JP5212325B2 - ポリカーボネート系複合材料、その製造方法および成形体 - Google Patents
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で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネート、および
該ポリカーボネート中に分散している有機化層状珪酸塩を、
含有することを特徴とするものである。
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネートを溶媒に溶解させ、次いで、該ポリカーボネートが溶解した溶液と有機化層状珪酸塩とを混合した後、溶媒を除去することを特徴とする方法である。
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネートを溶融ながら有機化層状珪酸塩と混合することを特徴とする方法である。
先ず、本発明に用いられるポリカーボネートについて説明する。本発明にかかるポリカーボネートは、前記式(1)で表される繰り返し単位と前記式(2)で表される繰り返し単位とを特定の割合で有するイソソルビド系ポリカーボネートである。
で表されるビスフェノールおよびその誘導体が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールC〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔ビスフェノールAD〕がより好ましい。
で表される炭酸ジエステルが好ましい。前記アルキル基の炭素数は通常1〜12であり、好ましくは2〜4である。また、前記アリール基の炭素数は通常6〜18であり、好ましくは6〜12である。このような炭酸ジエステルのうち、前記イソソルビド系化合物およびビスフェノール系化合物との反応性の観点から、アルキル基の炭素数が2〜4の炭酸ジアルキルおよび炭酸ジフェニルが好ましく、炭酸ジフェニルがより好ましい。
次に、本発明に用いられる有機化珪酸塩について説明する。前記有機化珪酸塩としては特に制限はないが、例えば、スメクタイト、カオリナイト、バーミキュライト、マイカなどの公知の層状珪酸塩を有機化したものが好ましい。前記スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどが挙げられる。前記カオリナイトとしては、例えば、カオリナイト、ハロサイトなどが挙げられる。前記バーミキュライトとしては、例えば、ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライトなどが挙げられる。前記マイカとしては、例えば、マスコバイト、イライト、セリサイト、フロゴバイト、バイオタイトなどが挙げられる。これらの層状珪酸塩は天然物であっても、水熱合成、溶融法、固相法などによる合成物であってもよい。また、前記層状珪酸塩は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、層状珪酸塩の陽イオン交換容量は30〜300meq/100gであることが好ましい。
本発明のポリカーボネート系複合材料は、前記イソソルビド系ポリカーボネートと、このポリカーボネート中に分散している前記有機化層状珪酸塩とを含有するものである。このようなポリカーボネート系複合材料において、有機化層状珪酸塩の含有量は、ポリカーボネート100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。有機化層状珪酸塩の含有量が前記下限未満になるとポリカーボネート系複合材料の貯蔵弾性率が十分に向上しない傾向にある。他方、前記上限を超えるとポリカーボネート系複合材料の靭性が低下する傾向にある。
(i)前記イソソルビド系ポリカーボネートを溶媒に溶解させ、次いで、この溶液と前記有機化層状珪酸塩とを混合し、その後、前記溶媒を除去する方法。
(ii)前記イソソルビド系ポリカーボネートを溶融ながら前記有機化層状珪酸塩と混合する方法。
次に、本発明の成形体について説明する。すなわち、本発明の成形体は、本発明のポリカーボネート系複合材料を溶融成形せしめたものである。本発明の成形体を製造するに際し、ポリカーボネート系複合材料を溶融する際の温度としては、使用するイソソルビド系ポリカーボネートが溶融し且つ熱分解しない温度であれば特に制限はないが、180〜250℃が好ましい。この温度が前記下限未満になるとポリカーボネート系複合材料が十分に溶融せず、成形が困難となる傾向にある。他方、前記上限を超えるとイソソルビド系ポリカーボネートの分子量が低下し、得られる成形体の物性が低下する傾向にある。このような本発明の成形体を製造する方法としては特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、プレス成形、カレンダー成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸などのいずれの方法であってもよい。また、本発明の成形体の形状、厚みなどは特に制限されず、具体的な成形体として、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリックなどが挙げられる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ((株)昭和通商製「Shodex GPC−101」)を用い、下記条件でポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
カラム:昭和電工(株)製「K−805L」。
溶媒:クロロホルム。
流量:1.0ml/分。
標準物質:標準ポリスチレン。
ポリカーボネート約5.0mgを秤量し、示差走査熱量計(TA Instrument社製「DSC Q1000」)を用いて温度範囲25〜250℃、昇温速度10℃/分の条件でポリカーボネートのガラス転移温度を測定した。
ポリカーボネート約7.0mgを秤量し、熱分析装置(理学電機(株)製「Thermoplus TG8120」)を用いて温度範囲25〜500℃、昇温速度10℃/分の条件でポリカーボネートの熱重量変化を測定した。ポリカーボネートの質量が5質量5%減少した時点の温度を熱分解温度とした。
ポリカーボネート系複合材料を220℃で溶融させ、厚さ約0.5mmでプレス成形した後、約5.0mm×約30mm×約0.5mmの試験片を切り出した。この試験片の寸法を正確に測定した後、粘弾性スペクトルメーター(アイティー計測制御(株)製「DVA−220」)を用いて周波数10Hz、温度範囲−100〜250℃、昇温速度4℃/分の条件でポリカーボネート系複合材料の貯蔵弾性率を測定した。
ポリカーボネート系複合材料を220℃で溶融させ、100mm×100mm×0.5mmの平板状にプレス成形した後、X線試料ホルダーに合わせた形状の試料を切り出した。この試料をX線試料ホルダーに装着し、X線回折装置((株)リガク製「RINT−TTR」)を用いてポリカーボネート系複合材料中の珪酸塩層のd(001)面の面間隔を測定(Cuα線を使用)し、これを層間距離とした。
減圧装置と攪拌装置とを備えるガラス容器に、イソソルビド(Aldrich社製)23.38g(160.0mmol)、ビスフェノールA(和光純薬工業(株)製)9.13g(40.0mmol)および炭酸ジフェニル(東京化成工業(株)製)43.3g(202.0mmol)を仕込んだ。これに、触媒として4−ジメチルアミノピリジン(融点:108〜110℃。以下、「DMAP」と略す。)7.0mgを添加した。
イソソルビドの量を70.0g(478.99mmol)、ビスフェノールAの量を12.15g(53.22mmol)および炭酸ジフェニルの量を114.18g(533.0mmol)に変更した以外は実施例1と同様にしてイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が90mol%のイソソルビド系ポリカーボネートを合成した。このイソソルビド系ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度(Tg)および熱分解温度(Td)を前記測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
イソソルビドの量を60.0g(410.57mmol)、ビスフェノールAの量を4.69g(20.53mmol)および炭酸ジフェニルの量を92.54g(432.0mmol)に変更した以外は実施例1と同様にしてイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が95mol%のイソソルビド系ポリカーボネートを合成した。このイソソルビド系ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度(Tg)および熱分解温度(Td)を前記測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
イソソルビドの量を40.0g(273.71mmol)、ビスフェノールAの量を1.25g(5.47mmol)および炭酸ジフェニルの量を59.98g(280.0mmol)に変更した以外は実施例1と同様にしてイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が98mol%のイソソルビド系ポリカーボネートを合成した。このイソソルビド系ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度(Tg)および熱分解温度(Td)を前記測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
合成例1で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が80mol%のイソソルビド系ポリカーボネート3.0gをジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」と略す。)30mlに溶解した。この溶液に、約80℃で撹拌しながら、有機化層状珪酸塩として有機化モンモリロナイト(Southern Clay Products社製「Cloisite 30B」、methyl tallow bis−2−hydroxyethyl ammoniumで有機化したもの、X線回折法で求めた層間距離:1.8nm)150.0mgを添加し、約3時間撹拌を継続して透明な溶液を得た。
ポリカーボネートとして合成例2で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が90mol%のイソソルビド系ポリカーボネート3.0gを使用した以外は実施例1と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
ポリカーボネートとして合成例3で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が95mol%のイソソルビド系ポリカーボネート3.0gを使用した以外は実施例1と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
ポリカーボネートとして合成例4で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が98mol%のイソソルビド系ポリカーボネート3.0gを使用し、有機化モンモリロナイトの添加量を30.0mgに変更した以外は実施例1と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
有機化モンモリロナイトの添加量を90.0mgに変更した以外は実施例4と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
有機化モンモリロナイトの添加量を150.0mgに変更した以外は実施例4と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
有機化モンモリロナイトの添加量を300.0mgに変更した以外は実施例4と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
有機化層状珪酸塩としてドデシルアンモニウムを用いて常法により有機化したモンモリロナイト(以下、「C12−Mt」という。X線回折法で求めた層間距離:1.8nm)150.0mgを使用した以外は実施例3と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
有機化層状珪酸塩としてオクタデシルアンモニウムを用いて常法により有機化したモンモリロナイト(以下、「C18−Mt」という。X線回折法で求めた層間距離:1.8nm)150.0mgを使用した以外は実施例3と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する透明なナノ複合材料を得た。
合成例4で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が98mol%のイソソルビド系ポリカーボネート4.0gと、実施例1に記載の有機化モンモリロナイト(前記Cloisite 30B)200.0mgをミニマックス成形機(CUSTOM社製)に仕込み、250℃で1分間撹拌して溶融混練した。この溶融混練物を押出してイソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有するストランド状のナノ複合材料を得た。
合成例3で合成したイソソルビド骨格含有繰り返し単位の含有率が95mol%のイソソルビド系ポリカーボネートについて、25℃の貯蔵弾性率を前記測定方法に従って測定したところ、3.5GPaであった。
層状珪酸塩として有機化処理していないモンモリロナイト(Na−Mt、X線回折法で求めた層間距離:1.3nm)150.0mgを使用した以外は実施例3と同様にして、イソソルビド系ポリカーボネートと有機化層状珪酸塩を含有する複合材料を得た。
ビスフェノールA骨格含有繰り返し単位の含有率が100mol%のビスフェノールA系ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「ユーピロンS−200UR」、DMACに不溶)3.0gをクロロホルム30mlに溶解した。この溶液に、撹拌しながら、有機化層状珪酸塩として有機化モンモリロナイト(Southern Clay Products社製「Cloisite 30B」)150.0mgを添加し、約3時間撹拌を継続して溶液を得た。
Claims (7)
- 下記式(1):
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネート、および
該ポリカーボネート中に分散している有機化層状珪酸塩を、
含有することを特徴とするポリカーボネート系複合材料。 - 前記有機化層状珪酸塩の含有量が、前記ポリカーボネート100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート系複合材料。
- 前記有機化層状珪酸塩が、スメクタイト、カオリナイト、バーミキュライトおよびマイカからなる群から選択される少なくとも1種の層状珪酸塩を有機化したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート系複合材料。
- 前記ポリカーボネートのガラス転移温度が160℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリカーボネート系複合材料。
- 下記式(1):
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネートを溶媒に溶解させ、次いで、該ポリカーボネートが溶解した溶液と有機化層状珪酸塩とを混合した後、溶媒を除去することを特徴とするポリカーボネート系複合材料の製造方法。 - 下記式(1):
で表される繰り返し単位と、下記式(2):
で表される繰り返し単位とを、
全繰り返し単位100mol%に対して、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が55mol%以上98mol%以下、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が2mol%以上45mol%以下となる割合で有するポリカーボネートを溶融ながら有機化層状珪酸塩と混合することを特徴とするポリカーボネート系複合材料の製造方法。 - 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のポリカーボネート系複合材料を溶融成形せしめたものであることを特徴とする成形体。
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