JP5202415B2 - スロットル制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スロットル制御装置に関するものであり、特に、スロットル・バイ・ワイヤ方式でスロットルバルブを閉じ方向に駆動する場合に、スロットルバルブに連結されたバルブギヤが全閉ストッパに衝突するのを防止するのに好適なスロットル制御装置に関する。
スロットルグリップの操作角度を検出し、この操作開度に応じてスロットルバルブの駆動モータを駆動してスロットルバルブの開閉を制御するスロットル・バイ・ワイヤ方式(以下、「TBW」と呼ぶ)のスロットル制御装置が知られている。
TBWによるスロットル制御では、スロットルバルブが全開位置近くから全閉位置へと大きく動かされるときにバルブの全閉位置を規制するストッパにスロットルバルブが高速で衝突することがある。これに対して、特許文献1には、実スロットルバルブ開度が、全閉位置から少し開かれた所定開度より全閉側になったとき全閉リミッタ位置を全閉位置へと徐々に小さくすることによりスロットルバルブが全閉ストッパに衝突するのを回避するように構成したスロットル制御装置が提案されている。
特開平8−74639号公報
特許文献1に記載されたスロットル制御装置は、スロットルバルブがストッパに衝突するのを回避するものであるが、全閉リミッタ位置を全閉位置側へ徐々に移動させるものであるので、スロットルバルブを駆動するモータの速度つまりスロットルバルブの移動速度は変わらない。そのため、スロットル操作装置によるスロットルバルブの急閉操作が行われたときに、全閉リミッタ位置の移動が遅れることがある。
本発明の目的は、スロットル全閉操作時のオーバーシュート、並びに全閉ストッパやスロットルバルブ駆動ギヤ等の変形や摩耗を防止することができるスロットル制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明は、スロットル操作装置の操作開度に応じて目標スロットル開度を算出し、該目標スロットル開度に従ってスロットルバルブをモータで駆動するTBW方式でスロットルバルブが急閉された時のスロットルバルブ制御を含むスロットル制御装置において、前記スロットルバルブが、その全閉位置を規定する全閉ストッパを
有するスロットルボディに設けられており、前記スロットル操作装置がスロットルバルブの閉方向に操作された場合に、目標スロットル開度の前回算出値と今回算出値との差によって目標スロットル開度変化量を算出する目標スロットル開度変化量算出手段を具備し、目標スロットル開度が所定値以下で、かつ前記目標スロットル開度変化量が所定の制御開始閾値以上になったときに、目標スロットル開度変化量に制限を設けて、所定の通常開度変化量より小さくするように構成された点に第1の特徴がある。
また、本発明は、前記目標スロットル開度変化量の制限が、目標スロットル開度に応じた補正項によって行われるものであり、目標スロットル開度毎に設定された目標スロットル開度変化量基本値と前記補正項との積を目標スロットル開度変化量とすることで、目標スロットル開度変化量を通常開度変化量より小さくするように構成されている点に第2の特徴がある。
また、本発明は、前記目標スロットル開度変化量の制限を、前記目標スロットル開度変化量が予め設定した制御終了閾値より小さくなる時点まで継続するように構成した点に第3の特徴がある。
また、本発明は、前記目標スロットル開度変化量の制限処理終了後は、目標スロットル開度変化量をアイドル開度に収束させるように構成された点に第4の特徴がある。
第1〜4の特徴を有する本発明によれば、スロットルバルブが閉方向に変位して、目標スロットル開度が所定値以下で、かつ目標スロットル開度変化量が所定値より大きい場合、つまりスロットルグリップの急閉操作が検出されたときは、目標スロットル開度変化量を通常の目標スロットル開度変化量より小さくしてスロットルバルブの急閉を防止できる。これにより、スロットルバルブの全閉位置を規定している全閉ストッパに当接することが予定されているスロットルバルブ駆動部材(前記モータの回転をスロットルバルブに伝達するギヤ等)の部分が、全閉ストッパに衝突するのを防止できる。また、スロットルバルブが閉じる方向で衝突に至るような早いスロットル操作に対してのみ制御が実行されるので、ドライバビリティが損なわれることがない。
その結果、全閉ストッパへのスロットルバルブ駆動部材の衝突による反発力でスロットルバルブがオーバーシュートするのを抑制できるし、全閉ストッパおよびスロットルバルブ駆動部材の変形や摩耗を低減することができる。
そして、オーバーシュートを抑制することにより、アイドル回転のための目標開度へ早期に収束させて車両の空走感を緩和することができる。
なお、第4の特徴を有する本発明によれば、スロットルバルブ開度を速やかにアイドル開度に収束させて、アイドル運転に速やかに復帰させることができる。
本発明の一実施形態に係るスロットル制御装置の要部機能を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係るスロットル制御装置が適用されるスロットルボディの断面図である。 カバーを取り外した状態のスロットルボディの側面図である。 本発明の一実施形態に係るスロットル制御装置のシステム構成図である。 スロットルバルブを閉じる動作の概念図である。 目標スロットル開度に対する目標開度変化量基本値のマップを示す図である。 目標スロットル開度に対する目標開度変化量補正項のマップを示す図である。 本発明の一実施形態の制御装置による効果を確認した制御テスト結果を示す図である。 従来の制御装置による制御テスト結果を示す図である。 全閉ストッパの変形例に係る要部断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るスロットル制御装置で制御されるスロットルボディの断面図、図3は、カバーを取り外した状態のスロットルボディの側面図である。
スロットルボディ1は、エンジンの吸気管の壁部2に、軸受3、4で支持されたスロットル軸5を有し、スロットル軸5には、止めネジ6、6を使ってスロットルバルブ7が取り付けられている。スロットル軸5は、図2において、左方向に軸受4から突出しており、この突出部分5aに、駆動装置を構成する最終段ギヤ8としての部分ギヤが結合されている。最終段ギヤ8は、中間ギヤ9の小ギヤ9aと噛み合い、さらに、中間ギヤ9の大ギヤ9bはモータ10の出力軸10aに取り付けられた出力ギヤ11と噛み合っている。
出力ギヤ11およびモータ10、並びに中間ギヤ9および最終段ギヤ8を収容する駆動装置ケース12は、吸気管の壁部2に結合されたケース本体13およびケース本体13を図2中左側から覆うカバー14からなる。
中間ギヤ9は、ケース本体13およびカバー14に両端を支持されたギヤ軸15に対して回転自在に支持される。最終段ギヤ8とケース本体13との間にはリターンスプリング(コイルばね)16が配置される。リターンスプリング16は、コイルの一端が最終段ギヤ8に係止され、他端がケース本体13に係止されて、スロットルバルブ7を全閉方向に付勢するように捻られている。
スロットル軸5は、図2中右側にも軸受3から突出している部分5bを有する。この突出部分5bは、多気筒エンジンの、他の気筒に設けられるスロットルバルブのスロットル軸(図示しない)と連系するためのリンク機構17を有している。
最終段ギヤ8とカバー14との間には、スロットルポジションセンサ(TPS)18が設けられる。TPS18は、磁気抵抗素子を内蔵するセンサICを備えるものであり、例えば、特開2008−298083号公報に記載されているような周知のものを使用できる。
最終段ギヤ8は、図3に示すように、歯が形成されていない部分に小半径部分8aと該小半径部分8aから周方向に立ち上がったストッパ係合部8bとを有する。ケース本体13にはスロットル全閉時にストッパ係合部8bが当接する全閉ストッパ19が固定されている。ストッパ係合部8bの立ち上がり面8cは、最終段ギヤ8がスロットル閉方向20に回動して、全閉位置に至ったときに全閉ストッパ19に当接する面である。
上記構成により、図示しないスロットル操作装置をスロットル開方向に操作すると、その操作量(または操作開度)に応じて、最終段ギヤ8が矢印20と反対方向に回転してスロットルバルブ7が開くようにモータ10が駆動される。一方、スロットル操作装置をスロットル閉方向に操作すると、その操作量(または操作開度)に応じて、最終段ギヤ8が矢印20の方向に回転してスロットルバルブ7が閉じるようにモータ10が駆動される。
図4は、モータ10を駆動するスロットル制御装置のシステム構成図である。図4において、スロットル操作装置としてのスロットルグリップ21は、例えば、自動二輪車のステアリングハンドル22に設けられるものである。ステアリングハンドル22には、スロットルグリップ21の操作開度を検知するグリップセンサ23が設けられる。グリップセンサ23は、操作開度の検知信号を、マイクロコンピュータを含むECU24に入力する。ECU24は、操作開度の検知信号によって目標スロットル開度を計算し、その目標スロットル開度に応じたステップ数をモータ10に供給してスロットルバルブ7を目標スロットル開度に回動させる。
スロットルバルブ7を開く場合は、グリップ操作開度の検知信号に基づいてステップ数を決定するが、スロットルバルブ7を閉じる場合は、目標スロットル開度毎に設定される目標スロットル開度の変化量基本値に補正項を乗算してステップ数を決定してスロットルバルブ7の変位速度を小さくする。
図5は、スロットルバルブ7を閉じる場合の、動作を示す概念図である。図5において、横軸は時間軸であり、縦軸はスロットル開度である。スロットルグリップ21の操作開度に応じて目標スロットル開度THCMDが計算され、実スロットル開度が制御される。
スロットルグリップ21をスロットル閉方向に操作していく場合、ラインL1で示すように、スロットルグリップ21が急閉操作されると、この急閉操作に伴って目標スロットル開度THCMDの変化量が通常のスロットル閉操作時より大きくなる。このように変化量が大きい目標スロットル開度のまま、スロットルバルブ7を閉じると、図9を参照して後述するようにオーバーシュートを生じ、最終段ギヤ8のストッパ係合部8bが全閉ストッパ19に衝突することがある。
そこで、本実施形態では、補正項を乗算した目標スロットル開度変化量で単位時間の開度変化量を制限してスロットルバルブ7を閉じる衝突防止処理を行う。つまり、スロットルグリップ21の開度が急閉に変化した時点t1で衝突防止処理を開始する。衝突防止処理では、時点t1での目標スロットル開度(モータ10に供給するステップ数)に応じて目標スロットル開度変化量の基本値に対する補正項を決定して基本値に乗算する。補正項は、目標スロットル開度が大きい場合、つまり現在位置からアイドル位置までのスロットル開度変化量が大きいほど大きい値とし、目標スロットル開度が小さいほど小さい値とする。補正項の最大値は「1.0」である。したがって、目標スロットル開度の変化量は、全閉位置に近づくにつれて小さくなり、スロットルバルブ7の閉方向への回動速度が小さくなる。
目標スロットル開度の変化量が所定値以下に小さくなった時点、例えばタイミングt2で衝突防止処理は終了して、補正項を保持してアイドル開度に収束させる。
図1は、ECU24の要部機能を示すブロック図である。図1において、目標スロットル(TH)開度算出部25は、グリップセンサ23から、所定処理サイクル毎に入力される操作開度θGrに基づいて目標スロットル開度THCMDを算出する。目標スロットル(TH)開度変化量算出部26は、前回算出された目標スロットル開度と今回算出された目標スロットル開度との差(目標スロットル開度変化量)ΔTHCMDを算出する。
衝突防止処理判定部27は、目標スロットル開度が所定値以下になっている時、つまり全閉位置までのスロットルバルブ7の回転量が比較的小さくなった時に、目標スロットル開度変化量ΔTHCMDが所定の制御開始閾値以上か、つまりスロットルグリップ21が急閉操作されたか否かを判定する。スロットルグリップ21が急閉操作されたと判定されたときに衝突防止処理信号を補正項算出部29に入力する。
変化量基本値算出部28は、目標スロットル(TH)開度算出部25から目標スロットル開度THCMDを読み込み、目標スロットル開度THCMDに対応する目標スロットル開度の変化量の基本値を算出する。変化量の基本値は図6の変化量基本値マップを検索して決定することができる。
補正項算出部29は、衝突防止処理開始信号が入力されると、変化量基本値を補正する補正項を算出して乗算部30に入力する。変化量基本値の補正項は、目標スロットル開度THCMDに応じて、例えば、図7の補正項マップを検索して決定することができる。
乗算部30には、変化量基本値も入力され、この変化量基本値に補正項が乗算されて目標スロットル開度変化量を出力する。
衝突防止処理判定部27は、目標スロットル開度変化量ΔTHCMDが所定の制御終了閾値以下になると、衝突処理信号をオフにする。衝突処理信号をオフにした時点で補正項算出部29はその時点の補正項を維持する。したがって、目標スロットル開度変化量は一定値に保持される。
なお、衝突防止処理判定部27での処理開始および終了の判定に使用される制御開始閾値および制御終了閾値は、いずれも目標スロットル開度毎に予め設定される。つまり、目標スロットル開度が大きいときは制御開始閾値を大きい値とし、目標スロットル開度が小さいときは制御開始閾値を小さい値とする。したがって、全閉位置に近い位置からスロットルグリップを急閉操作したときには、急閉操作度合が比較的小さい場合でも開度変化量を制限する衝突防止処理が開始されるが、スロットルバルブ7の閉方向での目標スロットル開度が大きいとき、つまりスロットルバルブ7の開度が大きいときは、目標変化量の制限を開始しないようにすることができる。
図6は、変化量基本値マップの一例を示す図である。図6において、横軸は目標スロットル開度THCMDであり、縦軸は変化量基本値(°/ミリ秒)である。図に示すように目標スロットル開度THCMDが大きいときは変化量基本値が大きく、目標スロットル開度THCMDが小さくなるにつれて変化量基本値は小さくなるように設定されている。
図7は、補正項マップの一例を示す図である。図7において、横軸は目標スロットル開度THCMDであり、縦軸は補正項である、補正項の最大値は「1.0」である。
図8は、本実施形態の制御装置による効果を確認した制御テスト結果であり、比較のため、図9に従来の制御装置による制御テスト結果を示す。図9において、衝突防止処理を行わない従来装置では、目標スロットル開度が変化してもそれに対応して目標スロットル開度変化量は基本値のままである。つまり、スロットル開度の変化速度が大きいので、スロットルバルブ7は、全閉方向にオーバーシュートして、最終段ギヤ8のストッパ係合部8bが全閉ストッパ19に衝突し、その反作用で開側に変位し、そこからアイドル回転のためのスロットル開度目標値へ収束する。したがって、全閉ストッパ19への衝突による全閉ストッパ19の変形や摩耗等の他、アイドル回転数に収束するまでの時間が長くなる。
一方、図8に示した本実施形態の制御装置によれば、目標スロットル開度THCMDが小さくなるほど、スロットル開度の変化速度が小さくなるので、オーバーシュートは解消され、全閉ストッパ19に最終段ギヤ8のストッパ係合部8bが衝突しないので、全閉ストッパ19の変形や摩耗等を低減できるし、アイドル回転数へ早期に収束させることができる。
図10は、全閉ストッパの変形例に係る要部断面図である。図3に示した全閉ストッパ19はケース本体13内に設けたが、図10の変形例では、全閉ストッパ19を長尺のロッドにしてケース本体13の側壁に貫通させた。図10において、ケース本体13の側壁13aにブッシュ31を貫通させて保持させている。ブッシュ31は、内周にネジが形成されている。全閉ストッパとして作用するロッド32には、一端部にネジ32aが形成され、他端部が、該ネジ32aの外径より細い小径部となっている。このロッド32をブッシュ31にねじ込んで小径部分をケース本体13内に突出させる。ロッド32の先端は最終段ギヤ8のストッパ係合部8bの面8cに指向されており、ブッシュ31へのねじ込み量で、全閉時のストッパ係合部8bの面8cとの位置関係を設定する。ロッド32の位置は、ロッド32の一端部のネジにナット33を締め付けて固定させる。
1…スロットルボディ、 7…スロットルバルブ、 8…最終段ギヤ、 10…モータ、 19…全閉ストッパ、 21…スロットルグリップ、 23…グリップセンサ、 24…ECU、 26…目標TH開度変化量算出部、 27…衝突防止処理判定部、 28…変化量基本値算出部、 29…補正項算出部、 30…乗算部

Claims (1)

  1. スロットル操作装置(21)の操作開度に応じて目標スロットル開度を算出し、該目標スロットル開度に従ってスロットルバルブ(7)をモータ(10)で駆動するスロットルバイワイヤ(TBW)方式でスロットルバルブが急閉された時のスロットルバルブ制御を含むスロットル制御装置において、
    前記スロットルバルブ(7)が、その全閉位置を規定する全閉ストッパ(19)を有するスロットルボディ(1)に設けられており、
    前記スロットル操作装置(21)がスロットルバルブ(7)の閉方向に操作された場合に、目標スロットル開度の前回算出値と今回算出値との差によって目標スロットル開度変化量を算出する目標スロットル開度変化量算出手段(26)を具備し、
    目標スロットル開度が所定値以下で、かつ前記目標スロットル開度変化量が所定の制御開始閾値以上になったときに、目標スロットル開度変化量に制限を設けて、所定の通常開度変化量より小さくするように構成されており、
    前記目標スロットル開度変化量の制限が、目標スロットル開度に応じた補正項によって行われるものであり、
    目標スロットル開度毎に設定された目標スロットル開度変化量基本値と前記補正項との積を目標スロットル開度変化量とすることで、目標スロットル開度変化量を通常開度変化量より小さくするように構成されており、
    前記目標スロットル開度変化量の制限を、前記目標スロットル開度変化量が予め設定した制御終了閾値より小さくなる時点まで継続するように構成し、
    前記目標スロットル開度変化量の制限処理終了後は、目標スロットル開度変化量をアイドル開度に収束させるように構成されており、
    前記制御開始閾値は、前記目標スロットル開度が大きいほど大きく、かつ前記目標スロットル開度が小さいほど小さく設定されており、
    前記スロットル操作装置(21)が、自動二輪車のステアリングハンドル(22)に回動自在に支持されたスロットルグリップ(21)であることを特徴とするスロットル制御装置。
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