JP5214181B2 - 疎水化処理による獣毛繊維の防縮加工処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、獣毛繊維に恒久的な撥水機能を保持して、耐水洗濯性に優れた防縮処理方法およびその獣毛製品を提供するものである。
繊維加工技術の内、繊維表面を取り扱ったものが実に多い。合成繊維の表面は疎水性であり、それを改良するために親水化する各種の技術が開発されているが、羊毛繊維は動物繊維であり、全ての動物繊維の表面は、その生体を保護するために水を撥じく疎水性である。羊毛繊維を親水化すると水の吸着・脱着に伴う熱損失が激しくなりそれだけ生体の生命維持に影響することになる。今日、羊毛繊維の表面処理について開発されたものの大半は、親水化する技術である。その代表的なものに、羊毛の水洗濯時の収縮を抑える防縮加工として、塩素化剤や過硫酸らによる前処理を羊毛繊維表面に施して親水化し、その表面を親水性のポリマ−で被覆する方法が全世界中に普及している(塩素化樹脂方法‐CL/Hercoset法:一例として、特許文献1( クロイ・アンシュリンカブル・ウ−ルズ・リミテッド)がある。羊毛を親水化することによって防縮性は付与されるが、水に対する親和性が増すため、保温性が低下し、再汚染され易く、セ−タ等の水洗濯で「伸び」や「たらつき」、繊維強度の低下、光熱黄変を助長する結果となる。
空気の比伝導度[ cal・in/m2・sec ℃]は、0.23であり、空気を1とすると、羊毛の相対伝導度は、9であり、ナイロン10、綿27である。従って、繊維集団内に如何に多くの空気を取り込むかが繊維の保温性に深く関係していることになる。空気は疎水性であり、羊毛を含めた動物繊維の表面を親水化すると、この空気を疎水結合で繊維表面に強く保持することが出来ず、寒いあるいは暑い外気の空気と容易に置換することになる。又、毛織物等に水滴が掛かった場合,容易に空気を排出して繊維集団内に水が浸透することになる。当然のことながら、動物繊維の表面は全て疎水性であることに大きな理由がある。
本発明は、羊毛の本来の性質を損傷することなく、羊毛繊維表面に疎水性の合成高分子を被覆して防縮性を付与し羊毛本来の疎水性を保持する点である。この構想を導く基本技術は、水相と有機相からなる界面を利用する液・液界面重合方法である。この界面重合方法を利用した羊毛トップや毛織物への技術開発( 特許文献2)は古く 1963年代まで遡ることができるが、有機層に健康や環境に対して危険物質であるパ−クロロエチレン、トルエン、四塩化炭素等からなる溶剤を用いるため工業的には成功を収めることが出来なかった。
水相と有機相を用いた液・液界面重合を利用した羊毛等獣毛繊維構造物への防縮処理と染色、柔軟、抗菌、撥水等の機能加工処理方法が特許文献3に開示されているが、列記された有機溶剤がトルエン、ベンゼン、クロロホルム,Stoddard Solventであり健康や環境に対して危険物質であり、引火性があり、安全な作業環境で作業が出来ない点から工業化されていない。
更に、ジアミンを含む水溶液相に毛織物を浸漬して絞り、直ちに、二塩基酸ジクロライドを溶解したトルエン有機溶剤に浸漬して、羊毛繊維表面で形成した液・液界面を利用して界面重合を行なっているが、毛織物付着した水が、必然的に有機溶剤相に浸入するため、二塩基酸ジクロライドは水と反応してジカルボン酸となり界面重合反応を停止する結果となる。この二塩基酸ジクロライドの加水分解をどの様に解決するかが大きな課題となり実用化されていないのが現状である。
近年、環境保全の問題からドライクリ−ニング業界では、パ−クロロエチレンを無公害型の新規溶剤−シリコ−ン溶剤(三菱重工産業機器(株)・信越化学工業(株)社製−ダイヤシリコ−ン及びグリ−ン・ア−ス・クリ−ニング・リミテッド・カンパニ−(Green Earth Ltd. Co.社製− シリコ−ンドライ)等に代替することが行なわれている。
グリ−ン・ア−ス 社は、特許文献4および特許文献5でオクタメチル−シクロテトラシロキサン(テトラマ−)、デカメチル−シクロペンタシロキサン(ペンタマ−)およびドデカメチル−シクロヘキサシロキサン(ヘキサマ−)の環状シリコンを開示している。一方三菱重工産業機器(株)社製のシリコ−ン溶剤は直鎖状のデカメチルテトラシロキサンとして市販されている。
羊毛繊維の臨界界面張力は、単繊維で45−50dyn/cm、繊維集団で 30dyn/cmと言われている。グリ―ン・ア―ス社のシリコ―ン溶剤の臨界界面張力は、17.8dyn/cmであり、羊毛繊維集団内の各単繊維の表面にも容易にシリコ―ン溶剤が拡張することが可能であり、界面重合が均一に行なわれることを意味している。一方、羊毛繊維の水溶液処理では、水の臨界界面張力が、72−76dyn/cm前後であり、羊毛繊維表面を水に「ぬらす」ために、浸透剤を水溶液に入れても完全に「ぬらす」ことは難しい。そのため、水溶液処理は、溶剤処理と比較して処理の均一性に欠けることになり、疎水性のポリマ―を水溶液媒体で処理することは、均一性から問題となる。
環境保全のための法規制が設定されているが、テトラクロロエチレンについての法規制について列記すると表1のようになる(非特許文献1)。
一方、シリコ―ン溶剤の法規制は表2のように、非常に環境に優しい溶剤である(非特許文献1より)。従って、シリコ―ン溶剤は、更に、臭気がなく、化学火傷もなく、取り扱い易い溶剤であり、界面重合処理を行なうには好都合な溶剤である(非特許文献1)。
有機溶剤を用いる場合、作業環境法や労働安全衛生法に規制されない安全な操業が出来ることが必要であり、更に、大気汚染防止法や水質汚濁防止法にも規制されない溶剤であることが必要であるが、本発明に用いたシリコ―ン溶剤はこれに適合し、又水と混入しない(Water Immiscible)溶剤であるため、水相と溶剤相の間で、液・液の界面が形成されており、最初、室温で、容器に0.1mol/l ヘキサメチレンジアミン水溶液を入れ、次に、室温で、シリコ−ン溶剤液に0.1mol/lセバコイルクロライドを溶解した溶液をこの容器に注ぎ込んだ所、水相と溶剤相の界面で、図1に示すように、ナイロン・ポリマ−が形成されていることを確認し本発明を追行するに至った。図1は、本発明の考案の基礎となる実験を示し、図中の I は、水とシリコ―ン溶剤とで形成される液・液界面を示し、比重の関係から底部は水を上部はシリコ―ン溶剤を示し、図中の II は、液・液界面でナイロン・ポリマ―(白色)の形成を示す。
これは、水相のジアミンが有機溶剤相へと拡散し、二塩基酸クロライドと反応してナイロン・ポリマ−を室温の液・液界面で、直ちに、形成されるものである。しかし、二塩基酸クロライドと水との反応が付随して起こり、ジカルボン酸となりナイロン・ポリマ−の形成を阻害する結果となり、それ故に、液・液界面重合方法の実用化を阻害していた。
この問題を解決するために、本発明は、毛織物をジアミン水溶液に浸漬して絞り、風乾して繊維上の水分を駆除して固体表面を形成させた後、二塩基酸クロライドを含むシリコ―ン溶剤液に浸漬して、固・液界面を形成して界面重合を行なう方法を考案し本発明を完成させることに至った。
風乾して繊維上の水分を駆除して固体表面を形成するとは、獣毛繊維からなる織物、例えば、毛織物あるいは編物では、微かに湿った状態を意味し、含水率で30−40%(wt%)まで風乾することを意味する。風乾が不適当の場合、毛織物或いは編物上に付着した水が、次の工程であるシリコ−ン溶剤に溶解した二塩基酸ジクロライドと反応してジカルボン酸となり界面重合反応を妨げる結果となり、防縮処理効果も悪影響することになる。
漂白された羊毛繊維からなる織物や編物をジアミン水溶液に浸漬して絞り、風乾処理を施すと、ジアミンの塩基性のために、黄変を示す場合がある。この問題を解決するために、第一浴のジアミン水溶液に毛繊維を浸漬した後、第二浴のシリコ―ン溶剤のみに浸漬して絞り、毛繊維に付着した水をシリコ―ン溶剤に置換して駆除し、次に、第三浴の二塩基酸クロライドを含むシリコ―ン溶剤に浸漬して絞り、ポリマ―を形成させた後、ギ酸処理、水洗、乾燥すればよい。
羊毛繊維は、両性のタンパク質であり、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸,中性アミノ酸から構成されており、前項の第一浴の水溶液中のジアミンは羊毛繊維のカルボキシル残基を持つ酸性アミノ酸や脂質に吸着され、羊毛繊維表面の水は、前項の第二浴で、水がシリコ―ン溶剤に置換させるために、羊毛繊維表面にジアミンが固着することになる。
特公昭61−39430号公報 USA Patent,3,078,138, Patented Feb. 19,1963 特開平10−266078号公報 特表2002−520508号公報 特表2003−518426号公報 名古屋テキスタイル研究会 主催 「ドライクリーニング最前線―シリコーンドライシステムについて」 三洋電機テクノクリエイト(株) 講演資料より (平成18年7月27日、名古屋市工業研究所)
本発明の目的は、上記の従来技術がなし得なかった、獣毛繊維の特質の一つである本来の撥水性を保持しつつ、風合いやその他の特性を損なうことなく、耐水洗濯性に優れた防縮製品を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねてきた結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、獣毛繊維をジアミン水溶液に浸漬して絞り、固・液界面を形成させるために風乾し、環境破壊や作業環境の悪化を引き起こさないシリコ―ン溶剤に二塩基酸クロライドあるいはジイソシアネ―トを溶解し、室温で、数秒間浸漬して獣毛繊維表面にポリアミド、ポリ尿素ポリマ―を形成させ、獣毛繊維に付着したシリコ―ン溶剤を乾燥蒸発させて溶剤回収することなく、ギ酸水溶液に直ちに浸漬してオリゴマ―を駆除し、中和・水洗を行い、乾燥する。一方、獣毛織物に付着したシリコ―ン溶剤は水洗処理後の廃液を比重差による分離方法で溶剤を回収する方法を考案するに至った。以下に本発明の内容を詳述する。
本発明によれば、獣毛繊維の本来の撥水性能を損なうことなく、疎水性のポリマ−で処理することによって優れた防縮性を付与することが出来る。空気は疎水性であり、本発明の方法に従って処理された獣毛繊維は強固な疎水性を示し、その結果、獣毛繊維間の微小空気層を強く保持するために、獣毛繊維製品の保温性の高い、撥水性のある獣毛繊維製品を提供することが可能である。
本発明における獣毛繊維とは、羊毛、カシミヤ、モヘア、アンゴラ、キャメル等からなる天然ケラチン質繊維を意味する。獣毛繊維製品とは、織物、編物、不織布等を意味し、他繊維との混合使用として、ポリエステル、アクリル、ナイロン、アラミド、塩化ビニ―ル等の合成繊維や絹、綿、麻、レーヨン等の再生セルロ―ス繊維が含まれる。
本発明に用いる溶剤は、第一条件として、法的規制を受けない環境に優しい溶剤であり、第二条件として水と混入しない(Water Immiscible)の溶剤であり、それによって液・液界面あるいは固・液界面が形成されることであり、第三条件として溶剤が不活性であることが必要である。この条件に適合する溶剤として、三菱重工産業機器(株)社製の直鎖状シリコン、即ち、デカメチルテトラシロキサンやグリ−ン・ア−ス社製の環状シリコン、即ち、オクタメチル−シクロテトラシロキサン(テトラマ−)、デカメチル−シクロペンタシロキサン(ペンタマ−)およびドデカメチル−シクロヘキサシロキサン(ヘキサマ−)が挙げられる。従って、好ましい溶剤としては、シロキサン溶剤であり、直鎖状または環境のシリコ−ンが例示される。特に好ましくは、三菱重工産業機器社製のダイヤシリコ−ンが挙げられる。
次に本発明の処理方法について述べる。上記の獣毛繊維製品、例えば毛織物を常法によって精練した後、水溶性のジアミン、浸透剤、必要によってアルカリ剤を含む水溶液中に浸漬し、毛織物の表面が湿っているような状態になるようにマングルで約50%(wt%)に絞り、熱を加えない状態で風乾し、次に、二塩基酸クロライドを含む上記シリコ―ン溶剤に室温で浸漬し、約80%(wt%)程度に絞った後、30−50℃で約3%(v/v%)のギ酸水溶液に浸漬して水洗・中和処理を行ない、獣毛繊維の繊維表面にポリアミド薄膜を形成させるが、上記の二塩基酸クロライドの代わりにジアミンと反応するジイソシアネ―トやエポキシ類を使用することも出来る。
本発明で用いる浸透剤は、特に限定するものではないが、低温で浸透力があるものが望ましい。ジアミンと二塩基酸クロライドと反応して生成する塩酸を駆除するためにアルカリ剤を使用するが、そのアルカリ剤として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等が挙げられるが使用しなくてもよいが、使用量としては、ジアミンは、0.03から0.7mol/l程度でよい。アルカリ剤を使用する場合は、獣毛繊維への黄変等を考慮して出来るだけ少ない方がよい。その量としては、0.003から0.07mol/l程度でよい。浸透剤は、0.1から2.0% soln.でよい。
本発明で用いる水溶性ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、等の脂肪族ジアミンやパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられるが、特にこれに限定されるものではなく、又、これらのジアミンを組み合わせて使用してもよい。
本発明で使用する二塩基酸クロライドとしては、コハク酸クロライド、アジピン酸クロライド、ピメリン酸クロライド、スベリン酸クロライド、アゼライン酸クロライド、セバチン酸クロライド、シクロヘキサンジカルボン酸クロライド等の脂肪族ジカルボン酸クロライドやテレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、オルソフタル酸クロライド等の芳香族ジカルボン酸クロライドやヘキサンディオールビスクロロフォルメイト、デカンディオールビスクロロフォルメイト等のビスクロロフォルメイトが挙げられるが、特にこれに限定されるものではなく、又、これ等の二塩基酸クロライドを組み合わせて使用してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前述の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更して実施することはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
(加工処理試料)
羊毛繊維の防縮加工の性能を評価するために設定したIWS TM 31に記載する方法で作成した標準梳毛織物を用いて耐水洗濯性の評価を行なった。その基準を表3に示す。
(防縮性評価)
ISO 6330 に基づくIWS TM 31に従って耐水洗濯性を評価した。評価規定として、
「伸び」:洗濯によって引き起こされた長さ或いは幅寸法の増加を示し、正(+)の寸法変化として表す。
「収縮」:洗濯によって引き起こされた長さ或いは幅寸法の減少を示し、負(−)の寸法変化として表す。
と定義されており、ISO 6330 5A 及び 7A洗濯サイクルプログラムによって評価され、両プログラムとも負荷を 1kg に軽減して行い、洗濯サイクル及び洗濯回数は製品によって決定される。
計算式として、幅(WS)及び長さ (LS)方向の緩和寸法変化、フェルト収縮率、合計収縮率を下記の式で算出する。
緩和寸法変化率(%)=(RM―OM)/OM x 100
フェルト収縮率(%)=(FM―RM)/RM x 100
合計収縮率(%) =(FM−OM)/OM x 100
OM = 原長
RM = 緩和処理後の測定値
FM = フェルト処理後の測定値
緩和収縮、フェルト収縮とも面積収縮率は、下記の式で算出する。
面積収縮率(%)= WS + LS ―(WS x LS ) x 100
(風合い評価)
未処理の梳毛織物に対して、良好な風合いを示したものを「◎」、同程度の風合い性能を有しているものを「○」とし、粗硬で少し風合いの悪いものを「×」として評価した。
(撥水性評価)
JIS L 1092-1992 のスプレー試験及び記載された評価基準に従って撥水性能を試験し、表4の基準に基づいて評価した。
上記毛織物を下記の溶液 −1に浸漬し、毛織物に水分が付着しない程度、約50%に絞り、次に、30℃の温風を毛織物に吹き付けて毛織物の含水率を35%に調整した後、下記の溶液−2に浸漬し、絞り率を80%に高めて絞り、この状態を数秒間滞留させて固・液界面重合反応を完結させ、次に3%ギ酸(85%)水溶液で、温度30から40℃の条件で水洗し、毛織物上に付着してオリゴマ−を駆除して、水洗、乾燥した。処理操作上特記すべき点として、臭気や化学火傷もなく実施例1を追行することが出来た。
溶液−1(水相)
ヘキサメチレンジアミン 0.3mol/l
湿潤剤(タ−ジト−ル、TMN ユニオン・カーバイド社製) 0.1%soln.
水 残
溶液−2(溶剤相)
セバコイルクロライド 0.3mol/l
ダイヤシリコ−ン(三菱重工産業機器(株)社製) 残

IWS TM 31に記載する Wascater 試験機を用い、5Aプログラムで5回、洗濯した結果、未処理梳毛織物(図2−B)の面積収縮率は、−63.8%の「収縮」を示し、実施例1で処理された梳毛織物(図2−A)の面積収縮率は、−1.0%の「収縮」を示した。両試料の収縮状態を図2に示す。
実施例1の溶液−1、−2を下記の溶液−3、−4に変えて、実施例1に示す試料で同様の処理を行なった。
溶液−3(水相)
ヘキサメチレンジアミン 0.2mol/l
浸透剤(タ−ジト−ル、TMN ユニオン・カーバイド社製) 0.1%soln.
水 残
溶液−4(溶剤相)
セバコイルクロライド 0.2mol/l
ダイヤシリコ−ン(三菱重工産業機器(株)社製) 残
実施例1の溶液―1、−2の組成を、下記の溶液―5、−6に変えて、実施例1に示す試料で同様の処理を行なった。
溶液−5(水相)
ヘキサメチレンジアミン 0.1mol/l
浸透剤(タ−ジト−ル、TMN ユニオン・カーバイド社製) 0.1%soln.
水 残
溶液−6(溶剤相)
セバコイルクロライド 0.1mol/l
ダイヤシリコ−ン(三菱重工産業機器(株)社製) 残
実施例1の溶液―1の組成を、下記の溶液―7に変えて、実施例1に示した試料で同様な処理を行なった。
溶液―7(水相)
ポリエチレンイミン(成分30%) 5%soln.
(ナカライテスク(株)社製)
湿潤剤(タ−ジト−ル、TMN ユニオン・カーバイド社製) 0.1%soln.
水 残
実施例1の溶液−1の組成を、下記の溶液−8に変えて、実施例1に示した試料で同様な処理を行なった。
溶液−8(水相)
ポリエチレンイミン(成分30%) 5%soln.
(ナカライテスク(株)社製)
ヘキサメチレンジアミン 0.15mol/l
湿潤剤(タ−ジト−ル,TMN ユニオン・カーバイド社製) 0.1%soln.
水 残
実施例1に記載した方法に従って処理した。但し、溶液―1(水相)の処理後、常温のシリコ―ン溶剤のみの溶剤に浸漬して、毛織物上の水をシリコ―ン溶剤で置換し、絞り率 80% 程度に絞り、次に、溶液―2(溶剤相)の処理を実施した。
(比較例1)
毛織物を溶液−1に浸漬した後、マングルで100%に絞り、風乾することなく、直接、溶液−2に浸漬して処理した。それ以外は、実施例1に従って処理した。毛織物に付着した過剰の水分のため、溶液−2は、直ちに白濁し、毛織物の表面にセバコイルクロライドの加水分解物が付着していた。
(比較例2)
毛織物を溶液−1に浸漬後、マングルで100%に絞り、次に、溶液−2のシリコ―ン溶剤の代わりにトルエンに変えた溶液に浸漬した。それ以外は、実施例1の方法に従った。トルエンの刺激臭があり、皮膚に刺激性の痛みがあり、毛織物に付着した水分のため、トルエンに含まれるセバコイルクロライドと反応して白濁し、毛織物の表面にセバコイルクロライドの加水分解物が付着していた。
以上の結果を纏めた表5から、毛織物をジアミン水溶液浸漬後、風乾処理を施すことによって或いは水をシリコ―ン溶剤で置換することによって、毛織物の表面を固・液化表面とし、その後、二塩基酸クロライドの溶剤相に浸漬して固体と液体の界面でポリアミド・ポリマ−を形成させ、羊毛表面を親水化することなく毛織物の防縮性が付与されていることが判った。疎水性のポリマ−を疎水性の媒体で処理するために、ポリマ−が均一に処理することが出来た。その結果、樹脂量を少なくして均一に処理出来るために風合いが低下しないことが判った。実施例1と比較例1とを考察して見ると、水相から溶剤相に毛織物が移動する際、毛織物に付着した水分が常に、溶剤相に入り、二塩基酸ジクロライドを加水分解するため、二塩基酸ジクロライドの薬剤疲労が激しく、濃度管理を複雑化し、製造コストにも多大な影響を及ぼすことになる。これを解決する手段として、本発明が開示する固・液界面重合が重要な対策となる。
液・液界面重合について開示されている、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、トリクロロエチレン、クロロホルム、Socal 25, Stoddard Solvent ,パ―クロロエチレン、等は、地球環境の保全の立場から、規制される物質であり、これを使用した生産処理は非常に制約されるものである。この問題を解決する手段として、シリコ―ン溶剤がある。本発明は、シリコ―ン溶剤を用いても界面重合反応が可能であることを明らかにし、生産操作上からもジアミン水溶液相から、シリコ―ン溶剤相に毛織物が移動する際、ジアミン水溶液処理後、風乾処理して毛織物の付着した水分を駆除すること或いは水をシリコ―ン溶剤で置換することによって、固・液界面重合が可能であることを開示した。
溶剤を用いた獣毛繊維の加工処理は、大気汚染、水質汚濁、労働衛生、作業環境、廃棄物処理、土壌汚染等々の問題から敬遠されてきたが、本発明で実施した無機系のシリコ―ン溶剤を用いることによって、獣毛繊維の本来の特性である撥水性を損なうことなく、新しい獣毛繊維の防縮加工処理が可能となり、更に、界面重合反応が、瞬時に室温で行なわれるため、省エネルギ―や節水に貢献できる点からも画期的である。
図中の I は、水とシリコ−ン溶剤(上部)とで形成される液・液界面を示す。図中の II は、ナイロン・ポリマ−(白色)が形成されていることを示す。 標準梳毛織物の収縮状態を示す。Aは実施例1の方法で処理された標準梳毛織物、Bは未処理標準梳毛織物を示す。

Claims (5)

  1. 獣毛繊維にジアミンが付着した状態で、水に混入せず環境保全のための法規制対象でない溶剤でありかつテトラマ−、ペンタマ−、ヘキサマ−からなる直鎖状あるいは環状シロキサン類を含む群から選ばれたシロキサン溶剤に脂肪族あるいは芳香族二塩基酸クロライド類から選ばれた二塩基酸クロライドを溶解した液に浸漬してポリアミド・ポリマ−を獣毛繊維表面に被覆することを特徴とする、獣毛繊維表面をポリマ−で被覆し疎水化処理して防縮性を付与する加工処理方法
  2. 獣毛繊維を脂肪族あるいは芳香族ジアミン類をから選ばれたジアミン水溶液に浸漬して絞り、風乾して処理する請求項1に記載の方法。
  3. 獣毛繊維を脂肪族あるいは芳香族ジアミン類から選ばれたジアミン水溶液に浸漬して絞り、次に、シリコ―ン溶剤に浸漬して獣毛繊維表面上の水をシリコ―ン溶剤で置換する請求項1に記載の法。
  4. 獣毛繊維にポリマ−処理後、ギ酸で処理して獣毛繊維表面に生成したオリゴマ−を駆除し、水に混入せず環境保全のための法規制対象でない溶剤でありかつテトラマ−、ペンタマ−、ヘキサマ−からなる直鎖状あるいは環状シロキサン類を含む群から選ばれたシロキサン溶剤を水との比重差を利用して分離回収する請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1に記載する獣毛繊維は、羊毛、カシミヤ、モヘア、アンゴラ、キャメルからなる天然ケラチン質繊維であり、その繊維集団として織物、編物、不織布からなる請求項1に記載の方法。
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