JP4320886B2 - プラズマディスプレイ用部材およびその製造方法ならびにプラズマディスプレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ用部材およびプラズマディスプレイ用部材並びにプラズマディスプレイの製造方法に係り、特にプラズマディスプレイパネルの輝度を向上し、パネルの表示品位、放電特性を高めたプラズマディスプレイ用部材およびその製造方法並びにプラズマディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)が注目されている。PDPは、例えば、表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケル等の材料で形成されている。さらにサステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が20〜50μm厚みで形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一方、背面板側のガラス基板には、複数のアドレス電極がストライプ状に形成され、アドレス電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が形成されている。誘電体層上に放電セルを仕切るための隔壁が形成され、隔壁と誘電体層で形成された放電空間内に蛍光体層が形成されてなる。フルカラー表示が可能なPDPにおいては、蛍光体層は、RGBの各色に発光するものにより構成される。前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板側のアドレス電極が互いに直交するように、前面板と背面板が封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
【0003】
PDPにおいて表示を行う際、選択された画素セルにおいて、発光していない状態からサステイン電極とアドレス電極との間に放電開始電圧以上の電圧を印加すると電離によって生じた陽イオンや電子は、画素セルが容量性負荷であるために放電空間内を反対極性の電極へと向けて移動してMgO層の内壁に帯電し、内壁の電荷はMgO層の抵抗が高いために減衰せずに壁電荷として残留する。
【0004】
次に、スキャン電極とサステイン電極の間に放電維持電圧を印加する。壁電荷のあるところでは、放電開始電圧より低い電圧でも放電することができる。放電により放電空間内のキセノンガスが励起され、147nmの紫外線が発生し、紫外線が蛍光体を励起することにより、発光表示が可能になる。
【0005】
このようなPDPにおいては蛍光面を発光させた場合の輝度を高めることが重要となっている。この輝度を高めるための手段として、特開平10−321148号公報には、隔壁の他に補助隔壁を設け、補助隔壁の表面にも蛍光面を形成することにより蛍光面の発光面積を大きくし、紫外線を効率よく蛍光面に作用させ、輝度を高めることが提案されている。
【0006】
しかしこのような補助隔壁を形成した場合、特に補助隔壁が隔壁より太い場合、パターン形成後、焼成工程において両者の焼成収縮挙動の違いにより、隔壁が断線してしまったり、隔壁と補助隔壁界面で剥離が生じてしまうという問題があった。また、このような隔壁は、蛍光体層を形成する際の混色の原因となるばかりか、PDPパネルとしての表示特性を極端に悪化させる要因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、隔壁と補助隔壁の幅が違う構造、具体的には補助隔壁が隔壁幅より太い場合であっても、焼成後の剥がれ、断線、形状変化が生じないプラズマディスプレイ用部材の製造方法およびプラズマディスプレイ部材並びにプラズマディスプレイを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、基板上にアドレス電極と隔壁を形成したプラズマディスプレイ用部材であって、隔壁と垂直方向に補助隔壁を形成し、少なくとも補助隔壁頂部が隔壁と分離しており、該補助隔壁が隔壁と平行な方向に長手方向を有する短隔壁の集合体であることを特徴とするプラズマディスプレイ用部材を要旨とするものである。
【0009】
また本発明は、基板上に感光性ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光する工程を含むプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、フォトマスクが、破線状透光パターンを有するフォトマスクAと直線状のストライプパターンを有するフォトマスクBを組み合わせることを特徴とする前記プラズマディスプレイ用部材の製造方法を要旨とするものである。
【0010】
さらに本発明は、前記記載のプラズマディスプレイ用部材で得られたプラズマディスプレイ用部材を背面板として用いたことを特徴とするプラズマディスプレイを要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をPDPの作製手順に沿って説明する。
本発明のPDP用部材としての背面板に用いる基板としては、ソーダガラスの他にPDP用の耐熱ガラスである旭硝子社製の“PD200”や日本電気硝子社製の“PP8”を用いることができる。
【0012】
ガラス基板上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属によりアドレス電極を形成する。形成する方法としては、これらの金属の粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに、400〜600℃に加熱・焼成して金属パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウム等の金属をスパッタリングした後に、レジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより、不要な部分の金属を取り除くエッチング法を用いることができる。電極厚みは1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。電極厚みが薄すぎると抵抗値が大きくなり正確な駆動が困難となる傾向にあり、厚すぎると材料が多く必要になり、コスト的に不利な傾向にある。アドレス電極の幅は好ましくは20〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。アドレス電極の幅が細すぎると抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となる傾向にあり、太すぎると隣合う電極間の距離が小さくなるため、ショート欠陥が生じやすい傾向にある。さらに、アドレス電極は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に応じたピッチで形成される。通常のPDPでは100〜500μm、高精細PDPにおいては100〜400μmのピッチで形成するのが好ましい。
【0013】
次いで誘電体層を好ましく形成する。誘電体層はガラス粉末と有機バインダーを主成分とするガラスペーストをアドレス電極を覆う形で塗布した後に、400〜600℃で焼成することにより形成できる。誘電体層に用いるガラスペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、これらを合計で10〜80重量%含有するガラス粉末を好ましく用いることができる。10重量%以上とすることで、600℃以下での焼成が容易になり、80重量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。これらのガラス粉末と有機バインダーと混練してペーストを作成できる。用いる有機バインダーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル系化合物等を用いることができる。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。ガラス粉末以外にフィラー成分を添加することにより、反射率が高く、輝度の高いPDPを得ることができる。フィラーとしては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が好ましく、粒子径0.05〜3μmの酸化チタンを用いることが特に好ましい。フィラーの含有量はガラス粉末:フィラーの比で、1:1〜10:1が好ましい。フィラーの含有量をガラス粉末の10分の1以上とすることで、輝度向上の実効を得ることができる。また、ガラス粉末の等量以下とすることで、焼結性を保つことができる。また、導電性微粒子を添加することにより駆動時の信頼性の高いPDPを作成することができる。導電性微粒子は、ニッケル、クロムなどの金属粉末が好ましく、粒子径は1〜10μmが好ましい。1μm以上とすることで十分な効果を発揮でき、10μm以下とすることで誘電体上の凹凸を抑え隔壁形成を容易にすることができる。これらの導電性微粒子が誘電体層に含まれる含有量としては、0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%以上とすることで導電性を得ることができ、10重量%以下とすることで、隣り合うアドレス電極間でのショートを防ぐことができる。誘電体層の厚みは好ましくは3〜30μm、より好ましくは3〜15μmである。誘電体層の厚みが薄すぎるとピンホールが多発する傾向にあり、厚すぎると放電電圧が高くなり、消費電力が大きくなる傾向にある。
【0014】
本発明のプラズマディスプレイ用部材は、基板上もしくは誘電体層上に、放電セルを仕切るための隔壁および隔壁(あるいはアドレス電極)の垂直方向に補助隔壁を形成する。
【0015】
隔壁の断面形状は台形や矩形に形成することができる。隔壁の高さは、80μm〜200μmが適している。80μm以上とすることで蛍光体とスキャン電極が近づきすぎるのを防ぎ、放電による蛍光体の劣化を防ぐことができる。また、200μm以下とすることで、スキャン電極での放電と蛍光体の距離を近づけ、十分な輝度を得ることができる。またピッチ(P)は、100μm≦P≦500μmのものがよく用いられる。また、高精細プラズマディスプレイとしては、隔壁のピッチ(P)が、100μm≦P≦250μmである。100μm以上とすることで放電空間を広くし十分な輝度を得ることができ、500μm以下とすることで画素の細かいきれいな映像表示ができる。250μm以下にすることにより、HDTV(ハイビジョン)レベルの美しい映像を表示することができる。
【0016】
補助隔壁を形成することにより、補助隔壁の壁面にも蛍光体層を形成することができ、発光面積を大きくとることができる。従って、紫外線が効率よく蛍光面に作用するため輝度を高めることが可能である。また、補助隔壁が存在することで、隔壁全体の結合面積が広くなり、部材の構造的強度が得られる。その結果、隔壁の幅を小さくすることができ、表示セル部における放電容積を大きくすることができ、放電効率をさらによくすることができる。
【0017】
隔壁の半値幅は、20〜120μm、さらには25〜90μmであることが好ましい。隔壁の半値幅が20μm未満では、強度が低くなり、前面板との封着時に隔壁が倒れたりするという問題が生じやすくなる。また120μmを越えると、蛍光体層の形成面積が小さくなるため、PDPとした場合、輝度が低くなる傾向にある。
【0019】
本発明で、補助隔壁の少なくともその頂部は、隔壁と分離している必要がある。本発明のように補助隔壁を形成し、特に補助隔壁が隔壁の半値幅より大きい場合、隔壁焼成時に、両者の焼成収縮挙動の違いにより、隔壁と補助隔壁の界面で亀裂、跳ね上がりが発生したり、補助隔壁の剥離が生じる場合がある。
【0020】
この問題に対し補助隔壁の少なくとも頂部を隔壁と分離する方法を採用することで、前記亀裂、跳ね上がり、剥離の発生を防ぐことができる。
【0023】
さらに補助隔壁の高さは隔壁高さの1/10〜1/1、さらには1/8〜1/1であることが好ましい。補助隔壁の高さを隔壁の高さの1/10以上とすることで、発光面積を大きくとることによる輝度向上の効果を得ることができる。また、蛍光体層の形成の際の混色や、プラズマディスプレイの表示の際の他色間のクロストークの発生を考慮すると、補助隔壁の高さは隔壁の高さの1/1以下とすることが好ましい。
【0024】
補助隔壁を形成する位置とピッチは、前面板と合わせてプラズマディスプレイとした際に画素を区切る位置に形成することが、ガス放電と蛍光体層の発光の効率の点から好ましい。
【0025】
隔壁と補助隔壁の他に、接合補助壁なるものを形成することも好ましい。接合補助壁とは、補助隔壁の並列パターンの両側部の外側であり隔壁の端部である箇所に、隔壁と垂直方向に形成するものであり、これにより隔壁端部の剥がれを防ぐことができる。隔壁が接合補助壁に対して突出する端部の長さは0.5mm以下とすることが、剥がれ防止の実効を得る上で好ましい。
【0027】
また、本発明で補助隔壁は、図2に示すような隔壁と平行な方向に長手方向を有する短隔壁の集合体である。短隔壁の長さは、前述の補助隔壁としての効果を有し、かつ、PDPとした場合の輝度を上げるため、通常隔壁の半値幅の1〜300の範囲で設計される。また、短隔壁の形状は、隔壁と近似の形状とすることが、面内均一性の点から好ましい。さらに短隔壁の半値幅、底部幅、高さ、ピッチ、本数等は特に限定されるものではないが、連続した補助隔壁と近似の機能を果たすために、半値幅は10〜100μm、底部幅は13〜140μm、高さは隔壁高さの1/10〜1/1、ピッチは30〜200μm、本数は2本以上であることが好ましい。
【0028】
次に、本発明における隔壁および補助隔壁の形成方法について説明する。隔壁および補助隔壁は、基板上に絶縁性無機成分と有機成分からなるペーストを、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)、金型転写法、リフトオフ法等公知の技術により隔壁および補助隔壁パターンを形成し、焼成することで形成されるが、溝の形状制御、均一性等の理由から、中でも感光性ペーストを基板上に塗布、乾燥し感光性ペースト膜を形成し、フォトマスクを介して露光・現像するいわゆる感光性ペースト法(フォトリソグラフィー法)が本発明では好ましく適用される。
【0029】
以下に本発明で好ましく適用する感光性ペースト法について、詳述する。
本発明で用いる感光性ペーストは、無機微粒子と感光性有機成分を主成分とするものである。
【0030】
感光性ペーストの無機微粒子としては、ガラス、セラミック(アルミナ、コーディライトなど)などを用いることができる。特に、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、または、アルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックスが好ましい。
【0031】
無機微粒子の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、体積平均粒子径(D50)が、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μmである。D50を10μm以下とすることで、表面凸凹が生じるのを防ぐことができる。また、1μm以上とすることで、ペーストの粘度調整を容易にすることができる。さらに、比表面積0.2〜3m2/gのガラス微粒子を用いることが、パターン形成において、特に好ましい。
【0032】
隔壁および補助隔壁は、好ましくは熱軟化点の低いガラス基板上にパターン形成されるため、無機微粒子として、熱軟化温度が350℃〜600℃のガラス微粒子を60重量%以上含む無機微粒子を用いることが好ましい。また、熱軟化温度が600℃以上のガラス微粒子やセラミック微粒子を添加することによって、焼成時の収縮率を抑制することができるが、その量は、40重量%以下が好ましい。用いるガラス微粒子としては、焼成時にガラス基板にそりを生じさせないためには線膨脹係数が50×10-7〜90×10-7、更には、60×10-7〜90×10-7のガラス微粒子を用いることが好ましい。
【0033】
ガラス微粒子としては、ケイ素および/またはホウ素の酸化物を含有したガラスが好ましく用いられる。
【0034】
酸化ケイ素は、3〜60重量%の範囲で配合されていることが好ましい。3重量%以上とすることで、ガラス層の緻密性、強度や安定性が向上し、また、熱膨脹係数を所望の範囲内とし、ガラス基板とのミスマッチを防ぐことができる。また、60重量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
【0035】
酸化ホウ素は、5〜50重量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができる。50重量%以下とすることでガラスの安定性を保つことができる。
【0036】
さらに、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50重量%含有させることによって、ガラス基板上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50重量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。ビスマス系ガラス微粒子としては、次の組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化ビスマス :10〜40重量部
酸化ケイ素 : 3〜50重量部
酸化ホウ素 :10〜40重量部
酸化バリウム : 8〜20重量部
酸化アルミニウム:10〜30重量部。
【0037】
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を3〜20重量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、20重量%以下、好ましくは、15重量%以下にすることによって、ペーストの安定性を向上することができる。上記3種のアルカリ金属酸化物の内、酸化リチウムがペーストの安定性の点で、特に好ましい。リチウム系ガラス微粒子としては、例えば次に示す組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化リチウム : 2〜15重量部
酸化ケイ素 :15〜50重量部
酸化ホウ素 :15〜40重量部
酸化バリウム : 2〜15重量部
酸化アルミニウム: 6〜25重量部。
【0038】
また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム,酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
【0039】
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することにより、加工性を改良することができるが、熱軟化点、熱膨脹係数の点からは、その含有量は、40重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下である。
【0040】
感光性有機成分としては、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有することが好ましく、更に、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、有機溶媒、増感助剤、重合禁止剤を添加する。
【0041】
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、単官能および多官能性の(メタ)アクリレート類、ビニル系化合物類、アリル系化合物類などを用いることができる。これらは1種または2種以上使用することができる。
【0042】
感光性オリゴマー、感光性ポリマーとしては、炭素−炭素2重結合を有する化合物のうちの少なくとも1種類を重合して得られるオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これらのモノマの含有率が、10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他の感光性のモノマと共重合することができる。ポリマーやオリゴマーに不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマ、もしくは、オリゴマーの酸価(AV)は、50〜180の範囲が好ましく、70〜140の範囲がより好ましい。以上に示したポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性をもつ感光性ポリマや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
【0043】
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、O-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少な過ぎると、光感度が低下する傾向にあり、光重合開始剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなり過ぎる傾向にある。
【0044】
光吸収剤を添加することも有効である。紫外光や可視光の吸収効果が高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。光吸収剤としては、有機系染料からなるものが好ましく用いられる、具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないので、光吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1重量%である。添加量が少なすぎると、光吸収剤の添加効果が減少する傾向にあり、多すぎると、焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。
【0045】
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を感光性ペーストに添加する場合、その添加量は、感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少な過ぎると光感度を向上させる効果が発揮されない傾向にあり、増感剤の量が多過ぎると、露光部の残存率が小さくなる傾向にある。
【0046】
有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチルラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0047】
感光性ペーストは、通常、上記の無機微粒子や有機成分を所定の組成になるように調合した後、3本ローラーや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0048】
次いで感光性ペーストの塗布、乾燥、露光、現像等を行うが、これらの一連の工程の説明に先立ち、本発明で好ましく適用する感光性ペースト法において、露光で用いるフォトマスクとしては、破線状透光パターンを有するフォトマスクAと直線状のストライプパターンを有するフォトマスクBを組み合わせることことが重要である。破線状あるいは直線状とは、有限の長さと幅を有する断続的あるいは連続的なスリットを指す。通常は、連続的に延在する直線状のスリットから頂部が平坦な隔壁等を得ることができるが、本発明者等は、断続的に延在する破線状のスリットから、隔壁と補助隔壁頂部を分離でき、フォトマスクAの破線部分の長さを調整することで、隔壁と補助隔壁の分離深さを調整できることを見出した。
【0049】
つまり、フォトリソグラフィーにおいて露光光はフォトマスク以降完全に鉛直方向に直進するわけではなく、フォトマスクの遮光部の陰になる部分にも若干露光光がまわり込む。従って、光硬化型の感光性ペーストを用い、破線状のスリットが途切れる間隔や露光条件を調節すると、スリットが途切れる遮光部の直下は硬化されないが、塗布膜の深さ方向に進んだ箇所では露光光のまわり込みにより硬化する。かくして所望の寸法で、隔壁と補助隔壁を分離することができる。また、露光光源の平行度を高くしたり、露光量を小さくすることで分離深さの最大深さを大きくすることができ、また逆に露光光源の平行度を低くしたり、露光量を大きくすることで分離深さの最大深さを小さくすることができる。さらに、ギャップ量を大きくすることで分離深さの深さを小さくすることができ、またギャップ量を小さくすることで分離深さの深さを小さくすることができる。
【0050】
以下に、隔壁と補助隔壁の高さ関係に応じて好ましく適用する、塗布から露光までの2種類の一連の形成工程を示す。
【0051】
第1の形成工程は補助隔壁の高さがアドレス電極と平行方向に形成される隔壁高さより低い場合に好ましく適用される。まず乾燥・焼成による収縮分を考慮した補助隔壁高さに相当する厚みの感光性ペーストを塗布、乾燥し、破線状透光パターンを有するフォトマスクAを、アドレス電極と破線状スリットが垂直となるように配置し、露光する。その際、スリットの途切れる区間の中央部に隔壁の幅方向の端部が位置するようフォトマスクを配置することが好ましい。
【0052】
次いで、乾燥・焼成による収縮分を考慮した残りの隔壁の高さに相当する厚みとなるように、前記補助隔壁パターンが露光された膜上に感光性ペーストを塗布、乾燥し、直線状のストライプのパターンを有するフォトマスクBをアドレス電極と直線状スリットが平行となるように配置し再び露光する。
【0053】
第2の形成工程は、補助隔壁と隔壁の高さが同じ場合に好ましく適用される。まず収縮分を考慮した隔壁・補助隔壁の高さに相当する厚みの感光性ペーストを塗布、乾燥し、破線状透光ストライプと直線状のストライプが直交するパターンを有するフォトマスクを、アドレス電極と直線状スリットが平行となるように配置する。その際、破線状スリットのスリットが隔壁と補助隔壁に相当するパターン間に位置するようフォトマスクを配置することが好ましい。
【0054】
これらの一連の形成工程において、感光性ペーストを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0055】
また、塗布後の乾燥は、通風オーブン、ホットプレート、IR炉などを用いることができる。
【0056】
露光で使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜10分間露光を行う。
【0057】
ここで、フォトマスクと感光性ペーストの塗布膜表面との距離、すなわちギャップ量は50〜500μm、さらには70〜400μmに調整することが好ましい。ギャップ量を50μm以上さらには70μm以上とすることにより、感光性ペースト塗布膜とフォトマスクの接触を防ぎ、双方の破壊や汚染を防ぐことができる。また500μm以下さらには400μm以下とすることにより、適度にシャープなパターニングが可能となる。
【0058】
現像は、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行う。現像は、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行うことができる。
【0059】
現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低過ぎれば可溶部が除去されない傾向にあり、アルカリ濃度が高過ぎれば、パターン部を剥離したり、また、非可溶部を腐食させる傾向にある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0060】
次に、現像により得られた隔壁・補助隔壁のパターンは焼成炉にて焼成される。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行うと良い。ガラス基板上に直接隔壁を形成する場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うと良い。
【0061】
次いで所定のアドレス電極と平行方向に形成された隔壁間に、R(赤)G(緑)B(青)各色に発光する蛍光体層を形成する。蛍光体層は、蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗着させ、乾燥し、必要に応じて焼成することにより形成することができる。
【0062】
蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗着させる方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、蛍光体ペーストの有機バインダーとして前述の感光性を有する有機成分を用いた感光性ペースト法により各色の蛍光体ペーストを所定の場所に塗着させることができるが、コストの理由からスクリーン印刷法、ディスペンサー法が本発明では好ましく適用される。
【0063】
R蛍光体層の厚みをTr、G蛍光体層の厚みをTg、および、B蛍光体層の厚みをTbとしたとき、好ましくは、
10μm≦Tr≦Tb≦50μm
10μm≦Tg≦Tb≦50μm
なる関係を有することにより、より本発明の効果を発揮できる。つまり、発光輝度の低い青色について、厚みを緑色、赤色よりも厚くすることにより、より色バランスに優れた(色温度の高い)プラズマディスプレイを作製できる。蛍光体層の厚みとしては、10μm以上とすることで十分な輝度を得ることができる。また、50μm以下とすることで放電空間を広くとり高い輝度を得ることができる。この場合の蛍光体層の厚みは、隣り合う隔壁の中間点での形成厚みとして測定する。つまり、放電空間(セル内)の底部に形成された蛍光体層の厚みとして測定する。
【0064】
塗着させた蛍光体層を必要に応じて、400〜550℃で焼成することにより、本発明のプラズマディスプレイ用部材を作製することができる。
【0065】
このプラズマディスプレイ用部材を背面板として用いて、前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着してプラズマディスプレイを作製できる。前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成した部材である。背面板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上するために、ブラックストライプを形成しても良い。
【0066】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。なお、実施例、比較例中の濃度(%)は重量%である。
【0067】
(参考例1)まず前面板を作製した。
【0068】
旭硝子社製ガラス基板”PD200”上に、ITOを用いて、ピッチ375μm、線幅150μmのスキャン電極を形成した。また、その基板上に感光性銀ペーストを塗布した後に、フォトマスクを介したマスク露光、0.3%炭酸ナトリウム水溶液を用いた現像、580℃15分間の焼成工程を経て、線幅50μm、厚み3μmのバス電極を形成した。次に、酸化鉛を75重量%含有する低融点ガラスの粉末を70%、エチルセルロース20%、テルピネオール10%を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示部分のバス電極が覆われるように50μmの厚みで塗布した後に、570℃15分間の焼成を行って誘電体を形成した。誘電体を形成した基板上に電子ビーム蒸着により保護膜として、厚み0.5μmの酸化マグネシウム層を形成して前面板を作製した。
【0069】
次に、背面板を作製した。
ガラス基板”PD200”上に感光性銀ペースト用いてアドレス電極を作成した。感光性銀ペーストを塗布、乾燥、露光、現像、焼成工程を経て、線幅50μm、厚み3μm、ピッチ360μmのアドレス電極を形成した。次に、酸化ビスマスを75重量%含有する低融点ガラスの粉末を60%、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粉末を10重量%、エチルセルロース15%、テルピネオール15%を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示部分のバス電極が覆われるように20μmの厚みで塗布した後に、570℃15分間の焼成を行って誘電体層を形成した。
【0070】
誘電体層上に、1層目の感光性ペーストを塗布した。感光性ペーストはガラス粉末と感光性成分を含む有機成分から構成され、ガラス粉末としては、酸化リチウム10重量%、酸化珪素25重量%、酸化硼素30重量%、酸化亜鉛15重量%、酸化アルミニウム5重量%、酸化カルシウム15重量%からなる組成のガラスを粉砕した平均粒子径2μmのガラス粉末を用いた。感光性成分を含む有機成分としては、カルボキシル基を含有するアクリルポリマー30重量%、トリメチロールプロパントリアクリレート30重量%、光重合開始剤である“イルガキュア369”(チバガイギー社製)10重量%、γ−ブチロラクトン30重量%からなるものを用いた。
【0071】
感光性ペーストは、これらのガラス粉末と感光性成分を含む有機成分をそれぞれ70:30の重量比率で混合した後に、ロールミルで混練して作製した。次にこの感光性ペーストをダイコーターを用いて乾燥後厚み170μmになるように塗布した。乾燥は、クリーンオーブン(ヤマト科学社製)で行った。乾燥後、ピッチ1.08mm、線幅400μmであり、透光部250μm/遮光部110μmのパターンが等間隔に配列された破線状ストライプパターンを有するフォトマスクを用いて、アドレス電極と垂直方向に露光した。なおこのとき破線状パターンの遮光部が後記する隔壁の幅方向端部に相当する位置になるよう位置合わせをし、ギャップ量を150μmとした。露光後、上記感光性ペーストをさらに前記露光膜上に塗布し、合計厚みが200μmの塗布膜を得た。
【0072】
次に、ピッチ360μm、線幅60μmのストライプパターンを有するフォトマスクを用いて、アドレス電極と平行方向に露光した。露光後、0.5重量%のエタノールアミン水溶液中で現像し、さらに、560℃で15分間焼成することにより、表1に示す構造の隔壁および補助隔壁が形成されたプラズマディスプレイ用部材を得た。かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁の断線が無いものであった。
【0073】
次に、隣り合う隔壁間に蛍光体を塗布した。蛍光体の塗布は、256カ所の穴(口径:130μm)が形成されたノズル先端から蛍光体ペーストを吐出するディスペンサー法により形成した。蛍光体は隔壁側面に焼成後厚み25μm、誘電体上に焼成後厚み25μmになるように塗布した後に、500℃で10分間の焼成を行った。かくしてプラズマディスプレイ用部材として、背面板を作製した。
【0074】
作製した前面板と背面板を封着ガラスを用いて封着して、Xe5%含有のNeガスを内部ガス圧66500Paになるように封入した。さらに、駆動回路を実装してプラズマディスプレイを作製した。プラズマディスプレイのスキャン電極に電圧を印加して発光させた。その輝度計を用いて輝度を測定したところ、250cd/m2であり、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0075】
(参考例2)参考例1において、感光性ペーストの1回目の塗布厚みを120μm、2回目の塗布厚みを80μm(トータル200μm)に変更した他は同一手法で表1に示すプラズマディスプレイ用部材を得た。かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁の断線が無いものであった。また、参考例1同様PDPを作製し、発光させたところ、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0076】
(参考例3)参考例1において、1回目の露光量を調整することで、表1に示す隔壁と補助隔壁頂部の分離深さの異なるプラズマディスプレイ用部材を得た。かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁の断線が無いものであった。また、参考例1同様PDPを作成し、発光させたところ、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0077】
(参考例4)破線状のパターンを有するフォトマスクを透光部200μm/遮光部160μm、露光のギャップ量を75μmに変更した他は同一の手法により表1に示す構造のプラズマディスプレイ用部材を得た。かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁の断線が無いものであった。また、参考例1同様PDPを作製し、発光させたところ、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0078】
(参考例5)参考例1において、1回目の露光に用いたフォトマスクにおいて、破線状のストライプパターン内の遮光部中央部に、幅20μmの遮光パターンを形成し、そこを基準に透光部30μm、遮光部20μmを繰り返し3本設置した以外は同一手法にてプラズマディスプレイ部材を得た。尚、ここで得られたものは、図1、表1に示すような、補助隔壁頂部に最大幅30μmストライプ状の溝を3本有するものであった。
【0079】
かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁の断線がないものであった。また、参考例1同様PDPを作製し、発光させたところ、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0080】
(実施例1)参考例5において、1回目の露光に用いたフォトマスクのパターンを遮光部40μm、透光部18μm、遮光部本数4本に変更した他は同一手法にてプラズマディスプレイ用部材を得た。尚、ここで得られたものは図2に示すように、補助隔壁として隔壁間に短隔壁が4本形成されたものであり、短隔壁の長さは400μm、線幅(頂部)23μm、ピッチ58μmであった。
【0081】
かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁と補助隔壁界面での亀裂発生がなく、また隔壁断線がないものであった。また、参考例1同様PDPを作製し、発光させたところ、高い輝度の表示特性を得ることができた。
【0082】
(比較例1)参考例1において、1回目の露光で用いたフォトマスクを、線幅400μm、ピッチ1.08mmのストライプ状パターンを有するフォトマスクBに変更した他は同一手法により表1に示す構造のプラズマディスプレイ用部材を得た。かくして得られたプラズマディスプレイ用部材は、隔壁が補助隔壁との界面で断線し、また補助隔壁が部分的に剥離しているものであった。また参考例1同様に蛍光体層を形成したが、隣接するセルとの混色が非常に多いものであった。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、隔壁と補助隔壁の幅が違う構造、具体的には補助隔壁が隔壁幅より太い場合であっても、焼成後の剥がれ、断線、形状変化が生じないプラズマディスプレイ用部材の製造方法およびプラズマディスプレイ部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例5の補助隔壁の構造を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の補助隔壁の構造の一例を示す概略斜視図である。
Claims (5)
- 基板上にアドレス電極と隔壁を形成したプラズマディスプレイ用部材であって、隔壁と垂直方向に補助隔壁を形成し、少なくとも補助隔壁頂部が隔壁と分離しており、該補助隔壁が隔壁と平行な方向に長手方向を有する短隔壁の集合体であることを特徴とするプラズマディスプレイ用部材。
- 隔壁と補助隔壁が分離した部分の深さが、補助隔壁頂部から補助隔壁高さの40%以上であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ用部材。
- 基板上に感光性ペーストを塗布し、フォトマスクを介して露光する工程を含むプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、フォトマスクが、破線状透光パターンを有するフォトマスクAと直線状のストライプパターンを有するフォトマスクBを組み合わせることにより請求項1または2記載のプラズマディスプレイ用部材を製造することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
- 基板上に、補助隔壁を形成するのに必要な量だけ塗布、乾燥した感光性隔壁ペースト塗布膜をフォトマスクAを介してアドレス電極の垂直方向に露光し、次いでその上に隔壁を形成するのに必要な量だけ塗布・乾燥した感光性ペースト塗布膜をフォトマスクBを介してアドレス電極の平行方向に露光し、一括現像することを特徴とする請求項3記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
- 請求項1または2記載のプラズマディスプレイ用部材を背面板として用いたことを特徴とするプラズマディスプレイ。
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