[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置及びその製造方法を図1乃至図39を用いて説明する。
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置について図1乃至図23を用いて説明する。
はじめに、本実施形態による半導体装置のチップ構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態による半導体装置のチップ構成を示す平面図、図2は本実施形態による半導体装置のチップ表層のエリア構成を示す平面図である。図1(b)は1ショットにおけるFeRAMチップ領域を示した平面図であり、図1(a)は図1(b)におけるFeRAMチップ領域を拡大して示した平面図である。図2(a)は図1(a)のX−X′線に沿ったチップ表層のエリア構成を示す平面図であり、図2(b)は図1(a)のY−Y′線に沿ったチップ表層のエリア構成を示す平面図である。
図1に示すように、半導体基板10には、ショット300毎に、複数のFeRAMチップ領域302が形成されている。隣接するFeRAMチップ領域302間には、各FeRAMチップ領域302をFeRAMチップに個片化するための切断領域であるスクライブ部304が設けられている。
FeRAMチップ領域302には、FeRAMセルが形成されたFeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路が形成された周辺回路部308、ロジック回路が形成されたロジック回路部310、及びロジック回路の周辺回路が形成された周辺回路部312がそれぞれ設けられている。また、FeRAMチップ領域302の周縁部には、チップ回路と外部回路とを接続するためのボンディングパッドが形成されたパッド部314が設けられている。なお、パッド部314は、FeRAMのパッケージの種類等に応じて、四角形状のFeRAMチップ領域302周縁部のすべての辺にわたって形成されていてもよいし、対向する一組の辺にのみ形成されていてもよい。
図1(a)におけるX−X′線に沿ったチップ表層のエリア構成は、図2(a)に示すように、X側からX′側に向かって順に、スクライブ部304、スクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部314、パッド部・回路部間境界部318、FeRAMセル部306、回路部・回路部間境界部320、ロジック回路部310、パッド部・回路部間境界部318、パッド部314、スクライブ部・パッド部間境界部316、スクライブ部304となっている。
図1(a)におけるY−Y′線に沿ったチップ表層のエリア構成は、図2(b)に示すように、Y側からY′側に向かって順に、スクライブ部304、スクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部314、パッド部・回路部間境界部318、FeRAMセル部306、回路部・回路部間境界部320、FeRAMの周辺回路部308、回路部・回路部間境界部320、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部・回路部間境界部318、パッド部314、スクライブ部・パッド部間境界部316、スクライブ部304となっている。
次に、本実施形態による半導体装置の構造について図3乃至図6を用いて説明する。図3及び図4は、本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図、図5及び図6は本実施形態による半導体装置においてバリア膜が形成されている範囲を示す平面図である。なお、図4では、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたる断面構造をそのまま示しているが、図3では、便宜上、FeRAMチップ領域302を構成するFeRAMチップ部306、周辺回路部308、パッド部314をまとめて簡略化した断面構造を示している。
図3に示すように、例えばシリコンよりなる半導体基板10上には、素子領域を画定する素子分離領域12が形成されている。素子分離領域12が形成された半導体基板10内には、ウェル14a、14bが形成されている。
ウェル14a、14bが形成された半導体基板10上には、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極(ゲート配線)18が形成されている。ゲート電極18は、例えば、ポリシリコン膜上に、タングステンシリサイド膜等の金属シリサイド膜が積層されたポリサイド構造を有している。ゲート電極18上には、シリコン酸化膜よりなる絶縁膜19が形成されている。ゲート電極18及び絶縁膜19の側壁部分には、サイドウォール絶縁膜20が形成されている。
サイドウォール絶縁膜20が形成されたゲート電極18の両側には、ソース/ドレイン拡散層22が形成されている。こうして、ゲート電極18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ24が構成されている。トランジスタ24のゲート長は、例えば0.35μm、或いは例えば0.11〜0.18μmに設定されている。
トランジスタ24が形成された半導体基板10上には、例えば膜厚200nmのSiON膜25と、例えば膜厚600nmのシリコン酸化膜26とが順次積層されている。こうして、SiON膜25とシリコン酸化膜26とを順次積層してなる層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27の表面は平坦化されている。
層間絶縁膜27上には、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜34が形成されている。平坦化された層間絶縁膜27上にシリコン酸化膜34が形成されているため、シリコン酸化膜34は平坦となっている。
シリコン酸化膜34上には、強誘電体キャパシタ42の下部電極36が形成されている。下部電極36は、例えば、膜厚20〜50nmの酸化アルミニウム膜36aと膜厚100〜200nmのPt膜36bとを順次積層してなる積層膜により構成されている。ここでは、Pt膜36bの膜厚は、165nmに設定されている。
下部電極36上には、強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38が形成されている。強誘電体膜38としては、例えば膜厚100〜250nmのPbZr1−XTiXO3膜(PZT膜)が用いられている。ここでは、強誘電体膜38には、膜厚150nmのPZT膜が用いられている。
強誘電体膜38上には、強誘電体キャパシタ42の上部電極40が形成されている。上部電極40は、例えば膜厚25〜75nmのIrOX膜40aと、膜厚150〜250nmのIrOY膜40bとを順次積層してなる積層膜により構成されている。ここでは、IrOX膜40aの膜厚は50nmに設定され、IrOY膜40bの膜厚は200nmに設定されている。なお、IrOY膜40bの酸素の組成比Yは、IrOX膜40aの酸素の組成比Xより高く設定されている。
こうして、下部電極36と強誘電体膜38と上部電極40とからなる強誘電体キャパシタ42が構成されている。
強誘電体膜38上及び上部電極40上には、強誘電体膜38及び上部電極40の上面及び側面を覆うようにバリア膜44が形成されている。バリア膜44としては、例えば20〜100nmの酸化アルミニウム(Al2O3)膜が用いられている。
バリア膜44は、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に水素や水分が達すると、強誘電体膜38を構成する金属酸化物が水素や水分により還元されてしまい、強誘電体キャパシタ42の電気特性が劣化してしまう。強誘電体膜38及び上部電極40の上面及び側面を覆うようにバリア膜44を形成することにより、強誘電体膜38に水素及び水分が達するのが抑制されるため、強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を抑制することが可能となる。
バリア膜44により覆われた強誘電体キャパシタ42上及びシリコン酸化膜34上には、バリア膜46が形成されている。バリア膜46としては、例えば膜厚20〜100nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。
バリア膜46は、バリア膜44と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。
バリア膜46上には、例えば膜厚1500nmのシリコン酸化膜48が形成されている。シリコン酸化膜48の表面は、平坦化されている。シリコン酸化膜48は、例えばCVD法、MOCVD法等の気相成長法により形成されたものである。
シリコン酸化膜34、バリア膜46、及びシリコン酸化膜48により層間絶縁膜49が構成されている。
シリコン酸化膜48、バリア膜46、シリコン酸化膜34、及び層間絶縁膜27には、ソース/ドレイン拡散層22に達するコンタクトホール50a、50bがそれぞれ形成されている。また、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44には、上部電極40に達するコンタクトホール52aが形成されている。また、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44には、下部電極36に達するコンタクトホール52bが形成されている。
コンタクトホール50a、50b内には、例えば膜厚20nmのTi膜と、例えば膜厚50nmのTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。バリアメタル膜のうちTi膜はコンタクト抵抗を低減するために形成され、TiN膜は導体プラグ材料のタングステンの拡散を防止するために形成されている。後述するコンタクトホールのそれぞれに形成されるバリアメタル膜についても、同様の目的で形成されている。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール50a、50b内には、タングステンよりなる導体プラグ54a、54bがそれぞれ埋め込まれている。
シリコン酸化膜48上及びコンタクトホール52a内には、導体プラグ54aと上部電極40とに電気的に接続された配線56aが形成されている。また、シリコン酸化膜48上及びコンタクトホール52b内には、下部電極36に電気的に接続された配線56bが形成されている。また、シリコン酸化膜48上には、導体プラグ54bに電気的に接続された配線56cが形成されている。配線56a、56b、56c(第1金属配線層56)は、例えば、膜厚150nmのTiN膜、膜厚550nmのAlCu合金膜、膜厚5nmのTi膜、及び膜厚150nmのTiN膜を順次積層してなる積層膜により構成されている。
こうして、トランジスタ24のソース/ドレイン拡散層22と強誘電体キャパシタ42の上部電極40とが、導体プラグ54a及び配線56aを介して電気的に接続され、1つのトランジスタ24及び1つの強誘電体キャパシタ42とを有するFeRAMの1T1C型メモリセルが構成されている。実際には、複数のメモリセルがFeRAMチップのメモリセル領域に配列されている。
配線56a、56b、56cが形成されたシリコン酸化膜48上には、配線56a、56b、56cの上面及び側面を覆うように、バリア膜58が形成されている。バリア膜58としては、例えば20nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。
バリア膜58は、バリア膜44、46と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。また、バリア膜58は、プラズマによるダメージを抑えるためにも用いられている。
バリア膜58上には、例えば膜厚2600nmのシリコン酸化膜60が形成されている。シリコン酸化膜60の表面は、平坦化されている。平坦化されたシリコン酸化膜60は、配線56a、56b、56c上に、例えば1000nmの膜厚で残存している。
シリコン酸化膜60上には、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜61が形成されている。平坦化されたシリコン酸化膜60上にシリコン酸化膜61が形成されているため、シリコン酸化膜61は平坦となっている。
シリコン酸化膜61上には、バリア膜62が形成されている。バリア膜62としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。ここでは、バリア膜62として、膜厚50nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。平坦なシリコン酸化膜61上にバリア膜62が形成されているため、バリア膜62は平坦となっている。
バリア膜62は、バリア膜44、46、58と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。さらに、バリア膜62は、平坦なシリコン酸化膜61上に形成されているため平坦となっており、バリア膜44、46、58と比較して、極めて良好な被覆性で形成されている。したがって、このような平坦なバリア膜62により、更に確実に水素及び水分の拡散を防止することができる。なお、実際には、バリア膜62は、強誘電体キャパシタ42を有する複数のメモリセルが配列されたFeRAMセル部306のみならず、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。この点については後述する。
バリア膜62上には、例えば膜厚50〜100nmのシリコン酸化膜64が形成されている。ここでは、シリコン酸化膜64の膜厚は、100nmに設定されている。シリコン酸化膜64は、後述する配線72a、72bを形成する際のエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜64によりバリア膜62が保護され、配線72a、72bを形成する際のエッチングによりバリア膜62の膜厚が減少し或いはバリア膜62が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜62の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
こうして、バリア膜58、シリコン酸化膜60、シリコン酸化膜61、バリア膜62、及びシリコン酸化膜64により層間絶縁膜66が構成されている。
層間絶縁膜66には、配線56cに達するコンタクトホール68が形成されている。
コンタクトホール68内には、例えば膜厚20nmのTi膜と、例えば膜厚50nmのTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。なお、Ti膜を形成せずに、TiN膜よりなるバリアメタル膜を形成してもよい。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール68内には、タングステンよりなる導体プラグ70が埋め込まれている。
層間絶縁膜66上には、配線72aが形成されている。また、層間絶縁膜66上には、導体プラグ70に電気的に接続された配線72bが形成されている。配線72a、72b(第2金属配線層72)は、例えば、膜厚50nmのTiN膜、膜厚500nmのAlCu合金膜、膜厚5nmのTi膜、及び膜厚150nmのTiN膜を順次積層してなる積層膜により構成されている。なお、AlCu合金膜下のTiN膜は形成しなくてもよい。
層間絶縁膜66上及び配線72a、72b上には、例えば膜厚2200nmのシリコン酸化膜74が形成されている。シリコン酸化膜74の表面は、平坦化されている。
シリコン酸化膜74上には、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜76が形成されている。平坦化されたシリコン酸化膜74上にシリコン酸化膜76が形成されているため、シリコン酸化膜76は平坦となっている。
シリコン酸化膜76上には、バリア膜78が形成されている。バリア膜78としては、例えば膜厚20〜100nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。ここでは、バリア膜78として、膜厚50nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。平坦なシリコン酸化膜76上にバリア膜78が形成されているため、バリア膜78は平坦となっている。
バリア膜78は、バリア膜44、46、58、62と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。さらに、バリア膜78は、平坦なシリコン酸化膜76上に形成されているため平坦となっており、バリア膜62と同様に、バリア膜44、46、58と比較して、極めて良好な被覆性で形成されている。したがって、このような平坦なバリア膜78により、更に確実に水素及び水分の拡散を防止することができる。なお、実際には、バリア膜78は、バリア膜62と同様に、強誘電体キャパシタ42を有する複数のメモリセルが配列されたFeRAMセル部306のみならず、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。この点については後述する。
バリア膜78上には、例えば膜厚50〜100nmのシリコン酸化膜80が形成されている。ここでは、シリコン酸化膜80の膜厚は100nmに設定されている。シリコン酸化膜80は、後述する配線88a、88bを形成する際のエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜80によりバリア膜78が保護され、配線88a、88bを形成する際のエッチングによりバリア膜78の膜厚が減少し或いはバリア膜62が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜78の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
こうして、シリコン酸化膜74、シリコン酸化膜76、バリア膜78、及びシリコン酸化膜80により層間絶縁膜82が構成されている。
層間絶縁膜82には、配線72a、72bに達するコンタクトホール84a、84bがそれぞれ形成されている。
コンタクトホール84a、84b内には、例えば膜厚20nmのTi膜と、例えば膜厚50nmのTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。なお、Ti膜を形成せずに、TiN膜よりなるバリアメタル膜を形成してもよい。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール84a、84b内には、タングステンよりなる導体プラグ86a、86bがそれぞれ埋め込まれている。
導体プラグ86a、86bが埋め込まれた層間絶縁膜82上には、導体プラグ86aに電気的に接続された配線88a、及び導体プラグ86bに電気的に接続された配線(ボンディングパッド)88bが形成されている。配線88a、88b(第3金属配線層88)は、例えば、膜厚50nmのTiN膜、膜厚500nmのAlCu合金膜、及び膜厚150nmのTiN膜を順次積層してなる積層膜により構成されている。なお、AlCu合金膜下のTiN膜は形成しなくてもよい。
層間絶縁膜82上及び配線88a、88b上には、例えば膜厚100〜300nmのシリコン酸化膜90が形成されている。ここでは、シリコン酸化膜90の膜厚は、100nmに設定されている。
シリコン酸化膜90上には、例えば膜厚350nmのシリコン窒化膜92が形成されている。
こうして、層間絶縁膜82上及び配線88a、88b上に、シリコン酸化膜90とシリコン窒化膜92とを順次積層してなる積層膜93が形成されている。
シリコン窒化膜92上には、例えば膜厚2〜6μmのポリイミド樹脂膜94が形成されている。
ポリイミド樹脂膜94、シリコン窒化膜92、及びシリコン酸化膜90には、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96が形成されている。すなわち、シリコン窒化膜92及びシリコン酸化膜90には、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96aが形成されている。ポリイミド樹脂膜94には、シリコン窒化膜92及びシリコン酸化膜90に形成された開口部96aを含む領域に、開口部96bが形成されている。
配線(ボンディングパッド)88bには、開口部96を介して、外部回路(図示せず)が電気的に接続される。
ここで、本実施形態による半導体装置におけるバリア膜62、78について図4乃至図6を用いて詳述する。図4は、図2(a)に示すエリア構成に対応する本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図である。図5及び図6はそれぞれ本実施形態による半導体装置においてバリア膜62、78が形成されている範囲を示す平面図である。
図4に示すように、半導体基板10上には、FeRAMセル部306、ロジック回路部310において、トランジスタ24が形成されている。
トランジスタ24が形成された半導体基板10上には、全面に、層間絶縁膜27が形成されている。
層間絶縁膜27上には、FeRAMセル部306において、強誘電体キャパシタ42が形成されている。
強誘電体キャパシタ42が形成された層間絶縁膜27上には、全面に、層間絶縁膜49が形成されている。
層間絶縁膜49上には、FeRAMセル部306、ロジック回路部310、及びパッド部314において、第1金属配線層56が形成されている。FeRAMセル部306における第1金属配線層56は、導体プラグを介して、強誘電体キャパシタ42の上部電極40、下部電極36、又はトランジスタ24に適宜電気的に接続されている。ロジック回路部310における第1金属配線層56は、導体プラグを介して、トランジスタ24に適宜電気的に接続されている。
第1金属配線層56が形成された層間絶縁膜49上には、全面に、層間絶縁膜66が形成されている。
層間絶縁膜66を構成するバリア膜62は、図4及び図5に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜62は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
層間絶縁膜66上には、FeRAMセル部306、ロジック回路部310、及びパッド部314において、第2金属配線層72が形成されている。第2金属配線層72は、導体プラグを介して、適宜電気的に第1金属配線層56に電気的に接続されている。
第2金属配線層72が形成された層間絶縁膜66上には、全面に、層間絶縁膜82が形成されている。
層間絶縁膜82を構成するバリア膜78は、図4及び図6に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜78は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
層間絶縁膜82上には、FeRAMセル部306、ロジック回路部310、及びパッド部314において、第3金属配線層88が形成されている。パッド部314における第3金属配線層88は、ボンディングパッド88bとなっている。第3金属配線層88は、導体プラグを介して、適宜電気的に第2金属配線層72に電気的に接続されている。
第3金属配線層88が形成された層間絶縁膜82上には、積層膜93が形成されている。
積層膜93上には、ポリイミド樹脂膜94が形成されている。
パッド部314における積層膜93及びポリイミド樹脂膜94には、ボンディングパッド88bに達する開口部96が形成されている。
スクライブ部・パッド部間境界部316における層間絶縁膜27、49、66、82、93中には、FeRAMチップへの湿度の影響を抑制するための耐湿リング322が形成されている。耐湿リング322は、層間絶縁膜27、49、66、82、93中に形成された金属配線層、導体プラグと同様の金属層等により構成されている。耐湿リング322は、FeRAMチップ領域302における配線等と短絡しないように構成されている。
こうして本実施形態による半導体装置が構成されている。
本実施形態による半導体装置は、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56(配線56a、56b、56c)と第2金属配線層72(配線72a、72b)との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72(配線72a、72b)と第3金属配線層88(配線88a、88b)との間に形成された平坦なバリア膜78とを有することに主たる特徴がある。
強誘電体キャパシタを有する半導体装置において、水素や水分による強誘電体キャパシタの電気的特性の劣化を防止する有効な手段として、強誘電体キャパシタの上方に、水素や水分の拡散を防止する酸化アルミニウム等よりなるバリア膜を形成することが考えられる。
ここで、表面に段差や傾斜が生じている層間絶縁膜等の下地上にバリア膜を形成した場合には、バリア膜の被覆性があまり良好ではないため、バリア膜において水素や水分の拡散を十分に防止し得ない。水素や水分が強誘電体キャパシタの強誘電体膜に達すると、水素や水分により強誘電体膜の強誘電性が低下或いは消失し、強誘電体キャパシタの電気的特性が劣化してしまうこととなる。
表面に段差や傾斜が生じている層間絶縁膜等の下地上にバリア膜を形成した場合の不都合な点について図7乃至図16を用いて詳述する。
例えば特許文献1のように有機絶縁膜やSOG(Spin On Glass)膜等の塗布型絶縁膜を、配線層や強誘電体キャパシタ等による凹凸を含む表面上に形成した場合、塗布型絶縁膜の表面を十分に平坦にすることは困難である。このため、塗布型絶縁膜の表面には、段差や傾斜が生じることとなる。
図7は、強誘電体キャパシタを埋め込むSOG膜の断面観察の結果を示す透過型電子顕微鏡写真である。図7に示す透過型電子顕微鏡写真では、層間絶縁膜400上に、下部電極402と強誘電体膜404と上部電極406とからなる強誘電体キャパシタ408が形成されている。強誘電体キャパシタ408は、SOG膜410により埋め込まれている。SOG膜410上には、上部電極406に電気的に接続された配線412が形成されている。
図7に示す透過型電子顕微鏡写真から明らかなように、SOG膜410の表面は平坦になっておらず、緩やかな段差が生じている。
このように表面に段差や傾斜が生じている下地上に酸化アルミニウム膜等よりなるバリア膜を形成した場合、バリア膜の膜厚が不均一となる。
例えば、図8は、強誘電体キャパシタによる段差上に形成された酸化アルミニウム膜の断面観察の結果を示す透過型電子顕微鏡写真である。
図8に示す透過型電子顕微鏡写真から明らかなように、上部電極406のほぼ水平な面上には、50nmの酸化アルミニウム膜414がほぼ均一に形成されている。他方、上部電極406の側端部の傾斜面上では、図中矢印で挟まれた区間において、傾斜面に沿って下方に向かうにつれて酸化アルミニウム膜414の膜厚が減少している。
上述のように、例えば特許文献1のように有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜上にバリア膜を形成した場合には、バリア膜の膜厚に厚薄が生じることとなる。このような場合、以下に述べる不都合が生じることとなる。
図9及び図10は、塗布型絶縁膜上にバリア膜を形成した場合の不都合を説明する工程断面図である。
まず、層間絶縁膜400上に、下部電極402と強誘電体膜404と上部電極406とからなる強誘電体キャパシタ408を形成する(図9(a)参照)。
次いで、強誘電体キャパシタ408が形成された層間絶縁膜400上に、有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜よりなる層間絶縁膜416を形成する(図9(b)参照)。層間絶縁膜416の表面は十分に平坦にならず、層間絶縁膜416の表面には段差や傾斜が生じる。
次いで、層間絶縁膜416上に、酸化アルミニウム膜や酸化チタン膜等よりなるバリア膜418を形成する(図9(c)参照)。バリア膜418は、MOCVD法以外の方法により形成すると、層間絶縁膜416の水平面と比較して、層間絶縁膜416の傾斜面において膜厚が薄くなる。
次いで、フォトリソグラフィーにより、上部電極406、下部電極402に達するコンタクトホールの形成予定領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜420を形成する(図9(d)参照)。
次いで、フォトレジスト膜420をマスクとして、バリア膜418及び層間絶縁膜416をエッチングする。こうして、バリア膜418及び層間絶縁膜416に、上部電極406に達するコンタクトホール422a、及び下部電極402に達するコンタクトホール422bをそれぞれ形成する(図10(a)参照)。
次いで、全面に、配線を形成するための金属膜424を形成する(図10(b)参照)。
次いで、フォトリソグラフィーにより、上部電極406、下部電極402に接続される配線の形成予定領域を覆い、他の領域を露出するフォトレジスト膜426を形成する(図10(c)参照)。
次いで、フォトレジスト膜426をマスクとして、金属膜424をエッチングする。こうして、金属膜424よりなり、上部電極406に接続された配線428a、及び金属膜424よりなり、下部電極402に接続された配線428bが形成される(図10(d)参照)。
配線428a、428bを形成するために金属膜424をエッチングする際には、バリア膜418は、エッチングのストッパ膜としても利用される。このため、バリア膜418もエッチングされ、膜厚が減少する。このとき、下地の段差や傾斜によりバリア膜418の膜厚に厚薄が生じていると、膜厚の薄い部分では、エッチングにより著しく膜厚が減少し、更にはバリア膜418が除去されてしまう場合がある。この結果、バリア膜418が、水素及び水分の拡散を防止する機能を十分に発揮することができないこととなる。
例えば、バリア膜の膜厚を100nmに設定した場合、水平面上ではエッチングにより50nmの膜厚分だけ除去されバリア膜の膜厚が50nmに減少するのに対し、傾斜面上ではエッチングによりバリア膜が除去された欠損が生じる。また、バリア膜の膜厚を200nmに設定した場合、水平面上ではエッチングにより50nmの膜厚分だけ除去されバリア膜の膜厚が150nmに減少するのに対し、傾斜面上ではエッチングにより膜厚が0〜50nmに減少し、バリア膜が除去された欠損が一部に生じる。
また、上述した不都合に加えて、例えば特許文献1のように有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜上にバリア膜を形成した場合には、以下に述べる不都合も生じることとなる。
図11乃至図14は、塗布型絶縁膜上にバリア膜を形成した場合の他の不都合を説明する工程断面図である。図11及び図12は膜厚50nmのバリア膜を形成した場合を示し、図13及び図14は膜厚100nmのバリア膜を形成した場合を示している。
まず、膜厚50nmのバリア膜を形成した場合について図11及び図12を用いて説明する。
まず、導体プラグ430が埋め込まれた層間絶縁膜432上に、配線434を形成する(図11(a)参照)。
次いで、配線434が形成された層間絶縁膜432上に、有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜よりなる層間絶縁膜436を形成する(図11(b)参照)。層間絶縁膜436の表面は十分に平坦にならず、層間絶縁膜436の表面には段差や傾斜が生じる。
次いで、層間絶縁膜436上に、膜厚50nmのバリア膜438を形成する(図11(c)参照)。
次いで、バリア膜438上に、層間絶縁膜440を形成する(図11(d)参照)。
図12は、図11(c)に示すバリア膜438を拡大して示した断面図である。図示するように、層間絶縁膜436の水平面H上では、バリア膜438の膜厚は50nmとなっている。他方、層間絶縁膜436の傾斜面Sにおいては、バリア膜438の膜厚は実際には20nm以下となってしまっている。このように、膜厚50nmのバリア膜438を形成した場合には、被覆性が良好でなくバリア膜438の膜厚が部分的に薄くなってしまう。このため、バリア膜438は、水素及び水分の拡散を防止する機能を十分に発揮することができないこととなる。
次に、膜厚100nmのバリア膜を形成した場合について図13及び図14を用いて説明する。
まず、導体プラグ430が埋め込まれた層間絶縁膜432上に、配線434を形成する(図13(a)参照)。
次いで、配線434が形成された層間絶縁膜432上に、有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜よりなる層間絶縁膜436を形成する(図13(b)参照)。層間絶縁膜436の表面は十分に平坦にならず、層間絶縁膜436の表面には段差や傾斜が生じる。
次いで、層間絶縁膜436上に、膜厚100nmのバリア膜438を形成する(図13(c)参照)。
次いで、バリア膜438上に、層間絶縁膜440を形成する(図13(d)参照)。
図14は、図13(c)に示すバリア膜438を拡大して示した断面図である。図示するように、層間絶縁膜436の水平面H上では、バリア膜438の膜厚は100nmとなっている。他方、層間絶縁膜436の傾斜面Sの大部分においては、バリア膜438の膜厚は実際には20〜50nmとなっている。しかし、傾斜面Sのうち最も急峻な部分においては、バリア膜438の膜厚は、20nm以下となっている。
このように、膜厚100nmのバリア膜438を形成した場合には、膜厚50nmの場合と比較して被覆性が良好なものとなる。しかし、バリア膜438の膜厚が20nm以下と膜厚が薄くなってしまう部分が依然として存在している。このため、バリア膜438は、水素及び水分の拡散を防止する機能を十分に発揮することができないこととなる。
上述のようにバリア膜の膜厚を100nmに設定した場合、水平面上での膜厚は100nmとなるのに対し、傾斜面上ではバリア膜が形成されない欠損が一部に生じる。また、バリア膜の膜厚を200nmに設定した場合、水平面上での膜厚は200nmとなるのに対し、傾斜面上では膜厚が50〜100nmとなる。
表面に緩やかな段差が存在する下地上にバリア膜を形成した場合と表面が平坦な下地上にバリア膜を形成した場合との比較結果について図15を用いて説明する。図15は、昇温離脱分析法(Thermal Desorption Spectroscopy、TDS)によるバリア膜の評価結果を示すグラフである。図15において、横軸は基板温度を示しており、縦軸は試料からの水素イオンの析出量を示している。なお、図15(a)の縦軸の桁と図15(b)の縦軸の桁との違いは、TDSによる解析を行った試料の面積の広狭によるものである。
図15(a)は、表面に緩やかな段差が存在している下地上にバリア膜を形成した場合を示している。試料としては、シリコン基板上に、塗布法によりSOG膜により形成し、その後、スパッタ法により全面にバリア膜として酸化アルミニウム膜を形成したものを用いた。図15(a)において、●印は、酸化アルミニウム膜を形成しない場合を示している。△印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が20nmの場合を示している。□印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が50nmの場合を示している。◇印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が100nmの場合を示している。
図15(b)は、本実施形態による半導体装置におけるバリア膜62、78のように、表面が平坦な下地上にバリア膜を形成した場合を示している。試料としては、シリコン基板上に、プラズマTEOSCVD法によりシリコン酸化膜を形成し、その後、スパッタ法により全面にバリア膜として酸化アルミニウム膜を形成したものを用いた。図15(b)において、●印は、酸化アルミニウム膜を形成しない場合を示している。△印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が10nmの場合を示している。□印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が20nmの場合を示している。◇印は、酸化アルミニウム膜の膜厚が50nmの場合を示している。○印は、シリコン基板のみの場合を示している。
図15(a)から明らかなように、表面に緩やかな段差が存在する下地上にバリア膜を形成した場合には、水素に対する十分なバリア性を得ることができず、水素が拡散するのをバリア膜により十分に防止することができないことが分かる。
これに対し、図15(b)から明らかなように、表面が平坦な下地上にバリア膜を形成した場合における水素イオンの析出量は、膜厚10nm、20nm、50nmのいずれの場合も、バリア膜を形成しない場合における水素イオンの析出量に比べて著しく少なくなっていることが分かる。このことから、本実施形態による半導体装置のように表面が平坦な下地上にバリア膜を形成した場合には、水素に対する十分なバリア性を得ることができ、水素が拡散するのをバリア膜により確実に防止することができるといえる。
なお、水分に対するバリア性は、基本的に水素に対するバリア性と連動しており、水素に対するバリア性が得ることができない場合には、水分に対するバリア性もまた得ることはできない。図示しないが、水分に対するバリア性に関して行ったTDSによる評価結果についても、上述した水素に対するバリア性に関する評価結果と同様の結果が得られている。なお、物質の大きさという観点からは、水よりも水素がより小さな物質であるため、水素及び水の両者に対して十分なバリア性を得るためには、十分に平坦な下地上にバリア膜を形成する必要があるといえる。
表面に段差や傾斜が生じている下地上にバリア膜を形成した場合において、水素及び水素に対する十分なバリア性を得るためには、バリア膜を比較的厚い膜厚で形成することが考えられる。しかしながら、バリア膜を例えば膜厚100nm以上のように比較的厚く形成すると、コンタクトホールを形成するためのエッチングが困難になるという不都合が生じる。以下、バリア膜を比較的厚く形成した場合における不都合について図16を用いて説明する。
図16(a)に示すように、強誘電体キャパシタ408の上部電極406とAl配線442とを接続する導体プラグ444を形成する場合において、上部電極406とAl配線442との間の層間絶縁膜中に、バリア膜を形成する。このとき、バリア膜の膜厚が比較的厚いと、導体プラグ444が埋め込まれるコンタクトホール446を形成するためのエッチングの際に、コンタクトホール446の底部の幅が狭くなってしまい、コンタクト抵抗が上昇し、或いはコンタクト不良が発生する。
図16(b)は導体プラグ444が埋め込まれたコンタクトホール446を示す断面図である。Al配線442側となるコンタクトホール446上部の幅をWtとし上部電極406が露出するコンタクトホール446底部の幅Wbとし、両者の差Wt−Wbをエッチシフトと定義する。バリア膜として膜厚100nmの酸化アルミニウム膜を形成した場合、エッチシフトは150nmとなり、コンタクト抵抗は上昇した。また、バリア膜として膜厚200nmの酸化アルミニウム膜を形成した場合、エッチシフトは300nm以上となり、コンタクト不良が発生した。
以上、詳述したように、例えば特許文献1のように有機絶縁膜やSOG膜等の塗布型絶縁膜上にバリア膜を形成した場合、すなわち表面に段差や傾斜が生じている下地上にバリア膜を形成した場合には、バリア膜の膜厚を比較的薄くしても比較的厚くしても、異なった不都合が生じてしまっていた。
さらに、SOG膜は、一般的に、膜応力は小さいものの、膜中の残留水分が非常に多いことが知られている。このため、層間絶縁膜としてSOG膜を用いた場合において、後工程において250℃以上の熱が加わると、SOG膜中の水分が強誘電体キャパシタまで到達し、強誘電体キャパシタの特性が劣化してしまうと考えられる。
このような表面に段差や傾斜が生じている下地上に形成されたバリア膜に対して、本実施形態による半導体装置における平坦化された絶縁膜上に形成された平坦なバリア膜は被覆性が極めて良好である。したがって、このような平坦なバリア膜により水素及び水分を確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタの強誘電体膜に達するのを防止することができる。
しかしながら、強誘電体キャパシタの上方に、単に1層の平坦なバリア膜を形成した場合には、PTHS試験において不良が発生する等、過酷な環境下において水素に対する耐性や耐湿性を充分に確保することができないことがあった。これは、平坦なバリア膜の下地層となる層間絶縁膜をCMP法等により平坦化する際に層間絶縁膜の表面に生じたマイクロ・スクラッチによる段差が影響していると考えられる。すなわち、層間絶縁膜の表面に生じたマイクロ・スクラッチによる段差のために平坦なバリア膜においても被覆性があまり良好でない欠陥部分が生じており、このような欠陥部分が、平坦なバリア膜によっても水素に対する耐性や耐湿性を充分に確保することができない場合がある原因の一つとなっていると考えられる。実際には、マイクロ・スクラッチによる段差を考慮して、CMP法等による下地層の平坦化後に、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜を形成しているが、このような手法を用いても、マイクロ・スクラッチによる影響を完全に回避することはできていなかった。
図17は、強誘電体キャパシタを有する半導体装置において形成された平坦なバリア膜に生じる欠陥部分を示す断面図である。なお、図17に示す半導体装置では、本実施形態による半導体装置とは異なり、平坦なバリア膜として1層のバリア膜78のみが形成されており、バリア膜62は形成されていない。
図17に示すように、平坦なバリア膜78においても、その下層の絶縁膜の表面に生じているマイクロ・スクラッチによる段差等により、被覆性のあまり良好でない欠陥部分110が生じていると考えられる。
したがって、半導体装置がおかれる環境下によっては、平坦なバリア膜78の欠陥部分110を介して半導体装置の内部に水素や水分が侵入してしまうと考えられる。
さらに、図17に示す半導体装置のように、単に1層の平坦なバリア膜が形成されているのみでは、欠陥部分110を介して半導体装置の内部に侵入した水素や水分が強誘電体キャパシタ42に達するのを充分に防止することが困難となる。この結果、平坦なバリア膜が強誘電体キャパシタの上方に形成されている場合であっても、単に1層の平坦なバリア膜が形成されているのみでは、強誘電体キャパシタの電気的特性が劣化してしまうことがあると考えられる。
これに対し、本実施形態による半導体装置では、2層の平坦なバリア膜、すなわち、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56と第2金属配線層72との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72と第3金属配線層88との間に形成された平坦なバリア膜78とが形成されている。
本実施形態による半導体装置においても、図18及び図19に示すように、2層の平坦なバリア膜62、78に、被覆性があまり良好でない欠陥部分110が生じている場合が想定される。なお、図18は本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図であり、図19(b)は図19(a)に示すパッド部314を含む領域を拡大して示した平面図である。図18及び図19(b)において、2層の平坦なバリア膜62、78に生じている欠陥部分110を概略的に示している。
しかし、図18に示すように、平坦なバリア膜62、78において、互いにほぼ同じ平面位置に欠陥部分110が生じる確率は極めて小さいといえる。したがって、本実施形態による半導体装置では、上層に位置する平坦なバリア膜78に生じている欠陥部分110を介して水素や水分が半導体装置の内部に侵入したとしても、下層に位置する平坦なバリア膜62により、侵入した水素や水分が強誘電体キャパシタ42に達するのを確実に遮断することができる。
また、詳細なメカニズムは不明であるが、2層のバリア膜62、78が形成されていることにより、2層のバリア膜62、78の間に、層間絶縁膜中に存在する残留水素が封止され、強誘電体キャパシタ42上の残留水素が強誘電体キャパシタ42に達するのが防止されると考えられる。このような他の要因によっても、強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化が防止され、PTHS特性を向上することができると考えられる。
すなわち、図20に示すように、平坦なバリア膜として1層のバリア膜78のみが形成されており、バリア膜62は形成されていない場合においては、強誘電体キャパシタ42上の残留水素が容易に強誘電体キャパシタ42に達することができる。したがって、この場合には、強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を十分に防止することは困難であると考えられる。
他方、図21に示す本実施形態による半導体装置のように、2層のバリア膜62、78が形成されている場合、層間絶縁膜中の残留水素は、2層のバリア膜62、78の間に封止されることとなる。このため、強誘電体キャパシタ42上の残留水素が強誘電体キャパシタ42に達するのが防止される。この結果、強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化が防止され、PTHS特性を向上することができると考えられる。
また、本実施形態による半導体装置は、バリア膜62、78が、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されていることにも主たる特徴がある。
これに対して、例えば特許文献7に記載された半導体装置においては、FeRAMセル部にのみ水素バリア層が形成されているだけである。このため、特許文献7に記載された半導体装置では、FeRAMセル部の上方或いは側方から水素及び水分がFeRAMセル部に侵入し、強誘電体キャパシタに達するのを防止することは困難であると考えられる。このため、例えば高湿度の環境下に長時間放置すると、強誘電体キャパシタの特性は劣化してしまうと考えられる。
本実施形態による半導体装置では、バリア膜62、78が、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されているため、FeRAMセル部306の上方或いは側方から水素及び水分がFeRAMセル部306に侵入するのを確実に防止することができる。したがって、例えば高湿度の環境下における長時間放置による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化も確実に防止することができる。
また、本実施形態による半導体装置では、バリア膜62、78の被覆性を確保するためにバリア膜62、78を比較的厚く形成する必要がなく、バリア膜62、78を比較的薄く形成することができる。したがって、バリア膜62、78を含む層間絶縁膜66、82にコンタクトホールを形成する際に、FeRAMチップ領域306における各部において、エッチシフトを70nm以下に抑制することができる。これにより、コンタクト抵抗の上昇を抑制することができる。また、微細なコンタクトホールを確実に形成することを可能とし、半導体装置の微細化に寄与することができる。
上述のように、本実施形態による半導体装置では、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56と第2金属配線層72との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72と第3金属配線層88との間に形成された平坦なバリア膜78とが形成されているので、水素及び水分を確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を大幅に向上することができる。
さらに、本実施形態による半導体装置では、平坦なバリア膜62、78が、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されているので、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができる。
なお、バリア膜62、78の膜厚は、以下に述べる観点から、例えば、50nm以上100nm未満、より好ましくは50nm以上80nm以下に設定することが望ましい。
まず、バリア膜62、78の膜厚は、導体プラグに欠損が発生するのを防止する観点からは、例えば、40nm以上100nm未満、より好ましくは40nm以上80nm以下に設定することが望ましい。この点について図22及び図23を用いて説明する。
図22は、バリア膜を含む層間絶縁膜に埋め込まれた導体プラグに生じる欠損を説明する断面図である。図22(a)はバリア膜が比較的薄い場合を示し、図22(b)はバリア膜が比較的厚い場合を示している。図23は、バリア膜を含む層間絶縁膜に埋め込まれた導体プラグに生じた欠損を観察した透過型電子顕微鏡写真である。
図22(a)及び図22(b)に示すように、層間絶縁膜324上に、配線層326が形成されている。配線層326が形成された層間絶縁膜324上には、平坦なバリア膜328を含む層間絶縁膜330が形成されている。層間絶縁膜330には、配線層326に達するコンタクトホール332が形成されている。コンタクトホール332内には、タングステンよりなる導体プラグ334が埋め込まれている。導体プラグ334が埋め込まれた層間絶縁膜330上には、配線層336が形成されている。
酸化アルミニウム膜よりなるバリア膜328の膜厚が80nm以下の場合には、図22(a)に示すように、導体プラグ334はコンタクトホール332内に十分に埋め込まれ、導体プラグ334に欠損は生じない。
他方、酸化アルミニウム膜よりなるバリア膜328の膜厚が80nmを超えた場合には、図22(b)に示すように、導体プラグ334がコンタクトホール332内に十分に埋め込まれずに、導体プラグ334に欠損338が生じる。図23(a)及び図23(b)は、それぞれバリア膜を含む層間絶縁膜に埋め込まれた導体プラグに生じた欠損を観察した透過型電子顕微鏡写真である。このような欠損338は、バリア膜の膜厚が100nm以上になると高い頻度で発生することが確認されている。
したがって、バリア膜62、78の膜厚は、導体プラグに欠損が発生するのを防止する観点からは、例えば、40nm以上100nm未満、より好ましくは40nm以上80nm以下に設定することが望ましい。
他方、バリア膜62、78に水素及び水分の拡散防止機能を十分に発揮させるためには、バリア膜62、78の膜厚は例えば50nm以上に設定することが望ましい。
以上のことから、バリア膜62、78の膜厚は、例えば、50nm以上100nm未満、より好ましくは50nm以上80nm以下に設定することが望ましい。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図24乃至図39を用いて説明する。なお、以下では、基本的に、図3に示す半導体装置の断面構造に対応する工程断面図を用いて説明するが、ロジック回路部310、周辺回路部308、312等におけるトランジスタ、配線等は、通常の半導体装置の製造プロセスを用いて形成することができる。
まず、例えばシリコンよりなる半導体基板10に、例えばLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法により、素子領域を画定する素子分離領域12を形成する。
次いで、イオン注入法により、ドーパント不純物を導入することにより、ウェル14a、14bを形成する。
次いで、通常のトランジスタの形成方法を用いて、素子領域に、ゲート電極(ゲート配線)18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ24を形成する(図24(a)を参照)。
次いで、全面に、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、例えば膜厚200nmのSiON膜25を形成する。
次いで、全面に、プラズマTEOSCVD法により、例えば例えば膜厚600nmのシリコン酸化膜26を形成する(図24(b)を参照)。
こうして、SiON膜25とシリコン酸化膜26とにより層間絶縁膜27が構成される。
次いで、例えばCMP法により、層間絶縁膜27の表面を平坦化する(図24(c)を参照)。
次いで、一酸化二窒素(N2O)又は窒素(N2)雰囲気にて、例えば650℃、30分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜34を形成する(図25(a)を参照)。
次いで、N2Oガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスパッタ法又はCVD法により、例えば膜厚20〜50nmの酸化アルミニウム膜36aを形成する。
次いで、例えばRTA(Rapid Thermal Annealing)法により、酸素雰囲気中にて熱処理を行う。熱処理温度は例えば650℃とし、熱処理時間は例えば1〜2分とする。
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚100〜200nmのPt膜36bを形成する。
こうして、酸化アルミニウム膜36aとPt膜36bとからなる積層膜36が形成される。積層膜36は、強誘電体キャパシタ42の下部電極となるものである。
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、強誘電体膜38を形成する。強誘電体膜38としては、例えば膜厚100〜250nmのPZT膜を形成する。
なお、ここでは、強誘電体膜38をスパッタ法により形成する場合を例に説明したが、強誘電体膜の形成方法はスパッタ法に限定されるものではない。例えば、ゾル・ゲル法、MOD(Metal Organic Deposition)法、MOCVD法等により強誘電体膜を形成してもよい。
次いで、例えばRTA法により、酸素雰囲気中にて熱処理を行う。熱処理温度は例えば550〜600℃とし、熱処理時間は例えば60〜120秒とする。
次いで、例えばスパッタ法又はMOCVD法により、例えば膜厚25〜75nmのIrOX膜40aを形成する。
次いで、アルゴン及び酸素雰囲気にて、例えば600〜800℃、10〜100秒間の熱処理を行う。
次いで、例えばスパッタ法又はMOCVD法により、例えば膜厚150〜250nmのIrOY膜40bを形成する。この際、IrOY膜40bの酸素の組成比Yが、IrOX膜40aの酸素の組成比Xより高くなるように、IrOY膜40bを形成する。
こうして、IrOX膜40aとIrOY膜40bとからなる積層膜40が形成される(図25(b)を参照)。積層膜40は、強誘電体キャパシタ42の上部電極となるものである。
次いで、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜98を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、フォトレジスト膜98を強誘電体キャパシタ42の上部電極40の平面形状にパターニングする。
次いで、フォトレジスト膜98をマスクとして、積層膜40をエッチングする。エッチングガスとしては、例えばArガスとCl2ガスとを用いる。こうして、積層膜よりなる上部電極40が形成される(図25(c)を参照)。この後、フォトレジスト膜98を剥離する。
次いで、例えば酸素雰囲気にて、例えば400〜700℃、30〜120分間の熱処理を行う。この熱処理は、上部電極40の表面に異常が生ずるのを防止するためのものである。
次いで、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜100を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、フォトレジスト膜100を強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38の平面形状にパターニングする。
次いで、フォトレジスト膜100をマスクとして、強誘電体膜38をエッチングする(図26(a)を参照)。この後、フォトレジスト膜100を剥離する。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば300〜400℃、30〜120分間の熱処理を行う。
次いで、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜44を形成する(図26(b)を参照)。バリア膜44としては、例えば膜厚20〜50nmの酸化アルミニウム膜を形成する。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば400〜600℃、30〜120分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜102を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、フォトレジスト膜102を強誘電体キャパシタ42の下部電極36の平面形状にパターニングする。
次いで、フォトレジスト膜102をマスクとして、バリア膜44及び積層膜36をエッチングする(図26(c)を参照)。こうして、積層膜よりなる下部電極36が形成される。また、バリア膜44が、上部電極40及び強誘電体膜38を覆うように残存する。この後、フォトレジスト膜102を剥離する。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば400〜600℃、30〜120分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜46を形成する。バリア膜46としては、例えば膜厚20〜100nmの酸化アルミニウム膜を形成する(図27(a)を参照)。こうして、バリア膜44により覆われた強誘電体キャパシタ42を更に覆うようにバリア膜46が形成される。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば500〜700℃、30〜120分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚1500nmのシリコン酸化膜よりなるシリコン酸化膜48を形成する(図27(b)を参照)。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜48の表面を平坦化する(図27(c)を参照)。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜48中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜48の膜質を変化させ、シリコン酸化膜48中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜48の表面は窒化され、シリコン酸化膜48の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、シリコン酸化膜48、バリア膜46、シリコン酸化膜34、及び層間絶縁膜27に、ソース/ドレイン拡散層22に達するコンタクトホール50a、50bを形成する(図28(a)を参照)。
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚20nmのTi膜を形成する。続いて、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚50nmのTiN膜を形成する。こうして、Ti膜とTiN膜とによりバリアメタル膜(図示せず)が構成される。
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚500nmのタングステン膜を形成する。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜48の表面が露出するまで、タングステン膜及びバリアメタル膜を研磨する。こうして、コンタクトホール50a、50b内に、タングステンよりなる導体プラグ54a、54bがそれぞれ埋め込まれる(図28(b)を参照)。
次いで、例えばアルゴンガスを用いたプラズマ洗浄を行う。これにより、導体プラグ54a、54b表面に存在する自然酸化膜等が除去される。
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚100nmのSiON膜104を形成する。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、SiON膜104、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44に、強誘電体キャパシタ42の上部電極40に達するコンタクトホール52aと、強誘電体キャパシタ42の下部電極36に達するコンタクトホール52aとを形成する(図28(c)を参照)。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば400〜600℃、30〜120分間の熱処理を行う。この熱処理は、強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に酸素を供給し、強誘電体キャパシタ42の電気的特性を回復するためのものである。なお、ここでは酸素雰囲気中にて熱処理を行う場合を例に説明したが、オゾン雰囲気中にて熱処理を行ってもよい。オゾン雰囲気中にて熱処理を行った場合にも、キャパシタの強誘電体膜38に酸素を供給することができ、強誘電体キャパシタ42の電気的特性を回復することが可能である。
次いで、エッチングによりSiON膜104を除去する。
次いで、全面に、例えば膜厚150nmのTiN膜と、例えば膜厚550nmのAlCu合金膜と、例えば膜厚5nmのTi膜と、膜厚150nmのTiN膜とを順次積層する。こうして、TiN膜とAlCu合金膜とTi膜とTiN膜とを順次積層してなる導体膜が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。これにより、第1金属配線層56、すなわち強誘電体キャパシタ42の上部電極40と導体プラグ54aとに電気的に接続された配線56a、強誘電体キャパシタ42の下部電極36に電気的に接続された配線56b、及び導体プラグ54bに電気的に接続された配線56cが形成される(図29(a)を参照)。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば350℃、30分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜58を形成する。バリア膜58としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜を形成する(図29(b)を参照)。ここでは、バリア膜58として、膜厚20nmの酸化アルミニウム膜を形成する。こうして、配線56a、56b、56cの上面及び側面を覆うようにバリア膜58が形成される。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚2600nmのシリコン酸化膜60を形成する(図30(a)を参照)。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜60の表面を平坦化する(図30(b)を参照)。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、4分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜60中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜60の膜質を変化させ、シリコン酸化膜60中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜60の表面は窒化され、シリコン酸化膜60の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、平坦化されたシリコン酸化膜60上に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜61を形成する。平坦化されたシリコン酸化膜60上にシリコン酸化膜61を形成するため、シリコン酸化膜61は平坦となる。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜61中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜61の膜質を変化させ、シリコン酸化膜61中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜61の表面は窒化され、シリコン酸化膜61の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、平坦なシリコン酸化膜61上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜62を形成する。バリア膜62としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜を形成する。ここでは、バリア膜62として、膜厚50nmの酸化アルミニウム膜を形成する。平坦なシリコン酸化膜61上にバリア膜62を形成するため、バリア膜62は平坦となる。また、CMP法により表面が平坦化されたシリコン酸化膜60上にシリコン酸化膜61を介してバリア膜62を形成している。このため、マイクロ・スクラッチによってシリコン酸化膜60の表面に生じた段差等によりバリア膜62に欠陥部分が発生するのを抑制することができる。
バリア膜62は、図31に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成するとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成する。すなわち、バリア膜62は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成する。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜64を形成する(図32(a)を参照)。
こうして、バリア膜58、シリコン酸化膜60、シリコン酸化膜61、バリア膜62、及びシリコン酸化膜64により層間絶縁膜66が構成される。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、4分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜64中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜64の膜質を変化させ、シリコン酸化膜64中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜64の表面は窒化され、シリコン酸化膜64の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、シリコン酸化膜64、バリア膜62、シリコン酸化膜61、シリコン酸化膜60、及びバリア膜58に、配線56cに達するコンタクトホール68を形成する(図32(b)を参照)。
次いで、N2雰囲気にて、例えば350℃、120分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚50nmのTiN膜を形成する。こうして、TiN膜によりバリアメタル膜(図示せず)が構成される。
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚500nmのタングステン膜を形成する。
次いで、例えばEB(エッチバック)法により、シリコン酸化膜64の表面が露出するまで、タングステン膜をエッチバックする。こうして、コンタクトホール68内に、タングステンよりなる導体プラグ70が埋め込まれる(図33(a)を参照)。
次いで、全面に、例えば膜厚500nmのAlCu合金膜と、例えば膜厚5nmのTi膜と、例えば膜厚150nmのTiN膜とを順次積層する。こうして、TiN膜とAlCu合金膜とTi膜とTiN膜とを順次積層してなる導体膜が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。これにより、第2金属配線層72、すなわち配線72a、及び導体プラグ70に電気的に接続された配線72bが形成される(図33(b)を参照)。配線72a、72bを形成する際のドライエッチングにおいては、シリコン酸化膜64がエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜64によりバリア膜62が保護され、配線72a、72bを形成する際のエッチングによりバリア膜62の膜厚が減少し或いはバリア膜62が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜62の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚2200nmのシリコン酸化膜74を形成する(図34(a)を参照)。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜74の表面を平坦化する(図34(b)を参照)。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、4分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜74中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜74の膜質を変化させ、シリコン酸化膜74中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜74の表面は窒化され、シリコン酸化膜74の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜76を形成する。平坦化されたシリコン酸化膜74上にシリコン酸化膜76を形成するため、シリコン酸化膜76は平坦となる。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜76中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜76の膜質を変化させ、シリコン酸化膜76中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜76の表面は窒化され、シリコン酸化膜76の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、平坦なシリコン酸化膜76上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜78を形成する。バリア膜78としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜を形成する。ここでは、バリア膜78として、膜厚50nmの酸化アルミニウム膜を形成する。平坦なシリコン酸化膜76上にバリア膜78を形成するため、バリア膜78は平坦となる。また、CMP法により表面が平坦化されたシリコン酸化膜74上にシリコン酸化膜76を介してバリア膜78を形成している。このため、マイクロ・スクラッチによってシリコン酸化膜74の表面に生じた段差等によりバリア膜78に欠陥部分が発生するのを抑制することができる。
バリア膜78は、図35に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成するとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成する。すなわち、バリア膜78は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成する。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜80を形成する(図36(a)を参照)。
こうして、シリコン酸化膜74、シリコン酸化膜76、バリア膜78、及びシリコン酸化膜80により層間絶縁膜82が構成される。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜80中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜80の膜質を変化させ、シリコン酸化膜80中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜80の表面は窒化され、シリコン酸化膜80の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、シリコン酸化膜80、バリア膜78、シリコン酸化膜76、及びシリコン酸化膜74に、配線72a、72bに達するコンタクトホール84a、84bを形成する(図36(b)を参照)。
次いで、N2雰囲気にて、例えば350℃、120分間の熱処理を行う。
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚50nmのTiN膜を形成する。こうして、TiN膜によりバリアメタル膜(図示せず)が構成される。
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚500nmのタングステン膜を形成する。
次いで、例えばEB法により、シリコン酸化膜80の表面が露出するまで、タングステン膜をエッチバックする。こうして、コンタクトホール84a、84b内に、タングステンよりなる導体プラグ86a、86bがそれぞれ埋め込まれる(図37(a)を参照)。
次いで、全面に、例えば膜厚500nmのAlCu合金膜と、例えば膜厚150nmのTiN膜とを順次積層する。こうして、TiN膜とAlCu合金膜とTiN膜とを順次積層してなる導体膜が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。これにより、第3金属配線層88、すなわち導体プラグ86aに電気的に接続された配線88a、及び導体プラグ86bに電気的に接続された配線88bが形成される(図37(b)を参照)。配線88a、88bを形成する際のドライエッチングにおいては、シリコン酸化膜80がエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜80によりバリア膜78が保護され、配線88a、88bを形成する際のエッチングによりバリア膜78の膜厚が減少し或いはバリア膜78が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜78の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜90を形成する。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜90中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜90の膜質を変化させ、シリコン酸化膜90中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜90の表面は窒化され、シリコン酸化膜90の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、例えばCVD法により、例えば膜厚350nmのシリコン窒化膜92を形成する(図38(a)を参照)。シリコン窒化膜92は、水分を遮断し、水分により金属配線層88、72、56等が腐食するのを防止するためのものである。
次いで、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜106を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、フォトレジスト膜106に、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部をシリコン窒化膜92及びシリコン酸化膜90に形成する領域を露出する開口部108を形成する。
次いで、フォトレジスト膜106をマスクとして、シリコン窒化膜92及びシリコン酸化膜90をエッチングする。こうして、シリコン窒化膜92及びシリコン酸化膜90に、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96aが形成される(図38(b)を参照)。この後、フォトレジスト膜106を剥離する。
次いで、例えばスピンコート法により、例えば膜厚2〜6μmのポリイミド樹脂膜94を形成する(図39(a)を参照)。
次いで、フォトリソグラフィーにより、ポリイミド樹脂膜94に、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96bを形成する(図39(b)を参照)。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
(評価結果)
本実施形態による半導体装置についてPTHS試験を行い、本実施形態による半導体装置のPTHS特性を評価した結果について説明する。
PTHS試験では、2気圧、温度121℃、湿度100%の条件下で、本実施形態による半導体装置のFeRAMチップを保管し、168時間、336時間、504時間、及び672時間経過した時点のそれぞれにおいて、同一ウェーハを用いて形成された5つのチップ試料毎に不良セルの発生の有無を確認した。PTHS試験を行った本実施形態による半導体装置では、バリア膜58の膜厚を20nm、平坦なバリア膜62の膜厚を50nm、平坦なバリア膜78の膜厚を70nmとした。
なお、比較例として、平坦なバリア膜58が形成されていない場合、すなわち平坦なバリア膜が1層のみ形成されている場合についても上記と同様のPTHS試験を行った。比較例1による半導体装置では、バリア膜58の膜厚を70nm、平坦なバリア膜78の膜厚を70nmとした。また、比較例2による半導体装置では、バリア膜58の膜厚を20nm、平坦なバリア膜78の膜厚を50nmとした。なお、比較例1、2による半導体装置の構造は、平坦なバリア膜58が形成されていない点を除いては、本実施形態による半導体装置と同様にした。
PTHS試験の結果は以下の通りとなった。
まず、本実施形態の場合、5つのチップ試料のすべてについて、168時間、336時間、504時間、及び672時間経過した時点のいずれにおいても、不良セルが発生することはなかった。
一方、比較例1の場合、5つのチップ試料のうち、あるチップ試料では、168時間経過した時点で1個の不良セルが発生し、336時間経過した時点で不良セルは3個となり、504時間経過した時点で不良セルは10個となり、672時間経過した時点で不良セルは18個となった。また、他のチップ試料では、168時間及び336時間経過した時点までは不良セルは発生しなかったが、504時間経過した時点で1個の不良セルが発生し、672時間経過した時点で不良セルは26個となった。更に他のチップ試料では、168時間及び336時間経過した時点までは不良セルは発生しなかったが、504時間経過した時点で22個の不良セルが発生し、672時間経過した時点で不良セルは62個となった。5つのチップ試料のうち、168時間、336時間、504時間、及び672時間経過した時点のいずれにおいても不良セルが発生しなかったのは、2つのチップ試料のみであった。
また、比較例2の場合、5つのチップ試料のうち、あるチップ試料では、168時間経過した時点で19個の不良セルが発生し、336時間経過した時点で不良セルは34個となり、504時間経過した時点で不良セルは51個となり、672時間経過した時点で不良セルは72個となった。また、他のチップ試料では、168時間経過した時点では不良セルは発生しなかったが、336時間経過した時点で3個の不良セルが発生し、504時間経過した時点で不良セルは5個となり、672時間経過した時点で不良セルは7個となった。更に他のチップ試料では、168時間経過した時点では不良セルは発生しなかったが、336時間経過した時点で3個の不良セルが発生し、504時間経過した時点で不良セルは113個となり、672時間経過した時点で不良セルは811個となった。更に他のチップ試料では、168時間経過した時点で106個の不良セルが発生し、336時間経過した時点で不良セルは1690個となり、504時間経過した時点で不良セルは3253個となり、672時間経過した時点で不良セルは5184個となった。5つのチップ試料のうち、168時間、336時間、504時間、及び672時間経過した時点のいずれにおいても不良セルが発生しなかったのは、1つのチップ試料のみであった。
上記PTHS試験の結果から、本実施形態によれば、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を大幅に向上することができ、FeRAMに関してPTHS試験の量産認定レベルを充分に上回ることができることが確認された。
また、単に平坦なバリア膜を1層形成しただけでは、充分な耐湿性を確保することができず、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性の向上を実現することが困難であることが確認された。
また、単に平坦なバリア膜を1層形成してFeRAM部だけを覆った試料についてPTHS試験を行ったが、十分な耐湿性を確保することはできなかった。
更に、単に平坦なバリア膜を1層形成してFeRAM部及びロジック回路部を覆った試料についてPTHS試験を行ったが、十分な耐湿性を確保することはできなかった。
更に、単に平坦なバリア膜を1層形成してFeRAM部、ロジック回路部、及びパッド部を覆った試料についてPTHS試験を行ったが、やや良好になるものの、十分な耐湿性を確保することはできなかった。
更に、単に平坦なバリア膜を1層形成してFeRAM部、ロジック回路部、パッド部、及びスクライブ部を覆った試料についてPTHS試験を行ったが、やや良好になるものの、十分な耐湿度性を確保することはできなかった。
このように、本実施形態によれば、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56と第2金属配線層72との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72と第3金属配線層88との間に形成された平坦なバリア膜78とを有するので、水素及び水分を確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を大幅に向上することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置及びその製造方法について図40乃至図46を用いて説明する。図40及び図41は本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図、図42は本実施形態による半導体装置においてバリア膜が形成されている範囲を示す平面図、図43乃至図46は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には、同一の符号を付し説明を省略或いは簡略にする。
(半導体装置)
本実施形態による半導体装置の基本的構成は、第1実施形態による半導体装置とほぼ同様である。本実施形態による半導体装置は、第3金属配線層88(配線88a、88b)の上方に形成されたバリア膜114を更に有する点で、第1実施形態による半導体装置と異なっている。
すなわち、図40に示すように、層間絶縁膜82上及び配線88a、88b上には、例えば膜厚1500nmのシリコン酸化膜112が形成されている。シリコン酸化膜112の表面は、その形成後に例えばCMP法により平坦化されており、配線88b上のシリコン酸化膜112は例えば350nmの膜厚で残存している。
平坦化されたシリコン酸化膜112上には、バリア膜114が形成されている。バリア膜114としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。平坦化されたシリコン酸化膜112上にバリア膜114が形成されているため、バリア膜114は平坦となっている。
バリア膜114は、バリア膜44、46、58、62、78と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。さらに、バリア膜114は、平坦化されたシリコン酸化膜112上に形成されているため平坦となっており、バリア膜62、78と同様に、バリア膜44、46、58と比較して、極めて良好な被覆性で形成されている。したがって、このような平坦なバリア膜114により、更に確実に水素及び水分の拡散を防止することができる。なお、実際には、バリア膜114は、バリア膜62、78と同様に、強誘電体キャパシタ42を有する複数のメモリセルが配列されたFeRAMセル部306のみならず、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。この点については後述する。
バリア膜114上には、例えば膜厚50〜150nmのシリコン酸化膜90が形成されている。シリコン酸化膜90は、図示しない配線を形成する際のエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜90によりバリア膜114が保護され、配線層を形成する際のエッチングによりバリア膜114の膜厚が減少し或いはバリア膜114が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜62の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
シリコン酸化膜90上には、例えば膜厚350nmのシリコン窒化膜92が形成されている。
シリコン窒化膜92上には、例えば膜厚3〜6μmのポリイミド樹脂膜94が形成されている。
ポリイミド樹脂膜94、シリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112には、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96が形成されている。すなわち、シリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112には、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96aが形成されている。ポリイミド樹脂膜94には、シリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112に形成された開口部96aを含む領域に、開口部96bが形成されている。
バリア膜114は、バリア膜62、78と同様に、図41及び図42に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜114は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
このように、本実施形態による半導体装置は、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56(配線56a、56b、56c)と第2金属配線層72(配線72a、72b)との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72(配線72a、72b)と第3金属配線層88(配線88a、88b)との間に形成された平坦なバリア膜78と、第3金属配線層88(配線88a、88b)の上方に形成された平坦なバリア膜114とを有することに主たる特徴がある。
本実施形態による半導体装置では、第1実施形態による半導体装置における平坦なバリア膜62、78に加えて、第3金属配線層88の上方に平坦なバリア膜114が形成されているので、水素及び水分を更に確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを更に確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を更に大幅に向上することができる。
さらに、本実施形態による半導体装置では、平坦なバリア膜62、78、114が、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されているので、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図43乃至図46を用いて説明する。
まず、図24乃至図37に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、第3金属配線層(配線88a、配線88b)までを形成する。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚1500nmのシリコン酸化膜112を形成する(図43(a)を参照)。
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜112の表面を平坦化する(図43(b)を参照)。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、4分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜112中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜112の膜質を変化させ、シリコン酸化膜112中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜112の表面は窒化され、シリコン酸化膜112の表面には、SiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、平坦化されたシリコン酸化膜112上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜114を形成する。バリア膜114としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜を形成する。平坦化されたシリコン酸化膜112上にバリア膜114を形成するため、バリア膜114は平坦となる。
バリア膜114は、図44に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成するとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成する。すなわち、バリア膜114は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成する。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜90を形成する。
次いで、N2Oガス又はN2ガスを用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、例えば350℃、2分間の熱処理を行う。この熱処理は、シリコン酸化膜90中の水分を除去するとともに、シリコン酸化膜90の膜質を変化させ、シリコン酸化膜90中に水分が入りにくくするためのものである。この熱処理により、シリコン酸化膜90の表面は窒化され、シリコン酸化膜90の表面にはSiON膜(図示せず)が形成される。
次いで、例えばCVD法により、例えば膜厚350nmのシリコン窒化膜92を形成する(図45(a)を参照)。シリコン窒化膜92は、水分を遮断し、水分により金属配線層88、72、56等が腐食するのを防止するためのものである。
次いで、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜106を形成する。
次いで、フォトリソグラフィーにより、フォトレジスト膜106に、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部をシリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112に形成する領域を露出する開口部108を形成する。
次いで、フォトレジスト膜106をマスクとして、シリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112をエッチングする。こうして、シリコン窒化膜92、シリコン酸化膜90、バリア膜114、及びシリコン酸化膜112に、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96aが形成される(図45(b)を参照)。この後、フォトレジスト膜106を剥離する。
次いで、例えばスピンコート法により、例えば膜厚3〜6μmのポリイミド樹脂膜94を形成する(図46(a)を参照)。
次いで、フォトリソグラフィーにより、ポリイミド樹脂膜94に、開口部96aを介して配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96bを形成する(図46(b)を参照)。
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
このように、本実施形態によれば、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56と第2金属配線層72との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72と第3金属配線層88との間に形成された平坦なバリア膜78と、第3金属配線層88の上方に形成された平坦なバリア膜114とを有するので、水素及び水分を更に確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを更に確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を更に大幅に向上することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による半導体装置及びその製造方法について図47乃至図52を用いて説明する。図47及び図48は本実施形態による半導体装置の構造を示す断面図、図49は本実施形態による半導体装置においてバリア膜が形成されている範囲を示す平面図、図50乃至図52は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
(半導体装置)
本実施形態による半導体装置の基本的構成は、第1実施形態による半導体装置とほぼ同様である。本実施形態による半導体装置は、強誘電体キャパシタ42と、第1金属配線層56(配線56a、56b、56c)との間に、平坦なバリア膜116を更に有する点で、第1実施形態による半導体装置と異なっている。
すなわち、図47に示すように、導体プラグ50a、50bが埋め込まれたシリコン酸化膜48上に、バリア膜116が形成されている。バリア膜116としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜が用いられている。ここで、シリコン酸化膜48は平坦化されており、平坦化されたシリコン酸化膜48上にバリア膜116が形成されているため、バリア膜116は平坦となっている。
バリア膜116は、バリア膜44、46、58、62、78と同様に、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する膜である。さらに、バリア膜116は、平坦化されたシリコン酸化膜48上に形成されているため平坦となっており、バリア膜62、78と同様に、バリア膜44、46、58と比較して、極めて良好な被覆性で形成されている。したがって、このような平坦なバリア膜116により、更に確実に水素及び水分の拡散を防止することができる。なお、実際には、バリア膜116は、バリア膜62、78と同様に、強誘電体キャパシタ42を有する複数のメモリセルが配列されたFeRAMセル部306のみならず、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。この点については後述する。
バリア膜116上には、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜118が形成されている。シリコン酸化膜118は、後述する配線56a、56b、56cを形成する際のエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜118によりバリア膜116が保護され、配線56a、56b、56cを形成する際のエッチングによりバリア膜116の膜厚が減少し或いはバリア膜116が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜116の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
シリコン酸化膜34、バリア膜46、シリコン酸化膜48、バリア膜116、及びシリコン酸化膜118により層間絶縁膜49が構成されている。
シリコン酸化膜118、バリア膜116、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44には、上部電極40に達するコンタクトホール52aが形成されている。また、シリコン酸化膜118、バリア膜116、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44には、下部電極36に達するコンタクトホール52bが形成されている。
さらに、シリコン酸化膜118及びバリア膜116には、導体プラグ54aに達するコンタクトホール120aが形成されている。また、シリコン酸化膜118及びバリア膜116には、導体プラグ54bに達するコンタクトホール120bが形成されている。
シリコン酸化膜118上、コンタクトホール52a内、及びコンタクトホール120a内には、導体プラグ54aと上部電極40とに電気的に接続された配線56aが形成されている。また、シリコン酸化膜118上及びコンタクトホール52b内には、下部電極36に電気的に接続された配線56bが形成されている。また、シリコン酸化膜118上及びコンタクトホール120b内には、導体プラグ54bに電気的に接続された配線56cが形成されている。
バリア膜116は、バリア膜62、78と同様に、図48及び図49に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜116は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
このように、本実施形態による半導体装置は、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42と強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56(配線56a、56b、56c)との間に形成された平坦なバリア膜116と、第1金属配線層56(配線56a、56b、56c)と第2金属配線層72(配線72a、72b)との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72(配線72a、72b)と第3金属配線層88(配線88a、88b)の間に形成された平坦なバリア膜78とを有することに主たる特徴がある。
本実施形態による半導体装置では、第1実施形態による半導体装置における平坦なバリア膜62、78に加えて、強誘電体キャパシタ42と強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56との間に平坦なバリア膜116が形成されているので、水素及び水分を更に確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを更に確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を更に大幅に向上することができる。
さらに、本実施形態による半導体装置では、平坦なバリア膜62、78、116が、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されているので、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について図50乃至図52を用いて説明する。
まず、図24乃至図27、図28(a)、及び図28(b)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、導体プラグ54a、54bまでを形成する(図50(a)を参照)。
次いで、例えばアルゴンガスを用いたプラズマ洗浄を行う。これにより、導体プラグ54a、54b表面に存在する自然酸化膜等が除去される。
次いで、導体プラグ54a、54bが埋め込まれたシリコン酸化膜48上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、バリア膜116を形成する。バリア膜116としては、例えば膜厚20〜70nmの酸化アルミニウム膜を形成する。シリコン酸化膜48は平坦化されており、平坦化されたシリコン酸化膜48上にバリア膜116を形成するため、バリア膜116は平坦となる。
バリア膜116は、図51に示すように、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成するとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成する。すなわち、バリア膜116は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部308、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部312、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成する。
次いで、全面に、例えばプラズマTEOSCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜118を形成する(図50(b)を参照)。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、シリコン酸化膜118及びバリア膜116に、導体プラグ54a、54bに達するコンタクトホール120a、120bを形成する(図50(c)を参照)。
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚100nmのSiON膜122を形成する(図52(a)を参照)。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、SiON膜122、シリコン酸化膜118、バリア膜116、シリコン酸化膜48、バリア膜46、及びバリア膜44に、強誘電体キャパシタ42の上部電極40に達するコンタクトホール52aと、強誘電体キャパシタ42の下部電極36に達するコンタクトホール52bとを形成する(図52(b)を参照)。
次いで、酸素雰囲気にて、例えば500℃、60分間の熱処理を行う。この熱処理は、強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に酸素を供給し、強誘電体キャパシタ42の電気的特性を回復するためのものである。
次いで、エッチングによりSiON膜122を除去する。
次いで、全面に、例えば膜厚150nmのTiN膜と、例えば膜厚550nmのAlCu合金膜と、例えば膜厚5nmのTi膜と、例えば膜厚150nmのTiN膜とを順次積層する。こうして、TiN膜とAlCu合金膜とTi膜とTiN膜とを順次積層してなる導体膜が形成される。
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。これにより、第1金属配線層56、すなわち強誘電体キャパシタ42の上部電極40と導体プラグ54aとに電気的に接続された配線56a、強誘電体キャパシタ42の下部電極36に電気的に接続された配線56b、及び導体プラグ54bに電気的に接続された配線56cが形成される(図52(c)を参照)。配線56a、56b、56cを形成する際のドライエッチングにおいては、シリコン酸化膜118がエッチングのストッパ膜として機能する。このシリコン酸化膜118によりバリア膜116が保護され、配線56a、56b、56cを形成する際のエッチングによりバリア膜116の膜厚が減少し或いはバリア膜116が除去されてしまうのを防止することができる。これにより、バリア膜116の水素及び水分の拡散機能が劣化するのを防止することができる。
この後の工程は、図29(b)乃至図39に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
このように、本実施形態によれば、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜として、バリア膜44、46、58に加えて、強誘電体キャパシタ42と強誘電体キャパシタ42の上方に形成された第1金属配線層56との間に形成された平坦なバリア膜116と、第1金属配線層56と第2金属配線層72との間に形成された平坦なバリア膜62と、第2金属配線層72と第3金属配線層88の間に形成された平坦なバリア膜78とを有するので、水素及び水分を更に確実にバリアし、水素及び水分が強誘電体キャパシタ42の強誘電体膜38に達するのを更に確実に防止することができる。これにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ42の電気的特性の劣化を更に確実に防止することができ、強誘電体キャパシタを有する半導体装置のPTHS特性を更に大幅に向上することができる。
なお、本実施形態では、導体プラグ54a、54bを形成した後に、バリア膜116を形成する場合について説明したが、導体プラグ54a、54bを形成する前に、バリア膜116を形成してもよい。
具体的には、まず、図24乃至図27(c)に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、CMP法により表面が平坦化されたシリコン酸化膜48までを形成する。
次いで、CMP法により表面が平坦化されたシリコン酸化膜48上にバリア膜116を形成する。
次いで、バリア膜116上に、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜を形成する。
次いで、バリア膜116上のシリコン酸化膜、バリア膜116、シリコン酸化膜48、バリア膜46、シリコン酸化膜34、及び層間絶縁膜27に、ソース/ドレイン拡散層22に達するコンタクトホール50a、50bを形成する。
次いで、コンタクトホール50a、50bに埋め込まれた導体プラグ54a、54bを形成する。
このように、導体プラグ54a、54bを形成する前に、バリア膜116を形成してもよい。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、強誘電体膜38としてPZT膜を用いる場合を例に説明したが、強誘電体膜38はPZT膜に限定されるものではなく、他のあらゆる強誘電体膜を適宜用いることができる。例えば、強誘電体膜38として、Pb1−XLaXZr1−YTiYO3膜(PLZT膜)、SrBi2(TaXNb1−X)2O9膜、Bi4Ti2O12膜等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、酸化アルミニウム膜36aとPt膜36bとの積層膜により下部電極36を構成したが、下部電極36を構成する導体膜等の材料はかかる材料に限定されるものではない。例えば、Ir膜、IrO2膜、Ru膜、RuO2膜、SrRuO(ストロンチウムルテニウムオキサイド)膜(SRO膜)、Pd膜により下部電極38を構成してもよい。
また、上記実施形態では、IrOX膜40aとIrOY膜40bとの積層膜により上部電極40を構成したが、上部電極40を構成する導体膜の材料はかかる材料に限定されるものではない。例えば、Ir膜、Ru膜、RuO2膜、SRO膜、Pd膜により上部電極40を構成してもよい。
また、上記実施形態では、平坦なバリア膜について、第1実施形態においては第1金属配線層56と第2金属配線層72との間にバリア膜62を形成し、第2金属配線層72と第3金属配線層88との間にバリア膜78を形成する場合について説明し、第2実施形態においてはバリア膜62、78に加えて第3金属配線層88の上方にバリア膜114を形成する場合について説明し、第3実施形態においてはバリア膜62、78に加えて強誘電体キャパシタ42と第1金属配線層56との間にバリア膜116を形成する場合について説明したが、形成するバリア膜62、78、114、116の組合せは、上記実施形態において説明した場合に限定されるものではない。平坦なバリア膜は、バリア膜62、78、114、116のうちの少なくとも2層が形成されていればよく、バリア膜62、78、114、116のうちの3層を形成してもよいし、或いはバリア膜62、78、114、116の4層すべてを形成してもよい。また、半導体基板10上に形成する金属配線層の層数等に応じて、更に多くの平坦なバリア膜を形成してもよい。この場合において、平坦なバリア膜の膜厚は、第1実施形態において述べたように、例えば、50nm以上100nm未満、より好ましくは50nm以上80nm以下に設定することが望ましい。
なお、強誘電体キャパシタの電気的特性の劣化を効果的に防止する観点からは、ボンディングパッドと、ボンディングパッド下の最上層の金属配線層との間に平坦なバリア膜がまずは形成されており、他の金属配線層の間に他の平坦なバリア膜が形成されていることが望ましい。
また、上記実施形態では、バリア膜として酸化アルミニウム膜を用いる場合を例に説明したが、バリア膜は酸化アルミニウム膜に限定されるものではない。水素又は水分の拡散を防止する機能を有する膜を、バリア膜として適宜用いることができる。バリア膜としては、例えば金属酸化物よりなる膜を適宜用いることができる。金属酸化物よりなるバリア膜としては、例えば、タンタル酸化物やチタン酸化物等よりなる膜を用いることができる。また、バリア膜は、金属酸化物よりなる膜に限定されるものではない。例えば、シリコン窒化膜(Si3N4膜)やシリコン窒化酸化膜(SiON膜)等をバリア膜として用いることもできる。また、塗布型酸化膜、或いはポリイミド、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ベンゾシクロブテン等よりなる樹脂膜のような吸湿性を有する有機膜をバリア膜として用いることができる。
また、上記実施形態では、形成するバリア膜のすべてに同一材料よりなるバリア膜を用いる場合について説明したが、以下に述べるように、異なる材料よりなるバリア膜を適宜用いることもできる。
例えば、第1又は第2実施形態による半導体装置において、平坦なバリア膜62、78、114のうちで最も強誘電体キャパシタ42側に形成されているバリア膜62として酸化アルミニウム膜を用いるとともに、バリア膜62の上方に形成されているバリア膜78又はバリア膜114としてシリコン窒化膜を用いてもよい。また、例えば、酸化アルミニウム膜上に、酸化チタン膜を形成してもよい。
また、第2実施形態による半導体装置において、第3金属配線層88の下方に形成されている平坦なバリア膜62、78として酸化アルミニウム膜等の金属酸化物よりなる膜やシリコン窒化膜等の無機膜を用いるとともに、第3金属配線層88の上方に形成され、配線(ボンディングパッド)88bに達する開口部96bが形成される平坦なバリア膜114として、吸湿性を有する有機膜を形成してもよい。
また、上記実施形態では、層間絶縁膜を構成する絶縁膜として、シリコン酸化膜を形成する場合を例に説明したが、シリコン酸化膜に代えて、種々の絶縁膜を形成することができる。
また、上記実施形態では、層間絶縁膜を構成する絶縁膜の表面を平坦化する方法としてCMP法を用いる場合を例に説明したが、絶縁膜の表面を平坦化する方法は、CMP法に限定されるものではない。例えば、エッチングにより、絶縁膜の表面を平坦化してもよい。エッチングガスとしては、例えばArガスを用いることができる。
また、上記実施形態では、第1金属配線層56、第2金属配線層72、及び第3金属配線層88の3層の金属配線層により半導体基板10上に回路が構成される場合を例に説明したが、半導体基板10上の回路を構成する金属配線層の層数は3層に限定されるものではない。金属配線層の層数は、半導体基板10上に構成する回路の設計に応じて適宜設定することができる。
また、上記実施形態では、1つのトランジスタ24及び1つの強誘電体キャパシタ42を有する1T1C型のメモリセルが形成されている場合を例に説明したが、メモリセルの構成は1T1C型に限定されるものではない。メモリセルの構成としては、1T1C型のほか、例えば2つのトランジスタ及び2つの強誘電体キャパシタを有する2T2C型等の種々の構成を用いることができる。
また、上記実施形態では、プレーナー型セルを有するFeRAM構造の半導体装置について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、スタック型セルを有し、ゲート長が例えば0.18μmに設定されたFeRAM構造の半導体装置についても適用することができる。
図53は、本発明を適用したスタック型セルを有するFeRAM構造の半導体装置の構造を示す断面図である。なお、図53においては、FeRAMセル部306以外の部分については、バリア膜以外の構造を省略して示している。
図示するように、例えばシリコンよりなる半導体基板210上には、素子領域を画定する素子分離領域212が形成されている。素子分離領域212が形成された半導体基板210内には、ウェル214a、214bが形成されている。
ウェル214a、214bが形成された半導体基板210上には、ゲート絶縁膜216を介してゲート電極(ゲート配線)218が形成されている。ゲート電極218は、例えば、ポリシリコン膜上に、トランジスタのゲート長等に応じてコバルトシリサイド膜、ニッケルシリサイド膜、タングステンシリサイド膜等の金属シリサイド膜が積層されたポリサイド構造を有している。ゲート電極218上には、シリコン酸化膜219が形成されている。ゲート電極218及びシリコン酸化膜219の側壁部分には、サイドウォール絶縁膜220が形成されている。
サイドウォール絶縁膜220が形成されたゲート電極218の両側には、ソース/ドレイン拡散層222が形成されている。こうして、ゲート電極218とソース/ドレイン拡散層222とを有するトランジスタ224が構成されている。トランジスタ224のゲート長は、例えば0.18μmに設定されている。
トランジスタ224が形成された半導体基板210上には、SiON膜225と、シリコン酸化膜226とを順次積層してなる層間絶縁膜227が形成されている。層間絶縁膜227の表面は平坦化されている。
層間絶縁膜227上には、例えば酸化アルミニウム膜よりなるバリア膜228が形成されている。
バリア膜228及び層間絶縁膜227には、ソース/ドレイン拡散層222に達するコンタクトホール230a、230bが形成されている。
コンタクトホール230a、230bには、Ti膜とTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール230a、230b内には、タングステンよりなる導体プラグ232a、232bが埋め込まれている。
バリア膜228上には、導体プラグ232aに電気的に接続されたIr膜234が形成されている。
Ir膜234上には、強誘電体キャパシタ242の下部電極236が形成されている。
下部電極236上には、強誘電体キャパシタ242の強誘電体膜238が形成されている。強誘電体膜238としては、例えばPZT膜が用いられている。
強誘電体膜238上には、強誘電体キャパシタ242の上部電極240が形成されている。
積層されている上部電極240、強誘電体膜238、下部電極236、及びIr膜234は、エッチングにより一括してパターニングされ、互いにほぼ同じ平面形状を有している。
こうして、下部電極236と強誘電体膜238と上部電極240とからなる強誘電体キャパシタ242が構成されている。強誘電体キャパシタ242の下部電極236は、Ir膜234を介して導体プラグ232aに電気的に接続されている。
層間絶縁膜227のIr膜234が形成されていない領域上には、Ir膜234と同程度の膜厚或いはIr膜234よりも薄い膜厚のSiON膜244が形成されている。なお、SiON膜244に代えて、シリコン酸化膜を形成してもよい。
強誘電体キャパシタ242上及びSiON膜244上には、水素及び水分の拡散を防止する機能を有するバリア膜246が形成されている。バリア膜246としては、例えば酸化アルミニウム膜が用いられている。
バリア膜246上にはシリコン酸化膜248が形成され、シリコン酸化膜248により強誘電体キャパシタ242が埋め込まれている。シリコン酸化膜248の表面は平坦化されている。
平坦化されたシリコン酸化膜248上には、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する平坦なバリア膜250が形成されている。バリア膜250としては、例えば酸化アルミニウム膜が用いられている。バリア膜250は、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜250は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部(図示せず)、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部(図示せず)、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
バリア膜250上には、シリコン酸化膜252が形成されている。
こうして、SiON膜244、バリア膜246、シリコン酸化膜248、バリア膜250、及びシリコン酸化膜252により層間絶縁膜253が構成されている。
シリコン酸化膜252、バリア膜250、シリコン酸化膜248及びバリア膜246には、強誘電体キャパシタ242の上部電極240に達するコンタクトホール254aが形成されている。また、シリコン酸化膜252、バリア膜250、シリコン酸化膜248、バリア膜246、及びSiON膜244には、導体プラグ232bに達するコンタクトホール254bが形成されている。
コンタクトホール254a、254b内には、Ti膜とTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。なお、バリアメタル膜として、Ti膜を形成せずに、TiN膜よりなるバリアメタル膜を形成してもよい。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール254a、254b内には、タングステンよりなる導体プラグ256a、256bがそれぞれ埋め込まれている。
シリコン酸化膜252上には、導体プラグ256aに電気的に接続された配線258aと、導体プラグ256bに電気的に接続された配線258bとが形成されている。
配線258a、258bが形成されたシリコン酸化膜252上にはシリコン酸化膜260が形成され、シリコン酸化膜260により配線258a、258bが埋め込まれている。シリコン酸化膜260の表面は平坦化されている。
平坦化されたシリコン酸化膜260上には、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する平坦なバリア膜262が形成されている。バリア膜262としては、例えば酸化アルミニウム膜が用いられている。バリア膜262は、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜262は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部(図示せず)、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部(図示せず)、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
バリア膜262上には、シリコン酸化膜264が形成されている。
こうして、シリコン酸化膜260、バリア膜262、及びシリコン酸化膜264により層間絶縁膜265が構成されている。
シリコン酸化膜264、バリア膜262、及びシリコン酸化膜260には、配線258bに達するコンタクトホール268が形成されている。
コンタクトホール268内には、Ti膜とTiN膜とを順次積層してなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されている。
バリアメタル膜が形成されたコンタクトホール268内には、タングステンよりなる導体プラグ270が埋め込まれている。
シリコン酸化膜264上には、導体プラグ268に電気的に接続された配線272が形成されている。
配線272が形成されたシリコン酸化膜264上にはシリコン酸化膜274が形成され、シリコン酸化膜274により配線272が埋め込まれている。シリコン酸化膜274の表面は平坦化されている。
平坦化されたシリコン酸化膜274上には、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する平坦なバリア膜276が形成されている。バリア膜276としては、例えば酸化アルミニウム膜が用いられている。バリア膜276は、FeRAMチップ領域302及びスクライブ部304にわたって形成されているとともに、隣接するFeRAMチップ領域302にまでわたって形成されている。すなわち、バリア膜276は、スクライブ部304、FeRAMセル部306、FeRAMの周辺回路部(図示せず)、ロジック回路部310、ロジック回路の周辺回路部(図示せず)、パッド部314、これらの境界部であるスクライブ部・パッド部間境界部316、パッド部・回路部間境界部318、及び回路部・回路部間境界部320にわたって形成されている。
バリア膜276上には、シリコン酸化膜278が形成されている。
なお、シリコン酸化膜278から上部は図示しないが、回路設計に応じて、シリコン酸化膜等により構成される層間絶縁膜に埋め込まれた配線が適宜形成されている。
上述のように、スタック型セルを有するFeRAM構造の半導体装置においても、上記実施形態と同様に、水素及び水分の拡散を防止する平坦なバリア膜250、262、276を形成することにより、水素及び水分による強誘電体キャパシタ242の電気的特性の劣化を確実に防止することができ、PTHS特性を大幅に向上することができる。なお、この場合においても、水素及び水分の拡散を防止する平坦なバリア膜は、少なくとも2層形成されていればよく、バリア膜250、262、276の3層すべてが形成されていなくてもよい。また、必要に応じて、更に多くの平坦なバリア膜を形成してもよい。
上記実施形態では、Alを主体とする配線を形成する場合を例に説明したが、配線は、Alを主体とする配線に限定されるものではなく、例えばダマシン法等によりCuを主体とする配線を形成してもよい。
Cuを主体とする配線を用いた場合について図54及び図55を用いて説明する。図54は図53に示す半導体装置においてCu配線を用いた場合の構造を示す断面図、図55はCu配線を用いた場合におけるボンディングパッドの構造を示す断面図である。なお、図54は、図53と同様に、スタック型セルを有するFeRAM構造の半導体装置の構造を示している。図53に示す半導体装置と同様の構成要素については同様の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
図54に示すように、タングステンよりなる導体プラグ256a、256bが埋め込まれた層間絶縁膜253上には、シリコン酸化膜260aが形成されている。
シリコン酸化膜260aには、配線溝280a、280bが形成されている。
配線溝280aには、導体プラグ256aに電気的に接続されたCu配線282aが埋め込まれている。配線溝280bには、導体プラグ256bに電気的に接続されたCu配線282bが埋め込まれている。
Cu配線282a、282bが埋め込まれたシリコン酸化膜260a上には、シリコン酸化膜260bが形成されている。シリコン酸化膜260bの表面は平坦化されている。
平坦化されたシリコン酸化膜260b上には、水素及び水分の拡散を防止する機能を有する平坦なバリア膜262が形成されている。
バリア膜262上には、シリコン酸化膜264が形成されている。
こうして、シリコン酸化膜260、バリア膜262、及びシリコン酸化膜264により層間絶縁膜265が構成されている。
シリコン酸化膜264、バリア膜262、及びシリコン酸化膜260bには、Cu配線282bに達するコンタクトホール268が形成されている。
コンタクトホール268内には、例えば膜厚15nmのTa膜と、例えば膜厚130nmのCu膜とを順次積層してなる膜が形成されている。こうして、Ta膜よりなるバリアメタル膜(図示せず)が形成されたコンタクトホール268内には、Cuよりなる導体プラグ270が埋め込まれている。
上述のようにCu配線を用いた場合において、ボンディングパッドは、AlCu合金膜等のAlを主体とする金属膜により構成される。
図55に示すように、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜284には、配線溝285が形成されている。
配線溝285には、Cu配線286が埋め込まれている。
Cu配線286が埋め込まれた層間絶縁膜284上には、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜288が形成されている。層間絶縁膜288を構成するシリコン酸化膜は、例えばプラズマTEOSCVD法により形成されたものである。
層間絶縁膜288には、Cu配線286に達するコンタクトホール289が形成されている。
コンタクトホール289内には、タングステンよりなる導体プラグ290が埋め込まれている。
導体プラグ290が埋め込まれた層間絶縁膜288上には、導体プラグ290に電気的に接続されたボンディングパッド292が形成されている。ボンディングパッド292は、AlCu合金膜により構成されている。
なお、Cu配線286とボンディングパッド292との間に、水素及び水分の拡散を防止するバリア膜を形成してもよい。
層間絶縁膜288上及びボンディングパッド292上には、シリコン酸化膜294が形成されている。シリコン酸化膜294は、例えばプラズマTEOSCVD法により形成されたものである。
シリコン酸化膜294上には、シリコン窒化膜296が形成されている。
シリコン窒化膜296上には、ポリイミド樹脂膜298が形成されている。
ポリイミド樹脂膜298、シリコン窒化膜296、及びシリコン酸化膜294には、ボンディングパッド292に達する開口部299が形成されている。すなわち、シリコン窒化膜296及びシリコン酸化膜294には、ボンディングパッド292に達する開口部299aが形成されている。ポリイミド樹脂膜298には、シリコン窒化膜296及びシリコン酸化膜294に形成された開口部299aを含む領域に、開口部299bが形成されている。
ボンディングパッド292には、開口部299を介して、外部回路(図示せず)が電気的に接続される。
このように、Alを主体とする配線に代えてCuを主体とする配線を用いてもよい。
図53に示すようにスタック型セルを有するFeRAM構造の半導体装置においてCu配線を用いた場合においては、例えば、強誘電体キャパシタと、強誘電体キャパシタ上の第1層目のCu配線との間にまず1層目の平坦なバリア膜を形成し、ボンディングパッドと、ボンディングパッド下の最上層のCu配線との間に2層目の平坦なバリア膜を形成すればよい。このような2層の平坦なバリア膜に加えて、他のCu配線の間に平坦なバリア膜を更に形成することにより、耐湿性を更に向上することができる。