JP5211720B2 - 穀粒乾燥機 - Google Patents

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Description

本発明は、穀粒乾燥機に関するものである。
特に大型の穀粒乾燥機になると異なる圃場の収穫穀粒を積み重ねて張り込むことが多く、その場合に異なる水分の穀粒が積み重なって張り込まれ、そのまま乾燥作業を行なうと、乾燥終了時にいわゆる水分むらの状態になる。そこで、特許文献1には水分むらの状態を解消するための穀粒をよく混合させる穀粒乾燥機の構成が記載されている。また、特許文献2では所定数の穀粒の水分値を連続して測定し、その度数分布状態を検出する技術が記載されている。
特開平10‐19462号公報 特開2001−50667号公報
特許文献1については水分むらの状態を検出できる手段については記載されてないため、どの程度水分むらを解消するための制御を行なえば良いかが分からない。また、特許文献2はあくまで張込穀粒の1箇所の測定で取得した水分分布であり、張込穀粒全体の水分むらの状態を示すものではない。
本発明は、張込穀粒の水分むらの状態を把握することで、その後の水分むらの解消のための制御を行ない易くすることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、張込穀粒を循環させる循環手段と、該循環手段で循環中の穀粒からサンプル穀粒を取得してその水分を測定する水分計(20)とを設けた穀粒乾燥機において、前記水分計(20)は乾燥制御を行なうため乾燥作業中に定期的に穀粒水分値を検出する乾燥制御用水分測定と、張込穀粒全体の水分むら状態を把握するため張込穀粒全体から設定間隔毎に代表水分値を測定する水分むら把握用水分測定とを行う構成とし、前記張込穀粒全体の水分むらの状態から、水分むらを所定幅内に収束するのに必要な予定循環時間(H)を演算すると共に、該予定循環時間(H)に対応する乾燥速度を選択し、乾燥目標水分値まで乾燥制御する水分むら解消モードを設けたことを特徴とする穀粒乾燥機とする。
また、請求項2記載の発明は、水分むら解消モードを選択する水分むら解消スイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載の穀粒乾燥機とする。
また、請求項3記載の発明は、最も遅い乾燥速度による乾燥時間が、前記予定循環時間(H)を越えない場合には、予定循環時間(H)から乾燥時間を差し引いた時間、通風循環を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の穀粒乾燥機とする。
請求項1記載の発明によると、前記水分計20は乾燥制御を行なうため乾燥作業中に定期的に穀粒水分値を検出する乾燥制御用水分測定と、張込穀粒全体の水分むら状態を把握するため張込穀粒全体から設定間隔毎に代表水分値を測定する水分むら把握用水分測定とを行なう構成とし、水分むら解消モードにすることで、前記張込穀粒全体の水分むらの状態から、水分むらを所定幅内に収束するのに必要な予定循環時間(H)を演算すると共に、前記予定循環時間(H)に対応する乾燥速度を選択するので、水分むらを所定幅内に収束する乾燥制御を行なうことができる。
請求項2記載の発明によると、水分むら解消スイッチにより、水分むら解消モードを行うことで、迅速に水分むらを所定幅内に収束する乾燥制御を行なうことができる。
請求項3記載の発明によると、穀粒が乾燥目標に近い乾燥状態で乾燥時間を長くできない場合でも、過乾燥を招くことなく、循環運転によって水分むらの解消が可能となる
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
穀粒乾燥機は、その正面図および側断面図をそれぞれ図1、図2に示すように、その機枠1の内部に上から貯留室2、乾燥部3、集穀室4の順に形成し、その外周部に設けた昇降機5の駆動によって穀粒を循環させながら、バーナ6の燃焼と吸引ファン7とにより発生する熱風を乾燥部3で浴びせて乾燥する公知の形態である。
乾燥部3の穀粒出口には正逆に回転しながら所定量の穀粒を流下させる繰出しドラム8を備え、その繰出し穀粒を昇降機5に通じる集穀室4の下部移送装置9に受け、昇降機5の上部側に接続する上部移送装置10で貯留室2の拡散盤11に供給することにより、張込み穀粒が貯留室2の全面に均一に堆積貯留される。貯留室2に設けた張込量測定器2aは、張込み穀粒の堆積上面高さ位置を測定することにより張込量を把握することができる。
バーナ6および昇降機5をはじめとする穀粒循環機構等は、運転制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶するメモリを備えるコンピュータによって行なわれる。即ち、操作盤12には、その制御盤見取図を図3に示すように、タッチパネル式の液晶形態の表示部13を設け、この表示部13の下縁に沿って押しボタン形態のスイッチ14〜17、及び停止スイッチ18を配置して構成する。これらスイッチ14〜17はその機能が表示部13に表示されるもので、図例では、順に、張込・通風・乾燥・排出の各運転用スイッチとして機能し、表示部13は画面変更に従って異なる機能を設定できる構成である。
内蔵の制御部は操作盤12のスイッチ情報や乾燥機機枠1各部に配設したセンサ類からの検出情報等を受けて所定の演算処理により、バーナ燃焼量の制御,穀粒循環系の起動・停止制御,表示部13の表示内容制御等を行う。上記操作盤12のスイッチ類は、張込14・乾燥16・排出17・通風15の各設定のほか、穀粒種類、乾燥目標の設定水分(仕上げ水分)、張込量、タイマ増・減等を設定できる。
上記構成の穀粒乾燥機について、その運転制御の大要を説明する。
上記穀粒乾燥機は、貯留室2に張込まれた穀粒を循環しつつ設定の乾燥速度(乾減率)に沿って乾燥部3に乾燥熱風を供給する乾燥循環運転により乾燥目標水分まで順次乾燥処理する後述の運転制御部19を備えて構成され、この運転制御部19は、貯留室2の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングでサンプル穀粒の水分値を測定する一巡測定(水分むら把握用水分測定)を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布からその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって解消し所定幅内に収束するために要する予定循環時間を算出し、この予定循環時間で乾燥目標水分に至る乾燥速度により乾燥循環運転を行う。
すなわち、正逆転する繰出しドラム8の作用により、循環時間が長くなるほど穀粒の層が崩れて異なる水分の穀粒層がよく混合されて水分むらを解消させることが知見されているのである。
上記運転制御部19により、張込み穀粒の一巡測定によって得られた縦方向の水分むらの状態に基づき、その解消に要する予定循環時間が算出され、この予定循環時間について乾燥目標水分まで乾燥循環運転をすることから、水分むらの解消に必要な循環時間に応じて乾燥目標水分まで適切な運転制御が行われ、乾燥の仕上がりと同時に水分むらの解消が可能となる。
また、運転制御部19は、予定循環時間が最緩速の乾燥速度によって定まる最緩速乾燥時間H3を越える場合に、両時間の差を補充循環のための通風循環時間としてこの通風循環時間について通風状態で穀粒を循環する通風循環運転を行う。
この場合、最緩速の乾燥循環運転によって設定水分値又は目標水分値まで乾燥され、その後に継続する通風循環時間に及ぶ通風循環運転を合わせた循環動作によって必要な循環時間が確保されることから、穀粒が乾燥目標に近い乾燥状態で乾燥時間を長くできない場合でも、過乾燥を招くことなく、循環運転によって水分むらの解消が可能となる。
そのほか、穀粒水分が乾燥目標水分に近い場合の運転制御として、運転制御部19は、乾燥循環運転開始後に貯留室2の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングで穀粒の水分値を測定する一巡測定を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布Mnからその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって所定幅内に収束するために要する予定循環時間Hを算出する構成とし、前記一巡測定中に目標とする設定水分値Mset以下の水分を測定したら残りの測定を通風循環運転の状態で行ない、また、必要により、通風循環運転中の一巡測定の後、その平均処理による全体としての水分Msが目標とする設定水分値Msetを越える場合には予定循環時間H乾燥熱風による乾燥循環運転を行ない、目標とする設定水分値Msetを越えない場合には予定循環時間H通風による通風循環運転を行なう。
このように、張込穀粒中に乾燥目標に達した層を測定した場合には測定中通風循環運転をすることにより、部分的な過乾燥を防止しつつ、水分むらの状態を把握することができ、また、上記基準で乾燥循環運転をすることにより、未乾燥及び過乾燥を防止しつつ、水分むらを収束しながら迅速に乾燥することができる。
以下において上記運転制御について詳細に説明する。
図4は上記制御のための制御構成ブロック図を示し、上記操作盤12を有する制御ボックスに内蔵する運転制御部19には上記スイッチ類からの設定情報のほか、水分計20の穀粒水分検出情報、昇降機5の投げ出し部における穀粒検出情報、熱風温度検出情報等が入力される。一方出力情報としては、バーナ6の燃焼系信号、例えば燃料供給信号,その流量制御信号、あるいは上下移送螺旋10,9、昇降機5、ロータリバルブ(繰出バルブ)8等の穀粒循環系モータ制御信号、吸引ファン7のモータ制御信号、操作盤12への表示出力等がある。
(制御処理)
次に、上記構成の穀粒乾燥機における運転制御部19の制御処理について、フローチャートに沿って説明する。
穀粒乾燥機の運転制御は、図5のフロー1に示すように、停止スイッチ18で穀粒の張込停止(S1)すると張込量測定器2aで張込量を検出(S2)される。そして、乾燥スイッチ16を押すと乾燥運転を開始する。乾燥運転は、モータ、バーナー類の起動(S3)の後、張込量に応じた水分むら測定回数(S4)を算出し、水分計20の穀粒水分の検出値から貯留室2の張込穀粒の水分むらの測定(S5)を行う。
水分むらは、例えば、図16の水分むら層の区分例のように、貯留室2の縦方向に積み重なる層別の水分値分布によって把握される。各層の水分の測定は、貯留室2の張込み穀粒を機体内で1循環することによって測定することができるので、張込量に応じて設定した図12の測定回数区分の図表例に従い、穀粒が一巡する間の所要時点で水分測定をする。
この水分むら把握用水分測定によって得られる層別水分値は、張込穀粒量がLV10で測定回数が12回(LV1は3箇所測定する)の例について説明すると、図13の水分むら把握用水分測定と関係水分値の図表例および図14の例示グラフに示すように、各層につき標本32粒の測定水分値の平均を各層の平均水分値Mnとし、これら各測定区分の層LV1〜LV10それぞれの水分値M1〜M10を検出し、さらに各層平均水分値の平均を張込穀粒全体の初期平均水分値(Ms)として検出する。そして、これら各測定区分の層LV1〜LV10による水分値Mn(M1〜M10)の分布状態から、その水分むらを所定範囲内に解消するために必要な混合循環時間としての予定循環時間Hを算出(S6〜S8)する。
予定循環時間Hについて詳細に説明すると、まず、堆積層別の水分むら層個々の水分値M1,M1,M1(LV1が3箇所あるのに対応),M2,M3,M4…および初期平均水分Msとの差(M1−Ms),(M2−Ms)…をそれぞれ算出(S6)する。そして、連続して隣接する層の総和の絶対値が一番大きい数字、すなわち、上記「差」のデータ並びについて同符号で隣接している範囲の和を算出し、これら各範囲の「和」の絶対値について一番大きいものを水分むら係数Xとする。
この場合、層番号をn=1,2,…とする一般形表示で表すと、個々の層LVnの水分値Mnについて、同符号の連続範囲の(Mn−Ms)の和は絶対値で最大となる値である。この水分むら係数Xは、水分むらの程度を把握するための指標の一例である。
この水分むら係数Xと穀粒種別と対応して得られる穀粒定数A(例えば、籾は1.4、小麦は2)とから、次の算式X/AR<0.01を満たす循環回数Rを算出(S7)し、この循環回数Rと張込量W、循環能力Bによって予定循環時間Hを算出(S8)する。
次いで、図6のフローチャート(2)に示すように、「ふつう」「ややおそい」「おそい」の3区分の予定乾燥速度α1〜α3として、乾燥時間H1〜H3を一般形表示式Hn=(Ms−Mset)/αnによって算出(S11)し、予定循環時間Hが各区分の乾燥時間Hnに含まれる場合は区分の判定(S12a〜S12c)に従ってフロー4による「通常設定の乾燥」〜「おそい設定による乾燥」の乾燥処理(S13a〜S13c)を行い、予定循環時間Hが最緩の乾燥速度α3である「おそい」で乾燥した乾燥時間H3の長さ以上であれば、必要な混合循環時間を補う補充循環のための通風循環時間K=H−H3を算出(S14)して補充循環のためのフロー3の処理に移行する。
水分計20は前述の乾燥開始後の最初の一循環で水分むらの状態を把握するための張込量に応じた測定回数の水分値を検出した後は、定期的に、すなわち設定時間毎(例えば30分毎)に循環する穀粒から設定粒数(32粒)ずつ取り込み水分を測定する(乾燥制御用水分測定)。そして、その設定粒数の平均水分値をその時点の穀粒の水分値と判定し、この水分値の経過に沿って乾燥制御を行なっている。
フロー3の補充循環のための処理については、図7に示すように、水分計20で前述の設定時間毎に測定された水分値、すなわち、現時点水分Msgが所定値(例えば、18%)になると(S20)、バーナ6を消火(S21)をし、再度図5のフロー1のS4からS8に記載する水分むらの状態を把握して予定循環時間Hを算出する(S22)。そして、図6のフロー2の順で通風循環時間Kが必要か否かを確認し(S23)、必要なら通風循環を行なった(S24,S25)後にバーナ6を再点火して(S26)熱風乾燥を再開する。
また、確認した結果、予定循環時間Hが各区分の乾燥時間H1〜H3(図6フロー2のS12a〜S12c)に含まれ、通風循環時間Kにわたって通風循環を行なう必要が無いと判定された場合には、すぐにバーナ6を点火して熱風乾燥を再開する(S26)。
そして、現時点水分Msgが目標とする設定水分値Msetより少し(例えば1.5%)高い水分値を検出すると、熱風乾燥を継続した状態で再度図5のフロー1のS4からS7に記載する水分むらの状態を把握し、予定循環時間Hを算出する(S28,S29)。そして、図6のフロー2の順で通風循環時間Kが必要か否かを確認し(S30)、必要なければ目標とする設定水分値Msetを検出すると(S31)バーナ6を停止して熱風乾燥が終了する(S32)。
また、通風循環時間Kが必要な場合には設定水分値Msetを検出して(S33)バーナを停止して熱風乾燥が終了(S34)した後、通風循環(S35)を行なって終了する。
フロー4の乾燥処理については、図8のフロー4に示すように、乾燥速度別の乾燥設定によって乾燥処理をし、現時点水分Msgが所定値(例えば、18%)になると(S40)、熱風乾燥バーナ6を継続した状態で図5のフロー1のS4からS8に記載する水分むらの状態を把握して予定循環時間Hを算出する(S41)。そして、図6のフロー2の順で通風循環時間Kが必要か否かを確認し(S42)、必要ならバーナ6を停止(S43)して通風循環を行なった(S44,S45)後にバーナ6を再点火して(S46)熱風乾燥を再開する。
また、確認した結果、予定循環時間Hが各区分の乾燥時間H1〜H3(図6フロー2のS12a〜S12c)に含まれ、通風循環時間Kにわたって通風循環を行なう必要が無いと判定された場合には、熱風乾燥をそのまま継続する。
そして、現時点水分Msgが目標とする設定水分値Msetより少し(例えば1.5%)高い水分値を検出する(S47)と、熱風乾燥をそのまま継続した状態で再度図5のフロー1のS4からS7に記載する水分むらの状態を把握(S48)し、予定循環時間Hを算出する(S49)。そして、図6のフロー2の順で通風循環時間Kが必要か否かを確認し(S50)、必要なければ目標とする設定水分値Msetを検出するとバーナ6を停止して熱風乾燥が終了する(S52)。
また、通風循環時間Kが必要な場合には目標とする設定水分値Msetを検出してバーナを停止して熱風乾燥が終了した後、通風循環を行なって終了する(S53〜S55)。
本実施の形態のフローチャートの一例について下記の通り説明する。
穀粒乾燥機の循環能力B(トン/時間)が7.5(トン/時間)で、張込穀粒量Wが籾が6トン、目標とする設定水分値Msetを14.5%とする。そして、図13の水分検出結果になったとする。そこで、各層のLV1からLV10の各層別平均値と全体の初期平均水分値Msである22.1%との差を算出すると下記の通りとなる。そして、図14には穀粒の層別の水分分布の状態が示されている。
LV1 −2.1
LV1 −0.8
LV1 +1.5
LV2 +1.9
LV3 +0.8
LV4 −1.6
LV5 −1.9
LV6 +2.2
LV7 +0.9
LV8 +1.7
LV9 −1.6
LV10 −1.4
ここで、水分むら係数Xは連続して隣接する層の総和の絶対値が一番大きい数字であるLV1(+1.5)とLV2(+1.9)とLV3(+0.8)の総和の絶対値4.2となる。すなわち、このあたりの層のむらが一番大きいと判断し、この大きな水分むらを収束するだけの循環時間を算出すれば他の層の水分むらも収束できるとするものである。
そして、前述のX/AR<0.01のXとAにそれぞれ数値を入れると4.2/1.4R<0.01となり循環回数R=17(回)となる。さらに、水分むらを収束するための予定循環時間HはH=R×W/Bとなり、H=17×6/7.5=13.6となる。
図6のフローチャートに記載する式(Ms−Mset)/αにより各乾燥速度α1〜α3で乾燥した場合の予定循環時間H1〜H3を算出する。すなわち、通常の乾燥速度α1(乾減率0.7%)の場合にはH1は(22.1−14.5)/0.7=10.8となり、やや遅い乾燥速度α2(乾減率0.6%)の場合にはH2=12.6となり、遅い乾燥速度α3(乾減率0.5%)の場合にはH3=15.2となり、本実施の形態では遅い乾燥速度α3で乾燥する。
ここで、仮に水分むらを収束する予定循環時間Hが16.8(時間)と算出された場合、すなわち、「おそい」乾燥速度α3で乾燥しても水分むらを収束するだけの時間に到達しない場合には予定循環時間Hから乾燥予定循環時間H3の差の1.5時間を通風循環時間Kとすることで水分むらを収束させる。
この図13と図14の実施例は乾燥開始直後の水分むらを把握する例を記載しているが、乾燥開始後の設定水分値(18%)に現時点水分値Msgが到達した場合と、現時点水分Msgが設定水分値Mset(例えば14.5%)より少し高い設定水分値(16.0%)を検出した場合にそれぞれ同様に水分むらを把握して通風循環時間が必要か否かの判定を行なう。
なお、バーナ6が点火して乾燥開始後に図13に示すような張込穀粒量に応じた各層の平均水分値Mnをそれぞれ測定するが、この各層の平均水分値Mnの内の一つの層が目標とする水分値Msetよりも低い水分値(例えば14.0%)を測定したら図10及び図11に記載する制御を行なう。
すなわち、乾燥開始直後に測定する各層の平均水分値Mnの内、目標とする設定水分値Msetよりも低い水分値を測定したら(S70)、その時点で一旦バーナを消火して(S71)通風状態で循環を行いながら残りの各層毎の平均水分値Mnをそれぞれ測定し、全体の初期平均水分値Ms及び水分むら係数Xを算出し、前述のX/AR<0.01の式から予定循環時間Hを算出する(S72,S73,S74)。
そして、全体の初期平均水分値Msが目標とする設定水分値Mset以上の場合には再度バーナ6が点火し乾燥作業が再開される(S75)。そして、図10に示す予定循環時間Hに合った乾燥速度で設定水分値Msetになるまで乾燥される(S76)。そして、最緩の乾燥速度α3、すなわち「おそい」乾燥速度で乾燥しても水分むらを収束するだけの時間に到達しない場合には、目標とする設定水分値Msetに到達してバーナ6を消火した後に予定循環時間Hから乾燥予定循環時間H3の差の時間Kを通風循環して水分むらを収束する(S77)。
図11では通風循環時間Kは18%に到達すると行なっていた(S21〜S23)が、乾燥初期に設定水分値Msetを下回る水分値を検出した場合には全体の初期平均水分値Msが設定水分値Msetより上回っていても18%以下である(例えば17%程度)と想定されるため、乾燥作業後に行なう構成としている。また、全体の初期平均水分値Msが既に設定水分値Msetより下回っている場合には予定循環時間H通風循環を行い水分むらを収束してから停止する(S78)。
このように、混合までの時間の通風循環で十分混合し、仕上げるので、従来の如くの問題、すなわち、水分計での測定値が設定水分以下を検出した時に1回または複数回の検出結果により乾燥終了停止していたことから、設定水分近くで水分むらの多い穀粒を乾燥すると、場合により未乾や過乾になって停止するという問題を解決することができる。
また、水分むらの状態は乾燥開始直後だけでなく、乾燥途中に設定水分値に到達した時点と、乾燥終了間際に行なうことで、水分むらの検出精度が向上し、予定循環時間Hの算出制度を向上させることができる。
次に、前記制御で乾燥開始直後の水分測定で設定水分以下を測定した場合について説明すると、前記では設定水分以下を検出したら通風循環にて機内全体水分むらデータを取得し、むら取り循環完了後に熱風乾燥するものであるが、初期の1循環間での水分むら検出までを前記同様とし、この水分むらによる混合までの循環時間と1循環分の平均水分と設定水分の差異および、それから求めた乾燥予測時間より乾燥時間の方が長い場合は、1循環で水分むらデータ取得後に熱風乾燥を開始する。その結果、過乾燥を防止しながら水分むらの解消を行なうことができる。
(水分バラツキの収束予測)
次に、乾燥後の測定粒別バラツキの収束を予測算出する方法を説明する。1粒水分計を備えて複数穀粒を測定する1回または複数回の測定によって水分バラツキを算出する手段と、その測定時の穀温を直接的または間接的に検出する手段と、これら両手段により規定偏差まで収束する所要時間をあらかじめ備えた穀粒種別、穀温レベルにより、異なるデータより算出する手段と、その結果を表示する手段とによって構成する。
上記各手段からなる制御構成により、1粒水分計20で取得した32粒の測定値の標準偏差である水分バラツキ偏差(乾燥中及び又は乾燥後)とそのときの穀温、穀粒種別より収束までの時間を予測表示する。
バラツキが収束するまでの時間は、乾燥後の後作業にとって重要であるが、従来これを予測、表示するものはなく、バラツキの多いもの、地区では幾日か貯留し、再乾燥または籾摺り作業をしていた。上記構成のように、穀温、穀粒種別での収束データより規定偏差(1%程度を目途)に到達する時間を算出、表示すれば、作業の目途がつき楽にできる。(乾燥機内で収束できればより良いが、バラツキ偏差が大きい場合、次回の乾燥に支障を来すので、情報として収束までの時間を予測表示する。)
試験結果によれば、あるバラツキ偏差から1%のバラツキ偏差まで到達する時間は、麦、籾とも同程度であり、偏差値が分かれば1%になる時間を予測できる。偏差と収束時間の関連表を作成して表示させる。
例えば、乾燥終了し、冷却通風循環時に水分むらおよび水分バラツキ偏差を測定し、このときの偏差が1.4%なら、1%になるまで何時間かを表から読み出して表示する。1%までの収束時間のテーブルデータの例として、1.6%なら5時間、2%なら7時間、3%なら8時間を記憶しておき、仕上がり後の冷却通風循環(水分むらも検出する)時に平均偏差を検出し、1.6%ならこのテーブルデータを読み出して「水分バラツキは5時間で収束する見込みです。」と表示する。
上記において、必要なデータ範囲は、乾燥後の収束が必ず必要なので(青米、倒伏などで乾燥中には収束しきらないケースがあるため)、乾燥終了後の15%程度での収束データを含める。水分バラツキが大きい場合は、従来の乾燥休止よりも時間を掛けてゆっくり乾燥した方が効果があることが判明したので、水分むら制御として乾燥設定の変更(遅くする)で対応し、それでも一定バラツキに収まらない見込みの時はメッセージを表示する。なお、図15は穀温によるバラツキ収束状態を示す一例である。
(良質米乾燥)
次に、図9のフロー5に基づいて、水分むらの解消のための乾燥作業を終了させた後の良質米乾燥のための制御モードについて説明する。
良質米乾燥モード(水分むら+確認+冷却)の制御には、乾燥後に穀温を検出し、外気温と設定値以内の差異になるまで通風循環冷却する(S61〜S65)。その後、仕上量を張込量検出器2aで検出して表示し、次いで水分バラツキの収束予測時間を検出し、その収束予測時間を表示する(S66)。
あるいは、図示はしないが乾燥後に再度前述の水分むら把握用水分測定及び予定循環時間の演算の工程を入れてもよい。
仕上がり状態の配慮に関しては、熱風乾燥停止時に穀温を測定し、外気温度近辺(外気温度+5℃以下程度)まで穀温を低下すべく穀温を検出し、その結果より通風循環を実行(通常、1〜2循環で低下する。)する。
また、水分バラツキの収束状況に関しては、熱風乾燥後の上記通風時間に機内全体の水分バラツキ偏差の平均を求め、バラツキの収束予測を目安表示する。(例えば、「6時間程度で均一になります。」)なお、ここでいう水分バラツキとは張込穀粒全体の穀粒水分の分布状態を測定する水分むらとは異なり、1回の測定で測定される穀粒の水分値(M1〜M10)における32粒の穀粒の水分の偏差(分布状態)を示すものである。
上記制御により、特にブランド化している高級米のユーザは品質に対して敏感で、乾燥は遅くても良く、間に合わなければ乾燥機の台数を増やせばよい。そのかわり、間違いのない高品質な出来上がりを要望する。乾燥不具合のリスクを減らすには、乾燥を遅くするのがベストでこれに上記のような穀粒状態を配慮した機能を追加すれば、高級米で品質重視のブランド対応ができて操作も簡単(良質米モードに設定すれば、最終確認もし、穀温も低下させる)である。
上記良質米乾燥モードは、高級ブランド米など、とにかく品質重視、乾燥は多少遅くても良い。または、時期遅れで水分が低く水分むらが出るおそれがあるが、乾燥時間は十分余裕があり、急ぐ必要がない(初期水分が低ければ、乾燥時間は掛からない)ような場合のモードである。現状の機能、技術力では、胴割れ自体の予測は困難で、胴割れの回避は単純に乾燥を遅くすることで回避しているが、水分むらを均一にまたは水分バラツキは収束予測時間を表示することでフォローする。
(乾燥制御)
全自動による乾燥制御については、籾摺り開始時刻を入力し、乾燥開始することで水分むら制御を含め、冷却もする全自動モードのフローを定める。全自動モードは乾燥工程を乾燥機に全て任せる制御モードであり、仕上がり時刻(籾摺り時刻)を指定して仕上げるように、時計を備えて時刻を認識でき、乾燥機内全体の水分むらを測定把握する従前の機能、仕上がり時刻を指定入力できる構成を備えた穀粒循環型乾燥機において、乾燥開始により必要乾燥速度(開始時刻、仕上がり要求時刻、初期平均水分、仕上がり設定水分より算出)を算出する算出手段と、1〜2循環の仕上がり後の冷却時間を算出する算出手段と、また、開始後1循環分の水分むら測定で、水分むらにより乾燥時間(循環回数)を長くする必要の有無を判定する手段とによって構成する。
ユーザは要するに、不具合なく(胴割れ、脱浮なく)要望時刻に指定水分で仕上がっていれば何の文句もないが、ユーザには、例えば、張込んだ穀粒に大きな水分むらがあっても分かっていないし、どう設定すれば希望の時刻(籾摺りしたい時刻)に仕上がるかも分かりづらいが、籾摺り時刻は、基本的に毎日同じ時刻と想定され、一旦設定するとたびたび変える必要はなく、仕上がりまでの間で、任せてもらった方が、水分むら,水分値精度冷却、水分値の再確認等も全てモード内で自在に考案制御でき、仕上がり穀粒の品質を安定化できる。一方、ユーザも乾燥スイッチを押すだけで指定時刻に籾摺りが開始でき、操作上も簡単である。
このモードでは、乾燥開始前に仕上がり時刻(籾摺り開始または排出開始時刻)を入力する。乾燥開始(乾燥スイッチオン)で1循環熱風乾燥または通風循環し、水分むら検出および平均水分値を算出する。仕上がり設定時刻と開始時刻より乾燥運転時刻を出し、(初期水分―仕上がり水分)/乾燥運転時刻の算式によって平均乾燥速度Aを算出する。A<0.7%/hの場合(一部冷却時間を減算する必要があるが)可能なのでそのまま継続し、不可能な時刻指定ならメッセージをモニターに表示する。
(均一化制御)
次に、仕上げ水分の均一化制御として、乾燥仕上げ近辺では張込量にかかわらず、燃焼量を一定値以下に制御する(仕上がり時に1循環の平均水分を求め、この値で停止制御する)方法について説明する。
従来の運転制御では、張込量にかかわらず時間当たりの乾減率を一定にすべく張込量に応じて熱風温度(設定温度)を変化させて乾燥を制御している。これは、乾減率がはやいと胴割れ、品質低下を招くので、これを考慮して張込量にかかわらず乾減率を設定し、同等な乾燥速度で乾燥しようとしているのであるが、乾燥仕上がり近くでは、燃焼量(熱風温度)を一定値以下に制御(設定水分値+0.5%〜1.5%程度の範囲になった場合)し、上記で燃焼量を下げた時点で1循環分の水分測定をし、この平均水分を求め、この値にて停止する(平均処理の中に青米カットや、低水分カット処理が入ることもあるが)。
従来は乾燥終了まで設定温度自体を変えることはなかったため、張込量によらずほぼ同一な乾燥速度を得たが、乾燥部を1回通過するあたりでの乾減率は大きく異なり、乾燥部通過後のものと通過前の穀粒の水分差が、張込量の多いものでは大きく、仕上がった穀粒の水分差が大きくなっていた。また、現行の制御では、小量時には仕上がり水分に水分差がなく、張込量が多い場合は水分差が大きくなっていた(1循環で取り除く水分の差による)が、上記制御のように、乾燥終了近くで燃焼量を張込量によらず低下させ、乾燥部を1回通過する間に取り除く水分を減らせば、乾燥通過後の穀粒と通過前の穀粒の水分差が減り、結果、全体水分を均一に仕上げることができる。
具体的には、従来は、例えば、張込量1tのときと張込量6tのときでは循環量が同じなので、1回の循環で取り除く水分は1:6(6tの場合は1tのときの6倍の水分を取り除く)となっていた。通常、0.7%/hの乾減率で最大張込時で1循環は1時間未満に循環量を設定するので、最大張込時は乾燥部通過毎に通過前の穀粒水分はおよそ0.7%異なるのはやむを得ないことになる。逆に、小量時は0.1%程度の差で殆ど差がないことになる。この0.7%の差はやや多く、もう少し縮まらないと問題視されるレベルとなる。
上記制御では、1循環で取り除く水分を仕上がり近辺では0.2%程度に低下させ、乾燥部通過後の穀粒と通過前の穀粒水分の差を縮め、仕上がり時を均一にすると同時に、水分むらがある場合の停止処置として1循環の全体むらを測定し、機内全体の平均水分で停止する制御としたものである。
本実施例では、正逆転する繰り出しドラム8により、循環時間が長くなるほど穀粒の層が崩れて穀粒がよく混合されて水分むらを解消・収束させるという知見に基づくものであるが、繰り出しバルブを可変速にして、水分むらが大きいほど繰り出し速度を速くして水分むらを解消するまでの時間を短縮する構成としても良い。
または、特に水分むらが大きい個所の穀粒層位置を判定し、循環速度からその水分むらが大きい層を繰り出す頃に繰り出しドラムの繰り出し速度を速くして穀粒層の混合を促進して水分むらの解消を短縮できる構成としても良い。
また、本実施の形態の図5〜図11による乾燥制御は特に水分むら解消モードという操作スイッチ(図示せず)を操作することで行なわれ、通常の乾燥作業時は張込作業終了時に設定される張込量と乾燥速度α1と設定水分値Msetに基づいて乾燥制御が行なわれる。そして、通常の乾燥作業時は水分むら把握用水分測定は行なわれず、乾燥制御用水分測定に基づき熱風乾燥がなされ、設定水分値Msetを検出するとバーナが停止して乾燥制御が終了する。
このとき、本実施の形態では通常の乾燥工程時にはふつう(乾減率0.7%)よりも高速(例えば乾減率1.0%)のモードを選択できるようにしても良いが、高速を選択した場合には、自動で水分むら把握用水分測定を行い、設定以上の水分むらを検出したら、高速モードを自動で解除してふつうモードで乾燥する制御としても良い。すなわち、大きな水分むらがある穀粒を高速で乾燥すると胴割れになり易いのを防止することができるものである。
図17はバーナ6の燃焼量を表示部13のタッチパネルで調整出来ることを示す図で、バーナ6の燃焼状態を見ながら燃焼量及び青火・赤火の調整をできるものである。
正面から見た穀粒乾燥機の内部を示す図 側面から見た穀粒乾燥機の内部を示す図 操作盤図 ブロック図 フローチャート(1) フローチャート(2) フローチャート(3) フローチャート(4) フローチャート(5) フローチャート(A) フローチャート(B) 測定回数区分の図表例 水分むら把握用水分測定により測定された一例を示す表 図13の表をグラフに示した図 水分値の一例バラツキ収束状態を示す一例 水分の異なる穀粒層が積み重なったこと状態を示す図 バーナの調整を行なう表示部を示す図
2 貯留室
3 乾燥部
19 運転制御部
20 水分計
H 予定循環時間
Hn 乾燥時間
K 通風循環時間
LVn 層
Mn 水分値
αn 予定乾燥速度

Claims (3)

  1. 張込穀粒を循環させる循環手段と、該循環手段で循環中の穀粒からサンプル穀粒を取得してその水分を測定する水分計(20)とを設けた穀粒乾燥機において、
    前記水分計(20)は乾燥制御を行なうため乾燥作業中に定期的に穀粒水分値を検出する乾燥制御用水分測定と、張込穀粒全体の水分むら状態を把握するため張込穀粒全体から設定間隔毎に代表水分値を測定する水分むら把握用水分測定とを行う構成とし、
    前記張込穀粒全体の水分むらの状態から、水分むらを所定幅内に収束するのに必要な予定循環時間(H)を演算すると共に、該予定循環時間(H)に対応する乾燥速度を選択し、乾燥目標水分値まで乾燥制御する水分むら解消モードを設けたことを特徴とする穀粒乾燥機。
  2. 水分むら解消モードを選択する水分むら解消スイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載の穀粒乾燥機。
  3. 最も遅い乾燥速度による乾燥時間が、前記予定循環時間(H)を越えない場合には、予定循環時間(H)から乾燥時間を差し引いた時間、通風循環を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の穀粒乾燥機。
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