JP5206334B2 - クロロポリシランの製造方法 - Google Patents

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本発明は半導体材料等に重用される、<式2>SinCl2n+2(但しnは2以上の整数である)で表されるクロロポリシランの製造方法に関し、有害な塩素を含む排ガスを発生せず、省エネルギーで安全な製造方法である。
近年のエレクトロニクス技術の発達により、アモルファスシリコン等の半導体用シリコンの需要が増加してきている。そのような中で、シリコンソースとしてのSi26(ジシラン)は、化学気相蒸着(CVD)によるシリコン膜の成長速度がSiH4(モノシラン)と比較して非常に大きく、できた膜の電気特性も優れていることが確認されて重用されるようになった。六塩化二ケイ素(Si2Cl6)を代表例とするクロロポリシランはこのジシランの原料として、その製造方法について多くの研究がなされてきた。
例えば特許文献1には、ケイ素合金またはケイ素粒子を高温で塩素化して得られる重合度の異なるクロロポリシランの混合物を再度塩素化することによって六塩化二ケイ素と四塩化ケイ素とに転化する方法が開示されているが、詳細な説明には、高級塩化物(クロロポリシラン)の塩素化工程は250℃―600℃もの高温で実施され、添加する塩素は不活性気体によって1−90mol%濃度に希釈して加えることが望ましいとの記載があった。特許文献1では全ての実施例においてアルゴン/塩素を4/5の比率で使用されたことが開示されていたので、反応器が密閉系であれば不活性なアルゴンガスの導入により反応器内圧が上限なく上昇してしまうことは明らかであり、実施例の塩素化反応は大気圧下で、塩素を含むガスを流通させながら実施されたものと推測される。
また、最近になってSi26に代わってクロロポリシランをCVD材料として用いる方法が開発され、高純度のクロロポリシランへの需要が急激に高まったが、特許文献1で開示されたような従来の方法で得られるクロロポリシランには原料に由来する不純物を多く含むものであり、高純度化が難しかった。そこで、例えば特許文献2には、高純度のクロロシラン類と水素を原料とする多結晶シリコン製造プロセスの排ガスから高純度の六塩化二ケイ素を得る方法が開示されている。
特許文献2の製造方法では、系に水素が含まれるためテトラクロロジシラン等の水素化クロロポリシランが副生するが、さらに塩素と反応させることによって塩素化脱水素反応を行ない、六塩化二ケイ素の収量を高めることができることが開示されている。しかし、反応後に塩素が残留していると有害な粉末が発生する原因となるという問題点も指摘され、未反応の塩素を不活性ガスによるバブリング等の方法で系外に除く工程を含むことが好ましいことが開示されている。実施例ではクロロポリシラン混合物に対して重量で5〜10%の塩素ガスを加えて反応させ、添加塩素の3倍程度の不活性ガスで脱気する方法の具体的例示があった。
このことは、有害な塩素を含む排ガスが多量に排出されることを意味するので、排ガスを無害化する除害設備が必要になるが、例えば塩化水素ガスは単純に水と接触させれば速やかに吸収されて有価値の塩酸を生ずるのに比べて、塩素ガスは水に吸収され難く無害化の難しいものである。なお、特許文献2の実施例2,4で開示された塩素の添加量は原料組成の分析値から算出される塩素の反応モル当量の100%を超えるものであった。
特開昭59−195519号公報 国際公開WO02/012122号パンフレット
<式1>SinxCl2n+2-X(但しnは2以上の整数、xは1以上2n+1以下の整数である)で表される水素化クロロポリシランを塩素化して<式2>SinCl2n+2(但しnは2以上の整数である)で表されるクロロポリシランを製造する方法が知られていたが、従来技術では有害な塩素を含む排ガスを多量に排出する可能性があった。本発明は、多量のバブリングガスや脱気のための特別な装置を必要とせず、省エネルギーで安全なクロロポリシランの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、<式1>SinxCl2n+2-X(但しnは2以上の整数、xは1以上2n+1以下の整数である)で表される水素化クロロポリシランを塩素化して<式2>SinCl2n+2(但しnは2以上の整数である)で表されるクロロポリシランを製造する際に、水素化クロロポリシランの量から理論的に算出される反応モル当量よりも少ない量の塩素を水素化クロロポリシランに添加し、反応器に一定条件で密封することによって塩素を完全に消費し、塩素を含んだ排ガスを排出しない安全な製造方法を完成した。
本発明の製造方法によれば、水素化クロロポリシランから半導体材料として有用なクロロポリシランを、有害な塩素を含む排ガスを排出せず、また多量の不活性ガスを用いないで製造することができるので、安全、簡便で省エネルギーな製造方法を与えるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<水素化クロロポリシラン>
本発明で用いる水素化クロロポリシランは、<式1>SinxCl2n+2-X(但しnは2以上の整数、xは1以上2n+1以下の整数である)で表されるものである。このうち好ましいnは2または3であり、さらには2である。水素化クロロポリシランの具体例としてはSi2Cl6、Si3Cl8、Si4Cl10、Si5Cl12、Si6Cl14の中から一つ以上を選択されるクロロポリシランの1つ以上のCl基がHに置換されたものであり、さらにこれらの成分の中で1つ以上のCl基がBr、IなどのCl以外の1価の基と置換したものも含まれる。これらの内で好ましいのは、水素化クロロポリシランの主成分がSi2HCl5、Si22Cl4、Si23Cl5、Si24Cl2、Si25Clの中から少なくともひとつ選択されるものであり、さらに好ましくは水素化クロロポリシランの主成分がSi22Cl4であるものである。
本発明では、水素化クロロポリシランに対して不活性な溶媒を含んでもよく、その場合はクロロポリシランは処理液の主成分でなくてもよい。水素化クロロポリシランに対して不活性な溶媒としては水素化クロロポリシランと常温で化学反応を起こすものでなければ何でも用いることができるが、好ましくは本発明の塩素化反応において水素化クロロポリシランよりも活性の低いものである。具体的にはn−ヘキサンや四塩化炭素等の通常の溶媒の他に、SiCl4等のケイ素化合物も含まれ、SiHCl3も用いることができる。
<塩素化反応>
本発明の塩素化反応は、式3で示される化学反応であるが、添加する塩素の総量は式1で表される水素化クロロポリシランの量を基に式3の反応が起こるとして算出される反応モル当量の100%より少ない量である。添加する塩素の量は、あまり少なすぎると得られるクロロポリシランの量が少なくなるので少なくとも反応モル当量の1%以上が必須であり、好ましくは30%以上さらには50%以上であり、上限は100%未満である。水素化クロロポリシランの他に塩素と反応して塩素を消費してしまう物質が含まれている場合には理論値から除外する。工業的に水素化クロロポリシランと共存する可能性の高いSiHCl3については、通常は本発明の方法を行う前に蒸留によって除くことが好ましいが、含まれる場合でも試験的に塩素化反応を行った結果から反応率を決定し、係数をかけて除外することができる。特に反応条件によっては水素化クロロポリシランの塩素反応が優先して起こる場合があるので、その場合は共存しても影響がさらに小さくなる。

SinxCl2n+2-X+1/2xCl2 = SinCl2n+2+xHCl <式3>
(但しnは2以上の整数、xは1以上2n+1以下の整数である)
<塩素の添加>
本発明の塩素化反応のために添加する塩素は、通常ボンベ等に充填されて販売されている工業製品を、特にそれ以上精製することなく、そのまま使用することができる。反応器に添加する前に濃硫酸やシリカゲル等で脱水処理することも可能であり、また、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素、四塩化ケイ素、六塩化二ケイ素等の反応系に対し不活性なガスや液体で希釈して添加することもできる。添加量はマスフローコントローラーや熱式ガス流量計等の一般的な流量計を用いて計量して添加することができる。
塩素は不活性ガスで希釈して反応器に導入することもできる。しかし、あまり多量の不活性ガスの使用はコスト高である上、反応器が密封されていた場合には、導入した分だけ内圧を上昇させてしまうので、内圧を制御したい場合には制御が難しくなる。好ましいのは塩素だけを希釈せずに用いることや、塩素に対して体積で10%未満の不活性ガスを用いることである。不活性ガスを用いる場合は、全量を塩素ガスの希釈に用いてもよいが、一部を塩素とは混合せずにおいて、塩素含有ガスを流通させた後の配管パージに用いる事も好ましい。
塩素ガスあるいは混合ガスは反応器のどこからでも導入して良いが、好ましくは反応器底部の接液部であり、その場合は有害な塩素ガスの滞留や残留を防ぐことができるので好ましい。塩素の導入は全量を最初に導入しても、連続的や間欠的に導入しても良いが、好ましいのは反応熱や副生ガスの制御が容易だと言う点で間欠的に導入することである。
式3の反応は塩素の添加後、速やかに進行するが、塩素の添加後に熟成期間を保って反応を完結させると、塩素と水素化クロロポリシランとから生じた反応中間体が不均化反応やその逆反応によって安定化する結果、式2で表されるクロロポリシランの収量が増加するため好ましい。この時の好ましい条件は塩素添加時と同様の温度、圧力であり、好ましい熟成時間は1分以上200時間以下さらには1時間以上100時間以下である。
本発明の塩素化反応に使えるのは、気−液反応が効果的に行なえ、反応温度の制御が可能な反応器であれば何でも良いが、好ましくは真空から加圧に十分耐える容器であり、材質も鉄、SUS、グラスライニング、ハステロイなど何でも用いることができる。反応温度制御の手段としては反応器内部に保護管付の熱電対を差し込んで液相部分の温度を測定し、ジャケットに熱媒や冷媒等を流通させて内温を制御する一般的な方法を用いることができるが、蒸留塔を設けて揮発成分の気化熱や冷却液化した還流液を戻すことによる冷却効果も利用することができる。反応器にはまた、破裂板等の安全弁を備えていることも好ましく、破裂板を用いる場合は腐食防止の処理が施されたものが好ましい。
反応器には攪拌器を備えていても良く、その場合はプロペラ翼、タービン翼、アンカー翼などいずれの形状でも用いることができるが、塩素は式1の水素化クロロポリシランには速やかに溶解し、また、式3の反応で生成するHClは気泡となって反応液を攪拌する効果があるので、本発明の製造方法において攪拌器は必須ではない。また、反応器内部はあらかじめ乾燥して不活性ガスで充満しておくことが好ましい。
<反応温度>
本発明における塩素化反応の反応温度は高いほうが反応速度が高くなり、速やかに反応が終結するが、一方で、低いほうが反応の選択性が高まり好ましい。具体的には0℃から100℃の範囲、さらには10℃から60℃の範囲内で塩素化反応を行なうと、式3で表される水素化クロロポリシランの塩素化反応が選択的に起き、トリクロロシランの塩素化反応やクロロポリシランの分解反応などといった副反応が起き難いので好ましい。
<内圧制御>
反応器には必要に応じて圧力計につながる配管を接続して、内部の圧力を測定することができる。内部圧力が低すぎる場合は吹き込み配管を通じて窒素等の不活性ガスを導入し、内部圧力が高すぎる場合は上部に設けられた排出配管を通じて気相部のガスを外部に放出して内圧を制御できる反応器を例示することができる。本発明の塩素化反応は減圧〜加圧の条件において実施することができるが、好ましい圧力は0.102MPa以上5MPa以下であり、さらには0.11MPa以上0.5MPa以下である(1MPaは、1メガパスカルすなわち1000000Paの絶対圧力を意味する)。本発明の塩素化反応の好ましい温度範囲は、反応の選択性を上げるために比較的低いところであるため、化学反応の速度は遅くなるが、反応器内圧を上げるとより多くの塩素が液中に溶け込むために式3の塩素化反応が速やかに進行するから好ましい。しかし、あまり高圧にすることは装置のコストが上がり、危険性も伴うので、さらに好ましい上限が選択される。圧力制御装置は機械式、電気式などいずれの方法も好ましく用いることができ、圧力センサーには一般的な耐腐食構造を持つものを好ましく用いることができる。
本発明の塩素化反応は、好ましくは0.102MPa以上の圧力下で実施されるが、反応中に圧力を変動させたり、終了後に内圧を解除することもできる。内圧を減少させるとき、反応液中に溶け込んでいるガス成分が気化してくるが、塩素化の反応速度は速いため、塩素を導入添加してから少なくとも30秒経過すれば内圧を減少させても塩素ガスは気化してこず、気化してくるガス成分はHClのみである。従って、塩素を間欠的に加えるときは、塩素添加後30秒以上経過してから内圧を減少させることにより、反応液中に溶け込んだHClを気化させて除くと共に、気泡による攪拌作用ももたらすことができるため、好ましい方法であり、この操作を繰り返すことによって反応器の内圧を一定の上限以下にしながら所定量の塩素を添加することができる。そして、内圧が危険なほど高くならなければそのまま内圧を減少させることなく保持して熟成に移行しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、純度に係る%は質量%を、反応当量に係る%はモル%を意味する。
<水素化クロロポリシランおよびクロロポリシラン等のガスクロマトグラフ分析方法>
分析装置 :ガスクロマトグラフ(型式「5890」)、ヒューレットパッカード社製
検出器 :TCD
検出器温度:300℃
カラム :「TC−5」(長さ25m、内径0.53mm)、GLサイエンス社製
キャリアーガス:ヘリウム
試料注入口温度:270℃
カラム昇温条件:50℃〜300℃(昇温速度:毎分10℃)
チャートに現れた成分ピークの面積の全ピーク面積に対する比を、各成分の質量組成比の推定値として用いた。全ピーク面積の合計に対する成分ピーク面積の百分率を面積%と呼ぶ。
<実施例1>
内容量100LのSUS−316L製の反応器を窒素置換したものに、表1の仕込み組成の混合液を50kg仕込み、密封された反応器に窒素ガスを導入して内圧を0.11MPaとした。表1仕込みと反応後の組成はガスクロによる面積%に基づく。反応器の外部ジャケットに17.3℃の冷却水を循環させ、反応器底部の導入孔に接続したガス配管から塩素ガスを導入した。塩素ガスは純度98%品の塩素ボンベから毎分20リットルの流速で間欠的に供給し、塩素ボンベの風袋込み重量の測定によって、導入添加した塩素の正確な重量を測定した。
約8時間かけて15.61kgの塩素を添加した。これは純塩素に換算してクロロポリシランのSi−H結合の反応当量に対して99モル%にあたる。
塩素添加の期間に、反応液内温は18℃から21℃まで上昇した。この後は内温上昇はなくなったので、ジャケットの循環水の温度を17.3℃から最大45℃まで上昇させて、反応器内温を18℃〜22℃の範囲内に保った。また、反応器の内圧を監視したが、最初の4時間は塩素ガスの添加と共に上昇してきたので気相部のガスを間欠的に水スクラバーに排出した。
ガスの排出は、反応器の内圧が上昇して0.12MPaに達した時にいったん塩素の添加を止め、1分経過してから気相部のガスを反応器外に放出して反応器の内圧を0.11MPaにした。排出されたガスの組成をガスクロで測定したが、塩素や塩化ケイ素は含まれておらず、窒素とHClだけしか検出されなかった。塩素の添加終了後、内圧を0.11MPaに保って92時間熟成を行なった。そして塩素化反応を終了し、内圧を大気圧に下げて液相部を取り出した。取り出した液相部のガスクロ分析の結果を表1の実施例1「反応後」として示した。
<実施例2>
トリクロロシランとテトラクロロシランを含む表1実施例2の仕込み組成の混合液50kgを反応器に仕込み、仕込み組成の水素化クロロポリシランの量から算出される反応モル当量の99%として14.45kgの塩素を8時間かけて添加した。内圧上昇とそれに対する対応も実施例1と同一であり、内温上昇も同じであった。塩素の添加期間の終了後、反応器内温を18℃〜22℃の範囲内に保って92時間熟成した後の液組成を表1に示した。この条件ではトリクロロシランは0.7モル反応したことになるので、その分の塩素は差し引くと、実際には水素化クロロポリシランの反応モル当量の98.8%を添加したことになる。また、排ガスのガスクロ分析には痕跡量のトリクロロシランとテトラクロロシランのピークが表れたが、定量できるほどの量ではなかった。また、塩素ガスは検出されなかった。
<実施例3>
仕込み組成を実施例2と同じくトリクロロシランとテトラクロロシランを含む表1実施例3の組成とした。仕込み組成の水素化クロロポリシランの量から算出される反応モル当量の99%として14.45kgの塩素を8時間かけて添加した。また、最高90℃の温水をジャケットに通して反応器内温を68℃〜72℃の間で反応を行った。内圧上昇とそれに対する対応も実施例1と同一であったが、内温上昇は、反応前の68℃から塩素添加開始後に71℃まで上がり、以降は反応器内温を68℃〜72℃の範囲内に保つよう適宜ジャケットの温水の制御を行なって92時間熟成を行なった後の液組成を表1に示した。この条件ではトリクロロシランは1.8モル反応したことになるので、その分の塩素は差し引くと、実際には水素化クロロポリシランの反応モル当量の98.5%を添加したことになる。排ガスのガスクロ分析には痕跡量のトリクロロシランとテトラクロロシランのピークが表れたが、定量できるほどの量ではなかった。排ガスに塩素は検出されなかった。
実施例2および3の結果は反応温度が低いほうがトリクロロシランと比較して水素化クロロポリシランの方が反応し易く、トリクロロシランが共存しても水素化クロロポリシランが選択的に反応することを示している。
<実施例4>
実施例1と同じ条件で、8時間かけて塩素を添加してクロロポリシランの塩素化反応を行なった。内温上昇は実施例1と同じであった。その後、熟成をせずにすぐに液組成の分析を行った結果を表1に示した。排ガスに塩素ガスは検出されなかった。得られた六塩化二ケイ素は実施例1に比べて若干少なかった。
Figure 0005206334
(単位:ガスクロマトグラフ分析に基づく質量%)
<比較例1>
加える塩素の量を水素化クロロポリシランの反応当量の150モル%としたうえで体積で3倍量の窒素ガスで希釈し、大気圧下で約6時間かけて連続的に23.6kgの塩素を添加した。排ガスは連続で放出させた。最初の4時間まで、排ガス中に0.002〜0.1%の塩素ガスが含まれていた。4時間を過ぎると内温上昇はなくなり、排ガス中の塩素ガス濃度が20%を超えた。この塩素ガスは水スクラバーでは吸収することができず、スクラバー周辺に強い塩素臭が立ち込めて危険になったため、直ちに反応を中止した。



Claims (5)

  1. 式1で表される水素化クロロポリシランを含む液体と塩素とを反応させて式2のクロロポリシランを得る塩素化反応において、塩素の添加量が式1から計算される反応モル当量の1%以上100%未満であり、上記塩素の少なくとも一部を加えた後、反応器内で少なくとも30秒間以上の密封状態を保つことによって反応後に有害な塩素ガスを排出しない、クロロポリシランの製造方法。
    SinxCl2n+2-X <式1>
    (但しnは2以上の整数、xは1以上2n+1以下の整数である)
    SinCl2n+2 <式2>
    (但しnは2以上の整数である)
  2. 塩素化反応中の反応器内圧を0.11MPa以上0.5MPa以下に保つ、請求項1のクロロポリシランの製造方法。
  3. 添加する塩素を希釈せずに用いる請求項1または2のクロロポリシランの製造方法。
  4. 塩素化反応を0℃〜60℃で行なう、請求項1〜のいずれかのクロロポリシランの製造方法。
  5. 塩素の添加後、1−100時間熟成させて反応を完結する、請求項1〜のいずれかのクロロポリシランの製造方法。
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