JP5209952B2 - 高ダスト排ガス熱回収処理装置 - Google Patents
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Description
そして、このようなすでに熱回収をおこなっているようなプラントにおいても、既存のプラントでは上流側の熱交換機能が経年的な汚れにより劣化することにより低下し、新たに熱回収のニーズがあるケースもあるが、同じ方式の熱回収装置の増設は、設置スペース上の制約があり、実現できていない。
さらに、本発明では、熱交換の媒体として液という表現を用いているが、この液体としてはハンドリング上、実際には水を用いるケースがほとんどである。
なお、水の替わりに熱媒油を用いることも可能であるが、この場合にはボイラ給水の加温用として排熱回収する場合には、間接的な熱交換装置が別途必要であることは言うまでもない。
図1−1は、実施例に係る高ダスト排ガス熱回収処理装置の概略図である。図1−1に示すように、高ダスト排ガス熱回収処理装置10は、石炭焚ボイラ11から排出される排ガス23を空気予熱器(AH)12で熱交換して空気Bを加熱した後、集塵装置(乾式EP)14に供給してダスト成分を除塵し、その後脱硫装置15で脱硫し、浄化ガスとして外部に煙突18を介して排出する排ガス処理装置であって、前記空気予熱器12と集塵装置14との間に、複数の薄肉熱交換部(図2中、符号21)を排ガス23の流れ方向に沿って配設してなる薄肉箱型熱回収装置20を介装してなり、薄肉熱交換部21の内壁面に、熱交換用液膜(図4中、符号25参照)を流下してなるものである。
前記薄肉熱交換部21は、図2及び図3に示すように、熱交換用の液体22を供給する上部ヘッダ31及び熱交換後の液体24を排出する下部ヘッダ33と、上部ヘッダ31と下部ヘッダ33との間に相対向して設けられ、内面に熱交換用の液膜25を形成してなる熱交側板32a、32bとを有するものである。
この熱交側板32a、32bを排ガス23のガス流れ方向に沿って複数配設し、当該部はガス流路を妨げない構造であるため、排ガスの流速を高流速とした状態でも圧力損失の上昇がほとんどなく、熱交換が可能となる。このため、既存の設備に追加設置する場合には、ファンの増設を必要としない。
このために、フィン35に形成された外部スタッド37を用いてフィン35、35同士を連結するスペーサ36を設置する場合は、所定の熱伸びのクリアランスを有することで熱伸びと所定の補強機能の両立を可能なようにしている。
これは後述するように、熱交側板32a、32bの内面を液膜25が流下するので、この液膜25を良好に形成させるための一様な液膜を確保する必要があるからである。
また、この所定間隔を保持する内部スタッド34を配設するようにしている。
この内部スタッド34は、熱交側板32a、32bのいずれか一方の片面のみ溶接し、スペーサの役目を果たしており、圧力差による曲応力や熱伸びによる断面形状保持のために設けるようにしている。これにより、熱交側板32a、32bが内部で当接して閉塞することが解消され、常に適切な液膜25を流下させることができる。
なお、図5−1は熱交側板32a側に向かって(図中左側)穿孔したノズル31aのみを図示しているが、上部ヘッダ31の管の底面に軸方向に沿って、交互に向かって液膜形成用の液体を噴射するようにしている。
このような場合において、熱交側板32a壁面とノズル31aの熱交側板32a壁面に最も近い距離(dl)は、最低1.5mm、望ましくは2mm以上を確保することが必要となる。
この結果、ノズル31aの位置は少なくとも中心軸αから熱交側板32a壁面までの距離が3mm程度必要となる。
図7に示すように、排ガス23と最初に当接する薄肉熱交換部21の少なくとも上流側の鉛直軸方向の壁面32cに、取替え自在なプロテクタ41を設けるようにしている。
これは、高ダスト雰囲気状態では、石炭焚ボイラからの排ガス23中に含まれるダスト成分であるフライアッシュ粒子25により摩耗することとなるのを防止する必要があるからである。なお、このプロテクタ41は、薄肉熱交換部21を構成する鋼材と同一の材料であってもよいが、例えばセラミックスを被覆したものであってもよい。
これは、図8−2の従来のシェル&チューブ形式の熱交換の場合には、流速を遅く(8.5m/sに低下)した場合においても、チューブ121に付着するダスト51の堆積物であるフライアッシュ層54をスーツブロワ装置で間欠的に剥離する必要があったが、本発明によれば、図8−1に示すように、薄肉熱交換部21とすることで圧力損失がなく、また、排ガス23中のダスト51によるセルフクリーニングによる清浄作用も発揮され、フライアッシュ層の形成がないので、スーツブロワで間欠的に剥離する必要がなくなるものとなる。
これにより、常に高流速を確保することとなり、加熱蒸気や圧縮空気によるスーツブロワを不要とすることができる。
この結果、従来のシェル&チューブ方式の熱交換器のような、スーツブロワ装置等の除塵除去手段が不要となり、設備が簡略化される。
プロテクタ41は薄肉熱交換部21の上流側と下流側の交換可能な場所に設置するようにすればよい。
なお、ガスの偏流があるような場合には、同じダクトの上流側に、偏流防止のための整流板、たとえば格子状でガス流れ方向にある程度の長さを有する板材を別途に設けることで、該部を消耗品として取替え可能とすることで対応が可能である。
すなわち、例えば10〜15℃/40万m3N/hの熱回収を図ることで、CO2の大幅な削減(4000t/年)を図ることができる。
一方、排ガスから回収した熱の有効利用方法としては、たとえばボイラ給水を加温することで有効な熱回収が可能であるが、熱媒として水を使用する場合は、給水を直接的に加温することも可能である。また、熱媒として熱媒油を使用する場合には、間接的に水を加温する間接熱交換器を介し、間接的にボイラ給水を加温することが可能である。
11 石炭焚ボイラ
12 空気予熱器(AH)
14 集塵装置(乾式EP)
15 脱硫装置
20 薄肉箱型熱回収装置
21 薄肉熱交換部
22 熱交換用の液体
24 熱交換後の液体
25 液膜
31上部ヘッダ
31a ノズル
32a、32b 熱交側板
33 下部ヘッダ
34 内部スタッド
35 フィン
36 スペーサ
37 外部スタッド
41 プロテクタ
Claims (5)
- 石炭焚ボイラから排出される排ガスを空気予熱器で熱交換して空気を加熱した後、集塵装置に供給してダスト成分を除塵し、その後脱硫装置で脱硫し、浄化ガスとする排ガス処理装置であって、
前記空気予熱器と集塵装置との間に、複数の薄肉熱交換部を排ガスの流れ方向に沿って配設してなる薄肉箱型熱回収装置を介装してなり、
前記薄肉熱交換部の内壁面に、熱交換用液膜を流下してなると共に、
前記薄肉箱型熱回収装置の上流側に設けられ、前記排ガスの流速が12m/s以上となる流速可変装置を有することを特徴とする高ダスト排ガス熱回収処理装置。 - 請求項1において、
前記薄肉熱交換部が、熱交換用の液を供給する上部ヘッダ及び熱交換後の液を排出する下部ヘッダと、
前記上部ヘッダと下部ヘッダとの間に相対向して設けられ、内面に熱交換用の液膜を形成してなる熱交側板と、
前記上部ヘッダに形成され、液膜形成用の液を噴出するノズルとを有することを特徴とする高ダスト排ガス熱回収処理装置。 - 請求項2において、
前記ノズルは、上部ヘッダの底面に形成され、管の中心軸より外側にオフセットされると共に、所定角度(θ)をもって熱交側板方向に向かって交互に穿孔してなることを特徴とする高ダスト排ガス熱回収処理装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記薄肉熱交換部に複数のフィンを形成してなると共に、該フィンを介して前記薄肉熱交換部同士を連結してなることを特徴とする高ダスト排ガス熱回収処理装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記排ガスと当接する前記薄肉熱交換部の少なくとも上流側のガス接触部に、取替え自在なプロテクタを設けてなることを特徴とする高ダスト排ガス熱回収処理装置。
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