JP5206762B2 - 車両用警報装置 - Google Patents
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Description
そこで、ダイナミックスピーカ(可聴音を直接放射するスピーカ)から車両の外部に向けて「接近報知音」を発生させて、車両周囲に車両の存在を知らせるための車両接近報知装置を車両に搭載する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ダイナミックスピーカを用いて、耳障りの良い低い周波数を再生しようとすると、大型の振動板を用いたウーファ等のスピーカを車両に搭載する必要が生じ、車両への搭載が困難になるとともに、重量の増加等の不具合が生じてしまう。
パラメトリックスピーカによって車外に接近報知音を発生させる車両接近報知装置は、「接近報知音の波形信号」を超音波変調して超音波スピーカから放射させるものであり、超音波スピーカから放射された超音波(耳に聞こえない音波)に含まれる振幅成分が伝播途中の空気中で自己復調されることで、車両から離れた場所で接近報知音を再生させるものである。
このように、パラメトリックスピーカであれば、ダイナミックスピーカより小型に設けた超音波スピーカによって低音を発生させることが可能になり、ダイナミックスピーカを用いる場合の不具合を回避することができる。
具体的に、車両には、警笛音の音色を重厚にしたり、警笛音の耳障りを良くする目的で、2つの異なる音色の警笛音(第1警笛音と第2警笛音)を同時に発生させる所謂ダブルホーンタイプが採用される。
このため、2つの異なる音色の警笛音を同時に発生させるために、第1警笛音を発生する1台目の電磁式警笛器と、第1警笛音とは異なる音色の第2警笛音を発生する2台目の電磁式警笛器とを車両に搭載する必要があった。
具体的に電磁式警笛器は、
・通電により磁力を発生するコイルと、
・このコイルに直流で閾値以上の自励電圧が与えられた際にコイルの通電回路を断続する電流断続器と、
・コイルの磁力により駆動される可動鉄心と、
・この可動鉄心に結合された振動板(ダイヤフラム)とを有する。
このように、従来の技術では、2つの異なる音色の警笛音を同時に発生させるために、2つの電磁式警笛器を車両に搭載する必要があった。
請求項1の手段の車両用警報装置は、ホーンスイッチが操作された際に、
・第1警笛音を1つの電磁式警笛器(車両用ホーン)で発生させ、
・第2警笛音を車両接近報知装置の超音波スピーカ(パラメトリックスピーカにおける超音波スピーカ)で発生させる。
このように、2つの異なる音色の警笛音を同時に発生する車両用警報装置であっても、電磁式警笛器の数を1つに減らすことができ、車両に対する車両用警報装置の搭載性を向上させることができる。
請求項2の手段の車両用警報装置は、
・超音波スピーカの発生する第2警笛音の基音となる第2周波数が、
・電磁式警笛器の発生する第1警笛音の基音となる第1周波数よりも、低い周波数に設定される。
即ち、電磁式警笛器に高音側を受け持たせるものである。
このため、電磁式警笛器の小型化が可能になり、コストの低減および搭載性の向上を図ることができる。
請求項3の手段の車両接近報知装置は、パラメトリックスピーカによって接近報知音を発生する際に、自励電圧より低い他励電圧による「接近報知音を成す電気信号」を電磁式警笛器に与えて、この電磁式警笛器からも接近報知音を発生させるものである。
即ち、電磁式警笛器をダイナミックスピーカとして用いて、パラメトリックスピーカと同時に、ダイナミックスピーカからも接近報知音を発生させるものである。
このように、「パラメトリックスピーカ」と「ダイナミックスピーカとして利用される電磁式警笛器」とを組み合わせて用いることで、パラメトリックスピーカの特徴である「狭い指向性」を、「ダイナミックスピーカとして利用される電磁式警笛器」で補うことができ、車両周囲の広い範囲に接近報知音を発生させることができる。
車両用警報装置は、直流で閾値以上の自励電圧(例えば、8V以上)が与えられることによって第1警笛音を発生する1つの電磁式警笛器1を備える。
この電磁式警笛器1は、通電により磁力を発生するコイル2と、このコイル2に直流で閾値以上の自励電圧が与えられた際にコイル2の通電回路を断続する電流断続器3と、コイル2の磁力により駆動される可動鉄心4と、この可動鉄心4に結合された振動板5を有する。
そして、電磁式警笛器1は、乗員によってホーンスイッチ6が操作されてコイル2に自励電圧が与えられることでコイル2の通電が電流断続器3によって断続されて可動鉄心4とともに振動板5が振動することにより「所定の第1周波数を基音とする第1警笛音」を発生する。
この車両接近報知装置は、車両の走行状態に応じて、あるいはセンサによって歩行者を検出した際に、車両の接近を歩行者へ知らせるための「接近報知音を超音波変調してなる超音波」を超音波スピーカ7から車外へ向けて放出する。
これにより、
・1つの電磁式警笛器1(車両用ホーン)から第1警笛音が発生し、
・車両接近報知装置の超音波スピーカ7(パラメトリックスピーカ)を用いて第2警笛音が発生する。
即ち、電磁式警笛器の数が1つであっても、ダブルホーンの音色を発生させることができる。
なお、車両接近報知装置がパラメトリックスピーカによって接近報知音を発生する際に、自励電圧より低い他励電圧による「接近報知音を成す電気信号」を電磁式警笛器1に与えて、ダイナミックスピーカとして機能する電磁式警笛器1からも接近報知音を発生させることが好ましいが、限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、上記「発明を実施するための形態」と同一符号は同一機能物を示すものである。
この実施例の車両Sは、乗員によってホーンスイッチ6が操作された際に警笛音を発生する1つの電磁式警笛器1(車両用ホーン)を搭載する。
この電磁式警笛器1は、直流で閾値以上の自励電圧(例えば、8V以上の電圧:具体的にはバッテリ電圧)が与えられることによって第1警笛音を発生するものであり、例えば、車両Sの前部等に装着されるものである。
電磁式警笛器1は、ステー11を介して車両Sに取り付けられるものであり、
・通電により磁力を発生するコイル2と、
・コイル2の発生する磁力により磁気吸引力を発生する固定鉄心12(磁気吸引コア)と、
・振動板5(ダイヤフラム)の中心部に支持されて固定鉄心12に向かって移動可能に支持される可動鉄心4(可動コア)と、
・この可動鉄心4の移動に連動し、可動鉄心4が固定鉄心12に向かって移動することにより固定接点13から離れてコイル2の通電を遮断する可動接点14と、
を備える。
(i)コイル2の通電により可動鉄心4が固定鉄心12に磁気吸引されて、固定接点13から可動接点14が離れてコイル2の通電が停止する吸引動作と、
(ii)通電停止によって振動板5がリターンスプリングの作用を可動鉄心4に付与して可動鉄心4が初期位置へ戻り、固定接点13と可動接点14が接触してコイル2の通電が再開する復元動作と、
を連続して繰り返す。
このように、コイル2の通電の断続(固定鉄心12の磁気吸引力の発生の断続)が発生することで可動鉄心4とともに振動板5が振動することで電磁式警笛器1が警笛音を発生する。
この実施例の第1周波数は、具体的な一例として500Hzを基音とする第1警笛音であり、電磁式警笛器1の発生する警笛音(自励電圧が与えられた場合の作動音)の周波数特性を図3、図4の実線Aに示す。
この図3、図4の実線Aから明らかなように、自励電圧が与えられた場合に電磁式警笛器1の発生する第1警笛音は、第1周波数(可動接点14のON−OFF間隔で設定される500Hz:図4中Fh1)と、その倍音周波数(図4中Fh2以上)とで構成される。
電磁式警笛器1をダイナミックスピーカとして用いる場合における電磁式警笛器1の周波数特性を図3の破線Bに示す。この破線Bは、電磁式警笛器1に1Vのサイン波のスイープ信号(低周波数から高周波数への可変信号)を与えた場合における周波数特性である。
この実施例の車両Sは、電気自動車など車両走行音が静かな自動車であり、車両Sの走行状態に応じて、あるいはセンサによって歩行者を検出した際に、パラメトリックスピーカによって接近報知音(例えば、擬似エンジン音など)を車外へ放出する車両接近報知装置を搭載する。
パラメトリックスピーカは、「可聴音(耳に聞こえる音波)の波形信号」を超音波変調して超音波スピーカ7から放射させ、超音波スピーカ7から放射された超音波(耳に聞こえない音波)に含まれる振幅成分が伝播途中の空気中で自己復調されることで、車両Sから離れた場所で可聴音(この実施例では、接近報知音と第2警笛音)を再生させる技術である。
なお、この制御回路部20は、図1に示すように、電磁式警笛器1をダイナミックスピーカとして作動させるための回路(後述する)も搭載している。
なお、制御回路部20は、図2(a)に示すように、電磁式警笛器1の内部に配置するものであっても良いが、限定されるものではない。
超音波スピーカ7は、発生する超音波を車両Sの前方に向けて放出するように、車両Sの例えば前部等に装着されるものであり、この実施例では、図2(b)に示すように、音響管15の側面(音響管15において車両Sの正面に向く面)に取り付けられるものである。
この実施例の超音波スピーカ7は、超音波再生に適した圧電スピーカ(セラミックスピーカ、ピエゾスピーカ等)21を複数配置してスピーカアレイとして用いたものである。 なお、この実施例に用いられる圧電スピーカ21は、印加電圧(充放電)に応じて伸縮するピエゾ素子と、このピエゾ素子の伸縮によって空気に振動を与える振動板5とを備えて構成される周知構造のものである。
超音波スピーカ7における超音波照射口には、雨水の浸入を阻止して超音波を照射させる手段が設けられている。具体的な一例として、この実施例では、図2(b)に示すように、雨水の浸入を抑えるガラリ22(鎧戸)が配置されているが、このガラリ22は圧電スピーカ21が照射する超音波の直進性を損なわないように設けられている。具体的には、超音波スピーカ7から車両Sの正面へ向けて照射された超音波は、ガラリ22の内面で下方に向きを変え、下方のガラリ22の外面で再び車両Sの正面に向きを変えて、結果的に車両Sの進行方向へ超音波が放射されるように設けられている。なお、ガラリ22に代えて、パンチング穴やメッシュなど、他の手段を用いても良い。
このように、この実施例の超音波スピーカ7は、超音波を車両Sの前方へ向けて放射するように設けられている。
また、電磁式警笛器1は、車両Sを上から見て、接近報知音が電磁式警笛器1の周囲に略均等に届くように設けられている。具体的な一例として、電磁式警笛器1における音響管15の開口が、車両Sの下方(路面に向く方向)に向けられて取り付けられるものである。なお、音響管15の開口の方向は、下方に限定されるものではない。
制御回路部20は、
(a)制御回路部20内で必要な電圧をバッテリー電圧(図中、+B)から生成する電源回路23と、
(b)超音波振動(例えば、25kHz)を生成する超音波発振回路24と、
(c)「接近報知音を成す周波数信号」および「第2警笛音を成す周波数信号」を発生させる警報信号生成回路25と、
(d)接近報知音または第2警笛音の周波数信号を超音波周波数に変調する超音波振幅変調回路26と、
(e)変調された超音波周波数によって超音波スピーカ7を駆動する超音波増幅回路27と、
(f)「接近報知音または第2警笛音の周波数信号」によって電磁式警笛器1を駆動するホーン駆動回路28と、
(g)これらの作動を制御する信号処理回路29と、
を備える。
警報信号生成回路25は、予め保存されてあった「接近報知音を成す周波数信号」あるいは「第2警笛音を成す周波数信号」を、信号処理回路29の指示により発生するものである。
ここで、接近報知音は、特定の音に限定されるものではなく車両Sの接近を歩行者に知らせる音であれば良く、車両Sの周囲に不快感を与えにくい音(和音等)であることが好ましい。
具体的な車両報知音の一例としては、擬似エンジン音、所定周波数の音、複数の周波数からなる合成音、あるいは音声信号などが適宜用いられるものである。
このように、この実施例では、第2周波数(超音波スピーカ7の発生する第2警笛音の基音となる周波数)が、第1周波数(電磁式警笛器1の発生する第1警笛音の基音となる周波数)よりも、低い周波数に設定されるものである。
超音波振幅変調回路26は、
(i)警報信号生成回路25の出力する「接近報知音を成す周波数信号の電圧の増減変化」、
(ii)あるいは、警報信号生成回路25の出力する「第2警笛音を成す周波数信号の電圧の増減変化」を、
超音波周波数(25kHz等)の「発振電圧の振幅変化」に変調するものである。
例えば、超音波振幅変調回路26に入力された「接近報知音または第2警笛音を成す周波数信号」が、図6(a)に示す電圧変化であるとする(なお、図中では理解補助のために単一周波数の波形を示す)。
一方、超音波発振回路24は、図6(b)に示す超音波周波数で発振するものとする。
(i)「接近報知音または第2警笛音を成す周波数」の信号電圧が大きくなるに従い、超音波振動による電圧の振幅を大きくし、
(ii)「接近報知音または第2警笛音を成す周波数」の信号電圧が小さくなるに従い、超音波振動による電圧の振幅を小さくする。
このようにして、超音波振幅変調回路26は、警報信号生成回路25から入力された「接近報知音または第2警笛音を成す周波数信号」を、超音波周波数の「発振電圧の振幅変化」に変調するものである。
超音波増幅回路27は、「接近報知音または第2警笛音を成す周波数信号」を振幅変調した超音波信号(超音波振幅変調回路26の出力信号)に基づいて各圧電スピーカ21を駆動するものであり、各圧電スピーカ21の印加電圧(充放電状態)を制御することで、各圧電スピーカ21から「接近報知音または第2警笛音を成す周波数信号」を振幅変調した超音波を発生させるものである。
具体的な一例を示すと、超音波増幅回路27は、各圧電スピーカ21に、正電圧または負電圧を切り替えて印加可能な電荷切替回路(または、ピエゾ素子の充放電回路)であり、超音波振幅変調回路26から超音波増幅回路27に、図6(c)に示す波形信号を与える場合、超音波増幅回路27は図6(c)に示す波形電圧を超音波スピーカ7に与えて、各圧電スピーカ21から図6(c)に示す出力波形の超音波を発生させるものである。
ホーン駆動回路28は、電磁式警笛器1をダイナミックスピーカとして作動させるためのパワーアンプ(電力増幅回路)であり、警報信号生成回路25の出力する「接近報知音を成す周波数信号」の「電圧の増減変化」を増幅して、電磁式警笛器1の通電端子(コイル2の両端に接続される端子)に付与するものである。
なお、ホーン駆動回路28の最大出力は、8V未満(他励電圧)に制限されており、接近報知音を発生させるための電圧出力によって電磁式警笛器1が警笛音を発生しないように設けられている。
信号処理回路29は、例えば車両Sに搭載されるECU30(エンジン・コントロール・ユニットの略)から報知音作動信号が与えられることで接近報知音を発生させるものである。
具体的に、ECU30が報知音作動信号を発生する一例を説明すると、
(i)車両Sの運転状態が所定の運転状態の時(接近報知音の発生が要求される走行状態の時:例えば、車速20km/h以下の車両走行時など)に、報知音作動信号を信号処理回路29に与える、
(ii)あるいは、車両Sの走行中で、車両Sの走行方向に人の存在が「人の認知システム(図示しない)」によって確認された場合に、報知音作動信号を信号処理回路29に与えるものである。
(i)パラメトリックスピーカを作動させて、超音波スピーカ7から「接近報知音」を放射させるとともに、
(ii)電磁式警笛器1をダイナミックスピーカとして作動させて、電磁式警笛器1からも接近報知音を放射させるものである。
(iii)パラメトリックスピーカを作動させて、超音波スピーカ7から「第2警笛音」を放射させるものである。
ECU30等から信号処理回路29に報知音作動信号が与えられると、信号処理回路29の制御により、超音波スピーカ7から「接近報知音の信号波形」を振幅変調した超音波(聞こえない音波)を放射する{図6(c)参照}。
すると、図6(d)に示すように、空気中を超音波が伝播するにつれて、空気の粘性等によって波長の短い超音波が歪んで鈍(なま)される。その結果、図6(e)に示すように、伝播途中の空気中において超音波に含まれていた振幅成分が自己復調され、結果的に超音波の発生源(超音波スピーカ7を搭載する車両S)から離れた場所で「接近報知音」が発生する。
電磁式警笛器1は、他励電圧以下では、可動接点14が固定接点13に接してコイル2が通電状態になっている。このため、電磁式警笛器1のコイル2に「接近報知音を成す電気信号」が与えられると、「接近報知音を成す電気信号」に応じた磁力変化が生じ、振動板5と可動鉄心4が「接近報知音を成す電気信号」に応じて振動する。
このようにして、電磁式警笛器1をダイナミックスピーカとして用いることができ、電磁式警笛器1から接近報知音を発生させることができる。
乗員によってホーンスイッチ6が操作(ON)されると、
(i)電磁式警笛器1にバッテリ電圧(自励電圧)が印加されて、電磁式警笛器1が第1警笛音を発生するとともに、
(ii)信号処理回路29にもホーンスイッチ6のON信号が与えられ、超音波スピーカ7が「第2警笛音の信号波形」を振幅変調した超音波(聞こえない音波)を放射する{図6(c)参照}。
超音波スピーカ7の放射した超音波は、図6(d)に示すように、空気中を超音波が伝播するにつれて、空気の粘性等によって波長の短い超音波が歪んで鈍(なま)される。その結果、図6(e)に示すように、伝播途中の空気中において超音波に含まれていた振幅成分が自己復調され、結果的に超音波の発生源(超音波スピーカ7を搭載する車両S)から離れた場所で「第2警笛音」が発生する。
(a)車両前方における「近距離範囲(例えば、0m〜5m)」では、パラメトリックスピーカによる接近報知音と、電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)による接近報知音とが合成されて、「大きな音圧の接近報知音」を発生させることができる。
このため、車両Sと歩行者の距離が「近距離範囲」では、歩行者に対して大きな音圧の接近報知音を与えることができ、より確実に歩行者に対して車両Sの存在を知らせることができる。
このため、車両Sと歩行者の距離が離れていても、歩行者に対して接近報知音を届けることができ、遠く離れた歩行者に対して車両Sの存在を知らせることができる。
即ち、「近距離範囲」では、パラメトリックスピーカによる接近報知音と、電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)による接近報知音とが合成されて、大きな音圧の接近報知音を発生するが、車両Sに搭乗する車両乗員にはパラメトリックスピーカによる接近報知音は聞こえ難いため、車両乗員に聞こえる接近報知音の音圧を抑えることができる。
「パラメトリックスピーカによる接近報知音」と「電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)による接近報知音」が合成される領域(車両Sの近距離範囲)では、パラメトリックスピーカによる低音不足を、電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)で補うことができ、接近報知音の低音領域(低周波数領域)の音圧を向上させることができる。
(i)「パラメトリックスピーカのみ」による接近報知音の周波数特性を図7の実線Xに示し、
(ii)「パラメトリックスピーカ+電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)」による接近報知音の周波数特性を図7の実線Yに示す。
この図7におけるハッチング部Zに示すように、パラメトリックスピーカの低音不足を、電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)で補うことができ、接近報知音の低音領域の音圧を向上させることができる。
「電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)による接近報知音」は、図5(b)に示すように、指向性を持たずに、車両Sの全周へ放射される。即ち、車両Sの後方を含めた一定半径内の領域に接近報知音を発生させることができる。
このように、パラメトリックスピーカでは発生させることのできない範囲であっても、電磁式警笛器1(ダイナミックスピーカ)によって接近報知音を発生させることができるため、広い範囲の歩行者に対して車両Sの存在を知らせることができる。
この実施例は、ホーンスイッチ6が操作された際に、
・1つの電磁式警笛器1から第1警笛音を発生させ、
・車両接近報知装置のパラメトリックスピーカから第2警笛音を発生させる。
このように、電磁式警笛器1の数を1つに減らしての、2つの異なる音色の警笛音を同時に発生することができる。
このように、2つの異なる音色の警笛音を同時に発生するダブルホーンタイプであるが、電磁式警笛器1の数を1つに減らすことができ、車両Sに対する電磁式警笛器1の搭載性を向上させることができる。
この実施例では、1つの電磁式警笛器1の音響管15の側面に超音波スピーカ7を設けている。このため、1つの電磁式警笛器1を車両Sに搭載するだけで、車両接近報知装置の超音波スピーカ7も車両Sに搭載することができる。
即ち、1つの電磁式警笛器1を車両Sに搭載するだけで、上述したように、ダブルホーンタイプを実現できるとともに、車両接近報知装置の超音波スピーカ7も車両Sに搭載することができる。
この実施例では、第1警笛音(500Hzを基音とする警笛音)と、第2警笛音(400Hzを基音とする警笛音)が合わさって和音を成すものである。このため、警笛音の質感を高めることができるとともに、歩行者および乗員に対する警笛音の不快感を抑えることができる。
この実施例では、第2警笛音の基音となる第2周波数(超音波スピーカ7の発生する第2警笛音の基音)が、第1警笛音の基音となる第1周波数(電磁式警笛器1の発生する第1警笛音の基音)より低く設けられる。
即ち、電磁式警笛器1に高音側を受け持たせ、車両接近報知装置のパラメトリックスピーカが低音側を受け持つものである。
このように、電磁式警笛器1が高音側を受け持つため、電磁式警笛器1の小型化が可能になり、コストの低減および搭載性の向上を図ることができる。
なお、音響管15を用いない電磁式警笛器1であっても、超音波スピーカ7を電磁式警笛器1に取付金具等を介して直接組付けることが望ましいものである。即ち、電磁式警笛器1を車両Sに組付けることで、超音波スピーカ7も車両Sに搭載されることが望ましいものである。
2 コイル
3 電流断続器
4 可動鉄心
5 振動板
6 ホーンスイッチ
7 超音波スピーカ
S 車両
Claims (3)
- (a)通電により磁力を発生するコイル(2)、このコイル(2)に直流で閾値以上の自励電圧が与えられた際に前記コイル(2)の通電回路を断続する電流断続器(3)、前記コイル(2)の磁力により駆動される可動鉄心(4)、この可動鉄心(4)に結合された振動板(5)を有し、
乗員によって操作可能に設けられたホーンスイッチ(6)が操作されて前記コイル(2)に自励電圧が与えられることで前記コイル(2)の通電が前記電流断続器(3)によって断続されて前記可動鉄心(4)とともに前記振動板(5)が振動することにより所定の第1周波数を基音とする第1警笛音を発生する1つの電磁式警笛器(1)を備えるとともに、
(b)車両の走行状態に応じて、あるいはセンサによって歩行者を検出した際に、警笛音とは異なり、車両の接近を歩行者へ知らせるための接近報知音を超音波変調してなる超音波を超音波スピーカ(7)から車外へ向けて放出するパラメトリックスピーカを用いた車両接近報知装置を備え、
(c)この車両接近報知装置は、前記ホーンスイッチ(6)が操作された際に、前記第1周波数とは異なる第2周波数を基音とする第2警笛音を超音波変調してなる超音波を前記超音波スピーカ(7)から発生させるものであり、
前記第1周波数と前記第2周波数とにより人を不快にさせない和音を成すことを特徴とする車両用警報装置。 - 請求項1に記載の車両用警報装置において、
前記超音波スピーカ(7)の発生する前記第2警笛音の基音となる第2周波数は、
前記電磁式警笛器(1)の発生する前記第1警笛音の基音となる第1周波数よりも、低い周波数であることを特徴とする車両用警報装置。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用警報装置において、
前記車両接近報知装置は、前記パラメトリックスピーカによって接近報知音を発生する際に、前記自励電圧より低い他励電圧による接近報知音を成す電気信号を前記電磁式警笛器(1)に与えて、この電磁式警笛器(1)からも接近報知音を発生させることを特徴とする車両用警報装置。
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