JP5212414B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、高出力用途の化合物半導体装置では、化合物半導体積層構造101の表面を覆う絶縁膜104はゲート電極103に接しているため、絶縁膜104に高電界が印加され、絶縁膜104を介してゲート電極103から化合物半導体積層構造101内へリーク電流が流れてしまい、デバイスの寿命(信頼性)に影響を与えている。これまで、各研究機関等において、良質な表面保護用絶縁膜とデバイスの寿命(信頼性)について多くの検討がなされ、且つ、現在も続けられている。
ここで、化合物半導体表面に対する安定化作用とは、化合物半導体表面に絶縁膜を形成することによって、化合物半導体表面の化学的変化現象の抑制及びこれに伴う表面電位の変化を抑制する作用を言う。
一方、絶縁膜自体の良好な絶縁特性とは、高電界印加時であっても絶縁膜中を流れるリーク電流が少ない特性を言う。特に、SiN膜においては、珪素(Si)及び窒素(N)原子の化学結合状態によって膜中リーク電流が大きく変化する。
しかしながら、絶縁膜の化合物半導体表面に対する安定化作用が十分でないと、デバイス動作時の電流変動などデバイス特性に影響を与えることになる。
このような絶縁膜の化合物半導体表面に対する安定化作用を向上させることと絶縁膜自体の良好な絶縁特性が得られるようにすることは、絶縁膜の化学結合の観点から本質的に両立が難しい。
また、本半導体装置の製造方法は、半導体基板上に複数の化合物半導体層を積層させて化合物半導体積層構造を形成し、少なくとも化合物半導体積層構造を構成する化合物半導体層の表面に露出している部分が覆われるように第1絶縁膜を形成し、第1絶縁膜上に前記第1絶縁膜よりも含有水素量の大きい第2絶縁膜を形成する工程を含み、第1絶縁膜を形成する工程において、N2をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜であり、ストイキオメトリ絶縁膜である第1絶縁膜を形成し、第2絶縁膜を形成する工程において、少なくともNH3をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜である第2絶縁膜を形成することを要件とする。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図1〜図5を参照しながら説明する。
ここでは、第1絶縁膜4は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)である。
本実施形態では、第1絶縁膜4としてのSiN膜(第1SiN膜)は、絶縁性に優れた絶縁膜、即ち、Si−H結合の数とN−H結合の数を足した合計が少なく(Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度が低く)、かつ、化学的量性比の正しい(N/Si比が4/3になっている)ストイキオメトリ絶縁膜として構成されている。
ここで、図2は、高周波プラズマCVD法で、N2をN原料ガスとして供給して形成されたSiN膜に含まれるSi−H結合濃度及びN−H結合濃度(個/cm3)と屈折率との関係を示す図である。
第2絶縁膜5は、図1に示すように、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた絶縁膜であり、第1絶縁膜4の表面に接するように形成されている。
本実施形態では、この第2絶縁膜5としてのSiN膜(第2SiN膜)は、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた絶縁膜、即ち、Si−H結合の数とN−H結合の数を足した合計が多く(Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度が高く)、かつ、化学的量性比がずれている(N/Si比が4/3からずれている)非ストイキオメトリ絶縁膜として構成されている。
この場合、第2SiN膜5の屈折率を2.0又はその近傍の範囲外にするには、屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも高めにする方法と、屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも低めにする方法とがある。
一方、屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも低めにすると、第2SiN膜5中に含まれるN−H結合が増大し、第2SiN膜5は、化合物半導体表面に対して化学的作用を生じさせうる水素を多く含むものとなる。
しかしながら、N−H結合の結合エネルギはSi−H結合の結合エネルギよりも大きいため、反応性の観点からは、Si−H結合を多く含む方が有利である。
本実施形態では、第2SiN膜5を非ストイキオメトリ絶縁膜として構成すべく、第2SiN膜5の屈折率(波長633nmの光に対する屈折率)が1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲外(ここでは2.1以上)になるようにしている。このため、図2に示すように、第2SiN膜5に含まれるSi−H結合の濃度は、1.1×1022個/cm3又はその近傍の範囲外(ここでは1.3×1022個/cm3以上)になっている。また、第2SiN膜5に含まれるN−H結合の濃度は、6.0×1021個/cm3又はその近傍の範囲外(ここでは5.0×1021個/cm3以下)になっている。
なお、ここでは、上述の考察に基づいて、第2SiN膜5の屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも高めにするようにしているが、これに限られるものではなく、屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも低めにする(即ち、1.9以下にする)ようにしても良い。この場合、第2SiN膜5に含まれるN−H結合の濃度は、1.0×1022個/cm3以上(6.0×1021個/cm3又はその近傍の範囲外)になる。また、Si−H結合の濃度は、7.0×1021個/cm3以下(1.1×1022個/cm3又はその近傍の範囲外)になる。さらに、Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度(図2中、Si−H+N−H)は、1.7×1022個/cm3又はその近傍よりも大きくなる(好ましくは2.0×1022個/cm3以上になる)。
このような化合物半導体表面上に、上述の第1SiN膜4を介して、上述のように構成される第2SiN膜5を設けると、第1SiN膜上に形成された第2SiN膜中に含まれる水素が、成膜中の熱エネルギ等によって化合物半導体表面に拡散し、あるいは、成膜時に反応炉内部に存在するラジカル水素が第1絶縁膜を透過して化合物半導体表面に拡散し、例えば化合物半導体表面の酸素と反応して脱水反応を起こしたり、化合物半導体表面の水素又は水酸基と反応を起こしたりする。
なお、第2SiN膜5の膜厚が厚くなると膜内をリーク電流が流れてしまうおそれがあるため、2層構造絶縁膜全体の絶縁性能を維持するために、第2絶縁膜5は、化合物半導体表面の改質を成し遂げることができる程度に薄い膜厚にするのが好ましい。この膜厚は、半導体材料及び変性の度合いで異なる。
化合物半導体装置の化合物半導体表面には、トラップ等に代表される結合状態の不安定なボンドが存在する。
例えば、結晶種に依存するが、多くの場合、化合物半導体表面は結晶構成元素の酸化物で覆われている。この酸化物は、電子に対してトラップとして働くことがあり、デバイス特性を低下させる。
この場合、不安定状態を解消してデバイス特性を向上させるために、化合物半導体表面上に成膜する絶縁膜として、非ストイキオメトリ絶縁膜(例えばSi−H結合及びN−H結合を多く含むSiN膜)を使用することが考えられる。
しかしながら、このような非ストイキオメトリ絶縁膜(SiN膜)は、原子の結合手が安定な状態で結ばれていないため、絶縁性能が低く、リーク電流が流れてしまう。例えば、このような絶縁膜(SiN膜)を用いてMIMキャパシタを形成した場合、絶縁膜を介して電流が流れてしまう。
しかしながら、例えば絶縁膜に高い電圧が印加されると、絶縁膜を介してゲート電極から化合物半導体積層構造へリーク電流経路が形成される場合がある。
このような点を考慮すると、ゲートリーク電流を抑制して信頼性を向上させるために、化学的量性比の正しい絶縁膜(ストイキオメトリ絶縁膜)を使用することが考えられる。
しかしながら、ストイキオメトリ絶縁膜は、化学的に極めて安定であり、上述のような化合物半導体表面の安定化作用(改質作用)はほとんど期待できない。
しかしながら、例えば図3(A)に示すように、ストイキオメトリSiN膜を表面側に配置し、非ストイキオメトリSiN膜を化合物半導体側に配置すると、図3(A)中、矢印で示すように、リーク電流経路が形成されてしまう。一般に、この部分には大きな電界が集中し、電流が流れやすい状態になっており、この部分に電流が流れると、絶縁膜内部及び絶縁膜と化合物半導体との接触部が破壊されてしまうおそれがあり、ひいてはデバイスの破壊につながるおそれがある。
このような点を考慮して、上述のように、化合物半導体側に、第1絶縁膜4として、絶縁性に優れたストイキオメトリ絶縁膜を設け、表面側に、第2絶縁膜5として、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた非ストイキオメトリ絶縁膜を設けている。
まず、図4(A)に示すように、半絶縁性のSiC基板(半導体基板)6上に、バッファ層7、GaNからなる電子走行層8、AlGaNからなる電子供給層9、GaNからなる表面層10を、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、順にエピタキシャル成長させ、複数の化合物半導体層7〜10を積層してなる化合物半導体積層構造1を形成する。なお、バッファ層7は、SiC基板1の表面の格子欠陥が電子走行層8に伝播するのを防ぐ役割がある。
次いで、図4(C)に示すように、例えばフォトリソグラフィによってオーミック電極形成領域を規定し、例えばドライエッチングによって表面層10を除去する。
次に、図4(D)に示すように、オーミック電極3が形成された化合物半導体積層構造1の表面全体を覆うように、第1絶縁膜(第1SiN膜)4、第2絶縁膜(第2SiN膜)5を順に形成する。
ここでは、第1絶縁膜4として、絶縁性に優れたストイキオメトリ絶縁膜を形成すべく、例えば、高周波プラズマCVD法を用い、プラズマ励起周波数13.56MHz、出力(高周波出力)50W、ガス流量SiH4/N2/He=2sccm/150sccm/1000sccmとして、例えば20nmのシリコン窒化膜(第1SiN膜)を成膜する。
ここでは、第2絶縁膜5として、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた非ストイキオメトリ絶縁膜を形成すべく、例えば、高周波プラズマCVD法を用い、プラズマ励起周波数13.56MHz、出力(高周波出力)50W、ガス流量SiH4/N2/He=3sccm/150sccm/1000sccmとして、例えば20nmのシリコン窒化膜(第2SiN膜)を成膜する。
つまり、第1絶縁膜4としてのストイキオメトリ絶縁膜を形成する工程において、SiH4をSi原料ガスとして供給して、N/Si比が4/3の第1SiN膜(化学的量性比の正しいSiN膜;ストイキオメトリ絶縁膜)4を形成し、第2絶縁膜5としての非ストイキオメトリ絶縁膜を形成する工程において、Si原料ガスであるSiH4の流量を増加させて、N/Si比が4/3よりも小さい第2SiN膜(非ストイキオメトリ絶縁膜)5を形成している。
そして、図4(F)に示すように、レジスト12をマスクとして、例えばSF6をエッチングガスとして用いて、第1絶縁膜4及び第2絶縁膜5をドライエッチングし、第1絶縁膜4及び第2絶縁膜5に開口13を形成する。
次いで、図4(G)に示すように、上層レジスト14A及び下層レジスト14Bをマスクとして、全面にゲートメタル(Ni:例えば厚さ10nm程度/Au:例えば厚さ300nm程度)を蒸着する。なお、ここでは、図示の便宜上、上層レジスト上に堆積されるゲートメタルの図示を省略している。
その後、層間絶縁膜やコンタクト孔、各種配線等の形成工程を経て、本半導体装置を完成させる。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、デバイス特性及び信頼性を向上させることができるという利点がある。
ところで、上述の実施形態では、図1に示すように、第1絶縁膜4と第2絶縁膜5とを積層させた積層構造絶縁膜とし、第1絶縁膜4をストイキオメトリ絶縁膜(第1SiN膜)とし、第2絶縁膜5を非ストイキオメトリ膜(第2SiN膜)とすることで、絶縁膜全体の絶縁性向上(低ゲートリーク電流化)と化合物半導体表面の化学的安定性の向上の両立を可能としているが、さらに、第1絶縁膜(ストイキオメトリSiN膜)4及び第2絶縁膜(非ストイキオメトリSiN膜)5に作用する応力を制御することで、デバイス性能及び表面改質作用を高めるとともに、応力を緩和し、絶縁膜全体の低応力化を実現することができる。
図5に示すように、高周波プラズマCVD法で、N2をN原料ガスとして供給して形成されるSiN膜は、屈折率が2.1又はその近傍よりも小さくなっていると(ここでは2.17よりも小さくなっていると)引張応力が作用し、屈折率が2.1又はその近傍よりも大きくなっていると(ここでは2.17以上になっていると)圧縮応力が作用する。
一方、第2絶縁膜5として形成される非ストイキオメトリSiN膜は、屈折率が2.1又はその近傍よりも大きくなるようにすれば(ここでは2.17以上になるようにすれば)、圧縮応力が作用することになる。
特に、第1絶縁膜4及び第2絶縁膜5の厚さを適切に選択することで、絶縁膜全体の応力をゼロ(ゼロストレス)にすることができる。例えば図5に示すように、ストイキオメトリ絶縁膜としての第1SiN膜4の屈折率が2.0程度となり、非ストイキオメトリ絶縁膜としての第2SiN膜5の屈折率が2.3程度となるようにし、第1SiN膜4の厚さと第2SiN膜5の厚さを同じにすれば、ゼロストレスを実現できることになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図6を参照しながら説明する。
つまり、第1絶縁膜を形成する工程においては、上述の第1実施形態と同様に[図4(D)参照]、N2をN原料ガス(窒素原料ガス)として供給してシリコン窒化膜(第1SiN膜;N2ベースSiN膜)4を形成するのに対し、第2絶縁膜を形成する工程においては、NH3をN原料ガス(窒素原料ガス)として供給してシリコン窒化膜(第2SiN膜;NH3ベースSiN膜)5Aを形成する点が異なる[図6参照]。
する[図6参照]。
一方、第2絶縁膜5Aを形成する工程は、上述の第1実施形態と異なり、第2絶縁膜5Aとして、例えば、高周波プラズマCVD法を用い、プラズマ励起周波数13.56MHz、出力(高周波出力)50W、ガス流量SiH4/NH3/N2/He=5sccm/10sccm/150sccm/1000sccmとして、例えば20nmのシリコン窒化膜(第2SiN膜;NH3ベース・非ストイキオメトリSiN膜)を成膜する[図6参照]。
なお、ここでは、第2絶縁膜5Aを形成する工程において、窒素原料ガスとして、NH3だけでなく、N2も供給しているが、これに限られるものではなく、N2を供給せずに、NH3だけを供給するようにしても良い。
上述の第1実施形態において説明したように、水素の拡散あるいはラジカル水素の打ち込みによって、結晶構成元素の酸化物や水素終端及び水酸基終端されたボンドを還元又は正常な結合状態に戻す必要がある。
しかしながら、同様の効果は、例えばプラズマCVDによって第2絶縁膜を成膜する際に、プラズマ中の水素濃度を上昇させることによって実現することができる。つまり、化合物半導体表面の化学的不安定性は、ラジカル水素を多く含む環境下で第2絶縁膜を成膜することによって解消することができる。プラズマ中の水素濃度を上昇させて、ラジカル水素を多く含む環境にするには、窒素材料ガスとしてNH3を用いれば良い。
ところで、上述のような製造方法によって製造された半導体装置(ショットキーゲートFET)は、以下のように構成されることになる。
本実施形態では、図6に示すように、第2絶縁膜5AとしてのSiN膜(第2SiN膜;NH3ベースSiN膜)は、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた絶縁膜、即ち、Si−H結合及びN−H結合の合計が多く(Si−H結合濃度及びN−H結合濃度の合計濃度が高く)、化学的量性比がずれている(N/Si比が4/3からずれている)非ストイキオメトリ絶縁膜(NH3ベース・非ストイキオメトリSiN膜)として構成されている。なお、図6では、上述の第1実施形態(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
本実施形態では、第2SiN膜5Aを非ストイキオメトリ絶縁膜として構成すべく、第2SiN膜5の屈折率(波長633nmの光に対する屈折率)が1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲外(ここでは2.1以上)になるようにしている。
また、第2SiN膜5Aは、これに含まれるSi−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度が、2.8×1022個/cm3以上になっている(少なくとも2.0×1022個/cm3以上になっていれば良い)。つまり、第2絶縁膜5Aは、Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度が高く、水素を多く含む高水素含有絶縁膜になっている。このように、第2絶縁膜5Aは、第1絶縁膜4よりも水素を多く含む含有水素量の大きい絶縁膜として構成されている。
なお、ここでは、第2SiN膜5Aの屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも高めにするようにしているが、これに限られるものではなく、屈折率を2.0又はその近傍の範囲よりも低めにする(即ち、1.9以下にする)ようにしても良い。この場合、第2SiN膜5Aに含まれるN−H結合の濃度は、1.5×1022個/cm3以上(9.0×1021個/cm3又はその近傍の範囲外)になる。また、Si−H結合の濃度は、1.1×1022個/cm3以下(1.7×1022個/cm3又はその近傍の範囲外)になる。さらに、Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度は、2.7×1022個/cm3以上になる(少なくとも2.0×1022個/cm3以上になれば良い)。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第1実施形態のものと同様に、デバイス特性の向上及び性能変動を抑制させることができるという利点がある。
なお、上述の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を用いる場合、化合物半導体表面に対する改質作用(安定化作用)は、第2SiN膜5Aの成膜中にプラズマ中に存在する水素プラズマによっても実現されるため、上述の実施形態のように、第2絶縁膜5Aとして、水素を多く含み、化合物半導体表面に対する安定化作用に優れた非ストイキオメトリ絶縁膜(屈折率としてはストイキオメトリからずれた絶縁膜)を形成する必要はない。つまり、第2絶縁膜5Aの屈折率に制限はなく、第2絶縁膜5AとしてのSiN膜の屈折率(波長633nmの光に対する屈折率)を2.0又はその近傍の範囲(即ち、1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲)になるようにして、第2絶縁膜として、水素を多く含み、屈折率としてはストイキオメトリに位置する絶縁膜(NH3ベース・ストイキオメトリSiN膜;NH3ベースSiN膜)を形成しても良い。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法について、図7を参照しながら説明する。
つまり、上述の第2実施形態では、第2絶縁膜(NH3ベース・ストイキオメトリSiN膜)5Aとして、水素を多く含み、屈折率としては非ストイキオメトリに位置する絶縁膜[屈折率(波長633nmの光に対する屈折率)が2.0又はその近傍の範囲(即ち、1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲)外になっているSiN膜]を形成することになる。
N原料ガスとして供給して形成されたSiN膜のストレスと屈折率との関係;図5に示す特性よりも全体的に上方(引張側)へシフトしたものとなる)から、引張応力が作用する膜となる。
一方、第1絶縁膜4として形成されるストイキオメトリSiN膜も、その物理的性質(図5参照)から、引張応力が作用する膜となる。
なお、その他の構成は、上述の第2実施形態及びその変形例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
まず、第1絶縁膜4として、絶縁性に優れたストイキオメトリ絶縁膜を形成すべく、例えば、高周波プラズマCVD法を用い、プラズマ励起周波数13.56MHz、出力(高周波出力)50W、ガス流量SiH4/N2/He=2sccm/150sccm/1000sccmとして、例えば10nmのシリコン窒化膜(第1SiN膜;N2ベースSiN膜)を成膜する[図7参照]。
このようにして、第1絶縁膜4を形成する工程において、波長633nmの光に対する屈折率が1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲(即ち、屈折率が2.0又はその近傍の範囲)で、N/Si比が4/3になって化学的量性比の正しいストイキオメトリ絶縁膜としての第1SiN膜4を形成する。このように、高周波プラズマCVD法で、窒素原料ガスとしてN2を用いて形成された第1絶縁膜(N2ベース・ストイキオメトリSiN膜)4は、引張応力が作用する膜となる。
このようにして、第2絶縁膜5Aを形成する工程において、波長633nmの光に対する屈折率が1.9よりも大きく2.1よりも小さい範囲(即ち、屈折率が2.0又はその近傍の範囲)外で、化学的量性比がずれている(N/Si比が4/3からずれている)非ストイキオメトリ絶縁膜としての第2SiN膜5Aを形成する。このように、高周波プラズマCVD法で、窒素原料ガスとしてNH3を用いて形成された第2絶縁膜(NH3ベース・ストイキオメトリSiN膜)5Aは、引張法力が作用する膜となる。
このようにして形成された第3SiN膜20に含有されるSi−H結合濃度は0.8×1022個/cm3となり、N−H結合濃度は3.0×1021個/cm3となった。なお、Si−H結合濃度及びN−H結合濃度は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を用いた透過型測定によって計測した。ここでは、Si−H結合の濃度とN−H結合の濃度を足した合計濃度は3.1×1022個/cm3となった。
さらに、第3SiN膜20の膜密度は、2.9〜3.0g/cm3となった。つまり、第3SiN膜20は、第1SiN膜4又は第2SiN膜5Aと比較して、膜密度が高くなった(ここでは約10%程度)。
このようにして、低周波プラズマCVD法によって堆積した第3SiN膜20は、成膜時のイオンエネルギーが高いため、緻密で結合欠陥の少ない膜になる。このため、第3SiN膜20は、耐水性に優れ、デバイスの信頼性向上にも大きく寄与することになる。つまり、高周波プラズマCVD法(プラズマ励起周波数13.56MHz)によって成膜された絶縁膜(SiN膜)のみを備える半導体装置(ここではショットキーゲートFET)よりも高い耐水性能を有する半導体装置(ここではショットキーゲートFET)を実現できることになる。
したがって、本実施形態にかかる半導体装置及びその製造方法によれば、上述の第2実施形態及びその変形例のものと同様に、デバイス特性及び信頼性を向上させることができるという利点がある。
[その他]
なお、上述の各実施形態では、ショットキーゲートFETを例に挙げて説明しているが、本発明は、例えばMISゲートFET(MISゲート型FET;例えば図10参照)などの他の半導体装置にも適用することができる。また、上述の各実施形態におけるショットキーゲートFET及びMISゲートFETにおいては、要求される諸特性によって、化合物半導体積層構造を、GaN表面層を備えないものとして構成することもできる。
なお、ここでは、図8(A)に示す構造の半導体装置を製造する場合を例に挙げて説明するが、図8(B),(C)に示す他の構造の半導体装置も同様の方法で製造することができる。
次に、図9(A)に示すように、ポジ型電子線レジスト(商品名ZEP520−A7;日本ゼオン社製)であるファインゲート用レジスト21を、例えば300nm程度の厚さになるように、例えばスピンコート法によって塗布し、例えば180℃で5分間熱処理する。
つまり、まず、アルカリ可溶性樹脂(商品名PMGI;米国マイクロケム社製)である下層レジスト22Aを、例えば500nm程度の厚さになるように、例えばスピンコート法によって塗布し、例えば180℃で3分間熱処理する。
次に、図9(A)に示すように、例えば電子線描画によって、基板6側から、ファインゲート開口23,リフトオフ用庇状オーバゲート開口24を形成する。
その後、層間絶縁膜やコンタクト孔、各種の配線等の形成工程を経て、半導体装置(ショットキーゲートFET)が完成する。
以下、上述の各実施形態及び各変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
半導体基板上に積層された複数の化合物半導体層からなる化合物半導体積層構造と、
少なくとも前記化合物半導体積層構造を構成する化合物半導体層の表面に露出している部分を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成された第2絶縁膜とを備え、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜よりも水素を多く含んでいることを特徴とする半導体装置。
前記第1絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第1絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、Si−H結合の濃度が1.1×1022個/cm3又はその近傍の範囲内であることを特徴とする、付記1又は2に記載の半導体装置
。
前記第1絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、波長633nmの光に対する屈折率が1.9よりも大きく2.1よりも小さいことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記第2絶縁膜は、非ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であって、Si−H結合の濃度が1.1×1022個/cm3又はその近傍の範囲外であることを特徴とする、付記5記載の半導体装置。
(付記7)
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であって、Si−H結合の濃度が1.7×1022個/cm3又はその近傍の範囲外であることを特徴とする、付記5記載の半導体装置。
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、波長633nmの光に対する屈折率が2.1以上であることを特徴とする、付記5〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記9)
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であって、N−H結合の濃度が1.0×1022個/cm3以上であることを特徴とする、付記5記載の半導体装置。
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であって、N−H結合の濃度が1.5×1022個/cm3以上であることを特徴とする、付記5記載の半導体装置。
(付記11)
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、波長633nmの光に対する屈折率が1.9以下であることを特徴とする、付記5、9、10のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第2絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記13)
前記第2絶縁膜は、シリコン窒化膜であり、波長633nmの光に対する屈折率が1.9よりも大きく2.1よりも小さいことを特徴とする、付記12記載の半導体装置。
前記第1絶縁膜は、引張応力が作用する膜であり、
前記第2絶縁膜は、圧縮応力が作用する膜であり、
前記第1絶縁膜が前記第2絶縁膜に作用する圧縮応力を緩和しうる厚さを有するか、又は、前記第2絶縁膜が前記第1絶縁膜に作用する引張応力を緩和しうる厚さを有することを特徴とする、付記1〜6、8、9、11のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第2絶縁膜上に形成された第3絶縁膜をさらに備え、
前記第1絶縁膜は、引張応力が作用する膜であり、
前記第2絶縁膜は、引張応力が作用する膜であり、
前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜に作用する引張応力及び前記第2絶縁膜に作用する引張応力を緩和しうる圧縮応力が作用する膜であることを特徴とする、付記1〜5、7、8、10〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
半導体基板上に複数の化合物半導体層を積層させて化合物半導体積層構造を形成し、
少なくとも前記化合物半導体積層構造を構成する化合物半導体層の表面に露出している部分が覆われるように第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜上に前記第1絶縁膜よりも含有水素量の大きい第2絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記第1絶縁膜を形成する工程において、SiH4をSi原料ガスとして供給して、N/Si比が4/3のシリコン窒化膜を形成し、
前記第2絶縁膜を形成する工程において、SiH4の流量を増加させて、N/Si比が4/3よりも小さいシリコン窒化膜を形成することを特徴とする、付記16記載の半導体装置の製造方法。
前記第1絶縁膜を形成する工程において、N2をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜を形成し、
前記第2絶縁膜を形成する工程において、少なくともNH3をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜を形成することを特徴とする、付記16記載の半導体装置の製造方法。
前記第2絶縁膜上に、低周波励起のプラズマCVD法によって第3絶縁膜を形成することを特徴とする、付記18記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記第1絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、付記16〜19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
2 ゲート電極
2A マッシュルーム型のゲート電極
3 オーミック電極
4 第1絶縁膜(第1SiN膜;ストイキオメトリ絶縁膜)
5 第2絶縁膜(第2SiN膜;非ストイキオメトリ絶縁膜)
5A 第2絶縁膜(第2SiN膜;NH3ベースSiN膜)
6 SiC基板(半導体基板)
7 バッファ層
8 GaN電子走行層
9 AlGaN電子供給層
10 GaN表面層
11 素子分離領域(注入領域)
12 レジスト
12A レジスト開口
14 多層レジスト
14A 下層レジスト
14B 上層レジスト
15,16 開口
20 第3絶縁膜(第3SiN膜)
21 ファインゲート用レジスト
22 多層レジスト
22A 下層レジスト
22B 上層レジスト
23 ファインゲート開口
24 リフトオフ用庇状オーバゲート開口
25 開口
26 絶縁膜(SiN膜)
Claims (10)
- 半導体基板上に積層された複数の化合物半導体層からなる化合物半導体積層構造と、
少なくとも前記化合物半導体積層構造を構成する化合物半導体層の表面に露出している部分を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成された第2絶縁膜とを備え、
前記第1絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であり、引張応力が作用するシリコン窒化膜であり、
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜よりも水素を多く含んでおり、引張応力が作用するシリコン窒化膜であることを特徴とする半導体装置。 - 前記第2絶縁膜は、非ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第2絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第2絶縁膜上に形成された第3絶縁膜をさらに備え、
前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜に作用する引張応力及び前記第2絶縁膜に作用する引張応力を緩和しうる圧縮応力が作用する膜であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。 - 半導体基板上に複数の化合物半導体層を積層させて化合物半導体積層構造を形成し、
少なくとも前記化合物半導体積層構造を構成する化合物半導体層の表面に露出している部分が覆われるように第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜上に前記第1絶縁膜よりも含有水素量の大きい第2絶縁膜を形成する工程を含み、
前記第1絶縁膜を形成する工程において、N2をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜であり、ストイキオメトリ絶縁膜である前記第1絶縁膜を形成し、
前記第2絶縁膜を形成する工程において、少なくともNH3をN原料ガスとして供給してシリコン窒化膜である前記第2絶縁膜を形成することを特徴とする、半導体装置の製造方法。 - 前記第1絶縁膜は、引張応力が作用する膜であり、
前記第2絶縁膜は、引張応力が作用する膜であることを特徴とする、請求項5記載の半導体装置の製造方法。 - 前記第2絶縁膜は、非ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第2絶縁膜は、ストイキオメトリ絶縁膜であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1絶縁膜を形成する工程において、高周波励起のプラズマCVD法によって前記シリコン窒化膜を形成し、
前記第2絶縁膜を形成する工程において、高周波励起のプラズマCVD法によって前記シリコン窒化膜を形成することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記第2絶縁膜上に、低周波励起のプラズマCVD法によって第3絶縁膜を形成することを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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