利用しない場合)を指し、「演算+マップ」は、スイッチ540を閉じた場合(マップ演算器530を併用する場合)を指している。
Figure 0005214572
また表2は、定常運転と過渡運転における、「既存制御法」、「演算」、「演算+マップ」の制御性と収束時間の評価結果を示す図である。
Figure 0005214572
既存制御法の場合、定常運転であっても冷却液の流量が低下すると制御性が悪く収束時間が長くなってしまい、過渡運転では、なおさらである。「演算」の場合、定常運転では低流量であっても制御性が高まり収束時間が短かい。過渡運転でも「既存制御法」と比べると改善が見られる。「演算+マップ」の場合は定常運転だけでなく過渡運転についてもさらに大きな改善が見られる。
図9は、試験条件をステップ的に変化させたときの温度T1の変動を示した図である。
ここでは、動力計回転数、およびエンジン出力軸トルクを20分ごとに図示の通りに変化させている。その結果、馬力も図示の通りに変化する。エンジン出口温度T1の目標温度Tsetは80℃、制御目標は±1℃である。「演算」および「演算+マップ」の双方とも定常状態では安定的に制御されている。過渡状態では、「演算」では、大きな変動が見られるが、「演算+マップ」では、過渡応答においても「演算」よりも安定している。
尚、ここでは、熱交換器で工業用水を用いて冷却液循環器内の冷却液を冷却しているが、冷却液循環器内の冷却液を工業用水以外の冷却液を用いて冷却する系を採用してもよい。
10 エンジン
11 排気管
12,51 循環ポンプ
15 出力軸
20 動力計
30 スロットルアクチュエータ
40 燃料制御計測装置
50 エンジン冷却液制御装置
52 熱交換器
60 現場中継箱
70 冷却液用配管
80 工業用水用配管
81 流量調整弁
82 制御モータ
90 操作盤
100 テスト室
510 PID制御器
520 温度演算器
521,522 温度センサ
530 マップ演算器
530a マップ
531 速度センサ
532 動力計
533 乗算器
540 スイッチ
550 加算器
560 弁開度制御器

Claims (6)

  1. 試験対象のエンジンに冷却液を送り込み該エンジンから送り出された冷却液を該エンジン内に再び送り込む冷却液循環路の一部を分担し該冷却液循環路内の冷却液の温度を制御して該冷却液を該エンジンに向けて送り出すエンジン冷却液制御装置であって、
    前記冷却液循環路上に配置され該冷却液循環路内の冷却液を第2の冷却液で冷却する熱交換器と、
    前記熱交換器に送り込む第2の冷却液の流量を調整する流量調整弁の開度を制御する弁開度制御部とを備え、
    前記弁開度制御部が、
    前記冷却液循環路内の冷却液の、前記エンジン出口部分の温度を計測する第1の温度センサで計測される第1の温度計測値と、前記冷却液循環路内の冷却液の、当該エンジン冷却液制御装置出口部分の温度を計測する第2の温度センサで計測される第2の温度計測値とを取得し、該第2の温度計測値に、該第1の温度計測値の、該第2の温度計測値からの平均的な偏差を加えることにより、温度演算値を求める温度演算器と、
    前記冷却液循環路内の冷却液の、前記エンジン出口部分の目標温度と、前記温度演算器で求められた前記温度演算値との入力を受け、該温度演算値を該目標温度と同じ値に制御するための前記流量調整弁の開度を表わす第1の弁開度制御値を出力するPID制御器と、
    前記流量調整弁を、前記PID制御器から出力された前記第1の弁開度制御値に応じた開度に制御する弁開度制御器とを備えたことを特徴とするエンジン冷却液制御装置。
  2. 前記冷却液循環路内の冷却液の、前記エンジン出口部分の温度と、該エンジンの馬力と、前記流量調整弁の開度との対応関係が記述されたマップを記憶しておき、前記目標温度と前記エンジンの馬力計測値とを入力し、該マップを参照して、前記冷却液循環路内の冷却液の、前記エンジン出口部分の温度を前記目標温度に一致させるための前記流量調整弁の開度を表わす第2の弁開度制御値を出力するマップ演算器と、
    前記PID制御器から出力された前記第1の弁開度制御値と前記マップ演算器から出力された前記第2の弁開度制御値とを加算して第3の弁開度制御値を生成する加算器とをさらに備え、
    前記弁開度制御器は、前記流量調整弁を、前記加算器で生成された前記第3の弁開度制御値に応じた開度に制御するものであることを特徴とする請求項1記載のエンジン冷却液制御装置。
  3. 前記温度演算器は、前記冷却液循環路内の冷却液が前記熱交換器から送り出されてから前記エンジンの出口に達するまでの時間に応じた平均算出時間を求め、前記第2の温度計測値に、前記第1の温度計測値の、前記第2の移動計測値からの前記平均算出時間に渡って平均化された偏差を加えることにより、前記温度演算値を求めるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン冷却液制御装置。
  4. 前記冷却液循環路上に配置され該冷却液循環路内の冷却液を循環させるポンプをさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のエンジン冷却液制御装置。
  5. 前記熱交換器が前記第2の冷却液として工業用水を用いて、前記冷却循環器内の冷却液を冷却するものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のエンジン冷却液制御装置。
  6. 請求項1から5のうちいずれか1項記載のエンジン冷却液制御装置と、
    前記エンジンの出力軸に連結される動力計と、
    燃料の温度および圧力を制御して該燃料を前記エンジンに供給するとともに燃料消費量を計測する燃料制御計測装置と、
    前記エンジンのスロットル開度を制御するスロットルアクチュエータとを備えたことを特徴とするエンジン台上試験システム。
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