JP5206725B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料としてアルコールとガソリンとを使用可能な内燃機関において空燃比フィードバック制御を実行する燃料噴射制御装置に関するものである。
近年、燃料としてアルコールとガソリンとを使用可能な内燃機関が実用化されている。この内燃機関はアルコールのみ、あるいはガソリンのみを燃料として用いた運転が可能であることの他、アルコールとガソリンとが任意の割合で混合された混合燃料を用いた運転も可能になっている。
また、燃料噴射量を調節するための燃料噴射弁の駆動制御(燃料噴射制御)において、内燃機関の燃焼室内の混合気の空燃比を所定の比率(例えば理論空燃比)に調節するために、排気の酸素濃度とその基準値との偏差に基づいて燃料噴射量をフィードバック補正する制御、いわゆる空燃比フィードバック制御を実行することが多用されている。
ここで、燃料のアルコール濃度が異なると、燃料の性状(例えば理論空燃比など)も異なるために、仮に同一量の燃料を噴射供給したとしても内燃機関の出力特性や排気性状は同一にはならない。
そのため従来、上記混合燃料が用いられる内燃機関において、燃料のアルコール濃度を算出するとともに同アルコール濃度に応じて空燃比フィードバック制御を実行する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。こうした装置によれば、混合燃料の性状に応じて燃料噴射量が調節されるようになるために、燃料性状の相違による機関出力特性や排気性状などの不要な変化を抑えることが可能になる。
特開2009−68446号公報
吸気通路内において燃料を噴射するタイプの内燃機関では、その冷間運転時において噴射した燃料の一部が吸気通路の内壁面に付着してしまう。そして、この付着燃料は、内燃機関の運転に伴う機関温度の上昇により蒸発して燃焼室に流入するようになる。
内燃機関の燃料として用いられるアルコール(具体的には、エタノール)はガソリンと比較して理論空燃比が小さいために、上記混合燃料のアルコール濃度が高いときほど同燃料の理論空燃比が小さくなる。そのため混合燃料が用いられる内燃機関における燃料噴射制御では、燃料のアルコール濃度が高いときほど、混合気の空燃比を理論空燃比にするべく燃料噴射量が増量されて吸気通路の壁面への燃料付着量が多くなる。また、燃料として用いられるアルコールはガソリンと比較して揮発性が高い。そのため上記混合燃料のアルコール濃度が高いときほど付着燃料の単位時間あたりの蒸発量が大きくなる。このように混合燃料が用いられる内燃機関では、燃料のアルコール濃度が高いときほど吸気通路壁面への燃料付着量や付着燃料の蒸発量が多くなるために、混合気の空燃比への影響が大きくなると云える。
内燃機関の運転に際して上記付着燃料の蒸発が発生すると、その分だけ混合気の空燃比がリッチになるために、空燃比フィードバック制御の補正項(フィードバック補正項)が更新されて燃料噴射弁からの燃料噴射量が少なくなる。特に、アルコール濃度の高い燃料を用いて内燃機関が運転される場合には、上記付着燃料の蒸発分が多くなるために、これに伴って燃料噴射量が少なくなってしまう。そのため、このときの燃料噴射量が上記燃料噴射弁の作動特性などによって定まる下限量(最小噴射量)を下回るおそれがある。
この場合には、燃料噴射量が少なくなっているものの、付着燃料の蒸発分によって燃焼室内に供給される燃料量は確保されている。そのため、仮に燃料噴射量が最小噴射量を下回ったことをもって装置に異常が発生している可能性があると判断されて空燃比フィードバック制御の実行が強制的に停止されたりフィードバック補正項が初期値に変更されたりすると、これに起因して空燃比の急変を招くなど、空燃比の制御精度の不要な低下を招くこととなるために好ましくない。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、混合気の空燃比の制御精度の低下を抑えることのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ガソリンとアルコールとを燃料として使用可能な内燃機関に適用されて、同内燃機関の排気の酸素濃度とその基準濃度との偏差に基づいてフィードバック補正項を算出するとともに同フィードバック補正項に基づいて燃料噴射量を設定する空燃比フィードバック制御を実行する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射量がその下限値を下回ったときにあって、前記燃料のアルコール濃度が判定濃度より高く且つ前記内燃機関の温度が判定上限温度より低いとの判定条件の非成立時には前記フィードバック補正項の算出を強制停止し、前記判定条件の成立時には前記フィードバック補正項の算出を継続することをその要旨とする。
上記構成によれば、燃料のアルコール濃度が低い状況や内燃機関の温度が高い状況で燃料噴射量が下限値を下回ったときには、装置に何らかの異常が発生して燃料噴射量が不要に少なくなっている可能性が高いとして、フィードバック補正項の算出が強制的に停止される。これにより空燃比フィードバック制御以外の制御によって燃料噴射を実行するなど、装置の異常に対して適切に対処することが可能になる。しかも、燃料噴射量が下限値を下回ったときであっても、燃料のアルコール濃度が高く且つ内燃機関の温度が低いとき、すなわち付着燃料の蒸発分によって燃焼室内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときには、フィードバック補正項の算出が継続される。そのため、フィードバック補正項の算出が強制停止されることがなく、その強制停止に起因する空燃比の急変を回避することができる。したがって上記構成によれば、空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関の温度指標値に基づいて同内燃機関の吸気通路の壁面に付着した燃料の蒸発に伴う誤差分を補償するための付着補正項を算出するとともに同付着補正項に基づいて前記燃料噴射量を補正する壁面付着補正制御を実行することをその要旨とする。
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記壁面付着補正制御は、前記燃料のアルコール濃度が高いときほど前記燃料噴射量の増量補正の度合いが大きくなる値を前記付着補正項として算出することをその要旨とする。
請求項2に記載の発明の構成では、壁面付着補正制御が実行されるために、吸気通路の壁面に付着した燃料が蒸発する状況において燃料噴射量が予め減量補正されて少なくなることから、同燃料噴射量がその下限値を下回るといった状況になり易い。
また請求項3に記載の発明の構成では、燃料のアルコール濃度が高いときほど、壁面付着補正制御による燃料噴射量の増量補正度合いが大きくなるために、同燃料噴射量が下限値を下回るといった状況になり易い。
請求項2または3に記載の発明の構成によれば、そうした壁面付着補正制御が実行される装置において、燃焼室内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときにフィードバック補正項の算出が強制停止されることを抑えることができ、空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、当該燃料噴射制御装置は、前記フィードバック補正項の算出を強制停止させることに併せて、同フィードバック補正項を予め定められた所定値に変更するものであることをその要旨とする。
上記構成によれば、フィードバック補正項の算出が強制的に停止されるときには、フィードバック補正項を予め定められた所定値(例えば初期値や装置の異常に見合う値など)に変更することにより、異常発生に際して適切に対処することが可能になる。しかも、フィードバック補正項の算出が継続されるときには、フィードバック補正項が上記所定値に変更されないために、その変更による空燃比の急変を回避することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、機関回転速度の加速に際して前記燃料噴射量を増量補正する加速増量補正制御を実行することをその要旨とする。
上記構成では、加速増量補正制御が実行されて燃料噴射量が増量補正されると、これに伴ってフィードバック補正項が燃料噴射量を減少させる値に若干変化してしまう。そのため加速増量補正制御による増量補正が停止されたときに、その実行期間中においてフィードバック補正項が変化した分だけ、燃料噴射量が機関運転状態に見合う量より少なくなる。したがって、燃料噴射量がその下限値を下回るといった状況になり易いと云える。上記構成によれば、そうした加速増量補正制御が実行される装置において、空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記判定条件は、前記内燃機関の温度が前記判定上限温度より低く且つ判定下限温度より高いこととの条件を含むことをその要旨とする。
吸気通路の壁面に付着した燃料が蒸発する現象は、内燃機関の温度上昇過程における特定の温度範囲において発生する。
上記構成によれば、付着燃料の蒸発分によって燃焼室内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときにおいてフィードバック補正項の算出を継続するとの構成を、上記特定の温度範囲に限り、換言すれば付着燃料の蒸発が発生する期間に限り適用することができる。したがって、燃焼室内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときにおいてフィードバック補正項の算出が強制停止されることを的確に抑えることができる。
本発明を具体化した一実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の全体構成を示す略図。 燃料噴射量算出処理の実行手順を示すフローチャート。 判定処理の実行手順を示すフローチャート。 始動後における内燃機関の運転状態の推移の一例を示すタイミングチャート。
以下、本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の全体構成を示す。
同図1に示すように、内燃機関11にはその周辺機器として燃料タンク12が設けられている。この燃料タンク12の内部には燃料が備蓄されている。また内燃機関11の吸気通路13には燃料噴射弁14が設けられており、同燃料噴射弁14には燃料ポンプ15によって燃料タンク12内の燃料が圧送されている。この燃料噴射弁14の開弁駆動を通じて、燃料タンク12内の燃料が内燃機関11の燃焼室16に供給される。内燃機関11の排気通路17には燃焼室16から排出された燃焼ガス(排気)を浄化するための触媒コンバータ18が設けられている。本実施の形態では、上記内燃機関11として、ガソリンとアルコールとの二種類の燃料を使用可能なものが採用されている。この内燃機関11はアルコールのみ、あるいはガソリンのみを燃料として用いた運転が可能であることの他、アルコールとガソリンとが任意の割合で混合された混合燃料を用いた運転も可能になっている。
また、内燃機関11の周辺機器として電子制御ユニット30が設けられている。この電子制御ユニット30は、内燃機関11の運転にかかる各種制御についての演算処理を実施するCPU、制御用のプログラムやデータの記憶された不揮発性のメモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するメモリ(RAM)、外部との信号の入出力のための入出力ポートを備えている。
その他、内燃機関11の周辺機器としては、同内燃機関11の運転状態を検出するための各種センサなども設けられている。そうしたセンサとしては、例えば内燃機関11の出力軸19の回転速度(機関回転速度NE)を検出するための回転速度センサ31や、内燃機関11の燃焼室16に吸入される空気の量(吸入空気量GA)を検出するためのエアフローメータ32が設けられている。また、アクセルペダル20の踏み込み量(アクセル踏み込み量ACC)を検出するためのアクセルセンサ33や、内燃機関11の冷却水の温度(水温THW)を検出するための水温センサ34が設けられている。その他、排気の酸素濃度を通じて混合気の空燃比を検出するための酸素濃度センサ35や、燃料タンク12内に備蓄されている燃料の量(燃料残量)を検出するための残量センサ36なども設けられている。
これらセンサの出力信号は電子制御ユニット30に入力されている。そして電子制御ユニット30は、それらセンサの出力信号に基づいて各種の演算を行うとともに、その演算結果に基づいて上記燃料噴射弁14の駆動制御(燃料噴射制御)などの機関制御を実行する。
ここで、備蓄されている燃料と異なるアルコール濃度の燃料が燃料タンク12に補給されると、同燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が変化し、これに伴って燃料の性状(具体的には、理論空燃比)も変化してしまう。そのため、内燃機関11の排気の酸素濃度を一定に保つことの可能な燃料供給量は同内燃機関11に供給される燃料のアルコール濃度に応じて異なる量になる。この点をふまえて本実施の形態では、燃料タンク12内に備蓄されている燃料のアルコール濃度に応じたかたちで上記燃料噴射制御を実行するようにしている。
以下、そうした燃料噴射制御の実行態様について具体的に説明する。
図2は燃料噴射制御の制御目標値(最終目標噴射量QFIN)を算出する処理(燃料噴射量算出処理)の実行手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御ユニット30によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
図2に示すように、この処理ではまず、機関回転速度NEおよび吸入空気量GAに基づいてマップから基本燃料噴射量QBASEが算出される(ステップS100)。ここでは、基本燃料噴射量QBASEとして、燃料のアルコール濃度が基準濃度(予め定められた濃度)であると仮定した場合に混合気の空燃比を所望の比率(例えば理論空燃比)にすることの可能な燃料噴射量が算出される。なお上記マップには、吸入空気量GAおよび機関回転速度NEにより定まる運転状態と同運転状態に見合う基本燃料噴射量QBASEとの関係が実験結果などに基づき予め求められて設定されている。また吸入空気量GAは、別途の処理を通じて、アクセル踏み込み量ACCや機関回転速度NEに応じたかたちで調節されている。
その後、空燃比フィードバック制御の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS101)。ここでは、以下に記載する各条件([条件イ]〜[条件ニ])が全て成立していることをもって実行条件が成立していると判断される。
[条件イ]酸素濃度センサ35が正常に機能していること。
[条件ロ]酸素濃度センサ35の素子温度が所定の活性化温度以上であること。
[条件ハ]水温THWが、内燃機関11の始動時における水温THWに基づき設定される暖機判定温度以上であること。
[条件ニ]内燃機関11への燃料供給を停止する燃料カット制御の実行中でないこと、あるいは燃料カット制御の実行が完了した後に所定期間が経過していること。
そして、上記実行条件が成立している場合には(ステップS101:YES)、酸素濃度センサ35により検出される空燃比と理論空燃比との差に基づいてフィードバック補正係数FAFが算出される(ステップS102)。このフィードバック補正係数FAFは基本的には次のように算出される。すなわち、酸素濃度センサ35により検出される空燃比がリッチである場合には所定量ずつ減量される一方、リーンである場合には所定量ずつ増量される。また、酸素濃度センサ35により検出される空燃比がリッチからリーンへ、あるいはリーンからリッチへ切り替わったときには、フィードバック補正係数FAFが階段状に増減(スキップ)される。
その後、学習処理の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS103)。この実行条件としては例えば、機関回転速度NEの変化が小さいことや、フィードバック補正係数FAFから「1.0」を減じた値の絶対値が所定値より大きい状態が所定の期間継続していること等が挙げられる。
そして、学習処理の実行条件が成立している場合には(ステップS103:YES)、学習処理が実行される(ステップS104)。具体的には、フィードバック補正係数FAFに基づいて空燃比学習値KGやアルコール濃度学習値KGalについての学習が実行される。この学習処理の具体的な実行手順については後に詳述する。なお、空燃比学習値KGおよびアルコール濃度学習値KGalとしては、共にフィードバック補正係数FAFとその基本値(=「1.0」)との定常的な乖離量を補償することの可能な値が学習される。特に、アルコール濃度学習値KGalとしては、上記乖離量のうちの燃料の実アルコール濃度とその基準濃度との差に起因する分を補償することの可能な値が学習される。
なお、空燃比フィードバック制御の実行条件が未成立である場合には(ステップS101:NO)、フィードバック補正係数FAFとして「1.0」が設定される(ステップS105)。すなわち、この場合には空燃比フィードバック制御が実行されない。また、学習処理の実行条件が未成立である場合には(ステップS103:NO)、学習処理が実行されない(ステップS104の処理がジャンプされる)。
このようにしてフィードバック補正係数FAFが設定されるとともに学習処理が適宜実行された後、加速増量補正制御にかかる処理(加速増量補正処理)が実行される(ステップS106)。この加速増量補正処理は、アクセルペダル20の踏み込みによる機関回転速度NEの加速に際して燃料噴射量を増量補正するための処理として実行される。具体的には、内燃機関11の運転状態(例えば吸入空気量GAや機関回転速度NEなど)に基づいて加速補正値Kacが算出される。この加速補正値Kacとしては、混合気の空燃比が内燃機関11の出力トルクを増大させることの可能な比率(例えば、12.5)になる値が算出される。
また、低温増量補正制御にかかる処理(低温増量補正処理)が実行される(ステップS107)。この低温増量補正処理は、内燃機関11の温度が低いときに燃料噴射量を増量補正するための処理として実行される。具体的には、水温THWに基づいて低温補正値Ktlが算出される。この低温補正値Ktlとしては、水温THWが低いときほど、燃料噴射量を大きく増量補正する値が算出される。内燃機関11の温度が低いときには、燃料噴射弁14からの噴射燃料が十分に霧化しないために、その分だけ燃料噴射量が不足するおそれがある。上記低温増量補正制御によって燃料噴射量を増量補正することにより、そうした燃料噴射量の不足分が補償されるようになる。
さらに、壁面付着補正制御にかかる処理(壁面付着補正処理)が実行される(ステップS108)。この壁面付着補正処理は、前述した吸気通路の内壁面への燃料付着や付着燃料の蒸発に起因して生じる燃料噴射量の誤差分を補償するための処理として実行される。具体的には、機関回転速度NE、吸入空気量GA、水温THW、およびアルコール濃度学習値KGalに基づいて付着補正値Kstが算出される。
この付着補正値Kstは、次のような手順で算出される。すなわち先ず、水温THW、機関回転速度NE、吸入空気量GA、およびアルコール濃度学習値KGalにより定まる内燃機関11の運転状態において吸気通路13の内壁面に付着する燃料の量の推定値(基本付着量STB)が算出される。この基本付着量STBとしては、内燃機関11の運転状態の変化がごく小さい定常運転状態における燃料の付着量が算出される。その後、この基本付着量STBの今回算出値STB[i]と前回算出値STB[i−1]との差ΔSTB(=STB[i]−STB[i−1])が算出される。そして、この差ΔSTBの正負を反転させた値(ΔSTB×「−1.0」)を徐々に変化させた値が上記付着補正値Kstとして算出される。なお、内燃機関11の運転状態が殆ど変化していないために上記差ΔSTBが「0」である場合には、上記付着補正値Kstとして燃料噴射量を補正しない値(本実施の形態では「0」)が算出される。
吸気通路13の内壁面に付着する燃料の量は内燃機関11の運転状態が変化した後において徐々に増加(あるいは減少)するようになる。上述したように付着補正値Kstを算出することにより、そうした付着燃料量の変化に合わせて燃料噴射量が補正されるようになる。なお、上記付着補正値Kstとしては、内燃機関11に供給される燃料のアルコール濃度が高いときほど、燃料噴射量を大きく補正する値が算出される。これは、燃料のアルコール濃度が高いときほど吸気通路壁面への燃料付着量や付着燃料の蒸発量が多くなるためである。
その後、基本燃料噴射量QBASE、フィードバック補正係数FAF、空燃比学習値KG、アルコール濃度学習値KGal、加速補正値Kac、および付着補正値Kstに基づいて以下の関係式から最終燃料噴射量QFINが算出される(ステップS109)。

QFIN=QBSE×(FAF+KG+KGal)+Kac+Kst

このようにして最終燃料噴射量QFINが算出された後、本処理は一旦終了される。
そして上記燃料噴射制御では、最終燃料噴射量QFINに基づいて燃料噴射時間TAU、すなわち燃料噴射弁14の開弁時間が算出され、同燃料噴射時間TAUに基づいて燃料噴射弁14が開弁駆動される。これにより、最終燃料噴射量QFINに相当する量の燃料が燃料噴射弁14から噴射されて内燃機関11の燃焼室16に供給される。
このように上記燃料噴射制御では、酸素濃度センサ35により検出される排気の酸素濃度(実空燃比に相当する値)とその基準濃度(理論空燃比に相当する値)との差に基づいてフィードバック補正係数FAFを算出するとともに同フィードバック補正係数FAFに基づいて燃料噴射量を設定する空燃比フィードバック制御が実行される。また、アルコール濃度学習値KGalが算出されるとともに同アルコール濃度学習値KGalに応じて燃料噴射制御が実行される。
次に、上記学習処理(図2のステップS104)の実行手順の概要について説明する。
上記学習処理では、空燃比学習値KGの更新が、直近の予め設定された所定期間Taにおけるフィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVEを算出するとともに同平均値FAFAVEから「1.0」を減算した値を空燃比学習値KGに加算するといったように行われる。
ここで、内燃機関11に供給される燃料のアルコール濃度が変化すると、これに伴って排気の酸素濃度が変化するようになる。本実施の形態では、空燃比フィードバック制御が実行されるために、燃料補給によって燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が変化すると、これによる排気の酸素濃度の変化に伴ってフィードバック補正係数FAFが変化するようになる。
この点をふまえて、上記学習処理では、アルコール濃度学習値KGalをフィードバック補正係数FAFに基づいて更新するようにしている。具体的には、上記空燃比学習値KGと同一態様で更新される。ただし、このアルコール濃度学習値KGalを学習する処理は、燃料タンク12内への燃料補給が行われたと判定されたことを条件に、空燃比学習値KGを学習する処理の実行を禁止した上で実行される。
このようにしてアルコール濃度学習値KGalを学習することにより、燃料タンク12内への燃料補給が行われたときに、以後におけるフィードバック補正係数FAFの変化が燃料のアルコール濃度の変化に伴うものであるとして、同フィードバック補正係数FAFの変化に応じてアルコール濃度学習値KGalを更新することができる。すなわち、燃料噴射制御の実行態様を特段変更せずとも、燃料のアルコール濃度に応じた値になるフィードバック補正係数FAFの推移に基づいてアルコール濃度学習値KGalを算出することができる。
こうしたアルコール濃度学習値KGalの更新は、燃料補給が行われたと判定された以後の所定期間Tb(詳しくは、アルコール濃度学習値KGalの変化速度が所定速度(≒「0」)以下になるまでの期間)にわたって行われる。これにより、燃料のアルコール濃度の変化に伴うフィードバック補正係数FAFの変化が収束するまでの期間にわたってアルコール濃度学習値KGalが更新され続けるようになり、燃料のアルコール濃度の変化に起因するフィードバック補正係数FAFの変化分がアルコール濃度学習値KGalに的確に反映されるようになる。
なお燃料タンク12内への燃料補給がなされたことは、例えば「残量センサ36により検出される燃料残量の増加量が所定量以上であり、且つ同燃料残量の増加率が所定値以上であること」との条件が成立したと判断されたことをもって判定される。
ここで本実施の形態では、燃料噴射量(詳しくは、最終燃料噴射量QFIN)についての下限値(最小噴射量Qmin)が設定されている。この最小噴射量Qminとしては、燃料噴射弁14の特性により定まる値であって、同燃料噴射弁14から噴射される燃料の量を高精度で調節することの可能な噴射量範囲の下限量が設定されている。本実施の形態では基本的に、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminより少なくなると、装置に異常が発生している可能性があるとして、これに対処するべくフィードバック補正係数FAFの算出が強制停止されて同フィードバック補正係数FAFが予め定められた所定値(本実施の形態では、初期値「1.0」)に変更される。なお、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminより少ない場合には、最終燃料噴射量QFINとして最小噴射量Qminに相当する値が設定される。
ところで、内燃機関11の運転に際して吸気通路13の内壁面に付着した燃料が蒸発するようになると、その分だけ混合気の空燃比がリッチになるために、フィードバック補正係数FAFが燃料噴射量を減少させる側の値に変更されて、燃料噴射弁14からの燃料噴射量が少なくなる。特にアルコール濃度の高い燃料を用いて内燃機関11が運転される場合には、上記付着燃料の単位時間あたりの蒸発分が多くなるために、これに伴って燃料噴射量が少なくなってしまう。そのため、このときの最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回るといった状況になるおそれがある。また本実施の形態では、加速増量補正制御や壁面付着補正制御が実行されるために、そうした状況になり易い。これは以下のような理由による。
本実施の形態では、アクセルペダル20が踏み込まれると、加速増量補正制御を通じて燃料噴射量が増量補正される。このとき空燃比がリッチになるために、フィードバック補正係数FAFが燃料噴射量を減少させる側の値に変化する。そのため、加速増量補正制御による増量補正が停止されたときに、その実行期間中においてフィードバック補正係数FAFが変化した分だけ、燃料噴射量が機関運転状態に見合う量より少なくなる。したがって、このときには上記状況になり易い。
しかも、アクセルペダル20の踏み込みによる加速状態から同アクセルペダル20の踏み込みが解除されて減速状態になると、その後において上記付着燃料の蒸発量が多くなるために、壁面付着補正制御を通じて燃料噴射量が減量補正される。このようにアクセルペダル20の踏み込みの解除に合わせて燃料噴射量が減量補正されるようになることから、このとき上記状況になり易い。なお本実施の形態では、燃料のアルコール濃度が高いときほど壁面付着補正制御による燃料噴射量の増量補正度合いが大きい。そのため燃料のアルコール濃度が高いときほど上記状況になり易いと云える。
このようにして最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回るといった状況になった場合には、燃料噴射量が少なくなっているものの、上記付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に供給される燃料量は確保されるために、内燃機関11の運転状態が不安定になる可能性は低い。こうした状況であるにもかかわらず、このとき装置に異常が発生している可能性があると判断して空燃比フィードバック制御の実行を強制停止してフィードバック補正係数FAFを初期値に変更すると、これに起因して空燃比の急変を招くこととなってしまう。
こうした実情をふまえて本実施の形態では、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときであっても、燃料のアルコール濃度が高く且つ内燃機関11の温度(具体的には、水温THW)が所定の温度範囲であるときには、フィードバック補正係数FAFの算出を継続するようにしている。
こうした構成を採用することにより、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときであっても、付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保されるときには、フィードバック補正係数FAFの算出が継続される。これにより、フィードバック補正係数の初期化に起因する空燃比の急変が回避されるために、同空燃比の制御精度の低下が抑えられるようになる。
なお、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときにおいて、燃料のアルコール濃度が低い場合あるいは内燃機関11の温度が上記所定温度範囲を外れている場合には、装置に何らかの異常が発生して燃料噴射量が不要に少なくなっている可能性が高いとして、前述したとおりフィードバック補正係数FAFの算出が強制停止される。これにより装置の異常に対して適切に対処することが可能になる。
なお吸気通路13の内壁面に付着した燃料が蒸発する現象は、内燃機関11の温度上昇過程における特定の温度範囲においてのみ発生する。この点をふまえて本実施の形態では、上記所定の温度範囲として、吸気通路13の壁面に付着した燃料が蒸発するようになる温度範囲が設定されている。そのため、付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときにおいてフィードバック補正係数FAFの算出を継続するといった処理を、付着燃料の蒸発が発生する可能性のある期間に限り実行することができる。したがって、上記現象が発生しないために付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保されることのないときに、誤ってフィードバック補正係数FAFの算出が継続されることが的確に抑えられる。これによりフィードバック補正係数FAFの算出を強制停止するか否かの判定が的確に行われるようになる。
以下、そのようにして空燃比フィードバック制御の実行を停止するか否かの判定を行う処理(判定処理)の実行手順について詳細に説明する。
図3は、上記判定処理の具体的な実行手順を示すフローチャートであり、このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御ユニット30によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
この処理では先ず、以下の[条件ホ]〜[条件ト]の全てが満たされるか否かが判断される。
[条件ホ]加速増量補正制御による燃料噴射量の増量補正が実行されていないこと(ステップS200)。
[条件ヘ]燃料カット制御が実行されていないこと、あるいは燃料カット制御の実行完了後に空燃比フィードバック制御の実行が開始されていること(ステップS201)。
[条件ト]最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminより少ないこと(ステップS202)。
[条件ホ]が満たされない場合には(ステップS200:NO)、加速増量補正制御によって燃料噴射量が増量補正されているために最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回る状況になる可能性がごく低いとして、以下の処理を実行することなく本処理は一旦終了される。
一方、[条件ヘ]が満たされない場合には(ステップS201:NO)、空燃比フィードバック制御が実行されていないためにフィードバック補正係数FAFとして「1.0」が設定されているとして、以下の処理を実行することなく本処理は一旦終了される。
他方、[条件ト]が満たされない場合には(ステップS202:NO)、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qmin以上になっており、空燃比フィードバック制御を適正に実行することができる状況であるとして、以下の処理を実行することなく本処理は一旦終了される。
[条件ホ]〜[条件ト]の全てが満たされる場合には(ステップS200〜S202の全てが「YES」)、以下の[条件チ]および[条件リ]が共に満たされるか否かが判断される(ステップS203)。
[条件チ]燃料のアルコール濃度が判定濃度より高いこと。ここでは、アルコール濃度の指標値としてアルコール濃度学習値KGalが用いられるとともに、同アルコール濃度学習値KGalとその判定値とが比較される。
[条件リ]水温THWが判定下限温度Tmin(例えば30度)より高く且つ判定上限温度Tmax(例えば40度)より低いこと(Tmin<THW<Tmax)。なお、判定下限温度Tminおよび判定上限温度Tmaxにより定まる温度範囲としては、吸気通路13の壁面に付着した燃料の蒸発が発生する温度範囲が設定される。
そして、[条件チ]および[条件リ]が共に満たされる場合には(ステップS203:YES)、燃料噴射量がごく少なくなっているものの、上記付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に供給される燃料量が確保されるために機関運転状態が不安定になる可能性は低いとして、空燃比フィードバック制御の実行が許可される(ステップS205)。すなわち、空燃比フィードバック制御が実行されている場合には、その実行が継続されてフィードバック補正係数FAFの算出が継続される。
一方、[条件チ]および[条件リ]のいずれかが満たされない場合には(ステップS203:NO)、装置に何らかの異常が発生して最終燃料噴射量QFINが不要に少なくなっている可能性が高いとして、空燃比フィードバック制御の実行が強制停止される(ステップS205)。すなわち、この場合にはフィードバック補正係数FAFの算出が停止されるとともに、同フィードバック補正係数FAFとして「1.0」が設定される。
このように、空燃比フィードバック制御の実行継続および実行停止のいずれかが選択された後、本処理は一旦終了される。本実施の形態では、[条件チ]および[条件リ]が判定条件として機能する。
以下、こうした判定処理を実行することによる作用について説明する。
図4に、アルコール濃度の高い燃料が用いられるとともに水温THWの低い状態で内燃機関11を始動した場合における同内燃機関11の運転状態の推移の一例を示す。なお同図において、実線は本実施の形態にかかる内燃機関11の運転状態の推移を示しており、一点鎖線は最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったことをもって空燃比フィードバック制御の実行を強制停止してフィードバック補正係数FAFを初期値に変更する比較例の装置にかかる内燃機関の運転状態の推移を示している。
図4に実線で示すように、時刻t1において内燃機関11が始動されると、その直後においては空燃比フィードバック制御が実行されないために、フィードバック補正係数FAFとして初期値「1.0」が設定される。また同図に示す例では、内燃機関11の始動開始時における水温THWが低いために、低温増量補正制御による燃料噴射量の増量補正が実行される。そのため、混合気の空燃比が内燃機関11の始動直後においてリッチになるとともにその後において徐々にリーン側の比率に変化するようになる。
その後の時刻t2において、実行条件が成立して空燃比フィードバック制御の実行が開始されると、このとき低温増量補正制御による増量補正によって空燃比がリッチになっているために、その後において同空燃比を理論空燃比にするべく、フィードバック補正係数FAFが徐々に小さい値(最終燃料噴射量QFINを減少させる側の値)に変化する。
そして、この状態でアクセルペダル20が踏み込まれると(時刻t3)、これに伴い最終燃料噴射量QFINが増加して機関回転速度NEが上昇するようになる。また、このとき加速増量補正制御による燃料噴射量の増量補正の実行が開始されるため、これに伴ってリッチ側の比率に変化する空燃比を理論空燃比にするべく、フィードバック補正係数FAFが小さい値に変化するようになる。
同図に示す例では、その後の時刻t4において、低温増量補正制御や加速増量補正制御による燃料噴射量の増量補正に起因してフィードバック補正係数FAFが小さくなることにより、同フィードバック補正係数FAFが下限値に達してしまう。そして、その後においてフィードバック補正係数FAFは下限値のままで保持される。
その後の時刻t5においてアクセルペダル20の踏み込みが解除されると、加速増量補正制御による増量補正が停止されて、その後において機関回転速度NEが低下するようになる。また、機関回転速度NEの減速に伴って最終燃料噴射量QFINが減少するようになるために、吸気通路13の壁面に付着した燃料が減少する状況、すなわち前述した付着燃料が蒸発する状況になる。そのため、以後において壁面付着補正制御によって燃料噴射量が減量補正されるようになる。
このようにして加速増量補正制御による増量補正が停止されるとともに壁面付着補正制御による減量補正が開始されるために、最終燃料噴射量QFINが急減する。最終燃料噴射量QFINは、この直前において加速増量補正制御による増量補正によって大きく減量されている。そのため、アクセルペダル20の踏み込み解除による最終燃料噴射量QFINの急減に伴って、同最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ってしまう。
同図に一点鎖線で示すように、比較例の装置では、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ることによって空燃比フィードバック制御の実行が強制停止されてフィードバック補正係数FAFが初期値に変更されてしまう。これによりフィードバック補正係数FAFがごく小さい値から初期値まで瞬時に変化するために、空燃比が急峻に変化するようになる。その結果、内燃機関11の出力トルクの増加に伴う振動の発生や排気性状の悪化を招いてしまう。
これに対して本実施の形態の装置では、同図に実線で示すように、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときであっても、燃料のアルコール濃度が高く、且つ内燃機関11の温度が特定の温度範囲内であれば、空燃比フィードバック制御の実行が停止されずに継続されてフィードバック補正係数FAFの算出も継続される。これにより、フィードバック補正係数FAFの初期化に起因する空燃比の急変が回避されるために、同空燃比の制御精度の低下が抑えられる。また、このとき吸気通路13の内壁面に付着した燃料が多量に蒸発する状況であることから、その蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保されるために、同燃料量の不足による内燃機関11の運転状態の不安定化を招くこともない。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときであっても、燃料のアルコール濃度が高く且つ内燃機関11の温度が所定の温度範囲であるときには、フィードバック補正係数FAFの算出を継続するようにした。そのため、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときであっても、付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保されるときには、フィードバック補正係数FAFの算出を継続することができる。これにより、フィードバック補正係数FAFの初期化に起因する空燃比の急変を回避することができ、同空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。また、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときにおいて、燃料のアルコール濃度が低い場合あるいは内燃機関11の温度が上記所定温度範囲を外れている場合には、装置に何らかの異常が発生して燃料噴射量が不要に少なくなっている可能性が高いとして、フィードバック補正係数FAFの算出を強制停止することができる。そのため、装置に異常が発生した場合において同異常に適切に対処することができる。
(2)壁面付着補正制御が実行されるために最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回るといった状況になり易い装置において、フィードバック補正係数FAFの算出が強制停止されることを抑えることができ、空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。
(3)フィードバック補正係数FAFの算出が強制的に停止されるときには、同フィードバック補正係数FAFを初期値に変更することにより、異常発生に際して適切に対処することができる。しかも、フィードバック補正係数FAFの算出が継続されるときには、同フィードバック補正係数FAFが初期値に変更されないために、その変更による空燃比の急変を回避することができる。
(4)加速増量補正制御が実行されるために最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回るといった状況になり易い装置において、フィードバック補正係数FAFの算出が強制停止されることを抑えることができ、空燃比の制御精度の低下を抑えることができる。
(5)付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保される可能性が高いときにおいてフィードバック補正係数FAFの算出を継続するといった処理を、内燃機関11の温度が所定の温度範囲内であるときに限り、すなわち付着燃料の蒸発が発生する可能性のある期間に限り実行するようにした。そのため、上記現象が発生しないために付着燃料の蒸発分によって燃焼室16内に流入する燃料量が確保されることのないときに、誤ってフィードバック補正係数FAFの算出が継続されることを的確に抑えることができる。したがってフィードバック補正係数FAFの算出を停止するか否かの判定を的確に行うことができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・[条件リ]に代えて、「水温THWが判定上限温度Tmaxより低いこと」との条件を設定してもよい。また、水温THWについての条件を設定することに限らず、内燃機関11の温度指標値についての条件であれば、潤滑オイルの温度についての条件などを設定することもできる。さらに、内燃機関11の温度を直接検出する温度センサが設けられた装置であれば、同内燃機関11の温度そのものについての条件を設定することも可能である。
・空燃比フィードバック制御の実行を強制停止する際に、フィードバック補正係数FAFを初期値に変更することに限らず、任意の値に変更することができる。この値としては、装置に異常が発生したときに同異常に適切に対処することができる値であればよい。
・例えば基本燃料噴射量QBASEに加算する値をフィードバック補正項として算出するなど、空燃比フィードバック制御の実行態様は任意に変更することができる。
・アルコール濃度学習値KGalを算出することに限らず、例えば濃度センサを新たに設けるとともに同濃度センサによって燃料のアルコール濃度を検出するなど、燃料のアルコール濃度を検出する手法は任意に変更可能である。
・上記実施の形態では、最終燃料噴射量QFINが最小噴射量Qminを下回ったときに、同最終燃料噴射量QFINとして最小噴射量Qminに相当する量を設定するようにした。これに代えて、そのときどきのフィードバック補正係数FAFに応じたかたちで最小噴射量Qminよりも少ない量を最終燃料噴射量QFINとして設定するようにしてもよい。
・最小噴射量Qmin以外のなんらかの下限値が設定されるとともに同下限値を最終燃料噴射量QFINが下回ったときに空燃比フィードバック制御の実行が強制的に停止される装置であれば、上記実施の形態にかかる装置は、その構成を適宜変更したうえで適用することができる。また上記実施の形態にかかる装置は、燃料噴射時間TAUについての下限値が設定された装置など、燃料噴射量に関するなんらかの下限値が設定された装置であれば適用可能である。
・低温増量補正制御や、加速増量補正制御、並びに壁面付着補正制御の実行態様は任意に変更することができる。
・本発明は、低温増量補正制御や、加速増量補正制御、並びに壁面付着補正制御のうちのいずれか一つが実行されない装置や、いずれか二つが実行されない装置、あるいは全てが実行されない装置にも適用可能である。
11…内燃機関、12…燃料タンク、13…吸気通路、14…燃料噴射弁14…燃料ポンプ、16…燃焼室、17…排気通路、18…触媒コンバータ、19…出力軸、20…アクセルペダル、30…電子制御ユニット、31…回転速度センサ、32…エアフローメータ、33…アクセルセンサ、34…水温センサ、35…酸素濃度センサ、36…残量センサ。

Claims (6)

  1. ガソリンとアルコールとを燃料として使用可能な内燃機関に適用されて、同内燃機関の排気の酸素濃度とその基準濃度との偏差に基づいてフィードバック補正項を算出するとともに同フィードバック補正項に基づいて燃料噴射量を設定する空燃比フィードバック制御を実行する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射量がその下限値を下回ったときにあって、前記燃料のアルコール濃度が判定濃度より高く且つ前記内燃機関の温度が判定上限温度より低いとの判定条件の非成立時には前記フィードバック補正項の算出を強制停止し、前記判定条件の成立時には前記フィードバック補正項の算出を継続する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記内燃機関の温度指標値に基づいて同内燃機関の吸気通路の壁面に付着した燃料の蒸発に伴う誤差分を補償するための付着補正項を算出するとともに同付着補正項に基づいて前記燃料噴射量を補正する壁面付着補正制御を実行する
    請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記壁面付着補正制御は、前記燃料のアルコール濃度が高いときほど前記燃料噴射量の増量補正の度合いが大きくなる値を前記付着補正項として算出する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    当該燃料噴射制御装置は、前記フィードバック補正項の算出を強制停止させることに併せて、同フィードバック補正項を予め定められた所定値に変更するものである
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 機関回転速度の加速に際して前記燃料噴射量を増量補正する加速増量補正制御を実行する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記判定条件は、前記内燃機関の温度が前記判定上限温度より低く且つ判定下限温度より高いこととの条件を含む
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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