JP5207296B2 - 腐刻方法 - Google Patents
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古典的なエッチング法では、腐刻主体のガス(SF6,CxFy,添加ガス酸素等)と、側壁を保護する炭素系膜の成長主体のガス(C4F8等)とを、併せて供給して、炭素系成膜による側壁の保護と腐刻とを同時に行っている。
BOSCH(ボッシュ)法では、腐刻主体のガス(SF6,CxFy,添加ガス酸素等)と、炭素系膜の成長主体のガス(C4F8等)とのガス比を高速に変化させて、炭素系成膜による側壁の保護と、腐刻とを、交互に行っている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上述した腐刻方法では、側壁保護膜が薄い場合、炭素系成膜が炭素原子を含んでいるため、この炭素原子が酸化珪素、窒化珪素や酸窒化珪素の酸素や窒素を離脱させる作用を生じて、酸化珪素、窒化珪素や酸窒化珪素の単結晶珪素に対する選択比を悪化させる原因となる。
同様に、深さ制御を行う終点検出機構(End Point Detector)を行っている放電発光分析部分では、導体や半導体の付着により採光部の窓が汚れて、分光強度が変化してしまうことから、終点検出の再現性精度が悪化する原因となっている。
これにより、腐刻スペースの幅が狭くなる程、又、深さ方向が深くなる程、基板表面に形成されたマスクの水平方向の成長比率が腐刻深さ方向よりも大きくなって、厚くオーバ・ハングするようになる。オーバ・ハングすることによって、スペース部分の面積を狭めてしまうので、腐刻底面へ到達するイオン密度が低下して、深さ方向の腐刻速度の低下や腐刻の停止が起きてしまう。このことから、腐刻深さや微細化に限界が発生する。
この側壁に形成される凹凸により、段差下部の逆テーパー部分に腐刻中の再付着物が残りやすくなる。
このような再付着物が残ると、次工程の成膜後の膜剥がれを生じる原因や、長期使用中に再付着物が剥がれ落ち、最終製品での長期信頼性を低下させる原因になる。
上記本発明の腐刻方法において、腐刻対象物に対して腐刻を行うと同時に、腐刻を行う処理室内に付着した炭素原子を含む物質を剥離清掃することが可能である。
上記本発明の腐刻方法において、酸化性ガスとして、O2,N2Oから選ばれる1つ以上のガスを使用することが可能である。
これにより、深さ方向の腐刻速度に対して、水平方向の腐刻速度を充分に小さくすることができるため、腐刻対象物と、酸化物や窒化物との、腐刻選択比を向上することができる。
しかも、酸化性ガスで腐刻箇所の側壁の表面を酸化するだけであるため、側壁の体積膨張量はほぼ0である。これにより、腐刻箇所のスペースを狭めることがなく、微細加工が可能となる。
また、例えば、腐刻対象物に炭素を含む材料が存在していたり、処理室内の部品でエンジニアリング・プラスティック、バイトンO−ring等が存在していたりする場合にも、炭素を含む物質が昇華されて、腐刻対象物からのSi原子やSn原子と結合して、蒸気圧が下がり再付着することが考えられる。
これにより、処理室内の放電清掃、及び、腐刻対象物の表面の有機物剥離を行うことが可能になる。
従って、放電源の絶縁物の絶縁抵抗を維持することや、放電発光分析部分での採光部の窓の汚れ等を除去して終点検出の精度を向上させることが可能になる。
また、腐刻箇所のスペースを狭めることがなく、微細加工が可能となる。
さらに、腐刻箇所の側壁や処理室内に炭素原子を含む物質(有機物等)が付着することがないため、腐刻反応ガスの濃度変動を抑制して、腐刻側壁角度等、腐刻の再現性を向上することができる。
これにより、腐刻対象物の表面に薄い酸化膜を形成して、水平方向の腐刻速度を抑制することができる。
さらに必要に応じて、高周波バイアス電圧等の電圧印加手段等を設けてもよい。
ハロゲン間化合物ガスを正イオン化した状態で、高周波を印加して負電位の自己バイアス電位を生じさせると、正イオンが電位差で加速されて腐刻対象物に衝突する。このとき、正イオン分子は、パーフルオロコンパウンドの正イオン分子と比較し、結合エネルギーが弱いため、衝突時に容易に分解し、分子量が小さくなるため、腐刻対象物へのダメージを低減することができる低加速電位で腐刻を行うことができる。
(a)誘導結合低圧高密度放電でかつ印加高周波の周波数400kHz〜27.12MHzにおいては、放電電力[kW]÷放電体積[m3]の値が10〜2000[kW/m3]の範囲にあるように設定する。ただし、連続放電させながら、放電状態の印加電力を一つ前の設定電力の10%ずつ低下させていき、発光輝度が一つ前の設定電力における発光輝度の65%以下になるような電力設定値以下の場合、即ち、容量結合放電領域の電力設定値を除く。
(b)周波数27.12MHz〜94.92MHzの容量結合放電においては、印加電力[kW]÷電極面積[m2]の値が、4.9〜338[kW/m2]の範囲にあるように設定する。
(c)周波数4MHz〜27.12MHzの容量結合放電においては、印加電力[kW]÷電極面積[m2]の値が、2.7〜56[kW/m2]の範囲にあるように設定する。
また、腐刻ガスが炭素原子を含まないので、排気ガスのパーフルオロカーボンが発生しない。
これにより、工程数を削減することが可能になる。
これにより、腐刻箇所のスペースを狭めることがなく、微細加工が可能となる。
これにより、腐刻処理を行うプラズマ・シースに対する電位差(Vdc)を低減することができ、電気ダメージを低下することが可能である。
腐刻が終了して、腐刻を行った処理室内から腐刻対象物を取り出した後に、炭素原子を含まないハロゲン間化合物ガスを使用して、このハロゲン間化合物ガスを放電させることにより、処理室内に付着した炭素原子を含む物質を剥離清掃する。
従来の腐刻と炭素系成膜とを同時又は交互に行う腐刻方法では、腐刻終了時点で、処理室内に炭素原子を含む物質が多く付着している。そこで、本発明の腐刻後の清掃処理方法を適用することにより、付着物質を除去することができるため、次回の腐刻の際に安定した放電を行うことができる。
本実施の形態では、一般的な装置構成である誘導結合型高密度放電を用いた腐刻装置(異方性腐刻装置)を使用する。
使用する腐刻装置(異方性腐刻装置)の概略構成図を、図1に示す。
試料10は、試料台(ステージ)2上に配置されている。
処理室1内を減圧するために、ターボ分子ポンプ3及びドライ・ポンプ4が設けられている。
試料台2には、自己バイアス電源5から、高周波バイアス電圧が印加される。
ハロゲン間化合物ガス(例えば、ClF3)は、MFC(マスフローコントローラ)6と弁8とを経て、処理室1内に供給される。
酸化性ガス(例えば、O2)は、MFC(マスフローコントローラ)7と弁9とを経て、処理室1内に供給される。
まず、処理室1内に試料10を入れて、試料10を試料台2の上に配置する。
次に、ターボ分子ポンプ3及びドライ・ポンプ4を使用して、処理室1内を減圧する。
そして、MFC6と弁8により流量を調節して、ハロゲン間化合物ガスを処理室1内へ供給する。また、MFC7と弁9により流量を調節して、酸化性ガスを処理室1内へ供給する。
さらに、自己バイアス電源5から、試料台2を通じて、試料10の珪素単結晶基板等に高周波バイアス電圧を供給する。
このとき、ハロゲン間化合物ガスに加えて、酸化性ガスも処理室内に供給していることにより、試料10の腐刻側壁表面を酸化させて、水平方向の腐刻速度を抑制することができる。これにより、深さ方向の腐刻速度を水平方向の腐刻速度に対して大きくすることができ、腐刻の選択比を大きく確保することができる。
ここで、実際に、図1に示した腐刻装置を使用して、珪素単結晶基板の腐刻処理を行った。
図2Aに上面図を示し、図2Bに断面図を示すように、酸化珪素膜(厚さ0.8μm)12を表面に形成した、厚さ550μmの珪素単結晶基板11上に、15mm×15mmの正方形の開口14を形成した石英ガラス13を乗せて、石英ガラス13をマスクとして、基板11に対して腐刻処理が行われるように配置した。
印加電力は、ICP(誘導結合プラズマ)550W−基板バイアス50Wとした。
そして、基板11を貫通した時点で、腐刻を終了させるようにした。
そして、基板11を貫通したときの特定波長(406.1nm)の発光強度の変化点(図3の時刻2214sの点)をもって基板貫通時間とし、基板11の厚さ550μmを基板貫通時間で割ったものを、腐刻速度とした。
なお、SiF2のスペクトルのピーク中心波長は約406.5nmであるが、使用した装置の都合上、波長406.1nmで発光強度を測定した。
図4では、細線で示す発光強度の波長分布に、O,Si,SiF2,SiClの各スペクトルの位置を重ねている。各スペクトルの上には、そのスペクトルが示す物質名(O,Si,SiF2,SiCl)を記載している。なお、2つ以上の物質のスペクトルが重なっている場合には、代表して1つの物質のみを示している。
このような波長分布から、SiF2のスペクトルのピークの中心波長の近傍の波長406.1nmを選定して、図3に示した発光強度の時間変化を得た。
同様に、時刻2214secで厚さ550μmの珪素単結晶の昇華腐刻が終了していることにより、(2214−430)=1784secで550μmの珪素単結晶が腐刻できたことになる。即ち、珪素単結晶の腐刻速度は、550μm÷1784sec×60sec/min=18.5[μm/min]となる。
これらの腐刻速度の比を選択比として求めると、選択比Si:SiO2=18.5:0.369=50.1:1となる。
酸素ガスの添加量は、ClF3のみ(酸素ガス無添加)の場合と、O2を7vol%、10vol%、15vol%、20vol%、25vol%添加した場合とについて、それぞれ測定を行った。
測定結果として、ClF3へのO2の添加量比率と腐刻速度(エッチングレート)との関係を、図5に示す。図5において、縦軸は腐刻速度(エッチングレート:E/R)[μm/min]を示し、横軸はO2の添加量比率[vol%]を示している。
また、酸素の添加量が増えるに従い、腐刻速度が低下していくが、腐刻速度の低下率が小さく、酸素を25vol%添加しても、10μm/min程度の腐刻速度が得られる。
その結果、塩素ガスのみの場合には、ClF3のみ(酸素ガス無添加)の場合(約14.5μm/min)と比較して、腐刻速度が約4分の1とかなり遅くなった。
また、塩素ガスに酸素ガスを5vol%添加しただけで、塩素ガスでは途中でエッチングが停止してしまい、孔を貫通させることができなかった。
また、ハロゲン間化合物ガスに酸素ガスを添加しても、酸素ガスの添加による腐刻速度の低下率が小さく、充分に速い腐刻速度が得られることがわかる。
なお、印加電力は、ICP(誘導結合プラズマ)600W−基板バイアス50Wとした。
そして、基板厚さを、測定して得られた基板貫通時間で割って、腐刻速度を求めた。
測定結果として、流量÷処理室体積の値[Pa/s]と、腐刻速度(エッチングレート)との関係を、図6に示す。
従って、10Pa/s付近となるようにガスの流量を設定することにより、大きいエッチングレートが得られる。
試料としては、被腐刻対象の珪素単結晶の表面に、マスクとして厚さ0.8μmの酸化珪素膜を形成した試料を用意した。
酸素ガスの添加量としては、ClF3100vol%(酸素ガス無添加)、ClF380vol%・O220vol%、ClF350vol%・O250vol%の3通りとした。
腐刻後のそれぞれの状態の写真(電子顕微鏡による)を、図7A〜図7Cに示す。
図7AはClF3100vol%の場合を示し、図7BはClF380vol%・O220vol%の場合を示し、図7CはClF350vol%・O250vol%の場合を示している。
さらに、酸化性ガスとして酸素を添加したところ、14族元素である珪素単結晶の側壁が酸化されて、腐刻速度が低下するので、図7B及び図7Cに示すように、側壁角度を大きくすることができた。
特に、図7Cに示す50vol%添加では、側壁角度を約80度まで垂直方向に近づけることができた。
ハロゲン間化合物ガスと酸素を混合した放電腐刻処理の対象物として、珪素単結晶基板上に、酸化珪素膜を形成し、その上にフォトレジストを形成して、このフォトレジストを現像した。
さらに、フォトレジストをマスクとして、酸化珪素膜を所定のパターンにパターニングし、酸化珪素マスクを形成した。
そして、フォトレジストを上に残したまま、酸化珪素マスクによって、珪素単結晶を腐刻した。
その結果、図8に写真(電子顕微鏡による)を示すように、有機物であるフォトレジストは綺麗に剥離されており、フォトレジスト下の酸化珪素のマスクは初期の形状を維持していた。
従来の腐刻に対して、本発明の腐刻方法又は清掃処理方法を適用して、ハロゲン間化合物ガスによって、再付着した有機物を除去しておくと、放電が安定し、良好な再現性を得て、腐刻の選択比も向上することができる。
腐刻ガスは、いずれの場合も、ClF350vol%・O250vol%とした。
それぞれの状態の写真(電子顕微鏡による)を、図9A及び図9Bに示す。図9Aは有機物が存在する場合を示し、図9Bは有機物が存在しない場合を示している。
即ち、酸化珪素と珪素との選択比が低下したことがわかる。
本発明では、もちろん、その他のハロゲン間化合物ガスや酸化性ガスを使用することが可能である。
その他のガス放電により腐刻を行う装置にも、図1に示した腐刻装置と同様に、本発明を適用することが可能である。
Claims (4)
- 腐刻用ガスの放電により腐刻を行う方法であって、
腐刻対象物を、Si,Snのうち1種類以上の原子で構成された物質とし、
前記腐刻用ガスとして、ClF 3 ,ClF 5 ,BrF 5 ,IF 5 から選ばれる1つ以上のハロゲン間化合物ガスを使用し、
腐刻側壁を表面酸化することにより異方性腐刻の水平方向の腐刻速度を低下させて異方性を強調するために、前記腐刻用ガスに、酸素原子を含む酸化性ガスを、ガス全体に対して20〜50vol%の範囲の濃度で添加して、
前記腐刻対象物に対して腐刻を行って、前記腐刻対象物に孔を形成する
腐刻方法。 - 前記腐刻を行う処理室内に前記腐刻対象物を入れる前に、炭素原子を含まない前記ハロゲン間化合物ガスを放電させて、前記処理室内に付着した炭素原子を含む物質を剥離清掃する処理を行い、
その後、前記腐刻対象物に対して前記腐刻を行う、請求項1に記載の腐刻方法。 - 前記腐刻対象物に対して前記腐刻を行うと同時に、前記腐刻を行う処理室内に付着した炭素原子を含む物質を剥離清掃する、請求項1又は請求項2に記載の腐刻方法。
- 前記酸化性ガスとして、O2,N2Oから選ばれる1つ以上のガスを使用する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腐刻方法。
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