JP5212433B2 - 音響信号処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は複数のオーディオ信号(音響信号)のミキシング処理や加工処理を行うための音響信号処理装置に関する。
ディジタルオーディオ信号(音響信号)を処理するための信号処理エンジンとして従来から知られるものに、例えば設備音響、放送局、あるいは、レコーディングスタジオなど種々多様なシチュエーションに応じて必要とされるサウンドシステムの構成(信号処理の内容等)を、任意にプログラム可能な信号処理エンジンがあった。一例として、本出願人が販売するミキサエンジン:製品名「DME32」がある。これによれば、前記ミキサエンジンに接続されたパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)において、当該ミキサエンジンをリモート制御するためのソフトウェアプログラム(以下、制御ソフト)が実行され、前記制御ソフトにより当該ミキサエンジンにて実施すべき信号処理の構成を任意に設計し、また、該ミキサエンジンの動作をリアルタイムで制御することができる。前記制御ソフトを実行するPCにおいては、当該ミキサエンジンの信号処理の構成を「ブロック図」の形で提示する表示画面(ウィンドウ)がディスプレイ上に表示され、操作者はマウス等のポインティングデヴァイスを用いて、当該ミキサエンジンの内部構成をグラフィカルに構築することがきる。具体的には、操作者は各種音響信号処理の制御要素(コンポーネント)の配置や、各コンポーネント間の結線等をPCのディスプレイ上で設定することで、当該ミキサエンジンが実行するサウンドシステムの内部構成(信号処理の内容等)を任意にプログラムすることができた。コンポーネントには、ミキサ、コンプレッサー、各種エフェクトなどや、フェーダ、ON/OFFスイッチ等がある。操作者は、任意の入力端子を任意のコンポーネントの入力側に結線し、当該任意のコンポーネントの出力側を任意の出力端子に結線することで、当該入力端子から入力される音響信号を該コンポーネトを経由して該任意の出力端子から出力する信号通信経路をミキサエンジンの信号処理回路に設定できた(例えば、下記非特許文献1を参照)。
また、マルチメディアに対応した所定の通信規格(例えばIEEE1394規格)に従って構成されたネットワークにおいて、音響信号等の各種音楽データを通信できるように構成した音楽システム(例えば商標「mLAN」で呼ばれる当出願人の開発に係る音楽システム)においては、当該システム上の各種音楽機器(例えば、ミキサ、シンセサイザ、音源装置、レコーダなど)の間の論理結線(仮想的な入出力端子の接続/切断)の設定は、当該ネットワーク上のパーソナルコンピュータで起動される専用のアプリケーションプログラム(例えば当出願人の開発に係るmLANPatchbay(商標)プログラム)により行われる(例えば、下記非特許文献2を参照)。
周知の通り、オーディオミキサは、基本的には、所定の複数のミキシングバスを有し、複数の入力系統から入力された複数の音響信号を該ミキシングバスにおいて任意の音量レベルで混合する装置であり、その内部構造は非常に複雑である。上記非特許文献1に記載の装置は、PC上で起動するリモート制御用の制御ソフトにより当該ミキサエンジンが実行する信号処理システムの内部構成(信号処理の内容等)を任意にプログラムすることができる点で便利である。しかし、このようなプログラマブルなタイプのミキサにおいて、その複雑な内部構成を十分に理解することなしに、必要なシステムをソフトウェア上で構築することは極めて困難である。従って、ミキサの構造に疎い初心者等が上記プログラマブルなミキサを利用するのは難しかった。
StudioManagerforDME32(商標)の取扱説明書(http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/pa/japan/signal/DME32J.pdf) mLANPatchbay(商標)の取扱説明書(http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/pa/japan/others/mLANPatchbayJ.pdf)
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、例えばミキサの構造に疎い初心者等であっても、信号処理システムの内部構成(信号処理の内容等)の設定を簡単に行えるようにした音響信号処理装置を提供することを目的とする。
この発明は、表示部と、音響信号を入力するための入力手段に対応する入力表示要素と音響信号を出力するための出力手段に対応する出力表示要素とを前記表示部に表示する手段と、前記入力表示要素と前記出力表示要素を結線する指示を受け付けたときに、当該表示要素間を結ぶ結線の画像を前記表示部に表示し、且つ、当該結線に相当する音響信号の通信経路を確立する手段と、前記結線を通る音響信号のパラメータの値を調整するための制御要素を記憶する手段と、前記表示部に表示された結線の画像に前記制御要素を追加する指示を受け付けたとき、当該制御要素を当該表示された結線の画像上に表示し、且つ、前記通信経路にて送受信される音響信号に対して当該追加された制御要素による信号処理が実行されるよう設定する手段と、前記制御要素に対する調整操作を受け付けたときに、当該制御要素が配置されている結線を通る音響信号に対する信号処理を制御するためのパラメータの値を、当該調整操作に基づいて変更する手段を具えることを特徴とする音響信号処理装置である。
この発明によれば、結線の画像に制御要素を追加する指示を受け付けたとき、当該制御要素を当該表示された結線の画像上に表示し、且つ、その結線に相当する通信経路にて送受信される音響信号に対して当該追加された制御要素による信号処理が実行されるよう音響信号処理装置の信号処理構成が変更されるので、ユーザは、所望の結線の画像の上に制御要素を配置するだけで、簡単に、制御要素に対する結線と通信経路における音響信号に対する信号処理の内容の変更を行うことができるという優れた効果を奏する。
この発明の一実施例に係るディジタルオーディオミキサを上側から見た外観平面図。 同実施例に係るミキサの電気的ハードウェア構成を示すブロック図。 同実施例に係るミキサ使用時における表示部の表示例を示す図。 同実施例に係るミキサの端子に機器が接続された際に表示される入力画面の一例を示す図。 同実施例に係るミキサにおいて、端子に機器が接続された際に起動する処理の手順の一例を示すフローチャート。 同実施例に係るミキサにおいて表示部上で表示要素の結線が指示された際に起動する処理の手順の一例を示すフローチャート。 同実施例に係るミキサにおいて表示部上で制御要素の追加が指示された際に起動する処理の手順の一例を示すフローチャート。 同実施例に係るミキサにおいて表示部上で制御要素が操作された際に起動する処理の手順の一例を示すフローチャート。 ディジタルオーディオミキサの別の実施例であって、該ミキサを上側から見た外観平面図。 同別の実施例に係るミキサの端子に機器が接続された際に表示される入力画面の一例を示す図。
以下、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明の一実施例に係るディジタルオーディオミキサ1の全体的な構成を説明するための外観図であって、ミキサ1を上側から見た図である。図1に示す通り、ミキサ1は、当該ミキサ1の本体を構成する筐体のパネル上面に設けられた表示器2と、外部の音響信号入力機器から当該ミキサ1に入力される音響信号を受ける複数(この例では6つ)の入力端子3と、当該ミキサ1から外部の音響信号出力機器へ音響信号を出力するための複数(この例では6つ)の出力端子4とを具備する。なお、図1において入力端子3乃至出力端子4の各々に付記された矢印は当該端子に対する音響信号の通信方向(つまり入力信号を受けるか、出力信号を送出するか)を示している。
この実施例において、表示器2は、ミキサ1の本体パネル上面の略中央に配置されており、画面接触により操作入力が可能なタッチパネル式の液晶表示器により構成される。操作者はミキサ1における各種入力操作の大半を表示器2の画面上から行うことができる。詳しくは後述する通り、表示器2には、当該ミキサ1が実行する信号処理システムの構成をグラフィカルに提示する表示画面(ウィンドウ)が表示される。操作者は、前記表示画面において、任意の入力端子で受けた音響信号を任意の出力端子へ出力するための結線(信号通信経路)の描画や、ミキサ1により実行される音響信号処理に含まれる各種の制御要素(音量調整、イコライジングその他)に対応するGUIオブジェクトの設置、或いは、該設置された制御要素のパラメータ設定等の各種編集操作をグラフィカルに行うことで、当該ミキサ1が実行すべき信号処理システムの構成を自在にプログラムすることができる。この実施例に係るミキサ1は各種入力操作の大半を表示器2の画面上から行うので、図1から明らかな通り、本体上に配備する部品(各種操作子類など)点数を極力少なくしているので、操作者にとってシンプルで分かりやすいユーザインターフェースを提供することができる。また、本体サイズを小型化できると共に、限られたスペースを有効に使って表示器2の設置面積を可及的大きくとることができるので、表示器2の画面上からの各種入力操作が行い易い。
なお、この実施例では、表示器2をタッチパネルで構成し、該タッチパネルにより各種操作入力を行う例を示すが、これに限らず、ミキサ1に例えばマウス操作子など適宜のGUI操作子を具え、これを用いて操作入力が行えるようにしてもよい。
複数の入力端子3と複数の出力端子4は、それぞれ表示器2の近傍に配置される。図1に示すように、この実施例においては、方形状の表示器2の一辺(図において上側の辺2a)側に入力端子群3がまとめて配置され、また、表示器2の別の一辺(図において下側の辺2b)側に出力端子群4がまとめて配置されている。これら入力端子群3は、表示器2の上辺2aに沿って平行に配列され、また、出力端子群4は表示器2の下辺2bに沿って平行に配列されている。また、入力端子群3及び出力端子群4の配列は、それぞれ表示器2の辺2a,2bの長さに概ね対応する長さ(該辺の長さ内に概ね含まれる長さ)となっている。更に、図1に示す通り、これら入力端子群3及び出力端子群4はそれぞれミキサ1の本体パネルの上面側、つまり、表示器2が配置されている面と同じ面に配設されている。複数の入力端子3と複数の出力端子4を上記のように表示器2の近傍に配置することで、後述する通り、表示器2上に表示されるミキサ1の内部構成と入力端子3及び出力端子4との対応関係、或いは、入力端子3及び出力端子4と各端子に接続された機器との対応関係を、操作者は直感的に把握できるようになる。
入力端子3には、例えばマイク、電子楽器等の各種楽器類、音楽再生装置等、ミキサ1に音響信号を入力するための機器が接続される。また、出力端子4には、例えばスピーカ、音楽録音装置等、ミキサ1から出力された音響信号を受ける機器が接続される。なお、例えば、電子楽器のように、音響信号の入力又は出力何れの用途にも使用されうる機器が入力端子3に接続された場合、当該機器から出力される音響信号がミキサ1に入力され、また、出力端子4に接続された場合には、ミキサ1の出力を当該機器のオーディオ入力を介して該機器のオーディオ出力系を用いて音響信号を出力することになる。
また、各入力端子3及び各出力端子4のそれぞれに対応して音量レベル調節用のつまみ操作子5が設けられている。操作者は、各入力端子3に対応するつまみ操作子5を用いて、対応する入力端子3に接続された機器から入力される音響信号の入力レベルを個別に調節でき、また、各出力端子4に対応するつまみ操作子5により対応する出力端子4に接続された機器へ出力される音響信号の出力レベルを個別に調節できる。
図2は、図1のミキサ1の電気的ハードウェア構成の概略を示すブロック図である。図2に示す通り、ミキサ1は、CPU10、ROM11、RAM12、信号処理回路(DSP)13、入出力インターフェース(I/F)14、操作子検出回路15及び表示制御回路16を含み、各装置間が通信バス19を介して接続される。
CPU10は、ROM11或いはRAM12に記憶にされた各種制御プログラムを実行し、当該ミキサ1の全体的な動作制御を行うと共に、この実施例に係るディジタルミキサの各種機能を実現するためのソフトウェアプログラムを実行する。なお、CPU10により実行される各種プログラムは、ROM11或いはRAM12に記憶されたもののみならず、図示しない通信インターフェースを介して適宜のサーバコンピュータからダウンロードし、図示しないハードディスク等に保存したもの、或いは、図示しないハードディスクやCD−ROM等の外部記憶媒体に記憶されたものを利用することも可能である。この場合、該各種プログラムは当該プログラムを実行すべき時にRAM12に転送されてCPU10の制御の下で実行される。これによりプログラムの追加やバージョンアップ等を容易に行える。
入出力I/F14は、AD変換器及びDA変換器を含み、アナログ音響信号をディジタル音響信号に変換してDSP13に供給し、また、DSP13にて信号処理されたディジタル音響信号をアナログ音響信号に変換して外部に出力する。音響信号入出力機器17は、入出力I/F14を介してミキサ1に接続される各種音楽機器であって、入力端子3(図1参照)に接続されたものが音響信号入力機器、出力端子4(図1参照)に接続されたものが音響信号出力機器である。また、入出力I/F14において、各入力端子3又は各出力端子4に対する音響信号入出力機器17の接続が検出され、該検出に応じて発生した接続検出信号がCPU10に与えられる。
操作子検出回路15を介して操作部18が接続され、表示制御回路16を介して表示器2が接続される。操作部18には、つまみ操作子群5(図1参照)等の各種操作子や、表示器2(タッチパネル)における操作入力機構が含まれる。操作部18における操作内容や各操作子の設定状態、或いは、表示器2上での各種操作は操作子検出回路15にて検出される。CPU10は該検出された操作入力に応じて当該ミキサ1の動作を制御する。例えば、音響信号処理の制御パラメータが変更された場合、CPU10は検出された操作入力に応じた制御パラメータ変更指示をDSP13に与える。また、操作者は、当該ミキサ1の信号処理構成の設定や各種制御パラメータの設定等を行うためのユーザインターフェースとして表示器2を使用できる。この点について具体的には後述の図3等を参照されたい。
CPU10は、信号処理回路(DSP)13に対して、操作部18や表示器2を介してユーザが行った各種操作の内容に基づく指示を与える。DSP13は、入出力I/F14を介して音響信号入出力機器17から入力される音響信号(ディジタル信号)に対して、DSP13に設定されている信号処理構成(制御要素)に従い、該CPU10から与えられる指示に基づく信号処理を実行し、また、その信号処理の結果として得られるディジタルオーディオ信号を入出力I/F14を介して該音響信号入出力機器17へ出力する。
ここで、DSP13において実行されるミキサの基本的な動作について簡単に説明する。当該ミキサ1は、複数の入力端子3を介して複数の音響信号入出力機器17から入力される複数種の音響信号を受けることができ、また、複数の出力端子4を介して複数の音響信号入出力機器17に対して複数種の音響信号を送出することができる。DSP13においては、該複数の入力端子3から入力された各入力信号の出力先として、該複数の出力端子4の何れかを任意に割り当てることで、入力端子3と出力端子4の間を結ぶ信号通信経路を設定することができる。例えば、異なる2つの入力端子3からの音響信号が同じ1つの出力端子4に結線されるよう経路が設定されていた場合には、当該出力端子4の出力信号は該2つの入力端子3から入力された2つの音響信号のミキシング結果ということになる。各信号通信経路では、当該経路において通信される音響信号(ディジタル信号)に対して、当該経路に設定されている各種制御要素(音量調整、パン設定、イコライジング等)による信号処理を行うことで、当該ディジタル信号の音響要素の特性(レベルや周波数成分等)を調整し、該信号処理した信号を出力先に割り当てられた出力端子4へ出力する。なお、DSP13において実行されるミキシング処理や各種音響処理等の信号処理自体は従来から知られるものである。
図3は図1のミキサ1の使用時における表示器2の表示例を示す図である。一例として、入力端子3側には音響信号入力機器としてマイク(図において左端の端子3a)と電子楽器(同左から4番目の端子3b)が接続され、出力端子4側には音響信号出力機器としてスピーカ(同左から3番目の端子4a)が接続された状態を示している。なお、図3において機器が接続された入力端子3a,3b及び出力端子4aを黒塗りで示し、他から区別している。表示器2の画面上には、以下に述べる各表示物によって、当該ミキサ1が実行する信号処理の構成がグラフィカルに表示されている。
表示器2の画面上には、入力端子3及び出力端子4に現在接続されている機器を表す表示物(表示要素)20,21,22がそれぞれ所定の位置に表示される。符号20は入力端子3aに接続されたマイクを、符号21は入力端子3bに接続された電子楽器を、そして符号22は出力端子4aに接続されたスピーカを、それぞれ示す表示物である。この表示物20〜22は、例えば該当する機器を模した絵柄、当該機器の機種名の文字列、或いは、当該機器の機種を示す適宜の記号など、適宜のアイコン(GUIオブジェクト)により当該機器の機種を表現するものであればよい。なお、図の例では図示簡略化のために各表示物をブロックで示している。なお、表示物20〜22が表示されるべき「所定の位置」の詳細については後述する。
入力端子3側に接続された機器の表示物(マイク20及び電子楽器21)と出力端子4側に接続された機器の表示物(スピーカ22)は接続ライン23,24を介して結線されている。この結線により複数の音響信号入出力機器の間を接続することで、信号処理部13において、任意の入力端子3から入力された音響信号を任意の出力端子4から出力するための信号通信経路が設定される。符号25及び26は、当該ミキサ1が実行する音響信号処理に含まれる制御要素を示す表示物の一例である。これら制御要素とは、例えば、ボリューム制御用のフェーダ操作子、音量増幅用アンプ、パン設定用のダイヤル操作子、イコライジング(EQ)設定用のスライダ群など、音響信号の特定の要素(音量、周波数帯域などの制御パラメータ)について加工・制御を施すための信号処理モジュールである。図3に示す通り、この実施例において各制御要素の表示物25,26は、音響信号の特定の音響要素(音量、周波数成分などの制御パラメータ)の特性を変更するための操作子画像のアイコン(GUIオブジェクト)として表示される。
図3の表示例の場合、DSP13における信号処理の構成は次の通りである。入力端子3aに接続された「マイク」20と出力端子4aに接続された「スピーカ」22の間に信号通信経路(結線)23が設定され、当該経路23上にボリューム制御用フェーダ操作子25が挿入される。また、入力端子3bに接続された「電子楽器」21と出力端子4aに接続された「スピーカ」22の間に信号通信経路(結線)24が設定され、当該経路24上にパン設定用ダイヤル操作子26が挿入される。「マイク」20から入力された音響信号はボリューム制御用フェーダ操作子25によりボリューム調整され、また、「電子楽器」21から入力された音響信号はパン設定用ダイヤル操作子26によりパン設定される。そして、この2つの音響信号のミキシング結果が出力端子4aを介して「スピーカ」22から出力されることになる。
表示器2の画面上においてミキサ1(DSP13)における信号処理の構成を設定する手順の一例について以下に説明する。
図4は、図1のミキサ1に新たに音響信号入出力機器17(図2参照)が接続された際の表示器2の表示例を示す図である。図4においては、左端の入力端子3aにマイクが接続されたものとする。図5は、ミキサ1の入力端子3又は出力端子4に新たな機器が接続された際に行われる動作の手順の一例を示すフローチャートである。いずれかの入力端子3又は出力端子4に対して新たな機器が接続されると、該新たな機器の接続が検出され、該検出に応じて発生する接続検出信号がCPU10に与えられる。この接続検出信号に応じて図5の処理が起動する。入力端子3又は出力端子4に新たな機器が接続されていることを確認(ステップS1のYES)し、ステップS2において当該端子に接続された機器の種類を操作者に入力させるための入力画面を表示器2に表示する。図4において符号30は入力画面の一例を示す。入力画面30には、音響信号入出力機器を複数種類列挙したリスト(同図において文字列「1.マイク」「2.エレキギター」「3.電子楽器」・・・)と、入力信号又は出力信号の種類(ステレオ/モノラル)の選択リストが表示されている。操作者は入力画面30において当該端子に接続した機器の種類と音響信号がステレオかモノラルかを選択する。図示の例では、入力画面30は、表示器2の画面上において、機器が接続された端子(図において左端の入力端子3a)の近傍を基点とする「吹き出し」形式で表示(所謂バルーン表示)されていることで、どの端子に対して接続された機器が当該入力画面30の対象となっているかが操作者にとって分かりやすい。
入力画面30における機器の種類の入力を受け付けると(ステップS3のYES)、ステップS4において、前記入力された機器の種類に応じて、ミキサ1の当該機器に対する音響信号の入出力特性のパラメータの調整を行う。ここで、調整されるパラメータは、当該接続された機器から入力される(或いは、機器へ出力される)音響信号に対するレベル補正や、機器に対する音響信号の入出力インピーダンスの調整を行うための値である。このステップS4では、例えば前記パラメータを入力された機器の種類に応じた所定の初期値に自動設定する処理を行うものとする。なお、入力端子3と出力端子4のいずれの側にも接続しうる機器(例えば電子楽器など)については、当該機器が入力端子3と出力端子4のいずれに接続されたかに応じて、前記設定される所定の初期値が異なることがある。
ステップS5において、接続された機器を表す表示物を、当該機器が接続された端子(図において左端の入力端子3a)の近傍に表示させる処理を行う。ROM11或いはRAM12には、上記入力画面30においてリストアップされる機器群に対応する各種の音響信号入出力機器を表す表示物の表示用データが予め記憶されている。CPU10は、入力画面30において操作者が入力した種類の機器に対応する表示物表示用データを読み出し、該読み出したデータに応じた表示物を当該機器が接続された端子の近傍の所定の位置に表示させる制御を行う。
上記ステップS5の処理による音響信号入出力機器の表示物の表示例は前記図3に示す通りである。同図を参照して、機器の表示物が表示されるべき「端子の近傍の所定の位置」について説明する。
この実施例において、入力端子3群は表示器2の一辺(上辺)に沿って配列され、出力端子4群が該表示器2の前記とは別の辺(下辺)に沿って配列されていることは、先に述べた通りである。このことから、入力端子3に接続された機器を示す表示物は表示器2の上辺2aに沿って、当該端子3に対応する位置に(図面上では入力端子3と縦に並んで)表示され、出力端子4に接続された機器を示す表示物は表示器2の下辺2bに沿って、当該端子4に対応する位置に(図面上では出力端子4と縦に並んで)表示される。例えば図3のマイクを示す表示物20(図3)は、当該マイクが接続された入力端子3aに対応付けて、表示器2の上辺の左端付近に表示される。入力端子群3及び出力端子群4がそれぞれ表示器2の近傍に配置され、且つ、該表示器2において音響信号入出力機器の表示物(図3の符号20〜22)の表示位置と各機器が接続された入力端子3a,3b又は出力端子4aが対応付けられていることから、操作者は表示器2上の機器の表示物と、該機器が接続された入力端子3及び出力端子4との対応関係を視覚的に明確且つ直感的に把握できるようになる。更に、この実施例のように、入力端子3を表示器2の一辺(上辺2a)に纏めて配列し、出力端子4群を前記とは別の辺(下辺2b)にまとめて配列されているので、画面上に表示された機器の表示物(図3の符号20〜22)の表示位置(表示器2の上辺2a側か下辺2b側か)に応じて当該機器が音響信号入力用か出力用かを把握することができる。
操作者は、上記図5の処理により表示器2に表示された音響信号入力機器の表示物と同出力機器の表示物の間を任意に結線することで、任意の音響入出力機器の間で信号通信経路を設定することができる。操作者は、表示器2において、結線対象とする音響信号入力側の機器の表示物と同出力側の表示物とを選択し、該選択された各表示物の間の結線が行われるよう指示する。この結線の指示の方法としては、例えば表示器2(タッチパネル)上で入力側及び出力側の各機器の表示物間で結線の画像を描画する操作等、適宜の操作方法により行われてよい。図6は操作者による前記結線の指示操作が検出に応じて起動する結線処理の手順の一例を示すフローチャートである。図6のステップS6において、表示器2の画面上において、結線対象として選択された各表示物の間(図3の「マイク」20及び「電子楽器」21と、「スピーカ」22の間)に結線の画像を表示する制御が行わる(図3の結線23及び24を表示する)。また、ステップS7において、前記結線の指示に応じて発生する制御信号に基づき、結線対象として選択された表示物に該当する音響信号入力機器が接続された入力端子(図3の3a,3b)と結線対象として選択された表示物に該当する音響信号出力機器が接続された出力端子(図3の4a)の間で音響信号が物理的に送受信されるようDSP13内の音響信号の通信を制御するパラメータを設定することで、当該入力端子3a,3bから入力された音響信号が出力端子4aから出力されるよう信号通信経路の設定(ミキシングバスの接続設定)が行われる。なお、結線における音響信号の通信方向は、各端子の属性(入力端子3又は出力端子4)に応じる。なお、各機器が音響信号の入力機器/出力機器のいずれであるかを当該機器の表示物の表示態様(表示色等)により画面上で識別できるようにしてもよい。
また、操作者は、上記図6の処理により設定した信号通信経路(機器間の結線)に、任意の制御要素(図3の符号25、26)を追加することで、当該経路を通る音響信号に対して施される信号処理の構成を自在に設定することができる。操作者は、所望の制御要素を指定すると共に、当該制御要素を追加する結線及びその追加位置を選択することで、制御要素の追加を指示することができる。この実施例では、制御要素を指定するための方法の一例として、図3において符号27で示す「ツールボックス」を指定することで、複数種類の制御要素がリスト表示されたポップアップウィンドウを開き、該ウィンドウに表示された制御要素群から所望の制御要素を選ぶことができるものとする。また、制御要素を追加する結線及びその追加位置の選択操作方法の一例としては、例えば画面上において所望の結線上の所望の位置を指定すればよい。図7は、制御要素の追加を指示する操作に応じて起動する制御要素の追加処理の動作手順の一例である。表示器2において、操作者により選択された制御要素の表示物を、同選択された結線上の選択された位置に挿入して表示する表示制御が行われる。すなわち、ROM11或いはRAM12には複数種類の制御要素について各制御要素に対応する操作子画像の表示データが記憶されており、CPU10は、制御要素の追加指示に応じて、該当する制御要素の操作子画像の表示データを読み出し、該読み出した表示データに基づき選択された結線上の選択された位置に当該制御要素の表示物(操作子画像)を表示させる(ステップS8)。
また、選択された結線(信号通信経路)で送受信される音響信号に対して当該追加された制御要素による信号処理が実行されるようDSP13を設定する(ステップS9)。すなわち、当該選択された結線に対して当該追加された追加された制御要素に対応する制御パラメータ(音量制御、パン設定制御、周波数成分制御など)を割り当てることで、当該制御要素を実現する回路を当該制御要素の操作子画像の操作によって操作できるように設定する。
操作者は、表示器2に表示された制御要素の操作子画像を操作することにより、当該制御要素によって制御される音響信号の特定の音響要素(音量、周波数成分など)の制御パラメータを変更できる。図8は、制御要素の操作子画像の操作に応じて起動する処理の動作手順の一例である。表示器2において操作子画像が操作されると、DSP13は、当該操作子画像が配置された結線を介して通信される音響信号の特定の音響要素(音量、周波数成分など)が当該操作子画像の操作量に応じて変更されるよう信号処理を行う。
図3に示す例では、「マイク」20と「スピーカ」22を結ぶ結線上に、音量フェーダの操作子画像25が挿入されている。操作者は、マイクから入力されスピーカ12に出力される音響信号の音量レベルを音量フェーダの操作子画像25を操作することで調整することができる。また、同図3において、「電子楽器」21と「スピーカ」22を結ぶ結線上に、パン設定つまみの操作子画像26が挿入されている。操作者は、マイクから入力されスピーカ22に出力される音響信号のパン設定をパン設定つまみの操作子画像26を操作することで調整することができる。なお、操作子画像において、操作者による操作に追従して操作つまみ部分など可動部の表示位置が更新されることで、現在の制御パラメータ設定値を大まかに視認できてよい。
なお、上記実施例において、複数の入力端子3と複数の出力端子4がそれぞれミキサ1の本体パネル上面側に配列される構成を例示した。入力端子群3及び出力端子群4の別の配置例としては、ミキサ1の本体の側面に入力端子群3及び出力端子群4を配置する構成であってもよい。この場合、ミキサ1の本体の一つの側面に入力端子群3を配置して、別の側面に出力端子群4を配置するとよい。例えば、表示器2の上辺2aに平行側面に入力端子群3を配列し、表示器2の下辺2bに平行に沿う側面に出力端子群4を配列することができる。
また、上記実施例においては、音響信号を入力するための入力端子3と音響信号を出力するための出力端子4とを有するミキサ1によりこの発明に係るミキサを構成する例を示した。図9は、この発明に係るミキサの別の実施例であって、端子6が音響信号の入力用又は出力用の何れか一方に限定されない、すなわち、各端子6を音響信号の入力用又は出力用の何れとしても使用可能な例を示す。同図において各端子6に付記した両矢印は音響信号の通信方向(つまり入力信号の受け及び出力信号の送出)を示す。
この場合、端子6に音響信号入出力機器を接続したときに開示される入力画面30において、当該機器の種類の選択等と共に、当該機器が音響信号の入力用の機器か出力用の機器かを選択できるようにする(図10参照)。そして、該入力画面30における入力用の機器か出力用の機器かの選択に応じて、入力される音響信号を受けるための入力端子か音響信号を出力するための出力端子の何れか一方に当該端子6が設定される。これにより、当該端子6の機能が入力端子又は出力端子の何れか一方に切り替わる。
なお、前記入力画面30における端子6の用途(入力又は出力)選択は、当該端子6に接続された機器が音響信号の入力又は出力の何れにも使用される場合に限り実行されるようにしてもよい。音響信号の入力又は出力の何れにも使用される機器とは、例えば電子楽器等である。それ以外の機器つまり音響信号の入力又は出力の何れか一方にしか使用されない機器については、入力画面30において選択された該機器の種類に従い自動的に端子6の用途(入力又は出力)が設定されてよい。例えば、マイクや通常の楽器などは音響信号の入力用の機器であり、スピーカは音響信号の出力用の機器である。
以上説明した通り、この発明によれば、結線の画像に所望のコンポーネントを追加するだけで、簡単に、制御要素に対する結線と通信経路における音響信号に対する信号処理の内容の変更を行うことができるという優れた効果を奏する。従って、ミキサの構造に疎い初心者等にとっても所望のミキシングシステムを直感的に分かりやすく設定することが可能となるという優れた効果を奏する。
1 ミキサ、2 表示器、3(3a,3b) 入力端子、4(4a)、出力端子、5 つまみ操作子、6 端子、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 信号処理回路、14 入出力インターフェース、15 操作子検出回路、16 表示制御回路、17 音響信号入出力機器、18 操作部、19 通信バス、20〜22 表示要素(機器)、23,24 結線、25,26 制御要素、27 パーツボックス、30 入力画面

Claims (5)

  1. 表示部と、
    音響信号を入力するための入力手段に対応する入力表示要素と音響信号を出力するための出力手段に対応する出力表示要素とを前記表示部に表示する手段と、
    前記入力表示要素と前記出力表示要素を結線する指示を受け付けたときに、当該表示要素間を結ぶ結線の画像を前記表示部に表示し、且つ、当該結線に相当する音響信号の通信経路を確立する手段と、
    前記結線を通る音響信号のパラメータの値を調整するための制御要素を記憶する手段と、
    前記表示部に表示された結線の画像に前記制御要素を追加する指示を受け付けたとき、当該制御要素を当該表示された結線の画像上に表示し、且つ、前記通信経路にて送受信される音響信号に対して当該追加された制御要素による信号処理が実行されるよう設定する手段と、
    前記制御要素に対する調整操作を受け付けたときに、当該制御要素が配置されている結線を通る音響信号に対する信号処理を制御するためのパラメータの値を、当該調整操作に基づいて変更する手段
    を具えることを特徴とする音響信号処理装置。
  2. 前記制御要素が複数種類記憶されており、
    前記制御要素の追加を指示するとき、前記複数種類の制御要素のうちいずれかを選択して追加を指示する手段を更に備え、
    前記表示部に表示された結線の画像に前記制御要素を追加する指示を受け付けたとき、前記選択された種類の制御要素を当該結線の画像に表示し、且つ、前記通信経路にて送受信される音響信号に対して当該追加された制御要素による信号処理が実行されるよう設定し、
    前記制御要素に対する調整操作を受け付けたときに、当該調整操作された制御要素に該当するパラメータ種類の値を変更することを特徴とする請求項1に記載の音響信号処理装置。
  3. 音響信号を入力又は出力するための複数の端子であって、前記表示部の辺に沿って配置されたものを更に備え、
    前記入力表示要素と前記出力表示要素が、対応する機器が接続された前記端子の近傍であって、当該端子が配置された前記表示部の辺に沿って表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響信号処理装置。
  4. 前記複数の端子のうち音響信号を入力するための入力端子群が前記表示部の一辺に沿って配列され、また、該複数の端子のうち音響信号を出力するための出力端子群が該表示部の前記一辺とは別の辺に沿って配列されることを特徴とする請求項3に記載の音響信号処理装置。
  5. 前記端子に接続された機器が音響信号入力用の機器であるか音響信号出力用の機器であるかを操作者に選択させる手段と、
    音響信号入力用の機器であると選択された場合に当該機器が接続された端子を音響信号を入力するための入力端子として使用するよう設定し、音響信号出力用の機器であると選択された場合に当該機器が接続された端子を音響信号を出力するための出力端子として使用するよう設定する手段を更に具えることを特徴とする請求項3又は4に記載の音響信号処理装置。
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