JP5104287B2 - 穀粒乾燥機 - Google Patents

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Description

本発明は、貯留室に張込まれた穀粒を循環させつつ乾燥部で順次熱風乾燥する穀粒乾燥機に関するものである。
従来、特許文献1に示すように、塔型構成の機体内で貯留室に張込まれた穀粒を循環させつつ設定の乾燥速度によって熱風乾燥する穀粒乾燥機が知られている。この穀粒乾燥機は、機体上部の貯留室から乾燥部の乾燥用通路を順次流動下降する穀粒にバーナによる燃焼熱風を浴びせることによって穀粒を順次循環乾燥するものであり、設定の乾燥速度に基づいて運転制御し、乾燥目標の仕上げ水分に達すると自動的に乾燥循環運転を停止することによって所要の乾燥品質を確保することができる。
また、上記乾燥循環運転によって穀粒が混合されることにより、圃場別の異なる作柄をはじめとする各種条件差に起因する穀粒の水分差による水分むらについても、穀粒全体としての水分が乾燥目標に近づくにつれて次第に均一化される。
特開2005−24150号公報
しかしながら、乾燥開始時に既に水分が乾燥目標に近い場合は、穀粒の混合が不十分なうちに乾燥目標の仕上げ水分に達して乾燥循環運転が短時間で終了されることとなって十分な乾燥品質を確保することができず、この時、さらに乾燥循環運転を行えば、部分的な過乾燥を招くこととなるので、別途、水分むらを均一化するために事後における適宜期間の調質貯留に頼らざるを得なかった。
解決しようとする問題点は、乾燥開始時に既に水分が乾燥目標に近い場合にあっても、部分的な過乾燥を招くことなく水分むらを所定幅内に収束することができる穀粒乾燥機を提供することにある。
請求項1に係る発明は、貯留室(2)に張込まれた穀粒を循環しつつ乾燥部(3)に乾燥熱風を供給する乾燥循環運転により目標とする設定水分値(Mset)まで乾燥処理する運転制御部(19)を備える穀粒乾燥機において、上記運転制御部(19)は、乾燥循環運転開始後に貯留室(2)の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングで穀粒の水分値を測定する一巡測定を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布(Mn)からその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって所定幅内に収束するために要する予定循環時間(H)を算出する構成とし、前記一巡測定中に目標とする設定水分値(Mset)以下の水分を測定したら残りの一巡測定を通風循環運転の状態で行なうことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、運転制御部(19)は、前記通風循環運転中の一巡測定の後、その平均処理による全体としての水分(Ms)が目標とする設定水分値(Mset)を越える場合には予定循環時間(H)の乾燥熱風による乾燥循環運転を行ない、目標とする設定水分値(Mset)を越えない場合には予定循環時間(H)の通風による通風循環運転を行なうことを特徴とする。
上記運転制御部により、全体としての水分値が乾燥目標に達していない場合には乾燥循環運転をすることによって未乾燥部分を含め乾燥される。全体としての水分値が乾燥目標に達している場合には通風循環で水分むらを収束する。
請求項1の発明による穀粒乾燥機は、張込穀粒中に乾燥目標に達した層を測定した場合には測定中通風循環運転をすることにより、部分的な過乾燥を防止しつつ、水分むらの状態を把握することができる。
請求項2の発明による穀粒乾燥機は、請求項1の効果に加え、上記運転制御部により、全体としての水分値が乾燥目標に達していない場合には乾燥循環運転行い、全体としての水分値が乾燥目標に達している場合には通風循環運転を行なうことで、未乾燥及び過乾燥を防止しつつ、水分むらを収束しながら迅速に乾燥することができる。
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
穀粒乾燥機は、その正面図および側断面図をそれぞれ図1、図2に示すように、その機枠1の内部に上から貯留室2、乾燥部3、集穀室4の順に形成し、その外周部に設けた昇降機5の駆動によって穀物を循環させながら、バーナ6の燃焼と吸引ファン7とにより発生する熱風を乾燥部3で浴びせて乾燥する公知の形態である。乾燥部3の穀粒出口には正逆に回転しながら所定量の穀物を流下させる繰出しドラム8を備え、その繰出し穀粒を昇降機5に通じる集穀室4の下部移送装置9に受け、昇降機5の上部側に接続する上部移送装置10で貯留室2の拡散盤11に供給することにより、張込み穀粒が貯留室2の全面に均一に堆積貯留される。貯留室2に設けた張込量測定器2aは、張込み穀粒の堆積上面高さ位置を測定することにより張込量を把握することができる。
バーナ6および昇降機5をはじめとする穀粒循環機構等は、運転制御に必要な制御プログラムや各種データ等を記憶するメモリを備えるコンピュータによって行なわれる。即ち、操作盤12には、その制御盤見取図を図3に示すように、液晶形態の表示部13を設け、この表示部13の下縁に沿って押しボタン形態のスイッチ14〜17、及び停止スイッチ18を配置して構成する。これらスイッチ14〜17はその機能が表示部13に表示されるもので、図例では、順に、張込・通風・乾燥・排出の各運転用スイッチとして機能し、表示部13の画面変更に従って異なる機能を具備せしめ得る構成である。
内蔵の制御部は操作盤12のスイッチ情報や乾燥機機枠1各部に配設したセンサ類からの検出情報等を受けて所定の演算処理により、バーナ燃焼量の制御,穀粒循環系の起動・停止制御,表示部13の表示内容制御等を行う。上記操作盤12のスイッチ類は、張込・乾燥・排出・通風の各設定のほか、穀物種類、乾燥目標の設定水分(仕上げ水分)、張込量、タイマ増・減等を設定できる。
上記構成の穀粒乾燥機について、その運転制御の大要を説明する。
上記穀粒乾燥機は、貯留室2に張込まれた穀粒を循環しつつ設定の乾燥速度に沿って乾燥部3に乾燥熱風を供給する乾燥循環運転により乾燥目標水分まで順次乾燥処理する後述の運転制御部19を備えて構成され、この運転制御部19は、貯留室2の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングで穀粒の水分値を測定する一巡測定を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布からその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって所定幅内に収束するために要する予定循環時間を算出し、この予定循環時間で乾燥目標水分に至る乾燥速度により乾燥循環運転を行う。
上記運転制御部19により、張込み穀粒の一巡測定によって得られた縦方向の水分むらに基づき、その収束に要する予定循環時間が算出され、この予定循環時間について乾燥目標水分まで乾燥循環運転をすることから、水分むらの解消に必要な循環時間に応じて乾燥目標水分まで適切な運転制御が行われ、乾燥の仕上がりと同時に水分むらの収束が可能となる。
また、運転制御部19は、予定循環時間Hが最緩速の乾燥速度によって定まる最緩速乾燥時間H3を越える場合に、両時間の差を補充循環のための通風循環時間Kとしてこの通風循環時間について通風状態で穀粒を循環する通風循環運転を行う。
この場合、最緩速の乾燥循環運転によって乾燥目標水分値まで乾燥され、その後に継続する通風循環時間に及ぶ通風循環運転を合わせた循環動作によって必要な循環時間が確保されることから、穀粒が乾燥目標に近い乾燥状態で乾燥時間を長くできない場合でも、過乾燥を招くことなく、循環運転によって水分むらの収束が可能となる。
そのほか、穀粒水分が乾燥目標水分に近い場合の運転制御として、運転制御部19は、乾燥循環運転開始後に貯留室2の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングで穀粒の水分値を測定する一巡測定を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布Mnからその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって所定幅内に収束するために要する予定循環時間Hを算出する構成とし、前記一巡測定中に目標とする設定水分値Mset以下の水分を測定したら残りの測定を通風循環運転の状態で行ない、また、必要により、通風循環運転中の一巡測定の後、その平均処理による全体としての水分Msが目標とする設定水分値Msetを越える場合には予定循環時間H乾燥熱風による乾燥循環運転を行ない、目標とする設定水分値Msetを越えない場合には予定循環時間H通風による通風循環運転を行なう。
このように、張込穀粒中に乾燥目標に達した層を測定した場合には測定中通風循環運転をすることにより、部分的な過乾燥を防止しつつ、水分むらの状態を把握することができ、また、上記基準で乾燥循環運転をすることにより、未乾燥及び過乾燥を防止しつつ、水分むらを収束しながら迅速に乾燥することができる。
以下において上記運転制御について詳細に説明する。
図4は上記制御のための制御構成ブロック図を示し、上記操作盤12を有する制御ボックスに内蔵する運転制御部19には上記スイッチ類からの設定情報のほか、水分計20の検出情報、昇降機5の投げ出し部における穀粒検出情報、熱風温度検出情報等が入力される。一方出力情報としては、バーナ6の燃焼系信号、例えば燃料供給信号,その流量制御信号、あるいは上下移送螺旋10,9、昇降機5、ロータリバルブ(繰出バルブ)8等の穀粒循環系モータ制御信号、吸引ファン7のモータ制御信号、操作盤12への表示出力等がある。
(制御処理)
次に、上記構成の穀粒乾燥機における運転制御部19の制御処理について、フローチャートに沿って説明する。
穀粒乾燥機の運転制御は、図5のフローチャート(1)に示すように、穀粒の張込停止時点で張込量を検出(S1,S2)した上で乾燥運転を開始する。乾燥運転は、モータ、バーナー類の起動(S3)の後、張込量に応じた水分むら測定回数(S4)を算出し、貯留室2の張込み穀粒の水分むらの測定(S5)を行う。
水分むらは、例えば、図6の水分むら層の区分例のように、貯留室2の縦方向に積み重なる層別の水分値分布によって把握される。各層の水分の測定は、貯留室2の張込み穀粒を機体内で1循環することによって測定することができるので、張込量に応じて設定した図7の測定回数区分の図表例に従い、穀粒が一巡する間の所要時点で水分測定をする一巡測定による。
この一巡測定によって得られる層別水分値は、張込穀粒量がLV10で測定回数が12回(LV1は3箇所測定する)の例について説明すると、図8の一巡測定と関係水分値の図表例および図9の例示グラフに示すように、各層につき標本32粒の測定水分値の平均を各層の平均水分値Mnとし、これら各測定区分の層LV1〜LV10それぞれの水分値M1〜M10を検出し、さらに各層平均水分値の平均を張込穀粒全体の初期平均水分値(Ms)として検出する。そして、これら各測定区分の層LV1〜LV10による水分値M1〜M10の分布状態から、その水分むらを所定範囲内に収束するために必要な混合循環時間としての予定循環時間Hを算出(S6〜S8)する。
予定循環時間Hについて詳細に説明すると、まず、堆積層別の水分むら層個々の水分値M1,M2,…および初期平均水分Msとの差(M1−Ms),(M2−Ms)…をそれぞれ算出(S6)する。そして、連続して隣接する層の総和の絶対値が一番大きい数字、すなわち、上記「差」のデータ並びについて同符号で隣接している範囲の和を算出し、これら各範囲の「和」の絶対値について一番大きいものを水分むら係数Xとする。
この場合、層番号をn=1,2,…とする一般形表示で表すと、個々の層LVnの水分値Mnについて、同符号の連続範囲の(Mn−Ms)の和は絶対値で最大となる値である。この水分むら係数Xは、水分むらの程度を把握するための指標の一例である。
この水分むら係数Xと穀物種別と対応して得られる穀物定数A(例えば、籾は1.4、小麦は2)とから、次の算式X/A<0.01を満たす循環回数Rを算出(S7)し、この循環回数Rと張込量W、循環能力Bによって予定循環時間Hを算出(S8)する。
次いで、図10のフローチャート(2)に示すように、「ふつう」「ややおそい」「おそい」の3区分の予定乾燥速度α1〜α3として、乾燥時間H1〜H3を一般形表示式Hn=(Ms−Mset)/αnによって算出(S11)し、予定循環時間Hが各区分の乾燥時間Hnに含まれる場合は区分の判定(S12a〜S12c)に従ってフロー4による「通常設定の乾燥」〜「おそい設定による乾燥」の乾燥処理(S13a〜S13c)を行い、予定循環時間Hが最緩の乾燥速度α3である「おそい」で乾燥した乾燥時間H3の長さ以上であれば、必要な混合循環時間を補う補充循環のための通風循環時間K=H−H3を算出(S14)して補充循環のためのフロー3の処理に移行する。
フロー3の補充循環のための処理については、図11のフローチャート(3)に示すように、現時点水分Msgが所定値(例えば、18%)になるまで熱風乾燥してバーナー消火(S21,S22)をし、続いて通風循環時間Kについて通風循環モードで運転(S23、S24)し、続く熱風乾燥(S25)によって現時点水分Msgが設定水分値Msetになるとバーナー消火(S26,S27)をして熱風乾燥を終了する。
続いて、一巡測定により所定の水分むらになるまで通風運転を継続(S28〜S30)した後、穀温と対応して算出される冷却時間、または、穀温が気温に近づくまで経過(S31,S32)した時に、張込量検出装置付きの場合は仕上がり量を検出して表示(S33)し、また、水分バラツキ収束予測時間を算出して表示(S34)する。
フロー4の乾燥処理については、図12のフローチャート(4)に示すように、乾燥速度別の乾燥設定によって乾燥処理(S41)をし、現時点水分Msgが設定水分値Msetになると、以下はフロー3と同様にバーナー消火(S42、S43)をして熱風乾燥を終了し、その後、所定の水分むらになるまで通風運転を継続(S43〜S46)した後、冷却時間、または、穀温が気温に近づくまで経過(S47,S48)した時に、仕上がり量を検出して表示(S49)し、また、水分バラツキ収束予測時間を算出して表示(S50)する。
本実施の形態のフローチャートの一例について下記の通り説明する。
穀粒乾燥機の循環能力B(トン/時間)が7.5(トン/時間)で、張込穀粒量Wが籾が6トン、目標とする設定水分値Msetを14.5%とする。そして、図7の水分検出結果になったとする。そこで、各層のLV1からLV10の各層別平均値と全体の初期平均水分値Msである22.1との差を算出すると下記の通りとなる。
LV1 −2.1
LV1 −0.8
LV1 +1.5
LV2 +1.9
LV3 +0.8
LV4 −1.6
LV5 −1.9
LV6 +2.2
LV7 +0.9
LV8 +1.7
LV9 −1.6
LV10 −1.4
ここで、水分むら係数Xは連続して隣接する層の総和の絶対値が一番大きい数字であるLV1(+1.5)とLV2(+1.9)とLV3(+0.8)の総和の絶対値4.2となる。すなわち、このあたりの層のむらが一番大きいと判断し、この大きな水分むらを収束するだけの循環時間を算出すれば他の層の水分むらも収束できるとするものである。
そして、前述のX/A<0.01のXとAにそれぞれ数値を入れると
4.2/1.4<0.01となり循環回数R=17(回)となる。
さらに、水分むらを収束するための予定循環時間Hは
H=R×W/Bとなり、H=17×6/7.5=13.6となる。
図10のフローチャートに記載する式(Ms−Mset)/αにより各乾燥速度α1〜α3で乾燥した場合の予定循環時間H1〜H3を算出する。すなわち、通常の乾燥速度α1(乾減率0.7%)の場合にはH1は(22.1−14.5)/0.7=10.8となり、やや遅い乾燥速度α2(乾減率0.6%)の場合にはH2=12.6となり、遅い乾燥速度α3(乾減率0.5%)の場合にはH3=15.2となり、本実施の形態では遅い乾燥速度α3で乾燥する。
ここで、仮に水分むらを収束する予定循環時間Hが16.8(時間)と算出された場合、すなわち、「おそい」乾燥速度α3で乾燥しても水分むらを収束するだけの時間に到達しない場合には予定循環時間Hから乾燥予定循環時間H3の差の1.5時間を通風循環時間Kとすることで水分むらを収束させる。なお、この通風循環時間Kは設定水分値(18%)まで到達したときに一旦バーナ6を消火した後に設定している(図11 S23,S24)。
(水分むら検出制御)
なお、バーナ6が点火して乾燥開始後に図7及び図9に示すような張込穀粒量に応じた各層の平均水分値Mnをそれぞれ測定するが、この各層の平均水分値Mnの内の一つの層が目標とする水分値Msetよりも低い水分値(例えば14.3%)を測定したら図14及び図15に記載する制御を行なう。
すなわち、乾燥開始直後に測定する各層の平均水分値Mnの内、目標とする設定水分値Msetよりも低い水分値を測定したら(S60)、その時点で一旦バーナを消火して通風状態で循環を行いながら残りの各層毎の平均水分値Mnをそれぞれ測定し、全体の初期平均水分値Ms及び水分むら係数Xを算出し、前述のX/A<0.01の式から予定循環時間Hを算出する(S62,S63,S64)。
そして、全体の初期平均水分値Msが設定水分値Mset以上の場合には再度バーナ6が点火し乾燥作業が再開される(S65)。そして、図10に示す予定循環時間Hに合った乾燥速度で設定水分値Msetになるまで乾燥される(S66)。そして、最緩の乾燥速度α3、すなわち「おそい」乾燥速度で乾燥しても水分むらを収束するだけの時間に到達しない場合には、目標とする設定水分値Msetに到達してバーナ6を消火した後に予定循環時間Hから乾燥予定循環時間H3の差の時間Kを通風循環して水分むらを収束する(S67)。
図11では通風循環時間Kは18%に到達すると行なっていた(S21〜S23)が、乾燥初期に設定水分値Msetを下回る水分値を検出した場合には全体の初期平均水分値Msが設定水分値Msetより上回っていても18%以下である(例えば17%程度)と想定されるため、乾燥作業後に行なう構成としている。
また、全体の初期平均水分値Msが既に設定水分値Msetより下回っている場合には予定循環時間H通風循環を行い水分むらを収束してから停止する(S68)。
このように、混合までの時間の通風循環で十分混合し、仕上げるので、従来の如くの問題、すなわち、水分計での測定値が設定水分以下を検出した時に1回または複数回の検出結果により乾燥終了停止していたことから、設定水分近くで水分むらの多い穀物を乾燥すると、場合により未乾や過乾になって停止するという問題を解決することができる。
次に、前記制御で乾燥開始直後の水分測定で設定水分以下を測定した場合について説明すると、前記では設定水分以下を検出したら通風循環にて機内全体水分むらデータを取得し、むら取り循環完了後に熱風乾燥するものであるが、初期の1循環間での水分むら検出までを前記同様とし、この水分むらによる混合までの循環時間と1循環分の平均水分と設定水分の差異および、それから求めた乾燥予測時間より乾燥時間の方が長い場合は、1循環で水分むらデータ取得後に熱風乾燥を開始する。その結果、過乾燥を防止しながら水分むらの収束を行なうことができる。
(水分バラツキの収束予測)
次に、乾燥中及び又は乾燥後の測定粒別バラツキの収束を予測算出する方法を説明する。
1粒水分計を備えて複数穀粒を測定する1回または複数回の測定によって水分バラツキを算出する手段と、その測定時の穀温を直接的または間接的に検出する手段と、これら両手段により規定偏差まで収束する所要時間をあらかじめ備えた穀物種別、穀温レベルにより、異なるデータより算出する手段と、その結果を表示する手段とによって構成する。
上記各手段からなる制御構成により、1粒水分計20で取得した32粒の測定値の標準偏差である水分バラツキ偏差(乾燥中及び又は乾燥後)とそのときの穀温、穀物種別より収束までの時間を予測表示する。
バラツキが収束するまでの時間は、乾燥後の後作業にとって重要であるが、従来これを予測、表示するものはなく、バラツキの多いもの、地区では幾日か貯留し、再乾燥または籾摺り作業をしていた。上記構成のように、穀温、穀物種別での収束データより規定偏差(1%程度を目途)に到達する時間を算出、表示すれば、作業の目途がつき楽にできる。(乾燥機内で収束できればより良いが、バラツキ偏差が大きい場合、次回の乾燥に支障を来すので、情報として収束までの時間を予測表示する。)
試験結果によれば、あるバラツキ偏差から1%のバラツキ偏差まで到達する時間は、麦、籾とも同程度であり、偏差値が分かれば1%になる時間を予測できる。偏差と収束時間の関連表を作成して表示させる。
例えば、乾燥終了し、冷却通風循環時に水分むらおよび水分バラツキ偏差を測定し、このときの偏差が1.4%なら、1%になるまで何時間かを表から読み出して表示する。
1%までの収束時間のテーブルデータの例として、1.6%なら5時間、2%なら7時間、3%なら8時間を記憶しておき、仕上がり後の冷却通風循環(水分むらも検出する)時に平均偏差を検出し、1.6%ならこのテーブルデータを読み出して「水分バラツキは5時間で収束する見込みです。」と表示する。
上記において、必要なデータ範囲は、乾燥後の収束が必ず必要なので(青米、倒伏などで乾燥中には収束しきらないケースがあるため)、乾燥終了後の15%程度での収束データを含める。
水分バラツキが大きい場合は、従来の乾燥休止よりも時間を掛けてゆっくり乾燥した方が効果があることが判明したので、水分むら制御として乾燥設定の変更(遅くする)で対応し、それでも一定バラツキに収まらない見込みの時はメッセージを表示する。
なお、図13は穀温によるバラツキ収束状態を示す一例である。
(良質米乾燥)
良質米乾燥のための制御モードとしての良質米乾燥モード(水分むら+確認+冷却)の制御については、機内全体の水分むらを制御し、乾燥後に再度の確認工程を入れる。乾燥後に穀温により通風冷却し、穀温を検出し、その時間を変化させる水分バラツキを検出し、その収束予測時間を表示する。
水分むらに関しては、乾燥初期に機内全体の水分むらを把握し、むら制御(穀粒の混合を算出し、混合できる時間分を循環する)と乾燥後(下記通風中)に再度水分むらを把握し、確認&不完全時(水分差0.5%程度以上)は追加混合する。
仕上がり状態の配慮に関しては、熱風乾燥停止時に穀温を測定し、外気温度近辺(外気温度+5℃以下程度)まで穀温を低下すべく穀温を検出し、その結果より通風循環を実行(通常、1〜2循環で低下する。)する。また、水分バラツキの収束状況に関しては、熱風乾燥後の上記通風時間に機内全体の水分バラツキ偏差の平均を求め、バラツキの収束予測を目安表示する。(例えば、「6時間程度で均一になります。」)
上記制御により、特にブランド化している高級米のユーザは品質に対して敏感で、乾燥は遅くても良い、間に合わなければ乾燥機の台数を増やせばよい。そのかわり、間違いのない高品質な出来上がりを要望する。乾燥不具合のリスクを減らすには、乾燥を遅くするのがベストでこれに上記のような穀物状態を配慮した機能を追加すれば、高級米で品質重視のブランド対応ができて操作も簡単(良質米モードに設定すれば、最終確認もし、穀温も低下させる)である。
上記良質米乾燥モードは、高級ブランド米など、とにかく品質重視、乾燥は多少遅くても良い。または、時期遅れで水分が低く水分むらが出るおそれがあるが、乾燥時間は十分余裕があり、急ぐ必要がない(初期水分が低ければ、乾燥時間は掛からない)ような場合のモードである。現状の機能、技術力では、胴割れ自体の予測は困難で、胴割れの回避は単純に乾燥を遅くすることで回避しているが、水分むらを均一にまたは水分バラツキは収束予測時間を表示することでフォローする。
(乾燥制御)
全自動による乾燥制御については、籾摺り開始時刻を入力し、乾燥開始することで水分むら制御を含め、冷却もする全自動モードのフローを定める。
全自動モードは乾燥工程を乾燥機に全て任せる制御モードであり、仕上がり時刻(籾摺り時刻)を指定して仕上げるように、時計を備えて時刻を認識でき、乾燥機内全体の水分むらを測定把握する従前の機能、仕上がり時刻を指定入力できる構成を備えた穀粒循環型乾燥機において、乾燥開始により必要乾燥速度(開始時刻、仕上がり要求時刻、初期平均水分、仕上がり設定水分より算出)を算出する算出手段と、1〜2循環の仕上がり後の冷却時間を算出する算出手段と、また、開始後1循環分の水分むら測定で、水分むらにより乾燥時間(循環回数)を長くする必要の有無を判定する手段とによって構成する。
ユーザは要するに、不具合なく(胴割れ、脱浮なく)要望時刻に指定水分で仕上がっていれば何の文句もないが、ユーザには、例えば、張込んだ穀粒に大きな水分むらがあっても分かっていないし、どう設定すれば希望の時刻(籾摺りしたい時刻)に仕上がるかも分かりづらいが、籾摺り時刻は、基本的に毎日同じ時刻と想定され、一旦設定するとたびたび変える必要はなく、仕上がりまでの間で、任せてもらった方が、水分むら,水分値精度冷却、水分値の再確認等も全てモード内で自在に考案制御でき、仕上がり穀物の品質を安定化できる。一方、ユーザも乾燥スイッチを押すだけで指定時刻に籾摺りが開始でき、操作上も簡単である。
このモードでは、乾燥開始前に仕上がり時刻(籾摺り開始または排出開始時刻)を入力する。乾燥開始(乾燥スイッチオン)で1循環熱風乾燥または通風循環し、水分むら検出および平均水分値を算出する。仕上がり設定時刻と開始時刻より乾燥運転時刻を出し、(初期水分―仕上がり水分)/乾燥運転時刻の算式によって平均乾燥速度Aを算出する。A<0.7%/hの場合(一部冷却時間を減算する必要があるが)可能なのでそのまま継続し、不可能な時刻指定ならメッセージをモニターに表示する。
(水分値補正)
水分値補正については、乾燥仕上がり水分近辺になると、乾燥設定の如何にかかわらず、熱風温度を標準温度(張込量に応じた速度ふつうの温度)などの一定した基準に制御することにより、水分値精度の向上を図ることができる(乾燥速度差異による穀粒内の性能勾配を一定にする)。
従来、作業の進行都合、穀物性状などで、乾燥速度を変えて作業しているが、それでも、乾燥速度が異なると、穀粒内の水分勾配が異なり、表層部の籾殻部と玄米中心部の水分差が異なる。乾燥機の水分計は籾を測定し、籾殻部をのぞいた玄米水分を表示しているので、水分勾配が異なると精度が悪くなる。
そこで、自動水分計を備えた穀粒乾燥機の運転制御に関し、穀物状況(作柄、生育状態、水分値など)、作業状況により、乾燥をはやくしたり、ゆっくりしたりするが、この運転制御を、仕上げ水分に近づくと、標準の速度設定(張込量、気温等に応じた)に制御する。乾燥開始から上記仕上げ水分近くまでは従来どおりの乾燥設定とする。
乾燥仕上がり近辺(設定水分+1.5%程度)までは、乾燥設定による乾燥速度の熱風温度で制御し、仕上り近くになると、標準温度(速度ふつう)になるように制御することで、穀粒内の水分勾配を概同一にして水分検出精度の向上を図る。このように、仕上げ水分近辺での乾燥速度を固定すれば、穀粒内の水分勾配が一定し、籾→玄米の換算(基本的には0.5%程度の差)が安定し、水分停止精度が向上する。
(水分計検出制御)
水分計検出制御については、仕上水分近く(設定水分+1.5%近く)になると、張込量に応じて機内全体を複数層に分割し、それぞれの分割数に応じ高い数の移動平均処理を行ったものを水分値とする制御方法による。
従来は、設定水分近く(+1.5%)で、4回の移動平均値を水分値として算出制御しているが、乾燥機内全体の水分値ではないため、場所により水分差が大きい場合、未乾燥であったり、過乾燥であったりする場合がある。
そこで、穀粒乾燥機の水分運転制御について、張込量を自動検出または手動で設定し、乾燥機の制御盤が張込量を認識できる構成において、上記張り込み量に応じて乾燥機内を複数層に分割し、その水分を検出する検出手段と、その動作を設定水分近く(設定水分+1.5%程度)になると行い、その移動平均値を現在水分値として算出制御する。
乾燥初期はそれほど正確な水分は不要で、粉砕粒数を減らす目的で測定間隔を長くしている。このため、この間は移動平均処理はせず、各測定値を表示しているが、停止水分に近づくと、機内全体の水分の検出精度を良くする必要があり、測定間隔を短くし、現状は4回分の移動平均値で制御しているが、4回分は張り込み量によっては、機内の穀粒が1循環する場合もあるが、しない場合もあり、必ずしも全体の平均値とは云えない。上記制御は張り込み量により、1循環分を複数層に分割し、それぞれの部位での水分を層数による移動平均処理としたので、常に全体の水分を反映し、停止精度が向上する。
別の水分計検出制御について説明すると、乾燥機内全体を張込量に応じて複数層に分割し、その層数による移動平均値を制御水分値として表示、停止させる制御方法である。
詳細には、張込量を自動検出または手動で設定し、その張込量を乾燥機制御盤が把握できる構成のものの水分値検出方法に関し、張込量に応じて機内を複数層に分割し、その層位置での水分測定値を該当層の代表水分値とし、上記層は張込量によって層数が異なるので、その層数に応じた回数の移動平均を行い、水分値として算出制御する。
具体的には、張込量に応じて機内を例えば3〜9層に分割し、その層での水分値を層数に応じた回数の移動平均値とすることにより、結果として、機体内その層位置での水分測定値を全体の水分が反映される。このように制御することにより、機内の水分むらが大きくても、機内全体の水分むらが算出値に反映されるので、停止時の精度向上が図れる。
また、固定分割層による別の方法として、機内全体を5層程度の固定数の層に分割し、この層での測定値を各層の代表水分値としてそれぞれ移動平均処理する方法により、水分算出を簡易にし、機内全体水分を表示することができる。
詳細には、張込量を自動検出または手動で設定する構成で、張込量を乾燥機の制御盤が認識できる構造のものにおいて、乾燥機内を規定個数(5個程度)の層に分割し、その層の水分値を測定したものを該当層の代表水分値とし、張込量により1循環の時間が異なるので張込量により測定間隔を算出し1循環を既定層数に分割できる間隔を算出して測定する。
例えば、5分割にすると、2t張込では400kg毎、6t張込では1.2t毎に水分を測定し、その値を5回移動平均処理していくと、常に全体水分を表示し、機内全体の水分を代表している水分値となる。測定間隔自体は張込量に応じて変える必要があるが、水分値の算出は簡潔になる。もちろん、1循環分の水分を等間隔で検出しているので全体平均値となる。
このように、機内全体の水分むらを測定するには、1循環分を同間隔で測定するなら、分割数が異なり、移動平均の処理の分母が変わり、算出処理が複雑になるが、上記処理により、移動平均の回数を固定し、張込量に応じてその測定間隔で対応するので、移動平均の処理は張込量によらず、常に固定回数分となり、算出処理が簡素かつ同様な効果が得られる。
(均一化制御)
次に、仕上げ水分の均一化制御として、乾燥仕上げ近辺では張込量にかかわらず、燃焼量を一定値以下に制御する(仕上がり時に1循環の平均水分を求め、この値で停止制御する)方法について説明する。
従来の運転制御では、張込量にかかわらず時間当たりの乾減率を一定にすべく張込量に応じて熱風温度(設定温度)を変化させて乾燥を制御している。これは、乾減率がはやいと胴割れ、品質低下を招くので、これを考慮して張込量にかかわらず乾減率を設定し、同等な乾燥速度で乾燥しようとしているのであるが、乾燥仕上がり近くでは、燃焼量(熱風温度)を一定値以下に制御(設定水分値+0.5%〜1.5%程度の範囲になった場合)し、上記で燃焼量を下げた時点で1循環分の水分測定をし、この平均水分を求め、この値にて停止する(平均処理の中に青米カットや、低水分カット処理が入ることもあるが)。
従来は乾燥終了まで設定温度自体を変えることはなかったため、張込量によらずほぼ同一な乾燥速度を得たが、乾燥部を1回通過するあたりでの乾減率は大きく異なり、乾燥部通過後のものと通過前の穀粒の水分差が、張込量の多いものでは大きく、仕上がった穀粒の水分差が大きくなっていた。また、現行の制御では、小量時には仕上がり水分に水分差がなく、張込量が多い場合は水分差が大きくなっていた(1循環で取り除く水分の差による)が、上記制御のように、乾燥終了近くで燃焼量を張込量によらず低下させ、乾燥部を1回通過する間に取り除く水分を減らせば、乾燥通過後の穀粒と通過前の穀粒の水分差が減り、結果、全体水分を均一に仕上げることができる。
具体的には、従来は、例えば、張込量1tのときと張込量6tのときでは循環量が同じなので、1回の循環で取り除く水分は1:6(6tの場合は1tのときの6倍の水分を取り除く)となっていた。通常、0.7%/hの乾減率で最大張込時で1循環は1時間未満に循環量を設定するので、最大張込時は乾燥部通過毎に通過前の穀粒水分はおよそ0.7%異なるのはやむを得ないことになる。逆に、小量時は0.1%程度の差で殆ど差がないことになる。この0.7%の差はやや多く、もう少し縮まらないと問題視されるレベルとなる。
上記制御では、1循環で取り除く水分を仕上がり近辺では0.2%程度に低下させ、乾燥部通過後の穀粒と通過前の穀粒水分の差を縮め、仕上がり時を均一にすると同時に、水分むらがある場合の停止処置として1循環の全体むらを測定し、機内全体の平均水分で停止する制御としたものである。
(循環張込)
循環張込制御については、搬送系モータの負荷を検出し、張込時負荷に余裕があるタイミングでロータリバルブを駆動し、機内穀粒を少しづつ循環し、初期バルブ駆動時のロータリバルブ負荷軽減および水分むら対応の張込時混合、高水分時の流れ不良を解消する。
詳細には、張込後の起動時にロータリバルブの負荷を軽減したり(張込時に穀粒が圧縮され、そのために初回起動時は負荷がかなり大きい)、高水分の穀粒の流下不良防止のために張込中に一部循環したり、また、水分むらが大きいものを張込む場合に、循環しながら張込するように指導したりしているが、これを自動で実行し不具合を解消するために、張込時の搬送系のモータ負荷を検出する手段を設け、その検出値よりモータの負荷率を算出し、ロータリバルブの繰出し可否および量を判断して制御する手段を設け、搬送系負荷に余裕があるタイミングにバルブを動かし、機内に張込まれた穀粒をある程度再循環するように制御する。
具体的には、昇降機モータの電流値をCT(非接触電流計)で検出し、その値がモータ定格電流と比較して余裕があれば、その程度によりバルブ繰出し量を加減して繰出しするようにする。通常、乾燥機に満量になるまで最大能力で張込むようなケースはほとんど無く、一旦負荷が軽くなるはずであり、十分実行できる。
水分むらがおおきいものを張込んだ場合には、乾燥仕上がりまで水分むらが解消できず、不具合となるため、張込時に循環しながら張込むように指導するが、これをすると、循環する量と張込する量が合算して昇降機の負荷が大きくなり過ぎ、詰まらないように張込量を調整するのが困難であった。また、張込速度を抑えると時間が掛かって不便であった。
上記制御では、搬送系の負荷を検出し、バルブの駆動タイミングで負荷調整するので、作業者はあまり気をくばらずに循環張込が可能となる。これにより、他の課題である初回起動時の負荷軽減、圧縮による流れ不良も同時に解消することができる。
(メンテナンス管理)
メンテナンス管理については、各部品の交換時間を実績入力し、次回交換時の時期精度を向上する(液晶画面で各部品名および実駆動時間を算出し、指定入力して記憶しておく)ものである。
従来のメンテナンス管理例では、あらかじめ既定値として記憶した各部品の交換予定時間で報知する例があるが、対象とする穀物性状の差異などにより、実際の交換時間に差異があり、有効性の点で問題があった。
そこで、液晶表示等、文字を表示する表示盤を設けた乾燥機において、運転時間を積算して記憶する手段と、部品の交換を報知する手段と、部品交換した情報を入力し、記憶する手段(交換したときの使用時間を含め)と、既定値の各部品交換時間を実際の交換時間より、変更し次回交換時間を修正報知する手段とを設けて構成する。
上記構成の実施により、初回に交換した部品&交換時間を入力し、記憶して次回の時間を修正報知することで、メンテナンス時間の信頼性が大きく向上し、前もっての部品の手配、交換などがスムーズに行える。例えば、バケットコンベヤ等は700h、1000hくらいとしているが、現実は1000h、2000hとなっているケースもある。
具体的には、表示盤に各部品の交換時間が近づくと、待機中またはメンテナンス情報画面に部品名&交換予定時間を表示する構成とし、初回の部品交換は既定値で報知するが、一度交換すると、その時の使用時間を記憶し、次回の交換時間の報知を実績により修正報知することで、以降のメンテナンス情報の信頼性が大きく向上し、前もっての部品手配、交換等の作業がスムーズに行える。また、規定値であらかじめ入れている情報は、開発時の実耐久時間として十分なデータがなく、また、不具合のほうが報知より先に発生しては問題となる都合で、早め早めの報知になる傾向があるが、上記構成のように、実時間により修正報知するようにすれば、信頼性が大きく向上し、作業がスムーズ、適切に行える。
(乾燥データの記憶)
乾燥データの記憶、保存の取扱いについては、従来は、メモリ効率向上のために初回水分測定開始後、保存開始としていたが、乾燥開始により保存し、乾燥終了時点でデータを確認、精査し、不要分はメモリーから削除することで効率化を図る。
詳細に説明すると、従来公知の乾燥データを記憶保存しているものは、乾燥開始時に全てのデータを記憶保存していたので、完結(乾燥が正規に終了していないもの等)していないデータも含まれ、メモリーの使用が不効率であったことから、初回の水分測定が終了したか否かでデータを保存するか判定をする例もある。
上記制御は、初回の水分測定まで待って保存することで不要なデータを保存しないようにしてメモリーの効率化を図ったものであるが、乾燥が完結した時点でデータが揃っていることを判定し、揃っていない場合(不要なデータと判定した場合)にデータを削除することで、メモリーの効率化を図ることができる。初回の水分データがあっても、必ずしも必要な乾燥データとは限らず、途中で張込追加、以上発生で停止、再起動などが考えられる。具体的には、乾燥終了までのデータを精査し、不要分を記憶、保存したデータから削除して整理、保存することで、メモリーの効率化を図ることができる。
(乾燥データの保存)
乾燥開始時からの乾燥データを複数個分(10データ程度)保存する構成のものにおいて、異常発生時にその時のデータは保存し、次回の乾燥スタートでは排出または張込スイッチが押されないと修理未完と判定し、そのデータは保存せず既保存データの保護を図る。
一般に、異常発生時は確認などのために同じ操作を複数回行い、同じ異常が発生することが多いが、これをその都度保存していくと、必要な乾燥データが消去され問題である。
そこで、乾燥開始してからの乾燥データを複数個保存する乾燥データの保存につき、乾燥データ中に異常発生時のトレーサビリティの関係で異常内容、発生時刻を含んで保存し、1乾燥で同じ異常が発生した場合(前回の異常発生後、排出、張込をしていないという条件を付加し)は乾燥データとして保存しない。
詳細に説明すると、本件制御では複数回の乾燥データをメモリーに保存するようにしているが、不揮発メモリー容量は大きくないので、極力不要なデータは保存したくない。本件制御は、異常発生時の異常内容、それまでのデータは保存するが、それ以降の乾燥では、一旦、排出、張込などで穀物を入れ替える(修理したと判断)操作をしないとそれ以降の乾燥データを保存せず、既に記憶しているデータを保護する。(メモリー容量に制限があり、例えば、10回分のメモリーを確保しているとして、それを上回る回数は古いデータから消去する構成とするため)
このような構成により、確認のために行う同様な異常発生を発生以降に、張込、排出などの操作をしたか否かで別の乾燥か判別し、同一乾燥と判定するとデータを保存せず、有効なデータが消去されないように保護することができる。
(乾燥速度補正)
乾燥速度補正については、過去の乾燥記録を保存し、そのデータより個々の機体の乾燥速度が基準より差異があれば補正(熱風温度)して実行するように制御を構成する。
従来、乾燥速度制御として乾燥中の乾燥速度を算出し、熱風温度を補正しながら乾燥を行っているが、トータルの乾燥速度は次回の乾燥には反映されず、個体差異があった場合、毎回同じように途中で乾燥を速めたり、遅くしたりして制御している。
そこで、乾燥データを保存する手段と、その乾燥データより乾燥速度を算出する算出手段と、その乾燥速度と設定の乾燥速度を比較して設定熱風温度を補正する補正手段とを設ける。
具体的には、過去の乾燥データとして開始時刻、穀物種類、張込量、初期水分、乾燥設定熱風温度、終了時刻、仕上がり水分などを保存し、このデータより乾燥速度(初期水分―仕上がり水分)/乾燥時間を算出し、これが乾燥設定した乾燥速度と比較し、異なっていればその差異により次回乾燥時の熱風温度を補正して適用する。(例えば、標準熱風温度50℃であるが、過去データが0.1%/h程度遅いので、0.1%/h相当の熱風温度である3℃を補正して初期設定温度を53℃として制御する。)
もちろん乾燥データは毎回乾燥して更新されるので、新しいデータに置き換えて補正していく。(複数回の平均速度や、最新のデータのみで行う場合等が考えられる)
上記構成により、一般的に、設置場所の都合で、標準的な設置状態より風量が少ない状態であったり、また、固体差異で内部の熱風温度が低く、設定速度より常に遅い機体などが考えられるが、実測の過去データに基づいて補正していくので、固体差異、設置都合の差異は補正することができて要望により近い乾燥速度とすることができる。
(運転中の調整)
乾燥等の運転作業中に「調整」「運転状況」を調整または表示するモードを設け、すなわち、通常運転中は従来の表示項目である熱風温度、水分値、残時間および水分分布、乾燥経過などの通常運転中必要データを表示する。
例えば、タッチパネル液晶では、画面に「調整」とか「運転状況確認」とかのスイッチを表示し、それを押すことで各調整モードや運転状況の確認モードへ入り、運転制御は行って乾燥運転を止めることなく、各調整や運転状況の確認(エレベータモードの消費電流値、標準値との併記等も考えられる)を行う。タッチパネル式でない場合は、画面外に対応スイッチ(兼用でもよいが)を設け、それを押すことで上記調整や運転状況の確認を可能にする。
このように、運転しながらバーナーの調整をしたりモータの過負荷状況を確認したりすることにより、運転を止めることなく、実運転時の精度良い調整状況の確認ができる。
(水分補正)
従来の水分補正はあくまで停止時水分値の補正を行っており、水分計の誤差の補正という観点からの補正であり、自動水分計、張込量検出装置が付いている穀粒循環型乾燥機の仕上げ水分の補正に関しては、乾燥が停止してから排出するまでに、設置場所である納屋等の環境により、停止後の水分が戻ったり進むという現象があり、その都度運転作業者による補正を強いられていた。
そこで、排出時の張込量を張込センサで測定しておき(乾燥終了時などに)その張込量に応じて排出全量を複数層に分割し、排出時の水分を測定し、燃焼停止時の水分値と、この排出時の平均水分の差異を次回から自動補正し、排出時水分を要望である設定水分とならしめる補正方法を構成する。
詳細には、乾燥自動停止時の穀粒量を張込量検出装置で測定し、その検出量により排出時に水分測定する分割層数を算出し、その分割による層の代表水分値を排出時に測定し、平均値を算出して停止時の水分値とこの水分値を把握し、この停止時水分値と排出時水分値の差をコントローラに設けた自動補正値として記憶し、場合によってその補正を次回の乾燥終了時の水分補正に入れる。
このように、乾燥機の設置条件、使用条件などの環境により停止後に水分が戻ったり進んだりする現象に対して、それを排出時の水分の平均値と停止時の水分値の差を自動補正することで、次回の停止水分値を必要な排出後の水分になるようにする。
具体的には、コントローラ内の設定選択により、この自動補正をするかどうか選択し、乾燥自動停止時に仕上がり穀粒量を張込量検出装置で測定し、仕上がり時の張込量の検出により、仕上がり時の量に応じて穀粒を複数個の層に分けて水分を測定し、排出時の全体の水分値の平均を測定し、この測定値と停止時の水分値の差を補正することで、次回の停止時に排出時水分が設定水分値になるように補正する。
(終了時間予測)
従来の循環型穀粒乾燥機では、現在仕上がり予定間(あと何時間で、または何時何分頃に)を表示するものが多いが、従来は設定乾減率により、(現在水分値―停止設定水分値)/設定乾減率の算式により算出した時間を基準とし、停止後の冷却時間を補正した値としていたが、当然、仕上がり近辺の低水分域のほうが乾きにくく、予定時間が合わない場合があった。
その解決のために、乾減率設定(例えば、普通で0.7%/h)で割り算算出するのでなく、水分域によって乾減率を考えて割り算、算出することで残時間の予測精度を向上する。
詳細に説明すると、設定乾減率は、例えば乾燥速度「ふつう」なら0.7%/hであるが、これを水分域によって複数層に分割し、例えば、25%以上について0.8%/h、25〜20%について0.7%/h、20〜15%について0.6%/hとして現在の水分値と停止設定水分値より残時間を算出する。現状水分が26%、停止設定水分が15%であれば、(26−25)/0.8+(25−20)/0.7+(20−15)/0.6=予定残時間である。また、停止後の冷却時間等の補正をすることもある。
このような算出基準により、実際の乾燥速度は水分域によって同一熱風温度でも乾減率が異なるので、水分域によって乾燥速度制御の判定基準は概ね上記のように高水分時はよりはやく、低水分域ではおそい基準で判定し、熱風温度をその判定で制御して乾燥速度制御することにより、精度向上を図ることができる。
穀粒乾燥機の正面図 穀粒乾燥機の側断面図 コントロールボックスの制御盤見取図 制御構成ブロック図 フローチャート(1) 水分むら層の区分例 測定回数区分の図表例 一巡測定と関係水分値の図表例 水分むら層の一巡測定値の例示グラフ フローチャート(2) フローチャート(3) フローチャート(4) バラツキ収束状態を示す一例 水分むらフロー(1) 水分むらフロー(2)
符号の説明
2 貯留室
3 乾燥部
19 運転制御部
20 水分計
H 予定循環時間
Hn 乾燥時間
K 通風循環時間
LVn 層
Mn 水分値
αn 予定乾燥速度

Claims (2)

  1. 貯留室(2)に張込まれた穀粒を循環しつつ乾燥部(3)に乾燥熱風を供給する乾燥循環運転により目標とする設定水分値(Mset)まで乾燥処理する運転制御部(19)を備える穀粒乾燥機において、
    上記運転制御部(19)は、乾燥循環運転開始後に貯留室(2)の張込み穀粒を1循環させる間に張込量に応じた複数回の異なるタイミングで穀粒の水分値を測定する一巡測定を行い、この一巡測定によって得られた張込み穀粒の縦方向水分値分布(Mn)からその水分むらの程度を把握し、この水分むらを穀粒の循環によって所定幅内に収束するために要する予定循環時間(H)を算出する構成とし、前記一巡測定中に目標とする設定水分値(Mset)以下の水分を測定したら残りの測定を通風循環運転の状態で行なうことを特徴とする穀粒乾燥機。
  2. 前記運転制御部(19)は、前記通風循環運転中の一巡測定の後、その平均処理による全体としての水分(Ms)が目標とする設定水分値(Mset)を越える場合には予定循環時間(H)の乾燥熱風による乾燥循環運転を行ない、目標とする設定水分値(Mset)を越えない場合には予定循環時間(H)の通風による通風循環運転を行なうことを特徴とする請求項1記載の穀粒乾燥機。
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