JP5210015B2 - ポーラスプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、精錬容器中の溶鋼に攪拌用のガスを吹き込むポーラスプラグに関する。
精錬容器に注湯された溶鋼を攪拌して、鋼の成分調整、温度調整、介在物除去などを行うため、攪拌用のガスを溶鋼に吹き込むポーラスプラグが精錬容器に設置されている。
そして、ポーラスプラグを用いて精錬容器に攪拌用のガスを吹き込む方法としては、例えば、複数のポーラスプラグを精錬容器に配置し、1番目に使用されるポーラスプラグが操業中は、2番目以降のポーラスプラグを待機状態とし、1番目のポーラスプラグの使用が終了した後、2番目のポーラスプラグを使用する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、待機中のポーラスプラグにも溶鋼が侵入するため、2番目以降のポーラスプラグを使用開始する際には、待機中に溶鋼が浸潤した領域を除去しなければならない。しかし、溶鋼は、待機中のポーラスプラグに深く浸潤するため、使用開始時に除去しなければならない領域も広くなり、ポーラスプラグの使用可能な回数が大幅に減少する恐れがあった。
また、ポーラスプラグの先端に緻密な層を形成して、溶鋼の浸潤自体を防止する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、緻密な層には溶鋼が浸潤していないため酸素洗浄によってこの緻密な層を除去することに非常に手間を要する問題がある。
溶鋼の浸潤を防止しながら酸素洗浄を可能とする方法としては、ポーラスプラグの先端面に着火性があり、しかも酸化によって強度劣化しやすいカーボンを含む緻密質耐火物を設置する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭58−102094号公報 特開2004−83936号公報 特開2002−129225号公報
しかし、特許文献3記載の緻密質耐火物は、カーボンを含んだ材料であるが故に、空になった状態で精錬容器を待機させている間に酸化して強度が低下する。従って、使用を繰り返すうちに損耗し消失してしまう恐れがあり、確実性に問題があった。
そこで、本発明では、待機中のポーラスプラグを使用開始する際の酸素洗浄を可能としながら、酸素洗浄によって損耗するポーラスプラグの領域を抑え、作業の安定化とコスト低減を図ることが可能なポーラスプラグを提供することを目的とする。
本発明のポーラスプラグは、精錬容器に配置して使用されるポーラスプラグであって、精錬容器に配置する前の状態において、基端側に設けられた第1の通気性耐火物と、先端側に設けられた第2の通気性耐火物と、前記第1の通気性耐火物と前記第2の通気性耐火物との間に設けられた遮断層とを具備し、前記第1の通気性耐火物と前記第2の通気性耐火物は、前記遮断層によって接着されていることを特徴とする。
記遮断層は、通気率が1×1/100cm/cmO・sec以下であることが望ましい。
本発明では、第1の通気性耐火物と第2の通気性耐火物との間に配置する遮断層の位置を制御することにより、使用開始時の酸素洗浄を可能としながら、酸素洗浄によって損耗するポーラスプラグの深さを制御することができる。したがって、酸素洗浄によって損耗するポーラスプラグの領域を抑え、作業の安定化とコスト低減を図ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す本発明を実施するための形態は、本発明の具体的態様の一例であり、当該形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るポーラスプラグを縦方向に切断した断面図の一例である。同図に示すように本発明に係るポーラスプラグは、筒状の緻密質耐火物1の内側に、通気性耐火物2−1と、遮断層3と、通気性耐火物2−2とが積層して配置され、ArガスやNガスなどの攪拌用のガスを供給するガス吹き込みパイプ4が下方(ポーラスプラグ基端側)の通気性耐火物2−1に接続されると共に、緻密質耐火物1の吹き込みパイプ4側、及び緻密質耐火物1から露出した通気性耐火物2−1の底面が鉄皮5で覆われている。
ここで、緻密質耐火物1は、溶鋼の浸潤が少なく、酸素洗浄時の損耗が少ない耐火物である。具体的には、例えば、アルミナマグネシア質キャスタブルやアルミナスピネル質キャスタブル、レジンボンド不焼成れんがおよび焼成れんがなど、ポーラスプラグの緻密質耐火物として用いられる既知の材料を用いることができる。
通気性耐火物2−1、2−2は、吹き込みパイプ4から吹き込まれるガスを通過させる程度の通気性を備えた耐火物である。具体的には、例えば、連続した気孔が均一に形成され、気孔率が約20%以上、通気率が0.5cm/cmO・sec以上の耐火物など、ポーラスプラグの通気性耐火物として用いられる既知の耐火物を用いることができる。遮断層3の上方(ポーラスプラグ先端側)の通気性耐火物2−2と下方(ポーラスプラグ基端側)の通気性耐火物2−1の材質は、同一であっても異なっても良い。また、ポーラスプラグ先端側の通気性耐火物2−2は、酸素洗浄に酸化鉄と反応しやすい、アルミナ材質がより好ましい。
遮断層3は、溶鋼の浸潤を防止できる緻密材料であり、ポーラスプラグ先端側の通気性耐火物2−2を酸素洗浄する際に溶損されるか容易に吹き飛び、ポーラスプラグ基端側の通気性耐火物2−1の通気を阻害しない材料が選ばれる。具体的には、例えば、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、シリカ、カーボンの1種または2種以上の化合物または複合物または混合物を主成分とする材料などを遮断層の材料として用いることができる。
ここで、遮断層3は、基端側の通気性耐火物2−1と先端側の通気性耐火物2−2とを接着する接着性を持つ具体的には、例えば、骨材にアルミナ質微粉を用い、バインダーに珪酸ソーダやコロイダルシリカ、リン酸アルミニウムなどを用いたモルタルなど、通気率が1×1/100cm/cmO・sec以下で、ポーラスプラグやバブリングブローノズル、スライディングノズル装置、ガス吹きプレートなどのシール材に使用される一般的なモルタルや、カーボンを含んだレジンボンドの熱間接着剤などが望ましい。遮断層3とポーラスプラグ先端側の通気性耐火物2−2との間に空間が生じて溶鋼が溜まったり、ポーラスプラグから通気性耐火物2−2が予期せず外れることなどを防止できるからである。
また、遮断層3の材質としては、アルミナカーボン材質がより好ましい。アルミナカーボン材質は、酸素洗浄時に酸化して強度が低下するため、ガスによって吹き飛び易く、また、カーボンが存在するため、通気性耐火物との反応や焼結が難しく、通気性耐火物の気孔を潰しにくいことから、通気性が阻害されにくいからである。
本発明に係るポーラスプラグの製造方法としては、例えば、遮断層を設置する位置に応じて一つの通気性耐火物を切断し、切断面に遮断層が形成されるように、下方(ポーラスプラグ基端側)の通気性耐火物、遮断層となる耐火性のモルタル、上方(ポーラスプラグ先端側)の通気性耐火物を筒状の緻密質耐火物内に順次積み重ねて設置するなど、通気性耐火物の間に遮断層を設置することが可能な任意の方法を用いることが可能であり、例えば、通気性耐火物を二つ準備し、その間に遮断層が形成されるようにモルタルを塗布して積み重ねてもよい。
なお、遮断層3の位置は、待機中(他のポーラスプラグを使用している間)に損耗する通気性耐火物の距離などに基づいて決定される。具体的には、例えば、ポーラスプラグの先端から10mm未満では待機中に溶損消失の危険があり、50mmを超えると使用開始時の酸素洗浄で除去しなければならない遮断層が厚く、酸素洗浄時間が長くなると共に、酸素洗浄によって耐用が大きく失われることから、ポーラスプラグの先端面から10〜50mmの位置に遮断層3が配置されることが望ましい。
また、遮断層3は、通気率が上昇するにつれて、溶鋼が浸潤し易くなり、その結果、ポーラスプラグ基端側の通気性耐火物2−1への溶鋼の浸潤を遮断できなくなる。従って、溶鋼の浸潤を遮断層3で確実に遮断するため、遮断層3の通気率は、1×1/100cm/cmO・sec以下であることが望ましい。
そして、遮断層3の厚みは、主成分及び通気率に基づいて任意に選択される。具体的には、0.5mm以下では溶鋼の浸潤を十分に遮断できない恐れがあり、5mm以上では精錬容器の通常の酸素洗浄で溶損除去され難く、作業時間の延長やジェットランスなどの自燃性の酸素パイプが必要となるなど、作業の煩雑化やコストアップに繋がる恐れがあり、さらに10mm以上となると、遮断層の乾燥亀裂、使用時亀裂により遮断効果が小さくなることもある。従って、0.5〜10mmの範囲が望ましく、さらには0.5〜5mmの範囲が望ましい。
緻密質耐火物1の内孔、通気性耐火物2−1、2−2の形状は、使用中に通気性耐火物が外れないように、ポーラスプラグ先端側の面積が小さな円錐台形であることが望ましい。
上記構成を用いて本発明に係るポーラスプラグでは、待機中にポーラスプラグ先端から浸潤した溶鋼を遮断層3で遮断し、基端側の通気性耐火物2−1に溶鋼が浸潤することを防止する。
このように本発明では、通気性耐火物2−1、2−2の間に設置する遮断層3の位置を制御することによって、待機中のポーラスプラグに浸潤する溶鋼の深さを制限し、使用開始時の酸素洗浄によって損耗するポーラスプラグの領域を抑えることができる。
また、遮断層3は、先端側の通気性耐火物2−2によって、溶鋼との距離が保たれ、待機中に溶鋼よって遮断層3が損耗することが防止されるため、使用開始時の酸素洗浄で容易に損耗する材質や厚さで形成することができる。
さらに、使用開始時の酸素洗浄では、先端側の通気性耐火物2−2に浸潤した溶鋼が酸素で酸化されて酸化鉄となり、しかもその反応熱による高熱が加わって通気性耐火物と遮断層が溶融するため、先端側の通気性耐火物2−2及び遮断層3が損耗し、新たな通気性耐火物の表面(基端側の通気性耐火物2−1の先端面)を精錬容器内に容易に露出させることができる。尚、酸素洗浄時には、酸素洗浄されているポーラスプラグに吹き込みパイプよりガスを吹き込みながら行うことで、損傷部や溶融した酸化物を吹き飛ばして通気性耐火物の新鮮な面を確保することができる。
従って、初回の酸素洗浄の時間短縮および初回酸素洗浄による損耗の一定化で、その後の耐用回数の飛躍的増加と安定が得られ、作業の安定化と大幅なコスト低減を図ることができる。
本実施例では、所定寸法の2つの通気性耐火物をモルタルにて接着し、鋳込み型の中心に据え、鋳込み型と通気性耐火物の間の空間に筒状緻密質耐火物を流し込んで、一体化して乾燥し、図1に示すポーラスプラグを製造して、2番目に使用するポーラスプラグとして用いた。
ここで、モルタルは、アルミナ76mass%、シリカ20mass%、炭素系結合剤4mass%からなり、ポーラスプラグ先端面から30mmの位置に厚さ1mmで設置され、遮断層3を形成している。
そして、本実施例におけるポーラスプラグは、初回使用時の酸素洗浄後、30回の耐用が得られた。遮断層を形成していない従来のポーラスプラグでは、20回程度の耐用であったことから、大幅な耐用の向上が認められた。
本発明に係るポーラスプラグの一例を示す断面図である。
符号の説明
1…緻密質耐火物、2−1、2−2…通気性耐火物、3…遮断層、4…吹き込みパイプ、5…鉄皮。

Claims (2)

  1. 精錬容器に配置して使用されるポーラスプラグであって、精錬容器に配置する前の状態において、基端側に設けられた第1の通気性耐火物と、先端側に設けられた第2の通気性耐火物と、前記第1の通気性耐火物と前記第2の通気性耐火物との間に設けられた遮断層とを具備し、前記第1の通気性耐火物と前記第2の通気性耐火物は、前記遮断層によって接着されていることを特徴とするポーラスプラグ。
  2. 前記遮断層は、通気率が1×1/100cm/cmO・sec以下であることを特徴とする請求項記載のポーラスプラグ。
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