JP2008274505A - 蛋白質繊維品の恒久的セット方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】羊毛等蛋白質繊維品の安全で環境にやさしい恒久的フラットセット、プリーツセット、ストレッチ性付与、形態安定加工および染色性の改善方法を提供する。
【解決手段】羊毛等蛋白質繊維品のなどのセット処理法および染色性改善のための複合機能付与剤として新規で高性能なエチレンジアミン類の少なくとも一種、またはPH調整剤として有機酸を用いて、10〜100℃の液中あるいは蒸気中で5〜30分間処理する。安全で環境にやさしく、省エネ、省資源、省力型の処理法である。
【選択図】なし
【解決手段】羊毛等蛋白質繊維品のなどのセット処理法および染色性改善のための複合機能付与剤として新規で高性能なエチレンジアミン類の少なくとも一種、またはPH調整剤として有機酸を用いて、10〜100℃の液中あるいは蒸気中で5〜30分間処理する。安全で環境にやさしく、省エネ、省資源、省力型の処理法である。
【選択図】なし
Description
本発明は羊毛など蛋白質繊維類(羊毛、その他の獣毛、絹および人髪等)の綿状、トップ状,糸、織物、編物および不織布のフラットセット、プリーツ加工、絞り加工、エンボス加工、形態安定(防縮)および染色性の改善(染色濃度の向上と諸染色堅牢度の向上)のための化学薬剤処理による恒久的セット技術に関するものである。
現在、羊毛トップやバラ毛の洗濯によるフェルト収縮防止のための防縮加工としては塩素系酸化剤を主剤とするクロイハーコセット処理法が一般的である。塩素系酸化剤処理は塩素によるダイオキシン発生問題の他に処理には補助剤として大量の強酸を使うために有害な汚濁廃水を放出するという問題もあり、また、この処理によって羊毛等蛋白質繊維は黄変し染色物の彩度が低下するとともに強伸度も低下する。
織物、編物および防縮加工は水溶性ポリウレタン樹脂による方法が一般的であるが樹脂によってソフトで弾力性に富んだ羊毛等蛋白質繊維品が繊維間でファイバーボンデングされ、硬くなって、本来の肌さわりの良い風合いや弾力性、吸湿性が失われ,染色濃度は低下する。
織物のフラットセット、耐久性のあるズボンやスカートのラインやプリーツの付与加工のために最も一般的に用いられているのはチオグリコール酸アンモニューム、モノエタノールアミンバイサルファイトや亜硫酸水素ナトリュームである。これらは処理中の悪臭発生と衣料に残留する硫黄酸化物のために臭みやボタンなど金属類を腐蝕させる問題がある。
以下、さらに具体的に本発明に近い、先行特許(特許文献として下に列記)と対比して本発明が解決しようとする課題を説明する。
以下、さらに具体的に本発明に近い、先行特許(特許文献として下に列記)と対比して本発明が解決しようとする課題を説明する。
上の前処理としてpH5〜8.5アンモニューム塩やpH7.7〜9.5、30〜60℃の水溶液で10〜60分間処理する方法はアルカリで損傷しやすい蛋白繊維品の処理法としては適当でない。
処理法は工程が複雑であり、プロテインの低温での含浸のみによって化学反応式も示されておらず、繰り返し洗濯に耐える防縮性が付与されるとも考えられず、耐久性にも問題がある。
天然繊維に対して親水性のジクロルトリアジン系の化合物の単独あるいは混合物および架橋補助剤として脂肪族および/または芳香族の多価アルコール類、多価アミン化合物類、多価フェノール類、単糖類、多糖類、複合多糖類、蛋白質類の単独あるいは混合物の存在下で天然繊維素材に対する耐久性の優れたプリーツ加工する方法は主剤のジクロルトリアジンはトリアジン環と2個の塩素を含む物質で水に全く不溶で水に溶かすためにアルカリを用いるが溶解時に発煙したり、悪臭を発生し、繊維加工には適しない。羊毛等蛋白質繊維品との化学反応機構も不明である。
動物繊維に抗フェルト仕上施す方法において合成樹脂の方法によるポリマーベースの塩をメチロール化合物、ホルムアルデヒド、ホルムアルデハイド放出化合物例えばウロトロビン、その他の水溶液、分散物例えば反応性メタアクリレート分物、ポリエチレン分散物、尿素樹脂、メラミン樹脂と共に用いる方法とあり、有害なホルムアルデヒドによる防縮加工は安全と環境保全上、使用できない。
特許第3548758号 特開2003−49363 特開2003−239175 特開昭49−7596
特許文献1の方法は処理法が複雑である上にアルカリで損傷しやすい羊毛等蛋白質品を長時間アルカリ処理する処方に問題があり、また、形態安定化にチオグリコール酸アンモンなど硫黄を含む化合物を使用するために悪臭や金属の腐蝕を引起す点で問題がある。本発明ではフラットセット、プリーツ加工およびストレッチ加工にはエチレンジアミンのように硫黄を含まず悪臭を発せず、恒久的なセット効果のある薬剤を用い、形態安定加工には塩素系の酸化剤のように羊毛等のスケールを剥奪したり、ダイオキシンを発生したり、悪臭を発生しない安全な酸化剤を用いることによって作業環境および地球環境にやさしいセット処理および形態安定加工ができる点に特徴がある。
エチレンジアミン類は[化1]のように蛋白質繊維品と架橋反応し、蛋白質繊維品のセット効果を高め、染色濃度を高め、染色堅牢度を高める機構が下記の化学反応式で証明されている。
[化1]セット性発現を裏付けるエチレンジアミン(EDA)と羊毛の反応機構
羊毛を沸水中、EDA存在下で処理した羊毛繊維に起った反応機構について考察する。羊毛を沸水処理するとジスルフィド結合は(KSSK)は(1)式を経て(2)式により、デヒドロアラニン(DHAL)とシステイン(Cys)残基を生成する。
DHAL残基は(2)式で生成した(Cys)残基と(3)式にしたがって反応してランチオニン(LAL)架橋を生成する.
また,DHAL残基はリジノアラニンと反応し(4)式に従がってリジノアラニン(LAL)架橋を生成することが分かっている.
このようにフリーなアミノ基と容易に反応するので系中に多量存在するEDA(H2N−(CH2)2−NH2)と(5)式のように反応し、エチレンジアミノアラニン(EDALL)架橋を生成する。
EDA濃度が低い場合には、当然(2)式の反応が優先的に起こる。
酸性染料の吸着量の増加は、上に述べた開放構造による染着座席の増加が大きく寄与していると考えられるが高濃度のEDA(エチレンジアミン)領域で著しく染色濃度が増加するのは(5)式のようにEDAの末端NH2基の両者が付加反応に関与するのではなく、NH2基の一方だけ反応し、EDA側鎖アミノ基が自由の状態でエチレンアミノアラニン存在することによると考えられる。
[化1]セット性発現を裏付けるエチレンジアミン(EDA)と羊毛の反応機構
羊毛を沸水中、EDA存在下で処理した羊毛繊維に起った反応機構について考察する。羊毛を沸水処理するとジスルフィド結合は(KSSK)は(1)式を経て(2)式により、デヒドロアラニン(DHAL)とシステイン(Cys)残基を生成する。
DHAL残基は(2)式で生成した(Cys)残基と(3)式にしたがって反応してランチオニン(LAL)架橋を生成する.
また,DHAL残基はリジノアラニンと反応し(4)式に従がってリジノアラニン(LAL)架橋を生成することが分かっている.
このようにフリーなアミノ基と容易に反応するので系中に多量存在するEDA(H2N−(CH2)2−NH2)と(5)式のように反応し、エチレンジアミノアラニン(EDALL)架橋を生成する。
EDA濃度が低い場合には、当然(2)式の反応が優先的に起こる。
酸性染料の吸着量の増加は、上に述べた開放構造による染着座席の増加が大きく寄与していると考えられるが高濃度のEDA(エチレンジアミン)領域で著しく染色濃度が増加するのは(5)式のようにEDAの末端NH2基の両者が付加反応に関与するのではなく、NH2基の一方だけ反応し、EDA側鎖アミノ基が自由の状態でエチレンアミノアラニン存在することによると考えられる。
羊毛等蛋白質繊維は本来、合成繊維にはない優れた特性をもっている。例えば弾力性、保温性、吸湿性、保湿性、速乾性および易染色性があり、高級な衣料素材として認められている。しかし、唯一欠点としては洗濯するとフェルトしたり、着用中にズボンのラインやスカートの襞が取れやすく合成繊維と比べて取扱いにくいことである。この点を改善するために前者の耐洗濯性向上のためには従来法として塩素を使ったクロリネーション法が主流であり、後者の恒久的プリーツセット法としてはチオグリコール酸アンモンなど硫黄を含む還元剤を使用するのが主流になっている。同じ目的でジクロルトリアジン系の薬剤を使用する特許もあるが実用化されていないのが現状である。これらは有害な塩素や腐食性があり、硫黄を含むものは特異の悪臭のあるので地球環境や職場環境上、問題がある。これに対し本発明が解決しようとする課題は安全で環境にやさしい羊毛等蛋白質繊維品のセット方法の確立である。より具体的には塩素や硫黄を含まず、臭気もなく安全である上に少量の薬剤で薬剤のコストパフォーマンスもよく、プロセスが簡単で省エネ、省力、少資源である。また、[化1]に示すように羊毛等蛋白質繊維品との間の反応が完全に行われ、従来法のように有害な汚濁廃液を排出することもない。
羊毛等蛋白質繊維品の恒久的セットを安全で環境にやさしく、安価に実施するためにセットのために選定した主剤であるエチレンジアミンおよびその他の薬剤の使用量を最小限にするために[化1]に示す反応が最適条件で行われるように予め、出来るだけ少ない薬剤使用量で低温且つ短時間に所期の効果が得られるように被処理物の形態ごとに処理条件を実験して決定する。
本発明の方法は使用するすべての薬剤が安全で環境にやさしく、コストパフォーマンスも大きい。また、処理方法も簡単で再現性もよい。特にセット、プリー加工の目的に使用した主剤のエチレンジアミンは従来技術に比べて、セット効果が強く、耐久性も良い上に染色濃度が高く染色堅牢度も向上し、複合的な効果が発揮される点で発明の効果は大きい。
発明を実施するための最良の形態は現在、ニーズの高い羊毛織物のフラットセット,プリーツ処理,ストレッチ加工および染色性改善で処理方法としてはパッドスチーム法は極少浴比で短時間処理のために、薬剤コスト、廃液処理および処理の再現性向上のために最良の形態である。
経緯とも2/72のメリノ羊毛100%の平織の高級紳士用スラックス地(目付175g/m2)の洗濯機で洗える製品製造のために次のような工程を実施した。被処理物は通常の製造法に従がって精練後、乾燥後、2デイップ、2ニップのパデングマングルを用い、薬液槽に12.0%のモノ過硫酸、6.0%のエチレンジアミンおよび0.1%非イオン性脱気、浸透剤を含む水溶液を調整、1分間、20mの速度で絞り率60%でパッデイングした。そのまま、連続して、常圧スチーマに通し、100Lで30分間、蒸熱し、水洗して、防縮性、ストレッチ性があり、ソフトでシワになりにくく、形態安定性のある高級紳士用スラックス地を生産した。更にこの生地でスラックスを縫製後、ラインをつけて、従来のシロセット加工剤代わるエチレンジアミン10%溶液をスラックス重量の40重量%スプレーして付与し、ホフマン型プレス機でスチーミング30秒、ベーキング30秒、バキューミング30秒間プレスして、耐久性のあるラインのついたスラックスを製造した。
実験に用いた試料は経緯とも2/60の羊毛100%の2/2の綾織物で幅162cm、目付は200g/m2の染色していない白生地である。この織物をあらかじめ標準の方法で精練後、下記の条件でフラットセットした。実験に用いた機械は木村鉄工業所の単煮絨機で直径90cmのステンレス製ロールを備え、浴槽の容積は1000リットルである。この槽中に300mの試料をステンレスロールに巻付け、槽に540リットル(浴比約1:10)の水を張って、その中に0.01cc/リットルの非イオン性の浸透剤を添加して十分に湿潤させる。その後、浴中に1リットル(試料に対して2.0%o.w.f)のエチレンジアミンを10倍の水に溶かして徐々に注入する。注入後、10分間、試料を巻き付けたロールを回転させ、エチレンジアミンが均一に浸透した段階で単煮絨機に設置されたスチームパイプ使って20分間で90°Cに昇温、10分間処理して、薬剤を羊毛と架橋反応させてセット処理を行った。セットに使用した処理液はそのまま、排液し、完全に抜き取ってから冷水を入れて、数回、薬液が試料上に残らないように水洗して処理した。この処理で水だけで熱水処理する従来の煮絨工程よりフラットセット性が高く、耐久性のあるフラットセットができた。また、従来、ケミカルセットの目的で使用されてきたチオグリコール酸アンモンやモノエタノールアミンバイサルファイトと比べて、無臭で永久セット性の高いフラットが出来た。図1にこの方法でセットした織物のセット率とエチレンジアミンの濃度との関係を示す。従来の水だけのセットの場合セット直後では82%のセット率を示すがセット後、水に浸して膨潤緩和するとセット率は65%に低下し、家庭洗濯を5回すると約30%まで低下し、ほとんどセット性は消失する。これに対し実施例2の方法でセットするとエチレンジアミン濃度が増加するとセット率は顕著に増大し、エチレンジアミン量が3%以上でほぼ飽和に達し、水浸して膨潤緩和したり、洗濯してもセット直後の値と変らないことがわかる。図上の(□)はセット直後、(●)はセットご60°Cの湯に60分間浸した場合、(○)は家庭洗濯5回後のセット性を示す。
図2にセット処理布の外観写真を示す。エチレンジアミン濃度が6%濃度以下では、処理布の一端が巻き上げられる傾向にあるが10%になると処理布は平面状に固定されフラットセットされる。図2は図のように折曲げてラインをつけた状態で実施例1と同じ条件でセットしたものをセット後、一旦、乾燥し、家庭洗濯3回後のラインと布のフラットセットの状態を示すもので下の数字はエチレンジアミンの試料に対する溶液濃度を示す。
図2にセット処理布の外観写真を示す。エチレンジアミン濃度が6%濃度以下では、処理布の一端が巻き上げられる傾向にあるが10%になると処理布は平面状に固定されフラットセットされる。図2は図のように折曲げてラインをつけた状態で実施例1と同じ条件でセットしたものをセット後、一旦、乾燥し、家庭洗濯3回後のラインと布のフラットセットの状態を示すもので下の数字はエチレンジアミンの試料に対する溶液濃度を示す。
実験に用いた織物は経緯とも2/100番手のメリノ羊毛糸を用いた平織の先染織物(糸でチーズ染色)である。生地の目付は198m2である。標準のクリヤー仕上法により精練・仕上した織物を常圧の液流染色機を用いて処理した。処理に用いた薬剤は前処理剤としてモノ過硫酸6%o.w.f、マレイン酸2%o.w.f、浴比、1:30,処理温度25〜30°Cで30分間処理後、同浴にエチレンジアミン(無水)を6%添加して20分間で80°Cに昇温,20分間処理したのち、十分に水洗いした。その結果、IWTO TM−31法、5A−3法で洗濯しても収縮せず、毛羽立たない上に経緯6〜10%のストレッチ性のあるマシンウオッシャブルで2ウエイストレッチ性のある織物を生産できた。なお、この織物処理によって織物が膨潤し、羊毛のクリンプが大きくなり,経緯ともにそれぞれ3%収縮したために、厚みを増して高密度になり着用中のシワ回復性に優れた冬用紳士服地を生産できた。この織物は従来、クロイハーコセット(防縮)とシロセット(ライン加工)の組合せ加工が主流であるが、塩素や硫黄化合物を使うために現状に合わない。これに対し、本発明の方法は安全で環境にやさしくさらに、処理法も簡単で安価に生産できる。表1は本発明の方法と従来法(クロイハーコセット)による処理布のTM−31法の5A−3で洗濯した後の収縮とその場合の外観変化およびモンサント法による防シワ性を比較して示す。
*外観変化は洗濯後の試料の表面の毛羽たち、ピリングの発生状況、縫い目および折り曲げ部分の損傷状態から判定し、変化がない場合が5級、著しくフェルとして表面が毛羽たっている状態を1と評価している。
試料は2/12のアンゴラ50%,メリノ羊毛50%のセーターである。この試料をタンブラー染色機を使って防縮加工を行った。セーター重量に対し10%のモノ過硫酸カリと同量の酢酸(99%)で浴比1:30,30°Cで30分処理して、水洗い後、エチレンジアミン10%o.w.f(浴比(1:30)、90°Cで10分間処理した結果、繰り返し洗濯可能なセーターを生産出来た。なお、白生地でこの処理を行った後、染色すると染料の種類に関係なく染色の濃度が30〜50%向上し、アンゴラとメリノ羊毛の同色性のよい綺麗な染色が可能になった。図3はエチレンジアミン使用濃度と染色濃度の関係を示す。染料部属の異なる代表的な3染料(1:2 metal complex,MillingおよびLevelling染料の何れもエチレンジアミンの濃度が増すと染色濃度は向上するがエチレンジアミンの濃度が10mL/Lでほぼ飽和に達する。図の(●)は1:2 metal complex,(○)はMilling、(□)はLevelling,(△)はBasic染料の染色性を示す。
図4は同じようにエチレンジアミン使用濃度と天然染料による染色濃度の関係を示しているが合成染料の場合と同じく、エチレンジアミンの濃度が増すと比例的に染色濃度が増し、10mL/Lを越えても染色濃度は増え続かる。図の(●)は天然染料のエンジュ、(▲)は柿渋、(□)はカテキューの染色挙動を示す。
表2より、エチレンジアミン処理によって、合成染料および天然染料の何れでも各堅牢度ともに0.5〜1.0級向上する。
図4は同じようにエチレンジアミン使用濃度と天然染料による染色濃度の関係を示しているが合成染料の場合と同じく、エチレンジアミンの濃度が増すと比例的に染色濃度が増し、10mL/Lを越えても染色濃度は増え続かる。図の(●)は天然染料のエンジュ、(▲)は柿渋、(□)はカテキューの染色挙動を示す。
*1,*2はJIS L−845、*3JIS L−849による。
試料は経糸2/80メリノ羊毛、緯糸1/30の平織モヘヤ織物である。織物の目付は144g/m2である。この織物をエチレンジアミンの10%、マレイン酸2%溶液に水温でパッドし、絞率60%で脱水後、常圧のスチーマーで30分間スチーミング後、広幅で5槽の連続水洗機で水洗いし、乾燥すると緯方向にストレッチ性があり、目風が綺麗でモヘヤ独特の光沢のある織物を生産できた。この織物は広幅で経緯が整然として毛羽もなく、立体的に永久セットされているために糸間の空隙率が高く、通気性が大で涼感に富んだ夏の紳士服地を製造することができた。
経緯とも1/40,ニュージーランド羊毛(繊維の平均太さが38ミクロン)、2/2綾織物で目付が85g/m2の極薄織物を液流染色機を用いて、過マンガン酸カリ6.0重量%、20Lで30分間、処理後、同浴中にエチレンジアミン3.0重量%,マレイン酸2.0重量%添加して過マンガン酸カリの紫色が完全に消色して、本来の白色になるまで30〜40分処理して、白度の高いフラットセット性が高く、繰り返し、家庭洗濯に耐える形態安定羊毛繊維品が出来た。また、この織物を鮮美な羊毛用反応性染料を用いて染色して鮮やかで耐洗濯性の高い婦人用のブラウス生地を生産した。
天然の羊毛その他の獣毛繊維および絹は合成繊維にない数々の優れた特徴を有するとともに環境保全や安全および人に対する優しさから衣料用素材として最も望ましいが耐洗濯性など取り扱い上の難しさから敬遠されている。本発明の処理法によって、これら羊毛等蛋白質繊維品の本来の特性を損なうことなく、防縮性、形態安定性(永久的なフラットセット、プリーツ、ラインのセット)、ストレッチ性および優れた染色性の付与で合成繊維にない肌触りのよさと快適で着心地性がよく、取り扱いの容易な新規な高級衣料素材が誕生し、新しい販路の拡大が望める。また、高度な日本独自の技術に裏付けられた製品は新しい日本の産業の発展に寄与できる。
Claims (6)
- 繊維、糸、織編物および不織布状の羊毛等蛋白質繊維品(羊毛およびカシミヤ、アンゴラなどの獣毛、絹および人髪で以下これを蛋白質繊維品と総称する)の恒久的フラットセット、プリーツセット、ストレッチ性付与および形態安定処理方法(以下これらを総称して蛋白質繊維品のセット処理法と言う)とこれらの染色性改善のために用いる薬剤が一般式H2N(CH2CH2NH)nHで、n=1がエチレンジアミン、n=2がジエチレントリアミン、n=3がトリエチレンテトラミン、n=4がテトラエチレンペンタミンおよびn=5がペンタエチレンヘキサミンであるエチレンジアミン類の少なくとも1種を被処理物の0.5〜30重量%単独またはpH調整剤として0.5〜10%の有機酸を用い、10〜100℃の液中あるいは蒸気中で5〜30分間処理する蛋白質繊維品の恒久的セット法。
- 請求項1記載の形態安定処理方法とは家庭洗濯におけるフェルト収縮防止と着用中の防シワ性付与方法でその前処理のために酸化剤としては1.0〜12.0重量%のモノ過硫酸、モノ過硫酸カリ、過マンガン酸カリ、過酸化水素、過炭酸ソーダ、過硼酸ソーダの少なくともいずれか1種であり、還元剤としては請求項1のエチレンジアミンの少なくとも1種を用いて行う酸化還元処理を行う、蛋白質繊維品の恒久的セット法。
- 請求項1のプリーツセットはズボンのライン付け、絞り加工、エンボス加工および毛髪のウエーブ付与のためにエチレンジアミンを被処理物重量の0.5〜40重量%で、常温の溶液を塗布またはスプレーしたのち、5〜60分間、スチームプレス機あるいは箱蒸器を用いて蒸熱するかドライヤーでセットして行う蛋白質繊維品の恒久的セット法。
- 請求項1の染色性改善は該処理によって合成繊維および天然染料に対する染色濃度が...K/S値で30%以上向上し、且つ耐光、耐熱湯および耐湿摩擦染色堅牢度が0.5〜1.0級向上する蛋白質繊維品の恒久的セット法。
- 請求項1の有機酸はマレイン酸などジカルボン酸である蛋白質繊維品の恒久的セット法。
- 請求項1の液中処理を行う機械装置としてはバッチ式煮絨機、連続式煮絨機、パッケージ染色機、かせ染機、タンブラー染色機、液流染色機およびウインス型染色機を用い、蒸気処理にはパケージ染色機、常圧スチーマ、箱蒸機およびスチームプレス機を用いる蛋白質繊維品の恒久的セット法。
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