JP5207104B2 - 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池 - Google Patents

電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5207104B2
JP5207104B2 JP2007086254A JP2007086254A JP5207104B2 JP 5207104 B2 JP5207104 B2 JP 5207104B2 JP 2007086254 A JP2007086254 A JP 2007086254A JP 2007086254 A JP2007086254 A JP 2007086254A JP 5207104 B2 JP5207104 B2 JP 5207104B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
layer
electrode
substrate
zinc oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007086254A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008243752A (ja
Inventor
徳彦 繁田
敦志 門田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2007086254A priority Critical patent/JP5207104B2/ja
Priority to TW097107555A priority patent/TW200905891A/zh
Priority to US12/078,040 priority patent/US20080236658A1/en
Priority to EP08005872A priority patent/EP1978136A1/en
Priority to CNA2008100869134A priority patent/CN101276847A/zh
Publication of JP2008243752A publication Critical patent/JP2008243752A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5207104B2 publication Critical patent/JP5207104B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D15/00Electrolytic or electrophoretic production of coatings containing embedded materials, e.g. particles, whiskers, wires
    • C25D15/02Combined electrolytic and electrophoretic processes with charged materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D9/00Electrolytic coating other than with metals
    • C25D9/04Electrolytic coating other than with metals with inorganic materials
    • C25D9/08Electrolytic coating other than with metals with inorganic materials by cathodic processes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2027Light-sensitive devices comprising an oxide semiconductor electrode
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2059Light-sensitive devices comprising an organic dye as the active light absorbing material, e.g. adsorbed on an electrode or dissolved in solution
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、電極及びその製造方法、並びに、その電極を備える色素増感型太陽電池に関する。
近年、化石燃料の資源枯渇問題や二酸化炭素の排出量削減に代表される環境問題の有望な解決手段の一つとして、太陽光発電が注目されている。太陽電池の代表例としては単結晶及び多結晶シリコン系太陽電池が既に上市され、広く知られている。ところが、当該技術分野では、昨今、主原料であるシリコンの供給不足への懸念が拡大しており、次世代を担う非シリコン系太陽電池(例えば、CuInGaSe2(CIGS)等)の実用化が切望されている。
かかる非シリコン系太陽電池として、1991年にグレッツェル(Gratzel)らによって公表された色素増感型太陽電池は、10%以上の変換効率を実現可能な有機系太陽電池として特に注目されており、近時、その応用開発研究が国内外を問わず様々な研究機関で盛んに行われている。この色素増感型太陽電池は、電極とこれに対向配置された対極との間にレドックス電解液が注入された基本構造を有している。電極としては、透明ガラス基板の透明導電膜上に、増感色素を吸着させた多孔性の酸化チタン電極を設けたものが用いられている。また、酸化チタン電極は、酸化チタン粒子を懸濁させた塗布液を透明導電膜上に塗布し、それを300〜500℃程度の温度で焼成して得た膜に増感色素を吸着させることにより作製される。
一方、この種の色素増感型太陽電池においては、工業的な生産性向上の観点から、透明ガラス基板の代替部材として、安価で軽量且つ可撓性を有するプラスチック基板を採用することが望まれている。しかしながら、上述の如く、酸化チタン電極を作製するために高温焼成プロセスが必要なため、ガラス基板に対して耐熱性に劣るプラスチック基板を採用することは困難であった。
この問題を解決すべく、例えば、非特許文献1には、低温電気化学的手法であるカソード電析法を用い、塩化亜鉛といった金属塩を含有する電解液から、多孔性の酸化亜鉛といった金属酸化物膜からなる電極を形成し、その電極に色素を吸着させた色素増感型太陽電池が提案されている。この手法によれば、電解液を用いてカソード電析させることで多孔性の金属酸化物電極を作製することができるので、上述した酸化チタン電極を有する太陽電池の製造で必要な高温焼成プロセスを省略することが可能となる。ところが、その一方で、金属酸化物電極を形成した後に色素を吸着させるので、得られる色素担持金属酸化物電極に十分な量の増感色素を吸着させることができず、そのため、光電変換効率を十分に高めることができなかった。
そこで、金属酸化物電極である酸化亜鉛電極の色素担持量を向上させるべく、例えば、非特許文献2には、エオシンY等の水溶性色素を予め添加した硝酸亜鉛浴を用いてカソード電析を行い、これにより、水溶性色素を共吸着させて酸化亜鉛/エオシンYのハイブリッド薄膜を形成する方法が提案されている。また同様に、特許文献1には、エオシンYを予め添加した硝酸亜鉛電解液を用いてカソード電析を行うことにより、エオシンYを共吸着させた比表面積の大きな多孔性の酸化亜鉛電極を形成することが記載されている。さらに、特許文献2には、カソード電析によって酸化亜鉛表面にエオシンYを共吸着させた多孔性の酸化亜鉛電極をアルカリ処理することにより一旦色素を脱着させ、その後、色素を再吸着させて酸化亜鉛表面に色素を担持させる方法が記載されている。
このように電解液に色素を添加したカソード電析法によれば、色素を添加しない場合に比して、色素の共吸着量を増加させることができるとともに、酸化亜鉛の結晶構造がc軸方向に強く配向した酸化亜鉛膜が得られる。酸化亜鉛がc軸方向に強く配向する理由は、色素分子による酸化亜鉛の(002)面以外の面への優先的な吸着作用によって、酸化亜鉛の結晶成長方向に異方性が付与されることに起因するものと考えられている。
そして、このように酸化亜鉛の結構構造をc軸に強く配向させることにより、酸化亜鉛電極の電子輸送性を向上させることができ、色素の共吸着量の増加と相まって、光電変換素子として得られる電極の光電変換効率がより一層高まるものと期待されていた。
特開2002−184476号公報 特開2004−006235号公報 S. Peulon et al., J. Electrochem. Soc., 145, 864 (1998) T. Yoshida et al., Electrochemistry, 70, 470 (2002)
しかしながら、上記従来の色素を添加したカソード電析法にて作製した色素担持酸化亜鉛電極は、期待に反してエオシンYに代表される共吸着色素の増感作用が乏しく、これを用いた光電変換素子の光電変換効率は未だ不十分なものであった。また、共吸着させたエオシンYを一旦脱着し高感度な増感色素を再吸着させたものは、より高い光電変換効率を実現できるものと期待されていたものの、詳細な理由は不明であるが、強くc軸配向した酸化亜鉛電極は色素置換性が低く、十分な量の高感度な増感色素を再吸着させることが極めて困難であり、結果として光電変換素子の光電変換効率を十分に高めることができず、実用化へ向けてさらなる高性能化が望まれていた。
そこで、本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、色素担持量が大きく且つ色素置換性に優れる金属酸化物層を有しており、光電変換効率を向上させ得る電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、酸化亜鉛のc軸配向性及び緻密性と、色素の吸着サイト量や、共吸着させた色素の脱着性及び増感色素の再吸着性等との間に有意な相関関係があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による電極は、基体と、基体上に形成された亜鉛酸化物及び色素を含む色素担持層を有する金属酸化物層と、を備えており、その金属酸化物層が下記式(1);
2≦I002/I101≦12 …(1)、
で表される関係を満たすものである。ここで、式(1)中、I002は、金属酸化物層のX線回折測定における酸化亜鉛(002)面に起因するピーク強度を示し、I101は、同X線回折測定における酸化亜鉛(101)面に起因するピーク強度を示す。なお、本発明における「亜鉛酸化物」のストイキオメトリは、ZnO(Znxyにおいてx=1、y=1)に制限されない。ここで本明細書においては、「基体上に金属酸化物層を備える」とは、基体上に金属酸化物層を直接設けた態様の他、基体上に中間層を介して金属酸化物層を設けた態様を含む意味である。したがって、本発明の具体的態様としては、前者の如く基体と金属酸化物層とが直接接触して配置された積層構造と、後者の如く基体と金属酸化物層とが離間して配置された積層構造との双方が含まれる。
本発明者らが、このように構成された電極に対極を対向配置し、両者の間に電荷輸送層を設けた色素増感型太陽電池の特性を測定したところ、従来に比して、変換効率が格別に向上されることが判明した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
すなわち、酸化亜鉛のc軸配向性が過度に低いと共吸着させる色素の担持量が不十分となる一方で、酸化亜鉛のc軸配向性が過度に高いと膜構造が緻密になり過ぎてしまい、共吸着させた色素の脱着及び色素の再吸着を高効率で行うことが困難な傾向になると考えられる。これに対し、本発明では、金属酸化物層の酸化亜鉛の結晶性を上記式(1)で表される関係を満たすように、言わばc軸配向性を制御することにより、金属酸化物層の膜構造の緻密性を適度に緩和することができ、これにより、色素(分子)が物理的に移動できる程度の多孔性が得られるものと考えられる。その結果、色素を吸着させるときの吸着サイト量が増大し、しかも、共吸着させた色素の脱着及び再吸着を高効率で行うことが可能となる。ただし、作用はこれに限定されない。
或いは、本発明による電極は、基体と、基体上に形成された亜鉛酸化物及び色素を含む色素担持層を有する金属酸化物層とを備えており、色素担持層は、亜鉛酸化物が基体側から放射状に膨出するように形成された瘤状(場合によっては、松毬状)突起を複数有するものであると言い換えることもできる。このように瘤状突起が形成された色素担持層を有する金属酸化物層のc軸配向性を分析したところ、上記(1)で表される関係を満たす傾向が極めて高いことが確認された。なお、後述するとおり、本発明による亜鉛酸化物の複数の瘤状突起は、各突起が個別に隆起するように成長形成されたものであるのに対し、従来のc軸配向性が高い酸化亜鉛電極では、そのような瘤状突起は形成されず、両者は、例えば断面形状において有意に異なることが確認された。
また、より具体的には、色素担持層は、色素の少なくとも一部が亜鉛酸化物の表面に担持されたものであると好適である。このように構成すれば、色素が亜鉛酸化物の表層部に例えば吸蔵されている場合に比して、色素の光感受性が高められるとともに、亜鉛酸化物の表面に担持された色素と亜鉛酸化物との間での電子移動をより効率に行うことができ、光電変換素子たる電極の増感作用を向上させることができる。
また、本発明による色素増感型太陽電池は、本発明の電極と、その電極に対向配置された対極と、それら電極及び対極との間に配置された電荷輸送層とを備えたものである。
さらに、本発明による電極の製造方法は、本発明の電極を有効に製造するための方法であって、基体を準備する工程と、基体上に亜鉛酸化物及び色素を含む色素担持層を形成する色素担持層形成工程を有する金属酸化物層形成工程とを備えており、金属酸化物形成工程においては、金属酸化物層として、上記式(1)で表される関係を満たすものを形成する、又は、色素担持層の亜鉛酸化物が基体側から放射状に膨出するように形成された瘤状突起を複数有するものを形成する方法である。
或いは、本発明による電極の製造方法は、基体及び対極を準備する工程と、基体上に亜鉛酸化物及び第1の色素を含む色素担持層を電析により形成する電析工程を有する金属酸化物層形成工程とを備えており、電析工程においては、基体及び対極を、亜鉛塩及び第1の色素を含む色素濃度50〜500μMの電解液中に対向配置し、基体と対極との間に−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)の電圧を印加することにより、亜鉛酸化物を電析させ且つ色素を共吸着させて色素担持層を形成する方法である。
また、色素担持層に共吸着された第1の色素を脱着する色素脱着工程と、色素担持層にその脱着させた色素とは異なる第2の色素を担持させる色素再吸着工程とを備えると好ましい。
本発明の電極及びその製造方法並びにその電極を備える太陽電池によれば、色素置換性及び色素担持量を向上させることが可能なので、この電極を光電変換素子として用いたときに高い光電変換効率を実現できる。また、高温焼成プロセスを必要とすることなく低温で亜鉛酸化物層を形成できるため、生産性及び経済性を向上させることもでき、しかも、基体として、ガラス基板よりも耐熱性に劣るプラスチック基板等を適用することが可能になるため、各種の素材選定の幅(プロセス裕度)を広げることができ、生産性及び経済性を一層向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明による電極の一実施形態を概略的に示す模式断面図である。電極11は、導電性表面12aを有する基体12上に、亜鉛酸化物及び増感色素を含む多孔性の色素担持層14が積層されたものである。このように、色素担持層14から金属酸化物層が構成されている。
基体12は、少なくとも色素担持層14を支持可能なものであれば、その種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状やシート状の物が好適に用いられ、また、ガラス基板の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等を挙げることができる。また、基体12は、透光性を有することが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものであることがより好ましい。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましく、この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
また、基体12の表面に導電性を付与して導電性表面12aを形成する手法としては、特に限定されず、例えば、導電性を有する基体12を用いる方法や、導電性PETフィルムのように基体12上に透明導電膜を形成する方法等が挙げられる。後者の透明導電膜としては、特に限定されるものではないが、ITO、SnO2 、InO3 の他、SnO2 にフッ素をドープしたFTO等を用いることが好ましく、これら透明導電膜の形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、或いは浸漬法等、公知の手法を適用でき、その膜厚も適宜設定可能である。
さらに、導電性表面12aと色素担持層14との間に中間層13を設けてもよい。中間層13は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。また、中間層13の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、亜鉛酸化物や上記の透明導電膜で説明した金属酸化物等が挙げられ、図示の如く、中間層13を用いることができ、これらを予あらかじめ堆積しておくことができる。ただし、中間層13はなくてもよい。
色素担持層14は、実質的に酸化亜鉛からなる多孔性の半導体層に色素が担持された複合構造体であり、基体12の導電性表面12a側から外方(図示上方)へ向けて放射状に膨出(成長)するように形成された瘤状突起14aを複数有する。このような特異な構造を備えることにより、共吸着させる色素の吸着サイト量が増大し、また、共吸着させた色素を高効率に脱着・再吸着可能となるので、色素置換性が向上する。この色素担持層14の性状は、後記の如く、断面SEM撮影や同TEM撮影等によって観察可能である。なお、「実質的に酸化亜鉛からなる」とは、酸化亜鉛を主成分とする意味であり、化学量論的に厳密に酸化亜鉛(ZnO)と異なる組成比を有する亜鉛酸化物を含んでいてもよく、また、例えば不可避成分としての水酸化亜鉛や、微量の他の金属塩或いは水和物等の不可避不純物等を含んでいても構わない。
色素担持層14に担持される色素としては、特に限定されるものではなく、水溶性色素、非水溶性色素、油溶性色素のいずれであっても構わず、色素担持量を増大させる観点から、酸化亜鉛と相互作用する吸着性基を有することが好ましい。具体的には、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基を有する、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
また、色素担持層14の膜厚は、特に限定されるものではないが、1〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。この膜厚が、1μm未満であると、色素が充分に担持されないことによる短絡光電流(JSC)の低下を招く場合があり、15μmを超えると、膜強度が不足したり、フィルファクター(ff)が低下したりするといった不都合がある。
さらに、色素担持層14は、下記式(1)、
2≦I002/I101≦12 …(1)、
で表される関係を満たすものである。ここで、式(1)中、I002は、色素担持層14(中間層13が色素担持層14と同じ材料であれば、色素担持層14及び中間層13。以下、I002及びI002について同様とする。)のX線回折測定における酸化亜鉛(002)面に起因するピーク強度を示し、I101は、同X線回折測定における酸化亜鉛(101)面に起因するピーク強度を示す。
このX線回折測定は、図1に示す如く、基体12の延在面に垂直な方向(図示矢印z方向)から行われる。ピーク強度比I002/I101は、その値が小さいほどc軸配向が弱く、この値が大きいほどc軸配向が強いことを示す指標の一つである。一般に、粉末状態の多結晶酸化亜鉛では、(101)面の回折ピークの強度I101が最大回折強度を示し、ピーク強度比I002/I101は1未満となり、通常は0.1〜0.5程度である。
これに対し、色素担持層14は、ピーク強度比が上記式(1)で表される範囲にあることにより、色素置換性に優れ色素担持量が大きな多孔性構造を実現することができる。すなわち、ピーク強度比I002/I101が、2未満であると、配向性が低いことによる作用極での電子捕集能の不足、具体的にはJSCの低下といった不都合があり、12を超えると、色素担持量の不足によるJSCの低下といった不都合がある。
以下、電極11の製造方法について説明する。図2(A)〜(C)は、電極11を製造している状態を示す工程図である。電極11は、基体12を準備する工程(図2(A))と、基体12上に中間層13を形成する工程(図2(B))及び亜鉛酸化物及び色素を含む色素担持層14を形成する色素担持層形成工程(図2(C))を含む金属酸化物層形成工程と、を経て作製される。ここでは、カソード電析法を用いて色素担持層14を基体12上に成膜する方法について説明する。
<基体の表面処理>
まず、基体12の一方面に対し、先述した適宜の方法を用いて導電性を付与し、導電性表面12aを形成する(図2(A))。なお、基体12として、金属板等予め導電性を有する基体12を用いる場合には、導電性を付与する工程は不要である。次に、中間層13の形成に先立ち、基体12の導電性表面12aに対し、必要に応じて、適宜の表面改質処理を施す。具体的には、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理を例示できる。
<中間層形成工程>
中間層13は、例えば、亜鉛酸化物や上記の透明導電膜で説明した金属酸化物等を、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体12の導電性表面12aに析出或いは堆積することで形成される。
<色素担持層形成工程>
次に、中間層13上に色素担持層14をカソード電析法にて形成する。具体的には、亜鉛塩及び第1の色素を含む電解液中に、基体12の中間層13と対極とを対向配置し、常法に従い参照電極を用いて、基板の中間層13と対極との間に所定の電圧を印加することにより、色素担持層14を電析形成する(図2(C))。
ここで用いられる電解液としては、亜鉛塩を含有するpHが4〜9程度の水溶液が好適に用いられる。この電解液には、少量の有機溶媒が添加されていても構わない。亜鉛塩は、溶液中で亜鉛イオンを供給し得る亜鉛イオン源となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、塩化亜鉛や臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、過酸化亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、炭酸亜鉛等が好適に用いられる。電解液中の亜鉛イオン濃度は、0.5〜100mMであることが好ましく、2〜50mMであることがより好ましい。また、上記の電解液に、共吸着させる第1の色素を更に添加したものが好適に用いられる。
電解方法は、特に限定されるものではなく、2極式及び3極式のいずれであっても適用可能であり、通電方式としては、直流電流を通電してもよく、或いは、定電位電解法又はパルス電解法を用いることも可能である。また、対極は、常法に従い、白金、亜鉛、金、銀、グラファイト等を用いることができ、これらの中では、亜鉛及び白金を用いることが好ましい。
還元電解電位は、好ましくは−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)の範囲で適宜設定でき、−0.9〜−1.1V(vs.Ag/AgCl)であるとより好ましい。還元電解電位がこの範囲にあることにより、色素置換性に優れ色素担持量が大きな多孔性構造を有し、且つ、上記式(1)で表される関係を満たす色素担持層14を有効に形成することができる。すなわち、還元電解電位が−0.8Vを上回ると、膜が必要以上に緻密となり、色素の担持量が不足するといった不都合があり、−1.2V未満であると、酸化物がより金属的になり電気特性が低下したり、膜の密着性が劣化するといった不都合がある。電解液がハロゲン化亜鉛を含む場合は、水溶液中の溶存酸素の還元による酸化亜鉛の電析反応を促進するため、酸素をバブリング等して必要とされる酸素を十分に導入することが好ましい。なお、電解液の浴温は、使用する基体12の耐熱性を考慮して広い範囲で設定でき、通常は0〜100℃であることが好ましく、20〜90℃程度とすることがより好ましい。
この電析工程にて用いる第1の色素は、カソード電析法にて共吸着させるものであるため、電解液に溶解又は分散するものであることが好ましく、電解液として亜鉛塩を含有するpHが4〜9程度の水溶液を用いる場合には、水溶性の色素であることが好ましい。
具体的には、色素担持量を増大させる観点から、第1の色素は、酸化亜鉛の表面と相互作用する吸着性基を有することが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基等の吸着性基を有する水溶性色素であることが好ましい。より具体的には、エオシンY等のキサンテン系色素、クマリン系色素、トリフェニルメタン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリピリジン金属錯体色素等が挙げられる。
また、電解液中の色素濃度は、50〜500μMの範囲で適宜設定できるが、70〜300μMであることがより好ましい。この色素濃度が、50μM未満であると、膜が必要以上に緻密となり、色素の担持量が不足するといった不都合があり、500μMを超えると、膜の密度が必要以上に低下し、同様に色素の担持量が不足するといった不都合がある。
上記条件下で得られる色素担持層14は、通常、酸化亜鉛の結晶が基体12表面側から放射状に膨出するように形成された瘤状突起を複数有し、且つ、適度に緻密な多孔性を有する構造体となり、また、複数の瘤状突起によって表面に凹凸形状が画成されたものとなる。その後、色素担持層14に対し、常法に従い、必要に応じて水洗、乾燥等公知の後処理を行う。
こうして得られる電極11は、酸化亜鉛の表面に第1の色素が共吸着された複合構造体であり、色素置換性に優れ色素担持量の大きな電極単体として或いは光電変換素子及びその前駆体として使用できる。また、この電極11を光電変換素子として用いる場合には、その光電変換効率を更に高めるために、以下に示す色素脱着処理及び色素再吸着処理を行うことが好ましい。
<色素脱着工程>
ここではまず、電極11の色素担持層14に共吸着された第1の色素を脱着させる。具体的には、例えば、第1の色素を含む電極11を、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のpHが9〜13程度のアルカリ水溶液に浸漬処理する手法が簡便なものとして挙げられる。このアルカリ水溶液としては、従来公知のものを使用でき、脱着する第1の色素の種類に応じて適宜選択することができる。
また、この脱着処理においては、色素担持層14中の第1の色素を好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上脱着することが望ましい。なお、第1の色素の脱着率の上限としては、特に制限されないが、酸化亜鉛結晶中に取り込まれた第1の色素を完全に脱着することが事実上困難であることから、概ね99%とされる。また、加熱下において脱着処理を行うと、脱着効率を効果的に向上させることができるので好ましい。
その後、必要に応じて、常法により水洗・乾燥等公知の後処理を行って得られる電極11は、第1の色素の大半が脱着されたものであり、色素置換性に優れた電極単体として、且つ、潜在的に色素担持量の大きな電極単体、或いは、光電変換素子の前駆体として使用することできる。
<色素再吸着工程>
上記のとおり、第1の色素を脱着処理した色素担持層14に、所望の第2の色素を再吸着させることができる。具体的には、例えば、再吸着させる第2の色素を含む色素含有溶液に、第1の色素を脱着処理した色素担持層14を有する基体12を浸漬する手法が簡便なものとして挙げられる。ここで用いられる色素含有溶液の溶媒としては、所望の第2の色素の溶解性又は相溶性等に応じて、水、エタノール系溶媒、ケトン系溶媒等公知の溶媒から適宜選定することができる。
再吸着させる第2の色素としては、光電変換素子として要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものを適宜選択できる。この色素再吸着工程の処理によって、色素担持層の形成時の電析工程で共吸着させた第1の色素を、それとは異なる第2の色素に置換することができ、第2の色素として、第1の色素よりも高感度な増感色素を用いることにより、光電変換素子としての性能向上を図ることが可能である。
ここで、第2の色素は、先に共吸着させる第1の色素の如く電解液の種類によって制限されるものではなく、前述した水溶性色素以外にも、例えば、色素含有溶液で使用する溶媒を適宜選択することで非水溶性及び/又は油溶性色素を使用できる。より具体的には、例えば、共吸着させる第1の色素において例示した水溶性色素の他、ルテニウムビピリジウム系色素、アゾ色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、クマリン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。これらの色素は、色素担持層14へ再吸着させる観点から、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基等の酸化亜鉛の表面と相互作用する吸着性基を有することがより好ましい。
その後、必要に応じて、常法により水洗・乾燥等公知の後処理を行って得られる電極11は、酸化亜鉛の表面に第2の色素が吸着された複合構造体であり、色素担持量が大きく光電変換効率が更に高められた電極単体或いは光電変換素子として好適に使用できるものである。
(第2実施形態)
図3は、本発明による太陽電池の一実施形態を概略的に示す模式断面図である。色素増感型太陽電池31(太陽電池)は、光電変換電極(素子)として、前記第1実施形態で説明した電極11を備えるものであり、光電変換電極32(電極11)と、これと対向配置された対極33と、それら光電変換電極32及び対極33の間に配置された電荷輸送層34とを有する。
対極33は、その導電性表面33aが色素担持層14と対面するように対向配置されている。また、対極33としては、公知のものを適宜採用することができ、例えば、上記の電極11の導電性表面12aを有する基体12と同様に、透明基板上に導電膜を有するものや透明基板の導電膜上にさらに金属、カーボン、導電性ポリマー等の膜を形成したもの等を用いることができる。
電荷輸送層34としては、レドックス電解質溶液やこれをゲル化した半固体電解質或いはp型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。
ここで、溶液系又は半固体系の電荷輸送層34を用いる場合、常法に従って、光電変換電極32及び対極33を図示しないスペーサ等を介して離間配置し、その周囲を封止することによって画成される封止空間内に電解質を封入すればよい。また、色素増感太陽電池の代表的な電解質溶液としては、ヨウ素及びヨウ化物又は臭素及び臭化物を含むアセトニトリル溶液、エチレンカーボネート溶液、又はプロピレンカーボネート溶液、及びそれらの混合溶液等が挙げられる。さらに、電解質の濃度や各種添加剤等は要求性能に応じて適宜設定及び選択することができ、例えば、ハロゲン化物やアンモニウム化合物等が添加されたものであっても構わない。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
まず、基体としてフッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製)を、0.1MのKCl電解液中で対極のPt電極と対向配置し、0.3L/minでO2 をバブリングしながら予備電解を行った。このときの電解条件は、電位を−1.0V(vs.Ag/AgCl)とし、総クーロン量を−2.35Cとした。この予備電解は、電解液中に含まれる溶存酸素の還元による電解液の改質及び基板表面の改質を企図したものである。
次に、対極をZn電極に変更し、さらに、電解液にZnCl2 水溶液を加えてZn濃度を5mMとすると共に、カソード電析を行い、透明ガラス基板の透明導電膜上に酸化亜鉛を析出させることにより中間層を成膜した。このときの電解条件は、電位を−0.8V(vs.Ag/AgCl)とし、総クーロン量を−0.4Cとした。
その後、電解液に表1に示す各濃度となるようにエオシンY(第1の色素)を加え、さらに、カソード電解を行い、中間層上に酸化亜鉛とエオシンYの複合構造体である色素担持層を成膜した。各々の電解条件を表1にまとめて示す。
次いで、得られた電極を水洗及び乾燥した後、KOH水溶液中に浸漬し、色素担持層中の共吸着色素であるエオシンYを脱着し、その後、再び水洗及び乾燥処理を行った。
一方、色素(第2の色素)含有溶液として、増感色素(D149:三菱製紙(株)製):500μMとコール酸:1mMの体積比が1:1であるt−BuOH/CH3CN溶液を調製し、エオシンYを脱着した電極を、この色素含有溶液中に浸漬して、増感色素D149を色素担持層に再吸着させた。その後、洗浄及び乾燥処理を行って実施例1〜5及び比較例1〜5の電極を得た。
〔配向性評価〕
実施例1〜5及び比較例1〜5で得た電極を、マックサイエンス(株)製のMXP18Aを用いてX線回折測定を行った。測定時の条件としては、線源をCuとし、走査範囲2θを20〜70°とした。得られたプロファイルデータの2θ≒34.4°の(002)面のピーク強度と2θ≒36.2°の(101)面のピーク強度とからピーク強度比I002/I101を算出し、酸化亜鉛の配向性を評価した。評価結果を表1に併せて示す。
なお、参照データとして、粉末状の多結晶酸化亜鉛(関東化学(株)製)のX線回折測定を同様に行い、そのピーク強度比I002/I101を算定したところ、0.44であった。
〔セル評価〕
図3に示す色素増感型太陽電池31と同等の構造を有する色素増感型太陽電池を以下の手順で作製した。まず、実施例1〜5及び比較例1〜5の各電極を光電変換素子として用い、フッ素ドープしたSnOを透明導電膜とする透明ガラス基板(TCO:旭硝子(株)製)に100nmのPt薄膜をスパッタリング成膜したものを対極として用い、光電変換素子と対極とをスペーサ厚50μmで対向配置した。次に、その封止空間内に電荷輸送層の電解液として、ヨウ素:0.05M、TPAI(ヨウ化テトラプロピルアンモニウム):0.5Mのアセトニトリル溶液を封入した。表1に、各色素増感型太陽電池に対して得られた光電変換効率の評価結果を併せて示す(測定条件:AM−1.5)。
表1に示す結果より、ピーク強度比I002/I101が2〜12の範囲にある本発明の実施例1〜5は、ピーク強度比I002/I101が12より大きな比較例1〜5に対し、いずれも光電変換効率が大きく向上されていることが確認された。
〔構造評価〕
実施例1,3及び比較例1,4で得た各電極の断面を電子顕微鏡で観察した。図4〜図7は、それぞれ、実施例1,3及び比較例1,4の電極の断面SEM写真である。これらより、実施例1,3の電極に備わる色素担持層は、酸化亜鉛が基体側から放射状に膨出するように形成された瘤状突起と言える隆起を複数有する構造体であり、それらの複数の瘤状突起によって凹凸表面が形成されていることが判明した。一方、比較例1,4の電極に備わる色素担持層は、酸化亜鉛の結晶が柱状に略均一に異方成長した構造体であり、その表面は略平坦なものであることが判明した。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、本発明の電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池によれば、色素置換性及び色素担持量を向上させることが可能であり、高い光電変換効率を実現でき、しかも、生産性及び経済性を向上させることもできるので、種々の電極及び/又は光電変換素子を有する電子・電気材料、電子・電気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
本発明による電極の一実施形態を概略的に示す模式断面図である。 (A)〜(C)は、電極11を製造している状態を示す工程図である。 本発明による太陽電池の一実施形態を概略的に示す模式断面図である。 実施例1の電極の断面SEM写真である。 実施例3の電極の断面SEM写真である。 比較例1の電極の断面SEM写真である。 比較例4の電極の断面SEM写真である。
符号の説明
11…電極、12…基体、12a…導電性表面、13…中間層、14…色素担持層、14a…瘤状突起、31…色素増感型太陽電池(太陽電池)、32…光電変換電極(素子)、33…対極、33a…導電性表面、34…電荷輸送層。

Claims (8)

  1. 基体と、
    前記基体上に形成された中間層と、
    前記中間層上に形成された亜鉛酸化物及び色素を含む色素担持層を有する金属酸化物層と、
    を備えており、
    前記金属酸化物層は、下記式(1);
    2≦I002/I101≦12 …(1)、
    002:前記金属酸化物層のX線回折測定における酸化亜鉛(002)面に起因するピーク強度、
    101:前記金属酸化物層のX線回折測定における酸化亜鉛(101)面に起因するピーク強度、
    で表される関係を満たし、
    前記色素担持層は、前記亜鉛酸化物が前記基体側から放射状に膨出するように形成された瘤状突起を複数有するものである、
    電極。
  2. 前記中間層は、酸化亜鉛である、
    請求項1に記載の電極。
  3. 前記色素担持層は、前記色素の少なくとも一部が、前記亜鉛酸化物の表面に担持されたものである、
    請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記金属酸化物層は、前記中間層が形成された前記基体及び対極を、亜鉛塩及び第1の色素を含む色素濃度90〜270μMの電解液中に対向配置し、前記中間層が形成された前記基体と対極との間に−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)の電圧を印加することにより、前記基体の前記中間層上に亜鉛酸化物を電析させ且つ第1の色素を共吸着させたものである、又は、
    前記金属酸化物層は、前記中間層が形成された前記基体及び対極を、亜鉛塩及び第1の色素を含む色素濃度90〜270μMの電解液中に対向配置し、前記中間層が形成された前記基体と対極との間に−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)の電圧を印加することにより、前記基体の前記中間層上に亜鉛酸化物を電析させ且つ第1の色素を共吸着させた後、共吸着された前記第1の色素を脱着し、その後に第2の色素を担持させたものである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極と、該電極に対向配置された対極と、該電極及び該対極との間に配置された電荷輸送層と、を備えている、
    色素増感型太陽電池。
  6. 基体を準備する工程と、
    前記基体上に中間層を形成する工程と、
    前記基体の前記中間層上に亜鉛酸化物及び第1の色素を含む色素担持層を形成する色素担持層形成工程を有する金属酸化物層形成工程と、
    を備えており、
    前記金属酸化物形成工程においては、前記金属酸化物層して、
    下記式(1);
    2≦I002/I101≦12 …(1)、
    002:前記金属酸化物層のX線回折測定における酸化亜鉛(002)面に起因するピーク強度、
    101:前記金属酸化物層のX線回折測定における酸化亜鉛(101)面に起因するピーク強度、
    で表される関係を満たし、且つ、前記色素担持層の前記亜鉛酸化物が前記基体側から放射状に膨出するように形成された瘤状突起を複数有するものを形成する、
    電極の製造方法。
  7. 基体及び対極を準備する工程と、
    前記基体上に中間層を形成する工程と、
    前記基体の前記中間層上に亜鉛酸化物及び第1の色素を含む色素担持層を電析により形成する電析工程を有する金属酸化物層形成工程と、
    を備えており、
    前記電析工程においては、前記中間層が形成された前記基体及び対極を、亜鉛塩及び前記第1の色素を含む色素濃度90〜270μMの電解液中に対向配置し、前記中間層が形成された前記基体と対極との間に−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)の電圧を印加することにより、前記基体の前記中間層上に亜鉛酸化物を電析させ且つ第1の色素を共吸着させて前記色素担持層を形成する、
    電極の製造方法。
  8. 前記色素担持層に共吸着された前記第1の色素を脱着する色素脱着工程と、
    前記色素担持層に前記色素と異なる第2の色素を担持させる色素再吸着工程と、
    を備える、
    請求項に記載の電極の製造方法。
JP2007086254A 2007-03-29 2007-03-29 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池 Expired - Fee Related JP5207104B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007086254A JP5207104B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池
TW097107555A TW200905891A (en) 2007-03-29 2008-03-04 Electrode, manufacturing method of the same, and dye-sensitized solar cell
US12/078,040 US20080236658A1 (en) 2007-03-29 2008-03-26 Electrode, manufacturing method of the same, and dye-sensitized solar cell
EP08005872A EP1978136A1 (en) 2007-03-29 2008-03-27 Dye-sensitized solar cell and method of manufacturing it
CNA2008100869134A CN101276847A (zh) 2007-03-29 2008-03-28 电极及其制造方法和色素增感型太阳能电池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007086254A JP5207104B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008243752A JP2008243752A (ja) 2008-10-09
JP5207104B2 true JP5207104B2 (ja) 2013-06-12

Family

ID=39561702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007086254A Expired - Fee Related JP5207104B2 (ja) 2007-03-29 2007-03-29 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20080236658A1 (ja)
EP (1) EP1978136A1 (ja)
JP (1) JP5207104B2 (ja)
CN (1) CN101276847A (ja)
TW (1) TW200905891A (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5188093B2 (ja) * 2007-04-09 2013-04-24 日揮触媒化成株式会社 光電気セルの製造方法
JP5211281B2 (ja) * 2007-08-01 2013-06-12 地方独立行政法人山口県産業技術センター 酸化亜鉛からなる複数の立体構造体が形成された金属酸化物多孔質膜とその製造方法とこれを用いた色素増感太陽電池
TWI399460B (zh) * 2008-12-25 2013-06-21 Taiwan Textile Res Inst 利用氧化鋅前驅物以製備氧化鋅薄膜的方法
EP2237339A3 (en) * 2009-03-30 2011-10-26 TDK Corporation Electrode for photoelectric conversion elements, manufacturing method of the same, and dye-sensitized solar cell
WO2011105089A1 (ja) * 2010-02-25 2011-09-01 東京エレクトロン株式会社 色素増感太陽電池の製造装置及び色素増感太陽電池の製造方法
FR2974450B1 (fr) * 2011-04-19 2013-12-20 Commissariat Energie Atomique Intégration d'une couche 2d d'oxyde métallique sur un substrat plastique conducteur
NL2011267C2 (en) * 2013-08-05 2015-02-09 Onderzoekscentrum Voor Aanwending Van Staal N V Method for manufacturing a product.

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002184476A (ja) * 2000-12-12 2002-06-28 Sharp Corp 多孔性光電変換半導体層の作製方法及び太陽電池
US6677516B2 (en) * 2001-01-29 2004-01-13 Sharp Kabushiki Kaisha Photovoltaic cell and process for producing the same
JP2002261303A (ja) * 2001-03-02 2002-09-13 Tayca Corp 複数の色相の異なる酸化亜鉛/色素複合膜を有する光電変換素子および光電池
JP2002356400A (ja) * 2001-03-22 2002-12-13 Canon Inc 酸化亜鉛の針状構造体の製造方法及びそれを用いた電池、光電変換装置
JP3883120B2 (ja) * 2002-03-29 2007-02-21 財団法人名古屋産業科学研究所 色素増感太陽電池基体用の多孔質酸化亜鉛薄膜及び色素増感太陽電池の光電極材料用の酸化亜鉛/色素複合薄膜並びにこれらの製造方法、酸化亜鉛/色素複合薄膜を光電極材料に用いる色素増感太陽電池
US7265037B2 (en) * 2003-06-20 2007-09-04 The Regents Of The University Of California Nanowire array and nanowire solar cells and methods for forming the same
KR20060074233A (ko) * 2004-12-27 2006-07-03 삼성전자주식회사 광전셀 및 그 제조방법
DE102006014881A1 (de) * 2005-03-30 2006-11-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Oxidhalbleiterelektrode, farbstoffsensibilisierte Solarzelle und Verfahren zu deren Herstellung
JP4668660B2 (ja) * 2005-03-31 2011-04-13 豊田合成株式会社 多孔質酸化金属色素複合膜の製造方法
JP4844064B2 (ja) 2005-09-21 2011-12-21 コニカミノルタオプト株式会社 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法及び偏光板、液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN101276847A (zh) 2008-10-01
TW200905891A (en) 2009-02-01
JP2008243752A (ja) 2008-10-09
US20080236658A1 (en) 2008-10-02
EP1978136A1 (en) 2008-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sun et al. Dye-sensitized solar cells with NiS counter electrodes electrodeposited by a potential reversal technique
JP5207104B2 (ja) 電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池
EP2822009A1 (en) Solar cell and process for producing the same
Ganapathy et al. Cauliflower-like SnO 2 hollow microspheres as anode and carbon fiber as cathode for high performance quantum dot and dye-sensitized solar cells
WO2005112184A1 (ja) 光電変換素子、及びこれに用いる透明導電性基板
Thulasi-Varma et al. Enhanced photovoltaic performance and morphological control of the PbS counter electrode grown on functionalized self-assembled nanocrystals for quantum-dot sensitized solar cells via cost-effective chemical bath deposition
Yamamoto et al. A 4% efficient dye‐sensitized solar cell fabricated from cathodically electrosynthesized composite titania films
Jang et al. Improved electrochemical performance of dye-sensitized solar cell via surface modifications of the working electrode by electrodeposition
JP4278167B2 (ja) 光電変換電極の製造方法
JP4373454B2 (ja) 光電変換電極及びその製造方法、並びに色素増感型太陽電池
TW201024472A (en) Zinc ferrite thin film, method for manufacturing the same and application thereof
Peng et al. Ni 1− x Pt x (x= 0–0.08) films as the photocathode of dye-sensitized solar cells with high efficiency
Gulen Lithium perchlorate-assisted electrodeposition of CoS catalyst surpassing the performance of platinum in dye sensitized solar cell
JP5122121B2 (ja) 半導体電極および色素増感型太陽電池
JP2002184476A (ja) 多孔性光電変換半導体層の作製方法及び太陽電池
JP2002141115A (ja) 光電変換装置、その製造方法及び太陽電池システム
JP2003243053A (ja) 光電変換装置の製造方法
JP2002093471A (ja) 光電変換装置、その製造方法及び太陽電池システム
Van Le et al. Lead sulfide cathode for quantum dot solar cells: electrosynthesis and characterization
US20100243060A1 (en) Electrode for photoelectric conversion elements, manufacturing method of the same, and dye-sensitized solar cell
JP4804050B2 (ja) 光電変換素子
JP2008021581A (ja) 色素増感型光電変換素子
JP4947951B2 (ja) チタン酸化物電極、その製造方法および光電変換素子
JP2009245784A (ja) 電極の製造方法、光電変換電極の製造方法、及び、色素増感型太陽電池の製造方法
JP2006127782A (ja) 金属−金属酸化物複合電極、その製造方法及び光電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120827

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees