JP5205035B2 - 光ビーム分岐装置、照射装置、光ビームの分岐方法、電子デバイスの製造方法、および精密部品の製造方法 - Google Patents
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このような光ビームを用いた加工などにおいて、例えば、レーザ発振器の出力が十分な場合には、レーザ光を分岐して複数の加工点における照射を行わせることで、エネルギーを有効に活用することが行われている。例えば、回動ミラーを用いてレーザ光を時間多分岐させ、複数の加工点における照射を行わせる技術が提案されている(特許文献1を参照)。また、分岐用ミラーを用いてレーザ光を同時多分岐させ、複数の加工点における照射を行わせる技術が提案されている(特許文献2を参照)。
そして、分配率が変動すると各加工点に分岐されるエネルギーの比率が変わり、加工不良や品質のバラツキが発生するおそれがある。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光ビーム分岐装置を例示するための模式構成図である。尚、図1においては、図面の煩雑化を避けるため一部の光のみを表し、他は省略するものとしている。
また、図2は、アレイレンズを例示するための模式図であり、図3は、分割レンズを例示するための模式図である。
また、図4は、エネルギー強度の略均一化を例示するための模式グラフ図である。
また、光ビーム分岐装置1は、光ビームの出射手段20と、出射された光ビームを反射してその方向を90°変えるためのミラー21、22と、により形成される光路23上に設けられている。尚、光ビーム分岐装置1を備えた照射装置24については後述する。
図2に示すように、第1のアレイレンズ2は、2つのシリンドリカルアレイレンズ2a、2bを互いに垂直に交わる方向に所定の間隔をおいて配置している。また、第2のアレイレンズ3も同様に、2つのシリンドリカルアレイレンズ3a、3bを互いに垂直に交わる方向に所定の間隔をおいて配置している。
尚、第1のコンデンサレンズ4は、第2のアレイレンズ3のシリンドリカルアレイレンズ3bから出射した光ビームを重ね合わせるようにして第1の分割レンズ5の入射面に集光させるものである。
このようにして、入射する光ビームのエネルギー強度の面内分布の略均一化が図られているため、第1の分割レンズ5の入射面に集光される光ビームも線図Bに示すようにエネルギー強度の面内分布が略均一となっている。また、入射する光ビームのビーム断面形状も矩形となっているため、第1の分割レンズ5の入射面に集光される光ビームのビーム断面形状も矩形となっている。
この場合、シリンドリカルアレイレンズ2aと、第1の分割レンズ5との位置は、シリンドリカルアレイレンズ3aとコンデンサレンズ4に対して共役な位置関係となっている。そのため、ビームの断面形状が矩形で、エネルギー強度の面内分布の略均一化な光ビームを第1の分割レンズ5上に転写(結像関係、共役な位置関係)させることができる。
さらに詳細に説明すれば、第1の分割レンズ5の上半分(図1における左側半分)のレンズと第2のコンデンサレンズ10a、10bの集光位置とが、第2の分割レンズ6の上半分のレンズと第2のコンデンサレンズ10a、10bの下半分(図1における右側半分)のレンズとに対して共役な位置関係となるようにされている。
また同様に、第1の分割レンズ5の下半分(図1における右側半分)のレンズと第2のコンデンサレンズ10a、10bの集光位置とが、第2の分割レンズ6の下半分のレンズと第2のコンデンサレンズ10a、10bの上半分(図1における左側半分)のレンズとに対して共役な位置関係となるようにされている。
ここで、仮に、第2のコンデンサレンズ10a、10bの集光位置が共役な位置関係からずれている場合には、像(第1の分割レンズ5の像)がぼけてしまい、集光面13a、13b上で矩形であったはずのビームの断面形状がやや丸くなったり、エネルギー強度の分布が「山形」になったりしてしまう。そのため、第1の分割レンズ5の位置では、ビームの断面形状が矩形、エネルギー強度の面内分布が略均一であったとしても、ビームの断面形状やエネルギー強度の分布を受け継ぐことができないことになる。
本実施の形態においては、第1の分割レンズ5と、第2のコンデンサレンズ10a、10bの集光位置とが、第2の分割レンズ6と、第2のコンデンサレンズ10a、10bと、に対して共役な位置関係、となるようにされているので、第1の分割レンズ5の位置におけるエネルギー強度の面内分布が略均一で、ビームの断面形状が矩形の光ビームを集光面13a、13b上に転写(結像関係、共役な位置関係)させることができる。
図1に示すように、照射装置24は、光ビームの出射手段20と、出射された光ビームを反射してその方向を90°変えるためのミラー21、22と、光ビーム分岐装置1とを備えている。尚、ミラー21、22は、必ずしも必要ではなく、例えば、出射手段20から出射した光ビームを光ビーム分岐装置1に直接入射させることもできる。
尚、図1において例示をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図5に示すように、光ビーム分岐装置1aには、第1のアレイレンズ2、第2のアレイレンズ3、第1のコンデンサレンズ4、第1の分割レンズ5、第2の分割レンズ6、ミラー7c、ミラー9a、9b、第2のコンデンサレンズ10a、10bが設けられている。
方向変換手段であるミラー7cは、第1の反射面7c1と第2の反射面7c2とを有し、第1の反射面7c1と第2の反射面7c2とがなす角度が90°となるようになっている。尚、第1の反射面7c1と第2の反射面7c2とがなす角度は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
図1に示すように、照射装置24には、光ビーム分岐装置1、出射手段20、ミラー21、22が設けられている。そして、出射手段20から出射された光ビームの光路23上に光ビーム分岐装置1が設けられている。
また、集光面13a、13bとなる部分には、被照射物を載置、保持可能とする移動手段35(図9を参照)を設けることができ、移動手段35上に載置、保持された被照射物の照射面が集光面13a、13bとなるようにすることもできる。
この場合、エキシマレーザ照射手段には、波長が400nm以下となる、例えば、KrF(波長248nm)またはArF(波長193nm)などのエキシマレーザ光を出射するエキシマレーザ発振器や、エキシマレーザ発振器から出射されたエキシマレーザ光を整形などするための光学系(例えば、ビーム整形レンズ、絞りマスク、偏向ミラー、結像レンズなど)などを設けるようにすることができる。
出射手段20(例えば、エキシマレーザ照射手段など)から出射した光ビーム(例えば、エキシマレーザ光など)は、ミラー21、22に反射することで、その進行方向が90°変えられて光ビーム分岐装置1に入射する。光ビーム分岐装置1に入射した光ビームは、第1のアレイレンズ2、第2のアレイレンズ3、第1のコンデンサレンズ4により、ビームの断面形状が矩形に整形され、また、エネルギー強度の面内分布が略均一化される。
図6に示すように、照射装置24aには、図1において例示をした出射手段20、ミラー21、22、第1のアレイレンズ2、第2のアレイレンズ3、第1のコンデンサレンズ4、第1の分割レンズ5、第2の分割レンズ6、ミラー7a、7b、バリアブルアッテネータ8a、8b、ミラー9a、9b、第2のコンデンサレンズ10a、10bが設けられている。
また、集光面13c、13dとなる部分には、被照射物W(図9を参照)を載置、保持可能とする移動手段35(図9を参照)が設けられ、移動手段35上に載置、保持された被照射物Wの照射面が集光面13c、13dとなるようになっている。
また、線図Dは、マスク29a、29bの入射面における光ビームのエネルギー強度の分布を示し、線図Eは、反射対物レンズ30a、30bの入射面における光ビームのエネルギー強度の分布を示している。
すなわち、本実施の形態によれば、光ビームの分岐後であって各被照射物への照射を行うための光路上に第3のアレイレンズ25、31と第4のアレイレンズ26、32、第3のコンデンサレンズ27とを設けるようにしている。そのため、被照射物の照射面(加工点)におけるエネルギー強度の面内均一性をさらに向上させることができる。
ここで、透過対物レンズを用いるようにしても、マスク29a、29bを透過した光ビームを被照射物の照射面上に集光させることができる。しかしながら、被照射物の照射面上への集光に透過対物レンズを用いるものとすれば、いわゆるゴースト(二重像)が発生して製品の品質が悪化するおそれがある。
図7(a)に示すように、透過対物レンズを用いて被照射物の照射面上に光ビームを集光させる場合、特にUVレーザを用いた場合には、透過対物レンズの表面に微視的な損傷が生じて回折光が発生する。また、複屈折が生じた場合には光路分割が起こる。
そして、回折光や光路分割が生じた場合には、例えば、図7(b)に示すように、加工した孔の周りにゴースト(二重像)が発生して加工精度が悪化するおそれがある。
ここで、反射対物レンズの形式は特に限定されるわけではなく、例えば、シュワルツシルド(シュバルツシルド)型やオフナー型の反射対物レンズを用いることができる。
図8に示すように、シュワルツシルド(シュバルツシルド)型の反射対物レンズ30a、30bは、反射膜がコーティングされた凹面鏡30cと凸面鏡30dとが対向するようにして設けられ、開口部30eから入射した光ビームが凸面鏡30d、凹面鏡30cに反射して、集光面13c、13d上に集光するようになっている。
尚、図中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を示しており、XとYは水平方向、Zは鉛直方向を示している。
図9に示すように、被照射物へ光ビームを照射する部分には、照射面上(集光面13c、13d上)に光ビームを集光させるための反射対物レンズ30a、30bと、被照射物Wを載置する移動手段35とが設けられている。
前述したように、出射手段20(例えば、エキシマレーザ照射手段など)から出射した光ビーム(例えば、エキシマレーザ光など)は、光ビーム分岐装置1に入射し、ビームの断面形状が矩形に整形され、また、エネルギー強度の面内分布が略均一化される。そして、光ビーム分岐装置1に設けられたミラー7a、7bなどにより方向が変換されて、第3のアレイレンズ25、31の入射面に集光される。
尚、図1や図6などにおいて例示をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図10に示すように、出射手段20の出力に余裕がある場合には、光学手段を介して複数の照射装置24、24aを連結することができる。すなわち、複数の光ビーム分岐装置24、24aと、複数の光ビーム分岐装置24、24aを連結する光学手段と、を備えるようにすることもできる。
部分透過ミラー38a、38bは、所定の透過率を有し、入射した光ビームの一部を反射して照射装置に入射させ、残りを透過して他の照射装置へと転送する。尚、ミラー21、22は全反射ミラーである。転送レンズ39a〜39dは、入射した光ビームを集光し、転送させるためのレンズである。
尚、光学手段は例示したものに限定されるわけではなく、全反射ミラー、部分透過ミラー、転送レンズの数や配置などは適宜変更することができる。また、例えば、光ファイバーなどを用いて転送することもできるし、前述したアレイレンズや分割レンズを用いて各照射装置に分岐することもできる。
電子デバイスの製造方法としては、例えば、半導体装置の製造方法を例示することができる。ここで、半導体装置の製造工程には、いわゆる前工程における成膜・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト除去などにより基板(ウェーハ)表面にパターンを形成する工程、検査工程、洗浄工程、熱処理工程、不純物導入工程、拡散工程、平坦化工程などがある。また、いわゆる後工程においては、ダイシング、マウンティング、ボンディング、封入などの組立工程、機能や信頼性の検査工程などがある。
また、説明の便宜上、本発明の実施の形態に係る電子デバイスの製造方法を半導体装置の製造方法で説明をしたが、これに限定されるわけではない。例えば、フラットパネルディスプレイ装置の製造におけるレーザを用いた画素欠陥のリペア、レーザアニール、ガラスの切断、レーザを用いたフリットの溶融、レーザを用いたガラス基板上への電極の形成、レーザを用いたカラーインクの硬化などや、太陽電池の製造におけるレーザを用いたコンタクト電極部の形成、レーザを用いた導電性接着剤の硬化、レーザを用いた光電素子の切断などにも適用させることができる。すなわち、種々の電子デバイスにおける光ビームを用いた各種加工、処理、検査などにも適用させることができる。
精密部品の製造方法としては、例えば、インクジェットヘッド、フォトマスク、レンズ、導光板、精密工具、金型などの各種機械部品、電気部品、光学部品などの製造を例示することができる。そして、精密部品の製造において、光ビームを用いた孔開け、切断、溶接、半田付け、熱処理、表面改質、検査などを行う際にも本実施の形態に係る光ビーム分岐装置、照射装置、光ビームの分岐方法を適用させることができる。この場合、例示をしたものに限定されるわけではなく、各種精密部品の光ビームを用いる工程に適用させることができる。
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、光ビーム分岐装置1、1a、照射装置24、24aなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
Claims (15)
- 光ビームの光路上に設けられた第1のアレイレンズと、
前記第1のアレイレンズの出射側の光路上に設けられ、前記第1のアレイレンズと協働して前記光ビームを複数のビームに分割するとともに前記光ビームの断面におけるエネルギー強度の面内分布を均一に近づける第2のアレイレンズと、
前記第2のアレイレンズの出射側の光路上に設けられ、前記第2のアレイレンズから出射した前記光ビームを集光し、重ね合わせることでエネルギー強度の面内分布が略均一な矩形ビームに整形する第1のコンデンサレンズと、
前記第1のコンデンサレンズの出射側の光路上に設けられ、併設された複数のレンズを有し、前記複数のレンズのそれぞれに入射した前記光ビームごとに分岐する第1の分割レンズと、
前記第1の分割レンズの出射側の光路上に設けられ、前記光ビームをそれぞれ集光させる複数の第2のコンデンサレンズと、
前記第1の分割レンズと、前記第2のコンデンサレンズと、の間の光路上に設けられ、併設された複数のレンズを有する第2の分割レンズと、
を備え、
前記第1の分割レンズの1つと前記第2のコンデンサレンズの1つの集光位置とが、前記第2の分割レンズの1つと前記第2のコンデンサレンズの1つとに対して共役な位置関係となっていることを特徴とする光ビーム分岐装置。 - 前記第2の分割レンズと、前記第2のコンデンサレンズと、の間の光路上に設けられ、前記光ビームの方向を変換する方向変換手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の光ビーム分岐装置。
- 前記第1の分割レンズの出射側の光路上に設けられ、前記光ビームの透過率を調整可能とするバリアブルアッテネータをさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の光ビーム分岐装置。
- 光ビームを出射する出射手段と、
前記出射された光ビームの光路上に設けられ、前記光ビームを分岐する請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ビーム分岐装置と、
を備えたことを特徴とする照射装置。 - 前記光ビーム分岐装置の出射側の光路上に設けられた第3のアレイレンズと、
前記第3のアレイレンズの出射側の光路上に設けられた第4のアレイレンズと、
前記第4のアレイレンズの出射側の光路上に設けられた反射対物レンズと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の照射装置。 - 前記第4のアレイレンズと、前記反射対物レンズと、の間の光路上に設けられたマスクをさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の照射装置。
- 前記第4のアレイレンズと、前記マスクと、の間の光路上に設けられた第3のコンデンサレンズをさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の照射装置。
- 前記第3のコンデンサレンズと、前記マスクと、の間の光路上に設けられたリレーレンズをさらに備えたことを特徴とする請求項7記載の照射装置。
- 被照射物を載置する移動手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1つに記載の照射装置。
- 複数の前記光ビーム分岐装置と、
前記出射手段から出射された前記光ビームを前記複数の光ビーム分岐装置のそれぞれに入射させる光学手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1つに記載の照射装置。 - 光ビームを、第1のアレイレンズに入射させて前記第1のアレイレンズから出射した前記光ビームを第2のアレイレンズに入射させて前記光ビームを複数のビームに分割するとともに前記光ビームの断面におけるエネルギー強度の面内分布を均一に近づけ、
前記第2のアレイレンズから出射した前記光ビームを第1のコンデンサレンズに入射させて集光し、重ね合わせることでエネルギー強度の面内分布が略均一な矩形ビームに整形し、
前記整形した前記光ビームを、併設された複数のレンズを有する第1の分割レンズに入射させて、前記複数の前記レンズのそれぞれに入射した前記光ビームごとに分岐し、
前記第1の分割レンズから出射した前記光ビームを、併設された複数のレンズを有する第2の分割レンズに入射させ、
前記第2の分割レンズから出射した前記光ビームを、複数の第2のコンデンサレンズにそれぞれ入射させて前記光ビームを集光させる際に、
前記第1の分割レンズの1つと前記第2のコンデンサレンズの1つの集光位置とが、前記第2の分割レンズの1つと前記第2のコンデンサレンズの1つとに対して共役な位置関係となっていることを特徴とする光ビームの分岐方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ビーム分岐装置を用いて光ビームを分岐し、前記分岐された光ビームを被照射物に照射すること、を特徴とする電子デバイスの製造方法。
- 請求項11記載の光ビームの分岐方法により光ビームを分岐し、前記分岐された光ビームを被照射物に照射すること、を特徴とする電子デバイスの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ビーム分岐装置を用いて光ビームを分岐し、前記分岐された光ビームを被照射物に照射すること、を特徴とする精密部品の製造方法。
- 請求項11記載の光ビームの分岐方法により光ビームを分岐し、前記分岐された光ビームを被照射物に照射すること、を特徴とする精密部品の製造方法。
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