JP5214271B2 - ポリ乳酸系樹脂組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂を含み、包装材料などとして好適な樹脂組成物、この樹脂組成物を用いた積層体(又は積層フィルム)に関する。
ポリ乳酸は植物由来のプラスチックであり、環境に対する負荷を低減できるプラスチックとして注目されている。また、ポリ乳酸は透明フィルム用原料としても注目されている。しかし、ポリ乳酸のフィルムは、柔軟性及び耐引裂き性に乏しく、単体の用途が限られている。
これらの点から、ポリ乳酸に柔軟剤や可塑剤を添加して柔軟性などを改善する試みがなされている。しかし、フィルム表面への可塑剤のブリードアウトやブロッキングなどの可能性があるため、柔軟剤や可塑剤を多量に添加して柔軟性を向上させることが困難である。
一方、ポリ乳酸の弱点を補うために、ポリ乳酸と他のポリマーとのアロイが検討されている。例えば、特表平6−500819号公報(特許文献1)には、ポリヒドロキシ酸(ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びそれらの共重合体など)5〜95%、相溶化剤(エチレン/マレイン酸無水物グラフト共重合体及びエチレン/酸化エチレン共重合体など)5〜75%及び別の熱可塑性重合体(ポリエチレン及びポリプロピレンなど)を90%まで含有する組成物が開示され、透明なフィルムとして、ポリヒドロキシ酸5〜15%、相溶化剤5〜20%、熱可塑性重合体60〜90%からなるフィルムも開示されている。この文献には、非ポリヒドロキシ重合体(前記熱可塑性重合体であると思われる)として、ポリオレフィンなどの多数の重合体のほかエチレン/アクリル酸共重合体及び三元重合体並びにそれらの金属塩が例示され、実施例ではポリヒドロキシ酸と相溶化剤と低密度ポリエチレン(LDPE)とを含む樹脂組成物とそのフィルムが記載され、ポリヒドロキシ酸の含有量5〜10%の組成で良質で引っ張り特性に優れたフィルムが得られ、ポリヒドロキシ酸の含有量20%の組成では許容できるフィルムが得られたことが記載されている。なお、実施例において相溶化剤としてエチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体が記載されているものの、具体的な例は記載されていない。
しかし、特許文献1に係る発明では、包装材料として必要な引裂き強度やシール強度が十分でない。また、ポリヒドロキシ酸の使用量を増大させると良質のフィルムを得ることが困難である。
特表平6−500819号公報(特許請求の範囲、第4頁左上欄、実施例)
従って、本発明の目的は、品質がよく、バイオマス由来成分を用いたポリ乳酸系樹脂を含有するとともに化石資源由来の樹脂の使用量を低減できるだけでなく、引裂き強度やシール強度が改善されたフィルムを形成できるポリ乳酸系樹脂組成物、この組成物を用いた積層体及びフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、バイオマス由来成分のポリ乳酸系樹脂の含有量が多くても、良質のフィルムを成形可能なポリ乳酸系樹脂組成物、この組成物を用いた積層体及びフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリ乳酸系樹脂とオレフィン系樹脂とアイオノマー樹脂との組み合わせにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂として、分子量分布が比較的狭く、低分子量成分の含有量が多い樹脂を用いると、引裂き強度やシール強度が改善されたフィルムを形成できること、特にポリ乳酸系樹脂の含有量が多くても優れた特性を有するフィルムを形成できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいてさらに検討することにより完成したものである。
すなわち、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(非酸変性)(B)と、カルボキシル基、酸無水物基又はこれらの金属塩を含む酸変性オレフィン系樹脂(C)とを含む樹脂組成物であって、前記オレフィン系樹脂(B)の分散度が4以下(例えば、1.5〜4)、であり、かつ重量平均分子量1000〜10000の低分子量成分の積算含有量が0.3面積%以上である。
ポリ乳酸系樹脂(A)はポリ乳酸であってもよい。前記オレフィン系樹脂(B)又は非酸変性オレフィン系樹脂(B)は、分散度1.8〜3.5、かつ重量平均分子量1000〜10000の低分子量成分の積算含有量が0.5〜3面積%を有していてもよい。また、オレフィン系樹脂(B)は、重量平均分子量1.3×10〜2.3×10、数平均分子量5×10〜8×10を有していてもよい。オレフィン系樹脂(B)はメタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であってもよい。さらに、酸変性オレフィン系樹脂(C)はアイオノマー樹脂であってもよい。
前記各成分の割合は、ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対して、オレフィン系樹脂(B)10〜1000重量部であってもよく、ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)との合計100重量部に対して酸変性オレフィン系樹脂(C)1〜30重量部を含んでいてもよい。さらに、オレフィン系樹脂(B)100重量部に対して酸変性オレフィン系樹脂(C)2〜25重量部を含んでいてもよい。さらには、本発明では、ポリ乳酸系樹脂の割合が多くても実用上問題とならない透明性を保持した良質なフィルムを製造できる。例えば、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)と酸変性オレフィン系樹脂(C)との総量に対して15〜50重量%程度であってもよい。
前記樹脂組成物はヒートシール性に優れている。そのため、本発明は前記樹脂組成物で形成されたヒートシール層も包含する。さらに、本発明は、基材と、この基材の少なくとも一方の面に、前記樹脂組成物で形成された樹脂層(ヒートシール層)とで構成されている積層体も包含し、前記基材は、熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。
本発明では、ポリ乳酸系樹脂と特定のオレフィン系樹脂と酸変性オレフィン系樹脂とを組み合わせるため、バイオマス由来成分のポリ乳酸系樹脂を使用できるとともに化石資源由来の樹脂の使用量を低減できるだけでなく、フィルムの引裂き強度やシール強度を大きく改善できる。また、ポリ乳酸系樹脂の含有量が多くても、良質のフィルムを成形可能である。さらには透明な樹脂層(又はヒートシール層)を成形可能である。そのため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、基材(又は基材フィルム)と組み合わせて積層体又はフィルムを製造でき、包装材として使用するのに適している。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、酸変性オレフィン系樹脂(C)とで構成されており、前記オレフィン系樹脂(B)は、分子量分布が比較的狭く、しかも低分子量成分の含有量が多いという特色がある。
ポリ乳酸系樹脂(A)には、乳酸及びラクチドから選択された少なくとも一種の乳酸成分を単量体成分とする重合体(ポリ乳酸)、前記乳酸成分と共重合性単量体との共重合体が含まれる。乳酸成分のうち、乳酸は、L−乳酸、D−乳酸、又はこれらの混合物(又はD,L−乳酸)であってもよく、ラクチドは、L−ラクチド、D―ラクチド、又はこれらの混合物であってもよい。これらの乳酸成分は単独で又は二種以上混合して使用できる。なお、乳酸は、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)であってもよい。乳酸は、トウモロコシ、コメ、イモなどの植物を原料として発酵法などにより製造できる。
共重合性単量体としては、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分とを組み合わせたエステル化成分、(2)ヒドロキシカルボン酸及びその環状エステル(ラクトン類、環状ジエステル)から選択された少なくとも一種のヒドロキシ酸成分、(3)前記エステル化成分と前記ヒドロキシ酸成分との双方の成分などが含まれる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC2−10アルカンジカルボン酸などが例示できる。ジカルボン酸成分は、酸無水物、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)であってもよく、酸ハライドであってもよい。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましいジカルボン酸成分は、C3−8アルカンジカルボン酸、特にC4−6アルカンジカルボン酸である。
ジオール成分として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジ乃至テトラC2−4アルキレングリコールなどが例示できる。これらのジオール成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましいジオール成分は、C2−6アルキレングリコール、特にC2−4アルキレングリコールである。
ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ酸)成分としては、脂肪族オキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、2−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸などが例示できる。なお、ヒドロキシカルボン酸は、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)であってもよい。ヒドロキシカルボン酸は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらのヒドロキシカルボン酸のうち、ヒドロキシC2−6アルカンカルボン酸、特にヒドロキシC2−4アルカンカルボン酸が好ましい。
ラクトン類としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ラウロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、β,δ−ジメチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトンなどのC3−10ラクトン;ヒドロキシカルボン酸成分の二量体、例えば、グリコリドなどのC4−10環状ジエステルなどが挙げられる。これらのラクトン類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいラクトン類は、C4−8ラクトン(特にε−カプロラクトンなどのC4−6ラクトン)などである。
これらの共重合性単量体のうち、例えば、C2−6アルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸など)、C2−4アルキレングリコール(トリメチレングリコールなど)、ヒドロキシC2−4アルカンカルボン酸(グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸など)、C4−6環状ジエステル(グリコリドなど)、C4−6ラクトン(ε−カプロラクトンなど)などが好ましい。特に、共重合性単量体は、トウモロコシ、イモなどの植物又は微生物資源から製造されたバイオベース成分(例えば、植物由来成分や微生物産生成分)であるのが好ましいが、このようなバイオベース成分は化学的に合成された成分であってもよい。
なお、必要に応じて、脂環族成分(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸など)、芳香族成分(テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸など)、多官能性単量体(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール、ピロメリト酸などの多価カルボン酸など)を使用してもよい。
ポリ乳酸系樹脂において、乳酸成分の割合は、構成モノマー全体に対して、乳酸換算で、5〜100モル%程度の範囲から選択でき、例えば、30〜100モル%、好ましくは40〜100モル%(例えば、50〜100モル%)、さらに好ましくは70〜100モル%程度であってもよい。
ポリ乳酸系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸(ポリL−乳酸(PLLA)、ポリD−乳酸(PDLA)などのポリ乳酸)、乳酸成分を用いた共重合体[乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−ヒドロキシプロピオン酸共重合体、乳酸−ヒドロキシ酪酸共重合体などの乳酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体、乳酸−グリコリド共重合体、ラクチド−グリコール酸共重合体、ラクチド−ヒドロキシプロピオン酸共重合体、ラクチド−ヒドロキシ酪酸共重合体などのラクチド−ヒドロキシカルボン酸共重合体など]などが例示できる。本発明ではポリ乳酸系樹脂(特にポリ乳酸)を用いても、高い成膜性(フィルム成形性)、フィルム強度及びヒートシール性を付与できる。前記ポリ乳酸系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせてブレンドポリマーとして使用できる。
ポリ乳酸系樹脂は結晶性であってもよく非晶性であってもよい。加水分解を抑制するため、ポリ乳酸系樹脂の末端基(例えば、ヒドロキシル基又はカルボキシル基)は封止されていてもよい。また、ポリ乳酸系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量Mw0.5×10〜30×10、好ましくは1×10〜15×10、さらに好ましくは1.5×10〜10×10(例えば、2×10〜8×10)程度であってもよい。
オレフィン系樹脂(B)は、オレフィン類の単独又は共重合体で構成できる。鎖状オレフィン類としては、直鎖状又は分岐鎖状オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−C2−12鎖状オレフィンなどが挙げられる。これらの鎖状オレフィン類は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。鎖状オレフィン類は、α−C2−8鎖状オレフィン、好ましくはα−C2−6鎖状オレフィン(特に、少なくともエチレン)である場合が多い。
なお、オレフィン系樹脂は、必要に応じて、共重合性単量体との共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル酸エステル系単量体;環状オレフィン類などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。共重合性単量体の割合は、全単量体に対し、例えば、0〜50モル%程度の範囲から選択でき、好ましくは1〜40モル%、さらに好ましくは3〜30モル%(特に5〜20モル%)程度であってもよい。
オレフィン系樹脂(B)は、プロピレンを主たる単量体(例えば、プロピレン含量80〜100モル%、好ましくは90〜100モル%)とするポリプロピレン系樹脂であってもよいが、ヒートシール性などを高めるためには、エチレンを主たる単量体(例えば、エチレン含量75〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%)とするポリエチレン系樹脂(ポリエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体など)であるのが好ましい。ポリエチレン系樹脂は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンであってもよいが、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であるのが好ましい。
本発明では、オレフィン系樹脂(B)として分子量分布が狭い(又は分散度Mw/Mnが小さい)樹脂を用いる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC:ジクロロベンゼン、濃度3g/L、温度140℃)において、前記オレフィン系樹脂(B)の分散度Mw/Mnは、4以下、例えば、1.5〜4(例えば、1.7〜3.7)、好ましくは1.8〜3.5、さらに好ましくは2〜3.3(例えば、2.2〜3.2)程度である。実験結果から、分子量分布が広すぎると、低分子量成分が多くても高い引き裂き強度及びヒートシール強度が得られないようである。このような分散度を有するオレフィン系樹脂(B)は、メタロセン触媒を用いてオレフィン類を重合することにより得ることができる。
さらに、本発明では、低分子量成分の含有量が多いオレフィン系樹脂(B)を用いる。すなわち、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、オレフィン系樹脂(B)は、重量平均分子量1000〜10000の低分子量成分の積算含有量が0.3面積%以上(例えば、0.3〜3.5面積%)、好ましくは0.4面積%以上(例えば、0.4〜3.2面積%)、さらに好ましくは0.5面積%以上(例えば、0.5〜3面積%)であり、通常、0.45〜2.5面積%(例えば、0.5〜2面積%)程度である。実験結果から、低分子量成分の含有量が少ないと、分子量分布が狭くても高い引き裂き強度及びヒートシール強度を得ることが困難である。
オレフィン系樹脂(B)(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂)は、以下の割合で低分子量成分を含有する場合が多い。なお、工業的に入手可能な樹脂は、通常、重量平均分子量1000未満の成分は殆ど検出されないか、検出されたとしても積算量に大きな影響は及ぼさないようである。
Figure 0005214271
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂などのオレフィン系樹脂(B)の分子量は、特に制限されず、例えば、重量平均分子量1.3×10〜2.3×10、好ましくは1.4×10〜2.1×10、さらに好ましくは1.5×10〜2×10程度であってもよく、2.0×10以下(例えば、1.45×10〜2×10程度)である場合が多い。オレフィン系樹脂(B)の数平均分子量は、例えば、5×10〜8×10、好ましくは5.5×10〜7.5×10、さらに好ましくは6×10〜7.2×10(例えば、6.3×10〜7×10)程度であってもよい。
なお、前記オレフィン系樹脂(B)は、前記分散度及び低分子量成分の含有量の異なる複数のオレフィン系樹脂を混合し、分散度及び低分子量成分の含有量を調整してもよく、オレフィン系樹脂に低分子量オレフィン系樹脂又は低分子量成分を添加することにより、分散度及び低分子量成分の含有量を調整してもよい。
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂などのオレフィン系樹脂(B)を含有させると、ポリ乳酸系樹脂(A)がポリ乳酸系樹脂などであっても、脆さや硬さなどの実用上問題となる特性を改善できる。特に、包装材料などとして必要なシール強度や引裂き強度を向上できる。
酸変性オレフィン系樹脂(C)は、前記例示のオレフィン類を含む単量体の単独又は共重合体であるオレフィン系樹脂に対して、カルボキシル基又は酸無水物基若しくはそれらの金属塩を有する単量体(以下、単に酸性基含有単量体と総称する場合がある)をグラフト重合したグラフト共重合体であってもよく、前記オレフィン類と酸性基含有単量体との共重合体であってもよい。酸変性オレフィン系樹脂(C)は、通常、後者である場合が多い。
前記オレフィン類及び共重合性単量体としては、前記オレフィン系樹脂(B)の項に記載の単量体が使用でき、鎖状オレフィン類としては、α−C2−8鎖状オレフィン、好ましくはα−C2−6鎖状オレフィン(特に、少なくともエチレン)が好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などが例示でき、酸無水物基を有する単量体としては、無水マレイン酸などが例示できる。また、金属塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩などが例示できる。好ましい酸性基含有単量体は、カルボキシル基を有する単量体(特に、アクリル酸又はメタクリル酸)又はその金属塩である。酸変性オレフィン系樹脂(C)のイオン性基に対する金属イオン(対イオン)としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+など)、遷移金属イオン(Zn2+、Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Co3+、Fe3+、Cr3+など)などが例示できる。これらの金属イオンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、アイオネン型アイオノマーでは、Cl、Br、Iなどの陰イオンを用いてもよい。
酸変性オレフィン系樹脂(C)は、プロピレンを主たる単量体とするポリプロピレン系樹脂であってもよいが、ヒートシール性などを高めるためには、エチレンを主たる単量体とするポリエチレン系樹脂であるのが好ましい。
代表的な酸変性オレフィン系樹脂(C)は、アイオノマー樹脂で構成でき、酸変性オレフィン系樹脂(C)(アイオノマー樹脂など)は、ホスト高分子(又はオレフィン系樹脂)の主鎖に部分的に側鎖イオン基が存在する側鎖型であるのが好ましい。
酸変性オレフィン系樹脂(C)(アイオノマー樹脂など)において、酸性基含有単量体の使用量(含有量)は、全単量体に対して、例えば、1〜30モル%、好ましくは3〜25モル%、さらに好ましくは5〜20モル%(例えば、7〜15モル%)程度であってもよい。
アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸アイオノマーなどが挙げられる。これらのアイオノマー樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアイオノマー樹脂のうち、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマーが好ましく用いられる。
なお、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマーは、「ハイミラン1554」、「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1601」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1650」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1855」、「ハイミラン1856」などとして、三井・デュポンケミカル(株)から入手できる。
本発明の樹脂組成物において、各成分の割合は用途における要求物性を考慮して選択でき、フィルムに適用する場合には成形性やヒートシール性などを改善できる限り特に制限されない。例えば、オレフィン系樹脂(B)の割合は、ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは30〜800重量部、さらに好ましくは50〜500重量部(例えば、75〜500重量部)程度の範囲から選択できる。環境への負荷を軽減する観点からは、引き裂き強度及びヒートシール性を高めつつ、ポリ乳酸系樹脂の使用割合を大きくするのが有用である。そのため、オレフィン系樹脂(B)の割合は、ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対して70〜500重量部、好ましくは100〜400重量部、さらに好ましくは120〜300重量部(例えば、150〜250重量部)程度であってもよい。なお、オレフィン系樹脂(B)の割合が少なすぎると、組成物の引き裂き特性やヒートシール性がさほど向上しない。
ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)との合計100重量部に対する酸変性オレフィン系樹脂(C)の割合は、例えば、1〜30重量部(例えば、2〜25重量部)、好ましくは3〜20重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよく、1〜15重量部(例えば、3〜15重量部)程度であってもよい。酸変性オレフィン系樹脂(C)の割合が少なすぎると、フィルム成形性に劣り引き裂き特性やヒートシール性をさほど向上できず、酸変性オレフィン系樹脂(C)の割合が多すぎると、組成物中に含まれる植物由来成分が少なくなり、グリーンプラスチックとしての本来の性能が損なわれるとともに、材料の柔軟性が損なわれる場合がある。
さらに、オレフィン系樹脂(B)100重量部に対する酸変性オレフィン系樹脂(C)の割合は、例えば、2〜25重量部、好ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜18重量部(例えば、6〜15重量部)程度であり、通常、5〜15重量部程度の使用量であれば十分な機械的特性及びヒートシール性が発現する。また、オレフィン系樹脂(B)が低分子量成分を含んでいても、低分子量成分のブリードアウトを有効に抑制できると期待される。
なお、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が10重量%未満であると、グリーンプラスチックとしての本来の意義が損なわれる。本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が多くても、均質で機械的特性(引き裂き強度など)及びヒートシール性などに優れる。そのため、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、樹脂成分(ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)と酸変性オレフィン系樹脂(C)との総量)に対して10重量%以上、例えば、15〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは25〜40重量%(例えば、30〜35重量%)であってもよい。
本発明の前記樹脂組成物は、さらに添加剤、例えば、有機又は無機フィラー、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、安定化剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、粘着付与剤、軟化剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤などを含んでいてもよい。
樹脂組成物は、各成分のドライブレンド物であってもよいが、通常、溶融混練され、冷却されたペレットなどの形態である場合が多い。樹脂組成物は、例えば、前記各成分を、ロールニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、一軸押し出し機、二軸押し出し機などの混練機で混練することにより調製できる。混練は単一の混練機を用いて行ってもよく2種以上の混練機を用いて行ってもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物は、成形性(フィルム成形性など)、ヒートシール性に優れている。そのため、本発明の前記樹脂組成物はホットメルト接着剤として適しているとともに、ヒートシール層(熱融着層)を形成するのに有用である。このヒートシール層は、単独でフィルム(ヒートシール性フィルム又は熱接着性フィルム)を形成してもよい。また、ヒートシール層は、用途に応じて種々の基材に適用でき、基材と、この基材の少なくとも一方の面に、前記樹脂組成物で形成された樹脂層(又はヒートシール層)とで積層体(又は積層フィルム)を構成してもよい。積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、前記樹脂組成物で形成された樹脂層を形成することにより製造できる。基材としては、金属類、セラミックス類、木材類、紙類などであってもよいが、包装材料の分野では、熱可塑性樹脂で構成されたフィルム及び/又は紙である場合が多い。なお、「フィルム」はシートを含む意味に用いる。
基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロースエステル類などが例示できる。さらに、グリーンプラスチックとしての意義を高めるため、基材フィルムもバイオマス由来成分の樹脂フィルム又は生分解性樹脂フィルムであってもよい。このようなフィルムは前記ポリ乳酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロースエステル類などで構成できる。これらのフィルムは単独の熱可塑性樹脂で形成してもよく、二種以上の熱可塑性樹脂で構成された複合体(アロイ系フィルム)又は積層体であってもよい。これらのフィルムのうち、通常、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ乳酸系樹脂フィルムなどを用いる場合が多い。
これら基材フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。さらに、これらの基材フィルムの表面は前記樹脂組成物との密着性を高めるため、表面処理(例えば、コロナ放電処理、アンカーコート処理やプライマー処理など)されていてもよい。基材フィルム(シートを含む)の厚みは特に制限されず、通常、1μm〜2mm、好ましくは5μm〜1mm程度の範囲から用途に応じて選択できる。フィルムの厚みは、通常、5〜200μm(例えば、7〜100μm)、好ましくは10〜50μm程度である場合が多い。
前記樹脂層(又はヒートシール層、熱融着層)の厚みは用途に応じて0.2〜100μm程度の範囲から選択でき、通常、0.5〜30μm(例えば、1〜25μm)、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは3〜10μm程度であってもよい。なお、前記樹脂層(又はヒートシール層、熱融着層)は、基材フィルムに対して、直接形成してもよく、アンカーコート層やプライマー層などの接着層を介して形成してもよい。
このような積層体は、慣用の方法、例えば、前記樹脂組成物を含む塗布剤を基材に塗布する塗布法、接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、押出成形法などで形成できる。なお、塗布法では、前記樹脂組成物を有機溶媒に溶解又は分散して塗布してもよく、前記樹脂組成物を溶融状態で塗布してもよい。
本発明の樹脂組成物は、フィルム成形性に優れているため、慣用のフィルム成形法(Tダイ、インフレーションダイなどを用いたフィルム成形法)により容易に前記樹脂層(又はヒートシール層、熱融着層)又はフィルムを形成できる。例えば、前記樹脂組成物を溶融混練してダイ(Tダイ又はサーキュラダイ)のスリットから押し出し、冷却して単層フィルムを製造することができる。また、共押出成形法により、ダイ内で基材フィルムの溶融層と前記樹脂組成物の溶融層とを合流させて積層し、積層した溶融フィルムをダイから押し出して冷却し、固化させることにより積層体(又は積層フィルム)を製造してもよい。さらに、溶融押出ラミネート法により、前記樹脂組成物を溶融混練してダイのスリットから押し出し、前記樹脂層(又はヒートシール層、熱融着層)を基材フィルムに積層して積層体(又は積層フィルム)を製造してもよい。この溶融押出ラミネート法では、基材フィルムには、コロナ放電処理、接着剤やプライマーなどにより接着処理を施していてもよい。さらには、接着剤を用いて、基材フィルムと前記樹脂組成物のフィルム又は溶融フィルムとを積層するドライラミネート法により、基材フィルムに樹脂層が積層された積層体(又は積層フィルム)を製造してもよい。なお、溶融押し出し成形されたフィルムの冷却は、慣用の方法、例えば、冷却ドラムとの接触又は空冷方式で行うことができる。
溶融押出温度は前記樹脂組成物の種類に応じて150〜250℃程度の範囲から選択できる。ポリ乳酸系樹脂を用いる場合、通常、175〜230℃(例えば、180〜220℃)程度であってもよい。溶融押出ラミネート法及びドライラミネート法において、前記接着剤及びプライマーとしては、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエチレンイミン系接着剤、チタネート系接着剤などが利用できる。積層フィルム(例えば、単層フィルム、共押出し積層フィルムなど)は、一軸又は二軸延伸処理してもよい。
なお、前記樹脂層(ヒートシール層)は基材フィルムの少なくとも一方の面に形成すればよい。また、積層フィルムは、コロナ放電処理などにより易接着処理してもよい。
本発明の樹脂組成物は、バイオマス成分を用いた樹脂を含有しつつ、引裂き強度やシール強度を改善でき、良質のフィルムを成形できる。そのため、環境に対する負荷の少ないグリーンプラスチックとして有用であるとともに、包装材料、特にヒートシール層を形成する材料として有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例では、以下の成分を用いた。
ポリ乳酸系樹脂(A):
(A-1)ポリ乳酸PLA(「レイシアH100」三井化学(株)製)
(A-2)ポリ乳酸PLA(「レイシアH400」三井化学(株)製)
オレフィン系樹脂(B):
(B-1)直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(「エボリューSP1540」プライムポリマー(株)製)
(B-2)直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(「エボリューSP1520」プライムポリマー(株)製)
(B-3)低密度ポリエチレンLDPE(「ノバテックLC520」日本ポリエチレン(株)製)
(B-4)直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(「ノバテックUF230」日本ポリエチレン(株)製)
(B-5)直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(「エボリューSP1510」プライムポリマー(株)製)
(B-6)直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(「エボリューSP0510」プライムポリマー(株)製)
酸変性オレフィン系樹脂(C):
(C-1)アイオノマー(「ハイミラン1706Zn」三井・デュポンケミカル(株)製)
(C-2)アイオノマー(「ハイミラン1855Zn」三井・デュポンケミカル(株)製)
なお、前記オレフィン系樹脂(B)の分散度、低分子量成分の含有量などの特性を下表に示す。また、実施例及び比較例で用いたオレフィン系樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布を図1に示し、低分子量成分の分布状態を図2に示す。
Figure 0005214271
実施例1
ポリ乳酸PLA(「レイシアH100」三井化学(株)製)35重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(「エボリューSP1540」プライムポリマー(株)製)65重量部、アイオノマー(「ハイミラン1706Zn」三井・デュポンケミカル(株)製)5重量部を、2軸押し出し機(アイ・ケー・ジー(株)製、PMT73−40.5)を用いて溶融混練(190℃、150rpm)し、ノズル(190℃)から直径約3mmで水中に押し出して固化し、ついで長さ約3mmに切断し、樹脂ペレットを得た。
得られたペレットを十分に除湿乾燥し、径φ32mmの小型押出し機を用いて180℃で溶融し、径φ75mmサーキュラダイ(スリット幅1mm)からインフレーション成形し、インフレチューブ(厚み40μm、幅250mm)得た。
比較例1〜3
表3に示す割合(重量部)で各成分を用いる以外、実施例1と同様の操作を行った。
〈樹脂組成物の評価〉
(成形性)
フィルム成形性を以下の基準で評価した。
○:フィルムの表面が均一
△:フィルムの表面が不均一
×:フィルムの表面が著しく不均一又はフィルム成形ができない
(メルトフローレート:MFR)
JIS K−7210の手法に従って、得られたチップを190℃に保ったシリンダに充填し、充填棒を用いて圧縮した。チップを充填し、4分30秒後に2.16kgの荷重を加え、30秒間に亘り樹脂を押し出した。押し出された樹脂の重量を10分間押し出した重量に換算し、メルトフローレートの値(g/10分)とした。
(エルメンドルフ引裂き強度)
JIS K7182に準拠して、長方形試験片で機械方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の引裂き強度を測定し、100μm厚みに換算した。
(シール強度)
フィルム面を合わせてヒートシール圧1kg/cm、シール時間1秒、片面加熱により温度140℃で圧着し、剥離角度90°、試験速度300mm/分、試験片巾15mmで剥離強度(シール強度)を示した。
結果を表3に示す。
Figure 0005214271
表3において、実施例1と比較例1〜3との比較から、所定の直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、成形性、エレメンドルフ引裂き強度およびシール強度が顕著に向上する。なお、比較例2及び3よりポリ乳酸の種類を変更しても、成形性の改善、引裂き強度(MD方向)やシール強度の向上はみられなかった。
実施例2
ポリ乳酸PLA(「レイシアH100」三井化学(株)製)30重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(「エボリューSP1540」プライムポリマー(株)製)70重量部、アイオノマー(「ハイミラン1855Zn」三井・デュポンケミカル(株)製)5重量部を、2軸押し出し機(アイ・ケー・ジー(株)製、PMT73−40.5)を用いて実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。
得られたペレットを十分に除湿乾燥し、径φ50mmの中型押出し機を用いて、180℃で溶融し、φ100mmサーキュラダイ(スリット幅1mm)からインフレーション成形し、インフレチューブ(厚み40μm、幅360mm)を得た。
実施例3、比較例4及び5
表4に示す割合で各成分を用いる以外、実施例2と同様の操作を行った。
Figure 0005214271
表4において、実施例2及び3と比較例4及び5との比較から、所定の直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、成形性、エレメンドルフ引裂き強度およびシール強度が顕著に向上する。
実施例4及び比較例6
表5に示す割合(重量部)で各成分を用いる以外、実施例2と同様の操作を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005214271
表5において、実施例2、4と比較例6との比較から、アイオノマーを添加しないとフィルム成形(製膜)が不可能であり、アイオノマーの効果が確認できる。
実施例5
実施例1で得た40μmのフィルムを濡れ張力40dynで片面コロナ放電処理した。この処理面と、二軸延伸ポリ乳酸フィルム25μm(東セロ(株)製「パルグリーンLC」)のコロナ放電処理面とを、2液硬化型のポリウレタン系樹脂からなる接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、主剤:タケラックA969/硬化剤:タケネートA5)を3g/m(乾燥後)の塗布量にてドライラミネートした。この積層体を140℃にて三方ヒートシールした。シール強度は14N/l5mm幅であり、実用上十分な強度を有している。また、バイオマス由来の樹脂であるポリ乳酸を約59重量%含むため、環境にやさしい包材として好適である。
実施例6
二軸延伸ポリエステルフィルム12μm(東洋紡績(株)製「E5100」)のコロナ放電処理面と、二軸延伸ナイロンフィルム15μm(ユニチカ(株)製「エンプレムONBC」)のコロナ放電処理面とを、2液硬化型のポリウレタン系樹脂からなる接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、主剤:タケラックA969/硬化剤:タケネートA5)を3g/m(乾燥後)の塗布量にてドライラミネートした。実施例2で得た40μmのフィルム片面をコロナ放電処理して濡れ張力40dynとし、この処理面と上記で得られた積層体のナイロンフィルム側のコロナ放電処理面とを、上記と同じ接着剤及び塗布量にてドライラミネートした。この積層体を170℃にて三方ヒートシールした。シール強度は20N/15mm幅であった。透明性、機械強度及び柔軟性も保持している。また、ポリ乳酸を約15重量%含有するため、化石資源由来の樹脂の節減となる。
図1は実施例及び比較例で用いたオレフィン系樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布を示すグラフである。 図2は実施例及び比較例で用いたオレフィン系樹脂(B)の低分子量成分の分布状態を示すグラフである。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(B)と、カルボキシル基、酸無水物基又はこれらの金属塩を含む酸変性オレフィン系樹脂(C)とを含む樹脂組成物であって、
    前記酸変性オレフィン系樹脂(C)がアイオノマー樹脂であり、
    ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対するオレフィン系樹脂(B)の割合が30〜800重量部であり、
    ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)との合計100重量部に対する酸変性オレフィン系樹脂(C)の割合が1〜30重量部であり、
    ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)と酸変性オレフィン系樹脂(C)との総量に対するポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が15〜50重量%であり、
    前記オレフィン系樹脂(B)の分散度が4以下であり、かつ重量平均分子量1000〜10000の低分子量成分の積算含有量が0.3〜3.5面積%であるポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. オレフィン系樹脂(B)が、分散度1.8〜3.5、かつ重量平均分子量1000〜10000の低分子量成分の積算含有量0.5〜3面積%を有する請求項1記載の樹脂組成物。
  3. オレフィン系樹脂(B)が、重量平均分子量1.3×10〜2.3×10、数平均分子量5×10〜8×10を有する請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. ポリ乳酸系樹脂(A)がポリ乳酸であり、オレフィン系樹脂(B)がメタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であ請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. ポリ乳酸系樹脂(A)100重量部に対してオレフィン系樹脂(B)70〜500重量部を含む請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)との合計100重量部に対して酸変性オレフィン系樹脂(C)3〜20重量部を含む請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. オレフィン系樹脂(B)100重量部に対して酸変性オレフィン系樹脂(C)2〜25重量部を含む請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が、ポリ乳酸系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(B)と酸変性オレフィン系樹脂(C)との総量に対して20〜45重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物で形成されたヒートシール層。
  10. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂層とで構成されている積層体。
  11. 基材が、熱可塑性樹脂フィルムである請求項10記載の積層体。
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