JP5202860B2 - 加水増粘性を有する低粘度透明組成物 - Google Patents
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近年では、ヘアダイやパーマ、その他の様々な要因(紫外線、エアコン、ストレス、タバコ等)による毛髪ダメージに対する消費者の意識は向上しており、最近のヘアカラーの普及によって、より高いヘアコンディショニング効果を求めるニーズが益々高まっている。
また、通常O/W組成物は白濁系であり、ヘアコンディショナーにおいて美観に優れた透明のものは非常に少なかった。
また、特許文献2には、特定の4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤と、シリコーン類とを含有する毛髪化粧料が記載され、毛髪に対して良好な柔軟性、平滑性、静電気抑制性、しっとり感を付与できることが記載されている。
しかしながら、これら特許文献においても、カチオン界面活性剤などを高濃度に配合した透明組成物については検討されていない。
すなわち、本発明にかかる低粘度透明ヘアコンディショニング組成物は、(a)カチオン界面活性剤と、(b)エステル油、高級脂肪酸、高級アルコールから選ばれる極性油と、(c)低級アルコールと、を含有し、粘度が1000mPa・s未満の低粘度透明組成物であって、
前記(c)低級アルコールは炭素数2〜10の多価アルコール又はエタノールから選択される一種以上であって低粘度透明組成物中5質量%以上であり、
さらに(d)水は低粘度透明組成物中0〜30質量%であり、
毛髪への使用時に水と混合することにより増粘する加水増粘性を有することを特徴とする。
また、本発明の低粘度透明組成物において、水で2倍希釈した際の粘度が1000mPa・s以上であり、且つ当初の低粘度透明組成物の2倍以上であることが好適である。
本発明の低粘度透明組成物は、25℃における粘度が1000mPa・s未満のものである。このような低粘度組成物は、組成物の調整、容器への充填、容器からの取り出しなど、取り扱い性に優れ、ディスペンサー容器やスプレー容器の使用も可能である。
本発明の低粘度透明組成物は、水と混合することで増粘する。このため、毛髪へ使用する際に水と混合することにより、濃厚な使用感を得ることができる。また、毛髪上での伸びもよく、容易に均一に塗布できる。また、水で増粘すると白濁する。
このように、本発明の低粘度透明組成物は、ユニークな性状変化(転相感)が得られる。
このように、本発明の低粘度透明組成物は、水を加えることにより白濁増粘する性質(加水増粘性)を有する。そして、さらに大量の水により低粘度に戻り、すすぎ流すことができる。
例えば、すすぎ流しタイプのヘアコンディショナーは、通常インバスでシャンプー後の濡れた手により濡れた毛髪に適用される。本発明組成物をすすぎ流しタイプの毛髪リンス組成物として洗髪後に使用した場合には、濡れた手にとることで手についた水により組成物は粘性を帯びる。さらに、毛髪に塗布すると毛髪の水分と混ざりあってさらに増粘する。そして、最後に水ですすぎ流すことで無限希釈され、毛髪からすすぎ流される。もちろん、手のひら上で適量の水で増粘させてから濡れたあるいは乾いた毛髪に塗布することもできる。また、濡れた毛髪に低粘度透明組成物を直接スプレーすれば非常に簡便である。
以下、本発明で用いる成分について説明する。
カチオン界面活性剤としては、化粧料に通常使用されるものであれば限定されず、1種以上を用いることができる。例えば、アルキル型アンモニウム塩(例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩など)や、アルキルピリジニウム塩、ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE−アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられるが、本発明の効果の点で、下記一般式(1)で表されるエステル型4級アンモニウム塩が特に好適である。
nは2又は3であり、Xはアンモニウムカチオンの対イオンを形成するものであり、ハロゲン、メトスルフェート、メトホスフェートであることができる。
一方、カチオン界面活性剤を過剰に配合してもそれに見合う顕著な効果の向上は認められず、かえって加水時の混合性や塗布時ののびに悪影響を及ぼすことがある。また、過剰な界面活性剤の配合は刺激を生じる懸念もある。従って、カチオン界面活性剤は、低粘度透明組成物中80質量%以下、さらには60質量%以下とすることが好適である。
本発明において用いる極性油は、エステル油、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコールから選ばれ、化粧料に通常配合可能なものであれば制限されず、1種以上を用いることができる。極性油は、25℃で液状のものを用いることが好ましいが、全体として液状であれば、本発明の効果に影響を及ぼさない限り、固型もしくは半固型の極性油を用いることも可能である。
一方、極性油の配合量が多すぎると、使用感においても油ぎしみが強くなる。また、相対的に他の成分の配合量が少なくなって本発明の効果が十分発揮されないことがある。よって、極性油は低粘度透明組成物中60質量%以下、さらには50質量%以下とすることが好ましい。
なお、本発明の低粘度透明組成物の効果に特に影響を及ぼさない限り、上記極性油とともに他の油分を配合してもよい。
本発明において用いる低級アルコールは、化粧料に通常使用されるものであれば特に制限されず、1種以上を用いることができる。低級アルコールは25℃で液状のものを用いることが好ましいが、本発明の効果に影響を及ぼさない限り、固型もしくは半固型の低級アルコールを用いることも可能である。
なお、本発明の効果を損なわない限り、低級アルコールとともに他のアルコール類を配合してもよい。
一方、低級アルコールの配合量が多すぎると、相対的に他の成分の配合量が少なくなって本発明の効果が十分発揮されないことがある。あるいは、性状変化のために必要な水量が増えて実使用時に転相感が不十分となることがある。よって、低級アルコールは低粘度透明組成物中65質量%以下、さらには55質量%以下とすることが好ましい。
本発明の低粘度透明組成物において、低級アルコールの少なくとも一部を水に置換することができる。水の配合によって、性状変化に必要な水の量を調節することができる。ただし、低粘度透明組成物中の水の配合量が多くなりすぎると、透明性や低粘度が損なわれる。
よって、水を配合する場合には、低粘度透明組成物中30質量%以下、さらには20質量%以下とすることが好適である。また、水は低級アルコールと併用することが好ましい。
例えば、油分、ロウ類、界面活性剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、樹脂類、保湿剤、水溶性高分子、防腐剤、香料、色材の他、各種薬効成分、例えば、ビオチン,パントテン酸誘導体等の賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体等の血行促進剤、硫黄,チアントール等の抗脂漏剤、レシチン、加水分解タンパク及びその誘導体、グルタミン酸、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン等のアミノ酸、ビタミン類、セレシン等の毛髪補修成分などが挙げられる。
一方、ノニオン界面活性剤の配合量が多すぎると、コンディショニング成分の毛髪等への吸着が阻害されてコンディショニング効果が低下する。よって、ノニオン界面活性剤の配合量は低粘度透明組成物中5質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明の低粘度透明組成物は、毛髪化粧料以外の用途、例えば、衣料用柔軟剤などにも適用可能である。
製造直後(水希釈前)の試料について、評価した。
(外観)
肉眼観察により、透明、半透明、白濁を判定した。
(粘度)
粘度計(ブルックフィールド型粘度計、芝浦システム(株)、ローターNo.2、25℃、毎分12回転、1分後の粘度)により粘度を測定し、次のように評価した。
○:1000mPa・s未満
×:1000mPa・s以上
カップに試料50gを入れ、これに同量の水を添加してへらで均一に混合し、評価に供した。
(外観)
肉眼観察により、白濁、半透明、透明を判定した。
(粘度)
製造直後と同様に測定し、水添加後粘度について次のように評価した。
◎:製造直後粘度の5倍以上で4000mPa・s以上
○:製造直後粘度の2倍以上で1000mPa・s以上4000mPa・s未満
×:製造直後粘度の2倍以下あるいは1000mPa・s未満
手のひらに試料5gをとり、同量の水を添加して指で混合した。水添加前後の質感変化(転相感)について、10名のパネルにアンケートを行い、次のように評価した。
◎:変化(転相感)が大きいと回答したパネルが9名以上
○:変化(転相感)が大きいと回答したパネルが6〜8名
×:変化(転相感)が大きいと回答したパネルが5名以下
一方、試験例1−2〜1−4のようにカチオン界面活性剤パーツに極性油及び/又は低級アルコールを配合した場合には、多量のカチオン界面活性剤を透明且つ低粘度に配合することができた。しかし、低級アルコールのみの場合(試験例1−4)では水添加によって白濁はするものの、増粘性が不十分であった。
そこで、このような系についてさらに検討を行った。
表2からわかるように、カチオン界面活性剤が少なすぎる場合には、低粘度透明組成物とすることはできるものの、水添加後の増粘性や転相感に乏しい。また、コンディショニング効果も不十分となる。
一方、カチオン界面活性剤を過剰に配合してもカチオン界面活性剤の増量に見合った効果の著しい向上は認められず、経済的でない。また、カチオン界面活性剤が多すぎると、水添加時に一時的に著しい増粘を生じて水との均一な混和がしにくくなったり、均一に混和できても毛髪上でののびが悪かったりすることもある。よって、カチオン界面活性剤の濃度は、低粘度透明組成物中70質量%以下、さらには50質量%以下とすることが好ましい。
表3に示されるように、アルキル型4級アンモニウム塩では、配合量が少ない場合には低粘度透明組成物が得られるが、配合量が多くなると白濁や増粘(あるいは固化)する場合がある(試験例3−2〜3−3及び試験例3−5〜3−6)。
これに対して、前記一般式(1)のエステル型4級アンモニウム塩では、配合量が多くても低粘度透明組成物を得ることができる(試験例3−1及び3−4)。
このようなことから、カチオン界面活性剤として前記一般式(1)で示されるエステル型4級アンモニウム塩が好ましく、特に、組成物中のカチオン界面活性剤濃度が20質量%以上、さらには30質量%以上の場合において好ましく使用される。
表4からわかるように、極性油が少なすぎると、水を添加した際の増粘性が不十分となることがある。従って、低粘度透明組成物中の極性油は2質量%以上、さらには5質量%以上、特に10質量%以上が好適である。
また、表4より、低級アルコールは低粘度透明組成物中5質量%以上、さらには15質量%以上であることが好適である。
表5に示すように、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコールなどの高極性油では透明低粘度組成物とすることができたが、グリセリド類などの低極性油や、シリコーン油や炭化水素類などの非極性油では白濁してしまい、透明組成物が得られなかった。
2価アルコール(ジプロピレングリコール)に比べて、グリセリンやエタノールなどでは配合量が多くなると透明性が低下する場合があった(試験例6−2〜6−5)。
また、試験例6−6〜6−7のように、低級アルコールの代わりに水を用いることも可能であった。水を予め配合しておくことにより、増粘に必要な水の量を減量することができる。ただし、水の量が多すぎると白濁や増粘を生じる場合があるので、組成物の透明性と低粘度を維持しながら水を配合するには低級アルコールと併用するのが好ましい。また、水を配合する場合には、低粘度透明組成物中30質量%以下、さらには20質量%以下とすることが好適である。
カチオン界面活性剤パーツ(*1) 30質量%
乳酸イソステアリル 30
ジプロピレングリコール 30
モノイソステアリン酸POE(60)グリセリン 1
水 to 100
カチオン界面活性剤パーツ(*1) 40質量%
2−オクチルドデカノール 30
ジプロピレングリコール 30
モノイソステアリン酸POE(60)グリセリン 1
水 to 100
Claims (5)
- (a)カチオン界面活性剤と、(b)エステル油、高級脂肪酸、高級アルコールから選ばれる極性油と、(c)低級アルコールと、を含有し、粘度が1000mPa・s未満の低粘度透明組成物であって、
前記(c)低級アルコールは炭素数2〜10の多価アルコール又はエタノールから選択される一種以上であって低粘度透明組成物中5質量%以上であり、
さらに(d)水は低粘度透明組成物中0〜30質量%であり、
毛髪への使用時に水と混合することにより増粘する加水増粘性を有することを特徴とする低粘度透明ヘアコンディショニング組成物。
- 請求項1又は2記載の組成物において、(a)カチオン界面活性剤が低粘度透明組成物中15質量%以上であることを特徴とする低粘度透明ヘアコンディショニング組成物。
- 請求項1〜3の何れか記載の組成物において、水で2倍希釈した際の粘度が1000mPa・s以上であり、且つ当初の低粘度透明組成物の粘度の2倍以上であることを特徴とする低粘度透明ヘアコンディショニング組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載の組成物において、
(c)低級アルコールとしてグリセリンは低粘度透明組成物中10質量%以下であり、
(a)カチオン界面活性剤として塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及び塩化ステアリルトリメチルアンモニウムから選ばれるアルキル型4級アンモニウム塩は16質量%以下であることを特徴とする低粘度透明ヘアコンディショニング組成物。
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