JP5212174B2 - プラズマディスプレイパネル用部材およびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用部材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は形状不良に起因する表示不良や隔壁の欠損の発生を防止し、かつ蛍光体の隔壁頂部への付着に起因する不良の発生を防止できるプラズマディスプレイパネル用部材およびその製造方法に関するものである。
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)が注目されている。代表的なPDPの構成を以下に説明する。表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のスキャン電極とサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケル等の材料で形成されている。さらにスキャン電極およびサステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が、20〜50μm厚みで形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一方、背面板側のガラス基板には、複数のアドレス電極がストライプ状に形成され、アドレス電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成されている。誘電体層上に放電セルを仕切るための隔壁が形成され、隔壁と誘電体層で形成された放電空間内に蛍光体層が形成されてなる。フルカラー表示が可能なPDPにおいては、蛍光体層は、赤(R)緑(G)青(B)の各色に発光するものにより構成される。前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板側のアドレス電極が互いに直交するように、前面板と背面板が封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
PDPにおいて表示を行う際、選択された画素セルにおいて、発光していない状態からサステイン電極とアドレス電極との間に放電開始電圧以上の電圧を印加すると、電離によって陽イオンや電子が生じ、放電空間内を反対極性の電極へと向けて移動してMgO層の内壁に帯電し、MgO層の抵抗が高いために、内壁の電荷は減衰せずに壁電荷として残留する。
次に、スキャン電極とサステイン電極の間に放電維持電圧を印加する。壁電荷のあるところでは、放電開始電圧より低い電圧でも放電することができる。放電により放電空間内のキセノンガスが励起され、147nmの紫外線が発生し、紫外線が蛍光体を励起することにより、発光表示が可能になる。
このようなPDPにおいては、蛍光体層を発光させた場合の輝度を高めることが重要となっている。この輝度を高めるための手段として、アドレス電極と平行に延びるストライプ状の隔壁を有するものの他に、アドレス電極と平行に延びるストライプ状の主隔壁と、主隔壁と直行して延びる補助隔壁からなる格子状隔壁を設け、補助隔壁の表面にも蛍光面を形成することにより蛍光面の発光面積を大きくし、紫外線を効率よく蛍光面に作用させ、輝度を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしこのような格子状隔壁を形成した場合、通常主隔壁と補助隔壁の太さ、隔壁間隔及び隔壁高さが違うため、パターン形成後、焼成工程において両者の焼成収縮挙動の違いに起因して、2つのタイプの表示不良が発生する事が知られている。
第1のタイプの表示不良は、焼成時の収縮の違いにより隔壁交差部が凹み、隔壁中央部が盛り上がることに起因する不良である。通常隔壁材料は低融点ガラスとフィラーとバインダー樹脂等で構成されたペーストをパターン加工し、その後焼成することによって形成するが、焼成時には先ずバインダー樹脂が分解除去され、次に低融点ガラスが融解して隔壁を形成する。バインダー樹脂が分解除去される際は、隔壁パターンは全体的に収縮するが、表示セル内の隔壁の構成部位による高さの違いは発生しない。しかし、その後さらに低融点ガラスが融解し液体状となった際に、表面張力が発生する。この表面張力は隔壁内部で凝集力として作用して、隔壁形状を維持しているが、主隔壁と補助隔壁の交差部は非交差部と比較して、空気との接触面積が小さく、表面張力による左右側面から支える力が少ないため、隔壁交差部の高さは隔壁中央部の高さより低くなる傾向がある。このためセル内の隔壁中央部は、隔壁交差部に比べて高くなる場合が多い。特に隔壁交差部から距離が遠い、隔壁中央部の高さが高くなりやすい。この結果、電圧を印加してPDPを発光させる際に、セル内に蓄積した電荷が交差部凹み部分から抜けてしまい、本来発光するべきセルが発光しなかったり、発光すべきでない隣接するセルが発光したりしてしまうという表示不良が発生する。
第2のタイプの表示不良は、前記第1のタイプの表示不良と同様に隔壁交差部が凹み、隔壁中央部が盛り上がることに起因する。背面板を前面板に重ね合わせたときに、隔壁中央部の盛り上がり部が前面板上のスキャン電極及びサステイン電極上の盛り上がり部分に強く接触し、隔壁の一部が割れてしまい、割れた破片が隔壁側壁及び隔壁間に形成された蛍光体層に飛散する。その結果この表示セルが正常に動作しなくなり、駆動信号に関係なく点灯しつづけたり、逆に、全く点灯しなかったりする表示不良が発生する。
前記第1のタイプの表示不良を回避するものとして、隔壁交差部を隔壁及び補助隔壁の頂部幅よりも大きい柱状の構造とすることで、交差部の凹みを抑制する技術がある(特許文献2)。しかし、蛍光体層を形成する際にいわゆるディスペンサー法を用いる場合は、同色セルを連続塗布するが、特許文献2記載の背面板では隔壁交差部分の柱状構造の頂部に蛍光体ペーストが付着する。頂部に付着した蛍光体ペーストが付着し、焼成後に蛍光体粉末が頂部に存在すると、その蛍光体粉末は背面板と前面板とを重ね合わせたときに隔壁と絶縁体層とに挟まれ、それによって押し潰されて飛散し、絶縁体層における放電ガス空間に露出する表面に付着し、セルの放電特性を悪化させる。このため、画面内のセル間で駆動電圧のばらつきや輝度のばらつきなどの表示不良を引き起こす原因となる。また、頂部に付着した蛍光体粉末は、背面板と前面板とを重ね合わせた後にずり応力を受けたときに隔壁の欠けの原因となり、第1のタイプ同様の表示不良が発生する原因となる。これらの問題を防ぐには隔壁頂部のふき取りが必要となるが、コストがかかり現実的ではない。この表示不良が、第3のタイプの表示不良である。
また、前記第2、第3のタイプの表示不良を回避するものとして、特許文献3または特許文献4がある。特許文献3では主隔壁の高さに対し補助隔壁の高さを高くすることによって、前記第2、第3のタイプの不良を回避できるとしているが、この方法の場合、前述のようにディスペンサー法を用いて蛍光体を連続塗布する場合には頂部の拭き取りが必要となりコストアップに繋がり現実的ではない。また、それ以外のスクリーン印刷法や感光性ペースト法で塗布した場合には連続塗布法に比べてコストアップとなり、コスト面から現実的ではない。一方特許文献4によれば、主隔壁中央部付近に主隔壁の高さより低い段差を設けることで、中央部の盛り上がりを抑制し、高さを長手方向で一定にすることによって、これらの問題を克服できるとしているが、表示セルの中央部に段差を設けることによる輝度低下及び同一セル内での輝度の不均一化の恐れがある。また、主隔壁の高さが一定となっても、前面板電極部分が接触することに変わりはなく、隔壁上層部が剥離する懸念があることに変わりがないため、完全には前記第2のタイプの表示不良要因は取り除かれてはいない。
特開平10−321148号公報 特開2006−294501号公報 特開2004−55495号公報 特開2006−85917号公報
以上のように、従来技術では、コストを維持したまま焼成収縮挙動に起因する表示不良のすべてを解消することができない。本発明はかかる問題点全てを克服し、かつコストアップすることなく達成可能なプラズマディスプレイパネル用部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のプラズマディスプレイパネル用部材は絶縁基板上にアドレス電極と平行して延びる主隔壁および該主隔壁と直交する方向に延びる補助隔壁からなる格子状隔壁を有するプラズマディスプレイパネル用部材であって、該主隔壁と該補助隔壁の交差部分に該交差部分の主隔壁よりも高さの低い柱状の補強構造物を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材である。
本発明によれば、絶縁基板上にアドレス電極と平行して延びる主隔壁および該主隔壁と直交する方向に延びる補助隔壁からなる格子状隔壁を有するプラズマディスプレイパネル用部材において、該主隔壁と該補助隔壁の交差部分に該交差部分の主隔壁よりも高さの低い柱状の補強構造物を有することによって、焼成収縮による交差部の凹みを防ぎ、かつ隔壁の交差部と中央部の高さを高くする。すなわちスキャン電極またはサステイン電極が接触しやすい隔壁の交差部と中央部との間が凹むことによって、前面板と張り合わせた場合のスキャン電極またはサステイン電極と背面板上の隔壁の接触を避け、隔壁の欠損を防止することができる。また柱状の補強構造物が隔壁交差部に位置し、隔壁よりも高さが低いため、輝度を低下させたり蛍光体塗布方法を変更したりすることなく問題点を解決できる。
本発明のプラズマディスプレイ用部材の一例の形態を示す斜視図である。 切れ込みパターンを有するようなフォトマスクの一実施の形態を示すマスク図である。 主隔壁パターン及び補助隔壁パターンの交差透光部にテーパー状の切れ込みを有するようなフォトマスクの一実施の形態を示すマスク図である。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1に本発明のプラズマディスプレイ用部材の一実施の形態を示す。
本発明のPDP用部材としての背面板に用いる基板3としては、ソーダガラス、PDP用の耐熱ガラスなどを用いることができ、具体的には旭硝子(株)製のPD200や日本電気硝子(株)製のPP8などがあげられる。
本発明では、ガラス基板3上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属によりアドレス電極4が好ましく形成される。形成する方法としては、これらの金属の粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに400〜600℃に加熱・焼成して金属パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウム等の金属をスパッタリングした後にレジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより不要な部分の金属を取り除くエッチング法を用いることができる。電極厚みは1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましい。電極厚みが薄すぎると、パターンの抜けが生じやすくなったり、抵抗値が大きくなったりするため、正確な駆動が困難となる傾向にある。一方、厚すぎると材料が多く必要とされ、コスト的に不利な傾向にある。アドレス電極4の幅は好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜150μmである。アドレス電極4の幅が細すぎると、断線、欠けなどの欠陥が生じやすくなり、歩溜まりが低下する、また抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となる傾向にある。一方、太すぎると無効電力が増加する、隣り合う電極間の距離が小さくなるためショート欠陥が生じやすいなどの傾向がある。さらに、アドレス電極4は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に応じたピッチで形成される。通常のPDPでは100〜500μm、高精細PDPにおいては100〜400μmのピッチで形成するのが好ましい。
次いで、好ましくは誘電体層5が形成される。誘電体層5はガラス粉末と有機バインダーを主成分とするガラスペーストを、アドレス電極4を覆う形で塗布した後に、400〜600℃で焼成することにより形成できる。誘電体層5に用いるガラスペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、これらを合計で10〜80重量%含有するガラス粉末を好ましく用いることができる。該配合物を10重量%以上とすることで、600℃以下での焼成が容易になり、80重量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。
これらのガラス粉末と有機バインダーと混練してペーストを作製できる。用いる有機バインダーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル系化合物等を用いることができる。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。ガラス粉末以外にフィラー成分を添加することにより、反射率が高く、輝度の高いPDPを得ることができる。フィラーとしては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が好ましく、粒子径0.05〜3μmの酸化チタンを用いることが特に好ましい。フィラーの含有量はガラス粉末:フィラーの比で、1:1〜10:1が好ましい。フィラーの含有量をガラス粉末の10分の1以上とすることで、輝度向上の実効を得ることができる。また、ガラス粉末の等量以下とすることで、焼結性を保つことができる。また、導電性微粒子を添加することにより駆動時の信頼性の高いPDPを作製することができる。導電性微粒子は、ニッケル、クロムなどの金属粉末が好ましく、粒子径は1〜10μmが好ましい。1μm以上とすることで十分な効果を発揮でき、10μm以下とすることで誘電体上の凹凸を抑え隔壁形成を容易にすることができる。これらの導電性微粒子が誘電体層に含まれる含有量としては、0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%以上とすることで導電性を得ることができ、10重量%以下とすることで、隣り合うアドレス電極間でのショートを防ぐことができる。誘電体層5の厚みは好ましくは3〜30μm、より好ましくは3〜15μmである。誘電体層5の厚みが薄すぎるとピンホールが多発する傾向にあり、厚すぎると放電電圧が高くなり、消費電力が大きくなる傾向にある。
以下、本発明のプラズマディスプレイ用部材の形態の例を図1を用いて説明する。基板3上または誘電体層5上に、放電セルを仕切るためのアドレス電極と平行な主隔壁1および該主隔壁(およびアドレス電極)と直交する方向に補助隔壁2が形成される。補助隔壁を形成することにより、補助隔壁の壁面にも蛍光体層を形成することができ、発光面積を大きくとることができる。従って、紫外線が効率よく蛍光面に作用するため輝度を高めることが可能である。また、補助隔壁が存在することで、隔壁全体の結合面積が広くなり、部材の構造的強度が得られる。その結果、隔壁の幅を小さくすることができ、表示セル部における放電容積を大きくすることができ、放電効率をさらに向上させることができる。
本発明のプラズマディスプレイパネル用部材は、主隔壁と補助隔壁の交差部分に、交差部分の主隔壁よりも高さの低い柱状の補強構造物6を設けることを特徴とする。
ここで、柱状の補強構造物とは、主隔壁と補助隔壁の交差部分を含み、さらに主隔壁と補助隔壁の交差部分よりも外側に側面を有する柱状の構造物を指す。また、構造物の絶縁基板と平行な断面の大きさは必ずしも一定である必要はなく、円錐台状や多角錐台状であっても良い。
また、主隔壁と補助隔壁の交差部分における主隔壁の高さをh(μm)、補強構造物の高さをh(μm)とした時、2≦h−h≦40の関係を満たすことが好ましい。h−hが2μmより小さいと、補強構造物の頂部に付着した蛍光体により起因する表示不良が発生する場合がある。また、40μmより大きいと補強効果が十分ではなく、交差部分の主隔壁の高さが非交差部分の主隔壁の高さより低くなってしまい、表示不良が発生する場合があるため好ましくない。
また、主隔壁の頂部幅をW(μm)、補助隔壁の頂部幅をW(μm)、補強構造物の頂部の面の円相当径をR(μm)とすると、W<R≦4WかつW<R≦4Wの関係を満たすことが好ましい。
ここで、補強構造物の頂部の面の円相当径とは、補強構造物の頂部の面と同じ面積を持つ円の直径をいう。
補強構造物の頂点の形状としては、例えば、楕円形、菱形、平行四辺形、湾曲形、正方形、長方形などがあげられるが、菱形または平行四辺形であることが好ましく、特に菱形の各辺が内側に湾曲しているとき、焼成工程における両者の焼成収縮挙動の違いによる交差部分の凹みを防ぎ、焼成後の隔壁交差部に生じる凹み量の低減効果があるため好ましい。
主隔壁1および補助隔壁2の断面形状は台形や矩形とすることができる。主隔壁1の頂部幅Wおよび補助隔壁の頂部幅Wは10〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。主隔壁1および補助隔壁2の頂部幅が10μm未満では、機械的強度が低下し、前面板との封着時に隔壁が倒れたり、衝撃により隔壁が欠けたりしてしまうという問題が生じやすくなる。また100μmを超えると、パネルの放電面積が低下し、PDPの輝度が低くなる傾向にある。なお、主隔壁1および補助隔壁2の底部幅については、同様の理由により45〜150μmであることが好ましく、50〜110μmであることがより好ましい。
主隔壁1および補助隔壁2の高さhは80〜150μmとすることが好ましく、90〜140μmであることがより好ましい。80μm未満である場合は、蛍光体とスキャン電極が近づきすぎ、放電による蛍光体が劣化しやすい。またパネル輝度が低下しやすくなる傾向がある。一方、150μmを超えると、前面板のサステイン電極と背面板のアドレス電極との距離が大きくなり、誤放電を生じやすく、充分な輝度が得られない傾向がある。
なお、隔壁幅及び隔壁高さはそれぞれ焼成により10〜40%収縮するため、この割合を考慮して焼成前の主隔壁及び補助隔壁の寸法を決定すれば良い。
主隔壁1のピッチは基板サイズと画素数によって規定される。例えば、ハイビジョンタイプ(HDまたはXGA)では、パネルの横方向の画素数は1024〜1366かつRGB3色で3072〜4098セルとなる。よって、基板サイズが42インチの場合は、横方向の寸法は約900mm、50インチの場合は1100mmであるため、それぞれピッチは約0.3〜0.35mmとなる。また、他にも標準精細度(SDまたはVGA)は852画素、フルスペックハイビジョン(FHD)は1920画素であり、それぞれの画素数に応じたピッチとすればよい。
補助隔壁2の形成位置とピッチは、前面板と合わせてプラズマディスプレイとした際に画素を区切る位置に、補助隔壁2が形成されるように調整することが、ガス放電と蛍光体層の発光効率の点から好ましい。
次に、本発明における主隔壁および補助隔壁の形成方法について説明する。
本発明の第1のプラズマディスプレイ用部材の製造方法は、絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体と平行して延びる主隔壁前駆体、該主隔壁前駆体と直交する方向に延びる補助隔壁前駆体および該主隔壁前駆体と該補助隔壁前駆体の交差部分に該交差部分の主隔壁前駆体よりも高さの低い柱状の補強構造物前駆体を設けた後に焼成することによって、格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とする。
主隔壁1および補助隔壁2は、基板3上に無機微粒子と有機成分からなるペーストを、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)、金型転写法、リフトオフ法等公知の技術により主隔壁および補助隔壁パターンを形成し、焼成することで形成されるが、溝の形状制御、均一性等の理由から、中でも感光性ペーストを基板上に塗布、乾燥し感光性ペースト膜を形成し、フォトマスクを介して露光・現像するいわゆる感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)が本発明では好ましく適用される。
以下に本発明で好ましく適用する感光性ペースト法について、詳述する。本発明で用いる感光性ペーストは、無機微粒子と感光性有機成分を主成分とするものである。
感光性ペーストの無機微粒子としては、ガラス、セラミック(アルミナ、コーディライトなど)などを用いることができる。特に、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、または、アルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックが好ましい。
無機微粒子の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、体積平均粒子径(D50)が、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μmである。D50を10μm以下とすることで、表面凸凹が生じるのを防ぐことができる。また、1μm以上とすることで、ペーストの粘度調整を容易にすることができる。さらに、比表面積0.2〜3m/gのガラス微粒子を用いることが、パターン形成において特に好ましい。
主隔壁1および補助隔壁2は、好ましくは熱軟化点の低いガラス基板上にパターン形成されるため、無機微粒子として、熱軟化温度が350〜600℃のガラス微粒子を60重量%以上含む無機微粒子を用いることが好ましい。また、熱軟化温度が600℃を超えるガラス微粒子やセラミック微粒子を添加することによって、焼成時の収縮率を抑制することができるが、その量は、40重量%以下が好ましい。用いるガラス微粒子としては、焼成時にガラス基板にそりを生じさせないためには線膨脹係数が50×10−7〜90×10−7(/℃)、さらには、60×10−7〜90×10−7(/℃)のガラス微粒子を用いることが好ましい。
ガラス微粒子としては、ケイ素および/またはホウ素の酸化物を含有したガラスが好ましく用いられる。
酸化ケイ素は、3〜60重量%の範囲で配合されていることが好ましい。3重量%以上とすることで、ガラス層の緻密性、強度や安定性が向上し、また、熱膨脹係数を所望の範囲内とし、ガラス基板とのミスマッチを防ぐことができる。また、60重量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
酸化ホウ素は、5〜50重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができる。50重量%以下とすることでガラスの安定性を保つことができる。
さらに、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50重量%含有させることによって、ガラス基板上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50重量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。ビスマス系ガラス微粒子としては、次の組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化ビスマス:10〜40重量部
酸化ケイ素:3〜50重量部
酸化ホウ素:10〜40重量部
酸化バリウム:8〜20重量部
酸化アルミニウム:10〜30重量部
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を3〜20重量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、20重量%以下、好ましくは、15重量%以下にすることによって、ペーストの安定性を向上することができる。上記3種のアルカリ金属酸化物の内、酸化リチウムがペーストの安定性の点で、特に好ましい。リチウム系ガラス微粒子としては、例えば次に示す組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化リチウム:2〜15重量部
酸化ケイ素:15〜50重量部
酸化ホウ素:15〜40重量部
酸化バリウム:2〜15重量部
酸化アルミニウム:6〜25重量部
また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム,酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することにより、加工性を改良することができるが、熱軟化点、熱膨脹係数の点からは、その含有量は、40重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下である。
感光性有機成分としては、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有することが好ましく、さらに、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、有機溶媒、増感助剤、重合禁止剤を添加する。
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、単官能および多官能性の(メタ)アクリレート類、ビニル系化合物類、アリル系化合物類などを用いることができる。これらは1種または2種以上使用することができる。
感光性オリゴマー、感光性ポリマーとしては、炭素−炭素2重結合を有する化合物のうちの少なくとも1種類を重合して得られるオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これらのモノマーの含有率が、10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他の感光性のモノマーと共重合することができる。ポリマーやオリゴマーに不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマー、もしくは、オリゴマーの酸価(AV)は、50〜180の範囲が好ましく、70〜140の範囲がより好ましい。以上に示したポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性をもつ感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少な過ぎると、光感度が低下する傾向にあり、光重合開始剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなり過ぎる傾向にある。
光吸収剤を添加することも有効である。紫外光や可視光の吸収効果が高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。光吸収剤としては、有機系染料からなるものが好ましく用いられる、具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないので、光吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1重量%である。添加量が少なすぎると、光吸収剤の添加効果が減少する傾向にあり、多すぎると、焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を感光性ペーストに添加する場合、その添加量は、感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少な過ぎると光感度を向上させる効果が発揮されない傾向にあり、増感剤の量が多過ぎると、露光部の残存率が小さくなる傾向にある。
有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
感光性ペーストは、通常、上記の無機微粒子や有機成分を所定の組成になるように調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混合分散し作製する。次いで感光性ペーストの塗布、乾燥、露光、現像等を行う。
これらの一連の形成工程において、感光性ペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
また、塗布後の乾燥は、通風オーブン、ホットプレート、IR炉などを用いることができる。
露光で使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜10分間露光を行う。
ここで、フォトマスクと感光性ペーストの塗布膜表面との距離、すなわちギャップ量は50〜500μm、さらには70〜400μmに調整することが好ましい。ギャップ量を50μm以上さらには70μm以上とすることにより、感光性ペースト塗布膜とフォトマスクの接触を防ぎ、双方の破壊や汚染を防ぐことができる。また500μm以下さらには400μm以下とすることにより、適度にシャープなパターニングが可能となる。
主隔壁と補助隔壁からなる格子状隔壁であって、補助隔壁の高さが主隔壁の高さより低い格子状隔壁を感光性ペースト法で形成する場合、まず、焼成後に補助隔壁の高さとなるような厚みに上述の感光性ペーストを塗布、乾燥した後、補助隔壁に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを介して露光した後、さらに感光性ペーストを、焼成後に主隔壁の高さとなるような厚みに塗布、乾燥し、その後主隔壁に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを介して露光し、その後現像、焼成することによって格子状隔壁を形成することができる。この場合、焼成後に補助隔壁の高さとなるような厚みに感光性ペーストを塗布、乾燥した後に補助隔壁に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを介して露光する際に、同時または別途、補強構造部のパターンの透光部を有するフォトマスクを介して露光することが好ましい。
すなわち、本発明の第2のプラズマディスプレイ用部材の製造方法は、絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体を覆う誘電体層もしくはその前駆体を設け、該誘電体層もしくはその前駆体上に感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁および補助隔壁の交差部分に設ける補強構造物に相当するパターンおよび補助隔壁に相当するアドレス電極と直交するストライプ状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、さらに感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁に相当するアドレス電極に平行なストライプ状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、現像し、焼成することによって格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とする。
また、補助隔壁と主隔壁の高さの差をほぼ同じにする場合は、焼成後に補強構造物の高さとなるような厚みに感光性ペーストを塗布、乾燥した後に補強構造物に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、さらに焼成後に主隔壁および補強隔壁の高さとなるような厚みに感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁および補助隔壁に相当する格子状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、現像し、焼成することによって格子状隔壁および補強構造物を形成することができる。
すなわち、本発明の第3のプラズマディスプレイ用部材の製造方法は、絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体を覆う誘電体層もしくはその前駆体を設け、該誘電体層もしくはその前駆体上に感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁および補助隔壁の交差部分に設ける補強構造物に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、さらに感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁に相当するアドレス電極に平行なストライプ状の透光部および補助隔壁に相当するアドレス電極と直交するストライプ状の透光部からなる格子状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、現像し、焼成することによって格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とする。
なお、補助隔壁と主隔壁の高さが同じ格子状の隔壁を形成させる場合は、透光部の幅が一定である格子状の透光部を有するフォトマスクを用いると、主隔壁パターン及び補助隔壁パターンの交差部付近において散乱光の近接効果により露光され、現像の際に交差部分近接部の現像が起こりにくくなった結果、交差部分のエッジがなだらかとなってしまうためにセル体積が低下し、輝度が低下してしまう場合がある。このような問題を防止するためには、主隔壁に相当する透光部と補助隔壁に相当する透光部の交点付近に切れ込みパターンを有する格子状の透光部を有するフォトマスクを用いることが好ましい。
ここで、切れ込みパターンを有するとは、図2および図3に示すように、主隔壁に相当する透光部パターン7および補助隔壁に相当する透光部パターン8が、それぞれ交差部付近で細くなっているようことを指し、主隔壁に相当する透光部パターン7および補助隔壁に相当する透光部パターン8が細くなっている部分を切れ込み部9と呼ぶ。主隔壁に相当する透光部パターン7および補助隔壁に相当する透光部パターン8の交差部付近で最も細くなっている部分の幅は、それぞれ主隔壁に相当する透光部パターン7および補助隔壁に相当する透光部パターン8が隣り合う交差部間の中央部で最も太くなる位置におけるそれぞれのパターンの幅の60%以下であることが好ましい。
補強構造物に相当するパターンの透光部の形状としては、例えば、楕円形、菱形、平行四辺形、湾曲形、正方形、長方形などがあげられるが、菱形または平行四辺形であることが好ましく、特に菱形の各辺が内側に湾曲している形状とすることによって、焼成工程における両者の焼成収縮挙動の違いによる交差部分の凹みを防ぎ、焼成後の隔壁交差部に生じる凹み量の低減効果があるため好ましい。
ここで本発明における補強構造物は、上述の補助隔壁のパターンの露光と同時、または前後して補強構造物のパターンの露光を行うことによって形成することができるが、補助隔壁のパターンおよび補強構造物のパターンの透光部を有するフォトマスクを用いて露光しても良いし、補助隔壁のパターンの透光部を有するフォトマスクと補強構造物のパターンの透光部を有するフォトマスクを用いてそれぞれ別の露光操作を行っても良い。
現像は、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行う。現像は、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行うことができる。
現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低過ぎれば可溶部が除去されない傾向にあり、アルカリ濃度が高過ぎれば、パターン部を剥離したり、非可溶部を腐食させたりする傾向にある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
次に、現像により得られた主隔壁・補助隔壁・補強構造物のパターンは焼成炉にて焼成される。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行うと良い。ガラス基板上に直接隔壁を形成する場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うと良い。
次いで所定のアドレス電極と平行方向に形成された主隔壁間に、R(赤)G(緑)B(青)各色に発光する蛍光体層を形成する。蛍光体層は、蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の主隔壁間に塗着させ、乾燥し、必要に応じて焼成することにより形成することができる。
蛍光体ペーストを所定の主隔壁間に塗布する方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、蛍光体ペーストの有機バインダーとして前述の感光性を有する有機成分を用いた感光性ペースト法により各色の蛍光体ペーストを所定の場所に塗着させることができるが、コストの理由からスクリーン印刷法、ディスペンサー法が本発明では好ましく適用される。
本発明のプラズマディスプレイ用部材の製造方法においては、格子状隔壁および補強構造物を形成した後に、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出することによって蛍光体層を形成することが好ましい。本発明のプラズマディスプレイパネル用部材は、ディスペンサー法を用いて蛍光体ペーストを塗布する場合であっても頂部への蛍光体ペーストの付着に起因する表示不良が発生することがない。
赤色蛍光体層の厚みをTr、緑色蛍光体層の厚みをTg、および青色蛍光体層の厚みをTbとしたとき、好ましくは、10μm≦Tr≦Tb≦50μm、10μm≦Tg≦Tb≦50μmなる関係を有することにより、より本発明の効果を発揮できる。つまり、発光輝度の低い青色について、厚みを緑色、赤色よりも厚くすることにより、より色バランスに優れた(色温度の高い)プラズマディスプレイを作製できる。蛍光体層の厚みとしては、10μm以上とすることで充分な輝度を得ることができる。また、50μm以下とすることで、放電空間を広くとり高い輝度を得ることができる。この場合の蛍光体層の厚みは、隣り合う隔壁の中間点での形成厚みとして測定する。つまり、放電空間(セル内)の底部に形成された蛍光体層の厚みとして測定する。
塗着させた蛍光体層を必要に応じて、400〜550℃で焼成することにより、本発明のプラズマディスプレイ用部材を作製することができる。
このプラズマディスプレイ用部材を背面板として用いて、前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着してプラズマディスプレイを作製できる。前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成した部材である。背面板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上するために、ブラックストライプを形成しても良い。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
13インチサイズのPDP背面板を作製し、評価を実施した。作製した背面板は下記の方法にて評価した。
[評価方法]
<隔壁欠け評価>
作製した背面板を5cm×13cmに切り、基板中央の1cm角の4点とその中心1点に印を付け、同等の大きさの前面板と張り合わせ、背面板側を下にして、その上から重さ114gの金属球を30cmの高さから印を付けた5点に2回ずつ落下させた。その後1cm角部分を切り出し、走査型電子顕微鏡にて隔壁欠け部分の写真を撮影した。撮影した写真より、隔壁欠けの個数及び欠けの平均サイズを測定した。この評価は前面板はりあわせる際や、運搬時等に衝撃をうけた際の不良発生のモデルテストであり、隔壁欠けは少ないほど好ましいが、隔壁欠けの個数が100個/cm以下、欠けの平均サイズが1000μm以下であることが好ましい。
<段差評価>
作製した背面板隔壁の高さを測定した。測定はKeyence社製超深度顕微鏡VK―8500を用いて、測定倍率50倍、測定ピッチ0.2μmでおこなった。測定は誘電体層表面から隔壁頂部までを隔壁高さとし、補強構造物の高さと、主隔壁と補助隔壁の交差部分から主隔壁と補助隔壁の交差部分の中央部(以降、主隔壁中央部と称す)まで主隔壁長手方向10μm毎の主隔壁の高さを測定した。さらに、主隔壁と補助隔壁の交差部分と主隔壁の高さのうち最も低い値の差を交差部段差とし、主隔壁と補助隔壁の交差部分と主隔壁中央部との高さの差を隔壁中央部段差とした。主隔壁と補助隔壁の交差部分と主隔壁中央部との間は、前面板とはりあわせる際に、前面板上に形成されたスキャン電極及びサステイン電極と接触して欠損しやすいため、これら電極との接触を避けるためにこの付近の主隔壁の高さが部分的に低くなっており、かつ主隔壁中央部に対し主隔壁と補助隔壁の交差部が相対的に高いことが好ましく、本評価の隔壁交差部段差は4〜10μmが好ましく、隔壁中央部段差は0〜6μmであることが好ましい。
<セル体積測定>
作製した背面版の縦隔壁及び横隔壁のそれぞれ長手方向へ10μmおきの誘電体層表面の隔壁幅、及び誘電体層から100μmの高さに相当する隔壁幅を、Keyence社製超深度顕微鏡VK―8500を用いて、測定倍率50倍、測定ピッチ0.2μmの条件で測定し、誘電体層100μmまでの縦隔壁及び横隔壁に囲まれた体積をセル体積として算出した。
<相対輝度の測定>
作製した背面版に、各色蛍光体ペースト(東レ社製)を吐出ノズルからパターン上に連続的して吐出する方法を用いて塗布し、乾燥、焼成(500℃、30分)して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成した。得られた背面板と前面板を貼り合わせて封着した後、放電用ガスを封入し、駆動回路を接合してプラズマディスプレイ(PDP)を作製した。このパネルに電圧を印加して表示状態を観察した。まず、作製したPDPの輝度B(cd/m)をミノルタ社製色彩計CS−1000により測定した。この時のPDPに印加されている電力は横河電機株式会社製デジタルパワーメータ2532により測定した。相対輝度は駆動電力200Vでの比較例1の輝度を100とした時の相対値とした。
13インチサイズのPDP背面板の製造方法を以下順に説明する。
[実施例1]
1.アドレス電極の作製
ガラス基板として、240×316×1.8mmの13インチサイズのPD−200(旭硝子(株)製)を使用した。この基板上に、書き込み電極として、感光性銀ペースト(東レ社製)を用いて、フォトリソグラフィー法により、ピッチ160μm、線幅60μm、焼成後厚み3μmのストライプ状アドレス電極を形成した。
2.誘電体層の作製
次に、酸化ビスマスを75重量%含有する低融点ガラスの粉末を60%、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粉末を10重量%、エチルセルロース15%、テルピネオール15% を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示部分のアドレス電極が覆われるように20μmの厚みで塗布した後に、160℃で18分間の乾燥を行って誘電体層を形成した。
3.隔壁層の作製
次いで前記誘電体層上に、感光性ペーストを塗布した。感光性ペーストはガラス粉末と感光性成分を含む有機成分から構成され、ガラス粉末としては、酸化リチウム10重量%、酸化ケイ素25重量%、酸化ホウ素30重量%、酸化亜鉛15重量%、酸化アルミニウム5重量%、酸化カルシウム15重量%からなる組成のガラスを粉砕した平均粒子径2μmのガラス粉末を用いた。感光性成分を含む有機成分としては、カルボキシル基を含有するアクリルポリマー30重量%、トリメチロールプロパントリアクリレート30重量%、光重合開始剤である“イルガキュア369”(チバガイギー(株)製)10重量%、γ−ブチロラクトン30重量%からなるものを用いた。感光性ペーストは、これらのガラス粉末と感光性成分を含む有機成分をそれぞれ70:30の重量比率で混合した後に、ロールミルで混練して作製した。この隔壁ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置され、かつ主隔壁と補助隔壁の交点部分に円相当径が40μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。そして、蛍光体粉末と有機バインダーを含む蛍光体ペーストをディスペンサーにより厚さ20μmになるように塗布した後、500℃で焼成して蛍光体を形成させた。
[実施例2]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置され、かつ主隔壁と補助隔壁の交点部分に円相当径が72μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例3]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置され、かつ主隔壁と補助隔壁の交点部分に円相当径が104μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例4]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置され、かつ主隔壁と補助隔壁の交点部分に直径が72μmの円形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例5]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、主隔壁と補助隔壁の交点部分に配置された円相当径が40μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補強構造物部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例6]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、主隔壁と補助隔壁の交点部分に配置された円相当径が72μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補強構造物部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例7]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、主隔壁と補助隔壁の交点部分に配置された円相当径が104μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補強構造物部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例8]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、主隔壁と補助隔壁の交点部分に配置された直径が72μmの円形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補強構造物部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[実施例9]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、主隔壁と補助隔壁の交点部分に配置された直径が72μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補強構造物部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置され、図3に示すように、主隔壁に相当する透光部パターン7および補助隔壁に相当する透光部パターン8の交差部付近で最も細くなっている部分の幅が18μmとなるような、補助隔壁と縦隔壁の交点部分に切れこみを有するフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、補強構造物を有する井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[比較例1]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[比較例2]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、隔壁ペースト(東レ社製)を、ダイコーターを用いて300μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターン及び線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁及び補助隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
[比較例3]
アドレス電極及び誘電体層の作製は実施例1と同様に作製した後、感光性ペーストを、ダイコーターを用いて260μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、72分の乾燥を行い、塗布膜を形成した。その後、線幅35μm、ピッチ480μmの補助隔壁パターンが配置されたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、補助隔壁パターン部分の露光を実施した。露光後の基板表面に、さらに感光性ペーストを、ダイコーターを用いて40μmの厚みに塗布し、クリーンオーブンにて100℃、42分の乾燥を行い、塗布膜を形成した後、線幅35μm、ピッチ160μmの主隔壁パターンが配置され、かつ主隔壁と補助隔壁の交点部分に円相当径が72μmの菱形形状パターンを設けたフォトマスクを介して、露光量150mJ/cm、フォトマスクとのギャップを75μm設けて、主隔壁パターン部分の露光を実施した。上記のようにして形成した露光済み基板を0.2重量%のエタノールアミン水溶液で現像し、井桁状のパターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で160分間焼成を行い、井桁状の隔壁を形成した。蛍光体は実施例1と同様に形成させた。
作製した背面板の隔壁欠け評価及び隔壁段差評価を実施した結果、表1の通りとなり、補強構造物をもたない比較例1及び比較例2に比べ、実施例1〜実施例8の主隔壁及び補助隔壁に補強構造物をもつ場合では、隔壁の欠けが起こりにくくなる結果となった。また、前述した特許文献2に相当する比較例3は隔壁段差では交差部の凹み、すなわち隔壁交差部段差及び隔壁中央部段差が比較例1に比べ改善しているが、蛍光体が補強構造物の頂部広く付着したため、付着した蛍光体粒子に起因して隔壁の欠けが多くなり、さらに混色による表示不良が多数発生した。実施例5〜実施例8では主隔壁及び補助隔壁が配置されたフォトマスクで露光しているが、前述の主隔壁パターン及び補助隔壁パターンの交差部が散乱光の近接効果により交差部太りが発生し、その結果1セル当たりの体積が減少し、輝度の低下を招くが、実施例9のように主隔壁パターン及び補助隔壁パターンの交差透光部に切れ込みを有するようなフォトマスクを使用した場合では、交点部の太りはなくなり、1セル当たり体積を減少させずに加工することが可能であり、同一駆動電力での輝度が上昇した。
Figure 0005212174
1 主隔壁
2 補助隔壁
3 基板
4 アドレス電極
5 誘電体層
6 補強構造物
7 主隔壁に相当する透光部パターン
8 補助隔壁に相当する透光部パターン
9 切れ込み部

Claims (6)

  1. 絶縁基板上にアドレス電極と平行して延びる主隔壁および該主隔壁と直交する方向に延びる補助隔壁からなる格子状隔壁を有し、該主隔壁と該補助隔壁の該交差部分に交差部分の主隔壁よりも高さの低い柱状の補強構造物を有するプラズマディスプレイパネル用部材であり、前記主隔壁と前記補助隔壁の交差部分の主隔壁の高さをh(μm)、柱状の補強構造物の高さをh(μm)とした時、2≦h−h≦40の関係を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材。
  2. 絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体、該アドレス電極もしくはその前駆体を覆う誘電体層もしくはその前駆体、ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体と平行して延びる主隔壁前駆体、該主隔壁前駆体と直交する方向に延びる補助隔壁前駆体および該主隔壁前駆体と該補助隔壁前駆体の交差部分に該交差部分の主隔壁前駆体よりも高さの低い柱状の補強構造物前駆体を設けた後に焼成することによって、格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法であり、焼成後の主隔壁と補助隔壁の交差部分の主隔壁の高さをh(μm)、焼成後の柱状の補強構造物の高さをh(μm)とした時、2≦h−h≦40の関係を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用部材の製造方法
  3. 絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体を覆う誘電体層もしくはその前駆体を設け、該誘電体層もしくはその前駆体上に感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁および補助隔壁の交差部分に設ける補強構造物に相当するパターンおよび補助隔壁に相当するアドレス電極と直交するストライプ状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、さらに感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁に相当するアドレス電極に平行なストライプ状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、現像し、焼成することによって格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
  4. 絶縁基板上にアドレス電極もしくはその前駆体ならびに該アドレス電極もしくはその前駆体を覆う誘電体層もしくはその前駆体を設け、該誘電体層もしくはその前駆体上に感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁および補助隔壁の交差部分に設ける補強構造物に相当するパターンの透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、さらに感光性ガラスペーストを塗布、乾燥し、主隔壁に相当するアドレス電極に平行なストライプ状の透光部および補助隔壁に相当するアドレス電極と直交するストライプ状の透光部からなる格子状の透光部を有するフォトマスクを用いてパターン露光し、現像し、焼成することによって格子状隔壁および補強構造物を形成することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
  5. 前記格子状の透光部が、主隔壁に相当する透光部と補助隔壁に相当する透光部の交点付近に切れ込みパターンを有することを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
  6. 前記格子状隔壁および前記補強構造物を形成した後に、吐出ノズルから蛍光体ペーストをパターン上に連続的して吐出し、焼成することによって蛍光体層を形成する請求項2〜5のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
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