JP2013060864A - 内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明は、燃料配管内の燃料圧力を検出する燃料圧力センサの一時的な異常を検出できるようにする。
【解決手段】最近に正常判定したセンサ出力VFPOLDと、最新のセンサ出力VFPとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えた場合には、燃料圧力センサの出力にノイズが重畳するなどの異常が発生したものと判断し、異常判定フラグFLGFPに1を設定し、また、最近に正常判定したセンサ出力VFPOLDに基づき、燃料ポンプの駆動デューティを算出するようにする。そして、燃料圧力センサ33の最新出力を変換して得た実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が、設定時間tSLを超えて継続すれば、異常判定を解除し、異常判定フラグFLGFPを零にリセットする。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の燃料供給制御装置に関し、詳しくは、燃料配管内の実燃料圧力を検出する手段の異常を判定する技術に関する。
特許文献1には、燃料配管内の実燃料圧力と目標燃料圧力との偏差に基づいて、燃料ポンプを制御するフィードバック制御量を設定する一方、実燃料圧力の最大値から最小値を差し引いた変化量や、フィードバック制御量の変化量積算値に基づいて、実燃料圧力を検出するセンサの異常を判定するようにした、内燃機関の燃料供給装置が開示されている。
特許第4193331号公報
しかし、実燃料圧力の最大値から最小値を差し引いた変化量や、フィードバック制御量の変化量積算値に基づき、燃料圧力センサの異常を判定する場合、ショートなどのスタック異常は判定できるものの、燃料圧力センサの出力に対するノイズの重畳などの一時的な異常を検出することができない。このため、一時的な異常が発生したときに、実燃料圧力とは異なるセンサ出力に基づいて燃料ポンプが制御されてしまうことがあった。
そこで、本願発明は、燃料配管内の燃料圧力を検出する手段の一時的な異常を検出できる内燃機関の燃料供給制御装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明では、内燃機関に対して燃料を圧送する燃料配管内の実燃料圧力の変化量を検出し、前記変化量が第1閾値を越えたときに、燃料配管内の実燃料圧力を検出する燃圧検出手段の異常を判定し、異常判定されている状態で、実燃料圧力と目標燃料圧力との偏差が第2閾値を下回ったときに、異常判定を解除するようにした。
上記発明によると、燃料配管内の燃料圧力を検出する手段の一時的な異常を検出でき、一時的な異常に基づいて燃料圧力が誤って制御されてしまうことを抑制できる。
本願発明の実施形態における燃料供給制御装置を含む内燃機関のシステム図である。 本願発明の実施形態における燃料圧力センサの異常判定処理を示すフローチャートである。 本願発明の実施形態における燃料圧力センサの出力にノイズが重畳した状態及び出力変化量の算出特性を示すタイムチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の燃料供給制御装置のシステム構成図である。
図1において、車両用の内燃機関(エンジン)1は、吸気通路(吸気ポート)2に燃料噴射弁3を備え、この燃料噴射弁3は、吸気通路(吸気ポート)2内に燃料を噴射する。
燃料噴射弁3が噴射した燃料は、吸気行程で吸気バルブ4が開くと、空気と共に燃焼室5内に吸引され、点火プラグ6による火花点火によって着火燃焼する。燃焼室5内の燃焼ガスは、排気行程で排気バルブ7が開くと、排気通路8に排出される。
吸気通路2の燃料噴射弁3が配設される部分よりも上流側には、スロットルモータ9で開閉される電子制御スロットル10を設けてあり、この電子制御スロットル10の開度によって内燃機関1の吸入空気量が調整される。
また、燃料タンク11内の燃料を燃料ポンプ12によって燃料噴射弁3(内燃機関1)に圧送する燃料供給装置13が設けられている。
燃料供給装置13は、燃料タンク11、燃料ポンプ12、燃料ギャラリー配管14、燃料供給配管15を含んで構成される。
燃料ポンプ12は、モータでポンプインペラを回転駆動する電動式ポンプであり、燃料タンク11内に配置される。
燃料ポンプ12の吐出口には燃料供給配管15の一端が接続され、燃料供給配管15の他端は燃料ギャラリー配管14に接続され、更に、燃料ギャラリー配管14に燃料噴射弁3の燃料供給口が接続される。
尚、燃料供給配管15内の燃料圧力が既定の最低圧を超えるときに開弁して、燃料供給配管15内の燃料を、オリフィスを介して燃料タンク11内に戻すプレッシャレギュレータや、このプレッシャレギュレータから戻される燃料の流れを利用して燃料を移送させるジェットポンプなどを備えてもよい。
燃料噴射弁3による燃料噴射、点火プラグ6による点火動作、電子制御スロットル10の開度などを制御する制御ユニットとして、マイクロコンピュータを備えるECM(エンジン・コントロール・モジュール)31を設けてある。
また、前記燃料ポンプ12の駆動出力信号を出力する制御ユニットとして、マイクロコンピュータを備えるFPCM(フューエル・ポンプ・コントロール・モジュール)30を設けてある。
ECM31とFPCM30とは相互に通信可能に構成され、ECM31からFPCM30に向けては、燃料ポンプ12の駆動デューティ(印加電圧)の指示信号などが送信される。
尚、本願における駆動デューティ(%)とは、1周期におけるオン時間割合であり、駆動デューティが大きいほど燃料ポンプ12の印加電圧が高くなって、燃料ポンプ12の回転速度が高くなるため、駆動デューティを変化させることで、燃料ポンプ12の吐出量を変化させ、燃料噴射弁3に供給される燃料圧力(燃料配管内の燃料圧力)を制御するように構成されている。
また、ECM31としての機能と、FPCM30としての機能とを兼ね備える1つの制御ユニットを備えることができる。
ECM31には、燃料ギャラリー配管16(燃料配管)内の実燃圧FUPRを検出する燃料圧力センサ(燃圧検出手段)33、図外のアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)ACCを検出するアクセル開度センサ34、内燃機関1の吸入空気流量QAを検出するエアフローセンサ35、内燃機関1の回転速度NEを検出する回転センサ36、内燃機関1の冷却水温度TW(機関温度)を検出する水温センサ37、排気中の酸素濃度に応じて内燃機関1の空燃比の理論空燃比(目標空燃比)に対するリッチ・リーンRLを検出する酸素センサ38などからの検出信号が入力される。
尚、前記酸素センサ38に代えて、空燃比に応じた出力を発生する空燃比センサを備えてもよい。
ECM31は、吸入空気流量QAと機関回転速度NEとに基づいて基本噴射パルス幅TPを演算し、基本噴射パルス幅TPをそのときの実燃圧FUPRに応じて補正する一方、酸素センサ38の出力に基づいて実際の空燃比を目標空燃比に近づけるための空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを演算し、実燃圧FUPRに応じて補正した基本噴射パルス幅TPを、更に空燃比フィードバック補正係数LAMBDAなどで補正して、最終的な噴射パルス幅TIを演算する。
そして、各気筒の噴射タイミングになると、燃料噴射弁3に対して噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を出力し、燃料噴射弁3による燃料噴射量及び噴射タイミングを制御する。
また、ECM31は、内燃機関1の負荷を示す基本噴射パルス幅TPや機関回転速度NEなどに基づいて点火時期(点火進角値)を演算し、該点火時期において点火プラグ6による火花放電がなされるように、図外の点火コイルへの通電を制御する。
また、ECM31は、アクセル開度ACCなどから電子制御スロットル10の目標開度を演算し、実開度が目標開度に近づくようにスロットルモータ9を駆動制御する。
更に、ECM31は、機関運転条件(例えば、機関負荷、機関回転速度、機関温度など)に基づいて燃料ギャラリー配管16(燃料配管)内の目標燃圧TGFUPRを演算し、燃料圧力センサ33が検出した実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRに近づくように、例えば、実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差に基づく比例積分微分制御(PID制御)によって、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出する。
そして、ECM31は、算出した駆動デューティを指示する信号を、FPCM30に出力し、FPCM30は、指示された駆動デューティで燃料ポンプ12への通電のオン/オフを制御する。
このように、本実施形態において、ECM31は、燃料配管内の目標燃圧を設定する手段、及び、実燃圧と目標燃圧とに基づいて操作量を算出する手段としての機能を備え、また、燃料ポンプ12の吐出量を変化させることで、燃料配管内の燃圧を調整するので、燃料ポンプ12が、操作量に応じて燃料配管内の燃料圧力を調整する手段に相当する。
尚、燃料ポンプ12の印加電圧を一定として、燃料配管からの燃料のリリーフ量を電子制御することで、実燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づける構成であってもよく、この場合、リリーフ量の電子制御が可能なプレッシャレギュレータが、燃料配管内の燃料圧力を調整する手段に相当することになる。
また、ECM31は、燃料圧力センサ33(燃圧検出手段)の異常判定を行う手段、及び、異常判定を解除する手段としての機能を備えており、以下では、係る異常判定処理を、図2のフローチャートに従って詳細に説明する。
図2のフローチャートに示すルーチンは、ECM31によって一定時間毎に実行される。
ステップS101では、燃料圧力センサ33の出力電圧VFPのサンプリングを行う。
燃料圧力センサ33は、燃料ギャラリー配管16(燃料配管)内の実燃圧FUPRに比例する電圧の信号を出力するセンサであり、ステップS101では、燃料圧力センサ33の出力信号をA/D変換して求めた電圧データの最新値をサンプリングし、サンプリングした最新の電圧データを、今回値VFPにセットする。
また、ステップS101では、本ルーチンの前回実行時における今回値VFPを、前回値VFPOLDにセットする。
燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)は、今回値VFP(或いは今回値VFPを変換して求めた実燃圧FUPR)に基づいて演算される。
ステップS102(異常判定手段)では、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値(変化量)を算出し(変化量算出手段)、この偏差の絶対値と第1閾値Aとを比較する。
燃料圧力センサ33の正常状態が継続していた場合、前回値VFPOLDは、本ルーチンの前回実行時にステップS101でサンプリングしたセンサ電圧であって、最近に正常であると判断したセンサ電圧である。
従って、ステップS102では、最近に正常であると判断したセンサ電圧を基準とし、この基準電圧(正常センサ電圧)からの最新のセンサ電圧の変化量(偏差)を、第1閾値Aと比較することになる。
尚、燃料圧力センサ33の出力電圧VFPを実燃圧FUPRに変換し、実燃圧FUPRの今回値と前回値との偏差として、実燃圧FUPRの変化量を算出してもよい。また、燃料圧力センサ33の正常状態が継続していた場合、前回値VFPOLDは、本ルーチンの前回実行時にステップS101でサンプリングしたセンサ電圧であるから、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値は、本ルーチンの実行周期当たりのセンサ電圧の変化量であって、センサ電圧の変化速度を示すことになる。
前記第1閾値Aは、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を、実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRに近づくように制御しているときに、燃料圧力センサ33の正常状態では達することがない値であり、燃料圧力センサ33の出力にノイズが重畳するなどの異常が発生して初めて超える値に設定してある。
即ち、燃料ポンプ12の吐出量の最大変化速度や、内燃機関1における最大又は最小燃料消費量や、燃料噴射に伴う燃圧の脈動などを加味しても、燃料配管内の燃料圧力の変化量が超えることがない値に、前記第1閾値Aを設定してある。
従って、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えた場合、即ち、燃料圧力センサ33の出力が正常レベルから急変した場合には、燃料圧力センサ33の出力に例えばノイズが重畳するなどした一時的な異常状態であって、ノイズの立ち上がりや立ち下り部分での変化を検出したものと判断できる。
即ち、図3において、T1の時点でノイズが発生した場合、燃料圧力センサ33の出力電圧が急変するため、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値と第1閾値Aを比較することで、燃料圧力センサ33の一時的な異常を精度よく検出することができる。
一方、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値A以下である場合、即ち、燃料圧力センサ33の出力が正常レベル付近に安定している場合には、燃料圧力センサ33の出力に対するノイズの重畳などの一時的な異常が発生していない、燃料圧力センサ33の正常状態であると判断できる。
そこで、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えていると判断すると、ステップS104へ進み、燃料圧力センサ33の異常判定の有無を示すフラグFLGFPに、異常判定状態であることを示す「1」をセットする。
尚、フラグFLGFPの初期値は零であり、フラグFLGFP=1である異常判定状態において、警告ランプ39を点灯させるなどして、車両の運転者に、燃料圧力センサ33(燃料供給系)の異常を警告することができる。
また、ステップS104では、今回ステップS101で設定した今回値VFPに前回値VFPOLDの値、即ち、本ルーチンの前回実行時における燃料圧力センサ33の出力電圧をセットする更新処理を行う。
前回までセンサ電圧が正常で、今回サンプリングした電圧が異常値(ノイズ成分)であったため、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値(変化量)が第1閾値Aを超えた場合、今回サンプリングしたセンサ電圧(ノイズ成分)に基づいて、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させると、実際の燃料圧力とは異なる圧力に基づき、駆動デューティ(操作量)を算出することになり、実際の燃料圧力が目標からずれて、内燃機関1における空燃比制御性などが低下する。
そこで、燃料圧力センサ33の正常状態での最後の出力である前回値VFPOLDに基づいて燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させるために、今回値VFPに対し、今回サンプリングした出力電圧(ノイズ成分)に代えて、本ルーチンの前回実行時における燃料圧力センサ33の出力電圧、換言すれば、正常状態での出力電圧をセットするものである。
このように、今回サンプリングした出力電圧がノイズ成分であると判断すると、正常状態での出力である本ルーチンの前回実行時における出力電圧を今回値VFPにセットするので、次回の本ルーチン実行時において、前回値は実際にはノイズ成分であるものの、正常値を前回値VFPOLDとして設定することになる。従って、次回の本ルーチン実行時に、ステップS102では、正常状態での出力電圧に対する最新の出力電圧の変化量が演算されることになる。
そして、次回も今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えていると判断した場合には、ステップS104へ進むが、このときの前回値VFPOLDは、ノイズ判定前の正常値がセットされているから、係る正常値を、ノイズ成分である出力電圧に代えて今回値VFPにセットすることで、引き続き、正常状態での出力電圧に基づき燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させることになる。
例えば、図3に示すように、T1の時点で今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えていると判断すると、T1の時点での今回値VFPに対し、T1の時点でのサンプリング値に代えて、前回のT0の時点でのサンプリング値をセットする。
そして、次回のT2の時点では、T1の時点で今回値VFPを前回値VFPOLDとするが、T1の時点で今回値VFPとしてT0の時点でのサンプリング値がセットされているので、T2の時点での前回値VFPOLDも、T0の時点でのサンプリング値、即ち、異常発生直前の出力電圧に設定される。
T2の時点でも、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値Aを超えていると判断すると、T2の時点での今回値VFPに対し、T2の時点でのサンプリング値に代えて、前々回のT0の時点でのサンプリング値をセットする。
従って、出力電圧が異常である間は、異常発生直前の(図3におけるT0時点での)出力電圧に基づき、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)が算出されることになり、ノイズ成分などの異常出力に基づき駆動デューティ(操作量)が算出されてしまうことを抑制できる。これにより、実際の燃料圧力を目標付近に安定させて、内燃機関1における空燃比の制御精度を維持できる。
一方、ステップS102で、今回値VFPと前回値VFPOLDとの偏差の絶対値が第1閾値A以下であると判断した場合には、ステップS103へ進む。
ステップS103では、フラグFLGFP=1であるか否かを判別し、フラグFLGFP=0であって、燃料圧力センサ33の正常判定状態であれば、フラグFLGFP=0の状態を継続し、最新にサンプリングしたセンサ電圧VFPに基づき、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させればよいので、ステップS108へ進む。
一方、フラグFLGFP=1であって、燃料圧力センサ33の異常が判定されている状態であれば、ステップS102で、|VFP−VFPOLD|>Aであると判断した場合と同様に、前記ステップS104へ進む。
ステップS104に進んだ異常判定状態では、続いてステップS105へ進み、異常判定を解除できるか否かを判断する。
ステップS105では、実燃圧FUPR(燃料圧力センサ33の最新出力を変換して得た実燃圧FUPR)と目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値を算出し(偏差算出手段)、この偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が、設定時間tSLを超えて継続しているか否かを判断する。
前記第2閾値Bは、実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRに安定的に収束しているときに、前記偏差の絶対値が下回る値であって、収束状態での燃料噴射に伴う燃圧の脈動によっては、前記偏差の絶対値が超えることがない値に設定してある。
また、設定時間tSLは、目標燃圧TGFUPRへの収束状態が安定したと判断できる収束状態の最小継続時間であり、設定時間tSLを上回って収束状態(実燃圧FUPRが、目標燃圧TGFUPR±第2閾値Bの範囲内である状態)が継続した場合は、収束状態に安定したと判断できるようにしてある。
尚、収束状態への安定とは、その時点以降も収束状態の継続が見込まれることを示すものとする。
従って、実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が、設定時間tSLを超えて継続していれば、実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPR付近に安定して収束している状態であると判断できる。
実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が設定時間tSLを超えて継続していれば、燃料圧力センサ33の出力にノイズが重畳するなどして一時的に異常になったとしても、その後、ノイズの重畳が停止して正常レベルに安定的に復帰したことで、継続的な収束状態が得られているものと推定できる。
一方、実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が、設定時間tSLを超えて継続していない場合には、そのときの出力が、正常レベルに近いとしても、ノイズ重畳状態から脱したとは言えず、例えば、正常レベルを挟んでセンサ出力が振動している途中である可能性がある。
このため、実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値B以上であるか、又は、前記偏差の絶対値が第2閾値Bを下回っているものの、係る状態の継続時間が設定時間tSL以下である場合は、ステップS106へ進み、フラグFLGFP=1の状態、即ち、燃料圧力センサ33の異常判定状態を継続させる。
一方、実燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差の絶対値が第2閾値Bを下回る状態が、設定時間tSLを超えて継続していれば、ノイズ重畳などの一時的な異常状態から脱したものと判断し、ステップS107(異常判定解除手段)へ進み、フラグFLGFPをゼロにリセットし、異常判定を解除する。
このようにして異常判定が解除されれば、燃料圧力センサ33の最新出力に基づき燃料ポンプ12の駆動デューティを算出する状態に復帰し、高い精度で燃料圧力を制御できるようになる。
尚、燃料圧力センサ33の異常判定を行った後、解除限界時間に達しても、異常判定(フラグFLGFP=1)が解除されなかった場合には、燃料圧力センサ33の異常は、ノイズの重畳などの一時的な異常ではなく、スタック故障(センサ出力が高出力側又は小出力側に張り付く故障)である可能性があるので、別途、スタック故障の判定を行い、燃料圧力センサ33の出力に基づく燃料ポンプ12の駆動デューティの算出を停止し、駆動デューティをスタック故障に適合する値として予め設定されたデューティに固定するなどのフェイル処理を行うことが好ましい。
ステップS108では、今回値VFPに基づき、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)の算出を行う。具体的には、燃料圧力センサ33の出力電圧である今回値VFPに基づき実燃圧を検出し、この実燃圧が目標燃圧TGFUPRに近づくように、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出する。
ここで、ステップS106へ進んでフラグFLGFPに1をセットした場合には、前述のように、今回値VFPに対して、最も最近に正常判定した出力電圧がセットされるから、この正常値に基づき燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させることができる。
この場合、今回値VFPは最新値ではなく、過去のセンサ出力値となるが、目標燃圧が安定している場合には、今回値VFPに基づき駆動デューティ(操作量)を算出させることで、燃圧制御の精度を十分に維持できる。
一方、目標燃圧が変化するときには、過去のセンサ出力値を継続して用いると、燃圧の制御精度が低下してしまう。即ち、目標燃圧が変化するときには、過去のセンサ出力値を継続して用いると、目標燃圧の変化によって生じた燃圧偏差を解消しようとして操作量を変化させ、これによって実燃圧が変化しても、操作量の演算に用いる燃圧の検出値が変化しないため、実燃圧を目標燃圧付近に制御することができず、また、燃料噴射パルス幅を実際の燃圧とは異なる圧力に基づき補正することになってしまい、失火やエンストを招く可能性がある。
そこで、目標燃圧が変化する場合には、燃料配管や燃料ポンプ12などの作動特性や位相遅れを考慮した燃料供給系の規範モデルを元に、今回値VFPを基準として燃圧変化を予測し、この予測した燃圧に基づき、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出させたり、燃料噴射パルス幅を補正したりすることができる。このようにすれば、目標燃圧が変化しても、実燃圧を目標燃圧付近に制御でき、また、燃料噴射パルス幅を略実燃圧に応じて補正することができ、失火やエンストの発生を抑制できる。
一方、フラグFLGFP=0であって、燃料圧力センサ33が正常状態である場合には、今回値VFPは、燃料圧力センサ33の最新の出力値であって、かつ、ノイズ成分ではなく実際の燃圧に見合う値であるから、今回値VFPに基づいて燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出し、また、燃料噴射パルス幅の補正を行うことで、目標燃圧が変化しても、実燃圧を目標燃圧に制御でき、また、燃料噴射パルス幅を実燃圧に応じて補正することができる。
上記実施形態によると、燃料配管内の燃料圧力を検出する燃料圧力センサ33(燃圧検出手段)の一時的な異常を検出でき、一時的な異常による実際とは異なる検出結果に基づいて、燃料ポンプ12の駆動デューティが誤って算出されることを抑制でき、燃料圧力の制御精度、引いては、内燃機関1における空燃比制御精度の低下を抑制できる。
また、正常時のセンサ出力を基準とし、係る基準値からのセンサ出力の変化量に基づいて、燃料圧力センサ33の一時的な異常を検出するので、異常発生後のセンサ出力変化が比較的小さい状態でも異常の継続を検出でき、一時的な異常を精度良く検出できる。
また、実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPR付近に安定して収束していることを条件に、一時的な異常の判定を解除するので、異常判定を適切なタイミングで解除でき、一時的な異常から脱したときに、可及的速やかに燃料圧力センサ33の正常時における制御、即ち、燃料圧力センサ33の最新出力に基づく燃料ポンプ12の駆動デューティの算出に復帰させることができる。
また、燃料圧力センサ33の異常判定期間(フラグFLGFP=1である期間)において、直前の正常時の出力に基づいて燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)を算出するので、一時的な異常発生中も、燃料ポンプ12が誤って制御されることで実燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRからずれてしまうことを抑制できる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)前記異常判定解除手段が、前記偏差が第2閾値を下回っている状態が、設定時間を越えて継続した場合に、前記異常判定手段による異常判定を解除することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
上記発明によると、実燃料圧力と目標燃料圧力との偏差が第2閾値を下回って、実燃料圧力が目標燃料圧力に充分に近づいたと判断され、かつ、その状態が設定時間だけ継続すると、燃圧検出手段の一時的な異常は安定して解消されているものと判断し、異常判定を解除する。
従って、燃圧検出手段の一時的な異常が安定して解消されていることを、可及的速やかにかつ的確に判断できる。
1…内燃機関、11…燃料タンク、12…燃料ポンプ、15…燃料ギャラリー配管、16…燃料供給配管、30…FCM(フューエル・コントロール・モジュール)、31…ECM(エンジン・コントロール・モジュール)、33…燃圧センサ(燃圧検出手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関に対して燃料を圧送する燃料配管内の実燃料圧力を検出する燃圧検出手段と、
    前記燃料配管内の目標燃料圧力を設定する目標設定手段と、
    前記燃料配管内の燃料圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記実燃料圧力と前記目標燃料圧力とに基づいて前記圧力調整手段の操作量を算出し、前記圧力調整手段に出力する操作量算出手段と、
    を備えた内燃機関の燃料供給制御装置において、
    前記実燃料圧力の変化量を検出する変化量検出手段と、
    前記変化量が第1閾値を超えたときに、前記燃圧検出手段の異常を判定する異常判定手段と、
    前記実燃料圧力と前記目標燃料圧力との偏差を算出する偏差算出手段と、
    前記異常判定手段によって異常判定されている状態で、前記偏差が第2閾値を下回ったときに、前記異常判定手段による異常判定を解除する異常判定解除手段と、
    を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料供給制御装置。
  2. 前記変化量検出手段は、前記変化量が前記第1閾値以下であるときの実燃料圧力からの変化量を算出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  3. 前記操作量算出手段が、前記燃圧検出手段の異常が判定されている期間において、前記変化量が前記第1閾値以下であるときの実燃料圧力に基づいて前記操作量を算出することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
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